第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

第92期からスタートしました新中期経営計画「MGC Advance2020:MGCグループ もっと大きな夢に!」では、MGCグループビジョン「社会と分かち合える価値の創造」のもと、新たな基本方針「MGCグループの企業価値の向上」と「MGCグループを取り巻くステークホルダーからの信頼の醸成」を掲げ、これらを実現するために、5項目からなる施策を進めていきます。

 

◆MGCグループビジョン 「社会と分かち合える価値の創造」

 

◆新中期経営計画「MGC Advance2020:MGCグループ もっと大きな夢に!」

 

●基本方針

 -MGCグループの企業価値の向上

 -MGCグループを取り巻くステークホルダーからの信頼の醸成

 

■施策

-中核事業を中心とした既存事業の収益力強化

-新規事業の創出と育成

-最適な事業ポートフォリオに向けた投資戦略の実行

-MGCグループ一体となった経営の推進

-持続的成長を支える<質>の向上

 

当社グループは、中核事業として、資源エネルギーから、メタノール、過酸化水素、ポリカーボネート、メタキシレンジアミン・MXナイロンといった化学品・素材製品、さらにはシート・フィルム、発泡プラスチック、エレクトロニクスケミカル、BT系材料、脱酸素剤「エージレス®」といった機能製品まで幅広く事業を展開し、社会に価値を提供しています。これら中核事業に今後も重点的に経営資源を投じ、収益力を更に強化します。第92期においては、鹿島工場における特殊ポリカーボネート製造プラントの増設を決定しました。

「新規事業の創出と育成」の面では、社会のメガトレンドを念頭に置き「医・食」「情報・通信」「モビリティ」といった領域に積極的な投資を行っていく計画のもと、工場野菜の生産・販売事業を行う合弁会社を設立したほか、検査・診断デバイスや再生医療の研究開発を行う企業へ出資しました。

「最適な事業ポートフォリオに向けた投資戦略の実行」につきましては、外部環境の変化に耐えうるよう、M&Aを含めた積極的な投資戦略を立案・実行していきます。

「MGCグループ一体となった経営の推進」につきましては、グループ3商社(㈱東京照会、菱江化学㈱、菱陽商事㈱)統合に向けた第一歩としてMGCトレーディング株式会社を設立し、グループ内商社機能の効率化・強化を進めました。経理システムのグループ共通化・統合化についても順次調査・導入作業を行いました。

「持続的成長を支える〈質〉の向上」につきましては、引き続き、グループ全体に亘る安全意識・文化の一層の向上と内部統制・コンプライアンス体制の一層の強化に加えて、MGCグループが保有する人材、技術、情報、資金、ブランド、特許などの経営資源の<質>を向上させることで、持続的な成長を実現していきます。

 

2018年5月9日に公表しました中期経営計画では、最終年度(2020年度)の連結経営指標として、売上高7,500億円、営業利益650億円、経常利益900億円、ROE(自己資本利益率)12%以上の目標を掲げました。

しかしながら、本計画策定時には織り込まれていなかったサウジアラビアにおけるメタノール合弁事業への出資比率変更がこのほど合弁関係者間で合意されたことにより、持分比率の半減に伴う持分法利益の大幅な減少が見込まれることとなりました。そのため、2019年5月13日に公表しましたとおり以下のように経営目標値を修正することと致しました。

なお、中期経営計画の基本方針、施策、前提条件等その他の事項については、変更ございません。

 

●目標とする経営指標(MGC Advance2020最終年度)

連結指標

2020年度(94期)目標値

増減

修正前(A)※

修正後(B)

(B-A)

売上高(億円)

7,500

7,500

営業利益(億円)

650

650

経常利益(億円)

900

800

△100

ROE(自己資本利益率)

12%以上

12%以上

※2018年5月9日公表

<前提条件> 為替:110円/US$、原油価格(Dubai):60US$/BBL

 

今後も本中期経営計画において掲げた5つの施策への取り組みに努め、経営目標の達成に向け、当社グループ一体となって邁進していきます。とりわけ外部環境の変化に左右されない最適な事業ポートフォリオの構築に向け、本中期経営計画期間中の投融資計画額2,000億円並びに研究開発計画額660億円を維持するとともに、経営資源の有効な配分を図ります。また中核事業を中心とした既存事業の収益力強化においては、メタキシレンジアミンの生産能力増強等をはじめとして、既存事業基盤強化に資する戦略投資を積極的に実施し、更には研究開発体制を拡充の上、グループ内外の技術・人員を最大限活用することにより、新規事業の創出と育成を加速化させます。

