第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループは企業理念を「0102010_001.png 〜私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」と定め、人々が安心して暮らせる、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。

 2030年に向けた長期ビジョンにおいて、「事業の変革」「環境対応への変革」「組織の変革」という3つの変革を掲げ、これからの社会に必要とされる素材やソリューションの提供を通して、さまざまな社会課題解決への貢献と当社グループの持続的な成長を実現してまいります。

 

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(1) 前中期経営計画(2022-2024年度)の振り返り

 2022年度からの3年間、長期ビジョン達成に向けた変革の基盤作りを進めてまいりました。注力する事業領域を絞り込み、これらの領域に積極的にリソースを投入(人員増強、設備投資・M&A等)した結果、事業の変革を実現するための基盤が整ってきたと考えております。

 一方、化学業界を取り巻く環境は厳しい状況が続いており、インフレ等によるコスト増加や国内需要の低迷、そしてアジアを中心とした需給軟化にともなう製品市況の悪化等の影響がある中、前中期経営計画の利益目標が未達となった現実をたいへん重く受け止めています。

 なお、「環境対応への変革」「組織の変革」につきましては、概ね順調に進捗しております。

 

(2) 中期経営計画 2027

 2025年度からの新中期経営計画では、事業ポートフォリオの変革実現を最優先事項と定め、ソリューションズ事業へ積極的にリソースを投入します。

 ソリューションズ事業では、スペシャリティ、エレクトロニクス、電池等の成長領域における積極的な設備投資により事業規模と利益を拡大します。また、デジタル活用により技術開発や人財育成を促進することで、よりスピーディーに高機能素材の事業化を図ります。マテリアルズ事業では、設備の最適化等により生産性を高めるとともに、世界の成長市場での拡販や他社とのアライアンス等により、収益力の強化を進めます。

 新中期経営計画の財務目標は以下のとおりです。

 

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(3) 領域別戦略

① ソリューションズ事業

 積極的な投資や成長事業領域での事業拡大・市場参入により、利益を拡大させます。

 

(ソリューションズ事業の利益拡大戦略)

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※1 福邦:湖南福邦新材料有限公司 ※2 SOEC:固体酸化物形電解セル ※3 SOFC:固体酸化物形燃料電池

 

② マテリアルズ事業

 生産体制の再編・効率化や、成長市場での製品販売強化等により、収益力強化を進めます。

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※1 AA:アクリル酸 ※2 SAP:高吸水性樹脂 ※3 EO:酸化エチレン

 

 

(4) 非財務目標

 中期経営計画 2027の非財務目標は、以下のとおりです。また、サステナビリティ戦略の全体方針として、「人と社会への貢献」「環境対応の推進」「会社の基盤強化および持続的成長」を柱に、ステークホルダーとの対話を重ね、持続可能な社会の実現と企業価値向上を目指します。

 

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■GX戦略

GHG排出量削減と環境貢献製品の売上拡大による環境への貢献

・プロセス改良、再エネ導入加速等によるGHG排出量削減

・電池周辺材料、水素関連材料、CO2排出削減材料等の環境貢献製品の売上拡大

 

■人財戦略

事業戦略の実現に最適な人財を育成・配置し、個々の能力を最大限引き出す。

・人財の適切な配置(人財ポートフォリオ整備、次世代リーダー育成プログラム実行等)

・自己成長の促進(学習プログラム、キャリア申告制度等)

・働きがいの向上(エンゲージメントサーベイ、D&I推進等)

 

■デジタル活用戦略

スマートファクトリー化、スマートラボ化により生産性向上や製品上市を加速させる。

・製造所で導入中の情報統合基盤を活用した業務工数や保全費の削減

・R&DでデータとAIを活用し製品上市を加速する体制の構築

 

(5) 株主還元

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中期経営計画 2027の詳細はこちら

⇒https://www.shokubai.co.jp/ja/docs/ir/vision/mid-term_managementplan.pdf

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

◆日本触媒のサステナビリティマネジメント

サステナビリティ基本方針

 この方針はサステナビリティ推進委員会(旧・テクノアメニティ推進委員会 委員長:社長、委員:社長が任命する社内取締役・執行役員など)において承認されています。

 

 日本触媒グループは、グループ企業理念「TechnoAmenity ~私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」のもと、ステークホルダーと対話を重ね、公正・誠実な事業活動を行い、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。

・ 事業活動を通じて社会課題を解決し、人と社会の未来に貢献します。

・ 地球環境を守り、将来世代にわたって安心できる社会を築いていきます。

・ 多様な人財が活躍する、成長し続ける組織を目指します。

(本方針は、2025年1月に内容の改定を行っております)

 

サステナビリティ推進体制

 当社は、サステナビリティ活動を推進するため、社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置しています。(2025年4月にテクノアメニティ推進委員会からサステナビリティ推進委員会への改称を行っております)

 

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サステナビリティ推進委員会の役割

・ 当社グループのサステナビリティ活動推進に関する方針・戦略の決定

・ 各部門に対する計画・施策策定の指示、その実績評価

・ サステナビリティ推進に関するその他重要事項等の検討

・ 取り組みに関するステークホルダーへの発信

 

サステナビリティ推進委員会の運用

・ 本委員会は原則として、最低 年2回開催

・ サステナビリティ推進に関する重要事項等に対し、部署を横断して検討や施策立案等が必要になる場合には、分科会を設置し対応

 

◆日本触媒グループのマテリアリティ(重要課題)

 日本触媒グループでは、長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」を策定し、2030年の目指す姿に向けて、「事業の変革」「環境対応への変革」「組織の変革」の3つの変革を推し進めています。

 2025年度に、中期経営計画2027の策定に合わせ、6つのマテリアリティを特定し、3つの変革に沿った内容に見直しました。今後は、マテリアリティの進捗を管理し、PDCAサイクルを回すことで、サステナビリティ基本方針に掲げる持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。

 

 

マテリアリティと取り組み

 

マテリアリティ 1: 社会課題解決への貢献

要素

取り組み

KPI あるべき姿

新規製品の継続的創出

・研究開発力の促進

・R&D組織の体質強化

・R&D人財資本投資

・顧客指向のスピーディな素材・ソリューション開発とサステナブルな社会実現への貢献ができている

・保有・獲得するコア技術が世界トップレベルであり、継続的進化によりターゲット市場で高い競争力を有している

・社内外で多様な人財と情報が活発に行き交い、イノベーションを起こす協業ができている

(全て - 2030年度)

環境貢献製品の開発、販売の促進

・ソリューションズ事業の促進

環境貢献製品売上収益:

・550億円  (2027年度)

・1,350億円(2030年度)

 

