第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当社グループを取り巻く経営環境は、中国をはじめ新興国経済が減速するなかで、国内経済も少なからず影響を受け、期の後半にかけて景気持ち直しのけん引役の一つである製造業の設備投資は盛り上がりを欠くものとなりました。また、産業素材においては在庫が高水準で推移しており、景気全般に停滞感が強まってまいりました。
 こうしたなか、産業ガス関連事業は、高炉向けガス供給が想定以上に減少したものの、新規顧客の獲得が大きく前進するとともに、電気代上昇影響がひと息つくなど、大きく業績改善いたしました。医療関連事業は、在宅医療における新製品投入や主要病院への取り組み強化などにより大きな成果が現れるなど、5つの柱の事業全てが前年を上回る成果を上げることができました。エネルギー関連事業は、原油安により厳しい環境にありましたが、徹底した数量拡大策を推進いたしました。農業・食品関連事業は、全国規模の青果小売チェーンや青果仲卸企業をグループに迎えるなど、積極的なM&Aにより事業の強化拡大とグループシナジー創出のための基盤づくりを推進いた
しました。さらに、海水事業や物流事業をはじめとする、ねずみの集団経営を支える事業群は、それぞれの成長戦略を着実に実行し、全社業績に大きく貢献いたしました。
 しかしながら、ケミカル関連事業においては、原油価格下落に伴う市況悪化や中国景気減速によりタール蒸留事業を中心に厳しい状況となりました。持分法適用会社において中国子会社の減損処理も加わり、持分法投資損益の悪化が全社経常利益に大きな影響を及ぼしました。
 
 この結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高は6,606億2千2百万円(前年同期比100.0%)、営業利益は395億2千4百万円(同109.4%)、経常利益は350億7千5百万円(同91.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は201億3千9百万円(同97.3%)となりました。

 

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

平成27年3月期
(百万円)

660,541

36,126

38,159

20,702

平成28年3月期
(百万円)

660,622

39,524

35,075

20,139

前年同期比(%)

100.0

109.4

91.9

97.3

 

 

 

セグメントの業績及び概況につきましては、次のとおりであります。

 

(産業ガス関連事業)

産業ガスは、化学、造船、電子部品などにおいて堅調な生産を続ける一方、当社最大顧客である鉄鋼、製造業全体への波及効果の大きい自動車などに減産が見られるなど、顧客の操業度回復にも強弱入り混じる状況となりました。こうしたなか、当社は顧客の数少ない設備投資タイミングを確実に捉え、小型オンサイトプラントを新設するなど、産業ガス事業のビジネスモデルであるガストータルサービスの徹底により新規顧客獲得に努めました。また、VSU戦略の推進やVSUと連動する充填所の整備など、地域ビジネスの強化を推進いたしました。
 産業ガスの製造コストの約6割を占める電気料金は、燃料費調整下落によりひと息ついたものの、北海道や関西ではさらなる値上げが実施されたことから、地域や顧客ごとに産業ガス価格適正化の取り組みを継続してまいりました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は1,947億8千7百万円(前年同期比95.9%)、経常利益は142億1千5百万円(同111.9%)となりました。

 

(ケミカル関連事業)

ケミカル関連事業は、コールケミカルにおいて、原油価格急落に伴い基礎化学品の主力である粗ベンゼンの販売価格が低下いたしました。また、持分法適用会社である㈱シーケムが担うタール蒸留事業は、世界的な需要悪化と市況の低迷に加え、同社の中国子会社の株式減損処理を行うなど大きくマイナス影響を受け厳しい状況となりました。なお、第1四半期連結会計期間より、川崎化成工業㈱を連結の範囲に含めております。
 以上の結果、当セグメントの売上高は869億9千4百万円(前年同期比84.8%)、経常損失は48億6千7百万円(前年同期は25億3千5百万円の経常利益)となりました。

 

(医療関連事業)

医療関連事業は、病院設備事業では高度医療分野に焦点を合わせた取り組みにより、受注件数の増加を図りました。医療用ガスについては、医療用酸素での新規病院の獲得により、数量が増加いたしました。医療サービス事業では、病院からの滅菌の受託が新規案件の獲得により拡大いたしました。また、SPDにおいてもコストの見直しなど、事業体質の強化を進めております。医療機器は、得意分野である新生児・小児、周産期関連の機器販売やレンタルが増加するとともに、一酸化窒素吸入療法が、症例の適用拡大により伸長するなど堅調に推移いたしました。在宅医療は、事業体制の変革を推進するとともに、平成27年1月に投入した在宅用酸素濃縮器が好調に推移いたしました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は1,245億4千万円(前年同期比105.3%)、経常利益は86億6千8百万円(同113.6%)となりました。

 

(エネルギー関連事業)

エネルギー関連事業は、LPガスは輸入価格下落が続くなか、相対的競争力が高まってきたことをエネルギー提案の好機と捉え、大口顧客を対象とした燃料転換活動、戸建住宅を対象としたハイブリッド給湯暖房導入を推進するなど、あらゆる顧客層で新規獲得と増販施策を推し進めてまいりました。またLPガスの利用に応じた電子マネーを付与する新たなサービスをスタートさせ、新規顧客獲得に努めました。灯油は、LPガスとの付帯販売による増客の徹底、仕入れ調達の工夫ときめ細かな販売管理により総じて堅調に推移いたしました。
 このようにエネルギー関連事業は、提案力と新サービスにより販売強化を徹底し、数量増加に努めることで環境対応力のある事業へと成長いたしました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は463億5千6百万円(前年同期比87.8%)、経常利益は35億9千7百万円(同113.3%)となりました。

 

 

(農業・食品関連事業)

農業・食品関連事業は、ハム・デリカ・冷凍食品事業は、ヨーロッパ野菜の新製品を投入するとともに、原料にこだわった冷凍ケーキの販売を拡大することで、為替影響や原料コストの上昇などを吸収して堅調に推移いたしました。
 農産・加工事業は、農産事業では主要な産地である北海道の作柄が良好だったことに加え、主力の馬鈴薯や人参の販売も好調に推移いたしました。また、加工事業においては原料の安定供給が進み、順調に加工生産が進むとともに販売数量が増加いたしました。また、第2四半期連結会計期間より青果小売の㈱九州屋、第3四半期連結会計期間より市場中卸である㈱高谷商店がグループに加わったことにより、栽培から調達・加工、販売までサプライチェーンの基盤強化が進みました。
 一方、飲料事業は、受託の回復は思ったほど進まず、厳しい状況で推移いたしましたが、前年に近い水準に落ち着きました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は915億5千1百万円(前年同期比128.2%)、経常利益は30億1千6百万円(同143.3%)となりました。

 

(その他の事業)

その他事業のうち海水事業は、塩事業が暖冬影響により道路融雪用塩が減少いたしました。一方、赤穂工場に建設した木質バイオマス発電が稼働を開始し、発電と熱エネルギー供給で業績貢献いたしました。マグネシア事業は、高級電磁鋼板用マグネシアが販売増加により好調に推移いたしました。また中国大連工場において生産するヒーター用マグネシアは、中国国内をはじめ海外向けに販売量が順調に増加いたしました。
 物流事業は、食品物流や農産物などの輸送拡大に、軽油値下がりによるコストの減少が加わり順調に推移いたしました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は1,163億9千2百万円(前年同期比103.7%)、経常利益は90億8千6百万円(同114.1%)となりました。

 

 

(2) 財政状態及びキャッシュ・フローの状況

 

財政状態

 

(資産の部)

流動資産は、受取手形及び売掛金の増加などにより前連結会計年度末に比べて167億7千8百万円増加し、2,421億4千3百万円となりました。

固定資産は、有形固定資産の増加などにより前連結会計年度末に比べて114億1千1百万円増加し、3,336億8千9百万円となりました。

以上の結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて281億8千9百万円増加し、5,758億3千2百万円となりました。

 

(負債の部)