 

当社グループを取り巻く経営環境につきましては、米国・中国を中心とした貿易摩擦の動向や地政学的リスクなどの懸念材料もあり、今後の経済情勢は依然として先行き不透明な状況にありますが、当社グループは中期経営計画の基本方針を実現するための各種施策を着実に実行することで、持続的成長を実現していきます。

 

この経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載されている計画、目標等の将来に関する記述は、当連結会計年度末現在において当社が入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいて判断したものであり、不確実性を内包するものです。実際の業績等は、様々な要因によりこうした将来に関する記述とは大きく異なる可能性があります。

 

 

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして考えられる主な事項には、以下のようなものがあります。

なお、以下の記述は必ずしも全てのリスクを網羅したものではありません。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月25日)現在において当社グループが判断したものです。

① 経済状況

当社グループの事業収入は、製品販売先の国、地域の経済状況の影響を受けます。

特にメタノール、メタノール誘導品、汎用芳香族製品や汎用ポリカーボネート樹脂等の市況製品では、一般的に、景気後退局面において販売数量の減少、販売価格の下落等がおきやすく、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼすほか、原材料価格が急騰した場合にも当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 海外事業

当社グループは、アジア、北米、南米、中東等に現地法人を設立し、製造販売活動を行っています。海外現地法人では製造設備に多額の投資を実施しており、様々なリスク回避策をとっていますが、国によっては、戦争、テロ・暴動といった政情不安、社会的、経済的混乱等の理由により、現地製造活動自体のみならず、利益配当の送金、投資の回収等が困難となる可能性があります。

そのほか、法制の違いの問題、外国政府による投資等への制限や資産の国有化・収用の可能性、人事・労務問題等のリスクがあり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 事業特性

当社グループは、化学品・素材製品から情報・通信、医・食関連分野を含む機能製品まで幅広く事業を展開しており、様々な製品を製造、販売し、競争的な環境下で事業を行っています。汎用製品においては価格を中心に競争し、特殊品・高付加価値製品においては価格、市場動向、品質、機能、納期、カスタマーサービス等の面で競争していますが、こういった競争の水準が上がることで、販売価格の低下、販売量の減少につながる可能性があります。

また、その事業特性から以下に例示するようなリスクを有しています。

たとえば、当社グループは、原料キシレン等の原材料や電力等を外部から購入しています。複数の供給元から購入する等、調達不能となるリスクの軽減を図っていますが、必要な原材料等を調達できない場合、生産活動に支障が出る可能性があります。

当社グループの製造拠点の多くは複数の製造設備を有し、それらが電気、用水、スチーム等のユーティリティー設備を共用しています。このため、事故やトラブルにより共有しているユーティリティー設備が停止すると、当該製造拠点全体の製造活動が停止する可能性があります。

当社グループで製造、販売している製品の中には、特定の顧客に対してのみ販売しているものがあり、当該顧客との間では、長期安定供給契約を締結する等によりリスクの軽減を図っていますが、顧客が当該製品の使用を中止することにより、売上高が減少する可能性があります。

エレクトロニクス業界を主な顧客としている電子材料関連製品等は、一般的に製品寿命が短く、常に技術革新競争にさらされているため、既存製品が陳腐化したり新規製品開発が遅れた場合、売上高が減少する可能性があります。

また、合成樹脂、電子材料関連等、汎用基礎化学品以外の製品については、機能を代替する製品の出現によって販売価格が下落したり売上数量が減少する可能性があります。

これらのリスクに対しては可能な範囲で回避策を講じていますが、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 製品の瑕疵

前述のとおり、当社グループは幅広く事業を展開しており、その製造拠点のほとんどは世界的に認知された品質管理基準に基づき製造活動を行い、顧客と合意した規格に沿った製品を出荷していますが、品質上瑕疵ある製品が製造されたり、出荷される可能性がないとは言えません。品質上瑕疵ある製品を出荷した場合、当該製品を用いた顧客や最終製品の使用者等における直接的損害のみならず、機会損失に対する補償の必要が生じたり、当社の社会的信用が損なわれる可能性があります。

当社グループではこの種のリスクに対処するため、必要に応じて生産物賠償責任保険をはじめとした賠償責任保険を付保していますが、最終的に負担すべき賠償額の全てがこれらの保険で補填されるとは限らず、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 為替レートの変動

