第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営方針

当社グループは、企業理念として「進取と共創。ガスで未来を拓く。」を掲げております。「私たちは、革新的なガスソリューションにより社会に新たな価値を提供し、あらゆる産業の発展に貢献すると共に、人と社会と地球の心地よい未来の実現をめざします。」このような思いを企業活動の基本方針とし、持続的な成長と企業価値の向上を目指します

 

(2) 中長期的な経営戦略

当社グループは、2017年4月から2021年3月までの4ヶ年の中期経営計画「Ortus Stage 2」にこれまで取り組んでまいりました。「Ortus Stage 2」は、前中期経営計画である「Ortus Stage 1」の重点戦略「構造改革」、「イノベーション」、「グローバリゼーション」、「M&A」を引き継ぎ、特に「M&A」と「グローバリゼーション」のそれぞれの戦略において顕著な成果を上げました。当該中期経営計画の期間中には、海外での産業ガスメジャーであるリンデとプラックスエアの合併により、独占禁止法の下で売却対象となったプラックスエアの欧州事業を2018年12月に買収、リンデの米国HyCO事業を2019年2月に買収したことにより、グローバル産業ガス市場における独自性のあるポジションを確立することができました。上記2つのプロジェクト投資総額約6,800億円は、借入による資金調達とハイブリッドファイナンスによる資金調達にて賄われております。これらの大型買収を完了した2019年2月には、中期経営計画の数値目標を見直し、財務健全性をモニタリングする重要経営指標としてネットD/Eレシオを新たな目標として設定し、株主の皆様には、新たな目標とその達成に向けた道筋についての説明の機会も設けました。

残念ながら、前第4四半期連結会計期間後半から、新型コロナウイルス感染症が世界的に広がり、事業環境を劇的に変化させることになりました。このような複雑な世界的危機は発生したものの、当社グループは、「Ortus Stage 2」の期間を通じて今後の成長の基盤となるアクションを着実に実施してまいりました。具体的には、欧州事業と米国HyCO事業の買収によるグローバル化の拡大、米国での5つのオンサイトプラントの稼動による米国内での事業密度の向上、東アジアでのエレクトロニクス向け特殊ガス事業の強化、アジア・オセアニア地域での産業ガス供給基盤の強化・拡大に加え、2020年10月には、グループ総合力強化と迅速な意思決定の促進を目的とした純粋持株会社体制に移行いたしました。

新型コロナウイルス感染症が世界的に続き、事業環境の不確実性が極めて大きいことから、当社グループは次期中期経営計画の発表を1年延期いたしました。2022年3月期には、当年度の短期財務目標の達成に注力すると同時に、2022年4月から2026年3月までの次期中期経営計画の戦略、アクションプランについても今後策定していく予定です。

 

(3) 会社の対処すべき課題

新型コロナウイルス感染症の感染拡大から1年以上が経過しました。前期における新型コロナウイルス感染症の流行による影響は、急速かつ深刻でしたが、幸いにも、当社グループは事業を展開するほとんどすべての地域で必要不可欠な企業と判断されたことで、新型コロナウイルス感染症の流行の最も深刻な時期でも、重要なガス、人工呼吸器、在宅ケア用品、その他の必需品を提供することにより、事業を継続することができました。当期の事業活動が進むに伴い、当社グループが事業を行っているほとんどの国では、経済活動と新型コロナウイルス感染症との共存を学び経済活動を再開したため、当社グループの業績は急激に回復しました。

ワクチンが新型コロナウイルス感染症の感染拡大を抑えられるのか、また、新型コロナウイルス感染症変異株による感染拡大がワクチンを上回るのかを見通すことは難しく、先行きの不透明感が続くことになりますが、今後は、当期の第1四半期に経験したほど深刻な影響を受けることはないと予想しています。また、2020年10月1日、当社は日本酸素ホールディングス株式会社の下で新たな体制を構築しました。持株会社体制は、日本企業からグローバルに統合された産業ガスサプライヤーへの進化を象徴しています。持株会社体制に移行した狙いとしては、①権限委譲による意思決定スピードの向上と適切な経営資源の配分②事業執行責任、実績の明確化③各地域の強みや優位点を共有展開したグループ総合力の強化が挙げられます。当社グループは力強く経験豊富で才能のある人財・組織を有しており、世界中で組織をより効果的かつ効率的に運営するよう努めていきます。

当社グループは、消費電力の削減や走行距離の短縮など、持続可能な取り組みに注力してきました。今後は業界のリーダーとして、次期中期経営計画にESGやSDGsへの取り組み強化を反映し、生産性を高めることで、当社グループビジョンである「革新的なガスソリューションにより社会に新たな価値を提供し、あらゆる産業の発展に貢献すると共に、人と社会と地球の心地よい未来の実現をめざす」を推進し、企業価値の向上に取り組んでいきます。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

(1) 経営戦略・事業に関するもの

① 海外進出について

当社グループは、2021年3月期までの中期経営計画Ortus Stage 2における重点戦略として「グローバリゼーション」、「M&A」を掲げ、海外におけるオンサイト事業の拡大やM&Aを積極的に実施し、現在、米国、欧州、アジア・オセアニアにおいて事業を展開しております。設備投資やM&Aの実行に際しては、市場動向や顧客ニーズ、契約等について事前に精査しておりますが、これらの国・地域における市場動向、政治、経済、慣習、宗教、テロ、大規模災害その他の要因によって、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります

 

② 設備投資について

当社グループは、国内外に工業ガスの製造拠点を有しており、大口顧客向けには、顧客の敷地・隣接地に空気分離装置等を設置し、パイピングによるガス供給(オンサイトプラント方式)を行っております。産業構造及び需要動向の変化による鉄鋼、化学、半導体、自動車等、当社グループの主力顧客の操業率の低下や、生産拠点の統廃合、海外移転などにより、当社グループの製造設備は稼働率が低下し、当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。オンサイトプラント方式は、顧客への安定供給と強固な収益基盤の確保というメリットがありますが、設備の全部又は一部が不要になり、かつ、契約による補償でカバーできない場合には、設備の除却損等の発生により、経営成績に影響を及ぼす可能性があります

 

③ 製造コストについて

主力の酸素、窒素、アルゴンの製造コストのうち大きな割合を占める電力コストが原油やLNG価格の高騰、為替変動などの要因により大幅に上昇し、それを販売価格に転嫁できない場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります

また欧州を中心として、電力エネルギー市場は再生可能エネルギーへの変革による大きな影響を受け、製造コストへの影響は予測が困難であり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 法規制等について

社グループは、米国、欧州、アジア・オセアニアにおいて事業を展開しておりますが、進出国において予想外の法規制の変更、新規法律・規則の制定や行政指導があった場合、対応コストの発生により経営成績に影響を及ぼす可能性があります

また、当社グループは、国内外において環境に配慮した事業活動を行っておりますが、環境関連法規の改定によって規制強化が図られた場合には、対応コストの増大により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは各国において輸出を規制する法律・規則の対象となる製品・サービスの輸出を行っております。国際情勢の変化により各国の輸出規制が強化された場合には、特定の国への製品・サービスの輸出が減少する可能性があります。この場合には輸出の減少により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

らに、当社グループは、国内外において事業を遂行する上で、産業ガス事業を規制する法律・規則だけでなく、競争法や環境保護又は輸出規制等に関する法規を担当する規制当局による調査を受けるリスクを有しており、調査の結果、罰金の支払命令、事業の停止命令、許認可の取消等の当社グループに不利益な決定がなされた場合、当社グループの事業展開、経営成績、財政状態及び信用に重大な影響を及ぼす可能性があります

 

⑤ 人材確保について

当社グループの目標達成には、生産、研究開発、マーケティング、販売、物流、管理等の各事業分野において有能な人材が不可欠であり、また、事業運営を行う上で、関連法規で要求される資格や技能を有した人材の確保が必要となります。また、海外進出におきましては、現地法人の経営や事業運営を担うグローバル人材並びに有能なローカルスタッフの確保が不可欠ですが、雇用情勢や労働需給の変化により、こうした人材の確保が計画通りに進まない場合は、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 技術・保安に関するもの

① 技術開発について

当社グループは、積極的な技術開発活動を行い、今後の事業拡大を目指しておりますが、新製品・新技術の開発にはリスクが伴います。たとえば、商品化や事業化までに長い期間を要するような場合、関連市場の状況の大きな変化により、市場投入のタイミングを逸してしまう可能性や、他社の新技術・新製品、代替製品により当社グループ製品の競争力が低下する可能性があります。また、産学官協同や企業間による共同開発では、連携がうまく進展しない場合には、期待していた成果が得られない可能性があります。

 

② 知的財産について

当社グループは、独自開発した技術による事業展開を基本として、必要な知的財産権の取得を推進しておりますが、当社グループの技術や商品を保護するために十分であるという保証はありません。また、第三者が当社グループの知的財産権を侵害して不正に使用する可能性があります。

一方、当社グループが事業展開している分野については、第三者の知的財産権を常に調査監視して、第三者の有効な知的財産権は、代替技術の開発又は技術的な回避策を講じることにより使用しない、当該第三者から使用する権利を得るなどの対策をとり、侵害の防止に努めており、これまで当社グループが第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を提起された例は非常に少ない状況にあります。

しかしながら、当社グループが将来的に他社の知的財産権を侵害しないという保証はなく、訴訟を提起された場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 製品安全及び保安について

当社グループは、高圧ガス及び関連する機器類の製造・販売等の事業を行っており、これらの製品については、品質管理とその記録の徹底、及び販売前に安全審査を行い、製品に起因するリスクを適切に管理しておりますが、すべての製品に欠陥や品質不良、故障が生じないという保証はありません。製品に万が一欠陥や品質不良、故障が生じた場合には、顧客からの信頼の低下や損害賠償の負担などにより経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります

た、製造・販売等を行う高圧ガスには、高圧力や極低温による危険性の他、液晶や半導体関連向け製品等の毒性・可燃性を有するガスも含まれております。これら製品の製造・供給については、取り扱う従業員について階層別の教育の他、応募型の教育を行っています。特に、安全文化の醸成への取り組みとして、テクニカルアカデミーでは危険体感学習を取り入れ、設備事故だけではなく労働災害事故の撲滅を目指した教育を徹底し、保安の確保に万全を期していますが、ガスそのものの危険性を解消することは不可能です。万が一、漏洩・発火・爆発等で人身や設備に多大な損害が生じた場合には、操業停止などにより当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります

 

