文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、それぞれの事業において、「迅速果断」な意思決定のもと、既成概念にとらわれない強靭な経営体制を築きます。これを実現するために、事業活動を通じて適正な利益を確保し、変化を恐れず常に前向きに挑戦し続ける経営の実践に努め、ステークホルダーの期待に応えるべく「健全で信頼される企業」として社会に貢献してまいります。
当社グループは、2023年3月期から2025年3月期を対象とする第3次中期経営計画を策定しています。「新たな取り組みを試行しながら事業の持続的な成長を図る」「独自技術を活かした新製品の開発を進める」「上場企業としての社会的要請に応える」を基本課題として掲げ、これに基づき各分野における施策を定めています。
また計画の遂行に際し、事業ポートフォリオマネジメントとして、「事業計画、経営資源配分の検討」「各種施策の実行」「業績評価と分析」を年間サイクルで実施することにより、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
当社グループは、企業価値の向上を目指すにあたり、収益重視の観点から、売上高・営業利益およびROICを経営上の目標の達成状況を判断するための指標としています。
新型コロナウイルス感染症の完全な収束は見通せない状況ではあるものの、世界各国で入国制限解除や規制緩和が進み、国内の社会経済活動もコロナ禍以前に戻りつつあります。しかしながら、ウクライナ情勢をはじめとする地政学的リスクの高まりを受け、サプライチェーンの寸断やエネルギー・原材料価格の高騰などが生じ、国際情勢や世界経済の先行きに対する不透明感は未だ拭えません。また、コロナ禍に需要が拡大し成長を遂げた半導体市場は、需要の一巡に加え、インフレの高進や金融引き締めなどの影響から、需要減少、在庫調整に伴う減産に繋がり、大幅に減速いたしました。この市況低迷の状況は2023年後半ごろまで継続するとみられており、当社グループ業績への影響も避けられないものとなっています。一方、IoT化の進展やそれに伴うデータセンター能力拡張などへの潜在的な半導体需要は強く、これらが2023年後半以降の市場回復を牽引するとみられています。各半導体メーカーの設備投資については、一時的な見直し等は図られているものの、先端プロセスでの設備投資は旺盛な需要が続くと予測されており、半導体市場は長期的には安定した拡大が期待されます。また、日本を含む各国で、国策として半導体産業を後押しする動きが進んでいます。当社グループにおきましても、この高まりを受け、先端半導体の開発を担う企業からの要望に応えるべく他社との差別化を図りながら、業績拡大に努めてまいります。
その他分野では、脱炭素社会へ向けクリーンエネルギーの注目が高まる中、欧州や中国をはじめとして世界的に原子力発電活用の動きが活発化しています。当社製品の濃縮ホウ素は、中性子を吸収する性質を有し、原子力関連施設向けとして需要が拡大しつつあります。またエネルギー分野では、次世代電池の開発が加速化しており、実用化に向けさらなる技術革新が求められています。
当社グループで重要な位置を占める運輸事業を取り巻く環境としては、新型コロナウイルス感染症の影響から脱しつつある中ながらも、半導体市場低迷の影響を受けた輸送量の減少や人手不足など、依然として懸念材料は残されており、注視が必要となっています。
以上の経営環境も踏まえ、当社グループは、次の課題、施策に取り組み、さらなるグループ企業価値向上を目指してまいります。
① 事業の持続的成長
当社の主力製品である半導体用高純度薬液は、その高い品質と安定供給体制を強みとして競争力を築いてまいりました。当分野の持続的成長を遂げるため、中長期的な世界市場動向を見極めながら、その変化に合わせた重点販売地域の再編により、販売量の拡大を目指します。同時に、競争力の維持・強化に向け他社との差別化を図るべく、各国企業との技術交流を通じた、先端分野で抱えている課題の解決に向けた研究開発を推進いたします。とりわけ、半導体の微細化および3D構造を見据えた機能性薬液の開発等により、販売拡大に注力いたします。また、ユーザーの一部において中小型容器での供給要望が高まる中、当該容器充填能力の増強や、複数の生産拠点間における充填・生産能力を見据えた最適な供給体制の構築などに取り組み、着実に需要を伸ばすよう努めてまいります。
エネルギー関連では、世界的なクリーンエネルギー化の動きを背景に、原子力関連施設向けの濃縮ホウ素の需要拡大が期待されており、本製品の優位性を訴求し販売拡大に繋げてまいります。これに伴い、生産設備の整備および改良に取り組み、安定供給体制を構築いたします。また、将来的には生産能力が不足する可能性もあることから、需要量に応じて能力増強の設備投資要否を見極めてまいります。
この他、歯磨き用途のフッ化スズや、電池材料など、成長市場における販売拡大に努めながらも、原材料価格高騰や価格競争激化もみられる中においては収益性を見定め、生産・販売体制を構築してまいります。
さらに、当社グループの高純度薬品事業を物流や原材料調達の面から支える運輸事業では、収益性を重視した取り組みを推進し、人員や設備等の充足により安定的事業基盤の構築等に努め、着実に成長していくことに注力する方針です。
