文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、『世に価値あるものを供給し続けるには、価値ある人生を送るものの手によらねばならぬ。価値ある人生を送るためには、その大半を過ごす職場を価値あるものに創り上げていかねばなるまい。』という経営理念のもと、『稀な元素とともに、「100年企業」へ』をビジョンに掲げ、永続的に成長を続ける企業グループを目指します。
「価値あるもの」とは、社会課題の解決に貢献する独創的で付加価値の高い製品のことです。次に「価値ある人生」とは、自身の夢や理想の実現に向かって成長する公私ともに充実した生き方のことです。そして「価値ある職場」とは、ジルコニウムのトップメーカーの一員であることに誇りを持ち、「キゲンソらしさ」を体現する仲間がいる職場のことです。
(2)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、創業以来、「世に価値あるものを供給し続ける」を軸とした経営理念に基づき、ジルコニウム化合物の開発・供給を通じて、社会課題の解決に取り組んでまいりました。
しかしながら、足元の自動車販売台数予測は、新型コロナウイルス感染症拡大前の予測に比べ、大きく減少しております。また、自動車業界ではカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを活発化させており、それに伴って自動車の電動化へのシフトが加速するなど、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しています。
そのような状況の下、当社グループは、主力の自動車排ガス浄化触媒材料で成長の原資を確保しつつ、次世代の事業の柱となる分野へ、早期に経営資源を振り向けるため、2023年3月期から2032年3月期を対象とする中期経営計画『DK-One Next』をスタートいたしました。
『DK-One Next』の策定にあたり、経営理念のコンセプトである「価値あるもの」「価値ある人生」「価値ある職場」を再認識し、中期経営方針を「新たな事業を創出し続け、今後10年に起こる大きな環境変化を乗り越える」と定めました。この中期経営方針の下、対象期間を前期(2023年3月期~2026年3月期)、中期(2027年3月期~2029年3月期)、後期(2030年3月期~2032年3月期)に分け、「事業領域と収益の拡大」と、「100年企業の基盤の確立」に取り組みます。「事業領域と収益の拡大」におきましては、半導体・エレクトロニクス、エネルギー、ヘルスケアを戦略分野と位置付け、前期では、これらの分野へ製品を展開しているファインセラミックス、二次電池、水素関連向けの売上高を確実に増大させてまいります。「100年企業の基盤の確立」におきましては、「新規事業の創出」「収益構造の改革」「革新的なものづくりの実現」「成果を出し続ける組織づくりの実践」「キゲンソらしさの更なる醸成」「サステナビリティへの取り組み」の「6つの柱」で環境変化に適応し、体質の強化を図ってまいります。
(3)目標とする経営指標
中期経営計画『DK-One Next』では、2026年3月期の事業規模に関する数値目標として、連結売上高40,000百万円、収益性に関する数値目標として営業利益4,000百万円、EBITDA9,000百万円、ROIC6.0%以上といたします。財務規律といたしましては、2023年3月期から2026年3月期までの累計で、投資キャッシュ・フローと配当金の合計を、営業キャッシュ・フロー以内といたします。
(注)目標とする経営指標には、2021年9月時点の原料市場価格と為替を用いております。
なお、目標とする経営指標に関する記述は、国内及び諸外国の経済状況、当社グループの事業に関連する業界の動向についての見通し、その他業績へ影響を与える要因について、現在入手可能な情報をもとにした予想を前提としています。これらは、市況・競合状況・当社新製品の採用の可否など多くの不確実な要因の影響を受けます。従いまして、当予測と実際の業績が大きく異なる場合があることをご了解いただきますようお願いいたします。
中長期的な経営戦略のもと、さらなる事業拡大と収益基盤の強化を図るため、次の課題に優先的に取り組んでまいります。
①新規事業の創出・戦略分野の開発活動の強化
当社グループ売上高の中で自動車排ガス浄化触媒向け製品の比率が約60%を占めており、特定分野向け製品の依存度が高い状態が続いております。当社グループは伸張が期待される半導体・エレクトロニクス分野とヘルスケア分野、カーボンニュートラルに貢献するエネルギー分野を戦略分野と定め重点的にリソースを投入しており、半導体分野及びヘルスケア分野においては、前年を大きく上回る結果となりました。今後は2023年8月に新設した研究開発センターにて研究開発体制をさらに強化し、エネルギー分野への取り組みを加速させ、特定分野に依存しない収益基盤を構築してまいります。
②ジルコニウム化合物のサプライチェーンの強化