当社グループの業績及び財務状況は為替レートの変動により影響を受けることから、輸出入等の外貨建て取引に係る為替レートの変動による影響について、先物為替予約取引等によるリスクヘッジを一定程度行っていますが、為替レートの変動によるリスクを完全にヘッジすることはできないため、為替の動向によっては、売上高の減少、損失の増大等、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの海外現地法人の現地通貨建ての財務諸表項目は、当社連結財務諸表の作成のため円貨換算されており、換算時の為替レートによって、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 金利の変動

当社グループは、必要な資金の調達に際し、その内容や財務状況及び金融環境を考慮し、調達の金額・期間・方法等を判断しています。当社グループは、今後の金利の変動に備え、固定金利・変動金利を適宜組み合わせて調達を行っていますが、金利が上昇した場合、支払利息が増加し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 有価証券の市場価格の変動

当社グループの資産には、時価のある有価証券も含まれており、これら保有する有価証券の市場価格が大幅に下落した場合、評価損の発生により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 法的規制

当社グループは、事業の特性上、毒劇物、危険物、高圧ガス等の危険性を有する化学物質を取り扱い、製造、保管、流通、販売等の各段階で、国内外を問わず法令等により種々の規制を受けています。また、環境問題に対する世界的な意識の高まり等から、化学物質を対象とした各種規制はますます強まる傾向にあります。

このような法的規制を遵守できなかった場合の罰則、社会的制裁や是正コスト等はもとより、将来的に法令やその解釈、適用、運用等の変更や規制強化が行われた場合の事業への制約や対応コストの増加は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑨ その他の法令違反に関わるリスク

当社グループはコンプライアンス体制を構築し、法令等の遵守に努めていますが、法規制に違反し、またはその疑義を持たれる事態が生じた場合、刑事、民事又は行政上の責任を負うほか、社会的な信用を失い、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑩ 事故、災害

当社グループは、事業の特性上、毒劇物、危険物、高圧ガス等危険性を有する化学物質を日常的に取り扱っており、保安防災体制構築に最善を尽くしながら製造設備の維持、安定操業に努めることはもちろん、火災保険、利益保険、油濁保険、賠償責任保険等を付保するなどの対応も行っています。しかしながら、設備のトラブルや人為的ミスにより爆発、火災、有毒ガスの漏洩等の事故が発生し、製造設備や従業員に被害が生じたり、当該製造拠点周辺や顧客に損害を与えたり、環境汚染等が生じる事態となったような場合に、最終的に負担すべき賠償額等の全てが先述の保険で補填されるとは限らず、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑪ 自然災害等

当社グループは、国内のみならずアジア、北米、南米、中東等に多数の製造拠点を有しています。これら拠点において地震、風水害等の自然災害や戦争、テロ・暴動、ストライキ、通信インフラの障害、感染症、その他予期せぬ事態の影響によって設備が破損したり、当社グループの従業員、事業所、設備、システム等にトラブルが発生して製造活動が停止する等の事態が生じた場合に、これら自然災害等による人的・物的損害や機会損失が損害保険の免責事項と判断され、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑫ 研究開発

当社グループは、新しい製品・プロセスの開発や既存製品・プロセスの改善・改良のために、基礎研究・応用研究に取り組んでいます。研究開発は、複雑で長期にわたる一方で成果の不確実な取り組みであり、当社グループが市場に受け入れられる新製品を開発し続けられない場合や、当社グループが新たに開発した製品の市場が期待されたほど成長しない場合には、当社グループの将来の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑬ 合弁事業

当社グループは、日本国内はもとよりサウジアラビア、ベネズエラ、タイ、中国、韓国といった海外においても生産合弁会社を多数有し、メタノール、合成樹脂、その他の各種製品を調達・販売しています。当社グループは、合弁契約その他の事業関連契約等により当社グループの利益の確保に努めていますが、合弁相手を支配下においているわけではないため、合弁相手が当社グループや合弁事業にとって最良の意思決定をするという保証は無く、それらの契約が更新されないなどの事態が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭ 事業投資

当社グループは、一定の投資を行い将来の市場ニーズに合致する新規事業の創出に注力しています。また、事業成長の実現や競争力の強化等のために、これまで国内外において新会社の設立や既存の会社の買収、出資等の事業投資を実施し、今後も実施することがあります。

これらの投資がその額に見合う収益を得られない場合、減損、有価証券評価損等の損失が発生するなど、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑮ 固定資産の減損

