(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、1926年(大正15年)の創業以来、「創造 融和 誠実」の社是のもと、地球が作り出してくれた安心・安全な素材である「炭酸カルシウム」の新たな価値を創造し、社員一同が助け合い、誠実なもの作りを通じて、人々の豊かな生活を支えることを旨としてまいりました。
1982年(昭和57年)には、当社グループの精神を体現する下記の「基本方針」を定め、誠実なもの作りと、チャレンジ精神を発揮して、社会に信頼され、会社と社員がともに栄えることで、企業価値の維持向上の実現を目指してまいりました。
「基本方針」
1.我々は信義を尊び誠実を旨として広く社会の信頼を得よう。
1.我々は未知に挑戦し困難に立ち向かう勇気と力を持とう。明日を切り拓くために。
1.我々は良いものを造ろう。社の名誉にかけて。
1.我々は栄光の社歴と光輝ある伝統をふまえ社の繁栄のもと生活の向上を図ろう。
今後も、社員、お客様、社会、株主等当社グループを取り巻くステークホルダーとの絶えざる「対話」を通じて、豊かな、持続可能な社会の実現のための課題を発見し、その克服に努めてまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、豊かな、持続可能な社会実現に向け、継続的に「人」と「もの」に投資するための指標として、ROE8%を中長期の経営指標といたします。
(3)中長期的な当社グループの経営戦略と対処すべき課題
今後の経済見通しにつきましては、欧米ではロシアのウクライナ侵攻と西側諸国による対ロシア経済制裁により資源価格が高騰し、インフレ圧力が一段と強まっております。中国では恒大集団の信用不安に端を発した不動産市場の冷え込みや、ゼロコロナ政策下での上海市をはじめとするロックダウンなどが景気成長の減速要因となっております。日本経済につきましては、ワクチン接種率の上昇により経済活動の正常化は進んでいくと思われますが、ウクライナ情勢の緊迫化などによる資源価格の高騰が多くの企業の収益を下押ししており、今後も予断を許さない状況となっております。このような情勢下、当社グループにおきましては、企業価値の維持向上のため、企業としてどうあるべきかを考えた結果、次の項目に重点を置いて経営を進めてまいります。
①働く人の安全・安心を確保したうえで、人材の活性化を最優先する仕組み作りを進め、直ちに運用してまいります。
②「品質の向上」こそが企業価値を高め、お客様の満足を得る最良の手段であることを、当社グループ全体に浸透させ、行動に移してまいります。
③失敗を恐れず新しいチャレンジを継続的に実行するため、若手を中心に「プロジェクトチーム」を多用して経験値を積ませ、生産・研究開発体制の向上を図ります。
④「SDGs」・「ESG」の思想を取り入れた、国内外で通用する世界品質の研究開発・生産・営業体制を確立します。また、2050年のカーボンニュートラルを視野に、炭酸ガス排出量を低減させる燃料への転換に取り組みます。
⑤既存のお客様を大切にし、その発展に資する製品を供給し続けるとともに、炭酸カルシウムの新しい価値を追求して、世界に提案してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)原料の調達について
当社グループが調達する原料には特定少数の仕入先からしか入手できないものがあり、また、海外からの調達等のため、仕入先の国の政治・経済や為替動向により仕入量及び単価が大きく変動し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)知的財産権の保護について
当社グループは他社製品との差別化を図るために独自の技術開発と知的財産権の保護に努めておりますが、第三者による当社グループの知的財産を使用した類似製品の製造販売を完全に防止できないことや、当社グループの製品が他社の知的財産権の侵害をしていると判断されることが生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)貸倒れリスクについて
当社グループでは売上債権管理として与信年齢調べ、回収条件の厳正運用、引当金の設定などを行い、不測の事態に対応すべく努力しておりますが、取引先の信用不安などによる予期せぬ貸倒れにより当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)製品の品質と責任について
当社グループは顧客に信頼されるべく品質第一に製品開発を行い、国際的な品質管理システムに則り製品を設計、製造しております。また、生産物責任賠償保険に加入しておりますが、これらを超える重大な品質トラブルが発生した場合、当社グループ及び製品への信頼を失う恐れがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)事故及び災害について
当社グループは事故及び災害による製造設備の停止を防止するための対策を充実させる一方、生産拠点の分散を図るなど製品の安定供給体制整備に努めております。しかしながら予想を上回る大規模な産業事故、大規模災害などによる製造設備の損壊を被るような事態が発生した場合、可及的速やかに生産再開を図るため事業継続計画を立案しておりますが、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)繰延税金資産の取崩しについて
当社グループは将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っておりますが、将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合、繰延税金資産は減額され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)固定資産の減損について
当社グループは固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。将来、業績の大幅な悪化や不動産価格の下落等があった場合、減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)新型コロナウイルス感染症について
新型コロナウイルス感染症の拡大による世界経済や市場環境への影響は大きく、今後の広がり方や収束時期によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、従業員とその家族、取引先等の健康と安全を最優先と捉え、日本政府による方針や要請に基づき、時差出勤、在宅勤務、Web会議及び出張制限等といった勤務体制の変更をはじめ、検温、手洗いや消毒、マスクの配布及び着用、不要不急の外出自粛及び三密の回避など、感染予防・拡大防止に努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済については、ワクチン接種の普及が進み、制限されていた経済活動が再開されるなど欧米諸国を中心に回復基調で推移しました。一方で、経済活動の再開に伴い需要が急激に増えたことにより、半導体をはじめとする部材の供給不足、原油などの資源価格の上昇、コンテナ不足を背景にした物流網の混乱などによる経済活動への影響がでており、加えて新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大、ウクライナ情勢などによる経済活動への影響が懸念されるなど依然として先行き不透明な状況にあります。日本経済については、2021年9月末に緊急事態宣言が全面解除されて以降、ワクチン接種の普及も進み緩やかながら持ち直しの動きがみられたものの、新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大、急激な円安進行、ウクライナ情勢などの影響が顕在化し始めるなど、依然として予断を許さない状況にあります。
このような経済情勢下、当社グループにおきましては、新型コロナウイルス感染防止策を徹底し、品質の向上と安定供給を目指し生産工程の見直しや設備のIT化に努めてまいりました。売上高につきましては、コロナ禍前の状態までには回復しておりませんが建築資材向けなどが増加したことなどにより、115億67百万円(前年同期比7億22百万円の増加)となりました。損益面につきましては、前年に比して売上高は順調に回復しましたが、下半期からの急激な資源価格の高騰などの影響により営業利益1億38百万円(前年同期比13百万円の減少)、経常利益2億92百万円(前年同期比14百万円の減少)、親会社株主に帰属する当期純利益1億90百万円(前年同期比11百万円の増加)となりました。
今後の経済見通しにつきましては、欧米ではロシアのウクライナ侵攻と西側諸国による対ロシア経済制裁により資源価格が高騰し、インフレ圧力が一段と強まっております。日本経済につきましてもウクライナ情勢の緊迫化などによる資源価格の高騰が、多くの企業の収益を下押ししており、今後も予断を許さない状況となっております。次期の見通しにつきましては、売上高は120億円(前年同期比4億32百万円、3.7%増)と増収を見込んでおります。損益面につきましては、原料燃料価格の上昇による影響が続くものと想定され、販売価格の値上げ、コスト削減の努力を致しますが、営業利益は80百万円(前年同期比58百万円、42.2%減)、経常利益は2億円(前年同期比92百万円、31.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は80百万円(前年同期比1億10百万円、58.1%減)と見込んでおります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は1億16百万円減少しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項の(会計方針の変更)」をご参照ください。
財政状態の状況につきましては、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ9億58百万円減少し156億37百万円となりました。これは主に売掛金が3億12百万円、商品及び製品が96百万円増加し、投資有価証券が10億74百万円、機械装置及び運搬具が2億36百万円減少したことなどによるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ4億47百万円減少し63億40百万円となりました。これは主に未払金が1億28百万円増加し、繰延税金負債が3億27百万円、長期借入金が2億49百万円減少したことなどによるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ5億11百万円減少し92億97百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3億50百万円減少し26億84百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は5億29百万円で、これは主に税金等調整前当期純利益2億78百万円、減価償却費5億89百万円、仕入債務の増加56百万円などによる資金増加に対して、売上債権の増加2億18百万円、棚卸資産の増加1億45百万円などによる資金減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は4億41百万円で、これは主に投資有価証券の償還1億円の収入に対して、定期預金の預入1億36百万円、投資有価証券の取得52百万円、有形固定資産の取得3億26百万円などの支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は4億78百万円で、これは主に短期借入金の純減額1億27百万円、長期借入金の返済2億49百万円、非支配株主への支払を含めた配当金の支払額85百万円などの支出によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度におけるグループ生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
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品目 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
化合炭酸カルシウム(百万円) |
5,010 |
111.3 |
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重質炭酸カルシウム(百万円) |
928 |
104.5 |
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その他(百万円) |
4 |
96.9 |
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合計(百万円) |
5,943 |
110.2 |
(注)金額は、販売価格によっております。
b.受注実績
製品について見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度におけるグループ販売実績をグループ内での製造品・グループ外からの購入品の別及び品目別に示すと、次のとおりであります。
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品目 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
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グループ内 製造品 (製品) |
化合炭酸カルシウム(百万円) |
4,857 |
108.0 |
|
重質炭酸カルシウム(百万円) |
934 |
105.3 |
|
|
その他(百万円) |
4 |
96.9 |
|
|
小計(百万円) |
5,796 |
107.5 |
|
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グループ外 購入品 (商品) |
化合炭酸カルシウム(百万円) |
204 |
119.7 |
|
重質炭酸カルシウム(百万円) |
2,467 |
105.3 |
|
|
その他(百万円) |
3,098 |
105.4 |
|
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小計(百万円) |
5,770 |
105.8 |
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合計(百万円) |
11,567 |
106.7 |
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当連結会計年度におけるグループ販売実績を用途別に示すと、次のとおりであります。
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用途 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
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合成樹脂(百万円) |
5,038 |
107.6 |
|
塗料(百万円) |
2,386 |
93.6 |
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輸出(百万円) |
1,506 |
112.2 |
|
食品・飼料(百万円) |
754 |
99.6 |
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ゴム(百万円) |
691 |
112.7 |
|
その他(百万円) |
1,190 |
132.2 |
|
合計(百万円) |
11,567 |
106.7 |
(注)最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が10%以上の相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。
第75期につきましては、化合炭酸カルシウム等の生産合理化及び品質向上などを意図して、設備投資を9億3百万円(第74期比4億89百万円増)実行する予定です。
運転資金、設備投資資金等につきましては、自己資金又は金融機関からの借入による資金調達を予定しております。
中長期の目標経営指標としましては、自己資本当期純利益率(ROE)8%を目指しております。当期は2.1%(前期2.0%)であり、上記に記した施策にて更なる収益構造の改善に努める所存です。
②資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主な資金需要は、原材料や商品の仕入、製造費、販売費及び一般管理費などの運転資金並びに設備投資資金であります。また、これらの主な資金調達としては、営業活動によるキャッシュ・フローなどの自己資金や金融機関からの借入によっております。
特記すべき事項はありません。
当社グループは、炭酸カルシウムを中心とした各種無機粉体の特徴を活かし、日本国内のみならず海外ユーザーから求められておりますさまざまな用途における商品の高機能化、高性能化に応える研究開発活動を行っております。それに伴い、新製品の開発を強力に進めるとともに、今後の事業発展の核となる新技術を確立するため、基礎研究及び応用研究まで幅広く積極的に取り組んでおります。
現在、当社グループの研究開発は当社中央研究所により推進されており、その研究開発スタッフは全体で28名であり、これは当社グループ総従業員数の10.5%に相当いたします。
当連結会計年度中に支出した研究開発費の総額は
昨今のコロナ禍における研究開発活動はまだまだ行動に制約がございますが、当連結会計年度における主な研究開発状況及びその成果は、次のとおりであります。
(1)国内外のどの製造拠点においてもよりハイレベルで同一の品質が得られる炭酸カルシウムの製造技術が確立され、またカーボンニュートラルに向けてプロジェクトを立ち上げ検討を開始しております。
(2)炭酸カルシウムだけでなく各種無機粒子の合成、粒子形状と粒子サイズの制御、単分散化、表面改質等、固定観念にとらわれない基礎研究をさらに積み重ねております。
(3)応用研究開発としましては、合成樹脂、食品等の他の無機素材で使用されている分野において、経済性だけでなく、安全面や環境にやさしい炭酸カルシウムの無機素材としての特徴を生かし、環境負荷低減社会に適応した機能性付与の向上と新規分野への用途開発の研究を進めております。
(4)主な成果としましては、食品分野では新規グレードへの採用、住宅資材、自動車用資材分野製品の供給体制、及び製造技術の確立、また合成樹脂分野においての新規採用を挙げる事ができます。