第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループの経営理念は、次の通りであります。

「創業者精神を持って、空気、水、そして地球にかかわる事業の創造と発展に、英知を結集する」

当社グループの事業の原点は、社名に冠した「空気」と「水」であり、このかけがえのない地球の資源を活かして事業を創出し、社会や人々の暮らしに貢献していくことが当社グループの使命です。当社グループは、この経営理念の下、目まぐるしく変化を続ける経営環境の中でグループの総合力を発揮し、社会の発展に役立つ多種多様な製品・サービスを提供する企業であり続けることを目指しています。

 

(2) 経営環境、目標とする経営指標及び対処すべき課題

今後の国内経済につきましては、雇用・所得環境の改善や東京オリンピック・パラリンピック関連の経済効果等により、景気は緩やかな回復基調が継続することが期待されるものの、海外における政治・経済の不確実性のほか、本年10月に予定されている消費税率の引上げや労働力不足の深刻化などによる影響の懸念もあり、依然として先行きは不透明な状況にあります。

このような経営環境の下、当社グループは、2019年度から2021年度までの3ヵ年を実行期間とする新中期経営計画「NEXT-2020 Final」をスタートさせました。

当社グループは、これまでの3次にわたる中期経営計画における取組みと成果を踏まえながら、この新中期経営計画を当社グループの長期成長ビジョンである「1兆円企業ビジョン」の総仕上げとして位置づけ、本中期経営計画での最終年度となる2021年度に売上高1兆円を達成するとともに、「革新=イノベーションの実行」を基本コンセプトとして、エア・ウォーターの創業の原点に立ち返り、2022年以降の持続的成長を可能とする強い会社を作り上げます。

当社グループは、この新中期経営計画において、事業ポートフォリオ、カンパニーの事業構造、地域事業政策、本社管理部門、人材育成、社会的価値創造の6つの分野において革新を実行し、合わせてM&Aの推進、グループ会社の再編、製品開発力の強化に取り組みます。そして、これらの取組みにより、経営の基本戦略である「全天候型経営」と「ねずみの集団経営」を両輪として、独自のコングロマリットの成長と発展を目指す当社の長期戦略を実現させていきます。

新中期経営計画での具体的な施策として、海水カンパニーを新設し海水ビジネスに関わる事業をさらに強化しながら新たな柱として成長させていきます。また、海外展開においては、アメリカ、インド、中国での事業確立と海外拠点の整備、北米でのエンジニアリング事業を通じた産業ガス市場への展開、インドにおける本格的な産業ガス事業の拡大を図ります。さらに、成長の基盤を磐石なものとするため、各カンパニーにおける事業の構造革新を行い、それぞれに大黒柱となる事業の明確化と徹底した強化を行います。また、地域事業政策では、これまでの画一的な事業を見直し、それぞれの地域特性に合った成長戦略を遂行することによって、地域に密着した事業成長を志向し、地域社会へ貢献していきます。

本社管理部門においては、全社の課題を先取りし対処するとともに、今後拡大する海外事業にも対応できるように、その能力の強化を図ります。また、人材育成では、当社のグループ各社、カンパニー間の異動を促進しダイバーシティ(人材の多様性)を強化し、また、若手の登用、女性活躍推進、定年延長などの施策により優秀な人材の確保や知恵と技術の伝承を行います。

そして、コンプライアンスやガバナンスの強化に引き続き取り組むとともに、国連が提唱する持続可能な開発目標であるSDGsに対しても、ガスの安定供給や防災事業への取組み、再生可能エネルギーである木質バイオマスによる発電やCO2の削減、海水資源の有効活用等、当社グループの事業を通じて、社会課題の解決にも取り組みます。

 

なお、当社グループは、2020年3月期決算から国際財務報告基準(IFRS)を任意適用することを決定し、「NEXT-2020 Final」の最終年度となる2021年度で、売上収益1兆円、営業利益600億円、当期利益370億円を経営目標として設定いたしました。経営指標としては、ROE:10.8%、ROA:6.2%を目指します。

また、「NEXT-2020 Final」では海外展開を重要な成長戦略の一つとして位置付けているため、新たな経営目標として「海外売上収益比率」を設定し、最終年度となる2021年度で10%を目指します。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上、事業の状況、経理の状況等に変動を与え、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市場

