第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当事業年度におけるわが国の経済は、政府による経済政策や日本銀行の金融緩和策を受けて、緩やかながら景気回復の動きがみられましたものの、中国を始めとするアジア新興国経済の減速など、依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。

 このような情勢のもとで、当社は、3カ年の新中期事業計画(平成28年3月期~平成30年3月期)に基づき、基盤事業の再構築、コア事業の収益拡大及び新規事業の強化を通じて、持続的な成長に向けた収益基盤の強化に取り組んでまいりました。

 その結果、既存製品及び新製品の拡販により、当事業年度の売上高は、前事業年度を上回る6,305百万円(前事業年度比0.9%増)となりました。

 一方、損益面につきましては、諸経費の増加はありましたものの、売上高の増加、一部製品の設備稼働率の上昇、主要原燃料価格の値下がりにより、営業利益は177百万円(前事業年度比75.8%増)、経常利益は141百万円(前事業年度比98.9%増)となりました。また、特別損失として固定資産除却損を計上いたしましたので、当期純利益は124百万円(前事業年度比53.3%増)となりました。

 

  セグメント別の概況は、次のとおりであります。

 

(酸化チタン)

 酸化チタンにつきましては、需要の低迷により既存製品の出荷数量が減少いたしました。高付加価値品の超微粒子酸化チタンにつきましては、トナー外添剤向けの出荷数量は前事業年度並みに留まりましたが、UVカット化粧品向けの出荷数量は増加いたしました。新規事業のチタン酸リチウムにつきましては、産業用蓄電池向けが好調に推移し、出荷数量が大幅に増加いたしました。

 以上の結果、当セグメントの売上高は4,355百万円(前事業年度比1.2%増)となり、売上高の増加、チタン酸リチウムの設備稼働率の上昇、原燃料価格の値下がりなどにより、営業利益は161百万円(前事業年度比183.0%増)となりました。

 

(酸化鉄)

 酸化鉄につきましては、需要の低迷によりフェライト向け及びトナー向けの出荷数量は減少いたしましたが、塗料向けやその他用途向けの出荷数量は増加いたしました。

 以上の結果、当セグメントの売上高は1,905百万円(前事業年度比0.3%増)となりましたが、設備稼働率の低下及び諸経費の増加などにより、営業利益は2百万円(前事業年度比92.4%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、税引前当期純利益、減価償却費、短期借入れによる収入、長期借入れによる収入などの資金増があったものの、たな卸資産の増加、有形固定資産の取得による支出、長期借入金の返済による支出、配当金の支払いなどの資金減によりまして、前事業年度末に比べて150百万円減少し、当事業年度末の残高は371百万円となりました

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

  当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前期比増減(%)

酸化チタン

4,749

10.1

酸化鉄

1,910

△6.1

その他

11

60.8

合計

6,671

5.0

(注)1 金額は期中平均販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

2 当社は生産に関し外注は行っておりません。

 

(2)受注状況

 当社は受注生産は行っておりません。

 

(3)販売実績

  当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前期比増減(%)

酸化チタン

4,355

1.2

酸化鉄

1,905

0.3

その他

44

0.2

合計

6,305

0.9

(注)1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

稲畑産業株式会社

2,283

36.5

2,118

33.6

森下産業株式会社

1,013

16.2

996

15.8

2 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

(1) 今後の見通し

 翌事業年度につきましては、政府による各種政策効果や米国の景気拡大などを背景に、次第に景気回復へ向かうことが期待されますものの、中国を始めとするアジア新興国や資源国の景気の下振れなどの影響が懸念され、景気回復のペースは緩やかな状況に留まるものと思われます。

 このような状況下で、当社といたしましては、3カ年の新中期事業計画(平成28年3月期~平成30年3月期)に基づき、基盤事業の酸化チタン及び酸化鉄の再構築、コア事業の超微粒子酸化チタンの収益拡大、新規事業のチタン酸リチウムの強化、高機能新素材の早期開発、徹底したコスト削減などに注力し、持続的な成長を達成してまいる所存であります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

 当社では、持続的な成長に向けた収益基盤を強化するため、平成27年度から平成29年度までの新中期事業計画を策定しております。

 新中期事業計画の方針と基本戦略は以下のとおりであります。

 

方  針 持続的な成長に向けた収益基盤の強化

基本戦略 基盤事業の再構築   コア事業への原料供給機能の拡充と新規用途への展開による事業領域の拡大

コア事業の収益拡大  新製品の早期上市とグローバルな事業展開による収益の拡大

新規事業の強化    技術優位性の維持とコスト削減による競争力の強化

 

 これらの方針・基本戦略のもと、昨今の厳しい経営環境を踏まえた上で、酸化チタン及び酸化鉄は基盤事業としての位置づけを維持しながら、安定的に収益を確保できる事業に再構築いたします。また、超微粒子酸化チタンはコア事業に位置づけ、収益拡大を図ります。さらに、チタン酸リチウムは新規事業と位置づけ、競争力の強化を図ります。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)事業計画のリスクについて

 当社は、中期事業計画の推進や、様々な経営戦略を実施するなど、新規事業の育成に努めております。しかしながら、新規製品の事業化が計画通りに進まなかった場合、当社の財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

(2)製品在庫のリスクについて

 当社の製品在庫につきましては、効率的な生産・販売を実現するための標準在庫量の管理と適切な原価計算及び在庫評価ルールに基づいて対応しておりますが、今後、事業環境が急転するなどした場合、当社の財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3)固定資産の減損のリスクについて

 当社が保有する固定資産につきましては、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。今後、事業環境が急転するなどした場合、収益性の低下、時価の下落、設備等の遊休化などに伴って減損損失を計上することもあり、当社の財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(4)株式相場の変動のリスクについて

 当社が保有する有価証券の多くは上場株式であるため、株式相場の動向により、当社の財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(5)原燃料価格の変動のリスクについて

 当社が購入する原燃料において市況の影響を受けるものが一部あります。原価低減活動等により影響額を吸収するなど適宜対応を行っておりますが、場合によっては当社の財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6)為替の変動のリスクについて

 当社は、製品の一部を輸出し、購入する原燃料の一部について輸入を行っております。また、海外関連会社との取引もあります。これらは為替変動の影響を少なからず受けるものであり、急激な為替の変動が生じた場合、当社の財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(7)金利の変動のリスクについて

 当社は、設備投資のための資金等の大部分を銀行からの借入れにより調達しており、今後、金利の大幅な変動がある場合、当社の財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(8)中国での合弁事業のリスクについて

 当社は、中国における化合繊向け酸化チタンの事業につきまして、中国国内に設立した日中合弁会社による現地での生産・販売を行っております。当社は同社との連携を密にし、現地の動向等については随時掌握し、適切に対応していく方針でありますが、現地の法的規制や経済環境等で予測不能な事態が生じた場合に、当社の財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

(9)研究開発のリスクについて

 当社は、これまで培った技術と情報の蓄積を活かし、新技術・新製品等の研究開発に努めております。しかしながら、これらの開発や市場への展開が進まなかった場合、当社の財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(10) 訴訟のリスクについて

 当社は、法令遵守に努めておりますが、多岐にわたる事業活動においては常に訴訟の対象となるリスクが存在しているものと考えております。提起された訴訟の内容、当社の対応方針、訴訟の結果によっては当社の財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(11)災害等のリスクについて

 火災爆発等の事故や風水害、地震等の自然災害による損害を食い止めるため、設備の点検、安全・消火設備の充実、各種保安活動、訓練等を行っております。しかしながら、これらの事故災害を完全に防止する保証はなく、被災した場合、当社の財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(12)環境規制のリスクについて

 当社は、製造の過程で大量の資源とエネルギーを消費することから、環境に少なからぬ影響を及ぼしております。環境への負荷の低減などに鋭意取り組んでおりますが、環境関連規制の強化等によっては、当社の財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(13)製造物責任のリスクについて