(3) 財務に関するもの

① 為替レートの変動について

当社グループは、特殊ガス、機器・装置関連で原材料等の海外からの調達や製品の輸出を行っております。また、サーモス製品等で海外からの製品の輸入を行っております。当該取引に関連しては、外貨建てで行っている取引があることから、為替予約などにより為替レートの変動リスク回避に努めておりますが、急激な為替の変動に対処できない場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、在外連結子会社の外貨建財務諸表金額は、連結財務諸表作成過程において円換算されるため、為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります

 

② 金利の変動について

当社グループは、中期経営計画に掲げる重点戦略に基づき、積極的な設備投資、M&Aを実施し、その資金を主に金融機関からの借入や社債によって調達しております。2019年3月期に実施した米国Praxair, Inc.の欧州事業の買収のための調達は、大部分を変動金利による借入もしくは一定年数後に固定金利から変動金利に変更されるハイブリッドファイナンスで行っており、今後の金利変動によっては、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ ㈱三菱ケミカルホールディングスとの資本関係について

三菱ケミカルホールディングスは当社発行済株式数の50.59%の株式を所有しております。また、同社は、2014年5月13日付けで締結いたしました資本業務提携関係のさらなる強化及び企業価値の向上を目的とした基本合意書の中で、当社に対する持株比率の維持について合意しており、現状において持株比率を増減させる方針はないと認識しております

かしながら、今後、同社グループとの資本関係に変更が生じた場合、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります

 

④ のれん及び無形資産について

当社グループは、企業買収等に伴い、のれん及び無形資産(以下、「のれん等」という。)を連結財政状態計算書に計上しております。当社グループが将来新たに企業買収等を行うことにより、新たなのれん等を計上する可能性があります。当社グループは、のれん及び耐用年数の確定できない無形資産について毎期減損テストを実施し評価しております。経済の著しい悪化等により対象事業の成長率が大幅に低下したり、市場利率等の上昇により処分コスト控除後の公正価値及び使用価値の計算に用いられている割引率が大きく上昇した場合などには、回収可能価額が著しく減少して減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) その他

① 大規模自然災害等について

地震等の大規模自然災害が発生した場合、当社グループの事業拠点が甚大な被害を受ける可能性があります。特に地震発生の可能性が高い国内製造拠点は、全国に分散しているものの、大規模製造拠点が被害を受けた場合、労働力や生産能力の大幅な低下、巨額の復旧費用等の発生は避けられず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、人為的要因を含むその他の不測の事態(重大事故の発生、大規模な感染症拡大など)が発生した場合は、当社グループの事業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの緊急事態発生に備え当社グループでは、事業継続計画(BCP)に基づく情報収集体制を整え、役職員の人命と安全を守る行動と、中核となる事業の継続や早期復旧に必要な取り組みを進めております

 

② 情報管理について

当社グループは、営業・技術に関する重要情報、顧客情報その他関係者の個人情報等を保有しております。

これら重要情報・個人情報を含む業務上の情報は、クラウド及びサーバでの管理や、事業拠点の防犯・盗難対策の推進を通じて、情報漏洩のリスク低減に努めております。また、情報セキュリティに関する規程・基準類の整備、情報管理に関する責任者・担当者の配置、社員への継続的な教育等を通じて管理体制の強化を図っております。

しかしながら、不測の事態により情報漏洩が起きた場合、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、流出の影響を受けた顧客その他関係者への補償、市場競争力の低下等により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 気候変動等環境課題について

地球温暖化等環境課題に関する取組みや気候変動等のリスクを企業の財務情報として開示する要請が高まっています。当社グループは、全社的に環境マネジメントを推進し、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しております。当社グループが事業展開する各国において、炭素税の賦課や排出権取引制度に代表される温室効果ガス排出規制が導入された場合、間接的な温室効果ガス排出量が多い産業ガス事業の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、気候変動による自然災害の増加や渇水による水資源の不足等は当社グループの製造拠点に影響を与える可能性があります。なお、世界の平均気温が上昇した場合、空気分離装置における原料空気圧縮機の動力が増加し、電力使用量が増加するリスクがあります。

 

④ 新型コロナウイルス感染症の影響について

当社グループの主力製商品である産業ガスは、生活必需品の製造プロセスや各種工場の保安向けなどのほかに医療現場でも利用されていることから、各国当局による事業活動の制限対象には指定されておらず、製造・物流業務従事者をはじめとした関係者の感染防止に取り組みながら事業活動を継続してきました。今後、各国でのワクチン接種が進むことで事業環境の改善が期待されますが、ワクチンが有効でない変異種の蔓延等により世界経済が再度減速し、産業ガスの出荷が減少する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績

① 業績全般

 当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)における当社グループの事業環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大の影響により、第1四半期連結会計期間では進出国及び地域において大幅な景気低迷と需要減退の局面を迎え、製造業の生産活動も急速に減速・停滞しておりました。しかし第2四半期連結会計期間に入り全般的に回復の兆しが現れはじめ、第3四半期連結会計期間からセパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)の出荷は緩やかに復調してまいりましたが、前期に比べて大きく減少しました。

 このような状況の下、当連結会計年度における業績は、売上収益8,182億38百万円(前連結会計年度比 3.8%減少)、コア営業利益872億51百万円(同 3.4%減少)、営業利益888億46百万円(同 5.4%減少)、親会社の所有者に帰属する当期利益552億14百万円(同 3.5%増加)となりました。

 なお、コア営業利益は営業利益から非経常的な要因により発生した損益(事業撤退や縮小から生じる損失等)を除いて算出しております

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率(%)

