文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの経営理念は、次の通りであります。
「創業者精神を持って、空気、水、そして地球にかかわる事業の創造と発展に、英知を結集する」
当社グループの事業の原点は、社名に冠した「空気」と「水」であり、このかけがえのない地球の資源を活かして事業を創出し、社会や人々の暮らしに貢献していくことが当社グループの使命であります。当社グループは、この経営理念の下、目まぐるしく変化を続ける経営環境の中でグループの総合力を発揮し、社会の発展に役立つ多種多様な製品・サービスを提供する企業であり続けることを目指しております。
(2) 中期経営計画の進捗状況
2019年度を初年度とする3カ年中期経営計画「NEXT-2020 Final」では、これまでの3次にわたる中期経営計画における取組と成果を踏まえながら、最終年度となる2021年度に売上収益1兆円を達成するとともに、「革新=イノベーションの実行」を基本コンセプトとして、6つの革新とそれに連動する経営施策に取り組んでおります。

① ポートフォリオの革新
昨年4月に、国内製塩トップの㈱日本海水と工業用マグネシア製品メーカーのタテホ化学工業㈱の2社を傘下に置く組織として「海水カンパニー」を新設し、海水に由来するビジネスの拡大を推進しております。
海外展開では、当連結会計年度に、産業ガス関連事業において、Praxair India Private Limited及びLinde India Limitedからインドでの産業ガス事業をそれぞれ譲受け、同国産業ガス市場での確固たる地位を確立しました。エネルギー関連事業では、ベトナムの大手LPガス事業者であるパシフィックペトロ社と合弁会社を設立し、同国でのLPガス事業に参入しました。農業・食品関連事業では、昨年3月にエクアドルの冷凍野菜製造販売会社であるEcofroz S.A.のM&Aを実施し、安定した原料調達先を確保しました。その他の事業では、将来的に北米において産業ガス供給事業を展開することも視野に入れ、同地域での産業ガスエンジニアリング・機器事業の拡大に取り組みました。また、欧州・アジアを中心とする高出力UPS(無停電電源装置)事業では、昨年7月にオランダのHitec Holding B.V.のM&Aを実施し、機器開発からエンジニアリング、メンテナンスまで一貫した事業運営が可能な体制を整えました。
② カンパニー事業構造改革の革新
ケミカル関連事業は、医農薬・電子材料などの先端産業に向けて、特徴ある素材を提供する機能化学品メーカーへの転換を目指しており、当連結会計年度に㈱FILWEL、大東化学㈱、㈱信越リードの3社をM&Aをすることで、事業の再構築を進めました。今後も成長が期待される電子材料分野をターゲットに事業を拡大していきます。
③ 地域事業施策の革新
地域事業会社は、国内の各エリアで当社グループの多種多様な製品やサービスを提供するとともに、その地域の特性に合った独自のビジネスモデルを確立し、社会に不可欠な存在になりうる企業グループを目指しております。本年10月1日(予定)をもって、現状の地域事業会社を8社から3社に統合することによって、地域と共生する独立事業会社として、それぞれの事業領域の拡大を目指してまいります。
④ 本社管理部門、⑤ 人材育成、⑥ 社会的価値創造の革新
当連結会計年度に、当社グループの技術プラットフォームにおけるコア組織としての役割を担う「技術戦略センター」を設置しました。同センターがグループの技術資源を横断的に統合管理し、各事業分野の研究開発を支援することによって、これまで以上に高付加価値な製品やサービスの創出を図っていきます。
また、事業活動を通じて地球環境保全をはじめとする社会的課題解決に貢献するため、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の全社的な推進組織を設置しました。当社のコーポレートスローガンである「地球の恵みを、社会の望みに。」を体現できるグループ経営を目指し、SDGsにかかわる全社的な取り組みを推進していきます。
さらに、コーポレート・ガバナンスを強化するため、本年6月開催の定時株主総会において、取締役の員数を20名から9名に削減するとともに、社外取締役を2名から3名に増員することによって取締役会に占める社外取締役の比率を高め、取締役会の監督機能を強化しました。
これらの経営施策により、本中期経営計画の最終年度となる2021年度に売上収益1兆円、営業利益600億円、親会社の所有者に帰属する当期利益370億円を目指しております。また、海外展開を重要な成長戦略の一つとして位置付けているため、経営目標として海外売上収益比率を設定し、2021年度で10%を目指しております。
(3) 経営環境、目標とする経営指標及び対処すべき課題
新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中で様々な経済活動が停滞し、企業の生産や販売も急激に落ち込むなど、実体経済に大きな影響が及んでおります。当社グループを取り巻く事業環境といたしましても、事業毎に程度の差はあるものの、ほぼ全ての事業分野において製品需要の減少や販売機会の喪失などによる影響を受け、厳しい事業環境となっております。
こうした中、当社グループといたしましては、新型コロナウイルスによる業績への影響を最小化するため、事業全般にわたるコスト削減に取り組むとともに、引き続き、グループ全従業員の安全に最大限配慮しつつ、産業ガスや医療用ガスをはじめとした諸製品の安定供給責任を果たすため、徹底した感染拡大防止策や安全配慮策を講じていきます。また、経済活動の停滞が長期化した局面に備えて十分な財務の安定性を維持するため、今後のM&A投資および設備投資については、事業環境の変化を慎重に見極めながら厳選していきます。