当社グループが製造・販売する酸素や窒素などの産業ガスは鉄鋼、エレクトロニクス、自動車や造船業界を大口顧客としております。そのため、当該業界の需要動向によっては産業ガスの販売に影響を及ぼす可能性があります。

原油等の価格高騰などにより電力費用が上昇した場合、当社グループが製造・販売する酸素や窒素などの産業ガスの製造費用が増加します。この費用増分を顧客に転嫁できない場合は、産業ガスの収益に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループが販売しておりますLPガス・灯油はCP価格・原油価格などの影響を受けますが、仕入価格の変動を販売価格に速やかに転嫁できない場合は、LPガス・灯油の収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 燃油費の高騰

原油価格が上昇した場合、軽油費、燃油費、船舶利用費、航空利用費などの運送原価が増加します。これら費用増分を顧客に転嫁できない場合は、収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 薬価制度

当社グループは医療機関向けに医療用ガスや医療サービスを提供しております。そのため、薬価改定の内容によっては医療用ガスや医療サービスの販売に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 安全・品質

当社グループは高圧ガス保安法や液化石油ガス法に則り高圧ガスなどを製造・販売しておりますが、工場事故などが発生した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは薬機法に則り医療用ガスや医療機器を製造・輸入販売しておりますが、リコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは食品安全基本法・食品衛生法・JAS法(品質表示基準)などに則り冷凍食品やハム・デリカなどの食品を製造・販売しておりますが、品質などの問題が発生した場合には消費者の信用を失い、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 事業投資

当社グループは近年積極的にM&Aを展開し業容の拡大を図っております。事業投資が当初計画から乖離する場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 競合会社

当社グループの各事業において様々な競合会社が存在し、異業種からの新規参入などの潜在的な競合リスクも存在します。そのため、事業の拡大やコスト削減などの競合会社への対応が遅れた場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 環境規制

当社グループは国内外において、環境関連法規の規制を受けており、環境関連法規を遵守した事業活動を行っておりますが、環境関連法規の改定によって規制強化が図られた場合、対応コストの増大により当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 自然災害

地震などの自然災害が発生したことにより、当社グループの製造拠点が重大な損害を受け、生産能力の大幅な低下もしくは生産活動の遅れが生じた場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 訴訟、規制当局による措置その他の法的手続等

当社グループは、事業を遂行する上で訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に関するリスクを有しており、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、こうした訴訟、規制当局による措置その他の法的手段は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 海外事業

当社グループは中国、台湾、東南アジア、インド、北米、南米などにおいて、事業展開を行っております。これらのうち、特に中国、東南アジア等を中心とした地域での事業活動には、次のようなリスクがあります。これらの事象が発生した場合は、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 ①予期しえない法律、規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更

 ②社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループ活動への悪影響

 ③不利な政治的要因の発生

 ④テロ、戦争、伝染病などによる社会的混乱

 ⑤予期しない労働環境の急激な変化

  ⑥予測を超える為替の変動

 

(11) 情報セキュリティ

当社グループは、事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあり、営業上・技術上の機密情報を保有しています。当社グループでは、これらの情報についての厳格な管理体制を構築し、情報の取扱い等に関する規程類の整備・充実や従業員等への周知徹底を図るなど、情報セキュリティを強化しております。しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスの侵入等により、万一これら情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態の状況

(資産の部)

流動資産は、受取手形及び売掛金の増加などにより前連結会計年度末に比べて223億3千1百万円増加し、3,053億2千3百万円となりました。

固定資産は、有形固定資産の増加などにより前連結会計年度末に比べて676億1千4百万円増加し、4,777億2千3百万円となりました。

以上の結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて899億4千5百万円増加し、7,830億4千7百万円となりました。

 

(負債の部)

負債は、借入金の増加などにより前連結会計年度末に比べて758億9千2百万円増加し、4,743億4千8百万円となりました。

 

(純資産の部)

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の積み上げなどにより前連結会計年度末に比べて140億5千3百万円増加し、3,086億9千8百万円となりました。

 

 