負債は、借入金の増加などにより前連結会計年度末に比べて121億6千4百万円増加し、3,196億5千2百万円となりました。

 

(純資産の部)

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の積み上げや非支配株主持分の増加などにより前連結会計年度末に比べて160億2千5百万円増加し、2,561億7千9百万円となりました。

なお、1株当たり純資産額は前連結会計年度の1,155.80円から1,196.92円に増加し、自己資本比率は前連結会計年度の41.3%から40.8%になりました。

 

キャッシュ・フローの状況

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ51億6千7百万円減少し、235億9千5百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金収支は、税金等調整前当期純利益及び減価償却費などから法人税等の支払額などを差し引いた結果、前連結会計年度に比べて75億5千9百万円減少し、435億1千2百万円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金収支は、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ51億6千3百万円支出が増加し、406億4千7百万円の支出となりました。その結果、フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ127億2千3百円減少し、28億6千4百万円となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金収支は、運転資本の調達を行ったものの、子会社株式の追加取得による支出などにより、前連結会計年度に比べ1億7千4百万円支出が増加し、81億1千5百万円の支出となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

産業ガス関連事業

58,043

92.2

ケミカル関連事業

68,934

87.3

医療関連事業

28,932

106.0

エネルギー関連事業

1,214

1,373.6

農業・食品関連事業

60,790

99.1

その他の事業

35,631

108.6

合計

253,546

96.2

 

(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

製品のほとんどが見込生産であります。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

産業ガス関連事業

194,787

95.9

ケミカル関連事業

86,994

84.8

医療関連事業

124,540

105.3

エネルギー関連事業

46,356

87.8

農業・食品関連事業

91,551

128.2

その他の事業

116,392

103.7

合計

660,622

100.0

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

新日鐵住金㈱

109,537

16.6

77,462

11.7

 

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

 

3 【対処すべき課題】

今後の当社グループを取り巻く経営環境といたしましては、産業ガスの主要需要先である鉄鋼業界では、中国における過剰生産を背景とした国内在庫の過剰感の解消にもう暫く時間を要するものと見込まれます。また、新興国経済の減速や足元の円高進行は、輸出関連産業を中心とする国内製造業の先行きに影を落としています。

一方、景気回復の牽引役となる企業の設備投資は、足元において国内外の経済成長の鈍化に対する警戒感が残るものの、過去最高水準の企業収益や東京オリンピック関連投資の活発化などを背景に、設備更新需要が下支えする形で、緩やかながら持ち直しの動きが継続するものと見込まれます。

このような経営環境の下、当社グループは、平成28年度から平成30年度までの3カ年を実行期間とする新中期経営計画「NEXT-2020 Ver.3」をスタートさせました。この新中期経営計画は、6年前の平成22年度に掲げた長期成長ビジョン「2020年度1兆円企業ビジョン」の第3ステップとなるものです。

新中期経営計画では、これまでの中期経営計画における成果と足跡を踏まえながら、「1兆円企業ビジョン実現ヘの体質づくり」と「ポスト2020に向けての礎づくり」という2つのミッションを定めました。そして、「構造改革と持続成長への挑戦」をテーマに、①事業構造改革の実践による企業体質の強化、②極限のソリューションサービス追求とイノベーションの実現、③「ポスト2020」に向けての課題への挑戦、という3つの基本方針を定め、これらの基本方針に基づく諸種の施策を着実に実行することによって、最終年度の平成30年度において、売上高8,500億円、営業利益510億円、経常利益510億円、親会社株主に帰属する当期純利益290億円の達成を目指すものであります。また、主要な経営指標といたしましては、経常利益率6%以上、ROE10%以上、自己資本比率40%、ネットD/Eレシオ0.75倍以下の達成を目指します。