当社グループは、ジルコニウム中間体であるオキシ塩化ジルコニウムの生産が中国に偏在している現状に対処するため、ベトナムで採掘されるジルコニウム鉱物を用いたオキシ塩化ジルコニウムの生産を、ベトナムにて開始しております。2023年8月に稼働を開始した新工場において連続生産を継続する中で、いくつかの設備上の問題点が発現しており、これらの問題解決を最重要課題と位置付け、人的資源を集中的に投入してまいります。新工場におけるフル操業は2025年1月を目論んでおりますが、設備の導入が遅れた場合、フル操業開始時期が半年程度遅延する可能性がございます。
③キャッシュ創出力の強化と収益性の改善
当社グループが中長期的に安定した経営基盤を維持し続けるために、収益性や資産効率を高めてまいります。品種数やLOTサイズの見直し、リードタイム短縮により棚卸資産を削減します。さらに原価低減に向けた生産プロセスの革新・改善を推進するとともに、ITシステムの活用等による業務の効率化及び債権債務の適正化に取り組んでまいります。
④温室効果ガスの排出削減への対応
気候変動による環境変化に対して温室効果ガスの排出量の削減が世界的な課題となっており、当社グループにとっても取り組むべき重要な課題の一つであると認識しております。当社グループとしては、エネルギー削減の継続的な活動に地道に取り組みながら、中長期の温室効果ガスの排出量削減に対して、サプライチェーン全体の排出量を把握し、中長期の削減目標達成に向けた具体的な取り組みを進めてまいります。
⑤多様な人材が活躍できる基盤づくり
当社グループが新しい価値を創出しながら成長を続けるためには、多様な人材の確保・育成が必要であることから、女性活躍、人材の国際化、若手人材の積極登用を推進してまいります。多様な人材が活躍できる基盤づくりとして、多様な働き方を促す制度の拡充、活躍を推進する教育・研修を実行してまいります。
⑥成長を続けるための組織力強化と人材育成
当社グループが持続的に成果を上げながら成長を続けるためには、組織力の強化、人材育成、チャレンジ精神を大事にする風土づくりが重要であると考えております。それらを実現するために、組織の変革やマネジメント力の強化、成長・チャレンジを促す制度の制定、次世代リーダー育成のしくみづくり、組織風土の変革・醸成に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは経営理念に基づき、以下の5つの実践を通じて、持続可能な社会を実現し企業価値を向上します。
・イノベーションにより、社会課題の解決に貢献する製品を創出します。
・環境に配慮した製品設計や資源の有効活用により、消費エネルギーを削減します。
・サプライチェーンも含めた人権尊重を推進します。
・多様な人材が活躍できる職場環境や働き方の制度を整えます。
・社会から信頼される企業であり続けるために、コーポレート・ガバナンスをさらに強化します。
(1) サステナビリティへの対応
a. ガバナンス
当社グループは、サステナビリティ推進部担当役員の管掌のもと、サステナビリティ推進部がサステナビリティへの取り組み計画を立案し、経営会議で協議後、取締役会で決定しています。また、取締役会は、サステナビリティ推進部から定期的に進捗状況の報告を受け、達成状況を確認しています。サステナビリティ推進部は各部門の進捗状況を把握し、課題や問題等については関係者と協議の上、活動を進めています。

b. 戦略
当社グループは、サステナビリティに関する全社的に重要な項目(課題)を経営における重要な課題の一つと位置づけています。その中でも、特に重点的に取り組む領域を中期経営計画「DK-One Next」の6本の柱の「成果を出し続ける組織づくりの実践」「キゲンソらしさの更なる醸成」「サステナビリティへの取り組み」に設定しています。
c. リスク管理
サステナビリティ推進部は、グループ全体のリスク項目を網羅的に抽出、評価し重要リスク項目を選定しています。重要リスク項目については対応状況を確認し、新たな対応が必要な場合は担当部門に対策の実行を指示しています。サステナビリティ推進部における検討結果については経営会議に報告しています。また社長執行役員の直轄組織としてリスク管理担当執行役員を責任者とするリスク管理委員会を設置し、事業年度ごとにグループ全体のリスク項目の再抽出及び評価を定期的に実施し、設定された重要なリスク項目の審査、事業上のリスクや対処すべき課題について取締役会に報告しています。
d. 指標と目標
当社グループは、サステナビリティに関する課題の解決に向け、中期経営計画「DK-One Next」にて取り組みを進めています。
(2) 気候変動への対応
当社グループは、気候変動への対応は企業の社会的な重要課題と認識し、温室効果ガス、特にCO2の排出量削減等に積極的に取り組んでいます。
気候変動は、CO2等の排出規制に伴い炭素税の賦課等の導入、原材料の購入や製品の供給に係るコストの上昇、生産活動の中断といったリスクをもたらします。その一方、社会に新しいニーズを生み、当社グループとして新たな価値を創出する機会でもあると認識しています。そのため、当社グループは生産活動におけるエネルギー効率向上、環境負荷が少ない生産方式の検討、サプライチェーンを通じた排出量削減等に取り組むことでリスク軽減に努めながら、革新的な技術やソリューションを生み出し、新しい領域に事業を拡大する機会であると考えています。
