第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度における世界経済は、中国経済には総じて持ち直しの動きが見られたものの、英国の欧州連合(EU)離脱問題や米国新政権の今後の政策に関する不確実性などの影響が懸念され、先行きは不透明感が強まりました。

 一方、わが国経済は、雇用情勢の改善や個人消費に持ち直しの動きがありましたが、世界経済の先行き懸念により、景気の回復は一部に遅れが見られました。

 当社グループの主需要先である建築業界では一部に需要回復の兆しが見られましたが、造船業界・産業機械業界では世界的に市況が悪化したことにより厳しい状況で推移しました。

 このような状況のもと、当社グループは世界市場に向けた新技術・新製品の開発、収益確保を目指した原価低減、経営の効率化に取り組んでまいりましたが、その効果は限定的なものとなりました。一方、当社が大阪市に所有しておりました事務所・倉庫・ガス充填工場売却により固定資産譲渡益が発生しました。

 その結果、当連結会計年度の売上高は426億39百万円(前期比7.6%減)、営業利益は15億20百万円(同32.6%減)、経常利益は18億52百万円(同7.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は12億68百万円(同5.4%増)となりました。

 セグメント別の状況は次のとおりであります。

機械装置

 機械装置部門においては、4月に大阪で開催された「2016国際ウエルディングショー」に、定尺ハウジングタイプのファイバーレーザー切断機「FIBERTEC-Zシリーズ」を出展するとともに、「ウェルハンディ ミニ ストロング」や「ウェルバート」などの新型溶接台車にて高品質溶接用混合ガス「スーパーシールド」を用いた実演などを行うことにより、ガス・溶接・切断の一体販売を目的としたPRを実施し、受注につなげることができました。また、5月にKOIKEテクノセンターで開催した「2016ステンレスプライベートフェア」に、新型のステンレス用ドリルを搭載したプラズマ切断機を出展するとともに、国内各地で開催した「こいけ市」にポータブルNC切断機などを出展し、好評を得ることができました。さらに、11月に東京で開催された「JIMTOF2016」にファイバーレーザー切断機などを出展し、新規顧客の獲得に努めるとともに、器具・自動機の一括受注を目的としたセールを行い、受注活動を推進しました。

 海外においては、中国の造船所からの大型案件について受注を獲得するとともに、アジア向けに海外現地法人で製造しているNC切断機の拡販活動を行い、多くの受注を獲得することができました。また、ドイツで開催された「EuroBLECH2016」に欧州規格に対応した製品を出展し、好評を得ることができました。しかしながら、造船業界や産業機械業界での世界的な市況の低迷が続き、消耗品の需要が大幅に減少したことに加えて、中国のコピー品メーカーや低価格メーカーの攻勢により世界市場で価格競争が激化し、大幅な減益となりました。

 生産面においては、新製品を中心に切断機の受注が多いことから高稼働を維持しました。また、市場の様々なニーズへ対応するために、ファイバーレーザー切断機の更なる改良を行い、開発への取組を強化しました。さらに、仕様の標準化によるコストダウンを推進し、競争力の強化に努めました。

 その結果、売上高は180億49百万円(前期比13.8%減)、セグメント利益は11億90百万円(同32.5%減)となりました。

高圧ガス

 高圧ガス部門においては、「2016国際ウエルディングショー」や国内各地で開催した「こいけ市」に、溶接用混合ガスやガス混合器を出展し、好評を得るとともに、ガス・溶接・切断の一体販売を積極的に推進しましたが、大型案件の受注には至りませんでした。また、12月に大阪で新たに総合ガス充填工場を建設し、関西地区でのガスの拡販活動を強化することにより、新規顧客の獲得に努めました。しかしながら、一部の地域では東京オリンピック関連事業への需要増加が見られたものの、主力の鉄工・建機関連の需要は低迷しており、売上高は伸び悩みました。