② 独自技術を活かした新製品の開発
研究開発部門では、中長期でみた成長市場を踏まえて、当社が強みを持つ要素技術を活かした研究開発に取り組みます。半導体関連では、次世代半導体の動向を見極め、製造プロセスに求められるニーズに合ったエッチング液・洗浄液の開発を進め、当社がこれまでに培った優位性を堅持してまいります。またエネルギー分野に関しては、次世代二次電池の開発動向に合わせて、その実用化を阻む問題を解決する材料や高性能化に寄与する材料の開発に、引き続き注力いたします。この他、無機フッ素化合物の新用途の開発としてナノ粒子化による用途開発や、フッ素化技術を用いたバイオ関連など新規分野の開拓も推し進める計画です。
2023年2月に新設した次世代材料研究棟において、最適かつ最新鋭の研究開発環境のもと、これらの事業ポートフォリオ拡充に向けた取り組みを加速させてまいります。
③ 経営基盤の強化
企業の持続的発展のため、またプライム市場上場企業として社会から求められる事項に対しての取り組みを実践してまいります。サステナビリティ関連を含む情報開示を一層充実させ、TCFD要請に沿った開示も準備を進めていく計画です。また、社内の業務効率化、生産性向上に繋がる業務のデジタル化を推し進め、新たな施策に取り組む土台を強化してまいります。
また、経営資源配分の観点では、資本効率・収益性・持続的成長に向けた長期視点等を意識した、成長投資や株主還元をバランスよく実施することを基本方針として掲げ、これに取り組んでまいります。
文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
私たちは、経営理念の実践とともに、「人々が幸せになれる製品を生み出し、その結果として、より企業価値の高い企業を目指していきたい」という思いを込めたスローガン『Beyond the Chemical ~化学を超えて 化学の向こうへ~』のもと、事業活動を通じて持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めます。
当社はサステナビリティに関する重要事項について、取締役会で審議・決議しています。取締役会がリスクや機会を含むサステナビリティに関する監督の責任を持ち、そのもとで業務執行取締役・執行役員および関連する組織体が業務執行を担っています。
当社は中長期的な企業価値向上へ向け、サステナビリティ活動の推進を図るため、サステナビリティ委員会を2023年4月に設置いたしました。サステナビリティ委員会は、一年に複数回開催し、サステナビリティ活動に関する基本方針および全体計画の立案、進捗状況のモニタリングおよび達成状況の評価を行うこととしています。その内容は取締役会に報告し、サステナビリティに関するリスクおよび機会に関連する重要な事項については取締役会における審議を経て、経営方針へ反映されます。
サステナビリティ課題・目標の特定にあたっては、「ステークホルダーにとっての重要性」と「当社にとっての重要性」の2つの視点で評価し、重要度の高い課題を抽出しました。それらの抽出した課題について、取締役会を含む社内会議で討議を行い、特に重要度の高い課題を「マテリアリティ」として特定しました。各マテリアリティへの取組みやKPIについては、新たに設置したサステナビリティ委員会で検討することとしています。
当社はサステナビリティ課題を含む事業へのリスクについて、代表取締役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会を半期に1回以上および必要に応じて臨時に開催し、当社および当社グループにおける各種リスクに対して、リスク課題の抽出・把握、業務別リスク対策および運営状況について協議・評価を行っています。
なお、サステナビリティ課題に係るリスクについては、「3 事業等のリスク」に記載しています。
人材の多様性の確保を含む人材育成方針
当社は、持続的成長のためには「人」が原動力であると認識しています。
そのため性別、国籍、キャリア等に拘ることなく多様性のある人材の採用を行い、様々な考え方、経験、価値観等を取り入れ一人ひとりの強みや個性を伸ばし、自ら考え行動できる責任感のある自律型人材の育成に取り組みます。
社内環境整備に関する方針
当社は、社員一人ひとりがやりがいを持って健康に働ける社内環境を整備する事によって、個々のパフォーマンスの更なる向上を図る事が、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に繋がるものと考えます。
社員一人ひとりが心身共に健康で働く意欲にあふれ、公私ともに充実した生活を送ることができるよう職場環境の提供や多角的な人事施策の整備に、継続的に取り組みます。
※正規雇用の基本給・賞与合計の男女の賃金差異(男性を100%とした場合)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