以下において、気候変動関連の財務情報開示に関するタスクフォース(TCFD)が推奨するフレームワークを活用し、気候変動がもたらすリスクと機会及びそれぞれに対する取り組みについて説明します。
a. ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般に関するガバナンスに組み込まれています。詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティへの対応 a ガバナンス」を参照ください。
b. 戦略
シナリオ分析にあたっては、複数の気候変動に係る化学的シナリオ(国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のSSP2-4.5 (AR6)やRCP4.5やRCP6.0/RCP8.5 (AR5)、国際エネルギー機関(IEA)のNZE(Net Zero Emission by 2050 Scenario)やSTEPS(Stated Policies Scenario)、日本の環境省/気象庁の21世紀末における日本の気候のRCP2.6)等から当社グループの事業を取り巻く将来像を想定し、リスクと機会の両面からインパクト分析を行い、対策を立案しました。
脱炭素化による社会変化が当社グループの事業に影響を及ぼしていく1.5℃シナリオにおいて、脱炭素経済への移行に伴い需要が高まる業界にてジルコニウムが必要とされ、ビジネスの機会が拡大すると考えています。しかしながら、脱炭素の過程で内燃機関搭載車の生産台数減少に伴う自動車排ガス浄化触媒や酸素センサーの需要減少、各国政府・自治体等によるカーボンプライシングの導入・強化、原材料の需要増加に伴う輸出規制が強化される等、環境コンプライアンスが強化される可能性があります。これらリスクに対し、対応策の検討を進めます。
また、気候変動による自然災害が激甚化し当社グループに影響を及ぼしていく4℃シナリオにおいても、独立した電気エネルギー需給体制が見直され、燃料電池や次世代二次電池の材料需要増加によって、ビジネスの機会が拡大すると考えています。しかしながら、豪雨・高潮・強風による製造設備の冠水や破壊、水害によるサプライチェーン寸断等の発生による生産停止等の可能性があります。これらリスクの対応策は、生産拠点毎のBCPの中で検討を進めます。
・1.5℃シナリオ
・4℃シナリオ
c. リスク管理
気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティ全般に関するリスク管理に組み込まれています。詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティへの対応 c リスク管理」を参照ください。
d. 指標と目標
2050年までにCO2排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする「脱炭素社会」を実現するため、2030年までにCO2排出量(Scope1+2)を2018年3月期比 で20%以上削減します。
削減策としては、継続的な現場の改善活動に加え、ものづくり革新によるエネルギー効率化、太陽光発電による創エネなど、当社グループの事業活動に伴う排出量の削減を推進します。また必要に応じて、再生可能エネルギーやカーボンクレジットなどの調達も活用します。
(3) 人的資本の取り組み
当社グループは、経営理念の実現のために中期経営計画「DK-One Next」において、新たな事業を創出し続け、当社グループを取り巻く大きな事業環境の変化を乗り越えるための6つの柱を定めました。その中で「成果を出し続ける組織づくりの実践」、「キゲンソらしさの更なる醸成」、「サステナビリティへの取り組み」を掲げ、人的資本に関する指針を定めています。これらの指針を受け、次の方針に基づき人的資本の価値を高める取り組みを進めます。
基本方針
・後継を担う人材を計画的に育成する。とくに経営層の後任育成を体系的に進める。
・従業員の意欲を高め、成果につなげるため、役割・成果に応じた報酬制度を運用する。
・個人と組織の意識改革・行動変容をはかる(風土を改革する)。
・チャレンジ精神をグループ全体に浸透させる。
・多様な人材の活躍を推進する。
・多様な働き方や価値観を尊重した職場づくりを実践する。
・心身ともに健康で安全な職場づくりを実践する。
a. ガバナンス
人的資本に関するガバナンスは、サステナビリティ全般に関するガバナンスに組み込まれています。詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティへの対応 a ガバナンス」を参照ください。
b. 戦略
当社グループは100年企業への飛躍を遂げるために、果敢に挑戦して事業を拡大させる人材及び世代交代を担う後継人材が最も重要と考え、これら人材の育成に積極的に投資します。
当社グループは社風として、フラットでフランクに話ができる関係が良い面としてあげられます。その中で、従業員が主体的に行動し、チャレンジを促進する風土を作っていく必要があると考えます。人事評価では、役割、成果が報酬・処遇に反映される制度、運用ルールの制定に取り組んでいます。
また人材の多様性については、女性活躍の推進、育児・介護などとの両立支援制度を充実させます。加えて、今後60歳以上の社員の比率が増加していく中で、どのように貢献してもらうかが会社、個人の両者にとっても重要になってくるため、現行制度を改定し、多様なはたらき方が選択できる制度づくりに取り組みます。
さらに、心身ともに健康で安全な環境をつくることは、従業員にとっても大切なことであり、生産性の向上にもつながるものと考えます。労働災害予防について、当社グループはすべての役職員の安全意識を高めて取り組みます。またメンタルヘルス不調による休職は、本人や職場への負担が大きいため、当社グループはすべての役職員のメンタルヘルスに関する意識を高め、メンタルヘルス不調の予防に注力します。
これらの課題と向き合い、「100年企業」への飛躍を目指すため、当社グループは今後も重要なサステナビリティ戦略の一つとして人的資本に基づく経営に取り組みます。
c. リスク管理
人的資本に関するリスク管理は、サステナビリティ全般に関するリスク管理に組み込まれています。詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティへの対応 c リスク管理」を参照ください。
d. 指標と目標
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
連結子会社VIETNAM RARE ELEMENTS CHEMICAL JOINT STOCK COMPANY(以下、VREC)は、世界のジルコニウム化合物の主要原材料であるオキシ塩化ジルコニウムの調達先が中国に限定されているリスクを回避するという長期的戦略に基づき2023年8月に量産工場の稼働を開始いたしました。当社はVRECにおいて連続生産を継続する中で設備上の問題点を確認致しました。現在、中国からのオキシ塩化ジルコニウムの調達についてリスクが高くないと判断し、VRECにおける設備上の問題点の解決を優先しています。VRECにおける問題解決活動は順調に進んでおりますが、計画通りに解決しない場合、短期的には計画以上の製造コストによる当社グループ収益への影響が発生する可能性があります。また、追加設備投資が発生した場合、当社グループ収益への影響が発生する可能性があります。
これに対し当社グループは、製造技術分野における最重要課題と位置づけ、課題解決に関連する人的資源を集中して投入し、確実な問題解決を進めてまいります。
当社グループの売上高の中で自動車排ガス浄化触媒向け製品の比率が約60%を占めていることから、半導体・エレクトロニクス分野、エネルギー分野、ヘルスケア分野を戦略分野と定めて、重点的にリソースを投入することで、これらの分野の開発を強力に推進し、バランスの取れた売り上げ構成の実現に努めております。しかしながら、世界のカーボンニュートラルへの移行が当社グループの想定と大きく異なる場合、GX化の失速によるエネルギー分野への影響など、当社グループの製品分野ポートフォリオの均衡化が進まず、経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
これに対し、当社グループでは、現在取り組んでいる開発・拡販テーマに注力するとともに、さらに新たな事業の探索活動を今まで以上に進めてまいります。
(為替変動について)
当社グループは、生産・販売会社の外貨建て収益・資産・負債が為替変動の影響を受け、営業活動に伴う収益に影響を与えます。また、VRECに対する外貨建て貸付が為替変動の影響を受け、営業外損益に影響を与えます。このため、円高が進行した場合は当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また急激な円安が継続した場合にも、原料・エネルギー価格の高騰によるコスト上昇分を製品価格へ転嫁できないと当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
これに対し、当社グループでは、グループ全体の外貨の状況と、常に主要通貨の変動を把握しながら、為替予約及びデリバティブの導入など為替変動による損失軽減策をとっております。
(投資設備の減損について)
当社グループは、増加するジルコニウム需要を確実に取り込むために、国内外における新規設備投資を積極的に進めております。しかしながら、当社グループが提供する製品の需要が見通し通りに推移しなかった場合には、投資した設備について減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
これに対し、当社グループでは、需要の動向を細かく把握し分析を行いながら販売強化に取り組むとともに、状況に応じて柔軟に投資計画を見直すように努めております。
