第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、政府および日銀による経済・金融政策を背景に企業収益や雇用環境の改善が見られ、景気は緩やかな回復基調にあるものの、米国の新政権への移行や英国のEU離脱問題、中国をはじめとする新興国経済の景気減速等、依然として先行きは不透明な状況となっています。

 このような環境のもと、当社グループは国内外の情報通信産業を中心に、顧客のニーズに基づいた多種多様なフッ化物製品の供給を行うとともに、特殊貨物輸送で培った独自のノウハウに基づいた化学品の物流を担う事業展開を行ってきました。

 当連結会計年度の売上高は298億50百万円(前期比8.5%増)となりました。電池部門の販売が増加したことにより売上高が増加しました。

 利益面におきましては、主要原材料購入価格が低下したことや電池部門の販売増加および採算改善により、営業利益は43億72百万円(同214.8%増)となりました。原材料購入に充てる外貨の調達において取り組んでいるデリバティブ取引に関し、デリバティブ評価益およびそれを上回る為替差損を計上しましたが、営業利益の増加を受けて、経常利益は41億54百万円(同297.9%増)となりました。また、主要工場における製造設備の配置最適化を目的に老朽設備撤去の決定および実施により減損損失および固定資産廃棄損を計上しましたが、営業利益の増加を受けて、親会社株主に帰属する当期純利益は28億24百万円(同113.3%増)となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりです。

 

①高純度薬品

 高純度薬品事業につきましては、売上高は前連結会計年度と比較して電池部門等の販売が増加した結果255億1百万円(前期比10.5%増)となりました。

 利益面では、主要原材料購入価格が低水準で推移したことにより、営業利益は44億22百万円(同218.0%増)となりました。

 なお、主要な部門別の売上高については次のとおりです。

[半導体液晶部門]

 半導体用の高純度フッ化物は海外向けの出荷量は減少したものの、NAND型フラッシュメモリやDRAMなど半導体メモリ市場の需要が底堅く推移し、国内大手メーカー向けを中心に出荷量が増加した結果、売上高は123億10百万円(前期比0.7%増)となりました。

[電池部門]

 電気自動車の販売台数の増加などによる市況の回復からリチウムイオン二次電池用電解質の販売単価が前期までの下落基調から反転したことに加え、電解質、添加剤ともに出荷量が増加した結果、売上高は50億72百万円(同69.7%増)となりました。

②運輸

 運輸事業につきましては、運送関連等の取扱量が前期を下回った結果、売上高は41億43百万円(前期比1.2%減)となりました。

 利益面では、軽油価格の下落や新倉庫建設に伴い前期に発生していた賃借料が減少したこと等により、営業利益は6億98百万円(同5.1%増)となりました。

③メディカル

 メディカル事業につきましては、前連結会計年度に引き続き臨床実験などの先行投資費用が発生した結果、営業損失は7億92百万円(前期は、6億91百万円の営業損失)となりました。

 ④その他

 その他事業につきましては、前連結会計年度に清算した不採算子会社の販売が減少した結果、売上高は2億4百万円(前期比9.5%減)となりました。

 利益面では、子会社清算による費用削減の結果、営業利益は30百万円(同345.5%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて40億14

百万円増加し、当連結会計年度末は141億69百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は53億41百万円(前期比1億12百万円収入増加)となりました。

主な内訳は、税金等調整前当期純利益が38億15百万円、減価償却費が31億17百万円の収入、たな卸資産が10億47百万円、売上債権が8億89百万円の増加です。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は18億14百万円(同4億9百万円支出増加)となりました。

主な内訳は、有形固定資産の取得による支出15億43百万円です。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は5億31百万円(前期は18億50百万円の収入)となりました。

主な内訳は、新株予約権付社債の発行による収入29億90百万円、短期借入金が13億11百万円の減少です。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比

(%)

高純度薬品(百万円)

23,727

102.8

運輸(百万円)

メディカル(百万円)

報告セグメント計(百万円)

23,727

102.8

その他(百万円)

合計(百万円)

23,727

102.8

(注)1.金額は販売価格によっています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2)商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比

(%)

高純度薬品(百万円)