売上収益

850,239

818,238

△32,001

△3.8

コア営業利益

90,337

87,251

△3,085

△3.4

  非経常項目

3,584

1,594

△1,989

営業利益

93,921

88,846

△5,074

△5.4

  金融収益

1,150

1,424

273

  金融費用

△15,938

△12,564

3,374

税引前利益

79,133

77,706

△1,426

△1.8

  法人所得税

△24,095

△20,842

3,252

当期利益

55,038

56,863

1,825

3.3

 親会社の所有者に帰属する当期利益

53,340

55,214

1,874

3.5

 非支配持分に帰属する当期利益

1,697

1,648

△48

 

② セグメント業績

セグメント業績は、次のとおりです。なお、セグメント利益はコア営業利益で表示しております。

 

〔国内ガス事業

 産業ガス関連では、主力製品であるセパレートガスの売上収益は、関連業界での生産活動が低調に推移し、前期に比べ大きく減少しました。一方、エレクトロニクス関連での電子材料ガスの売上収益は増加しました。機器・工事では、エレクトロニクス関連で大きく増収となりましたが、空気分離装置や金属加工向けの溶接・溶断関連機材を中心に前期を大きく下回りました。

 以上の結果、国内ガス事業の売上収益は、3,389億38百万円(前連結会計年度比 4.8%減少)、セグメント利益は、291億24百万円(同 1.3%増加)となりました。

 

〔米国ガス事業〕

 産業ガス関連では、パッケージ・バルクガスを中心に、主力製品であるセパレートガスの売上収益は大きく減少しました。オンサイトでは、供給先の需要低下の影響で前期を下回りました。機器・工事では、エレクトロニクス関連での売上収益は増加しましたが、金属加工向けの溶接・溶断関連機材では減収となりました。

 以上の結果、米国ガス事業の売上収益は、1,899億94百万円(前連結会計年度比 4.5%減少)、セグメント利益は、234億55百万円(同 5.4%増加)となりました。

 

欧州ガス事業

 主要地域となるイベリア(スペイン・ポルトガル)、ドイツ、イタリアでは、生産活動全般で停滞が生じたことにより、パッケージ、バルクガス及びオンサイトの需要は大きく落ち込みましたが、第3四半期連結会計期間から徐々に回復基調に入りました。機器・工事の需要は当期を通じて低調でした。

 以上の結果、欧州ガス事業の売上収益は、1,600億35百万円(前連結会計年度比 3.3%減少)、セグメント利益は、212億54百万円(同 14.5%減少)となりました。

 

〔アジア・オセアニアガス事業〕

 産業ガス関連では、一部地域での都市部封鎖や製造業の生産活動停滞の影響を受け、主力製品であるセパレートガスの売上収益は減少しましたが、エレクトロニクス関連では、東アジアでの電子材料ガスの出荷は好調でした。LPガスでは、仕入での契約価格低下による販売単価の下落はありましたが、豪州での出荷は堅調でした。機器・工事では、台湾で大型の工事案件がなかったこと、シンガポールでのスポット案件の減少に加え、金属加工向け溶接・溶断関連機材の需要も低調でした。

 以上の結果、アジア・オセアニアガス事業の売上収益は、1,053億5百万円(前連結会計年度比 0.7%増加)、セグメント利益は、94億97百万円(同 4.6%減少)となりました。

 

サーモス事業

 サーモス事業は、国内では、国・地方自治体による外出制限や営業自粛要請等により、行楽シーズンでの販売機会を喪失した影響が大きく、主力製品のケータイマグの売上収益は大きく減少しました。一方、自宅で過ごす時間の長い新たなライフスタイルが浸透したことに関連し、フライパンやタンブラーの販売数量は大きく増加しました。海外では、販売地域での景気減退の影響を受けましたが、出荷数量は増加しました。

 以上の結果、サーモス事業の売上収益は、239億64百万円(前連結会計年度比 4.6%減少)、セグメント利益は、52億29百万円(同 27.6%減少)となりました。

 

 各セグメントごとの売上収益及びセグメント利益の状況は以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

売上収益

セグメント利益

売上収益

セグメント利益

売上収益

増減率(%)

セグメント利益

増減率(%)

国内ガス事業

356,145

28,737

338,938

29,124

△17,207

△4.8

387

1.3

米国ガス事業

198,869

22,263

189,994

23,455

△8,874

△4.5

1,191

5.4

欧州ガス事業

165,564

24,854

160,035

21,254

△5,529

△3.3

△3,600

△14.5

アジア・オセアニアガス事業

104,541

9,952

105,305

9,497

764

0.7

△454

△4.6

サーモス事業

25,118

7,224

23,964

5,229

△1,154

△4.6

△1,994

△27.6

調整額

△2,695

△1,309

1,385

合計

850,239

90,337

818,238

87,251

△32,001

△3.8

△3,085

△3.4

  (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

     2.上記の金額に、消費税等は含まれておりません。

 

③ 経営成績

 当連結会計年度における売上収益は8,182億38百万円となり、前連結会計年度に比べ320億1百万円の減収となっております為替の影響については、期中平均レートが前連結会計年度に比べUSドルで3円1銭の円高、ユーロで3円22銭の円安、豪ドルで2円90銭の円安となるなど、売上収益は全体で約7億円少なく表示されております。