当社グループは固定資産の減損に係る会計基準を適用しており、保有する固定資産について経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等があった場合、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

⑯ 知的財産

当社グループは、事業やライセンスに用いる研究成果について国内外において特許を出願・取得するとともに、数多く締結している特許ライセンス契約や技術協定においては秘密保持義務を相手に課す等、知的財産の保護を図っており、その一方、他者の権利を侵害しないようにも努めています。しかし、自らの権利の保護に失敗し、または第三者との間で紛争が生じた場合、当社グループの業績や成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑰ 訴訟

当社グループの国内及び海外事業に関連して、将来訴訟その他の法的手続が提起され、不利な結果が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は以下のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は、全体としては緩やかな回復基調が続きましたが、通商問題の動向や中国経済の減速、金融資本市場が与える影響が懸念され、先行きへの不透明感が高まりました。国内経済は、人手不足により生産・物流コストが上昇したほか、足元では輸出や生産の一部で弱さもみられましたが、雇用・所得環境の改善が継続するなど、全般的には緩やかな回復の動きを見せました。

当社グループを取り巻く経営環境は、原燃料価格の上昇に加え、これまで高い水準を維持してきたポリカーボネート、高純度イソフタル酸等の市況が下落し、特に下半期に市況下落の影響が強まるなど厳しい状況が続きました。

このような経営環境において、当社グループは、グループビジョン「社会と分かち合える価値の創造」のもと、当期より新たにスタートした中期経営計画「MGC Advance2020」の基本方針に基づき、基本施策「中核事業を中心とした既存事業の収益力強化」、「新規事業の創出と育成」、「最適な事業ポートフォリオに向けた投資戦略の実行」等を進め、企業価値の向上に努めてまいりました。

 

当社グループの売上高は、メタノールの市況が昨年11月以降に下落したものの前期に比べ高水準であったことや、販売数量が全体として堅調に推移したことなどから、増収となりました。

営業利益は、特殊ポリカーボネートの販売数量が増加しましたが、高純度イソフタル酸およびポリカーボネートの市況が大幅に下落したほか、原燃料価格が上昇するなかで、発泡プラスチック事業の採算が悪化したこともあり、減益となりました。

経常利益は、海外メタノール生産会社の持分法利益が増加したものの、営業利益が減少したことにより、減益となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、カナダ シェールガス・LNGプロジェクトに関する投資有価証券評価損を計上した前期に比べ特別損失が減少しましたが、営業利益が減少したことにより、減益となりました。

 

以上の結果、売上高6,489億円(前期比130億円増(2.1%増))、営業利益413億円(前期比213億円減(34.0%減))、持分法利益284億円(前期比101億円増(55.4%増))、経常利益691億円(前期比115億円減(14.3%減))、親会社株主に帰属する当期純利益550億円(前期比55億円減(9.1%減))となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

当連結会計年度より、報告セグメントごとの業績をより適切に評価管理するため、セグメント間取引の調整方法及び当社の共通費等の配賦方法を見直し、事業セグメントの利益又は損失の算定方法の変更を行っております。そのため、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を当該変更後の数値で比較しております。

 

〔天然ガス系化学品事業〕

メタノールは、市況が前期に比べ上昇したことなどから、増収となりました。

メタノール・アンモニア系化学品は、全般的な販売数量の増加などにより増収となりましたが、原料価格の上昇に加え、ネオペンチルグリコールの市況下落や修繕費等の固定費増加もあり、減益となりました。

原油その他のエネルギー販売は、原油価格が上昇したものの、原油販売数量が減少したことなどから、前期並みの利益となりました。

以上の結果、売上高1,805億円(前期比135億円増(8.1%増))、営業利益33億円(前期比20億円減(37.9%減))となりました。また、海外メタノール生産会社を中心とする持分法利益を194億円計上した結果、経常利益は226億円(前期比83億円増(58.7%増))となりました。

 

〔芳香族化学品事業〕

特殊芳香族化学品は、原燃料価格の上昇があったものの、メタキシレンジアミンや芳香族アルデヒドの販売が堅調に推移したことなどから、増収増益となりました。

汎用芳香族化学品は、高純度イソフタル酸が市況下落や原燃料高により採算が悪化したことなどにより、大幅な減益となりました。

発泡プラスチック事業は、原燃料価格の上昇などにより減益となりました。

以上の結果、売上高2,111億円(前期比9億円減(0.4%減))、営業利益146億円(前期比109億円減(42.8%減))、経常利益139億円(前期比106億円減(43.2%減))となりました。

