(1)業績
当連結会計年度における世界経済は、6月の英国の国民投票によるEU離脱決定、11月の米国の大統領選挙の結果等を受け不透明感が高まりましたが、先進国を中心に全体としては大きな減速はなく緩やかな回復傾向が続きました。米国経済は個人消費、非製造業を中心とした雇用の増加に支えられ堅調に推移した結果、昨年12月、本年3月と2回の利上げを実施し、金融緩和の出口に差し掛かっております。欧州経済も個人消費の伸び、製造業に回復傾向が見られ全体として景気回復が続きました。中国経済は過剰設備の解消問題から景気減速が心配されましたが、政策による下支えから持ち直しております。
日本経済については、年度後半に産油国による減産合意があり原油等の資源価格は上昇基調にあるものの、輸出の回復等を背景に企業業績は順調に推移し、雇用情勢の改善から実質所得も伸び、個人消費及び住宅投資に持ち直しが見られました。不安定な株価、為替動向により不透明感は続いており、政府による成長戦略の強力な実行が望まれます。
このような状況下、当社グループにおきましては、顧客ニーズに基づく製品の改良、旺盛な需要に対応した生産供給体制の確立、中期的利益拡大を目指した製品群の安定生産、コスト削減を意図した製造工程の見直しを実施いたしました。
業績につきましては、堅調な国内市場に支えられ当社グループ製品の売上高は増加いたしましたが、一部扱い商品の減少並びに海外売上が円高の影響を受けた結果、売上高は118億7百万円(前年同期比2億48百万円、2.1%減)となりました。営業利益につきましては、IT素材並びに建設関係需要伸びによる化合品売り上げの増加、安定供給を目指した設備改良による稼働率の向上、生産コスト改善施策の実施により、5億69百万円(前年同期比1億63百万円、40.4%増)と増加いたしました。経常利益につきましては、受取配当金の増加、為替差損の減少などもあり6億91百万円(前年同期比2億8百万円、43.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、4億97百万円(前年同期比1億87百万円、60.7%増)となりました。
次期の経済見通しにつきましては、先進国を中心に緩やかな回復傾向が続くと予想されるものの、原油を中心とする不安定な資源価格の動き、米国内の大統領と議会の対立にみられる政治的混乱、中東・東アジアにおける地政学的混乱等不安定な状況が続きます。このような情勢下当社グループにおきましては、IT素材、精密化学品用途等の成長分野でのシェア拡大、自動車用部材、建設用資材等の既存分野での安定供給、製品改良によるシェアの維持拡大を目指してまいります。また、ITを活用した効率的な生産体制の構築に力を注いでまいります。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、2億33百万円増加して18億69百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は13億88百万円(前年同期比 1億27百万円、10.2%増)で、これは主に税金等調整前当期純利益6億80百万円、減価償却費6億58百万円、未払金1億31百万円などの資金増加に対し、法人税等の支払1億46百万円、未払消費税等82百万円などの資金減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は6億21百万円(前年同期比 1億65百万円、36.4%減)で、これは主に有形固定資産の取得4億61百万円、投資有価証券の取得1億43百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は5億25百万円(前年同期比 2億51百万円、91.9%減)で、これは主に長期借入金の返済4億54百万円、配当金の支払い67百万円によるものです。
(1)生産実績
当連結会計年度におけるグループ生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
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品目 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
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化合炭酸カルシウム(百万円) |
4,800 |
104.7 |
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重質炭酸カルシウム(百万円) |
971 |
100.6 |
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その他(百万円) |
266 |
87.8 |
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合計(百万円) |
6,038 |
103.1 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注状況
製品について見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度におけるグループ販売実績をグループ内での製造品・グループ外からの購入品の別及び品目別に示すと、次のとおりであります。
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品目 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
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化合炭酸カルシウム(百万円) |
4,846 |
104.3 |
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グループ内 |
重質炭酸カルシウム(百万円) |
974 |
100.3 |
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製造品 |
その他(百万円) |
284 |
92.1 |
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小計(百万円) |
6,104 |
103.0 |
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化合炭酸カルシウム(百万円) |
