文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、それぞれの事業において、「迅速果断」な意思決定のもと、既成概念にとらわれない強靭な経営体制を築きます。これを実現するために、事業活動を通じて適正な利益を確保し、変化を恐れず常に前向きに挑戦し続ける経営の実践に努め、ステークホルダーの期待に応えるべく「健全で信頼される企業」として社会に貢献してまいります。
ア.第2次中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)
当社グループは、2020年3月期から2022年3月期を対象とする第2次中期経営計画において、事業ポートフォリオの安定化、拡大化により持続的な成長を実現するべく、技術力を軸に、「研究開発と人材への積極投資」「中核事業の競争力のさらなる強化」「次世代事業の育成」等をテーマに、各施策に取り組んでまいりました。その結果、売上高および営業利益ともに、計画を上回りました。
イ.第3次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)
当社グループは、第2次中期経営計画の進捗も踏まえ、2023年3月期から2025年3月期を対象とする第3次中期経営計画を策定し、取り組んでまいります。「新たな取り組みを試行しながら事業の持続的な成長を図る」「独自技術を活かした新製品の開発を進める」「上場企業としての社会的要請に応える」を基本課題として掲げ、これに基づき各分野における施策を定めています。
また計画の遂行に際し、事業ポートフォリオマネジメントとして、「事業計画、経営資源配分の検討」「各種施策の実行」「業績評価と分析」を年間サイクルで実施することにより、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
当社グループは、企業価値の向上を目指すにあたり、収益重視の観点から、売上高・営業利益を経営上の目標の達成状況を判断するための指標としています。
新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない状況に加え、ウクライナ情勢の緊迫化により、世界経済の見通しは急速に不透明感を増しています。またこれに伴い、資源、燃料や農産物をはじめとする物価上昇が加速化しており、企業活動や人々の生活に大きな影響を及ぼしつつあります。
このような環境下、当社グループの事業領域に関し、半導体分野においては、ウクライナ情勢が世界の半導体生産のサプライチェーンを揺るがす可能性も示唆されています。一方、半導体需要自体は、ライフスタイルの変化や5Gの普及等を背景に、半導体不足が叫ばれるほど拡大傾向が継続しており、当社の半導体製造向け高純度薬液も堅調な推移をみせてまいりました。また、韓国向け輸出管理の運用の見直しにより生じた影響に対しても、重点販売地域の再編により、第3次中期経営計画の最終年度には販売量が市場変化前の水準近くまで回復することを見込んでいます。決して楽観視できる状況ばかりではないながらも、半導体市場は長期的には安定した拡大が期待され、この先も当社の主力事業として、他社との差別化を図りながら注力していく分野です。
また本分野に関しては、鉄道や電気自動車、燃料電池自動車等向けには、現在の半導体材料の主流であるシリコンよりも大きな電気が扱え、電力損失が少ない新しい半導体材料を用いたパワー半導体を製造する技術開発も継続して進められています。
その他分野では、脱炭素社会へ向けクリーンエネルギーの注目が高まる中、欧州や中国をはじめとして世界的に原子力発電活用の動きが高まっており、当社製品の濃縮ホウ素は中性子を吸収する性質を有し、原子力関連施設向けとして需要が拡大しつつあります。電池関連では、EV向けを中心にリチウムイオン二次電池市場が拡大基調ではあるものの、各部材メーカーへのコストダウン要求がより一層強くなっており、事業環境を見定めながら販売活動を展開する必要があります。また、ポストリチウムイオン二次電池の開発も加速化しており、実用化に向けた取り組みが重ねられています。
当社グループで重要な位置を占める運輸事業を取り巻く環境としては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から脱しつつある中ながらも、燃料価格急高騰や運転手不足など、依然として懸念材料は残されており注視が必要となっています。
以上の経営環境も踏まえ、当社グループは、次の課題、施策に取り組み、さらなるグループ企業価値向上を目指してまいります。
① 事業の持続的成長
当社の主力製品である半導体用高純度薬液は、その高い品質と安定供給体制を強みとして競争力を築いてまいりました。当分野の持続的成長を遂げるため、事業環境の変化に合わせた重点販売地域の再編により、販売量の拡大を目指します。同時に、競争力の維持・強化に向け他社との差別化を図るべく、ユーザー要望に沿う機能性を付加した薬液の開発を推し進め、その販売拡大に注力いたします。また、ユーザーの一部において中小型容器での供給要望が高まる中、当該容器充填能力の増強や、複数の生産拠点間における充填・生産能力を見据えた最適な供給体制の構築などに取り組み、着実に需要を伸ばすよう努めてまいります。
エネルギー関連では、世界的なクリーンエネルギー化の動きを背景に、原子力関連施設向けの濃縮ホウ素の需要拡大が期待されており、本製品の優位性を訴求し販売拡大に繋げてまいります。またこれに伴い、生産能力が不足する可能性もあるため、需要量に応じて能力増強の設備投資要否を見極めてまいります。