 当社は、製品の品質について万全の体制を整えて取り組んでおりますが、予期し得ない事情により製造物責任が発生する可能性が皆無ではなく、この場合、当社の財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(14)売上債権のリスクについて

 当社は、主として特約店を通じた販売活動を進め、売上債権の保全と与信体制の強化を推進しておりますが、販売先の経営悪化や破綻等により債権回収に支障をきたすこともあり、この場合、当社の財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(15)その他事業環境等の変動リスクについて

 当社は、上記以外の項目に関しても偶発事象に起因する事業環境等の変動リスクを負っており、その変動によっては、当社の財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

当事業年度において、契約満了により終了した契約は以下のとおりであります。

使用許諾契約

契約締結先

契約の内容

締結年月日

有効期間

山東三盛鈦工業有限公司(中国)

当社が所有する化合繊向け酸化チタンの製造に関するノウハウ及び技術情報の使用許諾

平成16年5月14日

販売を開始した日(平成17年5月6日)から起算して10年

 

6【研究開発活動】

 当社は創業以来、研究開発活動を重視し、格段の努力を傾注してまいりました。

 研究開発は研究開発部によって推進され、当該業務には全従業員の約21%にあたる52名が携わっており、主要製品である酸化チタン及び酸化鉄の開発・製造・販売を通して培った技術と情報の蓄積を活かし、既存事業系統にとらわれることなく幅広いテーマに取り組んでおります。
 当事業年度における活動内容につきましては、経営方針に基づいて、事業構造の変革と長期的な発展に結びつく新製品の開発に取り組むとともに、既存製品の改良や応用の研究に積極的に取り組んでおります。
 具体的には、新製品といたしまして、超微粒子酸化チタン、導電性無機酸化物、無機酸化物複合材料、電池材料、化粧品用粉体並びに分散体等の研究開発に挑み、着実な成果を上げております。また、既存製品につきましては、顔料用酸化鉄、トナー用酸化鉄等の改良及び応用の研究を行い、逐次採用が決定するなど、製品のライフサイクルに円滑に対応しております。
 なお、当事業年度中における研究開発費の総額は235百万円であります。

 また、研究開発活動につきまして、セグメントごとの把握が実務上困難なため、セグメントごとに記載しておりません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営成績の分析

 当事業年度における売上高は6,305百万円(前事業年度比0.9%増)、売上原価は5,254百万円(前事業年度比1.7%減)、販売費及び一般管理費は874百万円(前事業年度比8.9%増)、営業利益は177百万円(前事業年度比75.8%増)、経常利益は141百万円(前事業年度比98.9%増)、当期純利益は124百万円(前事業年度比53.3%増)となりました。

 なお、セグメント別の分析は「第2事業の状況 1業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。

 

(2)財政状態の分析

 資産につきましては、売掛金、商品及び製品、建物などの増加があったものの、現金及び預金、受取手形、機械及び装置、投資有価証券などの減少から、当事業年度末11,371百万円と前事業年度末に比べて369百万円減少いたしました。

 負債につきましては、短期借入金などの増加があったものの、長期借入金、繰延税金負債、退職給付引当金などの減少から、当事業年度末5,904百万円と前事業年度末に比べて318百万円減少いたしました。

 純資産につきましては、利益剰余金の増加があったものの、その他有価証券評価差額金などの減少から、当事業年度末5,466百万円と前事業年度末に比べて50百万円減少いたしました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは626百万円(前事業年度553百万円)となりました。これは、たな卸資産の増加(△236百万円)などの資金減があったものの、税引前当期純利益(135百万円)、減価償却費(684百万円)などの資金増によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは△445百万円(前事業年度△891百万円)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出(△450百万円)などの資金使用によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは△330百万円(前事業年度309百万円)となりました。これは、短期借入れによる収入(100百万円)、長期借入れによる収入(190百万円)で資金増があったものの、長期借入金の返済による支出(△537百万円)、配当金の支払い(△60百万円)などの資金使用によるものであります。