 生産面においては、ガス製造工場のリスク対策を強化し、保安徹底と安全確保に向けた取組を進めるとともに、安定供給・品質確保・原価低減に努めました。

 医療分野においては、主力のディスポ吸引ライナーは堅調に売上を伸ばすことができました。また、睡眠医療分野においてはCPAP(持続陽圧呼吸器)の営業活動を強化しました。さらに、海外市場での営業活動を強化すべく、9月に中国(上海)に現地法人を設立し、拡販活動を開始しました。しかしながら、酸素濃縮器のレンタル件数は増加したものの、レンタル契約単価の下落により収益は低迷しました。

 その結果、売上高は157億77百万円(前期比1.6%増)、セグメント利益は8億26百万円(同9.6%減)となりました。

溶接機材

 溶接機材部門においては、「2016国際ウエルディングショー」にて、小型の溶接機・切断機の実演や安全保護具のPRを行うとともに、新型マグネット「PLSシリーズ」を出展し、受注に向けた営業活動を推進しました。また、輸入商材である金属補修材の営業活動の強化や溶接機器・マグネット・安全器を対象とした「2016年サマーセール」および「2017年初荷セール」などの各種セールを実施し、拡販に努めました。さらに、国内各地で開催した「こいけ市」にて主力商材を出展し、好評を得ることができました。

 しかしながら、主需要先である建築業界では一部に需要回復の兆しや溶接材料の値上げ前の駆け込み需要があったものの、造船業界や産業機械業界では本格的な需要回復に至らず、国内向け溶接機器・安全器や輸出向けのガス継手の出荷減少により、昨年を下回る売上高となりました。

 その結果、売上高は81億28百万円(前期比6.0%減)、セグメント利益は2億25百万円(同11.3%減)となりました。

その他

 その他の部門においては、ヘリウム関連機器や排ガス処理装置の品質向上・原価低減に取り組み、一定の成果を得ることができました。

 ヘリウム関連機器については、大学研究機関を中心に積極的に営業活動を行い、ヘリウム液化機1台を納入しました。また、来年度納入予定の受注を1台確保するとともに、継続して保守・定期点検などについて営業活動を推進しました。

 排ガス処理装置については、台湾の代理店に駐在員としてセールスエンジニアを派遣し、中国・台湾での大型液晶画面向けの需要に対して営業活動を実施しましたが、計画した大型案件の受注には至らず、昨年を下回る売上高となりました。

 その結果、売上高は6億84百万円(前期比32.2%減)、セグメント利益は94百万円(同32.8%増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は、92億36百万円と前連結会計年度末比5億57百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 営業活動によるキャッシュ・フローは20億80百万円の収入(前連結会計年度は29億3百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上と減価償却費によるものであります。

 投資活動によるキャッシュ・フローは1億95百万円の収入(前連結会計年度は10億6百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入があったことによるものです。

 財務活動によるキャッシュ・フローは15億78百万円の支出(前連結会計年度は12億97百万円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出と配当金の支払があったことによるものです。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

 

前年同期比(%)

 

機械装置(百万円)

14,821

78.3

高圧ガス(百万円)

393

101.5

  報告セグメント計(百万円)

15,214

78.7

その他(百万円)

合計(百万円)

15,214

78.7

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)受注状況

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

機械装置

10,050

73.0

2,611

56.4

 (注)1.金額は販売価格によっております。

    2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3.受注高及び受注残高につきましては、標準機・部品等の金額を含めておりません。

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

 

前年同期比(%)

 

機械装置(百万円)

18,049

86.2

高圧ガス(百万円)

15,777

101.6

溶接機材(百万円)

8,128

94.0

  報告セグメント計(百万円)

41,955

93.0

その他(百万円)

684

67.8

合計(百万円)