こうした新型コロナウイルスによる影響への対応とともに、国内では収益力を強化し、海外では高い成長を求める、という基本戦略に基づき、2020年度を2年目とする3カ年中期経営計画「NEXT-2020 Final」に定めた諸種の施策を各事業分野において着実に推進してまいります。
産業ガス関連事業においては、鉄鋼や自動車関連産業における生産調整によってガス需要が減少する影響が懸念される一方、次世代通信規格(5G)やIоT、デジタルトランスフォーメーション(DX)等の「デジタル・シフト」への変容と、政府によるサプライチェーン強靭化に向けた製造業の国内回帰促進策等が追い風となり、国内における半導体や電子材料などエレクトロニクス向けの産業ガスや関連機器の需要が増加することが想定されます。こうした中、国内事業については、今後も高効率小型液化酸素・窒素製造プラント「VSU」のネットワークを広げ、生産拠点の分散配置によってガスの安定供給並びに新規需要の獲得を進めてまいります。また、海外事業については、当連結会計年度にM&Aによって取得したインドでの産業ガス事業の拡大を図ってまいります。既設プラントからの高炉向けオンサイトガスの安定供給のみならず、バルクガスの拡販によるシェアアップ、新規オンサイト案件の獲得に向けて取り組んでまいります。
ケミカル関連事業においては、収益性が課題となっていましたが、当連結会計年度に実施した3件のM&Aによって構造改革の初期段階を終え、今後、生産体制の最適化や開発面におけるシナジー効果等の創出によって収益力の拡大を図るとともに、将来の“超スマート社会”の実現に向け、電子材料という観点から貢献していくとともに、生分解性素材や吸着剤といった環境関連のビジネスも進めていきます。
医療関連事業においては、新型コロナウイルスによって病院設備工事の実施延期等による影響が懸念される一方、ICU(集中治療室)の増設や遠隔診療支援システムなどの需要が増加することが想定されることから、周術期分野を中心に医療機関の省力化・技術進化を支える高度医療事業の展開を加速させます。また、超高齢化社会の進展に伴ってさらなる市場の拡大が想定されることから衛生材料や口腔ケア製品の充実を図ることで、「くらしの医療分野」を拡大させてまいります。さらに、歯髄幹細胞を活用した歯髄再生事業などの事業化に取り組んでまいります。
エネルギー関連事業においては、国内のLPガス事業では、LPG単位消費量の低下と配送における人手不足への対応を課題としており、IоTを活用した自動検針システム等を導入し、より顧客に密着した安心できるサービスを提供します。また、顧客工場の熱エネルギーについて、重油からLPガスやLNGへの燃料転換も進め、CO2排出削減に貢献してまいります。ベトナムにおけるLPガス事業では、日本式の安全性に優れた供給技術を現地に適した方法で普及させることにより、LPガス事故の減少と安全な生活の実現に貢献できると考えております。将来的にはベトナムだけではなく、LPガス需要が伸びていくと予想されるASEAN地域へ、日本式の安全なエネルギーの利用拡大を図ります。
農業・食品関連事業においては、外食や観光産業の停滞が長期化することによって、業務用冷凍・加工食品の需要が低迷することが想定される一方で外食から中食に向けた需要転換が急速に進むことが想定されます。こうした需要環境の変化とそれに伴う顧客の多様なニーズや課題を的確に捉えるとともに、事業領域の多様性と中小規模の事業ユニットによる変化への即応力を活かして、事業の拡大に繋げてまいります。また、国内での相次ぐ天候不順や農業の担い手不足を背景に、原料野菜の安定調達力を高めることが重要な事業課題であることから、原料野菜の調達における産地の分散化や契約栽培農家との関係強化に取り組んでまいります。
物流関連事業においては、業界全般におけるドライバー不足と人件費上昇という課題の中、今後も市場成長が見込める低温物流領域を中心に、自社物流拠点ネットワークの拡充、倉庫内でのITやAI導入による作業の省力化を進め、更なる物流合理化を図り、多種多様なニーズにこたえる体制づくりを推進します。
海水関連事業においては、人口減少や減塩志向を背景に国内の塩需要が減少する中にあって、技術開発力の強化と新事業の育成をはじめとした海水事業のさらなる深耕と環境分野でのさらなる社会貢献を課題としており、海水淡水化技術の開発や老朽化した上下水道管の更新などにより、人の生活に不可欠な水の安全、衛生を持続させる事業を引き続き展開していきます。また、木質バイオマス発電による再生可能エネルギーの供給を行い、環境負荷低減に貢献します。
その他の事業においては、FIT制度(再生可能エネルギーによる固定価格買取制度)によって20年間の長期に亘って安定した収益性が見込まれる木質バイオマス発電事業の計画案件について着実な工事進行等に取り組んでまいります。また、海外エンジニアリング事業においては、北米での産業ガス低温機器の展開や「VSU」のビジネスモデルを活用したガストータル事業の推進、高出力UPS事業でのデータセンターや半導体工場向けを中心に事業を拡大してまいります。
次期(2021年3月期)の業績見通しにつきましては、売上収益8,100億円、営業利益460億円、税引前利益450億円、親会社の所有者に帰属する当期利益270億円を見込んでおります。
なお、上記の予想は、当社が現時点までに把握している情報に基づき、合理的であると判断した一定の前提に基づいた見通しであります。特に、次期(2021年3月期)の事業環境については、第1四半期は新型コロナウイルスの影響によって企業の生産や設備投資をはじめとした国内外の経済活動が大幅に制約を受けるものの、第2四半期以降は経済活動の自粛が緩和され、年度末までの期間をかけて緩やかなペースで正常化に向かい、2021年度開始時点でほぼ正常化している、との仮定を前提として、業績予想を行っております。