(2) 経営成績の状況

①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

 当連結会計年度における我が国経済は、企業収益や雇用・所得環境などの改善を背景に、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。一方で、米中の貿易摩擦、英国のEU離脱交渉などの国際情勢に対する不安や、国内各地で発生した地震や豪雨、台風などの影響により、先行き不透明な状況が続きました。
 このような経営環境の下、当社グループにおきましては、「既存事業の構造改革」と「M&Aによる成長戦略」の両輪を成長戦略の基軸に据え、当連結会計年度を実行期間の最終年度とする3カ年中期経営計画「NEXT2020-Ver.3」に掲げた実行施策を各事業分野において着実に推進しました。
 既存事業の構造改革としては、産業ガス関連において、積極的に生産設備の増強・更新投資を行うとともに、地域パートナーとのアライアンスを強化し、シェア拡大と収益力強化のための基盤整備に取り組みました。また、グループ会社の再編をはじめとした収益力強化のための構造改革に取り組んだほか、エンジニアリングの組織機能を強化し、技術の改良や進歩によって新たな事業や製品を生み出す体制づくりを進めました。さらに、ケミカル関連については、コールケミカル事業の譲渡により機能化学品を中心とした事業構造への転換を図り、「全天候型経営」をさらに盤石なものとしました。
 また、M&Aによる成長戦略としては、国内地域事業のさらなる拡大を目的にM&Aを実施したほか、今後の海外展開に向けた布石として、北米およびアジアにおいて海外エンジニアリングの事業基盤を構築しました。また、エレクトロニクスや高度医療機器分野における事業領域の拡充を進めました。
 さらに、発電事業の立上げに向け、国内3カ所で進めている木質バイオマス発電所の建設が着実に進展しました。
 当連結会計年度の業績といたしましては、ケミカル関連の市況が上昇したほか、積極的なM&Aの推進に加え、新規顧客の獲得をはじめとした増販施策に取り組んだことなどにより、すべてのセグメントにおいて増収となりました。
 利益面では、医療関連事業が設備工事分野における市場環境の影響により減益となりましたが、ケミカル関連事業が構造改革と収益改善が進展したことで好調に推移したほか、産業ガス関連事業が国内製造業の幅広い業種で底堅いガス需要が継続したこと、また、物流関連事業が荷扱量の増加と価格適正化が進展したことにより、それぞれ順調に推移しました。また、エネルギー関連事業および農業・食品関連事業は、外部環境が悪化した影響を受けながらも増益を堅持するとともに、その他の事業を構成するエアゾール事業および情報電子材料事業も堅調に推移しました。

 

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は8,014億9千3百万円(前年同期比106.4%)、営業利益は435億8千万円(同102.8%)、経常利益は469億7千7百万円(同105.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は264億6千8百万円(同105.1%)となりました。

 

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

2018年3月期
(百万円)

753,559

42,398

44,691

25,173

2019年3月期
(百万円)

801,493

43,580

46,977

26,468

前年同期比(%)

106.4

102.8

105.1

105.1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セグメントの業績及び概況につきましては、次のとおりであります。

 

<産業ガス関連事業>

 高炉向けのオンサイトガス供給は、年間を通じて操業の安定化と効率化に取り組んだことで順調に推移しました。エレクトロニクス向けのオンサイトガス供給は、第4四半期に入り一部の顧客で在庫調整等による販売数量の減少があったものの、概ね高稼働を維持し、堅調に推移しました。ローリー・シリンダー供給は、高効率小型液化酸素・窒素製造プラント「VSU」の展開を基軸とした地域の有力パートナーとの連携強化により、自動車、化学、建設関連向けなど国内製造業の底堅い需要を着実に取り込み、総じて順調に推移しました。また、炭酸ガスは前年度に実施した生産能力の増強効果等により販売数量が増加したことで堅調に推移しました。
 このように産業ガスの販売は総じて順調に増加しましたが、利益面では、電気料金の上昇に加え、物流コストが増加した影響を受けました。
 機器・工事関連は、ガス発生装置および供給設備等の製作が増加しました。また、前年度にM&Aを実施した日本パイオニクス㈱と海外子会社の新規連結効果も寄与しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は1,763億7千5百万円(前年同期比110.8%)、経常利益は171億3千2百万円(同105.9%)となりました。

 