マテリアリティ 2: 環境対応の推進

要素

取り組み

KPI あるべき姿

カーボンニュートラル実現への貢献

・バイオマス原料の利用促進

・省エネルギーの推進

・再生可能エネルギー導入の加速

・プロセスの改善

・触媒の効率向上

・温室効果ガス(GHG)排出量(Scope 1+2) ▲30%※

(対基準年度、グループ総計) (2030年度)

 ※単体および国内グループ会社:▲30%(対2014年度比)

 海外グループ会社:各社基準年度および目標

製品カーボンフットプリント(CFP)の低減

・CFPの精度向上

・ステークホルダーとのCFP情報共有

・算定精度の改善継続、各製品のGHG排出低減活動の継続(2027年度)

水資源保全・有効利用

・水資源利用に係るリスク評価と有効活用の促進

・水リスク(ストレス)のモニタリングの継続、および評価結果に基づく対応(2027年度)

資源循環への貢献

・廃棄物の削減

・リサイクルの促進

・外部最終埋立処分量:ゼロエミッションを維持(注)1

(単体 - 2027年度)

・廃プラスチック排出量:▲50%(対2021年度比)

(単体 - 2030年度)

(注)1. (外部最終埋立処分量)≦(廃棄物発生量×0.1%)

 

マテリアリティ 3: 人財育成・活躍推進

要素

取り組み

KPI あるべき姿

自律型人財の育成

・学習機会の提供

・自己申告制度の運用

・自己選択型研修(e-ラーニング、スキルアップ研修、オンライン英会話等)の受講者割合:70%以上維持

・階層に応じたキャリア研修(セカンドキャリア、女性活躍推進、若手層等)を継続的に実施

・自己申告制度(キャリア申告)による上司・部下間の面談を継続的に実施

(全て単体 - 2027年度)

多様な人財の活躍推進

・就労環境の整備と維持

・従業員サーベイにおけるダイバーシティ&インクルージョン(D&I)関連項目のポジティブ回答率向上:80%以上

・事務系・化学系採用における女性採用比率:30%以上維持

・女性基幹職(管理職)比率向上:8%以上

・男性の育児休職取得率(15日以上):100%

(全て単体 - 2027年度)

 

 

 

マテリアリティ 4: バリューチェーンにおける社会的責任の推進

要素

取り組み

KPI あるべき姿

サプライチェーンマネジメントの強化

・サプライヤー調査内容の強化とカバー率の維持

・CSRサプライヤー調査カバー率(原材料購入金額):95%以上維持(単体 - 2027年度)

人権尊重の取組の強化

・人権デュー・ディリジェンスプロセスの構築

・人権デュー・ディリジェンス:グループ全体での運用を開始(2027年度)

 

マテリアリティ 5: ガバナンスの強化

要素

取り組み

KPI あるべき姿

コンプライアンス意識の向上

・企業理念体系の浸透

・行動規範の実践促進

・コンプライアンス研修(階層別)参加率: 95%以上維持(単体および国内グループ会社- 2027年度)

・重大な法令違反の件数:0件維持(単体 - 2027年度)

取締役会の役割・機能の発揮等による取締役会の実効性強化

・取締役会の実効性評価の継続実施

・取締役会のあるべきスキル、属性等の見直しと充足

・取締役会実効性評価の継続実施、調査結果に基づく重要な課題への対応

(全て単体 - 2027年度)

役員に対する中長期のインセンティブの強化

・コーポレートガバナンスコードに則した取り組みの推進

・役員報酬体系の見直し

・役員報酬の業績連動部分や株式報酬等の構成割合の拡大を検討/完了(単体 - 2027年度)

 

マテリアリティ 6 : 安全・安定生産活動の推進

要素

取り組み

KPI あるべき姿

安全文化の醸成、安全基盤の強化

中期RC基本計画の推進

・1級、2級保安事故:0件 (注)2

・重篤災害 0件、休業災害 0件 (注)3

(全て - 2027年度)

製品品質・信頼性の向上

中期RC基本計画の推進

・重大品質クレーム:0件

(2027年度)

(注)2.1級:CCPS(Center for Chemical Process Safety)・石化協評価法に準じた強度レベル18以上、または死亡災害

2級:CCPS・石化協評価法に準じた強度レベル1以上18未満

(注)3.休業4日以上、障害等級14級以上(労働者災害補償保険法施行規則別表第1 障害等級表)に該当するもの

 

◆日本触媒グループの気候変動対応

 2030年の目指す姿を描いた日本触媒長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」で掲げる3つの変革の一つ、環境対応への変革実現に関しては、温室効果ガス(GHG、特にCO2)排出削減によるカーボンニュートラル達成を目指した活動が最も重要と考えております。

 

1.ガバナンス

 環境問題の中でも気候変動問題は、製造、研究段階にとどまらない全社的な課題であることから、サステナビリティに関して当社経営の中核的なテーマの方針、戦略を決定する「サステナビリティ推進委員会(委員長:社長)」で集中的に検討を行うこととし、取り組みを加速しております。

 取締役会は、本委員会で議論される気候変動問題に対する、方針、戦略、計画、実績について報告を受け、必要となる指示を行います。

 

2.戦略

① マテリアリティ

 [日本触媒グループのマテリアリティ(重要課題)]の通り、これを特定しています。

 この中でも気候変動問題対応は緊急性、重要性が特に高い項目として集中的に検討を行っております。

 

② 気候変動問題に関するシナリオ分析の実施

 当社は、2021年3月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同しました。これを契機に以前より行っていた気候変動問題に関する機会・リスクのシナリオ分析をTCFD提言に沿う形で改めて実施しました。

 

③ シナリオ分析に基づくビジネスインパクトの評価

 事業機会としては、低炭素、脱炭素に寄与する素材の需要増加があげられます。なかでも自動車は、ガソリンエンジンから電気駆動モーターへの切り替え加速、さらなる自動車の軽量化による消費エネルギーの低減が期待されており、リチウムイオン電池関連材料、自動車の軽量化に寄与する自動車関連材料の課題解決に貢献できると考えております。また、排出される二酸化炭素の回収、その資源利用に向けては、CO2吸収剤やメタン製造触媒の開発により、課題解決に貢献できると考えております。

 リスクとしては、気候変動関連の技術開発、エネルギーや製品原料のグリーン化が遅れることで顧客の選別から外れ、事業機会を喪失すること等があげられます。これらのリスクについては低炭素、脱炭素関連開発テーマの重点化を行い市場からの要求に対応するとともに、原料や燃料の非化石化を進めていきます。

 

3.リスク管理

 当社グループは、グループを取り巻く内外のさまざまなリスクを「グループ重大リスク」と「部門リスク」に区分したうえで、それぞれのリスクに適したリスク管理体制を構築することで、企業価値の維持・向上に取り組んでおります。

 「グループ重大リスク」については、当社グループの経営戦略の遂行、持続的な企業価値の向上またはステークホルダーからの信頼の獲得に潜在する重大なリスクを管理対象とし、グループ重大リスクの管理プロセス※1に基づく管理体制を構築しています。