この他、歯磨き粉用途のフッ化スズや、電池材料など、成長市場における販売拡大に努めながらも、原料価格高騰や価格競争激化もみられる中においては収益性を見定め、生産・販売体制を構築してまいります。
さらに、当社グループの高純度薬品事業を物流や原料調達の面から支える運輸事業では、収益性を重視した取り組みを推進し、人員や設備等の充足により安定的事業基盤の構築等に努め、着実に成長していくことに注力する方針です。
② 独自技術を活かした新製品の開発
研究開発部門では、中長期でみた成長市場を踏まえて、当社が強みを持つ要素技術を活かした研究開発に取り組みます。半導体関連では、次世代半導体の動向を見極め、製造プロセスに求められるニーズに合ったエッチング液・洗浄液の開発を進め、当社がこれまでに培った優位性を堅持してまいります。
またエネルギー分野に関しては、次世代二次電池の開発動向に合わせて、その実用化を阻む問題を解決する材料や高性能化に寄与する材料の開発に、引き続き注力いたします。この他、無機フッ素化合物の新用途の開発としてナノ粒子化による用途開発や、フッ素化技術を用いたバイオ関連など新規分野の開拓も推し進める計画です。
2023年3月期中に竣工する予定の研究開発棟において、最適かつ最新鋭の研究開発環境のもと、これらの事業ポートフォリオ拡充に向けた取り組みを加速させてまいります。
③ 経営基盤の強化
企業の持続的発展のため、またプライム市場上場企業として社会から求められる事項に対しての取り組みを実践してまいります。サステナビリティ関連を含む情報開示を一層充実させ、TCFD要請に沿った開示も準備を進めていく計画です。また、社内の業務効率化、生産性向上に繋がる業務のデジタル化を推し進め、新たな施策に取り組む土台を強化してまいります。
また、経営資源配分の観点では、資本効率・収益性・持続的成長に向けた長期視点等を意識した、成長投資や株主還元をバランスよく実施することを基本方針として掲げ、これに取り組んでまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響について、当連結会計年度末現在においては当社グループ業績への影響は限定的であり、当有価証券報告書提出日現在において、事業計画等の大きな方向性の見直しには至っていません。ただし、今後の感染拡大状況等による事業環境の変化により、影響が拡大する可能性は考えられるため、引き続き経済、市場動向を注視し、慎重な検討を継続してまいります。また、当社グループでは、従業員の安全確保のための措置を講じ、事業活動継続に注力しながら、今後発生する可能性のある影響に対しても適切な対応を取るべく努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
これらのリスクは必ずしも当社グループの事業等に関するリスクを全て網羅したものではなく、当連結会計年度末現在では想定していないリスクや重要性が低いと考えられるリスクも、当社グループの財政状態や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また当社は、リスクマネジメントの基本方針等を「リスクマネジメント規程」に定め、それに基づき、代表取締役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会において、事業を取り巻くさまざまなリスクに対して的確な管理を行うことに努めています。
当社グループの原材料等の一部は、特定の地域に在る供給源に依存しており、その供給が逼迫した場合や、供給が中断した場合には、生産活動の遅れや停止につながり、製品供給に支障が出る可能性があります。当社では調達リスクを軽減するために複数のサプライヤーからの購入、継続的な新規供給源の開発に取り組んでいます。また原材料価格の急騰は、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。速やかな販売価格への転嫁等により影響を極力回避すべく取り組みを行っています。
当社グループの売上高において、高純度薬品事業の半導体液晶関連の占める割合が高く(6割弱)、得意先である電子・電気・通信機器業界の半導体需要ならびに設備投資の下降、同業他社との価格競争激化による販売価格の下落等により、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。継続的な製品競争力の強化や他事業分野の製品開発および製品販売の伸張によって影響を回避すべく努めています。
当社グループにおける新型コロナウイルス感染症の影響について、当連結会計年度において当社業績に与える影響は限定的であったものの、今後、感染拡大状況によっては、経済の停滞による市況悪化や国内外の販売先における生産停止などの発生に伴い、当社グループの事業活動が著しく減退した場合には、財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。一方、新たな生活様式の普及により当社製品の販売増進に繋がる分野もあり、これらの需要を着実に取り込むことで当社グループの経営成績等の維持・向上に努めてまいります。また、当社グループにおけるサプライヤーの事業活動に大きな影響が生じ、原料等の調達価格高騰や調達困難な状況が発生した場合には、当社グループの事業継続コストが嵩み、財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループの従業員に感染者が発生し、一時的に操業停止せざるを得ない状況が発生した場合は、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性がありますが、感染防止のため、国・都府県の指針に基づき、従業員の勤務体制整備や予防対策に最大限努めています。