当社グループの事業展開上、事業の状況、経理の状況等に変動を与え、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
※当社グループは当連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値をIFRSに組み替えて比較分析を行っております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、年度前半は雇用環境の改善や個人消費の持ち直しなどを背景に緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、年度後半は、長期化する米中貿易摩擦により中国の景気が減速したことを背景に、輸出関連産業を中心とした国内製造業の生産活動や設備投資が減速に転じたことに加え、本年2月以降、新型コロナウイルスの感染拡大による影響から、さらに厳しい状況となりました。
このような経営環境の中、「革新=イノベーションの実行」を基本コンセプトに据えた、2019年度を初年度とする3カ年中期経営計画「NEXT-2020 Final」がスタートしました。この計画の下、今後の持続的成長に向け、製品開発力の強化や人材育成といった経営基盤の強化とともに、各事業分野において諸種の実行施策を着実に推進しました。
国内においては、産業ガス関連において生産・充填拠点を拡充したほか、事業の再構築を進めているケミカル関連においては、M&Aによって事業領域を拡大し、収益力の向上を図りました。また、海水関連におけるさらなる事業成長を見据え、海水カンパニーを新設したことに加え、木質バイオマス発電事業の拡大を着実に進めることで、国内における安定した事業基盤の拡充を図りました。海外においては、高い市場成長が期待できるインドでの産業ガス事業および高出力UPS(無停電電源装置)事業をM&Aによってそれぞれ取得し、今後の成長に向けた事業基盤の構築に取り組みました。
当連結会計年度の業績といたしましては、冷夏などの天候不順や年度後半における製造業を中心とした顧客の需要停滞に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による影響などによって総じて厳しい事業環境となりましたが、事業全般において製品価格の改定をはじめとした収益体質強化に向けた取り組みが着実に進展しました。また、国内外でM&Aを実施したことによる新規連結効果に加え、山口県防府市における木質バイオマス発電事業の収益化が始まったことにより、順調に推移しました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上収益は、8,090億8千3百万円(前期比109.0%)、営業利益は506億1千6百万円(同118.3%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は304億3千万円(同105.6%)となりました。
セグメントの業績及び概況につきましては、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
<産業ガス関連事業>
当セグメントの売上収益は1,889億6千5百万円(前期比108.5%)、営業利益は192億4千6百万円(同115.1%)となりました。
ガス事業において、鉄鋼向けオンサイトガス供給は、主要顧客において新高炉が稼働したことにより増加基調にありましたが、年度後半より粗鋼減産の影響を受け、販売数量が伸び悩み、前連結会計年度をわずかに下回る結果となりました。エレクトロニクス向けガス供給は、データセンターや次世代通信規格(5G)関連の需要拡大などを背景に、主要顧客の工場稼働率が生産増強のための設備投資に伴って段階的に高まったことで販売数量が増加し、順調に推移しました。ローリー・シリンダーによるガス供給は、高効率小型液化酸素・窒素製造プラント「VSU」の展開を基軸として、充填所の新設や地域の有力なガスディーラーとの連携強化を進め、シェアの拡大を図りました。さらに物流費の高騰を背景としたガス価格の見直しにも取り組みました。炭酸ガス・ドライアイスは、安定供給のための取り組みと価格改定が寄与し、順調に推移しました。また、当連結会計年度においてM&Aによって取得したインドでの産業ガス事業は、現地での旺盛な粗鋼生産に支えられ堅調に推移しました。
機器・工事事業は、エレクトロニクス向けガス供給の増加に伴い関連機器の販売が拡大したほか、前連結会計年度にM&Aを実施したニチネツホールディングス㈱の新規連結効果などにより順調に推移しました。
<ケミカル関連事業>
当セグメントの売上収益は274億7千9百万円(前期比119.9%)、営業利益は13億3千8百万円(同245.0%)となりました。
機能化学品事業は、中国の生産工場において江蘇省の工業園区全体を対象とした環境規制の影響による操業停止が継続したことに加え、米中貿易摩擦を背景とした設備投資の低迷により、産業用ロボット向け高機能回路製品の販売が減少した影響を受けました。一方で、ディスプレイ向けに新規用途が拡大したことなどで電子材料の拡販が進展したほか、生産の効率化や不採算製品の見直しによる収益改善により、事業全体では好調に推移しました。また、当連結会計年度においてM&Aによって取得した精密研磨パッド・人工皮革の製造を行う㈱FILWELおよび酢酸ナトリウムの国内トップメーカーである大東化学㈱の新規連結効果が大きく寄与しました。
なお、大東化学㈱のM&Aに伴い、負ののれん発生益(20億5千1百万円)を計上しました。一方、操業再開の目途が立たない中国の生産工場については、M&Aによって取得した大東化学㈱の国内工場でその機能を代替することが可能になったことから、工場の閉鎖を決定し、関連した事業整理損(12億7千7百万円)を計上しました。
川崎化成工業㈱は、主要製品であるナフトキノンの販売が顧客工場の操業停止により減少したことに加え、市況軟化を背景に無水フタル酸の販売価格が低下した影響を受け、前連結会計年度を下回る結果となりました。
<医療関連事業>
当セグメントの売上収益は1,879億1千3百万円(前期比107.9%)、営業利益は101億9百万円(同97.6%)となりました。
設備事業は、手術室を中心とした病院設備工事において新規案件の減少が続くとともに、新型コロナウイルスの影響により工事の延期等が発生した影響を受け、厳しい状況となりました。
医療サービス事業は、SPD(病院物品物流管理)の新規受託に加え、資材調達の合理化や料金の適正化が進展し、順調に推移しました。
医療ガス事業は、医療用酸素の使用量が漸減傾向にある中で、新規顧客の開拓により前連結会計年度並みの販売数量を維持しました。
医療機器事業は、新生児・小児用人工呼吸器の販売が増加したことに加え、一酸化窒素ガス(NO)吸入療法の症例数が増加し、順調に推移しました。
在宅医療事業は、酸素濃縮装置のレンタルが伸び悩み、前連結会計年度を下回りました。
衛生材料事業は、医療消耗品の生産受託事業や安全衛生防護具の販売が増加したことに加え、生産工場の合理化等が進展し、堅調に推移しました。
また、デンタル事業は歯科技工のデジタル化に対応した義歯材料の販売が拡大、注射針事業も生産設備の新鋭化によりそれぞれ順調に推移したほか、前連結会計年度に実施したM&Aによる新規連結効果も寄与しました。
なお、周術期分野における医療支援システムや歯髄再生事業に関連した研究開発とその拠点整備を進めたことで、先行費用が発生しました。
<エネルギー関連事業>
当セグメントの売上収益は519億6千9百万円(前期比98.6%)、営業利益は42億5千1百万円(同109.6%)となりました。
LPガス事業は、輸入価格に連動してLPガスの販売単価が下落したことにより売上面で影響を受けました。こうした中、民生用においては、販売店の商権買収やポイント付与サービスの加入促進などにより、顧客数が増加しました。また、工業用においても自社運用のローリー車を追加配備するなどの取り組みにより西日本地区を中心に拡販が進みました。これらの結果、販売数量とともに直売比率も増加し、利益面では堅調に推移しました。また、灯油は暖冬の影響により、販売数量が減少しました。機器・工事は家庭向けハイブリッド給湯暖房システムに加え、LPガス仕様移動電源車や非常用発電機の販売が増加し、堅調に推移しました。
天然ガス関連事業は、LNGの販売数量が増加したことに加え、LNGタンクローリーの販売台数が増加し、順調に推移しました。
<農業・食品関連事業>
当セグメントの売上収益は1,372億9千8百万円(前期比100.6%)、営業利益は32億8千2百万円(同77.9%)となりました。
農産・加工事業は、原材料費に加え、物流費や人件費が上昇するなど厳しい事業環境が継続しました。こうした中でさらに、ハム・デリカおよびスイーツ分野において市場競争の激化による影響を受けたほか、新型コロナウイルスの影響により外食・ホテル・給食向けを中心に業務用冷凍・加工食品の需要が急減し、厳しい状況になりました。また、野菜の栽培・加工・販売を行う農産・加工分野でも主力製品である北海道産の馬鈴薯や南瓜の豊作による相場安の影響を大きく受けました。
飲料事業は、需要期である夏期の低気温による影響と野菜系飲料の落ち込みに加え、物流費が上昇した影響を受け、前連結会計年度を大きく下回る結果となりました。
その他の事業は、青果小売分野において、年度前半に野菜の相場安、また、新型コロナウイルスの影響により店舗の時短営業や休業が相次いだ影響を受けましたが、既存店舗の収益改善が進展したことで利益面では前連結会計年度を上回りました。また、農業機械分野においては、除草用農機等の販売が堅調に推移しました。
なお、農産・加工事業では、前連結会計年度にM&Aを実施したブロッコリーの生産・販売を行うエクアドル・Ecofroz S.A.などの新規連結効果がありました。
<物流関連事業>
当セグメントの売上収益は504億1千3百万円(前期比105.1%)、営業利益は23億9千6百万円(同108.0%)となりました。
運送事業は、北海道を中心に新規荷主の獲得が進展し、飼料や建築資材を中心に荷扱量が増加しましたが、年度後半以降、製造業の生産活動が鈍化したことで荷動きが停滞し、伸び悩みました。こうした中、新たな配送管理システムの導入等による配送の効率化に加え、軽油価格の下落に伴うコスト改善も寄与し、堅調に推移しました。
食品物流を中心とする3PL事業は、新設した低温物流センターにおける荷扱量の増加に加え、新規エリアにおけるコンビニエンスストア向け配送業務の受託開始が寄与したほか、人手不足に起因するコスト上昇の影響を受託料金の適正化や庫内作業の生産性向上によって補い、堅調に推移しました。
トラック・ボディの設計・架装を行う車体事業は、更新需要が堅調だったことに加え、トレーラーの販売が増加したことにより順調に推移しました。
<海水関連事業>
当セグメントの売上収益は399億8千6百万円(前期比99.4%)、営業利益は29億3千5百万円(同124.4%)となりました。
塩事業は、特殊製法塩の拡販および生産の効率化が進展したことに加え、前連結会計年度から取り組んでいる業務用塩の価格改定が寄与し、堅調に推移しました。環境事業は、排煙脱硫に利用される水酸化マグネシウムの販売が大幅に減少したことにより、厳しい状況で推移しました。発電事業は、木質バイオマス発電の燃料構成において未利用材の割合を引き上げたことにより収益性が向上し、堅調に推移しました。食品事業は、新工場の稼働により生産の効率化が進展するとともに、コンビニエンスストア向けに海苔製品の販売が拡大し、堅調に推移しました。また、下水管更生事業が順調に推移しました。
マグネシア事業は、耐火煉瓦向けをはじめとした一般窯業用マグネシアの販売が減少しましたが、海外における電磁鋼板用マグネシアの販売が拡大したことに加え、ヒーター用電融マグネシアの原料価格が低下したことにより収益改善が進展し、利益面では堅調に推移しました。
<その他の事業>
当セグメントの売上収益は1,250億5千7百万円(前期比133.5%)、営業利益は73億3千8百万円(同216.1%)となりました。
エアゾール事業は、前連結会計年度において中国向けの需要が旺盛だった反動から、UVカットスプレーの製造受託が減少したことに加え、新工場の稼働により減価償却費等のコストが上昇した影響を受け、厳しい状況となりました。
情報電子材料事業は、中国経済の減速による影響を受け、ワイヤーハーネスなど自動車関連向けの販売が減少しましたが、国内において半導体および化学工業向けに化学薬品などの販売が堅調に推移したほか、海外関連会社の持分利益が増加し、前連結会計年度並みとなりました。
海外エンジニアリング事業では、産業ガス関連機器分野は、北米において低温液化ガス貯槽や炭酸ガス関連機器の販売が堅調だったことに加え、マレーシアの生産拠点を中心に生産の効率化や調達コストの低減に取り組んだ結果、堅調に推移しました。また、高出力UPS(無停電電源装置)分野は、シンガポールにおけるデータセンター向けの需要が増加し、堅調に推移したほか、当連結会計年度にM&Aを実施した高出力UPSメーカーであるオランダ・Hitec Holding B.V.の新規連結効果がありました。
その他の事業は、山口県防府市において昨年7月に稼働を開始した木質バイオマス・石炭混焼発電所の安定操業が継続し、電力事業が順調に推移しました。また、2021年4月の稼働開始を目標に福島県いわき市で進めている木質バイオマス専焼発電所の建設計画も順調に進展しました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
製品のほとんどが見込生産であります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
(資産の部)
総資産は、有形固定資産の増加などにより前連結会計年度末に比べて1,137億5千5百万円増加し、8,996億9千9百万円となりました。
負債は、社債及び借入金の増加などにより前連結会計年度末に比べて569億5千万円増加し、5,478億8千4百万円となりました。
資本は、新株の発行及び親会社の所有者に帰属する当期利益の積み上げなどにより前連結会計年度末に比べて568億5百万円増加し、3,518億1千5百万円となりました。
以上の結果、1株当たり親会社所有者帰属持分は前連結会計年度の1,420.37円から1,460.00円に増加しております。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度の35.4%から36.9%となりました。また、親会社所有者帰属持分当期利益率は前連結会計年度の10.6%から10.0%となっております。
(3)キャッシュ・フロー
① 財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、2010年度から長期成長ビジョンとして「NEXT-2020 1兆円企業ビジョン」を掲げ、その実現に向けた総仕上げとなる中期経営計画「NEXT-2020 Final」(2019~2021年度)を現在推進しております。計画達成に向け、この中期経営計画期間中は投資効率や財務バランスを考慮しつつM&Aや設備投資等の成長投資を積極的に継続する考えでおります。中でも、今後の成長機会獲得の施策として海外展開の推進を掲げており、当連結会計年度はインドでの産業ガス事業の譲受け等、成長戦略上非常に重要で貴重な投資機会を得ました。
一方、これらの投資金額は当社グループにとって多額であったため、中長期的な財務規律を維持しつつ、持続的な成長に向けた今後の戦略投資を可能とする財務柔軟性を確保する目的で、2019年12月に株式の発行による資金調達を実施しました。その結果、財務基盤はより安定したものの、積極投資による成長ステージと位置付けている現時点では、財政状態の基準として設定している親会社所有者帰属持分比率40%、ネットD/Eレシオ0.75倍は未達となっております。
ただ、次の中期経営計画期間では積極投資の回収が進むことに加え、事業規模の拡大からより収益性・効率性を重視した成長戦略への移行により、財務指標を改善させていく考えでおります。
② キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益及び減価償却費などから法人税等の支払などを差し引いた結果、前連結会計年度に比べ174億2千7百万円収入が減少し、437億8千4百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、インドにおける産業ガス事業の譲受やM&A投資による支出が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ239億8千1百万円支出額が増加し、1,155億9千7百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行による収入に加え社債の発行及び借入れによる収入などにより、前連結会計年度に比べ419億3千6百万円収入が増加し、809億8千1百万円の収入となりました。
(現金及び現金同等物)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ97億5千2百万円増加し、418億6千1百万円となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