 一方で「部門リスク」については、各部門・関係会社の事業戦略または業務の遂行に潜在するリスクを管理対象とし、各部門・関係会社が、責任を持ってリスク管理に取り組むことにより、迅速にリスクに対応する体制を構築しております。

 これら2つの体制により、関係会社を含めたグループ全体のリスク管理体制の整備と強化を図っております。

 この中でサステナビリティへの対応不足を「グループ重大リスク」と捉え、サステナビリティ推進委員会で管理しています。特に気候変動問題については解決すべき重要な社会課題と認識し、必要に応じ分科会を設置する等、機動的に対応しています。

  ※1 詳細は当社ホームページをご覧ください。

  https://www.shokubai.co.jp/ja/sustainability/governance/risk/

 

 

4.指標と目標

・2014年を基準年とした2030年のGHG排出削減目標 30%

・売上収益全体に占める環境貢献製品の売上収益総額(当社単体とグループ会社)

2024年度  550億円

2030年度 1,350億円

 

 

実績

目標

 

2014年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

2030年度

GHG排出量 Scope 1+2 (万t-CO2 国内)

84

81

82

72※1

71※1

59

2014年度基準削減率(% Scope 1+2)

4

2

14※1

15※1

30

環境貢献製品売上収益

(億円 グループ会社を含む)

290

390

440

450

1,350

  ※1 カーボンオフセット都市ガス購入によるオフセット量(2022 年度:61 千トン-CO2/7.3%、2023 年度:62 千トン-CO2/7.3%) を含みます。

  詳細はTCFDレポートをご覧ください。

  https://www.shokubai.co.jp/ja/wpdir/wp-content/uploads/2024/03/TCFD-Report-202403_jp.pdf

 

 なお、日本触媒グループの気候変動対応に関するマテリアリティの見直しによる、本指標と目標に関する変更は以下2点となっております。

・GHG排出量(Scope 1+2)の基準削減率を、国内グループ集計(2014年度基準)から、連結グループ集計(国内2014年度基準、および海外各グループ会社基準年度および目標)と変更しております。

・環境貢献製品売上収益の2024年度目標未達にともない、2027年度目標を再設定しております。

[4.指標と目標]の実績値は改定前のマテリアリティと同様の集計基準に則り、算定・報告しております。

 

◆日本触媒グループの人財育成・活躍推進

 当社グループは、2030年長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」の実現に向け、3つの変革(事業の変革、環境対応への変革、組織の変革)を掲げており、「組織の変革」では人財開発方針のもと、「成長し続ける組織、多様な人財がいきいきと働く会社への変革」を推進しております。

 

「人財開発方針」

 日本触媒グループは、持続的に価値を生み出す源泉は「人」であるとの認識のもと、従業員を重要な「財産」と考えます。

 人財開発を進めるにあたり、以下の3点を重視します。

 

1.多様な人財の個性、意欲、能力を活かす

2.自律的に考動し成長する人財を支援する

3.制度に沿って人財を公正に評価し報いる

 

 社会の変化を見極め、持続的に進化し続ける化学会社を目指し、従業員一人ひとりに焦点を当てた人財の活性化を行い、個々人の力を最大限発揮できるように推進します。

 

 当社グループの人財開発方針に則し、当社では、5つの「期待する人物像」に加え、階層ごとの期待役割や発揮してほしい能力として「役割・能力要件」を定義しています。これらの定義にもとづき、「人財開発体系」として、教育のテーマ、対象、内容、方法を整理しています。

 

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人財開発体系

 当社では、従業員の成長の基本は、OJT(On the Job Training)であり、「仕事や職場での実際の職務経験を通じた学び」にあると考えており、上司や周りが支援を行いながら、そのプロセスを通じた成長を促します。あわせて、Off-JT(研修等の職場外での学習)の機会を設け、従業員一人ひとりが「期待する人財像」を念頭に将来のありたい姿を描き、その達成に向けて自身の価値を磨いていく意識と行動力を醸成します。

 

 長期ビジョン・2030年の目指す姿に掲げる「成長し続ける組織、多様な人財がいきいきと働く会社への変革」の推進にあたり、当社グループとして、注力すべき重要な課題(マテリアリティ)の一つとして、「人財育成・活躍推進」を掲げ、①自律型人財の育成、②多様な人財の活躍推進に取り組んでおります。

 

① 自律型人財の育成

 当社は、「人財開発方針」のもと、従業員一人ひとりに焦点を当てた人財の活発化を行い、個々人の力を最大限発揮できるよう各種施策に取り組んでおります。当社の人財開発の取り組みや人事制度の運用、次世代経営幹部の育成等の具体的な施策は、全社内取締役が出席する人財開発会議を定期的に開催し、進捗の確認と見直しを行っております。

 

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<人事制度>

 当社は、2022年度より新しい人事制度を導入しました。新人事制度では、「考動(自ら考え行動する)」と「多様性」をコンセプトに、意欲と能力のある従業員は早期に上位の役割にチャレンジすることが可能となり、従業員の「成長したい」という自発的な意欲の醸成を図っております。具体的には、一部の職級に上司の推薦なしで自己推薦による昇級審査受験を可能としました。また、従業員自身が将来のキャリアや今後就きたい業務を申告し、上司と面談する「自己申告」制度を導入しました。

 

 

<人財育成>

 当社の人財開発体系にもとづき、各教育プログラムの内容を刷新しました。指示を待つだけでなく、自らの意思で考え、解決に向けて能動的に行動できる自律型人財の育成を進めております。具体的には、自己選択型研修の充実を図り、従業員一人ひとりが自身の保有能力・スキルの向上を目的に、効果的かつ効率的に能力開発を行うことができる体制を整えております。

 

② 多様な人財の活躍推進

 当社グループは、多様な人財のさらなる活躍推進に向けて、「D&I推進方針」を策定し、従業員一人ひとりの多様性を尊重し、認め合い、ともに活躍・成長することができる職場環境・風土づくりを進めております。

 当社は、4つの重点課題(①D&Iマインドの醸成、②従業員のさらなる活躍推進、③仕事と生活の両立支援、④制度の多様化)を設定の上、2030年度までのロードマップを策定しております。また、2024年度の達成目標として、(ⅰ)事務系・化学系女性採用比率:30%、(ⅱ)女性管理職(基幹職)比率:6%、(ⅲ)男性の育児休職取得率(15日以上):100%を掲げ取り組みを進めてまいりました。

 女性活躍推進については、当社の従業員に占める女性比率および女性管理職(基幹職)比率を踏まえ、女性比率向上を目指した取り組みを行っています。具体的には、女性従業員のキャリア形成の支援策の実行、フレックスタイム制度の利用拡充や在宅勤務の制度化等、当社で継続的に働き、活躍できる環境・制度の促進を積極的に行っております。