42,639

92.4

 (注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

「ガス・溶接・切断の総合製造・販売会社として世界市場での顧客の満足と信頼を獲得する」ことを経営理念に掲げております。株主、顧客、取引先および従業員などにとって価値を高める企業であり続けるため、行動を変化させ、絶えず新しい技術を生み出し、人と技術と環境との調和を図ってまいります。

 

(2)経営戦略等

平成28年度を初年度とする「中期経営計画」では、①創業100周年記念事業の推進、②人材の確保と育成、③M&Aの推進、④リスク対策の強化、⑤グループ各社(国内・海外)との連携強化、の5つを重点施策として取り組んでまいります。

 

(3)経営環境

世界経済の不確実性による国内景気への影響や、主需要先である造船業界の市況低迷が続くことが見込まれており、厳しい状況が予想されます。

このような情勢のもと、当社グループは変化する世界市場に向けた新技術・新製品の開発および販売体制やグループ会社との連携の一層の強化を図るとともに、4月から18カ月間に渡る「グランド100トライアスロンセール」を開始し、平成30年度に迎える創業100周年に向かって、拡販活動の活性化に取り組んでまいります。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

機械装置部門においては、業界の新しい潮流に先駆けて対応するために、顧客が必要とする情報の提供や装置の長期安定稼働が可能なシステムなどのIoT技術を活用した製品開発の強化に努めてまいります。また、販売面では2016年に出展した「JIMTOF2016」にて引き合いを得た顧客を始めとして、新たな客層への販売活動を推進してまいります。さらに、世界各地の工場能力を考慮した最適生産化や開発企画能力の向上に取り組んでまいります。

高圧ガス部門においては、引き続きガス・溶接・切断の一体販売に取り組むとともに、大阪で新たに建設した総合ガス充填工場を活用して関西地区での拡販活動を強化し、新規顧客の獲得に努めてまいります。保安面においては、引き続きリスク対策を強化し、保安と安全の確保を徹底してまいります。

医療分野においては、より一層のサービスの向上およびIoT技術の活用により医療現場やユーザーにとって利便性の高い新製品の開発に取り組んでまいります。また、今後需要が旺盛な海外市場(中国・インドネシア)においても積極的に営業活動を進めてまいります。

溶接機材部門においては、4月からの「グランド100トライアスロンセール」において、目玉となる強化販売商材を順次市場に投入することにより、拡販活動に取り組んでまいります。また、今後本格化する首都圏の大型再開発・東京オリンピック関連インフラ工事向けの溶接材料および溶接機材などの拡販を図っていくとともに、「こいけ市」を始めとした各種展示会の実施やユーザー向け逆火保安講習会の実施などの販売施策を積極的に実施してまいります。

その他の部門においては、ヘリウム関連機器や排ガス処理装置について、引き続き品質の向上・原価低減に取り組み、積極的な営業活動を実施してまいります。また、新分野への進出に向けて排ガス処理装置の技術を応用した新製品の開発に努めてまいります。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)売上計上時期の遅延によるリスク

 当社グループでは、機械装置部門の中大型切断機、溶接機械等、高圧ガス部門の配管工事等の売上計上基準については検収基準を採用しておりますが、取引先の受入準備の遅れや、海外への輸出については現地における政変等環境の悪化により据付工事の進行に支障をきたし、その結果、検収ずれが生じ、売上計上時期が遅延する可能性があります。

 

(2)受注生産の影響によるリスク

 当社グループでは、主に機械装置部門の中大型切断機、溶接機械等については受注生産を行っておりますが、他社との競争の激化による受注価格の低下、原材料価格の変動等により当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3)売上債権管理上のリスク

 当社グループでは、売上債権の管理については取引先ごとに回収状況、滞留状況のチェックを行っております。今後も当社グループ全体で債権管理を強化し、滞留債権の発生防止に努めてまいりますが、取引先の業績悪化等による売上債権の回収遅延や貸倒れが発生する可能性があります。

 