新中期経営計画に基づく今後の主要な取り組みといたしましては、産業ガス関連事業において、生産および充填設備の増強投資と各地域の有力パートナーとの連携強化により地域事業の更なる深耕を図り、国内の収益基盤をより強固なものとしてまいります。また、海外においてコスト競争力のあるエンジニアリング体制を構築するとともに、東南アジア・北米をターゲットに新たなエンジニアリング事業の展開を図ってまいります。また、産業ガス関連事業とともに、当社グループの収益基盤を支える事業として位置付けているエネルギー関連事業およびケミカル関連事業においては、引き続き収益力の強化に向けた構造改革を進めるとともに、環境の変化に強い事業体質の構築に努めてまいります。

医療関連事業や農業・食品関連事業など、当社グループの今後の持続的成長を支える「生活系事業分野」の更なる強化と拡大にも注力いたします。医療関連事業においては、グループの総合力を活用し、高度医療から生活医療までの全ての医療分野をカバーできる、他社にはない医療ビジネスモデルを構築してまいります。また、農業・食品関連事業では、引き続き積極的なM&Aを実施し、ビジネス領域の拡大と新たなシナジーの創出を図ってまいります

さらに、当社グループの次世代の成長を担う事業といたしましては、木質バイオマスや石炭火力など各地域の特性に応じた発電事業の取り組みを加速するとともに、海外事業の更なる拡大や物流事業の構造改革を推進してまいります。

また、当社グループは、企業の社会的責任を自覚し、安全管理と安定操業の強化に向けた体制整備を図るとともに、コンプライアンスやリスク管理に関するグループ全体の管理体制について強化を図ってまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上、事業の状況、経理の状況等に変動を与え、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 市場

当社グループが製造・販売する酸素や窒素などの産業ガスは鉄鋼、エレクトロニクス、自動車や造船業界を大口顧客としております。そのため、当該業界の需要動向によっては産業ガスの販売に影響を及ぼす可能性があります。

原油価格の高騰などにより電力費用が上昇した場合、当社グループが製造・販売する酸素や窒素などの産業ガスの製造費用が増加します。この費用増分を顧客に転嫁できない場合は、産業ガスの収益に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループが販売しておりますLPガス・灯油はCP価格・原油価格などの影響を受けますが、仕入価格の変動を販売価格に速やかに転嫁できない場合は、LPガス・灯油の収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 燃油費の高騰

原油価格が上昇した場合、軽油費、燃油費、船舶利用費、航空利用費などの運送原価が増加します。これら費用増分を顧客に転嫁できない場合は、収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 薬価制度

当社グループは医療機関向けに医療用ガスや医療サービスを提供しております。そのため、薬価改定の内容によっては医療用ガスや医療サービスの販売に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 安全・品質

当社グループは高圧ガス保安法や液化石油ガス法に則り高圧ガスなどを製造・販売しておりますが、工場事故などが発生した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは薬事法に則り医療用ガスや医療機器を製造・輸入販売しておりますが、リコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは食品衛生法・JAS法(品質表示基準)などに則り冷凍食品やハム・デリカなどの食品を製造・販売しておりますが、品質などの問題が発生した場合には消費者の信用を失い、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 事業投資

当社グループは近年積極的にM&Aを展開し業容の拡大を図っております。事業投資が当初計画から乖離する場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 競合会社

当社グループの各事業において様々な競合会社が存在し、異業種からの新規参入などの潜在的な競合リスクも存在します。そのため、事業の拡大やコスト削減などの競合会社への対応が遅れた場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 環境規制

当社グループは国内外において、環境関連法規の規制を受けており、環境関連法規を遵守した事業活動を行っておりますが、環境関連法規の改定によって規制強化が図られた場合、対応コストの増大により当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 自然災害

地震などの自然災害が発生したことにより、当社グループの製造拠点が重大な損害を受け、生産能力の大幅な低下もしくは生産活動の遅れが生じた場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(9) 訴訟、規制当局による措置その他の法的手続等

当社グループは、事業を遂行する上で訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に関するリスクを有しており、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、こうした訴訟、規制当局による措置その他の法的手段は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。
 

 

 

6 【研究開発活動】

研究開発投資効率の最大化を目指し、各事業部門及び各事業会社と研究部門が「横議横行」を重ね、各事業部門及び各事業会社の事業戦略に合致した研究開発戦略を策定し、研究開発活動を共通認識の下で推進しています。

日々のお客様のニーズへの対応から将来を見据えた長期的な開発まで、総合開発研究所を中核にエア・ウォーターグループの技術を融合し、スピーディに成果を創出します。

 

セグメントごとの研究開発活動について、以下に示します。

 

(産業ガス関連事業)

・空気分離技術では、原料空気の前処理技術を改良し、半導体向け高純度酸素製造プロセスを確立いたしました。

 

・ガス分離精製技術では、分離が困難とされていた一酸化炭素と窒素を含む混合ガスから一酸化炭素を分離する技術を確立いたしました。

 

・金属との表面反応速度の高い新浸炭ガスにつきましては、お客様の量産炉で効果の確認をいただきました。現在、本格的採用に向けて準備を進めております。

 

・大気圧プラズマ処理技術につきましては、コスト競争力を強化いたしました。今後は、お客様のニーズに対応した高付加価値化による差別化に注力いたします。

 

(ケミカル関連事業)

・電子材料を中心に高度なお客様のニーズに対応したファインケミカル関連の研究開発を推進しております。

 

・環境負荷の低減、情報高速化などの社会ニーズを踏まえ、パワーデバイス用途など高温環境下の使用に向く高耐熱材料、および高周波対応の低誘電損失材料の使途に適したエポキシ系絶縁材料用配合剤を開発いたしました。同剤はお客様での本格採用を進めており早期の社会貢献の実現を目指しております。

 

(医療関連事業)

・医療用機器、病院関連施設、歯科材料、ガス性医薬品等の人の生命や生活を守る技術開発を積極的に推進し、社会貢献を果たしてまいります。

 

(エネルギー関連事業)

・低炭素社会の重要な構成エネルギーであるLNG関連技術開発に加え、次世代エネルギーとして重要視される“水素”にも取り組んでおります。将来のエネルギー変革に向けて、技術の蓄積、洗練、高度化を積極的に実施いたします。

・長寿命、小型・軽量、低騒音、無漏洩、省メンテナンス性を備えた独自の竪型遠心式低温液化ガスポンプは、LNG関連用途への採用が増えてきております。今後のLNGの普及に対応すべく、適用範囲拡大に向けた開発を推進いたします。

・水素社会実現に向け水素キャリアとして活用が期待される有機ハイドライド由来の水素精製技術でも、成果を上げております。

・バイオガスからメタノール合成に適した混合ガスを製造する技術等の環境負荷低減に関連するお客様のニーズへも積極的に取組み、成果を上げております。

 

(農業・食品関連事業)

・植物の栽培並びに保存技術のさらなる改善に向けた開発を推進しております。成長促進や作物の保存期間延長に効果的な手法等の開発に取り組んでおります。

 

 

(その他の事業)

・SiC基板関連技術開発では、GaNパワーデバイスを主な用途として、最先端のお客様のニーズに対応した技術開発を推進し、順次工場へ技術移管しております。また、これらの技術を反映した SiC on Si基板や、さらにはGaN on SiC on Si基板が工場で製造され、お客様へのサンプル供給、評価がすでに始まっております。

 

 

 なお、当連結会計年度の研究開発費用の総額は29億円であり、産業ガス関連事業が8億6千6百万円、ケミカル関連事業が6億8百万円、医療関連事業が2億7千9百万円、エネルギー関連事業が2億3百万円、農業・食品関連事業が1億3千6百万円、その他の事業が8億6百万円であります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の分析

 当連結会計年度の事業の状況につきましては、本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりであります。

 当連結会計年度の連結業績は、売上高は6,606億2千2百万円と前連結会計年度に比べ8千1百万円増収となり、営業利益は前連結会計年度比33億9千7百万円増益の395億2千4百万円、経常利益は前連結会計年度比30億8千3百万円減益の350億7千5百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は5億6千3百万円減益の201億3千9百万円となりました。

 

(2) 財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度の財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析につきましても、本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりであります。