当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
「ガス・溶接・切断の総合製造・販売会社として世界市場での顧客の満足と信頼を獲得する」ことを経営理念に掲げております。株主、顧客、お取引先および従業員などにとって価値を高める企業であり続けるため、行動を変化させ、絶えず新しい技術を生み出し、人と技術と環境との調和を図ってまいります。
(2)経営戦略等
当社グループは中期経営計画「NEXT STAGE 2026」において主要課題として「世界市場での顧客満足の実現と収益基盤の強化」「持続的成長に向けた経営基盤の強化」「資本コストと株価を意識した経営の実現」を掲げ、「お取引先」「従業員」「社会」「株主」など様々なステークホルダーとともに共通価値を創造、共有して、ゆるぎない信頼を獲得し、持続的な成長を実現してまいります。
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中期経営計画「NEXT STAGE-2026」の概要 |
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主要課題 |
世界市場での顧客満足の実現と収益基盤の強化 |
①魅力ある製品の提供と顧客サービスの 高度化を通じた顧客利益向上への貢献 ②新たな収益事業の模索 |
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持続的成長に向けた経営基盤の強化 |
①人的資本経営の強化による多様な人材の 活躍推進 ②DX推進により、お客様の経営課題解決への 貢献と、当社業務のリエンジニアリングを 実現 ③サステナブル経営の推進 |
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資本コストと株価を意識した経営の実現 |
①中長期的な視野に基づく成長と経営基盤 強化に向けた着実な投資の実現 ②株主還元の強化と株主・投資家との コミュニケーションの充実 |
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(3)目標とする指標
当社グループは、目標とする経営指標として以下の数値を掲げております。これらを重要指標と認識し、企業価値の向上に努めてまいります。
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数値目標 |
2027年3月期(第104期) 「成長性/収益性」連結売上高570億円、経常利益63億円、経常利益率11% 「効率性」 ROE10%、ROIC10% 「株主還元」配当性向30%以上 |
(4)経営環境
今後の当社グループを取り巻く経営環境は、米国の各種政策の影響や中国の景気低迷、地政学的リスクの長期化 等に注視する必要があります。
このような情勢のもと、当社グループは変化する世界市場に向けた新技術・新製品の開発および各グループ会社との更なる連携と販売体制の強化に取り組んでまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
機械装置部門においては、当社オンリーワン技術のDBC(Dual Beam Control)ファイバーレーザー切断機の更な る販売強化に努めていくとともに、機械性能向上並びに切断現場の自動化、省力化、IT化などを目指した研究開発 に注力してまいります。また、海外市場においてもDBCファイバーレーザー切断機の販売を強化してまいります。
高圧ガス部門においては、機械との一体販売の更なる推進などにより新規顧客の獲得に取り組むとともに、原材 料および物流コスト上昇等に伴う価格改定に取り組んでまいります。また、将来に向けたガス事業の構造改革とし て充填工場の再構築や配送の合理化を推進し、安全、安定供給および原価低減を図ってまいります。医療分野にお いては、酸素濃縮器レンタル、CPAPレンタルなどの強化と、原材料等のコスト上昇に伴う価格改定に取り組んでま いります。
溶接機材部門においては、アーク溶接機、ファイバーレーザー溶接機、溶接材料等の新製商品を、人手不足や脱 技能化といった課題解決に資する商材として拡販に努めてまいります。また、資材や運送費等の仕入価格高騰等に 伴う商品価格の改定に取り組んでまいります。
その他の部門においては、カーボンニュートラル時代を見据えた新製品として、水素を燃料とした排ガス処理装 置の開発に取り組んでまいります。また、ヘリウム液化関連機器の受注、半導体市場向けヘリウム回収精製装置の 開発など、ヘリウムリサイクル事業の拡大に取り組んでまいります。
当社グループでは、以下の「サステナビリティ・ビジョン」を掲げております。
<サステナビリティ・ビジョン>
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当社は創業から100年を経た企業として、「ガス・溶接・切断の総合製造・販売会社として世界市場での顧客の 満足と信頼を獲得する」という「経営理念」のもと、中期経営計画(主要課題:「1.世界市場での顧客満足の実現と収益基盤の強化」、「2.持続的成長に向けた経営基盤の強化」、「3.資本コストと株価を意識した経営の実現」)の推進を通じて、持続的な成長と企業価値の向上・持続可能な社会実現への貢献を図り、さらに100年続く企業への進化を目指してまいります。 |
「サステナビリティ経営の全体像」における「サステナビリティ・ビジョン」の位置付けは以下のとおりであり、サステナビリティ情報の重要性の判断、リスク管理は取締役会が担い、「主要課題」と「主要な取り組み」を
「E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)」に分けて整理・推進しており、中期経営計画の着実な実行によりサステナビリティの実現を図ってまいります。
<サステナビリティ経営の全体像>
<E:環境>
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主要課題 |
主要な取り組み |
「経営の基本方針」との関係 |
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「グループ行動規範」との関係 |
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・ 気候変動への対応 ・ 環境への配慮 |
・ 環境配慮型製品の提供: お客様の工場におけるCO2排出量削減、 労働環境の改善に貢献 ・ 環境配慮型ビジネスモデルへの転換: 省エネ設備の導入と再生可能エネルギ ー活用の推進 |
・ 顧客の満足を向上させ、顧客の創 造と維持に努める |
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・ 環境問題への取組 環境に配慮した技術革新と環境保全 を意識した事業活動を行い、環境負 荷・環境リスクの低減に努めます。 |
<S:社会>
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主要課題 |
主要な取り組み |
「経営の基本方針」との関係 |
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「グループ行動規範」との関係 |
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・ 人権の尊重 ・ 安心・安全の追求 |
・ 社員の多様性、人格、個性を尊重 ・ 連帯感を持ち、安全で働きやすい職場 環境を確保 ・ ISO9001品質マネジメントシステム: 要求事項の充足、効果的運用、継続的 な改善 |
・ 智・技を高め、皆で働いて皆で良く なろう |
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・ 働きやすい環境の構築 社員の多様性、人格、個性を尊重す るとともに、連帯感を持ち安全で働 きやすい職場環境を確保します |
<G:ガバナンス>
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主要課題 |
主要な取り組み |
「経営の基本方針」との関係 |
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「グループ行動規範」との関係 |
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・ コンプライアンス の推進 ・ コーポレート・ ガバナンスの向上 |
・ 企業倫理の徹底を図り法令を遵守 ・ 資本コスト、ステークホルダーの声を 意識した経営の実践 |
・ 健全な企業として、存続と発展を図 り社会貢献する |
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・ 公正な取引環境の構築 関係法令・社内規則・その他の社会 的規範を遵守し、自由で公正な競争 による適正な取引を徹底します |
<人的資本>
当社ではグループ行動規範として「社員の多様性、人格、個性を尊重するとともに連帯感を持ち安全で働きやすい職場環境の確保」を掲げており、中期経営計画 「NEXT STAGE 2026」では、「人材の多様性を重視した人事施策の推進」と「働きやすい職場環境の醸成」を人事戦略の柱としております。急速に変化する時代に適応した持続的な成長を実現するためには、企業としての変革また社員一人ひとりの進化が不可欠であり、新たなチャレンジを可能とする環境の整備がその鍵であると認識し、各種制度の見直しや人事施策の強化に積極的に取り組んでおります。
また、社員全員が共通の認識をもち、社員一人ひとりが同じベクトルを持って主体的に仕事に取組み、新たな価値を創造できるよう各種施策を推進してまいります。
(1)「人材の多様性を重視した人事施策の推進」
①環境の変化がますます厳しくなる中、多様化する需要への対応、新たな取り組みに挑戦し続ける人材の基盤を強化すべく、性別・国籍に関係なく、変化への対応力を有する人材の採用を行うため、また全体的な人員構成を踏まえ、新卒採用だけでなく、新しい視点をもったキャリア採用者を増加するとともに非正規社員の正社員登用を継続して実施いたしました。環境変化に応じた持続的な成長を目指し、あるべき組織を実現すべく、多様な人材の一人ひとりの個性を活かし能力や経験、知識の幅を広げるべく人材の適正配置と定期的なローテーション人事についても継続して実施しております。
また、少子高齢化が進む中、定年者の再雇用制度の見直しをいたしました。経験豊富な定年者が再雇用後もやりがいをもって働けるよう業務内容や役割に見合った公平な処遇に見直すことで士気の向上を図るとともに、知識やノウハウを次世代に継承させるべく後継者の採用・配置転換を積極的に実施し、企業の競争力を保ち継続的な成長の実現を推進してまいります。
女性の職域拡大につきましても、多様な価値観や視点を活かすべく営業職、技術職の採用を強化し、配置転換の推進や非正規社員の正社員化を促進するとともに、管理職登用について公平公正な手続きを継続して実施しております。
②人材育成の強化と心理的安全性を加味した組織体制の整備
若手社員・キャリア採用者の早期戦略化・連帯感の強化を図るため、階層別研修は時代に即した内容に見直しするとともに、グループ会社合同で職種に関係なく研修を実施、他部門・他職種との交流により、視野を広げさせ、会社全体の理解を深める一助としております。
また心理的安全性を加味した組織体制を作り、多様な人材を活用するにはマネジメント層の意識改革が不可欠であると認識し、2022年より短期的な研修ではなく、「研修と現場実践の繰り返し」により行動変容と組織変革を実現すべく約8か月にわたる長期的な研修を導入し、毎年実施しております。
今後もマネジメント層の意識改革に向けた長期研修を拡大、継続いたします。職種別研修の見直し、また職種に関係なく担当業務以外の知識についても幅広く習得することで、従業員全体の能力・スキルアップを図り結束力を高めるべく新たな研修体系を導入予定です。その他、通信教育、公的資格取得など自己啓発の支援制度の拡充を継続して図るとともにグローバルに活躍できる人材の育成や次世代を担う人材、後継者を計画的に育成するプランを策定するなど、モノづくりの未来に必要不可欠な人材の育成強化を継続して推進してまいります。
③時代に即した人事制度の確立
社員の意欲を高める人事制度の構築を図るため、2019年より年功序列型賃金体系を廃止し、成果主義に基づく待遇改善を図ってまいりました。また昨今のライフスタイルの多様化への対応と人材確保・定着を目指し、時代背景に即した人事制度の確立を行うべく、転居を伴う転勤がない地域限定コースと転居を伴う全国転勤コースの見直しを行いました。これまでは一定の事由に基づく申請があった際に地域限定コースとして承認していましたが、今回、新たに全国転勤可能な場合に申請・承認を行い、全国転勤コースとしての処遇を行うように変更いたしました。
また、人事制度の根幹である「経営方針の浸透」、「社員の納得性・透明性」と「公平・平等な仕組み」、「主体性を持ったチャレンジ環境の構築」、「モチベーション向上」等を実現すべく、評価者に対する研修を強化し、社員の育成と評価者自身の成長を促す取り組みを推進してまいります。
(2)「働きやすい職場環境の醸成」
①多様な働き方を実現すべく、仕事と育児・介護の両立に向けた支援体制、勤務体制の拡充を掲げており、フレックスタイム制の一層の活用・推進、統合基幹業務システムの導入による属人化解消等により、心身ともに健康で働ける環境を整備し、ワークライフバランスの充実を図ることを目指しております。
また、介護、育児事情等による多様な働き方の一つとして、在宅勤務制度を整備し、ガイドラインを策定いたしました。時差出勤およびフレックスタイム制の活用推進、在宅勤務の承認など個人の事情を考慮した柔軟で多様な働き方を継続して推進しております。
その他、各種ハラスメントの撲滅をすべく、全社員が定期的にコンプライアンス研修を受講するなど、人権侵害への意識を高め、安全で安心な職場環境の醸成の実現に向けて、今後も継続して取り組んでまいります。
② 快適性と安全を重視した職場環境の整備
働く職場環境を整備するため、老朽化した営業事業所の建物の建替えや設備の更新を引き続き推進してまいります。また工場業務においても安全教育を徹底し、事故撲滅を継続推進してまいります。
(3)目標と指標について
女性活躍推進法に基づく行動計画のとおり、2025年3月までの管理職に占める女性社員の割合目標8%を掲げましたが、2025年3月末現在、2024年3月末と同率の6%となりました。つきましては、正社員に占める女性社員の割合は2025年3月末時点で19%となっておりますので、まずは女性の採用数を増加させ、管理職に占める女性社員の割合の増加につなげてまいります。
①正社員採用者に占める女性の割合(2027年度目標) 30%以上
(2024年度実績) 27%
また、育児休業者の職場復帰については、職場復帰100%を掲げ、復帰前に本人と面談を行い、スキル・個人の事情を総合的に勘案し復帰しやすい職場への配置転換、フレックスタイムの活用や在宅勤務など多様な働き方を選択できるように整備しております。
一方、男性の育児休業取得実績は昨年度・一昨年度はありましたが、本年度はありませんでした。今後はさらに周知徹底し、男性の育児休業等が取得しやすい環境の整備や休業時のフォロー体制の整備を進めてまいります。
②男性育児休業取得率(2027年度目標) 10%以上
(2024年度実績) 0%
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)売上計上時期の遅延によるリスク
当社グループでは、機械装置部門の中大型切断機、溶接機械等、高圧ガス部門の配管工事等の売上計上基準については検収基準を採用しておりますが、取引先の受入準備の遅れや、海外への輸出については現地における政変等環境の悪化により据付工事の進行に支障をきたし、その結果、検収ずれが生じ、売上計上時期が遅延する可能性があります。
当社グループは、製造や工事の進捗管理を慎重に行い、計画通りに納入できるよう努めております。
(2)他社との競合によるリスク
当社グループでは、主に機械装置部門の中大型切断機、溶接機械等については受注生産を行っておりますが、他社との競争の激化による受注価格の低下等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、新技術・新製品の開発と価格競争力等により、競合他社に対応できるよう努めております。
(3)売上債権管理上のリスク
当社グループでは、売上債権の管理については取引先ごとに回収状況、滞留状況のチェックを行っております。今後も当社グループ全体で債権管理を強化し、滞留債権の発生防止に努めてまいりますが、取引先の業績悪化等による売上債権の回収遅延や貸倒れが発生する可能性があります。
当社グループは、取引先の情報収集、与信管理、債権保全等リスクの最小化に努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米国経済は底堅い個人消費に支えられ堅調に推移しましたが、欧州経済の 減速や中国経済の停滞感、地政学的リスクの継続などにより、先行き不透明な状況となりました。
また、わが国経済は、企業収益や所得環境の改善による個人消費の増加や、インバウンド需要の拡大により景気 は緩やかに回復しているものの、米国の通商政策等による不透明感や物価の高止まり等により、依然として予断を 許さない状況で推移しました。
当社グループの主需要先である造船業界は高い水準の手持ち工事量を維持しているものの、建設業界では鉄骨、 橋梁需要が減少し、産業機械業界では市況は低調に推移しました。
このような状況のもと、当社グループは中期経営計画で掲げた「世界市場での顧客満足の実現と収益基盤の強 化」に向けた取組を継続しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は747億35百万円で、前連結会計年度末比12億58百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の負債合計は291億63百万円で、前連結会計年度末比19億28百万円の減少となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は455億71百万円で、前連結会計年度末比31億87百万円の増加となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高552億6百万円(前年同期比7.4%増)、営業利益54億48百万円(同26.3%増)、経常利益60億46百万円(同17.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益36億33百万円(同18.9%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
機械装置は、売上高258億85百万円(同16.8%増)、セグメント利益49億31百万円(同45.8%増)となりました。
高圧ガスは、売上高204億0百万円(同1.5%増)、セグメント利益13億72百万円(同5.7%減)となりました。
溶接機材は、売上高81億64百万円(同2.2%減)、セグメント利益5億83百万円(同3.6%減)となりました。
その他は、売上高7億56百万円(同3.1%減)、セグメント利益1億92百万円(同16.7%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は、164億93百万円と前連結会計年度末比3億2百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは36億67百万円の収入(前連結会計年度は42億66百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が59億20百万円、減価償却費が16億31百万円計上した一方で、法人税等の支払額17億36百万、仕入債務の減少額11億89百万円、売上債権の増加額10億4百万円があったこと等によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは13億18百万円の支出(前連結会計年度は12億39百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出12億89百万円があったこと等によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは22億21百万円の支出(前連結会計年度は14億96百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額8億42百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出7億2百万円、子会社の自己株式の取得による支出5億23百万円があったこと等によるものであります。
③受注の実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
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機械装置 |
18,081 |
115.6 |
7,101 |
93.7 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.受注高及び受注残高につきましては、標準機・部品等の金額を含めておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は747億35百万円で、前連結会計年度末比12億58百万円の増加となりました。
流動資産合計は416億86百万円で、前連結会計年度末比4億38百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金が34億2百万円増加、受取手形及び売掛金が7億80百万円増加した一方、有価証券が29億99百万円減少、電子記録債権が10億13百万円減少したこと等によるものです。
固定資産合計は330億48百万円で、前連結会計年度末比8億20百万円の増加となりました。これは主に投資有価証券が4億45百万円増加、建物及び構築物が2億92百万円増加、工具、器具及び備品が2億34百万円増加したこと等によるものです。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は291億63百万円で、前連結会計年度末比19億28百万円の減少となりました。
流動負債合計は225億65百万円で、前連結会計年度末比16億75百万円の減少となりました。これは主にその他に含まれる前受金が11億98百万円減少、電子記録債務が7億43百万円減少したこと等によるものです。
固定負債合計は65億97百万円で、前連結会計年度末比2億52百万円の減少となりました。これは主に長期借入金が2億68百万円減少したこと等によるものです。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は455億71百万円で、前連結会計年度末比31億87百万円の増加となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益36億33百万円を計上し、剰余金の配当が8億42百万円あった結果、利益剰余金が27億91百万円増加したこと等によるものです。
b.経営成績
(売上高)
売上高は、産業機械業界では受注が減少しましたが、建設業界・造船業界では市況に回復の動きがみられたことにより、前連結会計年度末比38億19百万円増加して552億6百万円となりました。
(営業利益)
営業利益は、各種業務改善施策の実施や経費削減等を徹底したことにより、前連結会計年度末比11億33百万円増加して54億48百万円となりました。
(経常利益)
経常利益は、前連結会計年度末比8億96百万円増加して60億46百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度末比5億76百万円増加して36億33百万円となりました。
c.経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(機械装置)
売上高は、11月に「2024 KOIKEプライベートフェア」を開催し、DBC(Dual Beam Control)ファイバーレーザー切断機の納入ユーザー様による講演会や新たな切断技術である「厚板CW切断」による軟鋼40mmの高品質切断の実演等により、多数の引き合いを獲得しました。また、自動化、省力化、IT化などお客様の課題解決を実現する新製品を販売開始し新規顧客の獲得が進みました。海外市場においてはサウジアラビアの新造船所向けの設備納入が進んだことにより、前連結会計年度末比37億25百万円増加して258億85百万円となりました。
セグメント利益は、前連結会計年度末比15億48百万円増加して49億31百万円となりました。
セグメント資産は、売上債権が増加したことにより、前連結会計年度末比22億88百万円増加して244億25百万円となりました。
(高圧ガス)
売上高は、産業ガス分野においては、原材料や物流コストの高騰等に伴う価格改定、深耕拡大および新規拡販活動に注力しました。医療分野においては、仕入価格の上昇等に伴う価格改定、CPAPレンタルや院内感染防止対策機器の営業活動を強化したことにより、前連結会計年度末比2億97百万円増加して204億0百万円となりました。
セグメント利益は、前連結会計年度末比82百万円減少して13億72百万円となりました。
セグメント資産は、売上債権が減少したことにより、前連結会計年度末比4億33百万円減少して161億54百万円となりました。
(溶接機材)
売上高は、新商品であるファイバーレーザー溶接機の販売に成果を上げることができましたが、建設・産業機械業界の需要低迷や輸入商材の価格高騰を背景に溶接材料などの出荷量が減少したことにより、前連結会計年度末比1億79百万円減少して81億64百万円となりました。
セグメント利益は、前連結会計年度末比21百万円減少して5億83百万円となりました。
セグメント資産は、売上債権が減少したことにより、前連結会計年度末比2億84百万円減少して50億86百万円となりました。
(その他)
売上高は、海外向けの排ガス処理装置の販売は好調に推移しましたが、ヘリウム回収精製装置の受注が減少したことにより、前連結会計年度末比24百万円減少して7億56百万円となりました。
セグメント利益は、前連結会計年度末比38百万円減少して1億92百万円となりました。
セグメント資産は、売上債権が増加したことにより、前連結会計年度末比78百万円増加して4億4百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は72億34百万円となっております。また、現金及び現金同等物の残高は164億93百万円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
該当事項はありません。
当社グループは、ガス・溶接・切断の「トータルシステムサプライヤー」として先端技術の研究開発およびシステム製品の開発を積極的に推進しております。
現在の研究開発活動は機械装置部門を中心に、当社の機械生産部開発グループおよび連結子会社の技術開発部門において、相互に緊密な連携をとりながら行っております。
当連結会計年度における各部門の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は
(1)機械装置
①ファイバーレーザー関係
第102期は、当社の唯一無二の技術であるDBC(Dual Beam Control)切断技術をさらに発展させました。2024年4月24日から27日には、インテックス大阪にて開催された、わが国最大の溶接・接合、切断技術専門展示会である国際ウエルディングショーに、当社として初めての試みである、実機を出展せず、映像を駆使したバーチャルブースでの出展を行い、有望な引合いや受注を多数獲得しました。
開発の成果としては、a.ステンレス鋼の切断品質向上対策により、鉄鋼業界のみならずステンレス業界へもDBCを拡販、b.切断技術の熟成化により、これまで苦手としていた軟鋼薄板の切断品質を向上させて他社系ユーザーからも多数の受注を獲得、c.安定稼働に繋がるノズル消耗検知機能の開発完遂、d.造船業界の景気回復に先駆けて、ファイバーレーザー開先切断機開発に着手など、開発の手を緩めることなく、常に先を目指した取組みを継続しております。
②プラズマ関係
第102期は、昨期に完成した垂直切断仕様の「SUPER-400ProⅡα」を、造船業界に適応させるべく、開先切断仕様も機能拡張いたしました。
「SUPER-400ProⅡα」の開先切断仕様拡張は、省エネでありながら、生産性向上、消耗品の長寿命化を有するもので、メンテナンス対応も強化したことにより、これまで取り引きの無かった大手造船メーカー様から好評を得て、歴史的な受注となりました。さらに、同一グループ会社様からも受注を得て拡販に繋がりました。
今後も、ユーザーニーズに応え、環境にも配慮した製品開発を行い、それとは並行して当社の唯一無二の技術力を高め、競合他社と差別化できる製品開発も行い、当社の技術力とメンテナンス対応で、お客様から信頼が得られる魅力のある製品開発を継続してまいります。
なお、機械装置部門に係る研究開発費は、
(2)高圧ガス
高圧ガス部門では、㈱小池メディカルが中心となって医療機器の開発を行っております。当連結会計年度においては、吸引器の次期モデルを中心に開発活動に取り組んでおります。
なお、高圧ガス部門に係る研究開発費は、