これらのリスクは必ずしも当社グループの事業等に関するリスクを全て網羅したものではなく、当連結会計年度末現在では想定していないリスクや重要性が低いと考えられるリスクも、当社グループの財政状態や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また当社は、リスクマネジメントの基本方針等を「リスクマネジメント規程」に定め、それに基づき、代表取締役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会において、事業を取り巻くさまざまなリスクに対して的確な管理を行うことに努めています。
当社グループの原材料等の一部は、特定の地域に在る供給源に依存しており、その供給が逼迫した場合や、供給が中断した場合には、生産活動の遅れや停止につながり、製品供給に支障が出る可能性があります。当社では調達リスクを軽減するために複数のサプライヤーからの購入、継続的な新規供給源の開発に取り組んでいます。また原材料価格の急騰は、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。速やかな販売価格への転嫁等により影響を極力回避すべく取り組みを行っています。
当社グループの売上高において、高純度薬品事業の半導体関連の占める割合が高く(6割強)、得意先である電子・電気・通信機器業界の半導体需要ならびに設備投資の下降、同業他社との価格競争激化による販売価格の下落等により、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。継続的な製品競争力の強化や他事業分野の製品開発および製品販売の伸張によって影響を回避すべく努めています。
当社グループは、災害や事故に伴う生産活動の中断により生じる影響を最小限に抑えるため、日常的な製造設備の保守点検、安全防災設備・機器の導入、自衛消防組織の確立、安全防災訓練実施やマニュアルづくり等、設備保全、安全確保に努めています。しかし、突発的な自然災害発生や不慮の事故発生により、製造設備の損壊、原材料の調達困難、電力・物流等の社会インフラの機能不全、経済状況悪化に伴う需要動向の変化等が発生し、生産活動を制限あるいは中断した場合には、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。万一の被災時における事業の継続あるいは復旧に備え、事業継続計画を策定し、また保険の付保による損害軽減策を講じています。
また、新型コロナウイルス感染症の影響について、当連結会計年度において当社業績に与える影響は限定的であったものの、今後、国内および海外主要各国において終息に向かわず、拡大が長期間にわたり続き、または終息後に感染拡大が再発し、もしくはその他の感染症が拡大し、当社グループや取引先の役職員が感染した場合および経済の停滞による市況悪化や国内外の販売先における生産停止などの発生に伴い、当社グループの事業活動が著しく減退した場合には、財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
一方、新たな生活様式の普及により当社製品の販売増進に繋がる分野もあり、これらの需要を着実に取り込むことで当社グループの経営成績等の維持・向上に努めてまいります。また、当社グループにおけるサプライヤーの事業活動に大きな影響が生じ、原材料等の調達価格高騰や調達困難な状況が発生した場合には、当社グループの事業継続コストが嵩み、財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業活動を行う上で、安全保障貿易管理、商品の品質、安全、環境関連、化学物質関連、また会計基準や税法、労務関連、取引関連等の様々な法規制の適用を受けています。これらの法規制については遵守するよう体制を整備し、社会的良識に沿った企業行動を行っています。現行の法規制の変更や新たな法規制等が追加された場合は、当社グループの従来の事業活動が制限される、あるいはその対応のために新たな投資が必要になる等、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、世界的に環境・社会・経済の持続可能性(サステナビリティ)に配慮した経営が求められている中、これらの課題に対する取り組みの重要性を認識し、マテリアリティの特定や対応を進めています。具体的には、TCFD提言に沿った気候変動への対応や環境保全、事業における人権の尊重などの環境・社会問題への取り組みがあげられます。
気候変動の緩和のため、温室効果ガス(GHG)の排出規制や脱炭素社会に向けた動きが加速するなか、各国の法規制の強化に伴うエネルギー価格の上昇や炭素税導入、GHG排出削減のための追加設備投資、環境関連法規制の強化により脱炭素社会に向けた地球環境保全に関連する費用が増加した場合は、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、人権等を含む社会問題への取り組みについて適切な対応が取れない場合、事業機会の損失や社会的信用の失墜などに繋がり、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業活動を行う上で、顧客および取引先、株主、役職員等のすべての個人情報および研究開発、生産などに関する機密情報の適切な管理に努めています。また、事業活動に関わる情報を財産と考え、継続的に情報セキュリティ体制の構築・強化を図っています。