2,264

101.1

運輸(百万円)

15

130.0

メディカル(百万円)

報告セグメント計(百万円)

2,280

101.2

その他(百万円)

46

379.7

合計(百万円)

2,326

102.7

(注)1.金額は仕入価格によっています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(3)受注状況

主として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

(4)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比

(%)

高純度薬品

 

 

 

表面処理(百万円)

2,033

96.9

 

代替フロン(百万円)

2,463

121.7

 

半導体液晶関連
(百万円)

12,310

100.7

 

半導体装置関連
(百万円)

527

96.8

 

電池(百万円)

5,072

169.7

 

反応触媒(百万円)

854

101.0

 

土壌改良剤(百万円)

94

87.8

 

その他(百万円)

1,342

91.9

 

小計(百万円)

24,698

110.8

 

商品(百万円)

803

101.4

 

合計(百万円)

25,501

110.5

運輸(百万円)

4,143

98.8

メディカル(百万円)

 

 報告セグメント計(百万円)

29,645

108.7

その他(百万円)

204

90.5

合計(百万円)

29,850

108.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

丸善薬品産業株式会社

5,607

20.4

5,126

17.2

3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります

(1) 経営の基本方針

 当社グループは、それぞれの事業において、「即断、即決、即実行」の速く、強く、しなやかな経営を実践し、既成概念にとらわれない強靭な経営体制を築きます。

 これを実現するために、適正な利益を確保し、変化を恐れず、常に前向きに挑戦し続ける経営で、ステークホルダーとともに「新しい時代に繁栄する企業」として、社会に貢献していきます。

(2) 中期経営計画

 当社グループでは、平成29年3月期を初年度とする3か年のグループ中期経営計画を始動させています。

 当社は平成28年2月に創業100周年を迎え、この3か年は、これからの100年を展望し、その永続的な繁栄に向け、より強固な基盤づくりを進めるための3か年と位置づけています。

 これまで培ってきた強みを磨き、積極的に拡大させるとともに、さらなる飛躍に向けての準備を着実に進めてまいります。

 本計画の全体骨子は、次のとおりです。

・高純度薬品事業・・・事業の柱として積極拡大

・運輸事業・・・着実な収益基盤の強化

・新規事業・・・メディカル事業の収益化に向けた最終準備

・持続的な成長を支える研究開発促進、経営基盤強化

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、企業価値の向上を目指すにあたり、収益重視の観点から、売上高営業利益率を経営上の目標の達成状況を判断するための指標としています。

(4) 経営環境および対処すべき課題

 当社グループの主力事業である高純度薬品事業において、その動向が影響を及ぼす市場として、半導体液晶部門に関わる半導体市場、電池部門に関わるリチウムイオン電池市場があげられます。

 半導体はあらゆるエレクトロニクス製品に用いられ、中国を中心に新たな半導体工場および生産ライン建設着手が続々と発表されているように、その世界市場は今後も成長が見込まれています。これまでのスマートフォンやパソコン向けから、今後は自動車や産業機械向けが市場を牽引すると見られていますが、半導体の世界では極限まで微細化が進み、その製造工程で使用される当社製品も、より高い品質を維持することが求められています。またNAND型フラッシュメモリに目を向けますと、積層してメモリ容量を増やす3D-NANDの製造にシフトし始めており、これに伴い当社薬液の使用量も増加することが期待されます。

 リチウムイオン電池市場は、車載用途やインフラ用途での大規模な普及が始まり、急拡大の様相を呈しています。エネルギー消費削減、CO排出量削減、大気汚染防止などを目的に、米国や欧州、中国で規制が一層と強化され、自動車メーカー各社が電気自動車やプラグインハイブリッド車の開発・販売拡大に注力していることが、この背景にあると考えられます。

 以上の環境も踏まえ、当社グループは、持続的成長、中期経営計画目標達成を実現するために、次の課題に取り組み、さらなるグループ企業価値向上を目指してまいります。

① 主力事業の競争力維持・強化

 当社グループは、市場で高いシェアを占める半導体用高純度薬液において、品質面での競争力を維持・強化するため、粒子管理強化および金属不純物分析技術向上のための世界最高水準機器の導入などの投資、技術開発を進め、最先端の半導体メーカーの要求に応えてまいります。また当分野で需要の伸びが期待できる中国市場を中心に、流通形態も含めた有効な新規販路開拓を進めることに注力し、国内2工場、シンガポール1工場での安定供給体制を強みに、半導体市場の成長に合わせて当社の販売量を増加させ、シェアの維持を図ります。