 

〔機能化学品事業〕

無機化学品は、販売数量の増加により売上高は増加したものの、半導体・液晶向け薬液の競争環境の激化や北米新工場立ち上げに伴う固定費の増加などもあり、減益となりました。

エンジニアリングプラスチックスは、スマートフォンのカメラレンズ等に使用される特殊ポリカーボネートの販売数量が増加したものの、ポリカーボネートの採算悪化やフラットパネルディスプレイ向けフィルムの販売数量の減少もあり、減益となりました。

以上の結果、売上高2,046億円(前期比10億円増(0.5%増))、営業利益212億円(前期比83億円減(28.2%減))となりました。また、エンジニアリングプラスチックス関連会社を中心とする持分法利益を78億円計上した結果、経常利益は282億円(前期比97億円減(25.7%減))となりました。

 

〔特殊機能材事業〕

電子材料は、上期の販売数量は堅調に推移したものの、下期にスマートフォンやメモリー向けの需要が減退し、主力の半導体パッケージ用BT材料の販売数量が減少したことなどから、前期並みの利益となりました。

「エージレス®」等の脱酸素剤は、国内食品市場における競争激化などにより、減益となりました。

以上の結果、売上高519億円(前期比7億円減(1.4%減))、営業利益39億円(前期比3億円減(7.6%減))となりました。また、持分法利益を7億円計上した結果、経常利益は44億円(前期比10億円減(19.5%減))となりました。

 

〔その他の事業〕

その他の事業の売上高は6億円(前期比1億円増(30.4%増))、営業利益は1億円(前期比0億円減(9.0%減))、経常利益は4億円(前期比2億円増(84.0%増))となりました。

 

 

②財政状態の状況

「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ183億円増加し8,040億円となりました。

流動資産は、54億円減少し3,788億円となりました。減少の要因は、受取手形及び売掛金や現金及び預金の減少などであります。

固定資産は237億円増加し4,251億円となりました。増加の要因は、投資有価証券の増加などであります。

負債合計は、157億円減少し2,507億円となりました。流動負債は、短期借入金の減少などにより、184億円減少しました。固定負債は、長期借入金の増加などにより、26億円増加しました。

純資産は、341億円増加し5,532億円となりました。増加の要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加などであります。

この結果、自己資本比率は62.6%になりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ99億円減少し803億円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ266億円収入が減少し640億円の収入となりました。減少の要因は、営業利益の減少や持分法適用会社からの配当金の受取額の減少などであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ91億円支出が増加し427億円の支出となりました。増加の要因は、投資有価証券の売却による収入の減少などであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ16億円支出が減少し313億円の支出となりました。減少の要因は、自己株式の取得による支出の減少などであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

天然ガス系化学品事業(百万円)

57,498

6.1

芳香族化学品事業(百万円)

171,703

0.7

機能化学品事業(百万円)

188,023

2.2

特殊機能材事業(百万円)

28,543

1.2

その他の事業(百万円)

合計(百万円)

445,769

2.0

(注)1.生産金額は、生産総量から自家消費分を差引いた販売向けの生産量に当連結会計年度の販売単価を乗じて算出しており、セグメント間の内部振替前の数値であります。

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社)は原則として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

天然ガス系化学品事業(百万円)

180,554

8.1

芳香族化学品事業(百万円)

211,123

△0.4

機能化学品事業(百万円)

204,634

0.5

特殊機能材事業(百万円)

51,986

△1.4

その他の事業(百万円)

686

30.4

合計(百万円)

648,986

2.1

(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、当連結会計年度における経営成績等の状況に影響を与える見積り及び仮定が必要となります。当社グループは、過去の実績やその他の合理的と考えられる様々な要素に基づき、見積り及び判断を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計方針等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの売上高及び営業利益は、メタノール市況の上昇などにより売上高は増加したものの、高純度イソフタル酸やポリカーボネートの市況下落、原燃料価格上昇などにより営業利益は減少しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べ130億円増加の6,489億円、営業利益は前連結会計年度に比べ213億円減少の413億円となりました。

営業外収益は、持分法利益の増加などにより前連結会計年度に比べ102億円増加の346億円となりました。営業外費用は前連結会計年度に比べ4億円増加の68億円となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ115億円減少の691億円となりました。