しかしながら、想定を超えるサイバー攻撃やその他の不測の事態による情報セキュリティ事故、地震等の自然災害の発生による情報システムの停止または一時的な混乱に伴う事業への影響が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜、訴訟の提起、社会的制裁等により、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの製品は、高度な技術や複雑な技術を利用したものが増えており、また、原材料等を外部の供給者から調達していることにより、品質保証へのコントロールは複雑化しています。当社グループでは、生産、出荷の各段階で当社の品質基準に適合していることを厳密に確認しています。しかし、すべての製品について欠陥がなくPL問題が発生しないという保証は無いため、製造物責任賠償についてはPL保険に加入し、万一の事故に備えていますが、予期せぬ重大な事故や品質面での重大な欠陥が発生した場合には、社会的信用の失墜を招き、顧客に対する補償などによって、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、フッ化物製造事業を中心に、シンガポール、中国に事業展開していますが、各国において以下のようなリスクがあります。当該リスクに対しては、現地法人や商社を通じての情報収集を行いその回避に努めていますが、これらの事象が発生した場合は、債権回収の遅延・不能や、事業遂行の遅延・不能、需要動向の変化等により、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
a)予期しえない法律・規制・不利な影響を及ぼす租税制度の変更
b)不利な政治的要因の発生
c)テロ、戦争等による社会的混乱
d) 人材確保の困難化、労使関係の悪化
e) ストライキ等の労働争議
当社グループは、海外への輸出を円貨建てで決済する一方、原材料等の一部を海外からの輸入品により調達しており、その代金決済を外貨建てで行っています。為替予約取引等により為替変動リスクをヘッジする措置を講じているものの、それら外貨に対する円相場の急激な変動が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。海外子会社の経営成績は、連結財務諸表作成のために円換算されていることから、換算時の為替レートにより、円換算後の計上額が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、独自開発した技術による事業展開を基本として、必要な知的財産権の取得を推進しています。一方、当社グループが事業展開している分野については、第三者の知的財産権を常に調査監視して、第三者の有効な知的財産権は、代替技術の開発または技術的な回避策を講じることにより使用しない、当該第三者から使用する権利を得るなどの対策をとり、侵害の防止に努めています。さらに、調査監視にあたる人員を拡充するなど、体制の強化にも取り組んでいます。現在、当社グループの開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生したという事実はありません。しかし、知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であり、仮に当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当該第三者の主張の正当性の有無にかかわらず、解決には多大な時間及び費用を要する可能性があり、場合によっては当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業を遂行する上で、コンプライアンスの重要性を認識し、法令および社会的ルールの遵守の徹底を図っておりますが、取引先や第三者から訴訟等が提起され、又は規制当局より法的手続がとられるリスクを有しています。これらにより、当社グループに対して巨額かつ予想困難な損害賠償の請求がなされた場合または事業遂行上の制限が加えられた場合、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当連結会計年度の業績におきましては、半導体部門について、出荷量は減少したものの、原材料価格上昇に伴う価格転嫁に努めたことにより、増収となりましたが、エネルギー部門および工業用フッ酸部門の出荷量が減少した結果、売上高は353億82百万円(前期比5.1%減)となりました。
利益面におきましては、売上高の減少に加え、主要原材料の無水フッ酸価格が中国市場の需給等の影響や円安進行により前連結会計年度と比較し上昇した結果、営業利益は35億14百万円(同23.3%減)となりました。また、持分法適用関連会社である衢州北斗星化学新材料有限公司について持分法による投資利益を計上したものの、営業利益の減少を受け、経常利益は43億47百万円(同23.8%減)となりました。さらに、有価証券の売却による投資有価証券売却益を特別利益に計上した一方で、高純度薬品事業のエネルギー部門におけるリチウムイオン二次電池用の添加剤について、増産を目的として保有している有形固定資産(建設仮勘定)の減損損失を特別損失に計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は22億80百万円(同57.5%減)となりました。