(情報セキュリティについて)
当社グループでは、情報管理については細心の注意を払っておりますが、万一不測の事態により情報が漏洩した場合には、被害者からの損害賠償請求、社会的な信頼の失墜、ノウハウの流出による競争力の低下などにより、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し、当社グループでは、可能かつ妥当な範囲で保険を付すとともに、情報セキュリティの管理体制を策定し、日常的な情報管理の強化に取り組み、社員の情報セキュリティの意識向上に向けた教育を通じてリスク低減に努めております。
(気候変動による規制リスクについて)
当社グループは、気候変動への対応は企業の社会的な重要課題と認識し、温室効果ガスの排出量削減等に積極的に取り組んでいます。しかしながら、気候変動に対する世界的な取り組みが進展し、二酸化炭素等の排出規制や炭素税の賦課等の導入により、原材料の購入や製品の販売に係るコストが上昇したり、生産活動に使用するエネルギー種の変換が必要になった場合には、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
これに対し、当社グループでは、生産活動におけるエネルギー効率向上、環境負荷が少ない生産方式の検討、サプライチェーンを通じた温室効果ガスの排出量削減等に取り組むことでリスク軽減に努めてまいります。
(原料の仕入れについて)
当社グループの主要製品に使用される原材料(ジルコニウム・希土類・セシウム)は、その全てを海外からの輸入に依存しております。そのため、それらの仕入れ価格や安定的な調達が政治・経済情勢に影響を受けた場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
これに対し、当社グループでは、原材料の調達国を複数に分散するなどの多様化を図るとともに、適正在庫を常に見直しそれを維持することでリスクの軽減に努めております。
当社グループは、海外関係会社による生産・販売活動を含め、アジア・北米・欧州・いわゆるグローバルサウス諸国等グローバルな事業展開を行っています。当該地域における予想しない政情不安、法律・規制・税制の制定や変更等によっては、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
これに対し、当社グループでは、海外関係会社においては日常的に規制情報を収集し、グループ内での情報共有体制を強化しながらリスク軽減に努めるとともに、化学製品に関わる規制についてはグローバルに情報収集を行い、販売にかかわる規制を注視しています。
当社グループは、海外を含め、生産及び物流の拠点を分散配置することで、リスクの低減を図っております。しかしながら、地震・台風等の自然災害によって生産拠点が被災した場合や物流網の遮断等が発生した場合においては、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
これに対し、当社グループでは、可能かつ妥当な範囲で保険を付すとともに、事業継続計画(BCP)の策定・整備を進めております。
なお、昨年まで記載しておりました「原材料・エネルギー価格の高騰について」は、国内の物価上昇を含め、経済の基調として引き続き推移すると考えました。また、「ロシア・ウクライナ情勢による影響について」は、ロシア産の原材料について、一定量の在庫を国内で確保し、さらに代替原材料への転換が進みました。これらの結果、事業等のリスクから項目を削除いたしました。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)に関する概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の売上高は35,220百万円(前期比1.5%減、業績予想37,000百万円に対して達成率95.2%)、販売数量は前期比で0.9%増となりました。営業利益は、前期に享受した在庫販売効果が剥落したことにより前期比で減少したことに加え、当第4四半期連結会計期間において一部顧客での顕著な生産調整による販売減少の影響もあり2,422百万円(前期比55.1%減、業績予想3,100百万円に対して達成率78.1%)となりました。経常利益は、2,942百万円(前期比50.7%減、業績予想3,500百万円に対して達成率84.1%)となりました。これは、営業利益の減少に加え、ベトナム子会社宛て貸付見合いの米ドル借入の金利上昇での支払利息増加と、2024年に入ってからの急激な円安影響を受け、外貨建て資産での想定以上の為替差益を受けた影響であります。親会社株主に帰属する当期純利益はベトナム子会社の旧工場の減損損失(第1四半期連結会計期間において特別損失に計上)、連結子会社の業績変動から税金の見積りに差が生じた影響等により1,140百万円(前期比71.6%減、業績予想2,000百万円に対して達成率57.0%)となりました。分野別の販売状況は次のとおりです。

戦略分野(半導体・エレクトロニクス)

