第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

「ガス・溶接・切断の総合製造・販売会社として世界市場での顧客の満足と信頼を獲得する」ことを経営理念に掲げております。株主、顧客、お取引先および従業員などにとって価値を高める企業であり続けるため、行動を変化させ、絶えず新しい技術を生み出し、人と技術と環境との調和を図ってまいります。

 

(2)経営戦略等

当社グループは中期経営計画「POST100&NEXT100 TRY-2023」において主要課題として「世界市場での顧客満足の実現」「すべての社員が活躍できる働き方改革の実現」「持続的成長に向けた経営体制の強化」を掲げ、「お取引先」「従業員」「社会」「株主」など様々なステークホルダーとともに共通価値を創造して、ゆるぎない信頼を獲得し、持続的な成長を実現してまいります。

中期経営計画「POST100&NEXT100 TRY-2023」の概要

主要課題

世界市場での顧客満足の実現

(CS:顧客満足)

①魅力ある製品・サービスの供給

②顧客利益向上への貢献

③顧客サービスの高度化

すべての社員が活躍できる働き方改革の実現

(ES:従業員満足)

①プロフェッショナル人材の育成

②成果主義に基づく評価制度の浸透と向上

③働きやすい職場環境の醸成

持続的成長に向けた経営体制の強化

(SS:社会満足)

①ESG課題への積極的な取組

②グループ一体経営の促進

③収益力の強化

 

(3)目標とする指標

当社グループは、目標とする経営指標として以下の数値を掲げております。これらを重要指標と認識し、企業価値の向上に努めてまいります。

数値目標

2024年3月期(第101期) 連結売上高470億円、経常利益率6.0%、ROE4.5%

 

(4)経営環境

今後の当社グループを取り巻く経営環境は、景気の緩やかな持ち直しが見込まれるものの、依然としてロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫化などの地政学的リスクの高まりや海外経済の減速等に注視する必要があります。

このような情勢のもと、当社グループは変化する世界市場に向けた新技術・新製品の開発および各グループ会社との更なる連携と販売体制の強化に取り組んでまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

機械装置部門においては、当社オンリーワン技術のDBC(Dual Beam Control)ファイバーレーザー切断機の更なる販売強化に努めていくとともに、機械性能向上、切断現場の自動化を目指した研究開発に注力してまいります。また、海外市場においてもDBCファイバーレーザー切断機の販売を強化してまいります。
 高圧ガス部門においては、機械との一体販売の更なる推進などにより新規顧客の獲得に取り組むとともに、2024年問題による物流コスト上昇等に伴う価格改定に取り組んでまいります。また、将来に向けたガス事業の構造改革として充填工場の再構築や配送の合理化を推進し、安全、安定供給および原価低減を図ってまいります。医療分野においては、酸素濃縮器レンタル、CPAPレンタルなどの営業強化を図り、拡販活動に努めてまいります。
 溶接機材部門においては、省エネルギー、カーボンニュートラル、労働環境改善など、職場の安全と効率化やSDGs課題の解決に資する商材の拡販活動に努めてまいります。また、資材や運送費等の仕入価格高騰等に伴う商品価格の改定に取り組んでまいります。
 その他の部門においては、カーボンニュートラル時代を見据えた新製品として、水素を燃料とした排ガス処理装置の開発に取り組んでまいります。また、ヘリウム液化関連装置の受注、半導体市場向けヘリウム回収精製装置の開発など、ヘリウムリサイクル事業の拡大に取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループでは、以下の「サステナビリティ・ビジョン」を掲げております。

<サステナビリティ・ビジョン>

 当社は創業から100年を経た企業として、「ガス・溶接・切断の総合製造・販売会社として世界市場での顧客の

満足と信頼を獲得する」という「経営理念」のもと、中期経営計画(主要課題:CS(顧客満足)「世界市場における顧客満足の実現」、ES(従業員満足)「すべての社員が活躍できる働き方改革の実現」、SS(社会満足)「持続的

な成長に向けた経営体制の強化」)の推進を通じて、持続的な成長と企業価値の向上・持続可能な社会実現への貢献を図り、さらに100年続く企業への進化を目指してまいります。

 

 「サステナビリティ経営の全体像」における「サステナビリティ・ビジョン」の位置付けは以下のとおりであり、サステナビリティ情報の重要性の判断、リスク管理は取締役会が担い、「主要課題」と「主要な取り組み」を

「E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)」に分けて整理・推進しており、中期経営計画の着実な実行によりサステナビリティの実現を図ってまいります。

 

  <サステナビリティ経営の全体像>

0102010_001.jpg

 

<E:環境>

主要課題

主要な取り組み

「経営の基本方針」との関係

「グループ行動規範」との関係

・ 気候変動への対応

・ 環境への配慮

・ 環境配慮型製品の提供:

  お客様の工場におけるCO2排出量削減、

  労働環境の改善に貢献

・ 環境配慮型ビジネスモデルへの転換:

  省エネ設備の導入と自然エネルギー活

  用の推進

・ 顧客の満足を向上させ、顧客の創

  造と維持に努める

・ 環境問題への取組

  環境に配慮した技術革新と環境保全

  を意識した事業活動を行い、環境負

  荷・環境リスクの低減に努めます。

 

<S:社会>

主要課題

主要な取り組み

「経営の基本方針」との関係

「グループ行動規範」との関係

・ 人権の尊重

・ 安心・安全の追求

・ 社員の多様性、人格、個性を尊重

・ 連帯感を持ち、安全で働きやすい職場

  環境を確保

・ ISO9001品質マネジメントシステム:

  要求事項の充足、効果的運用、継続的

  な改善

・ 智・技を高め、皆で働いて皆で良く

  なろう

・ 働きやすい環境の構築

  社員の多様性、人格、個性を尊重す

  るとともに、連帯感を持ち安全で働

  きやすい職場環境を確保します

 

<G:ガバナンス>

主要課題

主要な取り組み

「経営の基本方針」との関係

「グループ行動規範」との関係

・ コンプライアンス

  の推進

・ コーポレート・

  ガバナンスの向上

・ 企業倫理の徹底を図り法令を遵守

・ 資本コスト、ステークホルダーの声を

  意識した経営の実践

・ 健全な企業として、存続と発展を図

  り社会貢献する

・ 公正な取引環境の構築

  関係法令・社内規則・その他の社会

  的規範を遵守し、自由で公正な競争

  による適正な取引を徹底します

 

 

 

<人的資本>

 当社グループ会社の行動規範として、「社員の多様性、人格、個性を尊重するとともに連帯感を持ち安全で働きやすい職場環境の確保」を設定するとともに中期経営計画にてES(従業員満足)「すべての社員が活躍できる働き方改革の実現」を掲げ、「プロフェッショナル人材の育成」「成果主義に基づく評価制度の浸透と改善」「働きやすい職場環境の醸成」の3本の柱を軸として各施策を推進いたしました。未来へとつなぐ企業価値の向上と持続的な成長に向けて、人事戦略の強化は必要不可欠と認識しております。新たな中期経営計画 「NEXT STAGE 2026」においても、「人材の多様性を重視した人事施策の推進」と「働きやすい職場環境の醸成」を人事戦略の柱として各施策を掲げ、社会が変革を遂げるなかでも社員一人ひとりが主体性をもって仕事に取組み、新たな価値を創造すべく、推進してまいります。

 

(1)「プロフェッショナル人材の育成」

① 人材育成

 若手社員・キャリア採用者の早期戦略化・連帯感の強化を図るため、階層別研修内容を時代に即した見直しを行うとともに、グループ会社合同で職種に関係なく研修を実施、他部門他職種との交流により、視野を広げさせ、会社全体の理解を深める一助としております。

またマネジメント層の意識改革が多様な人材の活用には不可欠であると認識し、2022年度に短期的な研修ではなく、「研修と現場実践の繰り返し」により、行動変容と組織変革を実現すべく約8か月にわたる長期的な研修を、課長職層にも実施いたしました。

今後もマネジメント層の意識改革に向けた長期研修を継続するとともに新技術・新製品の開発や事業領域の拡大・専門性を高めるべく、職種別研修の強化、グローバルに活躍できる人材の育成や次世代を担う人材、後継者の計画的な育成プランを策定するなど、モノづくりの未来に必要不可欠な人材の育成強化を図ってまいります。

② 人員計画

国内外の外部環境の変化がますます厳しくなる中、多様化する需要への対応、新たな取り組みに挑戦し続ける人材基盤を強化すべく、性別・国籍に関係なく、適切なタイミングで専門性また変化への対応力を有する人材の採用を行うため、また全体的な人員構成を踏まえ、キャリア採用者の数を増加するとともに非正規社員の正社員登用を積極的に実施いたしました。

環境変化に応じた持続的な成長を目指し、あるべき組織を実現すべく、多様な人材の一人ひとりの個性を活かし能力や経験、知識の幅を広げるべく人材の適正配置と定期的なローテーション人事を実施しており、今後も継続する所存です。

 

(2)「成果主義に基づく評価制度の浸透と改善」

 社員の意欲を高める人事制度の構築を図るため、2019年より年功序列型賃金体系を廃止し、成果主義に基づく待遇改善を図ってまいりました。またより社員の意欲を高め、個々人が主体性をもってチャレンジできる体制の確立を図るため、役職手当の変更や評価制度の一部変更を実施いたしました。今後も時代に即した人事制度の確立を行うべく、評価者の研修強化、また外部環境の変化や施策の浸透状況に応じて、定期的に見直しを図ってまいります。

 

(3)「働きやすい職場環境の醸成」

① 女性の職域拡大をすべく、個々人の専門性を活かした営業職、技術職の採用および配置転換の推進や女性の非正規社員の正社員化を促進するとともに、管理職登用について公平公正な手続きにて実施しております。また、仕事と育児・介護の両立に向けた支援体制、勤務体制の拡充を掲げ、地域限定制度を導入し、育児・介護等の理由により転勤が困難な場合は、申請を行うことにより、転勤がなく安心して働ける環境を整備しております。

女性活躍推進法に基づく行動計画のとおり、2025年3月までの管理職に占める女性社員の割合目標8%を掲げ、管理職候補を対象とした研修プログラムを策定するとともに女性の管理職候補生を増やすため、職域の拡大を踏まえた配置転換・採用活動を継続的かつ積極的に進めております。

 そして、働きやすい環境の整備と女性社員が個々人の強みを活かした処遇、非正規社員の正社員化の促進、管理職への積極的な登用を継続して推進してまいります。

② 育児休業者の職場復帰については、職場復帰100%を掲げ、復帰前に本人と面談を行い、スキル・個人の事情を総合的に勘案し復帰しやすい職場への配置転換、また環境整備の一環として、時差出勤およびフレックスタイム制の活用推進、在宅勤務の承認など個人の事情を考慮した柔軟で多様な働き方を継続・推進しております。

また男性の育児休業取得実績は昨年度に続き今年度も実績があり、継続して推進するため、周知を徹底するとともに活用しやすい職場環境整備を行ってまいります。

③ 効率的な業務処理による労働時間の縮減と属人的な業務を廃止するため、これまでの仕事のやり方を刷新すべく、統合型の新システム導入の準備を行っております。システム稼働後は、平均残業時間の短縮、有給休暇の取得率の向上を図り、心身共に健康で働ける環境を整備しワークライフバランスの充実を目指すとともに個々人がより自律的な戦力になるべく、通信教育、公的資格取得など自己啓発の支援制度の拡充を継続して図ってまいります。

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)売上計上時期の遅延によるリスク

 当社グループでは、機械装置部門の中大型切断機、溶接機械等、高圧ガス部門の配管工事等の売上計上基準については検収基準を採用しておりますが、取引先の受入準備の遅れや、海外への輸出については現地における政変等環境の悪化により据付工事の進行に支障をきたし、その結果、検収ずれが生じ、売上計上時期が遅延する可能性があります。

 当社グループは、製造や工事の進捗管理を慎重に行い、計画通りに納入できるよう努めております。

 

(2)他社との競合によるリスク

 当社グループでは、主に機械装置部門の中大型切断機、溶接機械等については受注生産を行っておりますが、他社との競争の激化による受注価格の低下等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、新技術・新製品の開発と価格競争力等により、競合他社に対応できるよう努めております。

 

(3)売上債権管理上のリスク

 当社グループでは、売上債権の管理については取引先ごとに回収状況、滞留状況のチェックを行っております。今後も当社グループ全体で債権管理を強化し、滞留債権の発生防止に努めてまいりますが、取引先の業績悪化等による売上債権の回収遅延や貸倒れが発生する可能性があります。

 当社グループは、取引先の情報収集、与信管理、債権保全等リスクの最小化に努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、米国経済は堅調な雇用環境および個人消費に支えられ、底堅く推移しました。しかしながら、中国経済の停滞や不安定な国際情勢、各国の金融引き締め政策の継続等により、依然として予断を許さない状況で推移しました。

 また、わが国経済は、社会・経済活動の正常化に向かい、雇用や所得環境の改善、インバウンド需要の拡大など、緩やかな回復基調で推移しましたが、原材料・エネルギー価格の高止まりや円安による物価上昇、海外景気の下振れリスクが懸念され、先行き不透明な状況となりました。

 当社グループの主需要先である建設業界・造船業界では市況に回復の動きがみられるものの、産業機械業界では受注が減少するなど、依然として予断を許さない状況となりました。

 このような状況のもと、当社グループは中期経営計画で掲げた「世界市場での顧客満足の実現」に向けた取組を継続しました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は734億76百万円で、前連結会計年度末比85億41百万円の増加となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は310億92百万円で、前連結会計年度末比22億37百万円の増加となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は423億84百万円で、前連結会計年度末比63億4百万円の増加となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高513億87百万円(前年同期比7.3%増)、営業利益43億14百万円(同31.0%増)、経常利益51億49百万円(同36.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益30億56百万円(同48.0%増)となりました。

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 機械装置は、売上高221億59百万円(同14.6%増)、セグメント利益33億83百万円(同42.0%増)となりました。

 高圧ガスは、売上高201億3百万円(同4.4%増)、セグメント利益14億55百万円(同0.03%増)となりました。

 溶接機材は、売上高83億43百万円(同2.8%減)、セグメント利益6億4百万円(同5.3%増)となりました。

 その他は、売上高7億80百万円(同14.1%増)、セグメント利益2億31百万円(同25.3%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は、161億90百万円と前連結会計年度末比16億17百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 営業活動によるキャッシュ・フローは44億58百万円の収入(前連結会計年度は56億44百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益50億40百万円、減価償却費14億64百万円の一方、売上債権の増加額18億76百万円等によるものであります。

 投資活動によるキャッシュ・フローは14億30百万円の支出(前連結会計年度は20億43百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出11億27百万円、定期預金の預入による支出4億35百万円等によるものであります。

 財務活動によるキャッシュ・フローは14億96百万円の支出(前連結会計年度は16億92百万円の支出)となりました。これは主にファイナンス・リース債務の返済による支出6億20百万円、長期借入金の返済による支出4億20百万円、配当金の支払額3億78百万円等によるものであります。

 

③受注及び販売の実績

 a.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

機械装置

15,639

102.7

7,579

95.5

 (注)1.金額は販売価格によっております。

 2.受注高及び受注残高につきましては、標準機・部品等の金額を含めておりません。

 b.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

 

前年同期比(%)

 

機械装置(百万円)

22,159

114.6

高圧ガス(百万円)

20,103

104.4

溶接機材(百万円)

8,343

97.2

報告セグメント計(百万円)

50,607

107.2

その他(百万円)

780

114.1

合計(百万円)

51,387

107.3

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

(資産合計)

 当連結会計年度末の資産合計は734億76百万円で、前連結会計年度末比85億41百万円の増加となりました。

 流動資産合計は412億47百万円で、前連結会計年度末比36億84百万円の増加となりました。これは主に有価証券が30億円増加、電子記録債権が18億54百万円増加の一方、現金及び預金が14億12百万円減少したことによるものです。

 固定資産合計は322億28百万円で、前連結会計年度末比48億56百万円の増加となりました。これは主に投資有価証券が40億74百万円増加、退職給付に係る資産が8億69百万円増加、ソフトウェア仮勘定が2億30百万円増加、有形リース資産が1億52百万円増加の一方、関係会社株式が2億91百万円減少、長期預金が1億38百万円減少、建物及び構築物が1億17百万円減少したことによるものです。

(負債合計)

 当連結会計年度末の負債合計は310億92百万円で、前連結会計年度末比22億37百万円の増加となりました。

 流動負債合計は242億41百万円で、前連結会計年度末比9億66百万円の増加となりました。これは主に電子記録債務が11億18百万円増加、賞与引当金が1億11百万円増加の一方、支払手形及び買掛金が2億77百万円減少したことによるものです。

 固定負債合計は68億50百万円で、前連結会計年度末比12億70百万円の増加となりました。これは主に繰延税金負債が19億11百万円増加の一方、長期借入金が4億50百万円減少、再評価に係る繰延税金負債が3億65百万円減少したことによるものです。

(純資産合計)

 当連結会計年度末の純資産合計は423億84百万円で、前連結会計年度末比63億4百万円の増加となりました。これは主にその他有価証券評価差額金が26億98百万円増加、利益剰余金が25億3百万円増加、退職給付に係る調整累計額が5億28百万円増加、為替換算調整勘定が3億4百万円増加したことによるものです。

 

b.経営成績

(売上高)

 売上高は、産業機械業界では受注が減少しましたが、建設業界・造船業界では市況に回復の動きがみられたことにより、前連結会計年度末比35億16百万円増加して513億87百万円となりました。

(営業利益)

 営業利益は、各種業務改善施策の実施や経費削減等を徹底したことにより、前連結会計年度末比10億22百万円増加して43億14百万円となりました。

(経常利益)

 経常利益は、前連結会計年度末比13億62百万円増加して51億49百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度末比9億91百万円増加して30億56百万円となりました。

 

c.経営成績に重要な影響を与える要因

 「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(機械装置)

 売上高は、国内市場において当社オンリーワン技術のDBC(Dual Beam Control)ファイバーレーザー切断機を中心に販売が好調に推移しました。また、12月に「2023KOIKEプライベートフェア」を開催し、新型DBCファイバーレーザー切断機FIBERTEX-Zero シリーズを披露し多数の新規引き合いを獲得しましたさらに10月から3月にかけて創業105周年記念グランド105セールを開催し全国の販売代理店とともに、汎用切断機器の拡販に取り組みました海外市場においては米国ではDBCファイバーレーザー切断機を9月のFABTECH 2023に出展し販売活動を開始しましたまた大型の溶接ポジショナーの販売が好調に推移したことにより、前連結会計年度末比28億26百万円増加して221億59百万円となりました。

 セグメント利益は、前連結会計年度末比10億円増加して33億83百万円となりました。

 セグメント資産は、売上債権が増加したことにより、前連結会計年度末比9億22百万円増加して221億36百万円となりました。

(高圧ガス)

 売上高は、医療分野においてはCPAPレンタルや院内感染防止対策機器の営業活動に注力しましたが新型コロナウイルス感染症の鎮静化に伴い関連する機器の売上が減少しました一方で産業ガス分野においては原材料や電気料金の高騰等がみられるなか価格改定や新規拡販活動に注力したことにより、前連結会計年度末比8億38百万円増加して201億3百万円となりました。

 セグメント利益は、前連結会計年度末比0百万円増加して14億55百万円となりました。

 セグメント資産は、売上債権が増加したことにより、前連結会計年度末比23億35百万円増加して165億87百万円となりました。

 

(溶接機材)

 売上高は、人手不足や資材・原材料価格の高止まりから溶接材料は需要が伸び悩み、「創業105周年記念グランド105セールや各種展示会を通じて溶接ロボットシステムや高機能溶接機工具などの販売を推進しましたが効果は限定的となり、前連結会計年度末比2億44百万円減少して83億43百万円となりました。

 セグメント利益は、前連結会計年度末比30百万円増加して6億4百万円となりました。

 セグメント資産は、売上債権が増加したことにより、前連結会計年度末比4億4百万円増加して53億71百万円となりました。

 

(その他)

 売上高は、海外向けの排ガス処理装置の販売が減少しましたがヘリウム回収精製装置の受注が増加したことにより、前連結会計年度末比96百万円増加して7億80百万円となりました。

 セグメント利益は、前連結会計年度末比46百万円増加して2億31百万円となりました。

 セグメント資産は、商品及び製品が減少したことにより、前連結会計年度末比22百万円減少して3億25百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は72億48百万円となっております。また、現金及び現金同等物の残高は161億90百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、ガス・溶接・切断の「トータルシステムサプライヤー」として先端技術の研究開発およびシステム製品の開発を積極的に推進しております。

 現在の研究開発活動は機械装置部門を中心に、当社の機械生産部開発グループおよび連結子会社の技術開発部門において、相互に緊密な連携をとりながら行っております。

 当連結会計年度における各部門の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は234百万円となっております。

 

(1)機械装置

①ファイバーレーザー関係

  第101期は、当社が唯一無二の技術であるDBC(Dual Beam Control)切断技術をさらに成熟および進化さ

 せました。2023年9月には、アメリカ・シカゴで開催された「FABTECH 2023」に「FIBERTEX-Zero 12kW-DBC」

 を出展してアメリカ市場開拓を開始し、有望引合い案件も生まれました。また、同時期には、「FIBERTEX-

 Zero」に、メンテナンス性・視認性・高速性・高剛性を付与した「FIBERTEX-Zero Series」を完成させ、

 9月には第1号機を納品、12月には「2023KOIKEプライベートフェア」で披露し、多数の新規引き合いを獲得し

 ました。

  開発の成果としては、フジクラ社製12kW-DBC発振器のラインアップによりサポート体制や製品品質の信頼

 性に国産製を熱望するお客様の受注促進が得られ、新型ノズルと加工ヘッドの見直しによって大幅な切断品

 質改善が得られたことによるステンレスユーザーの受注・引合い件数増加、新型ノズルと新たな切断手法に

 より厚板軟鋼の切断品質向上による競合他社ユーザーからの受注獲得がありました。なお、DBC軟鋼切断用ノ

 ズルについては、特許を申請していましたが、第102期の4月に権利化されました。

 

②プラズマ関係

  第101期は、ここ数年、開発が停滞していたプラズマ開発で、軟鋼切断仕様として「SUPER-400ProⅡα」、

 ステンレス切断仕様として「SUPER-800Wα」の2件の新製品が完成しました。

  「SUPER-400ProⅡα」については、省エネかつCO2削減を兼ね備えたもので、お客様の生産性だけでなく環

 境にも配慮した製品となります。なお、第101期は垂直切断仕様でしたが、第102期には開先切断仕様も対応可

 能となります。「SUPER-800Wα」については、ヒュームの発生の少ないウォーターインジェクションプラズマ

 になり、切断品質の大幅な改善が得られたことで、1件の受注と1件の有望な引合いを獲得しました。こちらの

 製品も環境に配慮した製品となります。なお、本製品には、トーチ部に遮光と遮音効果が得られるウォーター

 カーテンが付与されており、新規性があると判断し、特許申請中です。

 

  今後も、ユーザニーズに応え、環境にも配慮した製品開発を行い、それとは並行して当社の唯一無二の技術

 力を高めて競合他社と差別化できる製品開発も行って、当社の技術力とお客様の信頼性を得る、魅力のある製

 品開発を継続してまいります。

 なお、機械装置部門に係る研究開発費は、224百万円であります。

 

(2)高圧ガス

 高圧ガス部門では、㈱小池メディカルが中心となって医療機器の開発を行っております。当連結会計年度においては、吸引器の素材を中心に開発活動に取り組んでおります。

 なお、高圧ガス部門に係る研究開発費は、9百万円であります。