当社グループは第3次中期経営計画を策定しており、売上高・営業利益およびROICを経営上の目標を達成するための客観的な指標として掲げています。売上高については、計画初年度の目標値として375億円を掲げていましたが、高純度薬品事業の半導体部門において半導体市場の減速の影響による出荷量の減少や、エネルギー部門および工業用フッ酸部門の売上高が下振れたことにより、2023年3月期の実績は353億82百万円となり、当初計画を下回る結果となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3事業等のリスク」に記載しています原材料の調達リスクにおいて、高純度薬品事業における主原料であり主に中国より調達を行っている無水フッ酸価格が、中国市場における需給等の影響や円安進行により、前連結会計年度と比較して上昇しました。原材料価格の上昇については、販売価格への転嫁を行うなど収益面での影響を最小限とするよう取り組みを進めています。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
高純度薬品事業につきましては、主力の半導体部門において、当社の主要販売先であるメモリメーカーを中心とした段階的な減産の影響により、出荷量は前連結会計年度と比較し減少したものの、原材料価格上昇に伴う価格転嫁に努めた結果、半導体部門の売上高は190億49百万円(前期比6.7%増)となりました。一方で、主にエネルギー部門および工業用フッ酸部門の出荷量が減少したことにより、高純度薬品事業の売上高は307億7百万円(同5.0%減)となりました。
利益面では、売上高の減少に加え、主要原材料である無水フッ酸価格が前連結会計年度と比較し上昇した結果、営業利益は29億61百万円(同38.0%減)となりました。
運輸事業につきましては、運送関連等の取扱量が前連結会計年度を下回った結果、売上高は45億4百万円(前期比3.7%減)となりました。
利益面では、軽油価格の上昇等運送関連費用が増加したことにより、営業利益は5億33百万円(同30.2%減)となりました。
メディカル事業を営むステラファーマ株式会社を連結子会社から持分法適用関連会社へと変更したため、当連結会計年度より当該セグメントの実績はありません。
前連結会計年度における売上高は1億円、営業損失は7億29百万円でした。
その他事業につきましては、保険代理業収入等が前連結会計年度を下回った結果、売上高は1億70百万円(前期比10.0%減)、営業利益は30百万円(同46.8%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりです。
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は販売価格によっています。
② 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は仕入価格によっています。
③ 受注状況
主として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主な相手先別の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しています。
当連結会計年度末の資産合計は、554億71百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億26百万円減少しました。主な要因は、流動資産が減少したことによるものです。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
① 高純度薬品
高純度薬品事業につきましては、当連結会計年度末の資産合計は、458億76百万円となり、前連結会計年度と比べ7億19百万円減少しました。主な要因は、現金及び預金、売掛金が減少したことによるものです。
② 運輸
運輸事業につきましては、当連結会計年度末の資産合計は、95億86百万円となり、前連結会計年度末と比べ4億6百万円減少しました。主な要因は、現金及び預金、売掛金が減少したことによるものです。
③ その他
その他事業につきましては、当連結会計年度末の資産合計は、2億90百万円となり、前連結会計年度末と比べ22百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金が増加したことによるものです。
当連結会計年度末の負債合計は、123億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億60百万円減少しました。主な要因は、未払法人税等および長期借入金が減少したことによるものです。