特別利益は、投資有価証券売却益の減少などにより前連結会計年度に比べ4億円減少の24億円となりました。特別損失は、カナダ シェールガス・LNGプロジェクトに関する投資有価証券評価損を計上した前連結会計年度に比べ75億円減少の26億円となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ43億円減少の690億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ55億円減少の550億円となりました。

 

セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

天然ガス系化学品事業は、メタノール市況の上昇などにより売上高及び経常利益が増加しました。

芳香族化学品事業は、高純度イソフタル酸の市況下落や原燃料価格の上昇などにより減収減益となりました。

機能化学品事業は、売上高は前年同期をやや上回ったものの、ポリカーボネートの採算悪化などにより減益となりました。

特殊機能材事業は、脱酸素剤の競争激化などにより、減収減益となりました。

 

③経営成績等に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

なお、「第5 経理の状況 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、当社の持分法適用関連会社である日本・サウジアラビアメタノール株式会社(以下、「JSMC」)とサウジ基礎産業公社(Saudi Basic Industries Corp.(以下、「SABIC」)は、合弁契約期限を迎えた合弁会社Saudi Methanol Company(以下、「AR-RAZI」)について、JSMCが所有するAR-RAZI株式の50%(AR-RAZI総株式の25%相当)を150百万米ドルにてSABICに売却(以下、「本株式売却」)し出資比率を25:75にすること、JSMCからSABICに合弁事業延長対価(1,350百万米ドル)を支払うことなどを含めた、新たな枠組みによる合弁事業を20年間継続する契約の締結を完了いたしました。本株式売却に伴い発生する一時的な損失、JSMCのAR-RAZIへの持分比率の減少、及びJSMCがSABICに支払う合弁事業延長対価(1,350百万米ドル)の償却費用等は、当社グループの次連結会計年度以降の経営成績等に重要な影響を与える要因となります。

 

 

④資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。これらの資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。

なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。また、当連結会計年度末における有利子負債の残高は957億円、現金及び現金同等物の残高は803億円となっております。

 

⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。なお、数値目標の進捗状況は以下のとおりであります。

 

連結指標

2018年度実績

2020年度目標

売上高

6,489億円

7,500億円

営業利益

413億円

650億円

経常利益

691億円

800億円

ROE(自己資本利益率)

11.3%

12%以上

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)資本業務提携に関する契約

当社は、2015年2月、㈱JSPとの間で、両社の収益力の強化、新規事業の創出・育成や経営効率の改善等を図ることにより、両社のシナジーを実現し、それぞれの企業価値を向上させ、以てグループ企業価値の向上を図ることを目的として、資本業務提携に関する基本合意書を締結しております。

 

(2)技術供与契約関係

契約会社名

契約締結先

契約締結年月日

契約項目

対価

契約期間

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

METANOL DE ORIENTE,
METOR,S.A.

(持分法適用関連会社)

2006.12.19

メタノールの製造に関する特許及びノウ・ハウの非独占的実施権

一時金

2007年2月より15年

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

BRUNEI METHANOL
COMPANY SDN.BHD.

(持分法適用関連会社)

2007.4.12

メタノールの製造に関する特許及びノウ・ハウの非独占的実施権

一時金

2007年4月より15年

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

三菱瓦斯化学工程塑料(上海)有限公司

(連結子会社)

2010.7.30

ポリカーボネート樹脂の製造に関する特許技術及び専有技術

一時金及び契約製品の売上高に対する一定の実施料

2012年4月より10年

 

 

(3)合弁事業契約関係

契約会社名

契約締結先

設立年月

内容

合弁会社名

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

国際協力機構

三井化学㈱

住友化学㈱

㈱クラレ

伊藤忠商事㈱

三菱ケミカル㈱

日鉄ケミカル&マテリアル㈱

1979年11月

サウジアラビア王国にてサウジ基礎産業公社(SABIC)と合弁でメタノールの生産・販売を目的とする事業を営むための日本側投資法人への出資

日本・サウジアラビアメタノール㈱

(持分法適用関連会社)

当社出資比率 47%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

CELANESE HOLDINGS, B. V.

三菱商事㈱

1987年3月

ポリアセタール樹脂の製造・販売に関する合弁事業

韓国エンジニアリングプラスチックス㈱

(持分法適用関連会社)

当社出資比率 40%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

HANSOL CHEMICAL CO., LTD.

1989年10月

超純過酸化水素の製造・販売に関する合弁事業

三永純化(株)

(連結子会社)

当社出資比率 51%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

PETROQUIMICA DE VENEZUELA, S. A.