この他、災害や事故に伴う生産活動の中断により生じる影響を最小限に抑えるため、日常的な製造設備の保守点検、安全防災設備・機器の導入、自衛消防組織の確立、安全防災訓練実施やマニュアルづくり等、設備保全、安全確保に努めています。しかし、突発的な自然災害発生や不慮の事故発生により、製造設備の損壊、原材料の調達困難、電力・物流等の社会インフラの機能不全、経済状況悪化に伴う需要動向の変化等が発生し、生産活動を制限あるいは中断した場合には、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。万一の被災時における事業の継続あるいは復旧に備え、事業継続計画を策定し、また保険の付保による損害軽減策を講じています。
当社グループは、事業活動を行う上で、安全保障貿易管理、商品の品質、安全、環境関連、化学物質関連、また会計基準や税法、労務関連、取引関連等の様々な法規制の適用を受けています。これらの法規制については遵守するよう体制を整備し、社会的良識に沿った企業行動を行っています。現行の法規制の変更や新たな法規制等が追加され要求事項に対応できない場合は、罰則が科されたり訴訟を提起されたりするリスクに加え、当社グループの事業活動が制限され、あるいはその対応のために新たな投資が必要になる等、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの製品は、高度な技術や複雑な技術を利用したものが増えており、また、原材料等を外部の供給者から調達していることにより、品質保証へのコントロールは複雑化しています。当社グループでは、生産、出荷の各段階で当社の品質基準に適合していることを厳密に確認しています。しかし、すべての製品について欠陥がなくPL問題が発生しないという保証は無いため、製造物責任賠償についてはPL保険に加入し、万一の事故に備えていますが、予期せぬ重大な事故や品質面での重大な欠陥が発生した場合には、社会的信用の失墜を招き、顧客に対する補償などによって、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ サステナビリティ課題に係るリスクについて
世界的に環境・社会・経済の持続可能性(サステナビリティ)に配慮した経営が求められている中、当社グループは、これらの課題に対する取り組みの重要性を認識し、マテリアリティの特定や対応を進めていく計画です。具体的には、TCFD提言に沿った気候変動への対応や環境保全、事業における人権の尊重などの環境・社会問題への取り組みがあげられます。一方、これらの課題について適切な対応が取れない場合、事業機会の損失や社会的信用の失墜などに繋がり、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また各国の環境規制強化に伴い、多額の費用や設備投資が必要となった場合には、当社グループの事業継続コストが嵩み、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、フッ化物製造事業を中心に、シンガポール、中国に事業展開していますが、各国において以下のようなリスクがあります。当該リスクに対しては、現地法人や商社を通じての情報収集を行いその回避に努めていますが、これらの事象が発生した場合は、債権回収の遅延・不能や、事業遂行の遅延・不能、需要動向の変化等により、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
a)予期しえない法律・規制・不利な影響を及ぼす租税制度の変更
b)不利な政治的要因の発生
c)テロ、戦争等による社会的混乱
d) 人材確保の困難化、労使関係の悪化
当社グループは、海外への輸出を円貨建てで決済する一方、原材料等の一部を海外からの輸入品により調達しており、その代金決済を外貨建てで行っています。為替予約取引等により為替変動リスクをヘッジする措置を講じているものの、それら外貨に対する円相場の急激な変動が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、独自開発した技術による事業展開を基本として、必要な知的財産権の取得を推進しています。一方、当社グループが事業展開している分野については、第三者の知的財産権を常に調査監視して、第三者の有効な知的財産権は、代替技術の開発または技術的な回避策を講じることにより使用しない、当該第三者から使用する権利を得るなどの対策をとり、侵害の防止に努めています。さらに、調査監視にあたる人員を拡充するなど、体制の強化にも取り組んでいます。現在、当社グループの開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生したという事実はありません。