中期経営計画を達成するために必要な成長投資の資金については、事業で創出されるキャッシュ・フローを充当し、不足する分は銀行借入或いは社債発行による負債調達を基本としております。
手元資金については、資金効率を重視し事業継続に必要な適正水準を維持する方針としております。
なお、資金の機動的かつ安定的な調達に向け、2020年3月に取引銀行3行との間に総額200億円のシンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しました。
成長投資については、経済活動の停滞が長期化した局面に備えて十分な財務の安全性を維持するため、今後のM&A投資および設備投資は、事業環境の変化を慎重に見極めながら厳選していきます。
株主還元については、配当性向の目標を親会社所有者に帰属する当期利益の30%としており、中長期的な成長のための戦略的投資等に必要な内部留保の充実に留意しつつ、将来にわたって業績に見合った安定的な配当を行うことを基本方針としております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、会計上の見積りに対する新型コロナウイルスの影響に関して、当社が現時点までに把握している情報をもとに、合理的であると判断した一定の前提に基づいております。翌連結会計年度の事業環境については、第1四半期は新型コロナウイルスの影響によって企業の生産や設備投資をはじめとした国内外の経済活動が大幅に制約を受けるものの、第2四半期以降は経済活動の自粛が緩和され、年度末までの期間をかけて緩やかなペースで正常化に向かい、2021年度開始時点ではほぼ正常化している、との仮定を置いております。その前提に基づき、当連結会計年度において会計上の見積りを行った結果、当連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響は軽微なものと判断しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要な会計方針」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
① 非金融資産の減損
当社グループは決算日において、棚卸資産および繰延税金資産を除く非金融資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを判定し、減損の兆候が存在する場合には当該資産の回収可能価額に基づき減損テストを実施しております。のれんは償却を行わず、減損の兆候の有無にかかわらず年に一度、または減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを実施しております。資産の回収可能価額は資産または資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としており、資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、当該資産は回収可能価額まで減額し、減損損失を認識しております。使用価値の算定に際しては、資産の耐用年数や将来キャッシュ・フロー、成長率、割引率等について一定の仮定を用いております。
これらの仮定は過去の実績や当社経営陣により承認された事業計画等に基づく最善の見積りと判断により決定しておりますが、事業戦略の変更や市場環境の変化等により影響を受ける可能性があり、仮定の変更が必要となった場合、認識される減損損失の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金、繰越税額控除および将来減算一時差異のうち、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産は毎決算日に見直し、税務便益の実現が見込めないと判断される部分について減額しております。
当社グループは、将来の課税所得および慎重かつ実現性の高い継続的なタックス・プランニングの検討に基づき繰延税金資産を計上しており、回収可能性の評価に当たり行っている見積りは合理的であると判断しておりますが、見積りは予測不能な事象の発生や状況の変化等により影響を受ける可能性があり、実際の結果が見積りと異なる場合、認識される費用および計上される資産に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(5) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、「革新=イノベーションの実行」を基本コンセプトに据えた3カ年中期経営計画「NEXT-2020 Final」において、下記の指標等を主要な目標として取り組んでおります。
※1 親会社所有者帰属持分当期利益率
(親会社の所有者に帰属する当期利益÷親会社の所有者に帰属する持分(期首期末平均))
※2 資産合計税引前利益率 (税引前利益÷資産合計(期首期末平均))
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりであります。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
また、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、百万円未満を切り捨てて記載しております。
前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
(連結の範囲の変更)
Power Partners Private Limited、ニチネツホールディングス㈱、㈱見方他21社は株式の取得により子会社となったこと等により、当連結会計年度から連結の範囲に含めております。