(4)為替相場の変動によるリスク

 当社グループの売上高に対する海外売上高の割合は、平成29年3月期において20.8%となっております。そのために当社グループでは為替予約等により為替変動のリスクをヘッジしておりますが、これにより当該リスクを完全に回避することは不可能であり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、ガス・溶接・切断の「トータルシステムサプライヤー」として先端技術の研究開発およびシステム製品の開発を積極的に推進しております。

 現在の研究開発活動は機械装置部門を中心に、当社の機械技術部開発グループおよび連結子会社の技術開発部門において、相互に緊密な連携をとりながら行っております。

 当連結会計年度における各部門の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は3億18百万円となっております。

 

(1)機械装置

NCレーザ切断機では、ファイバーレーザー切断機にて出力3kWと6kWタイプの開発を行い、2kWと5kWタイプに加えて製品化し販売を開始しました。また、4月に大阪で開催された「2016国際ウエルディングショー」および 11月に東京で開催された「JIMTOF2016」に出展し、ファイバーレーザー切断機の切断実演などの展示を行い、特に厚板切断において多くの方々より好評を得ることができました。

NCドリル機では、SUS用ドリルユニットの開発を行い製品化し、軟鋼については板厚200mmと300mmに対応可能な厚板用ドリルユニットを開発し、それぞれのニーズにあわせたドリルユニット搭載機の販売を開始しました。

全面印字装置では、市場ニーズに対応した鋼板の両面(表面・裏面)を同時に全面印字できる画期的なシステムの開発を行い、製品化し販売を開始しました。

CNCコントローラでは、グローバル仕様の切断機に搭載可能な「KATANA」を、韓国において新機種に搭載できるよう開発し販売を開始しました。また、12月にインドで開催された「Weld India 2016」に開発成果として出展しました。

引続き様々なお客様のニーズに応えられる製品の提供に努めてまいります。

なお、機械装置部門に係る研究開発費は、2億60百万円であります。

 

(2)高圧ガス

 高圧ガス部門では、㈱小池メディカルが中心となって医療機器の開発を行っております。当連結会計年度においては、睡眠時無呼吸症候群の治療用装置を中心に開発活動に取り組んでおります。

 なお、高圧ガス部門に係る研究開発費は、57百万円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、会計上の見積りが必要となる事項については、過去の実績や将来計画等を考慮し、「棚卸資産の評価に関する会計基準」「金融商品に関する会計基準」「固定資産の減損に係る会計基準」「資産除去債務に関する会計基準」「退職給付に係る会計基準」「税効果会計に係る会計基準」等の会計基準に基づいて会計処理を実施しております。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

(2)当連結会計年度の財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産は538億99百万円で、前連結会計年度末比13億45百万円の減少となりました。

 流動資産合計は308億38百万円で、前連結会計年度末比14億49百万円の減少となりました。これは主に受取手形及び売掛金が6億47百万円減少、商品及び製品が3億38百万円減少、原材料及び貯蔵品が4億91百万円減少したことによるものです。

 固定資産合計は230億60百万円で、前連結会計年度末比1億4百万円の増加となりました。これは主に土地が7億31百万円減少の一方、建物及び構築物が3億76百万円増加、投資有価証券が7億26百万円増加したことによるものです。

 流動負債合計は180億91百万円で、前連結会計年度末比20億17百万円の減少となりました。これは主に支払手形及び買掛金が7億40百万円減少、1年内返済予定の長期借入金が4億51百万円減少、未払法人税等が2億78百万円減少したことによるものです。

 固定負債合計は53億90百万円で、前連結会計年度末比3億43百万円の減少となりました。これは主に長期借入金が5億35百万円減少したことによるものです。

 純資産合計は304億17百万円で、前連結会計年度末比10億15百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金が13億33百万円増加したことによるものです。

 

(3)当連結会計年度の経営成績の分析

 「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりであります。

 

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 4.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(5)キャッシュ・フローの状況の分析

 「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。