しかし、知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であり、仮に当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当該第三者の主張の正当性の有無にかかわらず、解決には多大な時間および費用を要する可能性があり、場合によっては当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業を遂行する上でコンプライアンスの重要性を認識し、法令および社会的ルールの遵守の徹底を図っていますが、取引先や第三者から訴訟等が提起され、または規制当局より法的手続がとられるリスクを有しています。これらにより、当社グループに対して巨額かつ予想困難な損害賠償の請求がなされた場合または事業遂行上の制限が加えられた場合、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当連結会計年度の業績におきましては、半導体液晶部門について、世界的に旺盛な半導体需要により国内、海外向けともに販売が増加しました。また、原子力関連施設で使用される濃縮ホウ素(ボロン10)の販売増加も寄与し、売上高は372億96百万円(前期比13.4%増)となりました。
利益面におきましては、主要原材料の無水フッ酸価格が中国市場の需給等の影響により前連結会計年度と比較し上昇したものの、半導体液晶部門の出荷量増加等により、営業利益は45億83百万円(同12.3%増)となりました。また、持分法適用関連会社である衢州北斗星化学新材料有限公司が販売しているリチウムイオン二次電池用電解質について、中国国内の需要増加を背景に販売価格が大幅に上昇し、同社の経営成績が著しく好転したことにより、持分法による投資利益を計上した結果、経常利益は57億7百万円(同42.0%増)となりました。加えて、持分法適用関連会社であるFECT CO., LTD.の株式譲渡、およびステラファーマ株式会社の株式の一部売却による関係会社株式売却益を特別利益に計上したため、親会社株主に帰属する当期純利益は53億64百万円(同81.3%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用により、売上高および売上原価が3億23百万円減少しています。
当社グループは第2次中期経営計画を策定しており、売上高・営業利益を経営上の目標を達成するための客観的な指標として掲げています。売上高については、高純度薬品事業の半導体液晶部門において2020年3月期に韓国向け輸出管理の運用が見直された影響により、韓国向けの出荷量が減少したものの、韓国以外の地域への販売拡大に注力したことにより、2022年3月期の修正目標数値(2021年5月10日公表)である330億円を上回る結果となりました。利益面においては、堅調な半導体液晶部門の販売に加え、原子力関連施設で利用される濃縮ホウ素の販売が増加し、中期経営計画の最終年度となる2022年3月期の数値目標を達成しました。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2事業等のリスク」に記載しています原材料の調達リスクにおいて、高純度薬品事業における主原料であり中国より調達を行っている無水フッ酸価格が、中国における電力不足の影響等により需給が逼迫し、前連結会計年度と比較して大きく上昇しました。原材料価格の上昇については、販売価格への転嫁を行うなど収益面での影響を最小限とするよう取り組みを進めています。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
高純度薬品事業につきましては、世界的な半導体不足により半導体メーカー各社が増産を行うなど旺盛な需要が継続し、国内外ともに販売が増加しました。また、原子力関連施設で使用される濃縮ホウ素(ボロン10)の出荷が増加し、売上高は323億30百万円(前期比13.8%増)となりました。
利益面では、主要原材料である無水フッ酸価格は前連結会計年度と比較し大きく上昇したものの、半導体液晶部門を中心に各製品分野の販売量増加が寄与し、営業利益は47億76百万円(同13.7%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高および売上原価が3億23百万円減少しています。
主要な部門の売上高については次のとおりです。
国内向けにおいては、当社の主要販売先であるメモリメーカーを中心に投資活動が継続され、高稼働率を維持したことから出荷量が増加しました。海外向けにおいても世界的に旺盛な半導体需要を受け、販売が増加した結果、売上高は178億59百万円(同9.7%増)となりました。
運輸事業につきましては、運送関連等の取扱量が前連結会計年度を上回った結果、売上高は46億76百万円(前期比14.9%増)となりました。
利益面では、軽油価格が前連結会計年度に比べ上昇するとともに、運送関連費用が増加したものの、売上高の増加や減価償却費の減少等により、営業利益は7億64百万円(同28.8%増)となりました。
メディカル事業につきましては、がん治療法であるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)用ホウ素薬剤について、前連結会計年度は販売承認後の初回出荷であり、卸売業者の在庫分を含めた出荷を行ったため、売上高は1億円(前期比51.4%減)、営業損失は7億29百万円(前期は6億44百万円の営業損失)となりました。