半導体用途は、販売数量は前期に届かなかったものの、新しい用途への採用が進み、増収となりました。エレクトロニクス用途は、通信デバイス、家電など最終製品の需要低迷に伴い、販売数量で前期を下回りました。
これらの結果、半導体・エレクトロニクス分野における当連結会計年度の売上高は、1,696百万円(前期比3.7%増、業績予想1,600百万円に対する達成率106.0%)となりました。
戦略分野(エネルギー)

二次電池用途は、欧米市場を中心とした自動車電動化の減速を受けて、販売数量は前期を下回りました。SOFC(固体酸化物燃料電池)及びSOEC(固体酸化物電解装置)用途は、海外の需要増加を取り込むことができず、販売数量が前期を下回りました。水素関連は、着実に伸長しました。
これらの結果、エネルギー分野の当連結会計年度の売上高は、2,190百万円(前期比14.3%減、業績予想3,200百万円に対する達成率68.4%)となりました。
戦略分野(ヘルスケア)

生体材料並びに抗菌剤・環境の用途で販売数量が前期を上回り、大幅増収となりました。医療機器用途の販売数量は前期並みに推移しました。
これらの結果、ヘルスケア分野における当連結会計年度の売上高は、1,762百万円(前期比47.7%増、業績予想1,600百万円に対する達成率110.1%)となりました。
自動車排ガス浄化触媒分野

上半期に日本、北米、グローバルサウス市場において旺盛な需要を取り込んだものの、中国市場を中心に電動化の影響を受けたことに加え、下半期においては一部顧客での顕著な生産調整の影響により、通期での販売数量は前期比微増、売上高は原料価格の下落に伴う販売価格の低下により前期を下回りました。
これらの結果、自動車排ガス浄化触媒分野における当連結会計年度の売上高は、22,574百万円(前期比4.0%減、業績予想23,500百万円に対する達成率96.1%)となりました。
基盤分野

ブレージング(アルミ配管ろう付け)用途は、販売数量は前期並みであったものの、原材料の市場価格変動に伴う販売価格の上昇により、増収となりました。構造部材並びにブレーキ用途は、堅調に推移しました。一方で、耐火物用途は、主要な需要家である国内の鉄鋼業界の低調により販売数量が前期を下回りました。
これらの結果、基盤分野における当連結会計年度の売上高は、6,996百万円(前期比2.4%増、業績予想7,100百万円に対する達成率98.5%)となりました。
当連結会計年度の財政状態の概要及びその分析等は次のとおりであります。

当連結会計年度末における総資産は65,605百万円で、前連結会計年度末に比べ399百万円減少しました。これは主に、現金及び預金の減少(2,460百万円)、流動資産その他の増加(925百万円)によるものです。
当連結会計年度末における負債は29,288百万円となり、前連結会計年度末に比べ565百万円減少しました。これは主に、短期借入金の減少(1,600百万円)、固定負債その他の増加(665百万円)によるものです。
当連結会計年度末における純資産は36,316百万円で、前連結会計年度末に比べ165百万円増加しました。これは主に、為替換算調整勘定の減少(756百万円)、利益剰余金の増加(459百万円)、退職給付に係る調整累計額の増加(283百万円)によるものです。
この結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末53.8%から54.5%となり、当連結会計年度末における1株当たり純資産額は、前連結会計年度末1,460円81銭から6円45銭増加し1,467円26銭となりました。また、当連結会計年度の減価償却前営業利益(EBITDA)は、前連結会計年度8,109百万円から2,583百万円減少し5,526百万円となり、当連結会計年度末における投下資本利益率(ROIC)は、前連結会計年度末7.1%から3.9ポイント減少し3.2%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果、得られた資金は5,310百万円(前期比1,416百万円増)となりました。これは、減価償却費3,104百万円、税金等調整前当期純利益2,568百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果、使用した資金は3,447百万円(前期比976百万円減)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出3,814百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果、使用した資金は2,444百万円(前期は2,454百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入3,785百万円などにより資金が増加した一方、長期借入金の返済による支出3,889百万円、短期借入金の返済による支出1,600百万円などで資金が減少したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