三菱商事㈱

INTERNATIONAL PETROCHEMICAL HOLDINGS LTD.

1992年3月

メタノールの製造・販売に関する合弁事業

METANOL DE ORIENTE, METOR, S. A.

(持分法適用関連会社)

当社出資比率 23.75%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

三菱ケミカル㈱

1994年3月

エンジニアリングプラスチックスの販売業務に関する合弁事業

三菱エンジニアリングプラスチックス㈱

(持分法適用関連会社)

当社出資比率 50%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

TOA DOVECHEM INDUSTRIES CO., LTD.

1995年7月

ポリアセタール樹脂の製造・販売に関する合弁事業

THAI POLYACETAL CO., LTD.

(連結子会社)

当社出資比率 70%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

伊藤忠商事㈱

BRUNEI NATIONAL PETROLEUM COMPANY

2006年3月

メタノールの製造・販売に関する合弁事業

BRUNEI METHANOL COMPANY SDN. BHD.

(持分法適用関連会社)

当社出資比率 50%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

三菱エンジニアリングプラスチックス㈱

2009年8月

ポリカーボネート樹脂の製造・販売に関する合弁事業

三菱瓦斯化学工程塑料(上海)有限公司

(連結子会社)

当社出資比率 91%

 

 

5【研究開発活動】

「2021年におけるありたい姿」に向けた新中期経営計画『MGC Advance2020』の初年度である2018年度(第92期)は、グループビジョン「社会と分かち合える価値の創造」を道標として、「中核事業を中心とした既存事業の収益力強化」と「新規事業の創出と育成」の実現に向けて、研究開発活動に精力的に取り組みました。

カンパニーの各研究開発部門、コーポレートの研究開発部門である新規事業開発部及びコーポレートの支援部門である研究推進部がシナジー効果を発揮する体制で、既存事業の収益力強化と新規事業の創出を推進しました。

新規事業開発部は、投資組合への参画、ベンチャー企業との連携及び出資、公的研究機関との共同研究など、社外との連携による研究開発活動によって新規事業領域での事業創出を継続しております。また、自ら生み出した医療包材や固体電解質などの事業化を推進するとともに、オープン・イノベーションによる短距離光配線及び工場生産野菜の事業化を引き続き進めております。

子会社の研究開発部門も含めた当社グループの研究開発スタッフは、グループ全体で約891名であり、総従業員数の約11%にあたります。また研究費の総額は18,607百万円であります。当連結会計年度における各セグメント別の研究内容、研究成果、及び研究開発費は次のとおりであります。

 

[天然ガス系化学品事業]

メタノール系;原料調達から誘導品まで展開する当社メタノール事業のコアとなる合成触媒開発、製造技術改善を継続しており、パイロット装置を用いて最先端技術の確立を進めております。またメタノール事業の裾野を更に広げるため、メタノール改質水素製造プロセスの市場展開、メタノール燃料電池の技術開発・市場開拓を推進しております。

有機化学品系;メチルアミンや特殊ポリオール製品群の競争力強化を図ると共に、MMA系製品では各種誘導品の増強技術確立や製造法改善、並びに独自性のある新規誘導品の開発を行っております。また、高耐熱特殊ポリエステルなどの樹脂製品、さらに高機能の熱硬化性樹脂原料となるシアネートモノマーの新規開発、市場展開を進めております。

ライフサイエンス系;これまでに蓄積した培養技術・発酵技術を活用し新規製品群を開発しています。現在、高齢化社会のニーズに即したブレインフードとして期待される補酵素ピロロキノリンキノン(PQQ)や酵母栄養成分(ビタミン、アミノ酸、ミネラルなど)を豊富に含むS-アデノシルメチオニン(SAMe)含有乾燥酵母を販売している他、さまざまな食品素材の開発を行っております。

また、抗体医薬事業ではMGCファーマ株式会社においてプロセス開発を中心とした開発受託サービスを展開するとともに、治験薬・原薬製造受託事業への参入を目的として設立した合弁会社である株式会社カルティベクスの製造工場稼働準備を進め、複数の案件の受託を開始しております。

当該事業に係る研究開発費は3,503百万円であります。

 

[芳香族化学品事業]