 また、男性の育児休職取得率向上については、育児が女性に偏ることなく、男女が分担して取り組み、男女ともに仕事と育児の両立を行える環境を目指し、男性の育児休職取得率(15日以上):100%を目標としています。2022年10月に出生時育児休職制度を導入し、育児休職の内、15日間を有給としました。

 

 

実績

目標

 

2022年度

2023年度

2024年度

2024年度

事務系・化学系女性採用比率

24.1

28.6

38.8

30.0

女性管理職(基幹職)比率

4.4

5.4

6.3

6.0

男性の育児休職取得率(15日以上)

36.4

90.0

95.7

100.0

(注)上記の指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、目標および実績は、当社を対象に集計しております。

 

 加えて、中期経営計画2027の策定にあわせ、計画を着実に推進するべく、人財育成・活躍推進に関する中期戦略として人財戦略「事業を拡大し、成長し続ける組織を実現する人財施策」を策定しております。具体的には、新たな重点課題として“事業基盤強化”、“経営基盤の強化”を掲げ、対応する新中計主要施策として、“人財の適切な配置”、“自己成長の促進”、“働きがいの向上”を実行してまいります。当社では、これにともない、関連するマテリアリティとして、階層に応じたキャリア研修(セカンドキャリア、女性活躍推進、若手層等)を継続的に実施、男性の育児休職取得率(15日以上):100%を追加、社員エンゲージメントスコアの向上を従業員サーベイにおけるD&I関連項目のポジティブ回答率向上に修正し、KPIを設定の上、取り組みを推進してまいります。

 なお、[② 多様な人財の活躍推進]の表中、当社の実績値は改定前のマテリアリティと同様の集計基準に則り、算定・報告しております。

3 【事業等のリスク】

 当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の経営成績および財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあり、当社グループは、当該リスクの発生する可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応には最大限努力してまいります。

 なお、文中にある将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

(1)国内外の政治・経済・景気動向に関するリスク

 当社グループは、化学品の製造販売事業をグローバルに展開しており、海外売上収益は売上収益の約56%を占めております。さらに製品は主に中間原料として様々な国・地域において多様な用途製品に使用されていることから、特定の国・地域や用途製品市場に大きく依存せず、それらの動向が経営成績および財政状態に与える影響を抑えられる反面、各国・地域の政治・経済・景気の悪化およびそれに伴う製品需要の減少によって様々な製品の販売に影響が波及する可能性があります。また、当社グループは、日本・アジア・欧州・北米にアクリル酸、アクリル酸エステルおよび高吸水性樹脂(SAP)等の生産拠点を有しているため、当該地域では販売に加えて設備稼働にも影響を及ぼす可能性があり、結果として経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)原油・ナフサの市場変動に関するリスク

 当社グループが調達している主原料は原油・ナフサ価格との連動性が高いため、中東地域やウクライナ情勢等の地政学リスク、米国シェールオイルの生産状況および為替の変動等により原油・ナフサ価格が急激に変動した場合、原料価格の上昇分全てを製品価格に転嫁できない、または遅れる可能性があります。一部の製品や取引先との間では、国産ナフサ価格の変動を製品価格に反映させるフォーミュラ方式による製品価格を設定すること等により当該リスクを7~8割程度軽減しておりますが、全ての製品および取引先に設定していないため、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)財務に関するリスク

① 在外連結子会社等の業績

 当社グループでは、在外連結子会社等の資産および負債は期末日レート、収益および費用は期中平均為替レートにより円換算しているため、為替レートの変動により経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 外貨建債権・債務

 当社グループでは、グローバルに事業を展開しているため、米ドルやユーロ等の外貨建の債権・債務があり、短期的な為替レート変動に対して為替予約によるリスクヘッジを行っておりますが、為替レートの変動により円換算額が影響を受けることで、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 外貨ベースの円貨建債権・債務

 当社グループでは、一部の主原料調達において、米ドル建の原油・ナフサ価格の円換算値を指標として主原料価格(円貨建)を決定しているため、為替レートの変動により当該調達原料価格が変動し、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 詳細は、「第5 経理の状況1(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 29.金融商品」をご参照ください。

 

(4)海外展開に関するリスク

 当社グループは、最適地での生産・販売を目的とした海外展開により、アジア・欧州・北米に生産・販売拠点を有しており、アクリル酸、高吸水性樹脂(SAP)の海外拠点生産能力はグループ全体の約5割を占めております。海外事業においては、通常では予期し得ない法律や規則の変更、自然災害、産業基盤の脆弱性および人材の採用・確保難、ならびにテロ、戦争その他の社会的または政治的混乱といったリスクが存在しております。これらのリスクに対して、専門家や政府関係機関等から情報を収集した上で適宜対策を講じておりますが、これらのリスクが顕在化することによって、海外の事業活動に支障が生じ、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)事業ポートフォリオ変革に関するリスク

 当社グループは、酸化エチレン、アクリル酸および高吸水性樹脂(SAP)等の製品を中心に事業を拡大してまいりましたが、近年はこれらマテリアルズ事業の競争激化により市況変動の影響を受けやすくなってきたため、より安定した収益と成長が見込めるソリューションズ事業へのポートフォリオの変革を掲げ、中長期的な成長を目指しております。しかしながら、事業ポートフォリオ変革の遅れや市場ニーズの急変等によりソリューションズ事業で十分な収益が得られない等のリスクが顕在化した場合には、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

※各事業の内容については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載しております。

 

(6)研究開発に関するリスク

 当社グループは、シーズを創出する基礎研究から顧客の真のニーズに迅速かつ的確に応える応用研究まで多層的な研究開発を行っております。また、国内外の大学を含めた第三者パートナーとの研究開発や事業提携等のオープンイノベーションも積極活用して研究開発を促進しております。しかしながら、研究開発の失敗、あるいは予測の範囲を超えた市場ニーズの急変といった予期し得ない事象が発生する恐れが常にあり、投資に見合う収益を得られない場合や収益性の高い製品を創出することができない場合には、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)知的財産権に関するリスク