当連結会計年度末の純資産合計は、431億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億34百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金および為替換算調整勘定が増加したことによるものです。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて8億10百万円減少し、当連結会計年度末は147億28百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、56億34百万円(前期比2億31百万円収入増加)となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益33億66百万円、減価償却費の計上25億93百万円、減損損失の計上19億26百万円、投資有価証券売却益12億58百万円、売上債権の減少16億88百万円、法人税等の支払額23億69百万円などです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、32億81百万円(同23億93百万円支出減少)となりました。
主な内訳は、有形固定資産の取得による支出45億86百万円、投資有価証券の売却による収入12億95百万円などです。有形固定資産の取得による支出については、高純度薬品事業に係る半導体部門の生産設備の更新、次世代材料研究棟の建設、また運輸事業における輸送力の増強および安定化を目的とした設備投資を実施したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、37億17百万円(前期は94百万円の収入)となりました。
主な内訳は、長期借入金の返済による支出14億94百万円、自己株式の取得による支出13億48百万円、配当金の支払額8億25百万円などです。借入金については、適切な資金確保および健全な財務体質を維持することを目指し、成長維持に必要な設備投資・投融資資金の調達、適正な手元資金水準を鑑み、当連結会計年度においては、短期借入金と長期借入金合わせて14億94百万円の減少となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは事業活動を遂行するための適切な資金確保および健全な財務体質を維持することを目指し、安定的な資金調達手段の確保に努めています。成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資・投融資資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フローと金融機関からの借入により調達しています。
資金の流動性については、事業規模に応じた適正な手元資金の水準を維持することとしています。
現在進行中である第3次中期経営計画においては、経営資源配分の基本方針として「資本効率・収益性・持続的成長に向けた長期視点等を意識した、成長投資や株主還元をバランス良く実施する」と定めており、当中期経営計画の3年間に成長投資として設備・IT投資に約130億円、研究開発投資に約50億円を充当する計画としています。
また、株主還元については、2023年5月9日付「株主還元方針の策定に関するお知らせ」にて開示しましたとおり、成長投資と株主還元のバランスに加え、資本効率の改善を図るため、株主還元については、適用期間を定めて総還元性向100%を目標といたします。新たな株主還元方針の適用期間については、2023年度(2024年3月期)から2024年度(2025年3月期)とし、当該期間の終了時点で見直しを行います。
当連結会計年度において、記載すべき重要な会計上の見積りはありません。
該当事項はありません。
当社グループにおいては、高純度薬品事業において研究開発活動を行っています。研究開発活動の基本方針はフッ化物業界という特異な分野でありながら、多様化、高度化し、広範囲にわたる顧客ニーズに応える製品を研究開発し提供することです。
この目的達成のため次の事項を主眼として開発のスピードアップを図り、顧客ニーズ、時期に合致するよう努力しています。
(1) 効率的に研究開発に取り組める環境
(2) 高純度・高品質製品の開発
(3) 高機能・高付加価値製品の開発
(4) 顧客ニーズに合致した製品の開発
(5) 開発品の製法の効率化
(6) 高度先進技術への対応
研究開発スタッフは、グループ全員で33名にのぼり、これは総従業員の約5%に当たります。
当連結会計年度における主な研究内容は次のとおりです。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額(人件費を含む)は
主として高性能半導体の製造に使われる薬液、高精細ディスプレイに使われる材料、第5世代移動通信システム(5G)に使われる材料、リチウムイオン二次電池などの蓄電デバイスに使われる材料などを中心とした研究開発活動を行っています。最近は、フッ素化合物のナノ粒子化技術を用いた高精細ディスプレイ用反射防止材料、歯科材料などの用途開発、フッ素化技術を利用した高性能細胞培養容器の開発、自動車へ搭載されるリチウムイオン二次電池を高性能化する添加剤の開発、ナトリウムイオン二次電池や全固体電池などの次世代二次電池用の材料研究、高精細LCDやパブリックインフォメーションディスプレイなどに用いられるミニLEDの演色性を高めるLED用蛍光体および蛍光体製造材料の開発、第5世代移動通信システム(5G)における伝送損失を低減させる低誘電率・低誘電正接材料の開発など、研究テーマ毎にグループを形成して研究開発活動に従事しています。