第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当社グループを取り巻く経営環境は、順調な米国をはじめ世界経済の回復に歩調をあわせる形で、電子部品や自動車など輸出を中心とする国内製造業が持ち直しに転じ、年度の後半にかけて為替が円安に転じたこともあり、総じて緩やかな回復基調となりました。一方で、企業収益が向上するものの、新規生産設備に対する投資は慎重な姿勢が続き、個人消費も上向くまでには至っておらず、国内景気全般の回復は力強さに欠けるものとなりました。
  そのような中、当社グループは、「構造改革と持続成長へのさらなる挑戦」を基本コンセプトとした中期経営計画「NEXT-2020Ver.3」で掲げた実行施策を着実に遂行いたしました。製造業の広い範囲でガス需要が総じて堅調に推移した産業ガス関連事業、積極的なM&Aにより事業の拡大成長を図った農業・食品関連事業が順調に推移いたしました。医療関連事業、エネルギー関連事業は、収益力強化のための構造改革が進展し、前年を上回る結果となりました。一方、ケミカル関連事業は改善の兆しは見られるものの本格回復には至らず、タール蒸留事業を中心に厳しい事業環境が続きました。
  この結果、当期の連結業績は、売上高は6,705億3千6百万円(前期比101.5%)、営業利益は413億4千1百万円(同104.6%)、経常利益は412億5千1百万円(同117.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益は223億3千7百万円(同110.9%)となりました。

 

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

平成28年3月期
(百万円)

660,622

39,524

35,075

20,139

平成29年3月期
(百万円)

670,536

41,341

41,251

22,337

前年同期比(%)

101.5

104.6

117.6

110.9

 

 

 

セグメントの業績及び概況につきましては、次のとおりであります。

 

(産業ガス関連事業)

産業ガスは、国内を中心に需要が堅調に推移した鉄鋼、旺盛な米国需要を背景に高い生産台数となった自動車、スマホやIoT関連で最終需要が伸びる電子部品、高稼働を続けた化学などを中心に、総じて底堅い需要を受け順調に推移いたしました。このような中、ガスアプリケーションの提案や新たなガス需要の開拓を進めました。また、九州に液化酸素・窒素製造プラントVSUを2基設置し、生産拠点の拡充を進めるとともに、パートナー企業との連携によって、地域の産業需要に的確に応える体制づくりを徹底して推進いたしました。産業ガスの製造コストは、電気料金の燃料費調整額の下落により追い風となっておりましたが、年度の後半は一転、上昇に転じており、物流コストの合理化やガス価格の適正化に努めております。
  エンジニアリング関連では、オンサイトプラント工事の増加で受注案件が増加いたしました。情報電子材料では、自動車や半導体向けの電子部品材料を中心に堅調に推移いたしました。
  以上の結果、当セグメントの売上高は1,994億5千2百万円(前期比102.4%)、経常利益は165億9千1百万円(同116.7%)となりました。

 

(ケミカル関連事業)

コールケミカルは、コークス炉ガス精製の処理量が減少したほか、市況変動に伴い単価が大幅に下落いたしました。基礎化学品の主力である粗ベンゼンは、販売数量は確保したものの価格が低下いたしました。川崎化成工業㈱は主力のキノン系製品が順調に増販しましたが、市況影響を受け汎用品の販売が減少いたしました。タール蒸留事業は、電気炉電極用ニードルコークスの需要が回復せず、昨年度から低迷する事業環境が継続し、年間を通じて厳しい状況で推移いたしました。
  ケミカル関連事業の置かれた足元の状況は、為替と市況好転により最も厳しい時期を脱しつつあるものの、環境変化に強い事業を構築すべく、機能性材料の構造改革に積極的に取り組み収益改善に努めてまいります。
  以上の結果、当セグメントの売上高は613億4千3百万円(前期比70.5%)、経常損失は9億8千5百万円(前期は48億6千7百万円の経常損失)となりました。

 

(医療関連事業)