158 |
99.1 |
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グループ外 |
重質炭酸カルシウム(百万円) |
2,304 |
96.5 |
|
購入品 |
その他(百万円) |
3,239 |
90.5 |
|
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小計(百万円) |
5,702 |
93.1 |
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合計(百万円) |
11,807 |
97.9 |
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(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度におけるグループ販売実績を用途別に示すと、次のとおりであります。
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用途 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
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合成樹脂(百万円) |
5,304 |
102.9 |
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塗料(百万円) |
3,260 |
88.6 |
|
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輸出(百万円) |
963 |
98.9 |
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食品・飼料(百万円) |
788 |
100.6 |
|
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ゴム(百万円) |
698 |
96.0 |
|
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その他(百万円) |
793 |
107.9 |
|
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合計(百万円) |
11,807 |
97.9 |
|
(注)1.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が10%以上の相手先がないため記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループにおきましては、下記に掲げる企業理念に基づき、持続的に成長し、中長期的な企業価値を向上させ、最良のコーポレートガバナンスを実現することを経営の基本方針とします。
(企業理念)
1.私たちは、常に新たな価値の創造に挑戦し、人と社会に豊かさと快適さを提供します。
2.私たちは、オープン、フェア、クリアーな企業風土のもと、人間性の尊重を基本とします。
3.私たちは、革新的な技術開発と環境の調和を志し、最高品質の商品とサービスを世界に届けます。
「他社がつくれないものを、またお客様が本当に欲するものを提供していきたい。」との考えのもと、独りよがりな技術を一方的に提供するのではなく、お客様と議論を重ね、共に製品開発に取り組む中で、真のニーズを引き出す姿勢を忘れません。
また、中間素材メーカーとしての基礎体力を維持していくために、基礎研究に真摯に取り組み、豊かな創造力
を以て幅広い応用研究へと発展させてまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、事業活動の成果を表す経営指標としては収益性を重視し、自己資本当期純利益率(ROE)8%を中長期の目標といたします。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、自動車用部材や建築用資材、記録材料、電子部材やアメニティー用途、機能性食品や精密化学品用途など、私たちの身の回りのあらゆる物の機能を高める商品で、人と社会に豊かさと快適さを提供します。
その為に、基礎研究・応用研究を充実させ、環境と調和した革新的な技術で開発した、最高品質の商品とサービスを世界に届けます。
(4)会社の対処すべき課題
当社グループは、この変化の激しい時代において企業価値を維持向上させるため、次の項目に重点を置いて経営を進めてまいります。
①新たな価値の創造に挑戦する研究開発の活性化。
②自動車用部材、建築用資材等、既存分野での新製品投入によるシェア拡大。
③電子部材、精密化学品用途などの成長分野への新製品開発。
④アジアを中心とする世界に向けた販売体制の確立。
⑤環境保全を重視した商品開発・製造体制の維持向上。
⑥ITを活用した効率的な生産体制の構築。
⑦オープン、フェア、クリアーな企業風土のもと、人間性の尊重を基本とし、ステークホルダーの利益を考慮したコーポレートガバナンスの実現。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)原料の調達について
当社グループが調達する原料には特定少数の仕入先からしか入手できないものがあり、また、海外からの調達等のため、仕入先の国の政治・経済や為替動向により仕入量及び単価が大きく変動し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)知的財産権の保護について
当社グループは他社製品との差別化を図るために独自の技術開発と知的財産権の保護に努めておりますが、第三者による当社グループの知的財産を使用した類似製品の製造販売を完全に防止できないことや、当社グループの製品が他社の知的財産権の侵害をしていると判断されることが生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)貸倒れリスクについて
当社グループでは売上債権管理として与信年齢調べ、回収条件の厳正運用、引当金の設定などを行い、不測の事態に対応すべく努力しておりますが、取引先の信用不安などによる予期せぬ貸倒れにより当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)製品の品質と責任について
当社グループは顧客に信頼されるべく品質第一に製品開発を行い、国際的な品質管理システムに則り製品を設計、製造しております。また、生産物責任賠償保険に加入しておりますが、これらを超える重大な品質トラブルが発生した場合、当社グループ及び製品への信頼を失う恐れがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)事故及び災害について
当社グループは事故及び災害による製造設備の停止を防止するための対策を充実させる一方、生産拠点の分散を図るなど製品の安定供給体制整備に努めております。しかしながら予想を上回る大規模な産業事故、大規模災害などによる製造設備の損壊を被るような事態が発生した場合、可及的速やかに生産再開を図るため事業継続計画を立案しておりますが、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)繰延税金資産の取崩しについて
当社グループは将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っておりますが、将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合、繰延税金資産は減額され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)固定資産の減損について
当社グループは固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。将来、業績の大幅な悪化や不動産価格の下落等があった場合、減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
特記すべき事項はありません。
当社グループは、最近ますます求められております商品に対する高機能化、高性能化、あるいはユーザー最終商品の差別化に応えるため、新製品の開発を強力に進めるとともに、今後の事業発展に向けての長期的視点から、事業推進の核となる新技術を確立するため、炭酸カルシウムを中心とした各種無機粉体の基礎研究及び新規用途拡大のための応用研究まで幅広く積極的に取り組んでおります。
現在、当社グループの研究開発は当社中央研究所により推進されており、その研究開発スタッフは全体で34名であり、これは当社グループ総従業員数の12.8%に相当いたします。
当連結会計年度中に支出した研究開発費の総額は3億11百万円(消費税等抜き)となっております。
当連結会計年度における主な研究開発状況及びその成果は、次のとおりであります。
(1)近年の商品開発速度に即応すべく新規無機素材の開発と効率的な製造技術の研究を進めております。
(2)炭酸カルシウム等を中心とした各種無機粒子の合成、粒子形状と粒子サイズの制御、単分散化、表面改質等の基礎研究を行っております。
(3)応用研究開発としては、炭酸カルシウム等の無機素材について従来のシーラント、合成樹脂、食品等の分野でのより一層の機能性付与の検討と、一方、新規分野への用途開発の研究を進めております。
(4)主な成果としては、シーラント、フィルム等の分野での新製品の販売量増加、農業用材料分野での研究実績等を挙げる事が出来ます。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ9億14百万円増加し、141億21百万円となりました。これは主に、上場株式の相場上昇等による投資有価証券増加8億19百万円、現金及び預金増加2億99百万円によるものです。
(負債)
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ33百万円増加し61億90百万円となりました。これは主に、事務棟新設に伴う未払金増加1億90百万円、投資有価証券増加に伴う繰延税金負債増加1億87百万円に対し、約定返済進行に伴う長短借入金減少4億56百万円によるものです。
(純資産)
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ8億81百万円増加し79億31百万円となりました。これは主に、利益剰余金増加4億30百万円、その他有価証券評価差額金増加4億77百万円によるものです。自己資本比率は2.9ポイント上昇して53.7%となりました。
(2)経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は118億7百万円(前連結会計年度比2億48百万円、2.1%減)、売上原価は93億7百万円(前連結会計年度比5億26百万円、5.4%減)、売上総利益は24億99百万円(前連結会計年度比2億77百万円、12.5%増)、販売費及び一般管理費19億30百万円(前連結会計年度比1億14百万円、6.3%増)、営業利益は5億69百万円(前連結会計年度比1億63百万円、40.4%増)、経常利益は6億91百万円(前連結会計年度比2億8百万円、43.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億97百万円(前連結会計年度比1億87百万円、60.7%増)となりました。
売上高2億48百万円減少の主な要因は、商品売上高の減少、人民元高による海外売上高の減少によるものであります。
売上原価5億26百万円減少の主な要因は、商品売上高減少に伴う仕入高の減少、減価償却費の減少、人民元高による海外仕入高の減少によるものであります。
販売費及び一般管理費1億14百万円増加の主な要因は、創立90周年記念行事関連費用40百万円などによるものです。
以上の結果、営業利益は1億63百万円、経常利益は2億8百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1億87百万円それぞれ増益となり、期初予想を上回る業績を達成することが出来ました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
日本経済全体が世界経済の動向に左右される度合いを強める中、当社グループにおきましても、海外売上高の増加に伴う為替変動リスクが増加しております。また、原材料においては、国際価格の変動が直ちに調達価格に反映される等、コスト面における価格変動リスクが増加しております。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2[事業の状況]1[業績等の概要](2)キャッシュ・フロー」に記載しております。