 また市場が急拡大している電池部門製品においては、現在世界トップ市場である中国での電解質生産拠点立上げにより、ユーザー要望に応える体制を強化してまいります。電池の性能を向上させる添加剤についても、顧客ニーズにあわせた設備投資を進め、また新規添加剤の開発も継続し、さらなる収益拡大を目指してまいります。

 運輸事業においては、これまで培ってきた危険物物流の強みをさらに磨き、また倉庫業の拡充にも取り組み、顧客満足度向上を第一に、着実に業績を伸ばすことに注力いたします。

② 新規事業・領域開発の推進

 当社グループは、主力事業の成長拡大とともに新規事業への参入を図り、収益力の強化、多角化に取り組んでいます。従来のフッ素化学メーカーとしての枠組みを超えたメディカル事業では、ステラファーマ株式会社において、がんに対する新しい治療法として期待されるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に用いるホウ素薬剤SPM-011の開発を進めてまいりました。BNCT用加速器照射システムを用いた世界初の治験を、悪性度の高い脳腫瘍と頭頸部がんを対象として開始し、第二相試験が進行中です。ホウ素薬剤SPM-011が医薬品として先駆け審査指定制度の対象品目に指定されたことも受け(平成29年4月21日公表)、引き続き、海外展開も視野に入れた早期事業化に取り組んでまいります。

③ 研究開発推進・経営基盤強化

 高純度薬品事業における研究開発部門では、次世代パワー半導体デバイスに対応する薬液開発や、次世代エネルギーデバイスをターゲットとした材料の先駆的研究開発を継続し、事業ポジションの維持・向上を図ります。さらに、新規用途、新規技術分野の研究開発により、新たな領域を開拓いたします。

 また、今後の持続的な成長に向けて、経営情報機能の強化、業務効率・処理精度の向上、システム関連リスクの低減等を目的に、販売・生産・原価システムの刷新を図ります。また、人材育成強化、コーポレートガバナンス強化等の推進とともに、有利子負債の圧縮等により財務体質の強化に努め、より堅固な経営基盤を築いてまいります。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しています。必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資判断上重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から以下に開示します。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避および発生した場合の対応に努める所存です。

 本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は現時点において判断したものです。また、以下の記載事項は、当社の事業等に関するリスクを全て網羅したものではないことにご留意ください。

 

① 特定事業への高い依存について

 当社グループの売上高において、高純度薬品事業の半導体液晶関連の占める割合が高く(41.2%)、得意先である電子・電気・通信機器業界の半導体需要ならびに設備投資動向等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 原材料の調達リスクについて

 当社グループの原材料等の一部は、中国等に在る特定の供給源に依存しており、その供給が逼迫した場合や、供給が中断した場合には、原材料等の価格が上昇したり、製造に遅れが生じたりすることにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 為替変動リスクについて

 当社グループの原材料等の一部を、海外からの輸入品により調達しており、代金決済を外貨建てで行っているため、為替相場の変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 新規事業リスクについて

 当社グループは、メディカル事業等の新規事業を立ち上げておりますが、事業開始当初は、費用が収益に先行して発生する場合があります。また、その後の事業環境の変化等様々な要因により、これらの事業が計画どおりに進捗しない場合もあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 研究開発リスクについて

 当社グループは、広範囲にわたる顧客ニーズに応え、企業の持続的成長を支えるため、各事業において、長期的な視点で継続的に資源を投入し、既存製品の改良や、新規製品の開発など研究開発活動を行っております。しかし、これらの研究開発の結果が目標と大きく乖離し、期待どおりの成果が得られない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 海外活動リスクについて