<ケミカル関連事業>

 コールケミカル事業は、コークス炉ガス精製の単価が上昇したことに加え、基礎化学品である粗ベンゼンの販売数量が増加したことから、好調に推移しました。
 ファインケミカル事業は、中国の生産工場において環境規制強化による操業変動の影響を受けたものの、不採算製品の見直しに加え、電子材料向け製品を中心とした増販および価格改定の効果もあり、収益が大幅に改善しました。
 当社グループの川崎化成工業㈱は、中国の環境規制により顧客工場の操業が変動した影響を受け、主要製品のひとつであるナフトキノンの販売が減少しましたが、無水フタル酸など有機酸製品の販売価格が原料価格に連動して上昇したことで売上高が増加しました。また、固定費の削減や調達の合理化による製造コストの低減等に取り組んだことで利益面でも好調に推移しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は756億5千1百万円(前年同期比111.3%)、経常利益は37億6百万円(同199.8%)となりました。

 

<医療関連事業>

高度医療分野では、医療用ガスにおいて使用量が減少した影響を受けたほか、設備工事は、病院の新規案件が一巡した影響もあり厳しい状況になりました。一方、医療サービスは、SPD(病院物品物流管理)事業における新規顧客の獲得と資材調達の合理化ならびに滅菌事業における受託料金の適正化が進展し、順調に推移しました。また、医療機器は、診療報酬の改定を追い風に高気圧酸素治療装置の販売が拡大したことに加え、一酸化窒素吸入療法の症例数が増加したことにより、堅調に推移しました。
 くらしの医療分野では、在宅医療事業および衛生材料事業が厳しい状況となりました。また、デンタル事業は、歯科関連材料の販売が好調に推移したものの、歯科医院向けの通信販売において配送等のコストが増加した影響を受けました。注射針事業では、受注は回復したものの、更新した生産設備の立ち上げが遅れた影響等により伸び悩みました。
 なお、前年度にM&Aにより取得したシンガポールの病院設備工事事業は順調に推移しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は1,766億5千3百万円(前年同期比103.4%)、経常利益は98億5千9百万円(同95.6%)となりました。

 

 

 

<エネルギー関連事業>

 民生用LPガスについては、ポイント付与サービスや電力小売事業への参入など、増客施策を推進したことに加え、販売店の商権買収による直売顧客拡大を進めたことで、顧客軒数と販売数量ともに増加し、堅調に推移しました。一方で、震災により展示即売会などのイベントを中止した影響から機器販売が低調となったほか、配送や保安に関わる費用が増加した影響を受けました。産業用LPガスについては、全国の地域事業会社と連携し、重油からLPガスへの燃料転換を推進したことで販売数量が大幅に増加し、堅調に推移しました。
 灯油については、暖冬による需要減の影響を受け、販売数量が大きく減少しましたが、調達施策の工夫と配送の効率化により、その影響を最小限に留めました。
 また、産業ガス分野で培った極低温技術を活かしたLNGタンクローリーの販売が順調に推移しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は527億4千1百万円(前年同期比102.5%)、経常利益は40億9百万円(同101.8%)となりました。

 

<農業・食品関連事業>

農産事業は、青果小売分野において新規店舗の出店を進めた結果、販売が拡大しましたが、新規店舗の立ち上げに伴い一時的にコストが増加したほか、野菜相場が乱高下した影響を受けました。加工・卸分野は、原料野菜の作柄による影響を受けたものの、調達量の確保に努め、堅調に推移しました。また、農業機械の販売・メンテナンスが引き続き堅調に推移しました。
 食品ソリューション事業は、スイーツ分野の販売不振に加え、ハム・ソーセージ分野でも厳しい市場環境が続いた影響を受けました。一方、ブロッコリーなどの冷凍野菜の販売が拡大したことや加工食品分野における生産の効率化が進展したことに加え、M&Aを実施した調理冷凍食品の製造会社を新規連結したことにより、利益面では堅調に推移しました。
 飲料事業は、人件費や設備投資による減価償却費が増加したものの、野菜系飲料や茶系飲料を中心に受託が拡大したことに加え、宅配水分野における構造改革が進展し、堅調に推移しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は1,365億6千8百万円(前年同期比102.1%)、経常利益は49億5百万円(同101.1%)となりました。

 