 売上原価は5,007億99百万円(前連結会計年度比 218億81百万円減少)、販売費及び一般管理費は2,332億76百万円(同 88億53百万円減少)、その他の営業収益は39億49百万円(同 66億74百万円減少)、その他の営業費用は48億67百万円(同 7億97百万円減少)、持分法による投資利益は56億2百万円(同 20億68百万円増加)となっております。以上の結果、営業利益は888億46百万円となり、前連結会計年度比で50億74百万円の減益となりました。また営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いたコア営業利益は872億51百万円となっており、前連結会計年度比で30億85百万円の減益となりました。非経常的な要因により発生した損益の主な内容は、持分法投資利益27億59百万円、減損損失11億0百万円などとなっております。

 金融収益は14億24百万円(同 2億73百万円増加)、金融費用は125億64百万円(同 33億74百万円減少)、これにより税引前利益は777億6百万円となり、前連結会計年度に比べて14億26百万円の減益となりました。主な内容は、受取利息が1億83百万円(同 66百万円減少)、受取配当金が6億37百万円(同 2億62百万円減少)、支払利息が125億54百万円(同 13億40百万円減少)などとなっております。

 これらの結果、法人所得税と非支配持分を控除した親会社の所有者に帰属する当期利益は552億14百万円となり、前連結会計年度比18億74百万円の増益となりました。

 

(2) 財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は1兆8,362億94百万円で、前連結会計年度末比で845億62百万円の増加となっております。為替の影響については、前連結会計年度末に比べ期末日レートがUSドルで1円88銭の円安、ユーロで10円25銭の円安となるなど、約900億円多く表示されております。

〔資産〕

 流動資産は、棚卸資産の増加や現金及び現金同等物の減少等により、前連結会計年度末比で15億99百万円増加し、3,689億1百万円となっております。

 非流動資産は、のれんや有形固定資産の増加等により、前連結会計年度末比で829億62百万円増加し、1兆4,673億93百万円となっております。

〔負債〕

 流動負債は、社債及び借入金の減少等により、前連結会計年度末比で58億83百万円減少し、3,260億19百万円となっております。

 非流動負債は、社債及び借入金の減少等により、前連結会計年度末比で127億60百万円減少し、9,663億74百万円となっております。

〔資本〕

 資本は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による増加や、利益剰余金の配当による減少、在外営業活動体の換算差額の増加等により、前連結会計年度末比で1,032億6百万円増加し、5,439億0百万円となっております

 なお、親会社所有者帰属持分比率は27.9%で前連結会計年度末に比べ4.5ポイント高くなっております。

 

 非流動資産ののれんや有形固定資産の増加の主な要因は、為替レートの変動によるものです。

 流動負債及び非流動負債の社債及び借入金の減少の主な要因は、米国Praxair, Inc.から欧州事業を買収する際に調達していたブリッジローンの借換えとして実行した長期借入金について、返済期日が到来したものを返済したことに加えて、期限前弁済を実施したことによります。

 

(3) キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フロー

 税引前利益、減価償却費及び償却費、法人所得税の支払額又は還付額等により、営業活動によるキャッシュ・フローは1,492億31百万円の収入(前連結会計年度比 8億53百万円の収入の減少)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フロー

 有形固定資産の取得による支出、有形固定資産の売却による収入等により、投資活動によるキャッシュ・フローは596億86百万円の支出(同 29億42百万円の支出の減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フロー

 長期借入金の返済による支出、短期借入金の純増減額、長期借入れによる収入等により、財務活動によるキャッシュ・フローは1,031億59百万円の支出(同 569億16百万円の支出の増加)となりました。

 これらの結果に、為替換算差額等を加えた当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、910億58百万円(同 89億46百万円の減少)となりました。

 

 財務活動によるキャッシュ・フローの長期借入金の返済による支出の主な要因は、「(2) 財政状態」で記載のとおり、米国Praxair, Inc.から欧州事業を買収する際に調達していたブリッジローンの借換えとして実行した長期借入金について、返済期日が到来したものを返済したことに加えて、期限前弁済を実施したことによります。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

 セグメントごとの販売実績については、「(1) 経営成績 ②セグメント業績」に記載のとおりであります。

 なお、当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、また、受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により国際会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 及び 3.重要な会計方針」に記載しております。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは、運転資金及び設備資金については、内部資金又は金融機関からの借入金、社債等により調達しております。また、当社グループとしての資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。

 資金の流動性については、安定的な営業活動によるキャッシュ・フローに加え、金融機関とのコミットメント・ライン契約の締結やコマーシャル・ペーパー発行枠の設定等により十分な手元流動性を確保しております。

 

(7) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 中期経営計画「Ortus Stage 2」に対する達成状況については、以下のとおりであります。

 

2021年3月期実績

(Ortus Stage 2 最終年度)

2021年3月期計画

(Ortus Stage 2 最終年度)

売上収益

8,182億円

9,100億円

コア営業利益

872億円

1,000億円

コア営業利益率

10.7%

11.0%

海外売上収益比率

56.1%

55.0%

ROCE(注1)

6.1%

7.1%

調整後ネットD/Eレシオ(注2)

1.15

1.27

(注)1.ROCE

当社ではコア営業利益と資本、有利子負債のバランスを重視し、コア営業利益を投下資本(有利子負債残高+親会社の所有者に帰属する持分)で除して算出した「ROCE」で資本効率を示しております。