 当社グループは、フッ化物製造事業を中心に、シンガポール、中国、韓国に事業展開していますが、各国において以下のようなリスクがあります。そのため、これらの事象が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 a)予期しえない法律・規制・不利な影響を及ぼす租税制度の変更
 b)不利な政治的要因の発生
 c)テロ、戦争等による社会的混乱

⑦ 災害や事故の発生について

 当社グループは、生産活動の中断により生じる影響を最小限に抑えるため、日常的な製造設備の保守点検、安全防災設備・機器の導入、安全防災訓練やマニュアルづくり等、安全確保に努めていますが、突発的な災害発生や不慮の事故発生により、生産活動が停止した場合、直ちに代替生産できない製品もあり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 法的規制リスクについて

 当社グループは、主力事業として化学物質を扱っているため、環境に関する法律や、各種業法にかかる許認可、届出、登録等の法規制を受けています。また、一部製品は、輸出の際に「外国為替及び外国貿易法」等、安全保障貿易管理制度に基づく規制を受けています。これらの法令の改定は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 訴訟リスクについて

 当社グループは、国内外の法令順守に努めていますが、広範な事業活動を行う中、訴訟、その他の法律的手続の対象となるリスクがあり、重要な訴訟等の提起を受けた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑩ 製造物責任リスクについて

 当社グループでは、製品の特性に応じた最適な品質の確保に全力を挙げて取り組んでいますが、予期せぬ事態により品質問題が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑪ 知的財産権侵害リスクについて

 当社グループは、独自に開発した技術等について、特許権その他の知的財産権を取得するなど保護に努めていますが、第三者による技術の不正流用を防止できない可能性があり、また他社の保有する知的財産権の使用を必要とする場合に、相手方と交渉が成立しない場合など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 当社グループにおいては、主に高純度薬品事業およびメディカル事業において研究開発活動を行っています。研究開発活動の基本方針はフッ化物業界という特異な分野でありながら、多様化、高度化し、広範囲にわたる顧客ニーズに応える製品を研究開発し提供することです。

 この目的達成のため次の事項を主眼として開発のスピードアップを図り、顧客ニーズ、時期に合致するよう努力しています。

(1) 積極的な研究開発姿勢
(2) 高純度製品の開発
(3) 高品質製品の開発
(4) 機能性・高付加価値製品の開発
(5) 顧客ニーズに合致した製品の開発
(6) 低コスト製品の開発
(7) 高度先進技術への対応

 研究開発スタッフは、グループ全員で61名にのぼり、これは総従業員の約8%に当たります。

 当連結会計年度における各セグメント別の主な研究内容および研究開発費は次のとおりです。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は12億74百万円です。

(1)高純度薬品

 主として半導体やLCDの製造に使われる薬液や材料、半導体製造装置に使われる材料、リチウムイオン電池などの蓄電デバイスに使われる材料などを中心とした研究開発活動を行っています。最近は、フッ素化合物のナノテクノロジーへの応用、自動車へ搭載されるリチウムイオン二次電池を高性能化する添加剤の開発、燃料電池を高性能化する材料の研究、高精細LCDなどに用いられる演色性の高い蛍光体の開発など、研究テーマ毎にグループを形成して研究開発活動に従事しています。
 当連結会計年度における研究開発費の総額(人件費を含む)は4億82百万円です。

(2)メディカル

 主として自社で保有するホウ素濃縮技術を活用した新たながん治療法であるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)で用いる医薬品の開発に取り組んでいるほか、グループ会社であるステラファーマ株式会社を通じて産学官連携プロジェクトも積極的に取り組んでおり、大学と共同で大阪府立大学なかもずキャンパス内に「BNCT研究センター」という施設を立ち上げ、最先端の各種研究活動を行っています。また、平成20年度JST委託開発事業の採択課題「ホウ素中性子捕捉療法に用いるホウ素薬剤」は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)に承継され、平成29年度も継続して実施しています。

 また、陽電子放射断層撮影(PET)によるがんの検査技術の開発も開始しており、大阪府立大学により平成28年度から開始された、AMED次世代がん医療創生研究事業の採択課題「革新的PETプローブ分子18FBPAの効率的合成法の開発とがん特異的集積能の検証評価」にステラファーマ株式会社が参画しています。