病院設備工事は、高度医療分野に焦点を合わせた戦略的な受注施策を進めました。医療サービスにおいては、受託滅菌が、地域需要に見合ったサテライト拠点の建設を進め、院外滅菌を中心に受託拡大を図りました。また、全国にあるメンテナンスサービスセンターの活用を推進してまいりました。在宅医療は在宅用酸素濃縮器を中心に堅調に推移いたしました。医療機器は一酸化窒素吸入療法の適応症例が拡大し順調に推移いたしました。地域戦略で重要な位置づけとなる医療用ガスは、市場の拡大は厳しい中、数量確保の施策を推進いたしました。
  医療関連事業は、これまで注力してきた急性期病院をはじめとする高度医療分野に加え、より生活者に近い分野で商品やサービスをお届けする「くらしの医療」を展開すべく、川本産業㈱を連結子会社化、㈱歯愛メディカルに資本参加いたしました。変化する医療のニーズを的確に捉え対応できる事業を構築しています。
  以上の結果、当セグメントの売上高は1,299億6千1百万円(前期比104.4%)、経常利益は92億3千万円(同106.5%)となりました。

 

(エネルギー関連事業)

LPガスは、世帯あたりのエネルギー使用量が減少傾向にある厳しい環境の中、商権買収や小売部門の販売強化に積極的に取り組みました。その結果、輸入価格の低下を受け売上高は減少となったものの販売数量は増加いたしました。産業用エネルギーへの取り組みとして燃料転換を積極的に進め新規顧客の獲得を図り、数量の増加へ大きく寄与いたしました。灯油は、需要期における仕入調達の合理化を進め収益確保に努めました。また、電子マネーを付与するサービスを適用拡大することで、LPガスとの付帯販売による増客を図り、地域に根ざした総合エネルギーサービス企業として積極的な事業展開を進めました。
  以上の結果、当セグメントの売上高は450億3千万円(前期比97.1%)、経常利益は38億5千1百万円(同107.1%)となりました。

 

 

(農業・食品関連事業)

農産事業は、主力地域の北海道で収穫期に台風影響があり、過去に類を見ない不作となり、原料の調達や品質に大きな影響を受けました。この厳しい状況を、野菜加工の効率化や生産性向上で補うべく努めました。青果流通においては、店舗ごとに収益改善策を実行したほか、グループ商品の取り扱いを増やしバリューチェーンの拡大を進めました。
  食品ソリューション事業は、既存の業務用商品が価格競争で苦戦しましたが、ハムデリカ分野に、地域に根ざした高いブランド力をもつ大山ハム㈱が、スイーツ分野では、提案型の商品開発を行う㈱プレシアホールディングスがグループ入りしたことで、拡大いたしました。
  飲料事業は、夏場の飲料販売が堅調だったことに加え、野菜・果実系飲料が好調に推移した結果、伸長いたしました。農業・食品関連事業は、スピード感をもって事業領域を広げながら、既存各社の事業成長とシナジーの創出を追求いたしました。
  以上の結果、当セグメントの売上高は1,184億4百万円(前期比129.3%)、経常利益は40億2千8百万円(同133.5%)となりました。

 

(その他の事業)

海水事業のうち、塩事業はナショナルブランド、プライベートブランドともに販売数量が堅調に推移いたしました。また、木質バイオマス発電が年間を通して順調に稼働し業績に貢献しました。マグネシア事業は、高級電磁鋼板用マグネシアの中国向け需要の減少により厳しい状況となりました。物流事業は、食品物流において新規エリアの配送を受託したほか、一般物流においても、荷扱い量を増加させました。また、配送効率、生産性改善と事業全般における効率化を推し進めたことで、全国的なドライバー不足の影響を受けたものの、堅調に推移いたしました。エアゾール事業は、化粧品など人体用品ならびに殺虫剤などの家庭用品が増加したことにより順調に推移いたしました。
  以上の結果、当セグメントの売上高は1,163億4千3百万円(前期比100.0%)、経常利益は84億6千8百万円(同93.2%)となりました。

 

 

(2) 財政状態及びキャッシュ・フローの状況

財政状態
(資産の部)

流動資産は、受取手形及び売掛金の増加などにより前連結会計年度末に比べて143億4千万円増加し、2,564億8千4百万円となりました。

固定資産は、有形固定資産及び投資有価証券の増加などにより前連結会計年度末に比べて389億4千2百万円増加し、3,726億3千1百万円となりました。

以上の結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて532億8千3百万円増加し、6,291億1千5百万円となりました。

 

(負債の部)

負債は、借入金の増加などにより前連結会計年度末に比べて287億1千2百万円増加し、3,483億6千5百万円となりました。

 

(純資産の部)

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の積み上げや非支配株主持分の増加などにより前連結会計年度末に比べて245億7千万円増加し、2,807億5千万円となりました。