その他事業につきましては、保険代理業収入等が前期を下回った結果、売上高は1億89百万円(前期比11.1%減)、営業利益は20百万円(同22.0%減)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりです。
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は販売価格によっています。
② 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は仕入価格によっています。
③ 受注状況
主として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主な相手先別の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しています。
当連結会計年度末の資産合計は、565億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ36億64百万円増加しました。主な要因は、流動資産、投資その他の資産が増加したことによるものです。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
① 高純度薬品
高純度薬品事業につきましては、当連結会計年度末の資産合計は、465億95百万円となり、前連結会計年度と比べ46億57百万円増加しました。主な要因は、増益に伴う営業活動によるキャッシュ・フローの収入が増加したことにより現金及び預金が増加したこと、また連結子会社から持分法適用関連会社へと移行したステラファーマ株式会社の株式を関連会社株式として計上したこと等により投資有価証券が増加したことによるものです。
② 運輸
運輸事業につきましては、当連結会計年度末の資産合計は、99億92百万円となり、前連結会計年度末と比べ5億11百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金が増加したことによるものです。
③ メディカル
メディカル事業につきましては、当連結会計年度において、ステラファーマ株式会社を連結子会社から持分法適用関連会社へ移行したことにより、前連結会計年度末と比べ15億85百万円減少しました。
④ その他
その他事業につきましては、当連結会計年度末の資産合計は、2億68百万円となり、前連結会計年度末と比べ24百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金が増加したことによるものです。
当連結会計年度末の負債合計は、138億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億5百万円減少しました。主な要因は、長期借入金が減少したことによるものです。
当連結会計年度末の純資産合計は、427億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ59億69百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金および資本剰余金が増加したことによるものです。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて2億92百万円増加し、当連結会計年度末は155億38百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、54億3百万円(前期比19億48百万円収入減少)となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益68億40百万円、減価償却費の計上が27億13百万円、関係会社株式売却益11億82百万円、棚卸資産の増加11億28百万円、法人税等の支払額13億51百万円などです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、56億74百万円(同32億9百万円支出増加)となりました。
主な内訳は、有形固定資産の取得による支出27億2百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出25億11百万円などです。有形固定資産の取得による支出については、高純度薬品事業に係る半導体液晶部門の生産設備の更新、研究開発棟の建設、また運輸事業における製品運搬用コンテナ等の購入等の設備投資を実施したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は94百万円(前期は30億4百万円の支出)となりました。
主な内訳は、長期借入金の返済による支出20億4百万円、非支配株主からの払込みによる収入36億16百万円、自己株式の取得による支出8億47百万円などです。借入金については、適切な資金確保および健全な財務体質を維持することを目指し、成長維持に必要な設備投資・投融資資金の調達、適正な手元資金水準を鑑み、当連結会計年度においては、短期借入金と長期借入金合わせて32億58百万円の減少となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは事業活動を遂行するための適切な資金確保および健全な財務体質を維持することを目指し、安定的な資金調達手段の確保に努めています。成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資・投融資資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フローと金融機関からの借入により調達しています。