   2.調整後ネットD/Eレシオ

当指標は、2019年2月の数値目標変更の際に追加しました。調整後純有利子負債(有利子負債残高-資本性負債-現金及び現金同等物)を、調整後親会社所有者帰属持分(親会社の所有者に帰属する持分+資本性負債)で除して算出した「調整後ネットD/Eレシオ」で、財務健全性を示しております。なお、資本性負債とは、ハイブリッドファイナンスで調達した負債のうち、格付機関から資本性の認定を受けた額です

 

 2021年3月期は、コロナ禍がもたらした未曽有の社会経済環境の変化により、グローバルな需要が大幅に減少いたしました。そのため、中期経営計画の最終年度の目標数値を達成することはできませんでしたが、Ortus Stage 2の期間中は重点戦略を着実に推し進め、特に「M&A」と「グローバリゼーション」のそれぞれの戦略において顕著な成果を上げました。それらは当社のグローバル化の拡大、堅実なキャッシュ・フローをもたらし、海外売上収益比率や調整後ネットD/Eレシオで目標を達成いたしました。過去4年間にわたって、当社グループは新しい目的を整理し、今後の課題も明らかにしてきました。現在策定中の新しい中期経営計画のもと、これらの事項を丁寧に実行してまいります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(吸収分割契約)

 当社は、2020年5月15日開催の取締役会において、当社の100%子会社である㈱大陽日酸分割準備会社(2020年10月1日付けで大陽日酸㈱に社名を変更。以下、「大陽日酸㈱」という。)との吸収分割契約締結を承認することを決議いたしました。

 なお、当社は、2020年1月22日開催の取締役会において、2020年10月1日を効力発生日とする会社分割(吸収分割)方式により持株会社体制へ移行すること及びその準備を円滑に進めるために分割準備会社を設立することを決議しております。また、かかる持株会社体制への移行に伴い、持株会社となる当社は、2020年10月1日に商号を「日本酸素ホールディングス株式会社」と変更しております。

 本吸収分割の概要は、以下のとおりであります。

 

(1) 本吸収分割の目的

 当社は2018年3月期から4ヶ年の中期経営計画「Ortus Stage 2」の下で「グローバル化の推進」を掲げ、日本、米国、アジア・オセアニア地域において着実に産業ガス事業を拡大してまいりました。更に2018年12月に米国Praxair,Inc.の欧州事業の一部を買収し、当社グループの産業ガス事業は日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極体制となりました。世界の政治経済状況がめまぐるしく変化する中で、当社がさらにグループを発展させていくためには、これまでの国内事業中心の経営体制から脱却し、グローバルガスメジャーとして競争力のあるグループ運営体制を構築することが必要と判断し、以下の事項を企図して、持株会社体制へ移行することを決定いたしました。

 

① 権限委譲による意思決定スピードの向上と適切な経営資源の配分

それぞれの地域における市場と顧客の変化に的確に対応するため、各地域への権限委譲を進め、意思決定のスピード向上を図ります。その一方で、持株会社となる当社は、成長性を踏まえた適切な経営資源の配分等、グループ全体の戦略立案、コンプライアンスの確保、リスク管理体制の強化を進めてまいります。

 

② 事業執行責任、実績の明確化

日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極による事業推進体制のもと、各地域における事業執行責任を明確化します。日本については持株会社体制への移行により、国内ガス事業を承継する子会社は当該事業の執行に特化することで、他の3極とともに持続的な事業成長を目指してまいります。

 

③ 各地域の強みや優位点を共有展開したグループ総合力の強化

当社グループは、各地域において事業分野や技術の領域でそれぞれの強みを持っています。持株会社となる当社が各地域の強みをグローバルに共有展開する推進役となることで、グループ総合力を強化してまいります。

 

(2) 本吸収分割の方法

 当社を吸収分割会社とし、当社が100%出資する子会社である大陽日酸㈱を吸収分割承継会社とする吸収分割により、国内での産業ガス及び関連機器の製造・販売に関する事業を承継させております。

 

(3) 本吸収分割の日程

2020年2月4日 分割準備会社(大陽日酸㈱)設立

2020年5月15日 取締役会における吸収分割契約の承認

2020年5月15日 吸収分割契約締結

2020年6月19日 定時株主総会における吸収分割契約に関する議案の承認

2020年10月1日 吸収分割の効力発生日、持株会社体制への移行

 

(4) 吸収分割承継会社が承継する資産・負債の状況

 吸収分割承継会社が当社から承継する権利義務は、効力発生日において、本吸収分割に係る吸収分割契約に定めるものといたしました。なお、吸収分割承継会社が当社から承継する債務につきましては、重畳的債務引受の方法によるものといたしました。

 

 

(5) 本吸収分割に係る割当ての内容

 吸収分割承継会社である大陽日酸㈱は、本吸収分割に際して普通株式10万株を発行し、これを全て吸収分割会社である当社に割当て交付いたしました。

 

(6) 本吸収分割に係る割当ての算定根拠

 大陽日酸㈱は当社の完全子会社であり、また本吸収分割に際して大陽日酸㈱が発行する株式の全てが分割会社である当社に交付されることから、大陽日酸㈱が交付する株式数については、両者で協議の上決定しており、相当であると判断しております。

 

(7) 吸収分割承継会社の概要(2021年3月31日時点)