混合キシレンの分離・異性化によって製造する各キシレン異性体、及びその誘導品を中心とする事業展開を行っております。汎用製品群はプロセスコストダウン、品質改善による差別化を継続する一方、当社固有の特殊化学製品群は、既存装置の増産や新装置のプロセス検討などに加え、より川下分野への展開と、より確度の高い新規製品の研究開発を重点的に進めております。事業のベースとなる汎用製品群と収益率の高い特殊化学製品群をバランスよく展開することで、安定的かつ持続的成長可能な事業構造の構築を目指しております。

既存特殊化学品事業を構成する主製品は、メタキシレンジアミン、MXナイロン系製品、及び芳香族アルデヒドがあります。メタキシレンジアミンは、硬化剤、イソシアネート向けが好調に推移しており、コスト改善のための技術開発を継続すると共に、増産検討が進んでおります。MXナイロン系製品では、植物由来ポリアミドが自動車・電子部品向け等の用途で販売量が拡大しています。芳香族アルデヒドは、香料や高機能樹脂添加剤向けの販売が好調で、新規アルデヒドの開発とともにデボトルも視野に入れ、事業基盤の強化に努めています。

本事業ではさらに、独自の強酸技術、酸化・還元技術と長年培った重合技術を駆使し、新規の高付加価値製品の開発を進めています。これらの高付加価値製品の一つである透明ポリイミドワニス及びフィルムは、フレキシブルディスプレイ・タッチパネル・TFT基板・光学フィルム・センサー関連等、今後の伸張が期待される用途に対して検討を幅広く実施し、高い評価を得るとともに一部事業化、デモ品への採用が進んでおります。その他にもシクロヘキサンカルボン酸誘導体、半導体関連材料原体および熱可塑性ポリイミドなどの新規案件についても事業化を急いでおります。

当該事業に係る研究開発費は5,249百万円であります。

 

[機能化学品事業]

無機化学品事業;過酸化水素とその誘導体については、高付加価値化のための研究開発及び生産技術改善を継続的に進めています。過酸化水素及び過酢酸では新グレードを開発し、市場開発に取り組んでいます。生産技術改善ではタイムリーに実プラントへの適用を実施しています。エレクトロニクス向けでは、当社の高い技術開発力と原材料から製品までの一貫生産チェーンを活かした最先端のハイブリッドケミカルズの開発や高純度化技術の開発を行い、半導体・液晶ディスプレイ・プリント配線分野を中心に新規薬液・プロセス開発で採用実績を広げております。また、海外各拠点での開発体制の整備・拡充や能力増強を継続して進めており、顧客要望への対応力強化に努めています。眼鏡用レンズモノマーについては、超高屈折率材料や機能向上材料など、ユーザーニーズに対応した製品開発を進めると共に、培った光学関連の知見を活かし、新規光学材料の開発に取り組んでいます。

合成樹脂事業;ポリカーボネート樹脂は、品質向上のための技術開発や新規光学フィルム向け素材開発を中心に、新たな複合材料の創成にも取り組んでいます。光学用特殊ポリカーボネートは、スマートフォン向け等の小型カメラレンズ用材料としての認知度が向上してきましたが、今後も高屈折率・低複屈折化技術をベースとした新規グレードの開発を進めてまいります。機能性シート・フィルム分野では、製造技術の根幹となる精密加工技術とシート・フィルム向けの特殊材料を組み合わせ、タッチパネルや筺体加飾、熱成形用ハードコートフィルム、セキュリティカード等の特徴ある差異化グレードの開発を行っています。また、ポリアセタール樹脂については、新規用途開発や特殊グレードの開発を中心に進めています。

当該事業に係る研究開発費は5,068百万円であります。

 

[特殊機能材事業]

電子材料分野では、反りが生じ難いことを特徴とした半導体パッケージ用材料、及び、高速通信用途に高周波特性に優れた材料の拡販と量産の準備をしています。更に、これら製品の次世代品の開発にも取り組んでいます。また、半導体チップとサブストレート基板間を埋めるアンダーフィル材の製品開発に取り組んでいます。今後も、電子材料分野に必要な材料の開発を効率良く推進します。

脱酸素剤分野では、事業基盤製品である小袋状エ-ジレス製品にて、コスト競争力向上を目的とした製品の量産を準備しています。また、既存の脱酸素剤製法のブラッシュアップにて差異化にも取り組んでいます。

新規分野としては、電子材料事業や脱酸素剤事業の周辺材料、及び両事業の技術を他の市場に展開した製品の開発を精力的に進めています。

当該事業に係る研究開発費は4,786百万円であります。