<物流関連事業>

運送事業は、新規荷主の獲得により荷扱量が増加したことに加え、北海道・本州間におけるシャーシ輸送の発着バランスの適正化を進めるなど、安定的な幹線輸送の構築を行い、順調に推移しました。
 食品物流を中心とする3PL事業は、大手コンビニチェーン向けの配送業務において低温度帯の受託を新たに開始し、順調に推移しました。コスト面では、人件費や軽油の上昇により厳しい事業環境が継続しましたが、荷主企業との交渉により受託料金の適正化が進展したことで、その影響を最小限に留めました。
 トラック・ボディの設計・架装を行う車体事業は、特殊車両の販売が拡大するとともに、前年度に実施した設備投資により収益性が向上したことにより、堅調に推移しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は479億4千7百万円(前年同期比106.7%)、また、経常利益は、当事業年度から自家保有車両について稼動実態をより反映した耐用年数に変更したこともあり、26億4千9百万円(同140.3%)となりました。

 

 
 
 
 
 
 
 

 

<その他の事業>

海水事業のうち、㈱日本海水は、水処理設備事業において前年度に計上した大型案件の剥落や環境事業において西日本豪雨による工期遅れの影響があったものの、塩事業における業務用塩の値上げが奏功し、利益面では堅調に推移しました。タテホ化学工業㈱は、耐火煉瓦向けをはじめとした一般マグネシア製品の販売が伸長しましたが、上半期においてヒーター用電融マグネシアの原料価格が高騰した影響に加え、電磁鋼板向けマグネシアが一時的な需要減の影響を受け、厳しい状況で推移しました。
 エアゾール製品のOEM供給を行うエアゾール事業は、中国向けのアウトバウンド需要を背景に、化粧品など人体用品を中心とした受託が拡大し、堅調に推移しました。
 電気・電子材料などの仕入れ販売を行う情報電子材料事業は、自動車関連向けの販売が拡大したことにより、好調に推移しました。当社独自の「NVプロセス」による金属表面処理事業は、自動車部品や産業機材向けを中心に好調に推移しました。また、M&Aにより取得した米国・シンガポールのエンジニアリング会社を新規連結しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は1,355億5千6百万円(前年同期比108.2%)、経常利益は84億1千3百万円(同102.4%)となりました。

 

②生産、受注及び販売の実績

<生産実績>

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

産業ガス関連事業

62,580

121.2

ケミカル関連事業

66,339

122.9

医療関連事業

33,999

104.0

エネルギー関連事業

3,745

123.4

農業・食品関連事業

92,342

111.4

物流関連事業

3,804

109.2

その他の事業

53,307

120.2

合計

316,121

116.2

 

(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

<受注状況>

製品のほとんどが見込生産であります。

 

<販売実績>

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

産業ガス関連事業

176,375

110.8

ケミカル関連事業

75,651

111.3

医療関連事業

176,653

103.4

エネルギー関連事業

52,741

102.5

農業・食品関連事業

136,568

102.1

物流関連事業

47,947

106.7

その他の事業

135,556

108.2

合計

801,493

106.4

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 

(現金及び現金同等物)

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ90億3千7百万円増加し、314億7千万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益及び減価償却費などから法人税等の支払額などを差し引いた結果、前連結会計年度に比べて89億2千5百万円増加し、566億9千万円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ271億6千7百万円支出額が増加し、888億4百万円の支出となりました。

その結果、フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ182億4千2百万円減少し、△321億1千4百万円となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、借入れによる収入などにより、前連結会計年度に比べ364億1千6百万円収入が増加し、409億5百万円の収入となりました。

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当社グループは、持続的な成長のために積極的な投資を継続しており、必要な資金については財務の健全性に留意しながら銀行借入並びに社債発行等により資金調達を行うこととしております。資金の流動性については、財務の安全性に留意しながら資金の効率化に努めております。

 

以上の結果、1株当たり純資産は前連結会計年度の1,422.60円から1,487.58円に増加しております。また、自己資本比率は前連結会計年度の40.1%から37.2%となりました。また、自己資本利益率は前連結会計年度の9.4%から9.3%となり、目標水準である10%の達成を目指しております。

 

(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

当社グループは、「既存事業の構造改革」と「M&Aによる成長戦略」の両輪を成長戦略の基軸に据え、当連結会計年度を実行期間の最終年度とする3ヵ年中期経営計画「NEXT-2020 Ver.3」に掲げた実行施策を各事業分野において着実に推進しました。