資金の流動性については、事業規模に応じた適正な手元資金の水準を維持するとともに金融上のリスクに対応するため主要取引銀行とコミットメントライン契約を締結することにより手元流動性を確保しています。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は155億38百万円であり、金融機関との間で総額30億円のコミットメントライン契約を締結しています。本契約に基づくコミットメントラインに対し、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りおよび仮定については、連結財務諸表「注記事項(追加情報)」に記載のとおり、当社グループの主力事業である半導体液晶部門においては、半導体メーカーが投資活動を継続するなど、当感染症の収束時期が不透明な環境下においても堅調に需要が継続しています。従って、新型コロナウイルス感染症が会計上の見積りに与える影響は限定的であると仮定し、繰延税金資産の回収可能性および固定資産の減損判定について、会計上の見積りを会計処理に反映しています。
当社は、2021年12月7日に開催された取締役会決議に基づき、当社が保有する持分法適用関連会社であるFECT CO., LTD.の全株式を、合弁相手であるSoulbrain Co., Ltd.に譲渡し合弁を解消する契約を締結いたしました。
これに伴い、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおり、2021年12月15日に当該株式の譲渡を行い、FECT CO., LTD.を持分法の適用範囲から除外しています。また、本株式譲渡により当連結会計年度において2億59百万円の関係会社株式売却益を特別利益として計上しています。
当社グループにおいては、主に高純度薬品事業およびメディカル事業において研究開発活動を行っています。研究開発活動の基本方針はフッ化物業界という特異な分野でありながら、多様化、高度化し、広範囲にわたる顧客ニーズに応える製品を研究開発し提供することです。
この目的達成のため次の事項を主眼として開発のスピードアップを図り、顧客ニーズ、時期に合致するよう努力しています。
(1) 積極的な研究開発姿勢
(2) 高純度製品の開発
(3) 高品質製品の開発
(4) 機能性・高付加価値製品の開発
(5) 顧客ニーズに合致した製品の開発
(6) コスト低減技術の開発
(7) 高度先進技術への対応
研究開発スタッフは、グループ全員で52名にのぼり、これは総従業員の約6%に当たります。
当連結会計年度における各セグメント別の主な研究内容および研究開発費は次のとおりです。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
主として半導体やLCDの製造に使われる薬液や材料、第5世代移動通信システム(5G)に使われる材料、リチウムイオン電池などの蓄電デバイスに使われる材料などを中心とした研究開発活動を行っています。最近は、フッ素化合物のナノテクノロジーへの応用、自動車へ搭載されるリチウムイオン二次電池を高性能化する添加剤の開発、ナトリウムイオン二次電池や全固体電池などの次世代二次電池用の材料研究、燃料電池を高性能化する材料の研究、高精細LCDやパブリックインフォメーションディスプレイなどに用いられるミニLEDやマイクロLEDの演色性を高めるLED用蛍光体および蛍光体製造材料の開発、第5世代移動通信システム(5G)における伝送損失を低減させる低誘電率・低誘電正接材料の開発など、研究テーマ毎にグループを形成して研究開発活動に従事しています。
当連結会計年度における研究開発費の総額(人件費を含む)は
主として自社で保有するホウ素濃縮技術を活用した新たながん治療法であるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)で用いる医薬品の開発に取り組んでいます。グループ会社であるステラファーマ株式会社では、BNCT用ホウ素薬剤(開発コード:SPM-011)の開発を進めた結果、2020年3月に切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌を効能・効果として、BNCT用医薬品としては世界初となる製造販売承認を取得し、2020年5月から販売を開始いたしました。引き続き、適応症の拡大を目指した企業治験として再発悪性神経膠腫(悪性度の高い再発脳腫瘍)、悪性黒色腫および血管肉腫を対象とした開発を行うほか、医師主導治験として再発高悪性度髄膜種を対象とした開発も進行中です。
なお、その他研究開発テーマとして、陽電子放射断層撮影(PET)によるがんの検査技術の開発も開始しており、大阪公立大学により2019年4月から開始された、AMED革新的がん医療実用化研究事業の採択課題「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)への適用を指向した18F-FBPA-PET診断技術の開発研究」にステラファーマ株式会社が参画しています。
当連結会計年度における研究開発費の総額(人件費を含む)は