 当社グループは、他社が当社グループの特許を侵害している場合には、警告・訴訟提起等の対策を講じておりますが、他社が当社グループの特許や製品を調査解析して類似の技術や製品を開発することを完全には防止できない可能性があります。一方、当社グループの新たな事業展開を目指した新規製品分野においては、他社の知的財産権を十分に調査解析した上で独自の技術や新製品を開発しておりますが、将来的に他社の知的財産権について紛争が生じた際に当社グループに不利な判断がなされる可能性があります。上記のようなリスクが顕在化した場合には、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、これまでの研究開発活動で培った独自の技術・ノウハウ、販売製品・顧客等の営業情報、製造活動で蓄積した生産データおよび会計データ等の機密情報を電子データ等として保有しております。これらの機密情報は当社グループの事業活動の基礎であると共に競争力の源泉でもあることから、情報セキュリティポリシーを定めた上で、情報システムおよびインフラ・サイバーセキュリティの高度化、データセンターの複数化、アクセス権の設定、機密情報の表示、運用マニュアルの整備等の対策に加えて、従業員のモラルやセキュリティに対する意識を高める教育も実施しながら情報管理の徹底に努めております。しかしながら、外部への情報漏洩や情報の喪失等が生じた場合には、競合他社に対する事業の優位性低下、類似品の出現、長期にわたる事業の中断等当社グループの事業活動に大きな支障が生じる可能性があり、リスクが顕在化した場合には、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)DXに関するリスク

 当社グループは、基幹システムの刷新、研究開発・製造におけるデータおよびデジタル技術活用や新規顧客開拓へのデジタルツールの活用等、専門部署を中心に組織横断的に取り組んでおります。しかしながら、急速に進歩するITやデジタル技術に適応できず、それらを研究開発、製造、販売等の事業活動に有効に活用できない場合、将来的に競合他社に対する事業の優位性が低下する可能性があり、リスクが顕在化した場合には、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)自然災害・事故等の発生に関するリスク

 当社グループは、レスポンシブル・ケアの推進を公約し、グループ全社で環境保全、化学品安全、保安防災等の活動を積極的に展開し、顧客や地域社会からの高い信頼を獲得するよう努力しております。また、大災害を想定した事業継続計画(BCP)を立て対策を適宜講じております。しかしながら、自然災害や停電・電力不足、感染症の流行、製造所における事故災害等により、生産活動の継続が困難となる可能性を完全に解消することは不可能であります。

 例えば当社の基幹工場である姫路製造所および川崎製造所の所在地区において、大規模な地震や津波、事故その他操業を中断せざるを得ない事象が発生した場合には、主要製品の生産能力が著しく低下する可能性があります。また、感染症の拡大により、経済活動の制限、出社制限による事業活動の停滞等が発生し、経営成績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)気候変動に関するリスク

 当社グループは、気候変動を解決すべき重要な社会課題と認識し、事業活動に伴って発生する温室効果ガスを継続的に削減するだけでなく、事業を通してサプライチェーン全体の温室効果ガス削減に貢献する取り組みを推進しております。また、気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しており、情報開示にも努めております。しかしながら、気候変動に伴う天災リスクや脱炭素社会への移行等に適切に対応できない場合には事業活動に悪影響を及ぼし、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)環境に関するリスク

 当社グループは、化学物質の開発から製造、物流、使用、最終消費を経て廃棄・リサイクルに至る全ての過程において、自主的に「環境・安全・健康」を確保することを目的に、レスポンシブル・ケア活動を積極的に展開しております。また、環境に関する法規制を遵守するとともに、化学物質の排出抑制、省エネ活動の推進、廃棄物削減や資源有効利用等、環境負荷低減に向け取り組んでおります。しかしながら、環境規制の強化や新たな法的・社会的責任の発生、法整備以前の行為に起因する環境汚染の発生等が生じた場合は、法令遵守等の対策費用増加や行政の指導等による製造販売の制限により、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)人財に関するリスク

 当社グループは、多様な価値観を持ち、自律した人財を確保・育成するために、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する組織を中心に、リーダー人財の育成、シニア人財および女性活躍の推進等の施策に取り組んでおります。しかしながら、人財育成計画の遅れや人財の定着が進まなかった場合には、中長期的な成長を達成することができず、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)資産の減損損失に関するリスク

 当社グループは、製造設備等の有形固定資産を多数所有しており、資産合計の約36%を占めております。また、棚卸資産については、資産合計の約16%に相当します。そのため、急激な需給バランスの悪化等により製品市況が著しく下落した場合には、固定資産の減損損失や棚卸資産の評価減により、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)企業買収、資本提携等に関するリスク

 当社グループは、事業の拡大や競争力の強化等を目的として、国内外において企業買収や資本提携等を実施することがあります。これらを行う際には、対象企業の調査を十分に行い、リスクを検討することとしておりますが、当社グループや対象企業を取り巻く事業環境の変化等により、当初期待していたシナジー効果や新規事業創出その他のメリットを得られない場合や出資先企業の業績不振により「のれん」や「株式簿価」等の減損損失を計上する場合には、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社および当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態および経営成績の状況

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

 

 

(金額)

(伸び率)

売上収益

392,009

409,346

17,336

4.4%

営業利益

16,562

19,062

2,500

15.1%

税引前利益

15,744

23,203

7,459

47.4%

親会社の所有者に帰属する当期利益

11,008

17,394

6,386

58.0%

基本的1株当たり当期利益

70.48円

113.90円

43.42円

61.6%

ROA(資産合計税引前利益率)

2.9%

4.3%

 

1.4ポイント

ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)

3.0%

4.5%

 

1.5ポイント

為替レート(USD、EUR)

144.65円/USD

152.62円/USD

 

7.97円/USD

156.82円/EUR

163.82円/EUR

 

7.00円/EUR

国産ナフサ価格

69,100円/kl

75,600円/kl

 

6,500円/kl

(注)2024年4月1日を効力発生日として、普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、基本的1株当たり当期利益を算定しております。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

事業別

マテリアルズ

ソリュー

ションズ

マテリアルズ

ソリュー

ションズ

マテリアルズ

ソリュー

ションズ

売上収益

283,808

108,201

294,092

115,254

10,284

7,053

営業利益

12,732

2,732

12,900

5,114

168

2,383

 

 当連結会計年度末における当社グループの財政状態は次のとおりとなりました。

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて4億1百万円減少の5,436億5千9百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べて42億2千9百万円減少しました。その他の金融資産が減少したことや、前連結会計年度の期末日が金融機関の休日であったことにより営業債権が減少したこと等によるものです。非流動資産は、前連結会計年度末に比べて38億2千8百万円増加しました。保有株式の売却によりその他の金融資産が減少したものの、土地の取得等により有形固定資産が増加したことや、持分法で会計処理されている投資が増加したこと等によるものです。

 負債合計は、前連結会計年度末に比べて3億7千3百万円減少の1,511億2千6百万円となりました。短期借入金が増加したものの、前連結会計年度の期末日が金融機関の休日であったことにより営業債務が減少したこと等によるものです。

 資本合計は、前連結会計年度末に比べて2千9百万円減少の3,925億3千3百万円となりました。利益剰余金が増加したものの、その他の資本の構成要素が減少したことや、自己株式の取得があったこと等によるものです。