生産実績を単一セグメント内の区分に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.生産金額は実際原価に基づいて算出しております。
2.同一品目であっても複数の用途に用いられることがありますので、生産実績については用途別に示すことが困難なため、表示しておりません。
当社グループは主に見込生産を行っているため、記載を省略しています。
販売実績を単一セグメント内の区分に示すと、次のとおりであります。
当社グループは単一セグメントであるため、用途別に表示しております。
(注) 1.戦略分野にはその他の金額0百万円がありますが、金額が少額であることから、上記表では表示しておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売割合で10%以上の相手先はありません。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)における世界経済は、OECD諸国の設備投資動向を示す実質総固定資本形成は停滞が続きました。労働市場のひっ迫に伴う賃金上昇などを背景に、エネルギーや食料品を除くコアインフレ率は高止まりしており、個人消費の重石となりました。
当社グループにおきましては、戦略分野は、半導体、生体材料用途で順調に売上高を伸ばしたものの、通信デバイス、家電などの需要低迷と自動車電動化の減速の影響により、エレクトロニクス用途及び二次電池用途で、いずれも売上高が前期を下回りました。自動車排ガス浄化触媒分野においては、原料価格の下落に伴う販売価格の低下により、売上高が前期を下回りました。なお、2022年5月13日に公表しました中期経営計画「DK-One Next」では、2026年3月期の売上高構成で、「戦略分野」22.5%、「自動車排ガス浄化触媒」55.0%、「基盤分野」22.5%、売上高40,000百万円を目指しており、当連結会計年度は、「戦略分野」15.1%(前期比+0.5%)、「自動車排ガス浄化触媒」65.8%(前期比△0.8%)、「基盤分野」19.1%(前期比+0.3%)、売上高35,220百万円となりました。当社は、中期経営計画「DK-One Next」のもと、新規事業の創出・戦略分野の開発活動の強化による特定分野に依存しない収益基盤の構築、ベトナム事業強化によるジルコニウム化合物サプライチェーンの強靭化、資産効率の向上や収益性の改善、チャレンジする組織の強化、に取り組み、価値ある製品を供給し続ける事で世の中に貢献してまいります。
経営成績及び財政状態の状況並びに用途別の販売概要に関する認識及び分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
当社グループの源泉は、営業活動によるキャッシュ・フローと金融機関からの借入であります。
一方、当社グループの主な運転資金需要は、当社グループ販売製品に係る原材料費であり、主な投資需要は、工場設備、研究開発拠点の整備及びIT関連の投資に係る投資資金であります。
短期運転資金は、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本とし、設備投資や長期運転資金は、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本として、それぞれ調達しております。
当連結会計年度末においては、原材料価格や為替の変動により販売単価及び在庫単価が上昇したため、売掛債権、棚卸資産の残高が増加しました。また、資金効率の向上に取り組んだ結果、現金及び預金の残高は減少しました。
当社グループの製販及び資金の一元管理を行うことで資産効率の向上を図っております。また、2023年3月期から4カ年累計の投資キャッシュ・フローと配当金の合計を営業キャッシュ・フロー以内とする方針のもと投資キャッシュ・フローをコントロールしてまいります。併せて、業績と戦略分野への投資推進等を総合的に勘案しながら配当性向30%を基本とし、積極的に利益還元を行ってまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末日における資産・負債の報告数値及び当連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて合理的と考えられる方法により計上しておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社はこれまでジルコニウム化合物の精製、酸化ジルコニウムの凝集制御をコア技術とし、これらに他元素との複合化技術を併用することで、ジルコニウム化合物の新機能開発と用途拡大に取り組んできました。
今後は、半導体・エレクトロニクス分野、エネルギー分野、ヘルスケア分野を戦略分野と位置付け、多様化・高度化する顧客ニーズに応える製品を開発することによりジルコニウムの更なる用途拡大に向け、継続的に行動していくことを基本方針としております。
また開発された新規材料は独創的で付加価値の高いものであるため、原則として知的財産権を取得し、当社グループの事業領域において活用していきます。
