第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは『グループの総合力を最大限に高め、社会のニーズにタイムリーに応える事業活動を展開する。以て盤石な経営基盤を構築し社会的貢献を希求する』ことを経営理念としております。

当社の創業は、鉛含有の白粉(おしろい)による健康被害が問題視されていた中、無鉛白粉の原料である酸化亜鉛の製造法の開発に成功したことから始まります。以来、思いやりの心と技術革新で社会の快適と安心を支える素材(マテリアル)づくりにこだわってきました。

培った化学技術により生まれる素材(マテリアル)をベースとし、各ステークホルダーとともに持続可能なやさしい未来社会を実現する、この目的に向かって創造を続ける会社であることが私たちのミッションです。

このミッションを実現するために、社員が日々ワクワクして働いてこそ、価値ある創造が継続できるとの考えより、働く社員が能動的で躍動感に溢れる「わくわくカンパニー」を目指しています。

 

(2)経営環境

当社グループは、国内連結子会社7社、国内非連結子会社1社、海外連結子会社8社、海外非連結子会社1社からなります。堺商事および堺商事傘下の海外子会社(PT. S&S HYGIENE SOLUTIONを除く)5社以外は製造子会社です。堺化学および各製造子会社は、特徴のある製品・技術ノウハウを保有し、そのビジネスモデル・ビジネス領域も多種多様です。各社の特徴を伸ばしていくとともにグループガバナンスの強化を行い、グループ間シナジーの発現、業務の効率化など最大のパフォーマンスが発揮できるよう努めています。

成長事業においては、中国経済の不透明感が残る中で、電子材料は、コンデンサ市場の回復を受け、特に誘電体材料の販売数量が前年から伸びました。また、価格是正も浸透し、収益が改善しました。

一方の、UVケアおよびメイク関連向けの化粧品材料は、中国経済低迷の影響を受け、販売数量が伸び悩みました。

また、医薬品原薬・中間体、プラスチックレンズ向け製品などの有機化学品は、景気後退の影響を受けにくいものの、一部の顧客で在庫調整があり、売上高が伸び悩みました。

効率化検討事業においては、販売数量は前年から減少しましたが、価格是正が浸透し、収益性が大きく改善しました。

医療事業については、品質問題による販売への影響は最小限にとどまったものの、薬価改定や原燃料高騰の影響を受け、昨年同様の厳しい業績となりました。

当社グループ全体では、成長事業である化粧品材料や有機化学品が伸び悩み、一方で、電子材料の数量回復、価格是正の浸透により、前年から利益が大きく改善しました。

 

(3)中期的な経営戦略と目標とする経営指標

当社グループは上記経営環境を認識し、2024年にスタートさせたグループ中期経営計画『変革・BEYOND2030』において変革を通じて弊社のミッションである「化学でやさしい未来づくり」 をこれまで以上に体現すべく、強い決意を以て取り組んでおります。

『変革・BEYOND2030』で重点的に取り組む項目は以下のとおりとし、中長期的には「Smart Material®で社会に貢献できるエクセレントカンパニー」を目指します。

 

①高付加価値品シフトを企図した事業ポートフォリオ入替え

顔料級酸化チタンの事業終了を皮切りに、他製品の安定・成長事業化も進め、「変革・BEYOND2030」において効率化を検討する事業はなくします。

 

1.顔料級酸化チタン事業終了と構造改革

・顔料級酸化チタンは設備投資効率が低く、生産工程における環境負荷も高い事業のため、2026年3月期に事業を終了します

・顔料級酸化チタンの事業終了に向けて、構造改革(固定費削減、価格是正など)を進めます

 

2.成長事業へのリソース集中、M&Aによる事業拡大

・電子材料、化粧品材料に加えて、有機化学品を新たな成長ドライバーと位置づけ、既存事業の成長投資とM&A活用で、更なる利益成長を目指します

 

電子材料は、収益性の高いハイエンド品の更なる拡販と収益拡大が見込めるミドルエンド品のシェアを取り込むことで市場成長を超えた成長を実現していきます。

化粧品材料は、サンスクリーン剤の増産投資は一巡したことから、超微粒子酸化亜鉛で海外(特に欧州化粧品メーカー)の需要を取り込み、利益成長を目指します。さらに将来における収益貢献に向けたメイク用途材料の先行投資を実施します。

有機化学品は、市場内でも特に高い成長率が見込まれる高屈折タイプのメガネレンズ材料に対し、トップシェアポジションの強化に向けたリソース投入を行います。また、医薬品原薬・中間体は、増設による既存受託品の更なる拡販で、利益成長を目指します。

 

3.ベストオーナーの見極め、将来への種蒔き

グループ会社を含め、各事業のベストオーナーが当社であるかを見極めます。また、将来に向けた種蒔きのため、R&D活動を積極的に進めます。

医療事業は、品質問題を受け、GQP・GMP体制の立て直し、組織文化の変革を目指します。また、薬価改定の影響を受けない新規事業の育成、推進を進めます。

 

4.研究開発活動

当社グループではSmart Material®認定製品・サービスを2030年度までに5件上市することを目標としています。「自然を守る」、「高度情報化社会の発展を支える」、「人々の健康を支える」ために、環境・エネルギー、エレクトロニクス、ライフサイエンス・ヘルスケア分野において、Smart Material®認定製品・サービスで社会に貢献することを目指します。そのために、継続的な研究開発への投資を行っていきます。

 

②資本コストを上回るROEの達成・PBR改善

2027年3月期のROE目標8%の達成に向けて、事業ポートフォリオ変革による高付加価値品へのシフト、資産の圧縮、資本効率の向上を進め、PBRの改善へつなげます。

 

1.事業ポートフォリオ変革により高付加価値品へのシフト

成長事業への展開を加速し、顔料級酸化チタンの事業を2026年3月期に終了します。

 

2.資産の圧縮(キャッシュ・フロー改善)

キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)の改善をすることで、中期経営計画期間(3年間)で運転資金70億円の圧縮を実現します。また、有効活用されていない固定資産の売却を実施します。

 

3.資本効率の向上

成長事業へのM&Aを含む積極投資を行います。また、DOE3%を目安として、安定的、継続的な配当を行うとともに、機動的な自己株買いを実施します。

 

③マテリアリティ推進・非財務面の取り組み加速

1.品質・安全問題の再発防止策の徹底

子会社のカイゲンファーマにおける薬機法違反、湯本工場の爆発火災事故、小名浜事業所の火災等、重大な品質・安全問題が発生した事を重く受け止め、現在グループ全体で再発防止に向けた取り組みを進めております。

 

2.人的資本経営の取り組みの推進

2024年4月にサスティナビリティ委員会の傘下に人的資本部会を設置しました。当社は、社員が個人・組織課題の解決に向けて主体的に動くことで、社員一人ひとりが自分・仲間を信頼し、持続的に成長できる強い企業になることを目指します。

 

④キャピタル・アロケーション

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⑤主要なKPI一覧

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(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「変革・BEYOND2030」を2024年にスタートさせました。当計画は、2030年から更にその先の将来に向けた「変革」のステージの3年間と位置づけております。今後は、収益性、投資効率が高い事業へ設備投資や人的資源を集中的に投下し、事業ポートフォリオを組み換え、高収益な企業へ変革するための構造改革を実施します。

また、成長事業として位置づけております化粧品材料事業につきましては、海外、特に欧州を中心に化粧品トップメーカーに対し販売を強化するとともに、UVケア商材だけではなくメイクアップ商材への先行投資を行ってまいります。また電子材料事業につきましては誘電体のハイエンド品やミドルエンド品のシェアアップによって、電子材料市場の市場成長を超える成長を目指します。

なお、2025年3月期末時点においても十分な自己資本を維持しております。加えて、長期借入やコミットメントライン等、金融機関から十分な支援を受けられていることから、当連結会計年度以降の営業キャッシュ・フローを含め、当面の資金繰りについても盤石な体制を維持できると考えております。経営環境の激変に備え全社的なコスト削減、棚卸資産の圧縮、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ資金の運用効率化等の対策を打ち、財務の健全性確保に努めると同時に、今後のビジネス環境の変化を注意深く見極め、適切に対応してまいります。

中国における景気低迷、ロシアのウクライナ侵攻によるサプライチェーンの混乱とそれに伴う景気の停滞が継続していることに加え、アメリカ政権が各国・地域に課した相互関税によるインフレ進行や景気後退が懸念されております。現状は、幅広い用途に使用されている酸化チタンやバリウム製品等がこれらの影響を大きく受けております。加えて、原燃料高騰と円安がもたらす製造コストの上昇は、主要な原料鉱石を輸入している当社にとって免れ得ないものと認識しており、適正な販売価格の設定、収率の改善、製造設備の集約等、更なる製造コスト削減により業績の維持向上に努めてまいります。

 

電子材料(成長事業)

積層セラミックコンデンサ(MLCC)市場は、中国の景気低迷や車載機器関連市場の減速による影響はあるものの、市場全体としては徐々に回復しております。一方で、誘電体は、ハイエンドからローエンドまで全般的に販売数量が伸び悩みましたが、誘電体材料は、販売数量が増加しました。

今後は、誘電体材料では引き続き価格改定による採算是正に取り組み、誘電体では、新製品によるハイエンド・ミドルエンド市場でのシェア拡大を図ってまいります。

 

化粧品材料(成長事業)

日焼け止め製品市場は、全体としては成長しているものの、中国市場は同国の景気軟化を受け、消費が落ち込んでおります。当社主力のUVケア化粧品材料向け超微粒子酸化亜鉛・酸化チタンも間接的にその影響を受けており、販売数量が落ち込んでいます。そのため、UVケア化粧品材料については、当社酸化亜鉛の高透明性等の特性を活かす処方提案力を訴求し、欧米中心に海外の化粧品メーカーへの拡販に努めてまいります。また新たな柱として、メイクアップ、スキンケア市場に本格進出するために、新たな工場を建設中です。同市場向けに有効な、機能性や意匠性に優れた無機素材を提供し、新工場の早期貢献を実現すべく、立ち上げ準備を進めてまいります。また、引き続き新規材料や処方の開発にも取り組んでまいります。

 

有機化学品(成長事業)

有機イオウ製品は、伸長が予想されるレンズ市場への投資戦略の最適化、電子デバイス用接着剤向け等の開発品の量産化と拡販に注力してまいります。

医薬品原薬・中間体の生産受託は、製薬会社がプロセス開発を含め外部機関に委託するケースが増えており、製薬会社と協働できるような開発体制が必要となっております。数年来、CDMO(開発製造受託)の体制整備、人員、装置、ソフト面の強化を進めてきましたが、2024年9月に新研究所が稼働し、本格的に活動を開始しました。今後は増加する開発案件の引き合いを確実に受託するための設備充実を図ってまいります。

 

衛生材料(安定事業)

円安により輸入商材の日本国内での販売が低迷したほか、インドネシアで製造販売している通気性フィルムは、主要顧客の生産数量の伸び悩み、中国品の価格攻勢、インドネシア国内のインフレによる節約志向、少子化による日本国内の子ども向け市場の縮小等の影響を受けております。そのため、輸入商材は、品質とサービス向上による差別化、大人向けやフェミニンケア、ペットケア向け製品の拡販、通気性フィルムについても、環境配慮型製品等の付加価値の高い製品の開発および拡販に取り組んでおります。今後の取り組みとして、中東市場への販売強化、欧州やアフリカ等の未開拓市場への展開、特に通気性フィルムについては、コストダウンを進めてまいります。

 

受託加工(安定事業)

顧客からのニーズは、多種多様でより高度なものになってきており、かつ要求事項を超える提案も求められています。これらに確実に対応できるよう、保有設備の拡充、生産管理の高度化、高い技術力の保有を図り、より信頼される受託体制を構築しております。また、新規案件獲得に向け、高い技術力を訴求する製品群をラインアップし、営業活動を進めております。

混合、ろ過水洗、乾燥、焼成等の工程受託においても、研究開発から事業化への加速、投資リスク低減のため、多様な分野においてニーズが高まっており、潜在的な顧客も多数存在すると考えられます。ウェブサイトやオウンドメディア(自社媒体)の活用により設備や技術力を幅広くアピールしており、さらにウェブマーケティングを強化し、新規顧客の掘り起こしを図ってまいります。

 

酸化チタン・亜鉛製品(効率化検討事業)

酸化チタンは、安価な輸入品が流入し国内の市場環境は悪化しております。汎用性の高さ、収益性の低さに加え、生産による環境への負荷や影響も大きいことから、2026年3月期をもって顔料級酸化チタンについては事業終了とすることを計画しております。

亜鉛製品は、一定の堅調な市場環境が継続すると想定しております。一部では安価な輸入品の国内市場への流入、主要用途であるタイヤ市場において環境配慮型仕様への移行もあり、将来的には徐々に販売数量が減少することも想定し、操業の安定化と効率化に継続的に取り組んでまいります。

 

樹脂添加剤(効率化検討事業)

塩ビ安定剤は、環境に優しい非鉛系安定剤を日本、ベトナムおよびタイの3拠点から需要の拡大が期待できる海外市場(特に東南アジア地域)へ展開してまいります。得意とする配合技術を駆使し、グローバル市場での新規採用、シェア拡大に努め、安定事業への移行を図ります。海外展開での課題は現地での迅速な試作対応であり、現地スタッフへの教育をはじめ、技術支援体制を強化してまいります。一方、国内取引の課題は収益性の改善であり、鉛系安定剤の終売、原材料の高騰に対応した適正価格への値上げを推進してまいります。

 

触 媒(効率化検討事業)

光学フィルムや紙おむつ向け接着剤等で用いられる水添石油樹脂は、堅調な需要が見込まれており、その製造工程で使用されるニッケル触媒は、拠点の集約化を進め、生産体制の効率化を図っております。今後は、集約化した拠点での稼働を高め、販売構成にも留意し、高品質な製品の販売割合を増やしながら、収益確保に努めてまいります。

脱硝触媒は、火力発電所やごみ焼却施設で長年使用されており、クリーンな環境の実現に貢献しております。積み上げてきた実績や知見を活かし、排出ガス規制が厳しくなることが想定される東アジア等の海外市場での営業活動を進めてまいります。

その他、低炭素化社会の実現のためカーボンニュートラル関連事業に取り組む企業と協業し、新規触媒の開発と拡販にも注力してまいります。

 

無機事業(効率化検討事業)

塗料やインキなどに使用される硫酸バリウム製品は、中国品の価格攻勢を受け、国内の市場環境は厳しさを増しております。化学合成で製造する沈降性硫酸バリウム製品は、国内で唯一のメーカーであること、複数の製法および製造ノウハウを保有していること等を強みとし、特に製品供給の安定化、コストダウン、価格是正を進めながら、新たな用途展開に取り組んでおります。

 

医療事業

医療事業は、品質問題を受けてGQP・GMP体制の立て直し、組織文化の変革を目指した業務改善を最優先事項として推進しております。また、健診領域、消化器領域、美容領域を重点領域として取扱商品の拡充に努めるとともに、薬価改定の影響を受けない新規事業の育成、推進に努めてまいります。

医療用医薬品については、一部バリウム造影剤の薬価引き上げがあったものの、治療薬の大幅な薬価引き下げのトレンド、原材料価格の高騰による利益の減少が続いており、価格転嫁や業務の効率化を図り、利益確保を目指しております。今後は、注力分野である健診領域の取扱製品の拡充に努め、売上と利益の増加を目指してまいります。

内視鏡洗浄消毒器は、市場での周知を図るため講演を行う等の啓発活動に取り組んでおります。また、耳鼻咽喉科領域等新たな領域への展開を開始しており、自動視野計「アイモscan」は、視野検査の認知向上を推進しながら、拡販を目指しております。さらに、協業先の医療機器の拡販、診断支援AIの取り扱いを開始しております。

 

その他、入浴剤やのど飴、しょうが湯、中高年の方の記憶力、注意力を維持する機能性表示食品「メモエル」等は、Amazonのカイゲンファーマオンラインショップでも展開しております。製品ごとに新たな販路を開拓し、バラエティショップやスーパーマーケットで展開しております。美容医療向け製品においても、さらなる利益確保と業務効率化のため、特定の医薬品卸を経由した販売ルート構築の検討、「ソルプロ」ブランドで展開する紫外線対策サプリメント等の商品ラインアップ拡充を目指した開発に注力しております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティ

① ガバナンス

当社はサステナビリティならびにESG(環境・社会・ガバナンス)に関わる経営方針・戦略に関する重要事項について、取締役会による監視体制の下、リスクと機会の大きさを認識し適切な対応を検討し、実行する意思決定を行っています。社会課題に対するステークホルダーからの期待や要請に応えるべく、代表取締役が委員長となりサステナビリティ委員会(年1回以上開催)において事業戦略を鑑みた上で目標や戦略について議論し、進捗管理を実施しています。また、その内容は取締役会に報告しています。

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② 戦略

当社グループは「化学でやさしい未来づくり」をミッションに掲げ、グループ会社も含めたESG経営の推進によって社会課題を解決し経済的価値も創出することを目指しています。それらは幅広いステークホルダーへ積極的に情報開示を行っています。

 

③ リスク管理

当社グループは、環境・社会・ガバナンスに関する重要課題(マテリアリティ)を特定し、全社横断的なマテリアリティマネジメントを通じて、リスク管理を実施しています。進捗についてはサステナビリティ委員会において審議しており、企業の存続と活動に必須の要件として主体的に取り組みます。

 

④ 指標と目標

当社グループはマテリアリティごとに指標と目標をKPIに設定し、上記ガバナンスにおいて各指標の進捗状況がモニタリングされ、結果に基づき取り組みに反映しています。

テーマ

マテリアリティ

(重要課題)

堺化学の主な取組み

KPI

指標

目標

実績

人々を幸せにする

人材を育成し、成長を実感できる風土を醸成する

挑戦する仕組み•能動的に行動する仕組みを整備する

リクルート社による

エンゲージメント調査

(Geppoスコア)

 

66.4点以上/100点満点中

(2025年度)

63.4点

(2024年度)

働きやすい環境をつくる

働く環境(場所、時間)を整備

 

活力のある職場環境づくり

ダイバーシティの推進

長時間労働人数(月60時間超)

休業4日以上の死傷者数

労働損失日数

新規採用者に占めるキャリア採用者の割合(経験者採用比率)

中核人材に占める女性雇用率

管理職に占める女性雇用率

年次有給休暇取得率

男性の育児休業取得率

0人/年(2030年度)

0人/年

0日/年

 

20%以上

20%以上(2030年度)

10%以上(2030年度)

80%以上(2030年度)

50%以上(2030年度)

243人(2024年度)

4人(連結)

61人(連結)

 

28.2%

10.6%

4.1%

85.7%

54.5%

地域社会に貢献する

地域社会との対話

 

地域団体への協賛加盟

協賛加盟団体での社会貢献活動への参画

社会貢献活動の実施

渡辺下町区専門委員会、下川を考える会、泉ふるさと祭り、堺まつり、いわき踊り小名浜大会、いわき花火大会

いわきカーボンニュートラル社会連携共同講座

RC(レスポンシブル・ケア)堺泉北地区対話集会 etc.

地球環境を守る

化学物質を適切に管理し、環境負荷の低減と製品安全性の向上を実現する

省エネ推進

再生可能エネルギーへの転換

有用物質の回収・再利用

CO2排出量削減率

(2013年度比)

CO2排出量Scope3の把握

重大な環境事故発生件数

2030年度30%削減

 

範囲確定と算定の実施

0件/年

 

範囲確定と算定の実施

2024年度 0件/年

産業廃棄物の排出量を削減する

3R (Reduce Reuse Recycle)推進

原燃料・生産プロセスの見直し

産業廃棄物の再資源化

産業廃棄物削減率

(2021年度比)

2030年度50%削減

 

生物多様性に配慮する

水の使用量の削減と排水浄化

水使用量削減率(2021年度比)

2030年度25%削減

 

モノづくりで社会の課題を 解決する

環境や社会の課題

解決につながる

製品やサービスを

創造する

マイクロプラスチックビーズ代替製品

 

アンモニア合成触媒、カーボンリサイクル触媒

具体例(全固体太陽電池、5G関連材料、抗菌抗ウイルス材料など)

連続生産による環境負荷低減

「Smart Materia®認定製品」開発件数

2030年度までに5件上市

0件

責任ある調達を推進する

調達先への周知•協力依頼、取引先への監査など

取引先へのCSR調達調査

CSR調達調査の改善の実施

 

 

 

テーマ

マテリアリティ

(重要課題)

堺化学の主な取組み

KPI

指標

目標

実績

透明で強固な経営体制を築 <

取締役会の実効性を高める

取締役実効性評価アンケートの

実施(毎年1回)

アンケート結果に基づく改善の

実践

経営人材育成プランを作成

指名報酬委員会の運営

取締役会実効性評価アンケート結果を踏まえ

①抽出した課題の数

②各課題について議論した回数および延べ時間数

③導き出した対策数

④対策の実行数

実効性アンケート結果からの課題抽出と改善の実施

※堺化学工業㈱単体

2024年度

実効性アンケート結果からの課題抽出と改善を実施

リスクを把握し対策を講じる

リスクコンプライアンス教育・

研修・周知活動の実施

委員会・部会の効果的な運営

重大なコンプライアンス違反件数

全社的リスク管理体制を維持できている

0件/年

有効な状態を維持

2024年度 0件/年

 

適時•適切に情報を 開示する

IR•広報活動の活性化、危機管理広報の充実

統合報告書またはそれに準じた内容の情報作成と提供

2023年度分より、統合報告書またはそれに準じた内容の提供

2023年度分を発行

 

(2)気候変動

① ガバナンス

気候変動など経営上のリスクとなりうる外部環境問題に関しては、取締役会による監視体制の下、リスクと機会の大きさを認識し適切な対応を検討し、実行する意思決定を行っています。

気候変動など外部環境課題に与える影響や社会的責任などに関しては、影響を緩和し課題解決への寄与を拡大するため、代表取締役が委員長となりサステナビリティ委員会(年1回以上開催)において事業戦略を鑑みた上で気候変動に係る目標や戦略について議論し、進捗管理を実施しています。

 

② 戦略

1)2℃シナリオ:低炭素/脱炭素、カーボンリサイクル技術が普及しサステナブルな製品需要が増加。

項目

環境変化

想定される状況

主な対応策

移行

リスク

CO2排出規制

燃料の脱炭素化必要性の高まり

低炭素排出原料•プロセスへの転換によるコストの増加

•カーボンクレジット付きLNG使用

•エネルギー使用のさらなる高効率化

•再生可能エネルギー導入拡大

•カーボンリサイクル技術導入拡大

•生産工程から排出される環境負荷低減を

見据えた事業構成、生産プロセスの見直し

低炭素排出製品への置換

化石燃料、石化由来製品

(プラスチック関連製品など)の需要減少

顧客行動の変化

サプライチェーンの中で低炭素排出製品の要望の高まり

事業機会

気候変動を緩和する製品の需要増加

カーボンリサイクル、カーボンフリー燃料、

カーボン吸着、発電・蓄電関連製品の需要拡大

•脱炭素製品の開発

(二次電池材料、水電解材料、カーボン吸着材料、

カーボンリサイクル触媒、アンモニア合成触媒)

•電子•エネルギー材料の高機能化

(小型化、耐久性向上のための微粒子、

粒度分布均一材料)

次世代技術の進展

モビリティの電動化

エネルギー源としての水素、アンモニア活用

 

 

2)4℃シナリオ:低炭素/脱炭素、カーボンリサイクル技術が促進されず、異常気象の激甚化や平均気温の上昇の物理リスクが高まる。

項目

環境変化

想定される状況

主な対応策

物理

リスク

異常気象の激甚化

生産拠点における風水害被害拡大

夏季の渇水や健康被害等により生産活動の停止、

物流の遅延や分断による企業活動全般への被害多発

•シナリオに沿った生産拠点毎のBCPの策定

•最適な生産場所の検討、材料調達先の分散化

•健康被害(熱中症など)低減への対応強化

•ロボット化や自動化の推進など操業の無人化

平均気温の上昇

熱中症対策、冷房コストの増加

適切な対応を実施しない場合の労働生産性の低下

事業機会

気候変動に適応する製品の需要増加

ヘルスケア商品の需要拡大

断熱・遮熱効果を有する製品の需要拡大

テレワークの拡大

抗菌抗ウイルス材料の需要拡大

•日焼け止めなど肌ケア商材の拡販

•抗菌抗ウイルス材料の拡販

5G6G対応製品の拡販

•排水•浄化関連材料の開発

原材料調達先の

分散化

BCP対策による代替需要の機会増

 

③ リスク管理

当社グループは、環境・社会•ガバナンスに関する重要課題(マテリアリティ)を特定し、グループ横断的なマテリアリティマネジメントを通じて、リスク管理を実施しています。気候変動への対応については、ステークホルダーおよび自社の観点から重要度が極めて高い課題としてサステナビリティ委員会において審議しており、企業の存続と活動に必須の要件として主体的に取り組みます。

 

④ 指標と目標

堺化学は、2050年カーボンニュートラル達成に向けて、CO2排出削減の長期目標を設定しています。目標達成に向け、CO2排出目標をKPIに設定し、省エネ活動の推進、再生可能エネルギーの導入などの短・中・長期の時間軸での排出削減施策を進めていきます。

 

堺化学のカーボンニュートラル化に向けた移行イメージ

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脱炭素化をイノベーションの実現に応じて進め、2050年のカーボンニュートラル化にチャレンジしていきます。

 

(3)人権尊重

当社グループは、創業当初より人々の安全で健康な暮らしに貢献する事業を行ってきました。経営ミッション「化学でやさしい未来づくり」は、当社の人々への想いを表現するものであり、これを実現するためには活動を行うすべての国・地域において、関連するステークホルダーの人権が尊重されることが重要であると考えています。当社グループは人権を尊重する責任を果たすべく、「堺化学グループの人権基本方針」を策定し、人権デューディリジェンスの実行・救済メカニズムの構築など人権尊重の取り組みを推進しております。

 

① ガバナンス

サステナビリティ委員会の下部組織として人権部会を設置し、人権尊重取り組みの実行及びモニタリングを行っております。とりわけ顕著な人権リスクに対応するため、人権デューディリジェンスに関する計画、実行、モニタリングを中心として、年3回以上開催しています。また、その内容はサステナビリティ委員会に報告しています。

 

② 戦略

「国連ビジネスと人権に関する指導原則」および日本政府の国別行動計画(NAP)に基づき、特に顕著な人権リスクを「優先対応人権リスク」として特定のうえ、年度ごとに計画表を作成してPDCAサイクルに則った人権デューディリジェンス体制を構築してまいります。

 

③ リスク管理

全グループ会社の取締役及び執行役員を対象とした意識調査回答を踏まえて重要度評価を行い、重要度の高い人権リスクを当社グループの「優先対応人権リスク」として特定、対策アクションプランを作成しました。2024年度は対策アクションプランに沿った対応を行い、その対応状況・対応結果は人権部会でレビューされ、2025年度の対策アクションプラン策定のベースとしました。また、顕在化した人権リスクに適切に対応するため、救済メカニズムの構築にも注力しております。

 

<優先対応人権リスク>

テーマ

優先対応人権リスク

主な関連する

ステークホルダー

 

詳細項目

サプライチェーン上の人権

(1)サプライチェーンを

通じた人権課題

サプライチェーン上の人権課題

(児童労働、強制労働等)

・サプライチェーン上の労働者

・顧客

・従業員

・地域社会

BtoC事業における個人情報保護

製品の安全性と適切な情報伝達

天然資源の利用と環境への配慮

(水、エネルギー、産業廃棄物等)

賄賂と腐敗

反社会的勢力との関係

(2)責任ある鉱物調達

責任ある鉱物調達

・サプライチェーン上の労働者

・地域社会

(3)責任あるパーム油調達

責任あるパーム油調達

(脂肪酸含む)

・サプライチェーン上の労働者

・地域社会

労働安全衛生

(4)安全衛生

安全衛生

(事故、労働災害等)

・従業員

・サプライチェーン上の労働者

製品開発・試作時の安全配慮

・従業員

・顧客

・地域社会

(5)化学物質の

適切な保管管理

化学物質の適切な保管管理

・従業員

ダイバーシティと職場の人権

(6)メンタルヘルス

メンタルヘルス

(ハラスメント等)

・従業員

・サプライチェーン上の労働者

(7)ダイバーシティの推進

ダイバーシティの推進

(女性活躍推進等)

・従業員

 

 

<重要度評価の方法>

各人権リスクを(ⅰ)人権への影響(深刻度)、(ⅱ)人権への影響(蓋然性)、(ⅲ)企業とのつながりの3軸で評価し、とりわけ人権リスクを考えるうえで重要となる(ⅰ)人権への影響(深刻度)と(ⅲ)企業とのつながりを重要視した「深刻度×つながり」リスクマップを作成いたしました。なお「深刻度×つながり」リスクマップは、デンマーク人権研究所の「人権優先度の弧(The Arc of Human Rights Priorities)」を参考にしております。

 

<救済メカニズム>

当社グループでは、企業内部通報制度としてヘルプラインを設置しており、通報者の秘密・匿名性の保護、不利益取り扱いの禁止を明確化したうえで、厳正に対処する体制を構築しております。内部通報制度に関してはp61「コーポレートガバナンスの充実に向けた取り組みの実施状況」をご確認ください。

また社外からの通報を受け付ける体制として、一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に正会員として入会しております。JaCERは「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠して、非司法的な苦情処理プラットフォームを構築し、専門的な立場から参加企業の苦情処理の支援・推進を行うことを目指す機構です。当社グループはJaCER通報窓口の活用をはじめ、より実効的な救済システムの構築に努めてまいります。

 

(4)人的資本

当社は、思いやりの心と技術革新で社会の快適と安心を支える素材を創造する「化学でやさしい未来づくり」をミッションに掲げています。そのミッションを達成するため、社員がワクワクして働き、様々なステークホルダーが幸せになれる会社、「わくわくカンパニー」を目指しています。

そのような組織になれるよう、私たちは、働く社員の成長を支援するため、以下のような社内環境を整備しております。

 

① 戦略

<人材育成基本方針>

私たちが掲げたミッションを実現するには、会社と働く人が成長し続ける必要があります。

そのため、以下の人材育成方針を策定しています。

1.仕事に関係する社内外の関係者とコミュニケーションを活発にして事業化意識力を高める

2.多様な人材が健やかに働ける柔軟な環境を整備する

3.多様性を確保するための雇用・育成を計画的に実施する

4.公的資格取得を奨励し自己啓発を促す

5.サステナブルな社会を実現していくための理解と、行動する社員への支援を実施する

 

<社内環境の整備にかかる具体的施策>

上記方針に基づき、新人事制度の運用とともに、以下の具体的施策を実践しています。

 

1.ジョブローテーションとキャリア形成支援

当社は、人材育成の一環としてジョブローテーションを積極的に実施しています。これは、専門性やスキルを磨き上げる一方で、核となる専門性に加え、関連する周辺領域の経験を得ることで、材料開発から量産化、さらに上市に向けて連携する組織間のやり取りを共通認識でき、各組織が有機的に活動するベースとなります。そのために、各部幹部にヒアリングを実施し、人材育成に効果的なジョブローテ―ションとキャリアパスの再構築を進めています。

また、国内外問わず幅広いビジネスシーンで横断的に成果を出せる人材を育成するため、海外子会社であるSIAM STABILIZERS AND CHEMICALS CO,.LTDの技術部門のポジションにて公募を実施し、応募者から1名の派遣を決定しました。

 

2.ダイバーシティの推進

当社では、社員の誰もが働きやすい環境づくりに努めています。たとえば、家庭と仕事との両立支援として、育児時短勤務期間の延長や、男性育休の推進などに取り組んでいます。また、闘病・介護などのライフイベントに活用できる積立休暇制度のより柔軟な運用を目指し、次世代育成支援対策推進法の一般事業主行動計画において計画を立て、改正を進めて参ります。また、DEI促進の一環として、男性育休取得者の体験談や事例をグループ会社も含めて共有を図るほか、座談会の開催や社内報の発行を通じて、社員の意識向上を図っています。

 

3.経営者人材育成計画

当社は、次代の経営を担う人材の育成にも注力しています。化学業界においても高まる不確実性と加速する変化の中で持続的な成長戦略を描き、実行する能力が求められます。そのため、従来の経営人材候補の選抜ならびに育成計画の設定方法を改め、経営者人材に求める能力や役割について再定義し、育成計画の再構築を進めております。その取組の進捗については、指名報酬委員会にて審議・検証を行っております。

 