 親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末と同水準の70.5%となりました。なお、1株当たり親会社所有者帰属持分は、前連結会計年度末に比べて45.53円増加の2,527.98円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、設備投資等の投資活動によるキャッシュ・フローの支出および財務活動によるキャッシュ・フローの支出が営業活動によるキャッシュ・フローの収入を上回ったため、前連結会計年度末に比べて5億6千5百万円減少の545億6千5百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の578億8千万円の収入に対し、469億7千4百万円の収入となりました。法人所得税の支払額が前連結会計年度を下回ったものの、前連結会計年度は金融機関の休日影響で増加していた営業債務が当連結会計年度は減少したことや、前連結会計年度は原料価格の下落により減少していた棚卸資産が当連結会計年度は増加したこと等により、前連結会計年度に比べて109億6百万円の収入の減少となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の156億8千4百万円の支出に対し、305億6百万円の支出となりました。投資有価証券の売却による収入が増加したものの、土地の取得による支出が増加したこと等により、前連結会計年度に比べて148億2千1百万円の支出の増加となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の283億6千4百万円の支出に対し、167億8千万円の支出となりました。配当金の支払や自己株式の取得による支出が増加したものの、短期借入金の純増減額が純減から純増に転じたことや、長期借入金の返済による支出が減少したこと等により、前連結会計年度に比べて115億8千4百万円の支出の減少となりました。

 

③ 生産、受注および販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

マテリアルズ事業

286,010

5.7

ソリューションズ事業

103,861

7.0

合計

389,871

6.1

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.生産実績が増加した主な要因は、生産数量が増加したことに加えて、原料価格上昇および円安の進行等に伴い販売価格が上昇したためであります。

 

b.受注実績

 当社グループは、主として見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

マテリアルズ事業

294,092

3.6

ソリューションズ事業

115,254

6.5

合計

409,346

4.4

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要性のある会計方針および見積り

 当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要性のある会計方針および見積りの詳細については、「第5 経理の状況1(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性のある会計方針」および「同 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

 当連結会計年度における世界経済は、全体としては緩やかに成長しましたが、各国の景気動向、インフレ鎮静化および個人消費動向等にはばらつきがみられました。

 米国においては、堅調な経済成長のもと、良好な所得環境が個人消費を下支えしました。欧州においては、製造業の不振継続により景気回復は足踏み状態が続いているものの、インフレ率の低下に伴い個人消費は緩やかに回復しました。中国においては、景気刺激策の規模拡大等により内需回復の動きが見られたものの、製品輸出や不動産市場の低迷継続により、経済成長は足踏み状態となりました。

 日本経済は、企業収益の改善や賃金上昇の動きが見られたものの、物価上昇の影響を受け、個人消費は力強さを欠いた状態が続きました。

 当社グループの当連結会計年度の売上収益は、販売数量の増加に加えて、原料価格上昇および円安進行に伴う販売価格の上昇等により、前連結会計年度に比べて173億3千6百万円増収(4.4%)の4,093億4千6百万円となりました。

 利益面につきましては、海上輸送費の上昇や研究費の増加等により販売費及び一般管理費が増加したものの、生産・販売数量が増加したこと、ソリューションズ製品のスプレッドが拡大したこと等により、営業利益は、前連結会計年度に比べて25億円増益(15.1%)の190億6千2百万円となりました。

 税引前利益は、営業利益の増益に加えて持分法による投資損益が増加したことにより、前連結会計年度に比べて74億5千9百万円増益(47.4%)の232億3百万円となりました。

 その結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて63億8千6百万円増益(58.0%)の173億9千4百万円となりました。

 なお、ROA(資産合計税引前利益率)は、2.9%から4.3%へ1.4ポイント増加し、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)は3.0%から4.5%へ1.5ポイント増加しました。

 

 当社グループの資本の財源および資金の流動性については次のとおりであります。

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。当連結会計年度末における当社グループの有利子負債の合計残高は、運転資金のための借入が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて9億6千1百万円増加し、465億7千3百万円となりました。なお、今後の設備投資計画等につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであり、その資金につきましては自己資金および金融機関からの借入金により調達する予定であります。

 当社グループの所要資金は、主に運転資金、設備投資、戦略投資、研究開発投資、借入金返済であり、これらを自己資金、金融機関からの借入金により賄っております。

 

 当社グループにおける、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標およびその進捗状況については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

 セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は、次のとおりであります。

 

マテリアルズ事業

 アクリル酸およびアクリル酸エステルは、販売数量が増加したことや原料価格の上昇に伴い販売価格が上昇したことにより、増収となりました。

 高吸水性樹脂は、販売数量は増加したものの、製品海外市況の下落に伴い販売価格が下落したことにより、減収となりました。

 酸化エチレンおよびエチレングリコールは、販売数量は減少したものの、原料価格の上昇に伴い販売価格が上昇したことにより、増収となりました。

 特殊エステルは、販売数量は減少したものの、円安の進行に伴い販売価格が上昇したことにより、増収となりました。

 無水マレイン酸は、販売価格は上昇したものの、販売数量が減少したことにより、減収となりました。

 プロセス触媒は、販売数量が増加したことにより、増収となりました。

 以上の結果、マテリアルズ事業の売上収益は、前連結会計年度に比べて3.6%増加の2,940億9千2百万円となりました。

 営業利益は、海上輸送費の上昇や一部製品の海外市況下落に伴いスプレッドが縮小したことによる減益要因があったものの、生産・販売数量の増加に加えて、日触化工(張家港)有限公司の固定資産に対する減損損失が減少したこと、およびニッポンショクバイ・ヨーロッパN.V.において欧州の排出権取引制度に基づくCO2排出権の一部を売却したことから、前連結会計年度に比べて1.3%増加の129億円となりました。

 マテリアルズ事業の資産は、前連結会計年度末に比べて91億3千1百万円増加の3,598億6千5百万円となりました。主として、有形固定資産や持分法で会計処理されている投資が増加したことによるものです。

 

ソリューションズ事業

 コンクリート混和剤用ポリマーは、販売価格は上昇したものの、販売数量が減少したことにより、減収となりました。

 エチレンイミン誘導品、セカンダリーアルコールエトキシレートおよび洗剤原料等の水溶性ポリマーは、販売数量が増加したことや販売価格が上昇したことにより、増収となりました。

 塗料用樹脂は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。

 ヨウ素化合物は、販売数量が減少したものの、販売価格が上昇したことにより、増収となりました。

 湿式酸化触媒および排ガス処理装置は、販売数量が増加したことにより、増収となりました。

 脱硝触媒は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。

 電子情報材料は、販売数量が増加したことにより、増収となりました。

 電池材料は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。

 以上の結果、ソリューションズ事業の売上収益は、前連結会計年度に比べて6.5%増加の1,152億5千4百万円となりました。

 営業利益は、主に研究費の増加により販売費及び一般管理費は増加したものの、スプレッドの拡大や生産・販売数量の増加により、前連結会計年度に比べて87.2%増加の51億1千4百万円となりました。

 ソリューションズ事業の資産は、前連結会計年度末に比べて26億6千万円減少の1,407億5千1百万円となりました。主として、営業債権が減少したことによるものです。

 

5 【重要な契約等】

(技術供与関係)

契約会社名

相手方の名称

内容

有効期間

株式会社日本触媒

(当社)

(大韓民国)

エルエックス・エムエムエイ Corp.