斎藤医科工業㈱他4社は合併により消滅したことにより、当連結会計年度より連結の範囲から除いております。
(持分法適用の範囲の変更)
㈱SDL・HDは重要性が増したことにより、当連結会計年度から持分法の範囲に含めております。
(表示方法の変更)
(「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」の適用に伴う変更)
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用し、繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示し、繰延税金負債は固定負債の区分に表示しております。
(会計上の見積りの変更)
(耐用年数の変更)
当連結会計年度において、物流関連事業の有形固定資産の買替更新に際し、同事業の連結子会社に係る有形固定資産の使用実態及び使用見込期間を再検討した結果、当連結会計年度より一部の有形固定資産の耐用年数をより実態に即した経済的使用可能予測期間に基づく耐用年数に変更しております。
これにより、従来の方法と比べて、当連結会計年度の減価償却費が1,132百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益がそれぞれ1,132百万円増加しております。
当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(連結の範囲の変更)
Hitec Holding B.V.、㈱FILWEL、大東化学㈱他33社は株式の取得により子会社となったこと等により、当連結会計年度から連結の範囲に含めております。
㈱半田他8社は合併により消滅したことにより、当連結会計年度より連結の範囲から除いております。
(持分法適用の範囲の変更)
丸進青果㈱は株式を追加取得したことにより、当連結会計年度から持分法の範囲に含めております。
前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「38.初度適用」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(のれんの償却)
のれんの償却について、日本基準では20年以内の合理的な償却期間を設定し、定額法により償却を行っておりましたが、IFRSでは償却を行わず、毎期減損テストを実施しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて販売費及び一般管理費が3,172百万円減少しております。また、持分法による投資損益は364百万円増加しております。
(表示組替)
日本基準において営業外収益、営業外費用、特別利益および特別損失に区分していた項目を、IFRSにおいては金融関連項目(受取利息、受取配当金、支払利息および為替差損益等)を「金融収益」または「金融費用」として、それ以外の項目は、各項目の性質に応じて、「その他の収益」、「その他の費用」、「持分法による投資損益」などに表示しております。
(資本性金融商品)
日本基準では資本性金融商品の売却損益及び減損損失を純損益としておりましたが、IFRSにおいて、その他の包括利益を通じて公正価値で測定することを選択した資本性金融商品については、公正価値の変動額をその他の包括利益として認識し、認識を中止した場合に利益剰余金に振り替えております。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、税引前利益が9,843百万円増加しております。
(インド Praxair India Private Limited の産業ガス事の一部譲受)
当社は、インドの子会社であるAir Water India Private Limitedを通じてPraxair India Private Limited(以下、Praxair インディア社)がインド東部において営む酸素・窒素・アルゴンの製造・販売・供給に関する事業を譲り受ける契約を、2019年6月14日付で Praxair インディア社との間に締結し、同社からの事業譲受を2019年7月12日に完了しました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「33.企業結合」をご参照ください。
(インド Linde India Limited の産業ガス事業の一部譲受)
当社は、インドの子会社であるAir Water India Private Limitedを通じてLinde India Limited(以下、Linde インディア社)がインド南部において営む酸素・窒素・アルゴンの製造・販売・供給に関する事業を譲り受ける契約を、2019年11月22日付でLinde インディア社との間に締結し、同社からの事業譲受を2019年12月16日に完了しました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「33.企業結合」をご参照ください。
当連結会計年度の研究開発活動につきましては、実用化ステージにある開発テーマを確実に事業へ結びつけることを最重点課題として取り組みました。また、引き続き研究開発投資効率の最大化を目指し、各事業部門及び各事業会社と研究部門が「横議横行」を重ね、事業戦略に合致した研究開発戦略を策定し、経営資源の最適化を図りつつ、スピーディに事業の創造と発展を成すべく、活動を推進しております。
これからも当社グループの持てる技術力を結集し、産業ガスで培ったコア技術を日々進化させると共に医療や農業等の様々な分野へ応用展開することと、オープンイノベーションによる積極的な技術導入を行うことで、技術の継続的な成長と社会に貢献できる成果の結実に鋭意努力してまいります。
セグメントごとの研究開発活動について、以下に示します。