その結果、各セグメントで業績拡大が着実に進展、売上高・各利益ともに安定成長を果たし、最高業績を更新しました。一方、計画比では、電気代の上昇や、自然災害の発生といった外部環境に加え、売上高の伸長不足などにより、売上高・各利益ともに、計画未達となりました。

 

前中計最終年度

中期経営計画「NEXT-2020 Ver.3」

2015年度(実績)

2018年度当初計画

2018年度(実績)

売上高     (億円)

6,606

8,500

8,014

営業利益    (億円)

395

510

435

経常利益    (億円)

350

510

469

当期純利益   (億円)

※1

201

290

264

経常利益率

※2

5.3%

6%以上

5.9%

ROE

※3

8.7%

10%以上

9.3%

自己資本比率

 

40.8%

40%

37.2%

ネットD/Eレシオ

※4

0.57

0.75以下

0.79

 

※1 親会社株主に帰属する当期純利益

※2 経常利益/売上高

※3 自己資本当期純利益率(親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(期首期末平均))

※4 (有利子負債 - 現預金)/ 自己資本

 

当社グループは、2019年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用することを決定し、2021年度を最終年度とする新中期経営計画「NEXT-2020 Final」をスタートさせております。

最終年度となる2021年度で、売上収益1兆円、営業利益600億円、当期利益370億円を経営目標として設定し、経営指標としては、ROE:10.8%、ROA:6.2%を目指します。

また、「NEXT-2020 Final」では海外展開を重要な成長戦略の一つとして位置付けているため、新たな経営目標として「海外売上収益比率」を設定し、最終年度となる2021年度で10%を目指します。

 

2018年度

(日本基準)

(実績)

2018年度

(IFRS)

  (参考)※1

2021年度

(IFRS)

(目標)

売上高     (億円)

※2

8,014

7,415

10,000

営業利益    (億円)

 

435

426

600

当期純利益   (億円)

※3

264

283

370

 

ROE

※4

9.3%

10.3%

10.8%

ROA

※5

6.4%

5.7%

6.2%

海外売上高比率

※6

5%

5%

10%

 

※1 中期経営計画との比較のために、IFRSに準拠して算出した参考数値であり、会計監査の結果、変更になる可能性があります。

※2 日本基準:売上高、IFRS:売上収益

※3 日本基準:親会社株主に帰属する当期純利益、IFRS:親会社の所有者に帰属する当期利益

※4 日本基準:自己資本当期純利益率(親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(期首期末平均))

IFRS    :親会社所有者帰属持分当期利益率
            (親会社の所有者に帰属する当期利益÷親会社の所有者に帰属する持分(期首期末平均))

※5 日本基準:総資産経常利益率(経常利益÷総資産(期首期末平均))

IFRS    :資産合計税引前利益率 (税引前利益÷資産合計(期首期末平均))

※6 日本基準:海外売上高/売上高、IFRS:海外売上収益/売上収益

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当年度の研究開発活動につきましては、実用化ステージにある開発テーマを確実に事業へ結びつけることを最重点課題として取り組みました。また、引き続き研究開発投資効率の最大化を目指し、各事業部門及び各事業会社と研究部門が「横議横行」を重ね、事業戦略に合致した研究開発戦略を策定し、経営資源の最適化を図りつつ、スピーディに事業の創造と発展を成すべく、活動を推進しています。

これからも当社グループの持てる技術力を結集し、産業ガスで培ったコア技術を日々進化させると共に医療や農業等の様々な分野へ応用展開することと、オープンイノベーションによる積極的な技術導入を行うことで、技術の継続的な成長と社会に貢献できる成果の結実に鋭意努力してまいります。

 

セグメントごとの研究開発活動について、以下に示します。

 

(産業ガス関連事業)

・基幹事業である産業ガス事業においては、ガス製造プロセスの高度化とコスト削減、ガスを利用するアプリケーション開発について、日々研鑽を積み、着々と成果を上げております。

 

・世界最高水準の効率で、都市ガスから水素ガスを発生させることができる次世代型水素ガス発生装置「VHR」を開発し、2019年7月より初号機の商業運転を開始いたします。

 

・金属の還元剤や化成品原材料等に用いられる高純度一酸化炭素の発生装置を開発し、初号機となる商用機を2019年3月に納品いたしました。以降引き合いを順調に頂いており、新たな商材として展開いたします。