なお、1株当たり純資産は前連結会計年度の1,196.92円から1,312.55円に増加し、自己資本比率は前連結会計年度の40.8%から40.7%になりました。

 

 

キャッシュ・フローの状況

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ68億1千6百万円増加し、304億1千2百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金収支は、税金等調整前当期純利益及び減価償却費などから法人税等
の支払額などを差し引いた結果、前連結会計年度に比べて153億6千1百万円増加し、588億7千3百万円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金収支は、事業譲渡による収入が生じたものの、投資有価証券の取得
による支出が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ37億9百万円支出が増加し、443億5千7百万円の支出となりました。その結果、フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ116億5千1百円増加し、145億1千6百万円となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金収支は、自己株式の取得による支出が増加したことなどにより、前
連結会計年度に比べ4億3千7百万円支出が増加し、85億5千3百万円の支出となりました。

 

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

産業ガス関連事業

53,594

92.3

ケミカル関連事業

43,467

63.1

医療関連事業

24,497

84.7

エネルギー関連事業

2,752

226.6

農業・食品関連事業

76,610

126.0

その他の事業

36,085

101.3

合計

237,008

93.5

 

(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 受注状況

製品のほとんどが見込生産であります。

 

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

産業ガス関連事業

199,452

102.4

ケミカル関連事業

61,343

70.5

医療関連事業

129,961

104.4

エネルギー関連事業

45,030

97.1

農業・食品関連事業

118,404

129.3

その他の事業

116,343

100.0

合計

670,536

101.5

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

新日鐵住金㈱

77,462

11.7

53,024

7.9

 

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

エア・ウォーターグループの経営理念は、次の通りであります。

「創業者精神と誇りを持って、空気、水、地球、そして人にかかわる事業の創造と発展に、英知を結集する」

この経営理念は、当社ならびにエア・ウォーターグループが産業ガス業界のリーダーとして、さらに新時代に挑む全く新しい企業として成長、発展していくための経営の基本的な方針です。

 

(2) 経営環境、目標とする経営指標及び対処すべき課題

今後の国内経済につきましては、緩やかな回復基調が続く米国や持ち直しの動きが見られる中国に牽引される形で輸出産業を中心に回復基調が継続することが見込まれます。また、東京五輪に向けて建設や素材関連の生産が堅調に推移することが予想されるとともに、雇用および所得環境の改善も期待されることから、全体として底堅く推移するものと見込まれます。しかしながら、欧米での保護主義的な経済政策の推進や中東・東アジアでの政情不安は、順調に回復を続ける国内経済の腰折れリスクとなります。また、各分野で深刻化する人手不足や上昇傾向にある電気料金、急激な為替の変動など、不確実な事業環境に変わりはありません。

このような経営環境の中、当社は、当社グループにおける業容の拡大と今後の成長戦略を踏まえ、「経営の継続性」を維持しながらも、「体制の若返り」を順次進めていくことを目的に、本年4月1日付をもって、最高業務執行責任者(COO)である代表取締役社長の新人事を含めた経営体制の改革を実施しました。この経営体制の改革では、社長・COOの業務執行そのものを担う部門として「社長室」を設置するとともに、地域代表役員の配置、物流カンパニーの新設をはじめとして、今後、当社グループが永続して成長発展を続けるために必要な経営体制の整備を行っています。

新しい経営体制の下、当社グループでは、引き続き、産業系と生活系の事業の的確なバランスによって様々な環境変化に耐え抜く「全天候型経営」と適応力に優れた活力ある中堅企業群の連携により多彩なシナジーを発揮する「ねずみの集団経営」をさらに強力に推進し、環境変化に強い企業体質の構築によって持続的成長を目指してまいります。

平成29年度は、当社グループの長期経営ビジョン「2020年度1兆円企業ビジョン」の第3ステップとして定めた3ヵ年中期経営計画「NEXT-2020 Ver.3」の2年目に当たり、中期経営計画で定めた経営目標の達成に向け、重要な1年となります。

この中期経営計画では、「1兆円企業ビジョン実現に向けての体質づくり」と「2020年度以降の成長に向けての礎づくり」の2つを経営課題に挙げるとともに、「構造改革と持続成長へのさらなる挑戦」を基本コンセプトとして、①極限のソリューションサービスの追求とイノベーションの実現、②事業構造改革の実践による企業体質の強化、③「2020年度以降の成長」に向けての課題への挑戦、という3つの実行施策に関する基本方針を定めています。