(産業ガス関連事業)
・基幹事業である産業ガス事業においては、ガス製造プロセスの高度化とコスト削減、ガスを利用するアプリケーション開発について、日々研鑽を積み、着々と成果を上げております。
・世界最高水準の効率で、都市ガスから水素ガスを発生させることができる次世代型水素ガス発生装置「VHR」を開発し、2019年8月より1号機の運用を開始しております。今後も鉄鋼・半導体などの底堅い水素需要に対して拡販を推進し、省エネによる環境貢献を進めてまいります。
・脱炭素社会の実現、ならびに原料ソース不足が課題となっている炭酸ガス事業への貢献を目指し、CO2回収・利活用技術の開発に取り組んでおります。当社がこれまで培ってきたガス分離技術ならびにガスアプリケーションを起点に、産・官・学と連携してCO2回収・利用技術の社会実装に向けた研究開発活動を行い、着実に成果を上げております。
(ケミカル関連事業)
・あらゆるモノ・ひとが繋がるIоT時代の基幹コミュニケーションツールとして、5Gがますます重要なものとなってまいりました。5Gで必要となる大量データの通信・処理・蓄積に関し、電子材料にも、より高度な機能・特性が要求されております。半導体前工程から後工程までの幅広い領域で、お客様の高機能化ニーズへの対応を中心に、技術開発を推進しております。
・HDD、シリコンウエハなどの精密研磨に使用されるパッド材に関しては、樹脂技術・プロセス技術を高めることにより、お客様の研磨精度向上に対する恒常的なご要請にお応えしております。
一昨年上市した高周波対応の低誘電正接硬化剤は、順調に販売が進展しており、また、高速通信達成に向けた低誘電ポリイミドに対するニーズも高いことから、改質ポリイミドに向けた原料開発を強化しております。
ビスマレイミド系樹脂は、その高耐熱・低線膨張係数の特性を活かし、パッケージ基板分野を中心に市場展開を進めております。この特徴ある性能に加え、高周波対応を目指した低誘電正接化材料の開発を進めております。
レジスト材料は、微細配線化・多層化に対応した高機能化が要望されており、それに応え得るキノン系光増感剤の需要が拡大しております。これに応えるため製造設備を新設するとともに、キノン類の持つ光機能、レドックス機能等をさらに引き出すべく、大学等との共同研究も継続的に推進しております。
(医療関連事業)
・歯科材料分野では、歯科診療で白いクラウンを提供できる歯科切削加工用材料「ブリージョCADブロック」を開発し市場投入しました。現在、次世代技術である3Dプリント材料の開発を進め、市場投入を予定しております。
・歯髄再生治療関連の研究開発について、2018年度に開始した国立研究開発法人国立長寿医療研究センターとの共同研究に加え、当社グループ会社のアエラスバイオ㈱でも治療開始に向けた取り組みを開始しております。
・医療用ガス分野では、ヘリウム酸素混合ガスの呼吸器用薬としての医薬品化に向け、安全性データ取得のため実施中の医師主導治験に、治験薬提供者として参加し開発を推進しております。
・原子力発電所向けの火災防護対策用消火設備や高耐震性機器などの災害対策商材の開発、また国内消防機関に納入する空気呼吸器の面体(マスク)広視野化による機能性向上などに取り組んでおります。
(エネルギー関連事業)
・将来のエネルギー変革に向けて、LNG関連技術や水素関連技術について、技術の蓄積、洗練、高度化を推進しております。
・小型LNG供給設備である「Vサテライト」を開発し、2019年12月より1号機の運用を開始し、以降多くの引き合いをいただいております。今後もLNG供給の事業拡大に取り組むとともに、お客様の燃料転換を通じてCO2量の削減に貢献してまいります。
(農業・食品関連事業)
・農作物の保存技術や飲食物の品質改善に向けた開発を推進しております。
・農業・食品のイノベーションを創出する技術開発を目的として、2018年6月より室蘭工業大学と「包括的連携研究協力等に関する協定」を締結し、食品の機能性や農作物の栽培技術に関する研究に継続して取り組んでおります。
・野菜・果実の加工技術を一層深め、新たな飲料や原料素材の開発に取り組んでおります。2019年より乾燥野菜の開発を進めており、2020年2月に切干大根を商品化しました。
(海水関連事業)
・海水から塩を造る製塩事業から始まり、多角化により様々な事業展開を行ってまいりました。環境事業では、塩の結晶制御技術を用いた水処理用凝集剤(READ-CX)において改良を加え海外展開を図りました。またこの事業から発展した都市インフラ事業では、マンホール用防食鉄蓋の改良による性能向上及びコストダウンを行いました。
・マグネシア事業ではマグネシア製造の中間製品である水酸化マグネシウムを加工し、化学的に蓄熱する材料(CHARGEMAG®)を開発しました。工業発熱の有効活用により、CO2排出量の削減を通じて地球環境に貢献する製品であります。NEDO事業が完了し、当該プロジェクトは優良事業表彰を受賞、ENEX2020ではデモ機を展示しました。事業化に向けて着々と成果を上げております。
(その他の事業)
・SiC事業では、オンリーワン商材である「大口径SiC on Si基板」の表面に、トランジスタ層を含むGaN層を
成膜した「パワートランジスタ用GaN基板」を開発しました。当社の顧客であるデバイスメーカーが本基板を
用いたパワートランジスタを量産ラインで試作し、実証試験を行った結果、デバイス製造プロセスにおける品質の安定性(歩留まりの向上)を確認することができました。現在、実用化に向けた取り組みを当該顧客と協力して進めております。
・エアゾール事業では、人体用品から家庭用品、塗料、工業・自動車用品まで多種多様なお客様のニーズに対応した研究開発を推進しております。また、飛躍的に成長している化粧品分野に注力し、高品質・高付加価値な化粧品の開発にも取り組んでおります。
なお、当連結会計年度の研究開発費用の総額は