 

(ケミカル関連事業)

・電子材料を中心に高度なお客様のニーズに対応した機能化学品の研究開発を推進しております。

 

・次世代半導体バッファーコート材用の特殊樹脂モノマーは量産技術を確立し上市しました。又、高周波に対応できる低誘電正接硬化剤も、実機試作に成功し、少量販売を開始しました。これら製品により、環境負荷の低減や情報高速化などへの社会貢献を期待しております。

 

・世界で唯一事業化に成功しているナフトキノンを含めたキノン系製品においては、その特性を活かし、医農薬、環境、情報電子材料等の各分野を対象とした新規誘導品の開発や新規用途の拡大、マーケット視点からの顧客ニーズに対応したその他の新規機能化学品の開発等に主眼をおいた研究開発を進めているとともに、国内の大学等と継続的な共同研究を行うことで、効果的かつ迅速な研究開発活動を推進しております。

 

(医療関連事業)

・医療用機器、病院関連施設、歯科材料、ガス性医薬品等の高度医療やくらしの医療に対する技術開発を積極的に推進し、社会貢献を果たしてまいります。

 

・要介護者の移乗動作の負担を軽減した介護用シャワー入浴装置「シャワーオール」を開発し、2018年7月に市場投入いたしました。

 

・歯髄再生治療技術の研究開発に取り組むため、2018年4月より歯髄細胞の取り扱いに関する共同研究を国立研究開発法人国立長寿医療研究センターと推進いたしております。

 

・原子力発電所向けの火災防護対策用消火設備の性能試験や高耐震性機器の開発、また国内消防機関に納入する空気呼吸器の面体(マスク)広視野化による機能性向上などに取り組んでまいりました。

 

(エネルギー関連事業)

・将来のエネルギー変革に向けて、LNG関連技術や水素関連技術について、技術の蓄積、洗練、高度化を推進しております。

 

 

・LNG拡販を目指して、付帯設備を貯槽と一体化した新型LNGサテライト設備の開発を推進しております。一体型とすることで、設置スペースが小さく済み、現地工事を軽減して施工期間を短縮することができます。

 

 

(農業・食品関連事業)

・植物の栽培並びに保存技術や飲食物の品質の改善に向けた開発を推進しております。

 

・農業・食品のイノベーションを創出する技術開発を目的として、2018年6月に室蘭工業大学と「包括的連携研究協力等に関する協定」を締結し、地域資源を活用した課題解決型の研究を展開し、地域活性化に寄与する技術等の開発とこれらを通じた人材育成を目指しています。

 

・野菜・果実の加工技術を一層深め、新たな飲料や原料素材の開発に取り組んでおります。

 

(その他の事業)

・SiC基板関連技術開発では、GaNパワーデバイスを主な用途として、最先端のお客様のニーズに対応した品質改善や評価技術開発を推進し、これにより、様々なお客様の要望に応じた仕様の基板を提供することができるようになりました。引き続き、基板製造工程の歩留把握やその改善など、量産化に向けた準備を進めております。

 

・水酸化マグネシウム系化学蓄熱材(CHARGEMAG®)は、工場廃熱の有効活用により、CO2排出量の削減を通じて地球環境に貢献する製品です。新たに開発した化学蓄熱材は、蓄熱操作温度を大幅に低下させることに成功し、事業化に向けて着々と成果を上げております。

 

・各種セラミック原料向けの高純度で均一なアルミン酸マグネシウム(TATEMIC®)は、お客様へのサンプル供給、評価が進み、採用に向けて積極的に取り組んでおります。

 

・耐火物用途向けのアルミニウムケイ素炭化物(REFTAT®)は、お客様が確定しており、今後の耐火物業界に貢献してまいります。

 

・エアゾール事業では、人体用品から家庭用品、塗料、工業・自動車用品まで多種多様なお客様のニーズに対応した研究開発を推進しております。また、飛躍的に成長している化粧品分野に注力し、高品質・高付加価値な化粧品の開発にも取り組んでおります。

 

 なお、当連結会計年度の研究開発費用の総額は2,859百万円であり、産業ガス関連事業が540百万円、ケミカル関連事業が538百万円、医療関連事業が513百万円、エネルギー関連事業が138百万円、農業・食品関連事業が340百万円、その他の事業が787百万円であります。