② 指標及び目標

 1.キャリア採用者数の増強

迅速な組織レベルと業績向上を果たすには、社内に新しい風を吹き込み、周囲に良い影響を与える、優秀な人材を確保しなければなりません。当社は、新卒者の採用と教育に注力する一方で、経験豊富で即戦力となる経験者の採用も積極的に行っています。当社はキャリア採用者を新規採用の10~30%とすることを目標としています。

 

2024年度

目標値

新規採用者に占めるキャリア採用者の割合

(中途採用比率)

28.2

10~30%

 

2.女性活躍の推進

当社における女性社員数は、現在のところ決して多くはありません。特に製造部門においては、三交替制を基本としていることから、男性社員の割合が多くなる傾向にあります。しかし、会社を多様かつ柔軟な組織にし、発展させていくには、女性社員の割合を増やしていく必要があると考えていますので、研究・技術開発部門や管理部門、コーポレート部門などを中心に、積極的に女性を採用して組織レベルを向上させてまいります。

 

2024年度

目標値(2030年度

中核人材に占める女性雇用率

10.6

20%以上

管理職に占める女性雇用率

4.1

10%以上

※当社は、管理職等級を5段階、基幹職等級を6段階に分けております。「中核人材」とは、基幹職の上位3等級および全管理職を指します。

 

3.男性育休取得率の向上

当社は、男性社員に対し、育児休業の取得を促した結果、2024年度は目標数値をクリアいたしました。これは、男性社員の育児休業体験談の共有と実績が増えたことによる職場の対応ノウハウが蓄積できたことで 育児休業取得に対してのハードルが下がった事が主な要因と考えております。

引き続き、管理職をはじめ全社員に対して育休理解を促進するとともに、業務への影響低減に向けた相談・協議等を進め、さらなる向上を進めてまいります。

年度

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

2025年度

(目標数値)

取得率

10.5%

32.1%

39.1%

54.5

50%以上

 

4.エンゲージメントの向上

当社は本年度より、リクルート社のシステムである「Geppo」を活用してエンゲージメントサーベイを実施しております。2024年度の当社グループ全体のスコアは63.4で、同業種(化学工業)平均66.4を下回っています。

スコア向上のために、グループ全体で調査結果報告会を実施して課題を共有し、当社ならびにグループ各社に課題探索&アクションシートを展開し、それぞれの課題解決を進めて参ります。全社員が生き生きと働ける組織づくりを目指してまいります。

年 度

2024年度

当社グループ

のスコア

63.4

化学工業のスコア

66.4

 

※エンゲージメントサーベイツールの変更

次の理由から、2024年度よりリクルート社のGeppoに変更しております。

変更理由:現マテリアリティ設定当時、当社単体ではストレスチェック内のエンゲージメント項目を通じて、エンゲージメントスコアを把握できる体制が整っておりましたが、グループ全体のエンゲージメント向上の取組みが必要と考え、サーベイのツールをリクルート社のGeppoに統一して実施することとしました。

3【事業等のリスク】

当社グループの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載いたします。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

また、本項においては、将来に関する事項も含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断しております。

 

(1)資材等の調達

重油や非鉄金属などの原燃料、カントリーリスクの比較的高い地域からの輸入に頼っている酸化チタンまたはバリウム製品の原料、国内においても調達先が限られる特殊な原料・資材等の価格高騰、供給の逼迫・遅延等が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これらリスクに対し、特に輸入原料については極力複数の国、調達先を確保するように努めております。また、在庫量についても、仕入れの難易度、必要期間を考慮し、余裕を持った運用を実施しております。

(2)資金の調達

金融危機により金融機関からの調達が困難になる、または、金利高騰で支払い金利が増大することにより当社グループの事業継続に影響を及ぼす可能性があります。

これらリスクに対し、取引金融機関のシンジケーションによるコミットメントラインで金融サポート体制を強固なものにする、長期借り入れについては極力固定金利を採用し将来の支払金利負担を固定化する、キャッシュ・マネジメント・システムによりグループ内の資金効率を高めるなどの対応を実施しております。

(3)公的規制・コンプライアンス

当社グループは事業の遂行にあたって、様々な法令、規制の適用を受けております。加えて、事業活動を行っている国および地域が多岐にわたることから、それぞれ投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用が異なる場合があります。

これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁を受ける、顧客からの信頼を失うことで、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し、当社ではコンプライアンスを「当社が行うあらゆる活動の局面において、関連する法令・条例・契約・社内規程等、明確に文書化されたルールを遵守するとともに法令の目的である社会的要請、社会通念および社会倫理等を尊重して行動すること」と定義し、コンプライアンス研修やコンプライアンスハンドブックの配付を通じ従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。また、公認会計士、弁護士、弁理士等の専門家とのコミュニケーションを適切に実施することで、これらリスクへの早期かつ的確な対応を心掛けております。

(4)環境規制

当社グループでは化学素材が事業の主体となっていることから、資源やエネルギーの大量消費による環境負荷が大きな問題の1つであります。よって環境負荷低減のための設備や管理体制の整備を図る一方、生産効率すなわち資源やエネルギーの原単位向上など、環境負荷の低減に取り組んでおります。当社グループのすべての製造拠点における排水規制(水質汚濁防止法等)に対して各拠点において専用設備を設置して窒素酸化物、リン等の排出物濃度モニタリングを実施し適切な管理を実施していますが、今後、環境税の導入や、環境関連規制の強化により大規模な設備投資等の必要が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5)為替レートの変動

当社グループの海外における事業展開に伴い、外貨建取引から発生する資産等の日本円換算額が影響を受ける可能性があり、換算時の為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは輸出入取引にかかる為替変動リスクを低減するため、リスク管理方針に基づいた為替予約を行っております。

 

(6)株式相場の変動

政策保有株式の多くは、市場価格のある有価証券であるため、株式相場が大幅に下落した場合、減損が発生し、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これに対し、当社コーポレートガバナンス基本方針において銘柄毎にその保有の目的や保有リスク・時価、配当利回り等を精査の上保有継続の合理性の確認および株式数の見直しを行っております。見直しの結果、継続して保有する必要が無いと判断した株式は売却を進めるなど、政策保有株式の縮減に努めております。

(7)海外における事業

当社グループが事業活動を行う国・地域は広範であり、特に新興国における法令・規制等の変化、テロ・戦争やその他の要因による政治・経済・社会的混乱、文化や習慣の違いに起因するトラブル発生等が予想されますが、こうしたカントリーリスクが顕在化する場合、当社グループの事業活動が制限される、一時的な業務停止などの悪影響が発生する可能性があります。

これに対し、比較的カントリーリスクの低い国への進出を選択していることに加え、インドネシアにおいては、現地事情に詳しいパートナーとの合弁事業とすることによりリスクの低減を図っております。

(8)製造物責任

当社グループの製品は、自動車関連部品、電子機器、建材、化粧品、医薬品等の暮らしに身近なものから、社会インフラまで多くの分野で使われています。そのため何らかの原因で製品品質に問題が生じた場合、特に医薬品等においてはGQP、GMPにおいて不正逸脱等の問題が発生した場合には、販売中止・製品の回収や社会的信頼の喪失などにより、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

これらに対し、原料調達から生産、お客様に製品をお届けするまでサプライチェーン全体を管理することで品質を保証し、より一層の顧客満足向上に努めるとともに、万が一に備え製造物責任保険に加入しています。また当社グループでは品質担当部門による「品質連絡会」を実施、品質に関する情報を共有し、製品品質の問題発生の予防に努めています。

(9)訴訟

国内および海外事業に関連して、訴訟の対象となるリスクがあり、多額の損害賠償請求訴訟等が提起された場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社では契約書を締結する前に必ず法務担当部門が契約審査を行い取引先との協議により当社リスクの低減を図り、社内手続きを経たうえで契約締結を進めております。

(10)自然災害・事故災害の影響

地震・台風・津波・風水害・火災・有害物質の流出等の災害により事業所等の閉鎖や事業活動を停止する可能性があります。

これに対し、当社では事業継続管理システム規程を制定し事業活動の復旧・継続に関する基本方針、基本的事項を定めております。また、安否確認システムにより従業員およびその家族の安否を迅速に確認出来る体制を構築しております。さらに、過去に起こした湯本工場爆発火災事故を教訓に、5月11日を「安全への誓い」として毎年講演会や安全教育を実施し啓発活動に取り組んでいます。