メタクリル酸メチルエステル製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額であります。

1991年6月

~合弁契約の解消まで

(シンガポール共和国)

シンガポール・メチルメタクリレート PTE.LTD.

メタクリル酸メチルエステル製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。

1996年8月

~プラント存続期間中

(大韓民国)

エルエックス・エムエムエイ Corp.

メタクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額であります。

1996年8月

~合弁契約の解消まで

(インドネシア共和国)

PT. ニッポンショクバイ・インドネシア

アクリル酸及びアクリル酸エステル製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。

1997年6月

~プラント存続期間中

(アメリカ合衆国)

アメリカン・アクリル・エヌエイ LLC

及びアメリカン・アクリル L.P.

アクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。

1997年7月

~合弁契約の解消まで

(ベルギー王国)

ニッポンショクバイ・ヨーロッパ N.V.

高吸水性樹脂製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。

1999年5月

~プラント存続期間中

(アメリカ合衆国)

ニッポンショクバイ・アメリカ・インダストリーズ Inc.

コンクリート混和剤用ポリマーの製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。

2000年2月

~プラント存続期間中

(大韓民国)

エルエックス・エムエムエイ Corp.

メタクリル酸メチルエステル製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。

2001年3月

~合弁契約の解消まで

(ドイツ連邦共和国)

ダウ・オレフィンフェアブンド GmbH

アクリル酸及びアクロレイン製造技術実施権許諾契約及び触媒供給契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。

2002年10月

~双方終了合意まで

(シンガポール共和国)

シンガポール・メチルメタクリレート PTE.LTD.

メタクリル酸メチルエステル製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。

2003年4月

~プラント存続期間中

(アメリカ合衆国)

ニッポンショクバイ・アメリカ・インダストリーズ Inc.

アクリル酸ポリマーの製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。

2004年3月

~プラント存続期間中

(ベルギー王国)

ニッポンショクバイ・ヨーロッパ N.V.

高吸水性樹脂製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。

2004年6月

~プラント存続期間中

(シンガポール共和国)

シンガポール・アクリリック PTE LTD

アクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。

2004年7月

~合弁契約の解消まで

 

 

契約会社名

相手方の名称

内容

有効期間

株式会社日本触媒

(当社)

(シンガポール共和国)

ニッポンショクバイ(アジア)PTE.LTD.

精製アクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。

2004年7月

~プラント存続期間中

(大韓民国)

エルエックス・エムエムエイ Corp.

メタクリル酸メチルエステル製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。

2005年10月

~合弁契約の解消まで

(シンガポール共和国)

シンガポール・メチルメタクリレート PTE.LTD.

メタクリル酸メチルエステル製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。

2006年2月

~プラント存続期間中

(アメリカ合衆国)

ニッポンショクバイ・アメリカ・インダストリーズ Inc.

制振剤用エマルション製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。

2007年7月

~プラント存続期間中

(アメリカ合衆国)

ニッポンショクバイ・アメリカ・インダストリーズ Inc.

洗剤用ポリマー製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。

2008年8月

~プラント存続期間中

(アメリカ合衆国)

ニッポンショクバイ・アメリカ・インダストリーズ Inc.

高吸水性樹脂製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。

2010年4月

~プラント存続期間中

(インドネシア共和国)

PT. ニッポンショクバイ・インドネシア

精製アクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。

2010年8月

~プラント存続期間中

(インドネシア共和国)

PT. ニッポンショクバイ・インドネシア

高吸水性樹脂製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。

2010年8月

~プラント存続期間中

(大韓民国)

エルエックス・エムエムエイ Corp.

精製メタクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額であります。

2011年10月

~合弁契約の解消まで

(ベルギー王国)

ニッポンショクバイ・ヨーロッパ N.V.

精製アクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。

2015年6月

~プラント存続期間中

(ベルギー王国)

ニッポンショクバイ・ヨーロッパ N.V.

高吸水性樹脂製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。

2015年6月

~プラント存続期間中

(シンガポール共和国)

ニッポンショクバイ(アジア)PTE.LTD.

精製アクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。

2015年12月

~プラント存続期間中

(大韓民国)

エルエックス・エムエムエイ Corp.

メタクリル酸メチルエステル製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。

2017年7月

~合弁契約の解消まで

(インドネシア共和国)

PT. ニッポンショクバイ・インドネシア

精製アクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。

2018年10月

~プラント存続期間中

(中華人民共和国)

日触化工(張家港)

有限公司

高吸水性樹脂製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。

2022年1月

~プラント存続期間中

(アメリカ合衆国)

ニッポンショクバイ・アメリカ・インダストリーズ Inc.

グラスウールバインダー用ポリマーの製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。

2022年11月

~プラント存続期間中

株式会社日本触媒

(当社)

(インドネシア共和国)

PT. ニッポンショクバイ・インドネシア

高吸水性樹脂製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。

2024年7月

~プラント存続期間中

 

(取得による企業結合)

 当社は、エマルジョン事業等を営む株式会社イーテックの株式を取得することについて、JSR株式会社との間で合意し、2024年11月12日付で株式譲渡契約(以下「本株式譲渡契約」という)を締結いたしました。また、2025年4月1日付で本株式譲渡契約に基づき、被取得企業の株式取得の手続きを完了いたしました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 35.後発事象」をご参照ください。

 

 

6 【研究開発活動】

 長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」に基づき、2030年の目指す姿である「人と社会から必要とされる素材・ソリューションを提供」を実現するために、研究開発活動に積極的に取り組んでおります。また、「環境対応への変革」として、2050年カーボンニュートラル実現に向け、基幹製品のバイオ化や環境貢献製品の拡充に注力しております。

 当社グループの研究開発は、当社の研究開発部門、製造所の技術部門および各連結子会社の研究・技術部門により推進しております。

 当連結会計年度(以下、当年度)において、当社は、ソリューションズ事業拡大やカーボンニュートラル実現に向けた研究開発機能の強化のため、2024年4月1日付で研究組織の変更を行いました。主な変更点として、データ駆動型の研究開発をより一層強化するため、データサイエンス&インフォマティクス推進室(課組織)をデータサイエンス&インフォマティクス推進部(部組織)とし、コーポレート研究本部に編入しました。また、印刷業界の多様な将来ニーズに応える研究開発を推進するため、プリンティング材料事業準備室を新設しました。

 