当連結会計年度には、事業環境の変化に柔軟に対応できる研究開発体制を整備し、新たな事業基盤を整えることを目的に新規拠点として研究開発センター(大阪市住之江区)での研究開発活動を開始いたしました。研究開発センターは、新設した研究棟に、リニューアルしたパイロットプラントを併設しています。当社は、新製品開発と新規用途開拓の加速、資源循環やカーボンニュートラル関連の技術開発の促進において、本拠点を最大限に活用し、社会課題を解決する製品・技術・サービスの提供にこれまで以上に取り組んでまいります。
研究開発センターの機能と役割は、以下の通りです。
(1)戦略分野の研究開発力を強化
従来の分析・評価設備に加え、当社製品及び開発品の新規特性や機能性を評価するための設備を新規導入し、中期経営計画『DK-One Next』で戦略分野と位置付ける半導体・エレクトロニクス、エネルギー、ヘルスケアの分野において、新製品開発と新用途開拓を加速させます。
(2)イノベーション拠点への進化
オープンな実験スペースとワーキングスペースを確保し、研究開発に携わる役職員の部門や専門分野を超えたコミュニケーションの機会を増やすことにより、新たな価値の創造と次世代への技術継承を促進します。
(3)スピーディな量産化と環境に配慮した工程設計
研究開発センターに同時にリニューアルしたパイロットプラントを併設することで、量産化にかかる期間の短縮に加え、資源循環やカーボンニュートラル関連の技術開発を促し、環境負荷の少ない量産工程の早期実装を目指します。
分野別の研究開発方針は、以下の通りです。
①半導体・エレクトロニクス分野
・圧電素子、コンデンサなど電子部品の小型化、高性能化及び半導体の高集積化、微細化に対応する、高純度かつ高機能なジルコニウム系材料を開発します。
②エネルギー分野
・正極材NMC系のリチウムイオン電池の耐久性向上に加え、酸化物系全固体電池の早期実用化に貢献する、高純度かつ高機能な二次電池材料を開発します。
・固体酸化物燃料電池(SOFC)や固体酸化物電解セル(SOEC)の実用化段階を早めるために技術課題の解決につながる電解質・電極材料を開発し、提案します。
・カーボンニュートラルに向けたCO2の利用と排出量削減に関連した研究開発並びに実用化技術の開発を加速します。
③ヘルスケア分野
・強度・靭性、審美性に加え、新たな機能を付加した歯科材用などのジルコニアセラミックス材料を開発します。
(2)自動車排ガス浄化触媒分野
自動車の電動化は進むものの、自動車メーカーが新エンジンを開発する動きを見せるなど、当面は従来の内燃機関の活用が主流であると考えています。とりわけ、インド・東南アジアなどのグローバルサウス市場においてはハイブリッド車を含む内燃機関搭載車が引き続き主流となるため、強化される自動車排ガス法規制に対応し、助触媒機能としてより高機能な触媒材料を開発していきます。また当社の助触媒開発は、触媒である貴金属の使用量削減に繋がり、資源保護並びに環境負荷の低減に大きく寄与します。
(3)基盤分野
①熱遮蔽コーティング用途
・発電用ガスタービンや航空機等のエネルギー効率を向上させるなど、耐熱性を有するジルコニウム系材料を開発します。
②アルミニウム接合用途
・自動車用熱交換器や家庭用エアコンなどのアルミろう付け用途において、顧客生産過程における省エネルギー化や簡便化に貢献するセシウムフラックス及びフラックス内包ろう材を開発します。
③工業用触媒用途
・火力発電所や工場等から排出される有害物質の浄化や化学製品の高効率な合成を目的とした触媒機能を有する材料を開発します。
研究開発体制
当社の研究開発活動は、中長期的な視野でのジルコニウム化合物の新機能の発掘及び新規用途開拓、並びに新規材料の調査・研究を研究開発室が担当し、既存用途での材料開発及び既存材料での用途開発は技術部が担当しています。生産技術部は、量産プロセス設計に加え、資源循環やカーボンニュートラル関連の技術開発及び設備設計を担当しています。一方、知的財産権に関する業務については知財管理室が担当します。2024年3月期実績としては、国内特許出願11件(海外出願を含めると36件)を実施いたしました。現在保有している国内特許は96件(海外特許を含めると214件)で、その事業分野ごとの内訳は、戦略分野が27件、その他新規分野が19件、自動車排ガス触媒分野が35件、基盤分野が15件となっております。今後も部門機能ごとに専門性を高め連携しながら、研究開発活動を実施します。また大学・研究機関を対象に、ジルコニウム及びハフニウム並びにセシウム化合物を利用した独創的な研究、創意、工夫に対して使途の自由度が高い研究助成金制度を実施しています。ジルコニウム及びハフニウム並びにセシウム化合物の素材を利用した研究活動への支援を通して、当社で対象としていない領域も含むこれら材料の新たな可能性が拡大されることを期待しております。2023年度は、38件の応募があり、20件を採択して助成しました。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は