生産活動の中断によって生じる悪影響を最小限に抑えるため、全設備において定期的な防災点検および設備保守を行っておりますが、想定外の大規模災害(大地震・津波、停電またはその他の混乱を含む)が発生した場合、その影響を完全に予防または軽減することはできません。また、製品によっては、代替生産できないものもあり、一時的または長期にわたる生産の中断があった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(11)システム障害の影響

社内および当社グループ間のネットワークシステムについては、情報セキュリティ規程に則りシステムの更新、EDR(Endpoint Detection and Response)等ウイルスやハッカーの侵入・攻撃に対する防御システムの導入のほか、定期的な保守点検を実施しております。しかし、未知のコンピュータウィルスの侵入や情報への不正アクセス、突発的な事故等により、ハードまたはソフトウエア障害もしくはネットワーク障害等が発生し、長期間にわたり正常に機能しなくなった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)情報漏洩

営業、技術、研究など事業に関連する機密情報については、情報管理規程に基づき適切な運用に努めるとともに、情報漏えい事故に至る可能性があった事例を共有する等の予防活動を行っています。また、当社グループ全従業員に対し情報管理についての研修を実施しております。しかし、予期せぬ事態により情報が流失した場合、被害を受けた企業および個人に対して損害賠償責任を負うとともに、社会的信用の失墜を招き、当社グループの事業やイメージに影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績

当連結会計年度における当社グループの経営成績は次のとおりであります。

 

2025年3月期

前連結会計年度比 増減

売上高(百万円)

84,409

2.8%

営業利益(百万円)

6,093

107.1%

経常利益(百万円)

6,279

104.7%

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

5,013

 

当社グループは新中期経営計画『変革・BEYOND2030』の数値目標達成と持続的成長を目指して取り組んでおります。初年度となる当連結会計年度は販売価格是正による売上高増加により利益が好調に推移しました。

電子材料事業では中国経済の不透明感が残る中でコンデンサ市場の回復を受け、特に誘電体材料の販売数量が前年から伸びました。中期経営計画において効率化検討事業に位置付けている事業では販売数量は減少したものの、価格是正により収益が改善しました。

一方、化粧品材料事業では中国経済低迷の影響を受け販売数量が伸び悩みました。加えて有機化学品事業では景気後退の影響を受けにくいものの顧客の在庫調整の影響もあり売上高が伸び悩みました。医療事業では品質問題による販売への影響は最小限にとどまったものの、薬価改定の影響を受け昨年同様の厳しい業績となりました。

この結果、売上高は前連結会計年度比2.8%増の84,409百万円、営業利益は前連結会計年度比107.1%増の6,093百万円、経常利益は前連結会計年度比104.7%増の6,279百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は5,013百万円となりました。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

また、各セグメントの営業利益は全社費用等調整前の金額であります。

 

電子材料(成長事業)

売上高は前連結会計年度比27.4%増の10,014百万円となり、営業利益は前連結会計年度比142.2%増の1,493百万円となりました。

誘電体は、車載関連の荷動きが鈍化した影響を受け、売上高は減少しましたが、価格改定による収益改善の効果が徐々にあらわれました。誘電体材料は、市況の回復による販売数量の増加に価格改定の効果も加わり、売上高・利益ともに増加しました。

 

化粧品材料(成長事業)

売上高は前連結会計年度比7.2%増の2,676百万円となり、営業利益は前連結会計年度比144.5%増の293百万円となりました。

UVケア化粧品材料の超微粒子酸化亜鉛・酸化チタンは、中国の景気後退の影響により一部の主要顧客向けの販売は伸び悩みましたが、一方、中国の現地メーカー向けの出荷については増加しました。併せて、前連結会計年度においては、操業度低下に伴う工程休止費用や評価損等の一時的な費用を計上していたこともあり、売上高・利益ともに増加しました。

 

有機化学品(成長事業)

売上高は前連結会計年度比14.9%減の6,638百万円となり、営業利益は前連結会計年度比40.4%減の770百万円となりました。

有機イオウ製品は、主力のレンズ向けや中国・欧州のセメント添加剤向けの販売数量が減少し、売上高・利益ともに減少しました。

医薬品原薬・中間体の生産受託は、受託数量の減少、片山製薬所の新本社および新研究所の稼働に伴う一時的な費用の増加により、売上高・利益ともに減少しました。

 

衛生材料(安定事業)

売上高は前連結会計年度比5.3%増の5,623百万円となり、営業利益は前連結会計年度比4.7%減の427百万円となりました。

輸入商材の販売は円安による低迷が継続し苦戦しましたが、同じく円安による海外売上高の円換算額は伸長しましたため、売上高は増加しました。一方で、上記輸入商材の低迷と利益率の低下およびインドネシア紙おむつ市場のコモディティ化による伸び悩みやインフレによる経費の高騰により営業利益は減少しました。

 

受託加工(安定事業)

売上高は前連結会計年度比3.7%増の6,422百万円となり、営業利益は前連結会計年度比10.2%増の620百万円となりました。

加工顔料は、国内の住宅着工件数の低下により建材用途の需要は減少しましたが、その他の分野は総じて堅調に推移し、新規提案や採算是正を進めたことにより、売上高・利益ともに増加しました。

工程受託においても、主要顧客向けの安定した生産および販売、新規案件の獲得や継続案件の成長により、売上高・利益ともに増加しました。

 

酸化チタン・亜鉛製品(効率化検討事業)

売上高は前連結会計年度比5.8%減の13,118百万円となり、営業利益は1,479百万円となりました。

酸化チタンは、販売数量の減少により売上高は減少しましたが、価格是正や生産能力の縮小による省力化および稼働率の向上、前連結会計年度に減損損失を計上したことに伴う償却負担の軽減もあり、利益は増加しました。

亜鉛製品についても、販売数量の減少により売上高は減少しましたが、価格是正および安定操業により、利益は増加しました。

 

樹脂添加剤(効率化検討事業)

売上高は前連結会計年度比2.1%減の13,061百万円となり、営業利益は前連結会計年度比82.9%増の1,393百万円となりました。

国内向けは、塩化ビニール樹脂の需要低迷により塩ビ安定剤の売上高は減少しましたが、原材料高騰に対応する価格改定により、利益は増加しました。

海外市場においては、中国向けは住宅関連市場の低迷により売上高は減少しましたが、東南アジア向けは、新規拡販により販売数量が増加し、価格改定の効果もあり、売上高・利益ともに増加しました。

 

触 媒(効率化検討事業)

売上高は、一部試作品の寄与もあり、前連結会計年度比0.8%増の3,186百万円となりましたが、営業利益は前連結会計年度比94.6%減の18百万円となりました。

ニッケル触媒は、主要顧客の定期修理の影響もあり売上高・利益ともに減少しました。

脱硝触媒は、海外のごみ焼却施設向けの販売数量が減少し、設備更新に伴う生産停止による一部製品の一時的な原価高もあり、売上高・利益ともに減少しました。

 

無機材料(効率化検討事業)

売上高は前連結会計年度比4.2%増の5,175百万円となり、営業利益は前連結会計年度比364.9%増の826百万円となりました。

価格是正、稼働率の向上、前連結会計年度に減損損失を計上したことに伴う償却負担の軽減に加え、高付加価値製品である酸化ジルコニウム分散液も寄与し、売上高・利益ともに増加しました。

 

医療事業

売上高は前連結会計年度比3.3%増の8,321百万円となり、営業損失は24百万円となりました。

医療用医薬品については、バリウム造影剤は、海外向けは販売数量は減少したものの、一部品目の薬価改定による値上げがあり売上高は増加しましたが、原材料高騰等の影響により利益は減少しました。また、消化性潰瘍治療薬「アルロイドG 内用液5%」は、薬価引き下げの影響や販売数量の減少、加えて原材料高騰の影響を受け、売上高・利益ともに減少しました。

医療機器については、内視鏡治療用粘膜下注入材「リフタルK」は販売数量が減少しましたが、内視鏡洗浄消毒器「KD-1」の販売数量の増加や消耗品・検査食の値上げ、骨充填材「レボシス」の受託生産数量の増加等により、売上高・利益ともに増加しました。

一般用医薬品は、オーバードーズ(過剰摂取)対策の影響を受けて風邪薬「改源」や咳止め薬の販売数量が落ち込み、売上高・利益ともに減少しました。その他、美容製品は、美容医療機関向けのサプリメント等の値上げや販売数量の増加により、売上高・利益ともに増加しました。また、受託品は、中高年の方の記憶力、注意力を維持する機能性表示食品素材「タモギ茸エキス(機能性関与成分:エルゴチオネイン)」の売上高が増加しました。