(コーポレート研究本部)

研究センター

:当社がターゲットとする重点分野・領域において、次のコア事業となりうる新しい事業の創出を目指した、要素技術の獲得と次世代材料の創製。

知的財産センター

:当社知的財産の有効利用、他社懸案特許の影響の排除、ライセンス・契約面からの既存事業拡大と新規事業開拓支援。

評価解析センター

:各部門(研究、技術、生産等)が抱える技術課題に対して、分析技術、評価・解析技術やコンピューターサイエンスを融合し、迅速かつ精度の高いソリューションを提供するとともに、最新の解析・評価技術の取得を先導。

データサイエンス&

インフォマティクス推進部

:情報技術と化学的な専門知識を融合することで、材料研究や生産におけるデータ駆動型の意思決定を支援し、持続的な競争力強化のためインフォマティクス基盤の構築と組織的なデータリテラシーを深耕。

(GX研究本部)

プロセス触媒研究部

:環境配慮型の化学品製造技術の確立を目指した、アクリル酸製造用触媒を中心とする化学品製造用触媒の開発に加え、バイオマス原料からのアクリル酸製法確立や次世代触媒技術の創製にも注力。

環境触媒研究部

:脱硝触媒、ダイオキシン分解触媒、排水処理触媒等の環境浄化用触媒の研究開発を行うとともに、CO2回収・有効利用やアンモニア水素変換触媒等のカーボンニュートラル技術の開発にも注力。

グリーンイノベーション

推進部

:当社のグリーンイノベーション戦略の検討を行うとともに、他部門と連携した環境貢献製品の企画開発、およびバイオマス原料やバイオプロセスを活用したグリーンケミカルの研究開発等、幅広い取り組みを推進。

(事業部研究部)

吸水性樹脂研究部

:吸水性樹脂に関する基礎研究、新規製品・新規プロセスの開発、用途開発、技術サービス。

インダストリアル&

ハウスホールド研究部

:洗剤等の日用品分野から自動車、住宅・土木建築、水処理等の工業分野まで幅広い用途で使用できる機能性材料の研究開発。

エレクトロニクス&

イメージング研究部

:光学フィルム材料、レジスト材料、微粒子材料等、当社独自のモノマー/キーテクノロジーを最大限に活用した、エレクトロニクス、イメージング分野における高機能材料の研究開発。

電池材料研究部

:リチウムイオン二次電池、次世代蓄電池等の蓄電池材料、および燃料電池、アルカリ水電解等のクリーンエネルギー関連材料の研究開発。

イオネル研究部

:リチウムイオン二次電池に用いられる新規電解質イオネル®を世界中に供給するため、最先端のプロセス技術を開発。

(健康・医療事業室)

研究グループ/技術グループ

:中分子医薬品(核酸およびペプチド)のGMP原薬受託製造を中心に事業を拡充させながら、合成検討から製造、分析に至るまでの一貫したサービスを提供。合成・分析技術やDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)技術をはじめとする独自の技術を開発。

(化粧品事業室)

研究グループ

:スキンケアおよびその周辺領域をコアターゲットとし、当社保有の素材・技術を活用した化粧品用多機能素材を開発。

 

(水・環境事業準備室)

研究グループ

:水資源の獲得・利用・浄化に関する世界規模の要請に応えるべく、造水から排水処理に至る水資源の持続的循環に貢献できる高機能素材を研究開発。

(プリンティング材料事業準備室)

 

:インク用バインダー、プライマー等自社の特徴ある水系材料の提案。また、配合や素材の複合化技術で印刷業界の多様な将来ニーズに応える研究開発。

(関連部門)

生産技術センター

:ラボやパイロットプラントでの実験を通じ、量産プロセスやスケールアップ技術を開発。また、大量サンプルから事業立上げまでの生産体制を検討、評価する事で新規製品の早期事業化を推進。

R&D統括部

:R&D組織横断機能として、イノベーション戦略と推進方策の立案、オープンイノベーションや産学連携の推進・支援。

 

 研究開発スタッフはグループ全体で約820名にのぼり、これは、総従業員数の約2割にあたります。

 当年度におけるグループ全体の研究開発費は、15,736百万円であります。

 

 当年度における主な研究開発活動とその成果および研究開発費は次のとおりであります。

 

(マテリアルズ事業)

 「マテリアルズ事業強靭化」として、主力事業である酸化エチレン、アクリル酸、高吸水性樹脂(SAP)の生産性向上や次世代の技術開発に向け、研究開発を行っております。

 当年度の主な成果として、バイオマス原料から作るバイオアクリル酸について、開発技術のスケールアップ検討や市場開拓等を推進しました。2030年までの早期事業化を目指して開発を進めております。さらに、高吸水性樹脂が使用される紙おむつについて、住友重機械エンバイロメント株式会社、大王製紙株式会社、トータルケア・システム株式会社、TOPPAN株式会社、株式会社リブドゥコーポレーション、および当社の6社により、「新しい使用済紙おむつマテリアルリサイクル」構築に取り組んでおります。また、公立大学法人北九州市立大学を加えた7機関により、この「新しい使用済紙おむつマテリアルリサイクル」の環境評価としてLCAを実施しました。

 当事業における研究開発費は、6,588百万円であります。

 

(ソリューションズ事業)

 「ソリューションズ事業拡大」に向け、「環境対応・カーボンニュートラル」「デジタル技術の発達」「生活の質(QOL)の向上」を社会課題と捉え、当社の強みを活かせる10の注目市場に向けた研究開発を進めております。具体的には、生活消費財、自動車・建材分野、電池・エレクトロニクス分野、健康医療・化粧品分野向け材料の開発およびヨウ素、シアン、臭素等の応用展開や、粘着加工品等の研究開発を行っております。

 当年度の主な成果として、エレクトロニクス分野では、半導体周辺材料やディスプレイ材料用フィラーとしてシリカナノ粒子の顧客評価が進展しており、早期採用を目指して量産体制の整備を進めております。水素分野では、株式会社JERA、千代田化工建設株式会社と共同で参画している国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業において、水素キャリアの一つとして注目されているアンモニアから水素を取り出すための触媒開発が進展しております。また、グリーン水素製造に貢献するアルカリ水電解用セパレータは、小型膜での採用が進んでおり、大型膜・大規模顧客向けの事業拡大を目指しております。再生医療分野では、当社の独自技術により開発した三次元細胞培養容器「ミコセル®」で得られた幹細胞凝集塊(自家)を用いた治療が、医療法人再生会そばじまクリニックで始まりました。化粧品分野では、独自のマイクロ流路デバイスとその関連技術・ノウハウを持つライラックファーマ株式会社を完全子会社化し、化粧品用リポソームの開発率向上や安定供給体制構築の加速を図っております。

 当事業における研究開発費は、9,148百万円であります。