商号

大陽日酸株式会社

本店の所在地

東京都品川区小山一丁目3番26号

代表者の氏名

代表取締役社長  永田 研二

資本金の額

1,500,000千円

事業内容

酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、ガス関連機器、特殊ガス、電子関連機器・工事、半導体製造装置、機械装置、LPガス、医療用ガス、医療機器、安定同位体の製造・販売

 

 

5【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)では、「進取と共創。ガスで未来を拓く。」を企業理念として、産業ガス事業の拡大を進め持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。

研究開発において、独自のガステクノロジーを基盤とした、ガスアプリケーション、環境、ガス分離精製、エレクトロニクス、医療・ライフサイエンス、ファインマテリアル、先端技術分野に向けた新商品・新技術の開発に取組むことで収益拡大に貢献しています。またオープンイノベーションによる海外を含めたベンチャー企業との事業提携を通じ、成長分野における先端技術の取り込みと、コア技術を最大限に利用した商材開発を促進しています。

当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は3,315百万円であり、その内訳は「国内ガス事業」に2,694百万円、「米国ガス事業」に589百万円、「サーモス事業」に32百万円となっております。主な研究開発活動の概要は次のとおりです。

※研究開発費には消費税等を含んでおりません。

 

〔国内ガス事業〕

国内ガス事業においては、当連結会計年度末現在、大陽日酸株式会社のつくば事業所、山梨事業所、SIイノベーションセンター及び京浜事業所の4拠点が連携して研究開発を実施しています。

(ファインマテリアル)

アディティブ・マニュファクチャリング(AM)は、グローバル規模で進む第4次産業革命の中心分野であり、当社グループとして注力する事業の一つです。コア技術開発と世界最先端の造形技術を有するプリンター販売及びトータルソリューション提案を軸とした事業戦略を推進しています。

・2020年10月に関連技術開発の中核拠点として、AMアドバンスドルームを山梨研究所内に開設しました。Velo3D社のSAPPHIREプリンターを中心にOptomec社のLENSや当社グループの独自技術を活用した3DPro商材を設置し、お客様が直面する課題に対し、当社グループのトータルソリューションを具体的に提案する場として展開しております。

・新素材分野では、プリンテッドエレクトロニクスに対応したラインアンドスペース(L/S)200μm以下の微細配線に適用可能な銅ナノ粒子を用いた導電性インクを開発しました。

・エネルギー分野では、次世代の二次電池やリチウム金属電池、キャパシターに対する技術を獲得するため、液化ガス電解液ベンチャーのSouth8社と技術・事業提携しました。

(ガスアプリケーション)

燃焼分野、溶接・切断分野及び食品や医療分野をはじめとした低温技術を中心に、産業ガスの使用に関する様々な工業製品を開発しております。

<燃焼分野>

・電気炉製鋼プロセスにおいて酸素アプリケーションとレーザー式ガス分析装置を連動させることにより酸素吹込みを最適化し、従来操業と比較して酸素原単位を約20%削減する「SCOPE-Jet SCAN」を開発しました。

・流体の自励振動現象を応用して酸素噴流をスイングさせることで、ガラス製造プロセスの溶解炉において高効率化及び低NOx化を達成できる酸素富化技術「Innova-Jet OxLance」を開発しました。

<溶接分野>

・大陽日酸株式会社と日酸TANAKA株式会社が共同で、遠隔操作やモニタリングが可能な溶接可視化カメラ「サンアークアイ」について、機能を追加した新型カメラを開発しました。溶接開始前、溶接中準備作業のいずれの露光条件でも自動調節機構により鮮明な映像が得られ、カメラ筐体の約12%の軽量化を実現しております。

<低温分野>

・0.1ケルビン(マイナス273℃)の超低温を、低振動・低電気ノイズで提供できる分離型無冷媒希釈冷凍機(e-Dilutionplus)を開発しました。

(環境関連)

・ガス生産工場等の液化ガスを製造する装置において、操業データの解析により装置毎に電力消費量が最小化となる技術を開発し、国内外の多くのガス生産工場へ展開しております。今期までに国内9工場及び海外2工場において、電力消費量削減を実証しました。

・大陽日酸株式会社で開発したネオンガス冷凍機「NeoKelvin-Turbo」は、高温超電導電力機器をマイナス200℃以下まで冷却可能であり、モスクワ市電力公社の超電導限流器向けに納入され、2019年から運用を継続しています。

 

(ガス分離精製)

・つくば事業所構内に大型低温実験装置が完成しました。当社グループの深冷空気分離装置の高性能化のため新しく開発した蒸留塔や熱交換器の性能検証を行っています。

・2021年1月に、0.7MPa以下の原料空気でも効率良く窒素ガスを製造できる吸着剤を新たに採用した新型PSA式窒素ガス発生装置「RZシリーズ」を上市しました。従来利用が難しかった低圧の余剰空気の活用によるコスト削減と、新機能「ヒートドライブモード」により、高温の設置環境や猛暑日でも安定した窒素ガスの供給を実現しました。

(エレクトロニクス)

エレクトロニクス分野では、社会のデジタル化の加速的な普及により半導体需要は拡大し、プロセス材料の使用量増加や半導体製造装置の大型化が進んでおります。これらの動きに積極的に対応し、電子材料ガスの国内トップシェアを維持しております。

・Matheson Tri-Gas, Inc.の子会社であるRasirc, Inc.社で製造・販売している無水ヒドラジンガスを安全・安定に供給できるBRUTE Hydrazine Vaporizerを用いて、既存窒化材の使用よりも良質な窒化チタン薄膜を高速、低温で形成できることを実証しました。