 

② 財政状態

当連結会計年度における当社グループの財政状態は次のとおりであります。

 

当連結会計年度末

2025年3月末

前連結会計年度末 増減

総資産(百万円)

123,319

△2,125

負債合計(百万円)

43,933

△6,045

純資産合計(百万円)

79,386

3,919

自己資本比率

63.5%

4.2ポイント

 

(資産)

当連結会計年度末における総資産は123,319百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,125百万円減少いたしました。

主な増減項目として、流動資産においては、受取手形及び売掛金が2,696百万円、原材料及び貯蔵品が1,292百万円それぞれ減少いたしました。また、固定資産においては建設仮勘定2,306百万円増加した一方で、投資有価証券が1,085百万円減少いたしました。

・売上債権及び棚卸資産の減少は、中期経営計画の目標でもあるCCC改善に向けた取り組みによるものです。

・建設仮勘定の増加は当社の触媒工場の建設に関するものです。

・投資有価証券の減少は政策保有株式の売却によるものです。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は43,933百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,045百万円減少いたしました。

主な増減項目として、支払手形及び買掛金が505百万円、短期借入金が3,595百万円、長期借入金が1,523百万円、繰延税金負債が494百万円それぞれ減少いたしました。

・支払手形および買掛金の減少はSC有機化学株式会社を吸収合併したことによる支払いサイトの短期化によるものです。

・短期借入金の減少は、運転資金の返済によるものです。

・繰延税金負債の減少は、その他有価証券評価差額金に係る法人税等及び税効果額が減少したことによるものです。

・長期借入金の減少は、新規借入を3,100百万円行ったことおよび、3,745百万円の返済および短期借入金へ892百万円振替を行ったことによるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は79,386百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,919百万円増加いたしました。この結果、自己資本比率は63.5%(前連結会計年度末は59.3%)となりました。

主な増減項目として、利益剰余金が3,432百万円増加し、その他有価証券評価差額金が116百万円減少いたしました。

・利益剰余金の主な増加は、親会社株主に帰属する当期純利益5,013百万円および剰余金の配当1,580百万円によるものです。

・その他有価証券評価差額金の減少は、投資有価証券売却によるものです。

 

③ キャッシュ・フロー

当連結会計年度における当社グループのキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

2025年3月期

前連結会計年度

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

12,005

5,139

投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△5,714

△1,751

財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△6,879

△8,139

現金及び現金同等物の増減額(百万円)

△322

△4,609

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローの収入は12,005百万円となり、前連結会計年度に比べ5,139百万円増加いたしました。これは、主に減損損失が6,198百万円、仕入債務の増減額が1,036百万円減少したことのほか、税金等調整前当期純利益が9,676百万円、売上債権の増減額が4,468百万円増加したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローの支出は5,714百万円となり、前連結会計年度に比べ支出額は1,751百万円増加いたしました。これは、主に投資有価証券売却による収入が1,211百万円増加したことと、有形固定資産取得による支出が2,924百万円増加したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローの支出は6,879百万円(前連結会計年度は1,259百万円の収入)となりました。これは、主に短期借入金純増減額が5,488百万円、新株予約権付社債の発行による収入が3,000百万円減少したことによるものです。

 

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は16,153百万円となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

(生産実績)

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比増減(%)

電子材料

7,231

21.6

化粧品材料

2,669

7.0

有機化学品

6,665

△11.6

衛生材料

3,062

9.8

受託加工

6,184

3.1

酸化チタン・亜鉛製品

11,198

△1.3

樹脂添加剤

10,299

△1.1

触媒

3,082

△9.7

無機材料

4,079

△11.9

医療事業

6,337

5.4

その他

4,960

17.7

合計

65,771

5.8

(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 セグメント別の生産高を正確に把握することは困難なため、概算値で表示しております。

3 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。

(受注実績)

 当社グループの主要製品については主に見込み生産を行っております。

 

(販売実績)

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比増減(%)

電子材料

10,014

27.4

化粧品材料

2,676

7.2

有機化学品

6,638

△14.9

衛生材料

5,623

5.3

受託加工

6,422

3.7

酸化チタン・亜鉛製品

13,118

△5.8

樹脂添加剤

13,061

△2.1

触媒

3,186

0.8

無機材料

5,175

4.2

医療事業

8,321

3.3

その他

10,169

13.5

合計

84,409

2.8

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、いずれの相手先についても当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

3 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の分析

経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載しています。

 

② 財政状態の分析

財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態」に記載しています。

 

③ キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フロー」に記載しています。

グループの資金調達については堺商事及び一部の借り入れを除き、当社にて一括調達し、グループファイナンスにて関係会社へ必要な資金を供与しています。

調達方法は取引金融機関が組成するシンジケート団によるコミットメントラインからの短期運転資金と個別取引金融機関からの長期設備資金融資の2種類であります。近時は旺盛な設備投資によるキャッシュ・フロー不足分を補うための長期借り入れを増やしており、当面この傾向は続くものと考えます。現時点では、安定的な財務基盤を背景に取引金融機関の当社に対する融資姿勢に変化なく、スムーズな資金調達を実施しております。

一方、堺商事及び海外子会社を除く国内関係会社を結んだキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ各社の流動預金を当社に集中、グループとしての資金効率アップに取り組んでおります。

また、当連結会計年度末における短期借入金の残高は11,512百万円、長期借入金の残高は7,406百万円、現金及び現金同等物の残高は16,153百万円となっております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

1.棚卸資産の評価

当社グループでは棚卸資産の評価に関して、取得原価を基礎としながら、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。正味売却価額は、直近の販売実績による単価が当面継続すると仮定し、販売単価から販売に要する経費を控除した金額として見積もっております。

また、営業循環過程から外れた滞留棚卸資産については、滞留品の処分・販売状況がこれまでと大きく変わらないと仮定し、過去の処分・販売実績をもとに見込まれる損失額を見積もっております。

随時販売状況を見ながら生産調整を行っておりますので、滞留棚卸資産が急激に増加することはないと考えております。販売単価の下落に関しても、当社グループは多岐にわたる製品を製造販売しており、影響は限定的であると考えております。

 

2.固定資産の減損会計

当社グループでは資産又は資産グループの収益性が低下し、帳簿価額が回収不能となるような兆候がある場合に、当該資産又は資産グループの回収可能価額(正味売却価額と使用価値のいずれか高い方)を見積り、回収可能価額が帳簿価額を下回っていた場合は、減損損失を計上しております。

回収可能価額は、事業計画や市場環境の変化により、その見積り金額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、追加の減損処理が必要になる可能性があります。

 

3.繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して、翌事業年度予算及び中期事業計画に基づいて将来獲得しうる課税所得の時期及びその金額を見積り算定しております。従って、将来獲得しうる課税所得の見積額や時期が変更された場合は、繰延税金資産が増額又は減額される可能性があります。

 

 

4.退職給付引当金

当社では退職給付引当金は、退職金制度ごとに退職給付債務の期末残高から年金資産の期末残高を控除して計算しております。退職給付債務及び費用は、割引率、退職率などの計算基礎を見積り、年金数理計算により計算しております。割引率は、期末における優良社債の利回りに基づき決定しております。割引率が低下した場合、退職給付債務が増加しますが、数理計算上の差異として発生の翌連結会計年度から一定の年数(5年)による定額法で費用処理されます。また、退職率、予想昇給率は当社の過去の実績をもとに、今後も同様の推移が継続すると仮定して決定しております。

年金資産は期待運用収益率を見積り、退職給付費用の計算に反映させております。期待運用収益率は、金融市場が比較的安定しており、過去の運用実績が今後も継続すると仮定して決定しております。実際の運用実績が期待運用収益率を下回った場合、割引率の低下と同様、数理計算上の差異が発生しますが、発生の翌連結会計年度から一定の年数(5年)による定額法で費用処理されます。

 

(3)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度における中期経営計画『変革・BEYOND2030』の達成状況は次のとおりであります。

 

2027年3月期目標

2025年3月期実績

目標との差額

営業利益(百万円)

9,000

6,093

△2,906

ROE(%)

8.0

6.6

△1.4

 

 

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動については、提出会社の研究開発本部、経営企画部、営業本部が中心となってグループ会社との協力体制を深め、有望開発品の上市に向けてスピードアップを図っております。2021年9月に研究開発体制を変更し、有望なテーマについて柔軟かつ迅速にリソースの最適配分を行い、早期上市を目指す体制としました。さらには、2023年10月に研究開発方針SmartMaterial®を策定し、新規テーマの探索範囲をより明確化することで、初期検討を加速させています。

研究開発本部では、当社グループが得意とする粉体プロセシング技術を核とし、大学や公的研究機関との産学連携も視野に入れて、機能性材料の開発を進めており、主に水電解触媒、メタネーション触媒および5G/6G向け低誘電材料等の開発に取り組んでおります。

更には2023年8月に、「既存事業にとらわれない新規事業創出」を目的に「カチ(価値+勝ち)」創造マーケティングを行うプロジェクトを開始し、有望事業の芽が出始めてきました。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費用は、2,699百万円であります。

セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。

(1) 電子材料

電子材料事業においては、誘電体および誘電体材料の開発を行っております。特に高周波伝送向け誘電体の開発に注力しており、粒子合成技術と表面処理技術を核として、低誘電率から高誘電率の材料開発をおこなっています。チタン酸バリウムに関しては、積層セラミックコンデンサの小型化・高容量化、自動車部品の高信頼性要求に水熱合成法の特長である微粒子・高結晶・粒度均一な製品を積極的に提案しています。より一層、信頼性が求められる分野にはCaを所定の比率で含む微細かつ粒度均一性の高いチタン酸バリウムカルシウムの開発を進めています。また、誘電体材料についても、易分散性を兼ね備えた、さらなる微粒子化を進めています。

なお、電子材料事業における研究開発費用は、356百万円であります。

(2) 化粧品材料

日焼け止め分野においては、近年、しみや皺の原因となるUVAを防御する酸化亜鉛の注目度が高まるなか、当社「超微粒子酸化亜鉛FINEXシリーズ」の注目度も更に高まってきました。また、海外においては様々な人の肌にマッチするような透明性の高い日焼け止めのニーズが急速に高まり、当社もより透明性・分散性の高い製品の開発に注力してきました。現在、国内外を問わず多くの顧客で評価が進んでおり、海外大手顧客への出荷も順調にスタートしました。

メイク分野においては、肌触りの良化を目指して開発した「六角板状酸化亜鉛XZシリーズ」、「板状集積型球状酸化亜鉛のCANDYZINC」や肌を鮮やかに見せる新機能性酸化亜鉛「化粧品用無機蛍光材料Lumate G」など当社の得意とする粉体プロセッシング技術を駆使した多くの材料を展開しております。また、近年、海洋環境、生態系への悪影響が懸念されているマイクロプラスチックビーズの不使用が加速しており、その代替品として、天然鉱物由来の安全性が高く環境負荷の少ない球状硫酸バリウム「ばりまる」、球状炭酸カルシウム「かるまる」を提案しています。これらは幅広い化粧品に配合しやすいよう表面処理されたグレードも取り揃えております。更に、従来から肌感触を良くするとしてファンデーションに使用されている「板状硫酸バリウムHシリーズ」は、+αの機能として荒れた皮膚の機能を回復させる効果がある事を確認し、メイク製品にスキンケア機能を持たせた新たなコンセプトで展開しております。

なお、化粧品材料事業における研究開発費用は、272百万円であります。

 

(3) 有機化学品

有機化成品につきましては、イオウを含む有機化合物合成技術をベースとして、電子材料、光学材料などの開発に取り組んでおります。2024年4月に子会社であったSC有機化学株式会社を吸収合併したことにより、研究開発のスピードアップが実現し、現在は耐水性や柔軟性に優れたMulthiol(マルチオール)シリーズや多官能チオール製品群の製品化を進めています。

医薬原薬・中間体につきましては、CDMO化を目指すため、実験スペースを約2倍に増強するとともに分析専用の実験室を設置するなど、ハード面から研究開発力の強化を図りました。これらを活かし、CDMOのD(Development :開発)にあたるプロセス開発や不純物合成を実施しております。また、開発受託案件の範囲を拡げるためにはデータの信頼性向上が不可欠であり、信頼性保証基準下でのデータ取得体制を整え、分析装置のDI(Data Integrity)対応を進めております。また、自社品の研究開発として、他社に委託している自社使用原料のプロセス開発も行っております。加えて、将来を見据え、環境負荷が少なく作業者への負荷軽減にも繋がる連続生産技術の確立に向けた検討を継続しておこなっております。

なお、有機化学品事業における研究開発費用は、419百万円であります。

(4) 受託加工

素材の機能性を最大限に発揮させるための、分散や配合技術を駆使した製品開発に取り組んでおり、地球温暖化に対応する遮熱性能を持った製品や、環境負荷の低い素材を使用した繊維向け抗菌製品の開発も行っています。また、分散加工のスペシャリストとして、安定かつ高度な分散加工を行うための技術の向上に取り組んでいます。

なお、受託加工における研究開発費用は、173百万円であります。

(5) 酸化チタン・亜鉛製品

酸化チタン事業は2026年3月期で顔料級酸化チタンについて事業を終了する事としております。現在、「酸化チタン事業終了プロジェクト」を立上げ、事業終了までに対処しておくべき課題に取り組んでおります。課題は営業、生産、技術・開発をはじめとし大きく7項目に分類され、それぞれにタスクチームを編成し、綿密な計画に基づき対応を進めております。具体的には、触媒用、化粧品用酸化チタンの原料の代替品の探索、および小名浜事業所の総合排水処理方式の変更など多岐にわたる技術的課題の解決に鋭意取り組み、事業終了を予定通りに進めて参ります。

また、亜鉛事業につきましては、電子基板等の熱マネージメントが活況を呈する中、従来のアルミナより高い放熱性能を有する大粒子酸化亜鉛LPZINCの開発及び顧客提案を進めております。0.1~70μmの幅広い粒子径ラインナップを有し、組み合わせの最適化により高い放熱能を発揮させるだけでなく、放熱性能に電波吸収能力を付与するなど用途拡大も検討しております。

なお、酸化チタン・亜鉛製品事業における研究開発費用は、400百万円であります。

(6) 樹脂添加剤

当社が得意とする表面処理技術・粒子制御技術を、非鉛系安定剤の原料である ハイドロタルサイトや塩化ビニル安定剤原料に応用し、特殊ハイドロタルサイト、独自性の高い塩化ビニル安定剤を展開し、性能の差別化に注力しております。同時にハイドロタルサイトを含め、各種配合剤の自社生産化や高効率化により、コストパフォーマンスに優れる製品の開発を進めております。

なお、樹脂添加剤事業における研究開発費用は、173百万円であります。

(7) 触媒

水素社会を目指した、水電解触媒の開発に注力しています。一例である固体高分子形水電解触媒では、希少なイリジウム触媒の使用量を低減可能な触媒を開発し、サンプルワークを進めています。一方、低炭素化社会実現のためのカーボンニュートラルに関連した企業との協業で、新規触媒の開発と拡販にも注力してまいります。

環境・エネルギー・化学プロセスは当社の重要な研究開発分野であり、これからの水素エネルギー社会が求める技術開発に貢献していくよう取り組んでまいります。

なお、触媒事業における研究開発費用は、241百万円であります。

(8) 無機材料

世界的な近視人口の増加と生活水準の向上に伴い、世界的なメガネ市場の需要も高まるなか、高屈折率材料である「酸化ジルコニウム分散液SZRシリーズ」はメガネレンズ用途での数量が伸びてきております。更なる用途拡大として光学材料用途への提案を進めるべく開発に取り組んでおります。

なお、無機材料における研究開発費用は、442百万円であります。

 

(9) 医療事業

注力分野と位置付ける、健診領域や消化器領域および美容領域に、利益を確保できる製品を出来る限り早期に投入できるよう開発を行なっております。

このうち消化器領域を中心とする医療事業においては、大学発のベンチャー企業との共同開発や、産学連携の枠組みを活用した共同開発により、新規事業拡大に取り組んでおります。

また美容領域においては、ソルプロプリュスシリーズの新規ラインナップの開発を進め、ブランド育成を進めております(2025年度1品目、2026年度に2品目の上市を予定)。

なお、医療事業における研究開発費用は、220百万円であります。