そして、これらの基本方針に基づく諸種の施策を着実に実行することによって、最終年度の平成30年度において、売上高8,500億円、営業利益510億円、経常利益510億円、親会社株主に帰属する当期純利益290億円の達成を目指しています。また、主要な経営指標といたしましては、経常利益率6%以上、ROE10%以上、自己資本比率40%、ネットD/Eレシオ0.75倍以下の達成を目指しています。

中期経営計画に基づく事業全体の基本戦略といたしましては、産業系のセグメントである産業ガス関連、ケミカル関連、エネルギー関連については、着実な成長で収益基盤を支える事業として位置付け、設備の更新投資やコストの合理化をはじめとした施策により収益力の強化に向けた構造改革に取り組んでいきます。生活系のセグメントである医療関連、農業・食品関連、その他の独立型事業については、高い成長力で全社業績を牽引する事業として位置付け、積極的なM&Aをはじめとした施策により事業の拡大を進めてまいります。また、今後の成長戦略においては、物流に関するインフラとネットワークの構築が不可欠であることから、新設した物流カンパニーの主導によりグループ内の物流業務について内製化を進めるとともに、物流事業のさらなる拡大を推進してまいります。さらに、2020年度以降の次世代の成長を担う事業の育成として、発電事業、海外戦略の強化、そして、新しい技術立社の構築、の3つを経営課題として位置付け、将来の事業展開を見据えた戦略的な投資等を実施してまいります。

 

国内の地域事業戦略といたしましては、「マーケットイン」の視点に基づき、地域密着型のビジネスを強化してまいります。全国に8社ある地域事業会社が中心となって、地域の実需に見合った事業戦略を策定し、当社グループの多種多彩な商材・サービスを活用して市場を掘り起こしていくことで、より強固な収益基盤を構築するとともに、その地域ならではのビジネス創造と事業間シナジーの創出を図ってまいります。

また、当社グループでは、既存事業の強化と新規事業の創出に向け、引き続き、グループシナジーを見据えたM&Aを積極的に推進するほか、海外事業では、国内ユーザーの海外進出ニーズを捉えるべく東南アジアを中心に拠点の整備を進めるとともに、産業ガス事業で培った技術やビジネスモデルのほか、国内で築き上げたニッチトップの商材を活用し、事業展開を進めていきます。

さらに、当社グループでは、「若手の育成」と「女性の活躍」が人的資源活用の最大化に向けた経営課題であるとの認識の下、社員一人ひとりがその能力を遺憾なく発揮し、活躍できる環境の整備に取り組んでまいります。

 

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上、事業の状況、経理の状況等に変動を与え、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市場

当社グループが製造・販売する酸素や窒素などの産業ガスは鉄鋼、エレクトロニクス、自動車や造船業界を大口顧客としております。そのため、当該業界の需要動向によっては産業ガスの販売に影響を及ぼす可能性があります。

原油価格の高騰などにより電力費用が上昇した場合、当社グループが製造・販売する酸素や窒素などの産業ガスの製造費用が増加します。この費用増分を顧客に転嫁できない場合は、産業ガスの収益に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループが販売しておりますLPガス・灯油はCP価格・原油価格などの影響を受けますが、仕入価格の変動を販売価格に速やかに転嫁できない場合は、LPガス・灯油の収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 燃油費の高騰

原油価格が上昇した場合、軽油費、燃油費、船舶利用費、航空利用費などの運送原価が増加します。これら費用増分を顧客に転嫁できない場合は、収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 薬価制度

当社グループは医療機関向けに医療用ガスや医療サービスを提供しております。そのため、薬価改定の内容によっては医療用ガスや医療サービスの販売に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 安全・品質

当社グループは高圧ガス保安法や液化石油ガス法に則り高圧ガスなどを製造・販売しておりますが、工場事故などが発生した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは薬機法に則り医療用ガスや医療機器を製造・輸入販売しておりますが、リコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは食品安全基本法・食品衛生法・JAS法(品質表示基準)などに則り冷凍食品やハム・デリカなどの食品を製造・販売しておりますが、品質などの問題が発生した場合には消費者の信用を失い、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 事業投資

当社グループは近年積極的にM&Aを展開し業容の拡大を図っております。事業投資が当初計画から乖離する場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 競合会社

当社グループの各事業において様々な競合会社が存在し、異業種からの新規参入などの潜在的な競合リスクも存在します。そのため、事業の拡大やコスト削減などの競合会社への対応が遅れた場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 環境規制