・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より助成を受けて取り組んだ「次世代パワーデバイス向け酸化ガリウム用の大口径量産型エピ成膜装置の研究開発」が初期の開発目標を達成し、NEDOのインキュベーション研究開発から2020年7月より実用化開発のフェーズへ移行しました。

・大陽日酸株式会社が開発した窒化アルミニウムや窒化ガリウムなどの紫外発光デバイス用及び先端デバイス用MOCVD(Metal organic chemical vapor deposition)が公益社団法人日本表面真空学会の「令和2年度産業賞」を受賞しました。

(医療・ライフサイエンス)

・全自動凍結保存システム「クライオライブラリー」は、多様化する運用に対応できるように商品拡充を進め、これまでにバイアルボックス収納対応型や凍結バッグ収納対応型を開発しています。

・再生医療が研究段階から産業利用への移行期に入ることを鑑み、従来機よりも大量の細胞をまとめて予備凍結処理できる大型の液体窒素式プログラムフリーザー「CM-100」を製品化し販売を開始しました。

・理化学研究所との共同研究により従来の無細胞タンパク質合成系に低温ショックタンパク質(CSP)を添加することで、難発現タンパク質を低温で効率良く発現する方法の開発に成功しました。

 

〔米国ガス事業〕

米国ガス事業は、サービス提供の市場拡大とエレクトロニクス分野でのフットプリント拡大を目的とし、コロラド州ロングモントにあるAdvanced Technology Centerでの研究開発活動に投資しております。半導体市場については、電子チップの需要が加速しており、最先端のデバイスの製造需要が高まっているため、長期的な市場について有望視しています。これらの需要は主にFinFET、ゲートオールアラウンドロジックや3D-NANDメモリなどの3次元アーキテクチャであるため、これらのデバイスを製造するにはより多くのプロセス材料が必要であり、不活性ガス、エッチング、堆積、洗浄、ドーピングガスの需要の高まりがみられます。それらを半導体製造ツールに供給するための機器や、より小さくより強力なデバイスアーキテクチャも求められています。これらの主要なトレンドが続くと予想されるため(5G通信、人工知能、サーバーファーム、クラウド、フォトニクス、電気及び自動運転車、モバイルデバイスなど)、高純度ガスの製造、精製、分析、及び機器技術を開発しています。

グローバル市場で急速に変化するお客様のニーズに迅速に対応するため、グループ会社間でマーケティング、R&Dアウトプット、エンジニアリングデザインなどの活動を共有し、製造及びロジスティクスを含む最適化されたサプライチェーンを備えた高品質で高付加価値の製品を開発しています。お客様との緊密な協力により、ガスの純度、パッケージング、ガス供給に関するお客様のニーズを把握しています。米国ガス事業のR&Dは、既存製品の改善と顧客により良いサービスを提供する新製品の開発の両方に適用できる取り組みを進めています。

また、米国ガス事業の研究開発活動は、リスクを最小限に抑えながら経済的利益を最大化することが期待されるプロジェクトに焦点を当てています。当連結会計年度においては、米国及び韓国の生産工場におけるガス製造プロセスの品質向上に貢献してきました。また、モデリングとシックスシグマアプローチを使用して、プロセスのスループットを最適化し、ダウンタイムを最小限に抑えるための最適な方法を確立しました。ガス分析技術の範囲を拡大することにより、顧客向けの分析証明書に新しい成分ガス種を追加することができました。さらに、pptレベルで感度の高いトレース分析メソッドが開発され、メソッドの機能が実証されています。

米国ガス事業の研究開発は、次世代デバイスを求める顧客から求められる高純度の新製品や既存製品の開発においても重要な役割を果たしてきました。これらは、ガス合成アプローチ、不純物を除去するための精製戦略、シリンダーパッケージと準備アプローチ、新しい機器デリバリーシステムソリューション、及び製品の純度を確認するための新しい分析方法の開発とテストを通じて行われました。

 

 

〔サーモス事業〕

モーションカテゴリーでは真空断熱ポケットマグJOJ-120、180を開発しました。少ないパーツなのでお手入れカンタンで、取り外ししやすいパッキン付きです。また、小さめのカバンにもラクラク入る胴径4.5cmです。また、ポケットマグ用ポーチAPH-150/180を開発しました。ポケットマグにぴったりなポーチでフックを掛けられるループ付きです。手洗いもできます。

スポーツカテゴリーでは真空断熱ボトルFJH-720を開発しました。バッグにすっぽり入るサイズで、室内スポーツにもお勧めでコンパクトサイズのスポーツボトルです。軽量コンパクトで衝撃に強いソコカバー付き商品です。

スタイルカテゴリーでは、ストローボトルFHLシリーズのフルモデルチェンジであるFJM-350、450を開発しました。幅広いシーンで利用できるストローボトルです。スリムになって持ち歩きやすくなりました。日常の水分補給や、ウォーキング、スポーツ観戦に最適です。

クールウェーブカテゴリーでは、保冷ショッピングバッグRFA-025を開発しました。毎日のお買い物に便利な大容量のボックス型です。また、サーモス独自のアイソテック4層断熱構造の保冷機能付きで、しかもコンパクトにたためるうえに、小物の収納に便利なフロントポケット付きです。