 当連結会計年度における研究開発費の総額(人件費を含む)は7億92百万円です。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度におけるわが国経済は、政府および日銀による経済・金融政策を背景に企業収益や雇用環境の改善が見られ、景気は緩やかな回復基調にあるものの、米国の新政権への移行や英国のEU離脱問題、中国をはじめとする新興国経済の景気減速等、依然として先行きは不透明な状況となっています。

 このような環境のもと、当社グループは国内外の情報通信産業を中心に、顧客のニーズに基づいた多種多様なフッ化物製品の供給を行うとともに、特殊貨物輸送で培った独自のノウハウに基づいた化学品の物流を担う事業展開を行ってきました。各項目別の分析は次のとおりです。

[売上高]

 売上高は、298億50百万円(前期比8.5%増)となりました。
 高純度薬品事業につきましては、半導体液晶部門では海外への出荷量は減少したものの、国内の大手メーカー向けを中心に出荷量が増加した結果、123億10百万円(前期比0.7%増)、電池部門では電気自動車の販売台数の増加などによる市況の回復からリチウムイオン二次電池用電解質の販売単価が前期までの下落基調から反転したことに加え、電解質、添加剤ともに出荷量が増加した結果、50億72百万円(同69.7%増)、高純度薬品事業全体での売上高は、255億1百万円(同10.5%増)となりました。

 運輸事業におきましては、売上高は41億43百万円(同1.2%減)となりました。

 その他事業におきましては、売上高は2億4百万円(同9.5%減)となりました。

[営業利益]

 売上原価は、主要原材料購入価格が低水準で推移したこと等により216億50百万円(同4.8%減)となり、売上総利益は81億99百万円(同72.0%増)となりました。売上総利益率は前連結会計年度の17.3%から27.5%に上昇しました。

 販売費及び一般管理費は、老朽設備の修繕等を実施したことに加え、メディカル事業の研究費が増加したことにより、38億26百万円(同13.2%増)となりました。

 以上の結果、営業利益は、43億72百万円(同214.8%増)となりました。

[経常利益]

 営業外損益において、主な収益ではデリバティブ評価益2億82百万円、主な費用では為替差損4億17百万円および減価償却費1億13百万円を計上しました。

 以上の結果、経常利益は、41億54百万円(同297.9%増)となりました。

[親会社株主に帰属する当期純利益]

 特別損益において、主な利益では固定資産売却益31百万円、主な損失では固定資産廃棄損2億71百万円および減損損失98百万円を計上しました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は28億24百万円(同113.3%増)となりました。

(3)財政状態

 当連結会計年度末の総資産合計は520億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ50億53百万円増加しました。

主な要因は、現金及び預金の増加によるものです。

 当連結会計年度末の負債合計は、225億64百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億5百万円増加しました。主な要因は、社債の増加によるものです。

 当連結会計年度末の純資産合計は、295億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ29億48百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金の増加によるものです。

(4)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フロー:53億41百万円収入(前期比1億12百万円収入増加)
投資活動によるキャッシュ・フロー:18億14百万円支出(同4億9百万円支出増加)
財務活動によるキャッシュ・フロー:5億31百万円収入(前期は18億50百万円の収入)
 営業活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、税金等調整前当期純利益38億15百万円、減価償却費31億17百万円、法人税等の支払額1億79百万円です。

 投資活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、有形固定資産の取得による15億43百万円の支出です。

 財務活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、新株予約権付社債の発行による29億90百万円の収入です。

 これらの活動の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末の101億54百万円から40億14百万円増加し、141億69百万円となりました。

(キャッシュ・フローの指標)

 

第71期

平成26年3月期

第72期

平成27年3月期

第73期

平成28年3月期

第74期

平成29年3月期

自己資本比率(%)

46.6

51.2

53.0

53.9

時価ベースの自己資本比率

(%)

39.5

37.6

61.3

75.1

キャッシュ・フロー対
有利子負債比率(年)

4.5

3.1

2.7

2.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

41.8

54.2

83.4

97.6

 

   自己資本比率:自己資本/総資産
   時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
   キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
   インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
   2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式を除く)により計算しています。
   3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを
     使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている
     全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息
     の支払額を使用しています。