当社グループは国内外において、環境関連法規の規制を受けており、環境関連法規を遵守した事業活動を行っておりますが、環境関連法規の改定によって規制強化が図られた場合、対応コストの増大により当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8) 自然災害

地震などの自然災害が発生したことにより、当社グループの製造拠点が重大な損害を受け、生産能力の大幅な低下もしくは生産活動の遅れが生じた場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 訴訟、規制当局による措置その他の法的手続等

当社グループは、事業を遂行する上で訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に関するリスクを有しており、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、こうした訴訟、規制当局による措置その他の法的手段は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

 

6 【研究開発活動】

当年度の研究開発活動につきましては、引き続き、研究開発投資効率の最大化を目指し、各事業部門及び各事業会社と研究部門が「横議横行」を重ね、事業戦略に合致した研究開発戦略を策定し、経営資源の最適化を図りつつ、スピーディな事業の創造と発展に貢献すべく、活動を推進しています。

これからもエア・ウォーターグループの持てる技術力を結集し、地域に密着した顧客ニーズへの対応から環境・医療・食料等の将来を見据えた取組みまで、社会に貢献できる成果の結実に鋭意努力してまいります。

 

セグメントごとの研究開発活動について、以下に示します。

 

(産業ガス関連事業)

・基幹事業である産業ガス事業においては、ガス製造プロセスの高度化とコスト削減、ガスを利用するアプリケーション開発、ガスの用途開発について、日々研鑽を積み、着々と成果を上げております。

 

・用途開発では、金属表面に対する高い浸炭能力を持つ新たな浸炭用ガスが、お客様の量産炉での効果実証に用いられ、高い評価を獲得しました。

 

(ケミカル関連事業)

・電子材料を中心に高度なお客様のニーズに対応したファインケミカル関連の研究開発を推進しております。

 

・平成27年度に開発した高温環境下の使用に向けた高耐熱性硬化剤や高周波に対応できる低誘電正接硬化剤は、それぞれお客様が確定し、本格採用に向けて量産技術開発に注力しております。これらの開発品は、環境負荷の低減や情報高速化などへの社会貢献を期待しております。

 

(医療関連事業)

・医療用機器、病院関連施設、歯科材料、ガス性医薬品等の高度医療やくらしの医療に対する技術開発を積極的に推進し、社会貢献を果たしてまいります。

 

・要介護者の移乗動作の負担を軽減した在宅居室向けシャワー入浴装置を日本医療開発機構の補助金を受け、開発を推進しております。

 

(エネルギー関連事業)

・将来のエネルギー変革に向けて、LNG関連技術等について、技術の蓄積、洗練、高度化を推進いたします。

 

・独自開発した竪型遠心式低温液化ガスポンプは、LNG関連用途への採用が増えてきており、防爆検定の取得と船級の取得をいたしました。これにより、大手ユーザーから要求のある防爆や船舶搭載に対応が可能となり、今後のLNG普及に貢献できることを期待しております。

 

・次世代型ハイブリッド給湯暖房システムの開発に着手いたしました。

 

(農業・食品関連事業)

・野菜の栽培並びに保存技術や食品の品質の改善に向けた開発を推進しております。

 

 

(その他の事業)

・SiC基板関連技術開発では、GaNパワーデバイスを主な用途として、最先端のお客様のニーズに対応した技術開発を推進し、順次工場へ技術移管しております。また、これらの技術を反映した SiC on Si基板や、さらには GaN on SiC on Si基板が工場で製造され、お客様へのサンプル供給、評価が進み、採用に向けて取り組んでおります。

 

 

 なお、当連結会計年度の研究開発費用の総額は28億3千2百万円であり、産業ガス関連事業が6億5千1百万円、ケミカル関連事業が6億1千4百万円、医療関連事業が3億9千7百万円、エネルギー関連事業が1億8千9百万円、農業・食品関連事業が2億5千1百万円、その他の事業が7億2千6百万円であります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の分析

 当連結会計年度の事業の状況につきましては、本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりであります。

 当連結会計年度の連結業績は、売上高は6,705億3千6百万円と前連結会計年度に比べ99億1千3百万円増収となり、営業利益は前連結会計年度比18億1千7百万円増益の413億4千1百万円、経常利益は前連結会計年度比61億7千5百万円増益の412億5千1百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は21億9千8百万円増益の223億3千7百万円となりました。

 

(2) 財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度の財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析につきましても、本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりであります。