第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

第94期は、前中期経営計画「MGC Advance2020」の最終年度にあたりますが、目標としておりました最終年度経営指標は残念ながら未達に終わりました。

これは、新興国台頭による供給過剰や米中貿易摩擦等に伴う汎用製品の市況の下落、新型コロナウイルスの影響による一部製品の需要減退といった外部要因に加え、既存事業構造の成熟化や、新規事業の創出と育成の遅れといった内部要因によるものです。

一方で、「中核・準中核事業」のうち、市況に左右されにくい製品が順調に成長し、これらは競争優位性を保持しながら、社会課題の解決につながり、市場も成長局面が継続しています。

今後の経済情勢については、新型コロナウイルスの世界・日本での感染拡大による経済活動への影響とその収束に関して、依然として先行き不透明感が極めて強い状況にありますが、当社の経営成績に与える影響を引き続き注視してまいります。

第95期からスタートしました新中期経営計画「Grow UP 2023」では、新理念体系「MGC Way」のもと、新たな目標である「環境変化に強い収益構造への転換」と「社会的価値と経済的価値の両立」を掲げ、これらを実現するために、それぞれ3項目からなる施策を進めていきます。

 

◆新中期経営計画「Grow UP 2023

 

●目標1

 環境変化に強い収益構造への転換 ~事業ポートフォリオ改革~

 

■施策

 -競争優位(”差異化”)事業の更なる強化

 -新規事業の創出と育成の加速

 -不採算事業の見直し・再構築

 

本計画では事業ポートフォリオ改革推進のため、事業区分の見直しを行い、競争優位性と成長性を有する事業を「差異化事業」と分類しました。当社グループは、差異化事業として、メタキシレンジアミン、MXナイロン、芳香族アルデヒド、ポリアセタールといった化学品・素材製品、さらにはエレクトロニクスケミカル、BT系材料、光学樹脂ポリマー、超高屈折レンズモノマーといった機能製品まで幅広く事業を展開し、「社会と分かち合える価値を創造」していきます。これら差異化事業に今後も重点的に経営資源を投じ、収益力を更に強化します。

さらに、当社グループは、「新規事業の創出と育成の加速」に取り組みます。研究推進・統括組織の改定により、持てる人的資源の能力をより柔軟に引き出しつつ、真の研究開発型企業集団として既存事業の維持拡大ならびにイノベーションを創出する研究開発体制を構築すると同時に、これまで以上にお客様や市場のニーズに的確・迅速に応えられる体制を構築し、持続的成長につながる価値の創造にまい進します。研究人員を増員し、研究開発投資をさらに積極的に進めることで、新規製品の継続的な投入を計画します。

これらの施策に加え、不採算事業の見直し・再構築にも取り組むことで、環境変化に強い収益構造への転換を図ります。具体的には、2023年度の差異化事業の売上高を全体の40%以上、不採算・要再構築事業の売上高を全体の3%未満にすることを目指します。

 

●目標2

 社会的価値と経済的価値の両立 ~持続的成長に向けて~

 

■施策

 -事業を通じた社会課題の解決

 -価値創造と環境保全の調和

 -事業活動を支える規律・基盤の強化

 

社会的価値と経済的価値の両立に向けて、3つの施策を遂行してまいります。

当社は昨年度に経営として取り組むべき最重要課題(マテリアリティ)を特定しましたが、新中期経営計画策定に合わせ、マテリアリティマネジメントの確実な進捗を図るべく、新たに2030年度目標を設定し、これらの目標に向けた2023年度KPIを設定いたしました。具体的には、大気保全に向けたGHG排出量削減や、エネルギー・気候変動問題解決に向けた投融資額・研究開発費等に関してKPIを設定しています。以上のようなマテリアリティマネジメントを通じて持続的成長へつなげていきます。

 

●目標とする経営指標(Grow UP 2023最終年度)

資本効率性を意識した経営を推進すべく、新たにKPIとして投下資本利益率(ROIC)を導入します。各種施策を実施することで、過去最高の営業利益更新を目指します。

 

連結指標

目標値

(2023年度)

売上高(億円)

7,300

営業利益(億円)

700

経常利益(億円)

800

ROE(自己資本利益率)

9%以上

ROIC(投下資本利益率)※

10%以上

※ ROIC=経常利益÷投下資本

<前提条件> 為替:105円/US$、原油価格(Dubai):60US$/BBL

 

この経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載されている計画、目標等の将来に関する記述は、当連結会計年度末現在において当社が入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいて判断したものであり、不確実性を内包するものです。実際の業績等は、様々な要因によりこうした将来に関する記述とは大きく異なる可能性があります。

 

 

2【事業等のリスク】

当社グループでは、「リスク」を、その顕在化により人的被害、物的被害、機会損失、風評被害等が発生し、最終的に会社に経済的損失をもたらす可能性又は危険と捉えており、平時並びに緊急時においてリスクの管理を行う体制を構築しております。具体的には、「内部統制リスク管理基本規程」を定め、リスク管理及びリスク対応に際しての基本方針を定めるとともに、社長直轄の決定機関として、内部統制リスク管理担当役員を委員長とする「内部統制リスク管理委員会」を設置しております。当該委員会は、リスク管理制度等に係る方針、施策、計画に係る事項、事業及び業務に関するリスク管理に係る事項及びこれに付随する指導、指示、監督に係る事項、事業継続計画策定に関する指導、指示、監督に係る事項などを決定します。また、リスク管理に関する状況は定期的に取締役会に報告が行われております。

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして考えられる主な事項として、後述の①から⑪までのものがあります。これらはいずれも、有価証券報告書提出日(2021年6月25日)現在において、顕在化の程度、時期、具体的な影響等を見積もることは困難であるものの、起こり得るものとして当社グループが判断したものです(但し、必ずしもあらゆるリスクを網羅したものではありません)。

 

なお、中期的には、当社グループは気候変動に由来するリスクへの対応を、事業継続に影響を与える重要な経営課題と捉えています。異常気象、台風の大型化、洪水など気候変動に由来する自然災害の甚大化により当社グループの製造拠点の操業継続、あるいは物流ほかサプライチェーンが影響を受ける可能性があることに加え、世界規模で想定される、原燃料価格の高騰、気候変動対策としての炭素税の導入やさらなる環境対策設備の導入要請への対処が必要となるなどの可能性もあります。

当社グループでは、気候変動問題について次のような取り組みを始めております。すなわち、2019年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD)に賛同し、気候変動が当社グループに及ぼすリスクと機会について、当社内に設置した気候変動対応専門委員会で検討・評価し、これを、取締役会メンバーで構成され社長を議長とするCSR会議において審議・承認しています。2℃シナリオ、4℃シナリオによる分析を通じて、これらによるリスクを低減するとともに、リスクを事業上の機会とできるよう、レジリエンスを強化していきます。

そのほか、海洋プラスチック問題に代表されるように、プラスチック使用後の処理・再利用における問題が世界的に認識されつつあります。当社グループは、リサイクル、循環を念頭に、リサイクル技術の開発、リサイクルが容易な素材の技術開発、分解しやすいバイオプラスチックの開発などを進めるほか、当社グループ製品を顧客が使用した際に発生する廃材について、自ら回収・リサイクルするなど取り組みを進め、また、業界団体での同種の取り組みにも積極的に参画するなどして、この問題に対応しています。

 

 

 

① 事業特性に関するリスク

[リスクの内容]

当社グループの事業の中心は製造業であり、その製品の多くは顧客の事業活動に用いられる原材料や資材・薬剤であることから、製品販売先の国、地域の経済状況の影響を受けます。特にメタノール、メタノール誘導品、汎用芳香族製品や汎用ポリカーボネート樹脂等の市況製品では、一般的に、景気後退局面において販売数量の減少、販売価格の下落等が起きやすく、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

一方、特殊品・高付加価値製品においても価格、品質、機能、納期、カスタマーサービス等の面で競争しており、機能を代替する製品の出現など競争の水準が上がることで、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、エレクトロニクス業界を主な顧客としている電子材料関連製品等は、一般的に製品寿命が短く、常に技術革新競争にさらされているため、既存製品の陳腐化や新規製品開発の遅延によって、売上高が減少する可能性があります。また、当社グループの製品の中には、特定の顧客に対してのみ販売しているものがあり、顧客が当該製品の使用を中止することにより、売上高が減少する可能性があります。

当社グループは、原料キシレン等の原材料や電力等を外部から購入しており、必要な原材料等が調達できなくなると製造活動に支障が出る可能性があるほか、価格が急騰した場合にも当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループは、新しい製品・製造プロセスの開発や既存製品・製造プロセスの改善・改良を実現すべく基礎研究・応用研究に取り組むとともに、新たな市場、事業分野の開発にも取り組んでいます。また、開発部門なども含めた顧客との密接な情報交換に努めるとともに、長期供給契約の締結などによりリスクの低減を図るほか、原材料等の購買においても、複数の供給元からの調達や長期購買契約の締結などによりリスクの低減を図っています。

 

② 海外事業に関するリスク

[リスクの内容]

当社グループは、アジア、北米、南米、中東等に現地法人を設立し、製造販売活動を行っていますが、各国の情勢によっては、自然災害、戦争等、インフラの障害、感染症の拡大、その他予期せぬ事態による政情不安、社会的、経済的混乱等により、事業活動のみならず、利益配当の送金等が困難となる可能性もあります。そのほか、法制の違いの問題、外国政府による投資等への制限や資産の国有化・収用の可能性、人事・労務問題等のリスクがあり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループは、可能な限り効果的かつ速やかな対応を可能とするべく、現地に派遣している役職員、合弁相手、関係当局その他からの情報収集に努めております。

 

 

③ 合弁事業に関するリスク

[リスクの内容]

当社グループは、日本国内はもとよりサウジアラビア、ベネズエラ、タイ、中国、韓国、トリニダード・トバゴといった海外においても製造合弁会社を多数有し、メタノール、合成樹脂、その他の各種製品を調達・販売しています。これら合弁相手は当社グループの支配下にあるわけではないため、合弁相手が当社グループや合弁事業にとって最良の意思決定をするという確証は無く、合弁が維持されないなどの事態が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループは、これまで築き上げてきた合弁相手先との良好なコミュニケーションの維持・強化を図り、目標・目的の共有や関係維持に努めるとともに、合弁契約その他の事業関連契約等によりリスクの低減を図っています。

 

 

④ 製品の品質に関するリスク

[リスクの内容]

前述のとおり、当社グループの製品の多くは顧客の事業活動に用いられる原材料や資材・薬剤であり、顧客と合意した規格に沿った製品を製造しています。しかしながら、万一、品質上瑕疵ある製品が販売された場合、当該製品を用いた顧客や最終製品の使用者等における直接的損害のみならず、機会損失に対する補償の必要が生じたり、当社の社会的信用が損なわれたりするなどして、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

実際には当社グループの製造拠点のほとんどは世界的に認知された品質管理基準に基づき製造活動を行っておりますが、万一のリスクに対処するため、生産物賠償責任保険をはじめとした賠償責任保険を付保するほか、必要に応じ、顧客との契約によって責任範囲を明確化するなどの対応を行っております。

 

 

⑤ 自然災害、事故等に関するリスク

[リスクの内容]

当社グループは、国内外に多数の製造拠点を有しており、これら拠点において地震、風水害等の自然災害や戦争、テロ・暴動、ストライキ、通信インフラの障害、新型コロナウイルスその他の感染症の拡大、設備のトラブルや人為的ミス、その他予期せぬ事態の影響によって製造活動が停止する可能性があります。当社グループでは危険性を有する化学物質を日常的に取り扱っていることから、爆発、火災、有毒ガスの漏洩等の事故が発生し、製造設備や従業員に被害が生じたり、当該製造拠点周辺や顧客に損害を与えたり、環境汚染等が生じるといった可能性を完全には排除できません。また、当社グループの製造拠点の多くは複数の製造設備を有し、それらが電気、用水、スチーム等のユーティリティー設備を共用していることから、当該設備が停止すると、製造拠点全体の製造活動が停止する可能性があります。このような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

[主な取り組み]

当社グループは、環境安全マネジメントシステムに基づく継続的改善を図る中で、リスクアセスメントの強化や安全教育の徹底により保安防災体制構築に最善を尽くしながら製造設備の維持、安定操業に努めることはもちろん、事業継続計画の策定や海外も含めた製造拠点の複数化にも取り組んでおります。加えて、火災保険、利益保険、油濁保険、賠償責任保険といった各種の保険を付保するなどの対応を行っています。

また新型コロナウイルス感染症に関しては、危機対策本部を速やかに設置し、迅速に対応してきました。現在も、従業員とその家族、お客様をはじめとするステークホルダーの安全確保のため、ウェブ会議の全社的な積極利用等により接触機会を減らすほか、本社等においては在宅勤務体制を整備のうえ、変化する感染状況に合わせて逐次出勤体制を調整するとともに、工場等においては事業所ごとに具体的な実務に即した感染対策を徹底しています。

 

 

⑥ 情報セキュリティーに関するリスク

[リスクの内容]

当社グループは、事業活動上必要な機密情報及び個人情報を保有するとともに、ビジネスにおけるデジタル化の進展に伴い、各種情報システムを利用して事業活動を行っております。これらの情報の漏洩や情報システムのトラブル、サイバー攻撃や悪意ある第三者による詐欺行為等が発生した場合、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループでは、情報セキュリティー体制を整備し、各種ガイドラインに準拠すべく社内規程の整備、従業員に対する教育を行い従業員のリテラシー向上を図るとともに、一定の情報セキュリティーレベルの確保を図るべく、継続的な取り組みを行い、向上に努めています。

 

 

⑦ 事業投資その他各種投資に係るリスク

[リスクの内容]

当社グループは、事業成長の実現や競争力の強化等のために設備投資や研究開発投資を行い、既存事業の強化や将来の市場ニーズに合致する新規事業の創出に注力しています。また、国内外において、合弁会社を含む新会社の設立や出資等、さらには既存の会社の買収などの事業投資を実施し、今後も実施することがあります。

これらの投資がその額に見合う収益を得られない場合や、保有する有価証券の評価額が大幅に下落した場合などには、固定資産の減損損失、有価証券評価損、持分法による投資損失等の損失が発生するなど、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループは、投資に際して社内審査体制を整備・運用しているほか、その内容に応じて事業の状況等を適宜確認し、関係部門が適切な対策を講じるべく努めております。

 

 

⑧ 為替変動に関するリスク

[リスクの内容]

輸出入等の外貨建て取引においては、為替の動向によって、売上高の減少や損失の増大が生じるなど、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの海外現地法人の現地通貨建ての財務諸表項目は、当社連結財務諸表の作成のため円貨換算されており、換算時の為替レートによって、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループは、外貨建て債権・債務に係る為替変動リスクに対し、社内規程に基づく先物為替予約取引等によって一定程度のリスクヘッジを行っております。

 

⑨ 資金調達・金利変動に関するリスク

[リスクの内容]

当社グループは、必要な資金の調達に際し、一定程度、金融機関から借り入れ等を行っていますが、金融環境が急変した場合などには、資金調達が困難になったり金利上昇によって支払利息が増加したりするなど、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループは、負債資本倍率、自己資本比率などを指標に一定の財務健全性を維持するよう努めるとともに、固定金利・変動金利の適宜の組み合わせの実施や、金融機関などとの健全かつ良好な関係の維持に努めるなどしております。

 

 

⑩ コンプライアンスに関するリスク

[リスクの内容]

当社グループは、事業の特性上、毒劇物、危険物、高圧ガス等の危険性を有する化学物質を取り扱い、製造、保管、流通、販売等の各段階で、国内外を問わず法令等により種々の規制を受けています。これらの規制を含めた法令・社会的規範を遵守できなかった場合の刑事、民事又は行政上の責任、是正コストや社会的制裁、信用の失墜は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループは、環境規制等に対応する専門部署の設置のほか、コンプライアンス全般について、役職員にこれを意識づける各種施策の実施や、内部通報制度をはじめとする体制を構築し、法令等の遵守に努めています。

 

 

⑪ 訴訟に関するリスク

[リスクの内容]

当社グループの国内外の事業に関連して、将来訴訟その他の法的手続が提起され、不利な結果が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、当社グループは、国内外において特許を出願し取得するなど知的財産の保護を図るとともに、他者の権利を侵害しないようにも努めています。しかし、これらに関して訴訟が生じ、当社の主張が認められなかった場合、当社グループの業績や成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループは、事業に関連する各種法令を遵守するのはもちろんのこと、弁護士その他の専門家の協力も得ながら、適切な契約の締結による権利義務の明確化、他者の権利の調査等、紛争の未然防止に努めております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は以下のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により、厳しい状況で推移いたしました。各国の財政支援策やワクチン接種などによる持ち直しの動きもみられたものの、感染症の収束には至っておらず、依然として先行きの不透明感が残る状況となりました。

当社グループを取り巻く事業環境は、半導体向け製品や光学樹脂ポリマーの需要が堅調に推移しました。新型コロナウイルスの影響で、上半期は自動車関連製品を中心に需要が減退し、汎用製品の市況も低水準で推移したものの、下半期においては全般的に需要が回復し、メタノールの市況も上昇しました。

このような環境下において、当社グループは、当連結会計年度が最終年度であった中期経営計画「MGC Advance2020」の基本方針に基づき、企業価値の向上を図るべく、「中核事業を中心とした既存事業の収益力強化」、「新規事業の創出と育成」、「最適な事業ポートフォリオに向けた投資戦略の実行」等の施策を推進いたしました。

 

当社グループの売上高は、汎用芳香族化学品および発泡プラスチックの販売数量が減少したことなどから、減収となりました。

営業利益は、修繕費など固定費の増加があったものの、半導体向け製品や光学樹脂ポリマーの販売数量増加や、原燃料安などにより、増益となりました。

経常利益は、営業利益の増加に加え、前期に計上したサウジアラビア合弁事業での一過性費用(78億円)の剥落により海外メタノール生産会社の持分法による投資損益が改善したことなどから、増益となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失の増加や、投資有価証券売却益の減少などがあったものの、経常利益が増加したことなどから、増益となりました。

 

以上の結果、売上高5,957億円(前期比176億円減(2.9%減))、営業利益445億円(前期比102億円増(29.9%増))、持分法による投資利益51億円(前期比64億円改善)、経常利益502億円(前期比191億円増(61.5%増))、親会社株主に帰属する当期純利益360億円(前期比149億円増(70.5%増))となりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較においては、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

〔基礎化学品事業部門〕

メタノールは、下半期に市況が上昇したことなどから、損益は改善しました。

メタノール・アンモニア系化学品は、MMA系製品の市況下落に加え、修繕費の増加などもあり、減益となりました。

特殊芳香族化学品は、芳香族アルデヒドの販売が堅調に推移したほか、上半期に需要が減少したメタキシレンジアミンの販売数量が下半期に大きく回復したことなどから、前期並みの損益となりました。

汎用芳香族化学品は、原燃料安があったものの、メタキシレンおよび高純度イソフタル酸の販売数量減少・販売価格下落などにより、減収減益となりました。

発泡プラスチック事業は、上半期に需要低下がみられた自動車分野が下半期に回復したほか、食品・土木分野での需要増加などもあり、前期並みの損益となりました。

 

以上の結果、売上高3,150億円(前期比422億円減(11.8%減))、営業利益96億円(前期比16億円減(14.7%減))、経常利益110億円(前期比62億円増(131.3%増))となりました。

 

〔機能化学品事業部門〕

無機化学品は、半導体向け薬液の販売数量が増加したことなどから、前期を上回る損益となりました。

エンジニアリングプラスチックスは、上半期に自動車向けを中心にポリカーボネート、ポリアセタールの需要が減少したものの、下半期に同分野で需要が回復したことなどから、前期並みの損益となりました。

光学材料は、半導体不足や顧客の在庫調整の影響などにより第4四半期の販売数量に減速感が生じたものの、スマートフォン用カメラレンズの複眼化の進展や2019年10月の生産能力増強により、光学樹脂ポリマーの販売数量が増加したことなどから、増収増益となりました。

電子材料は、データセンターなどのICT関連需要の高まりや、5G対応スマートフォン用アンテナ・イン・パッケージ基板向けの立ち上がりなどにより、主力の半導体パッケージ用BT材料の販売数量が増加したことなどから、増収増益となりました。

「エージレス®」等の脱酸素剤は、土産などの観光需要が減少したものの、輸出が堅調に推移したことなどから、前期を上回る損益となりました。

 

以上の結果、売上高2,674億円(前期比123億円増(4.8%増))、営業利益348億円(前期比92億円増(36.2%増))、経常利益375億円(前期比93億円増(33.3%増))となりました。

 

〔その他の事業〕

その他の事業は、第4四半期における電力高騰によるエネルギー関連事業での収益増加があったことなどから、売上高は132億円(前期比123億円増)、営業利益は32億円(前年同期比31億円増)、経常利益は32億円(前年同期比32億円増)となりました。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ646億円増加し8,363億円となりました。

流動資産は、434億円増加し4,021億円となりました。増加の要因は、現金及び預金や受取手形及び売掛金の増加などであります。

固定資産は211億円増加し4,342億円となりました。増加の要因は、投資有価証券の増加などであります。

負債合計は、313億円増加し2,549億円となりました。流動負債は、短期借入金の増加などにより、43億円増加しました。固定負債は、社債の増加などにより、269億円増加しました。

純資産は、332億円増加し5,814億円となりました。増加の要因は、利益剰余金の増加などであります。

この結果、自己資本比率は62.7%になりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ210億円増加し910億円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ187億円収入が減少し554億円の収入となりました。減少の要因は、売上債権の増加などであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ64億円支出が増加し403億円の支出となりました。増加の要因は、貸付による支出の増加などであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ547億円収入が増加し51億円の収入となりました。増加の要因は、社債の発行による収入の増加などであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

基礎化学品事業部門(百万円)

182,361

△22.4

機能化学品事業部門(百万円)

234,077

10.1

その他の事業(百万円)

11,443

303,929.3

合計(百万円)

427,882

△4.4

(注)1.生産金額は、生産総量から自家消費分を差引いた販売向けの生産量に当連結会計年度の販売単価を乗じて算出しており、セグメント間の内部振替前の数値であります。

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

3.当連結会計年度において、その他の事業セグメントの生産実績に著しい変動がありました。これは、日本ユピカ㈱を連結子会社化したこと等によるものであります。

 

b.受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社)は原則として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

基礎化学品事業部門(百万円)

315,034

△11.8

機能化学品事業部門(百万円)

267,457

4.8

その他の事業(百万円)

13,226

1,372.7

合計(百万円)

595,718

△2.9

(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2.当連結会計年度において、その他の事業セグメントの販売実績に著しい変動がありました。これは、日本ユピカ㈱を連結子会社化したこと等によるものであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

中期経営計画「MGC Advance2020」3年目にあたる当連結会計年度の経営成績は以下のとおりであり、最終年度(2020年度)の目標値に対しては未達に終わりました。

 

連結指標

2020年度実績

2020年度目標 ※

差異

売上高

5,957億円

7,500億円

△1,543億円

営業利益

445億円

650億円

△205億円

経常利益

502億円

800億円

△298億円

ROE(自己資本利益率)

7.1%

12%以上

△4.9%ポイント

※ 2019年5月13日修正値

 

計画の未達には、販売数量の未達に加え、メタノール、高純度イソフタル酸、ポリカーボネート等の汎用化学品市況の低迷など、外部環境の前提が当初計画策定時から相当変化したことが大きく影響しております。

今後も、新型コロナウイルス感染拡大による影響を含む経済状況の変化・市況の変動により経営成績が影響を受ける可能性もありますが、新中期経営計画「Grow UP 2023」の最終年度目標を達成すべく、各施策を進めてまいります。具体的な取り組みについては、セグメント毎に後述いたします。

 

中長期的な課題への対処としては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、新中期経営計画において2つの目標とそれぞれについて3つの施策を掲げるとともに、3か年の累計投融資額2,400億円、研究開発費730億円を計画しております。差異化事業への戦略投資を積極的に実行するとともに、新たな研究開発部門体制のもとグループ内外の技術・人員を最大限活用し、特に最重要課題である、「環境変化に強い収益構造への転換」及び「社会的価値と経済的価値の両立」に向け、グループ一体となりまい進していきます。

 

セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

[基礎化学品事業部門]

基礎化学品事業部門の経営成績は以下のとおりであります。

 

連結指標

2020年度実績

2020年度目標 ※1

差異

売上高 ※2

3,228億円

4,500億円

△1,272億円

営業利益

96億円

300億円

△204億円

経常利益

110億円

370億円

△260億円

※1 2019年5月13日修正値

2 セグメント間の内部売上高又は振替高を含む

 

世界的な需要減退によるメタノール市況の低迷、トリニダード・トバゴのメタノール新工場の稼働遅れ、新型コロナウイルス感染拡大による発泡プラスチック等の需要減退、高純度イソフタル酸の販売数量の減少・販売価格の下落などにより、中期経営計画の目標値は未達となりました。

今後は、環境循環型製品としてのメタノールの製造技術開発推進、物流・生産の効率化によるコスト削減、海外メタノール生産会社の安定運転の実現、メタキシレンジアミンや芳香族アルデヒドといった特殊芳香族化学品の製造設備の新設検討や拡販戦略を進めるとともに、㈱JSPにおける差異化・成長戦略の推進などに取り組んでまいります。

 

[機能化学品事業部門]

機能化学品事業部門の経営成績は以下のとおりであります。

 

連結指標

2020年度実績

2020年度目標

差異

売上高 ※

2,678億円

3,000億円

△322億円

営業利益

348億円

360億円

△12億円

経常利益

375億円

440億円

△65億円

セグメント間の内部売上高又は振替高を含む

 

光学樹脂ポリマーや半導体パッケージ用BT材料の販売が堅調に推移し、計画を上回ったものの、無機化学品の販売計画未達やポリカーボネートの市況低迷、新型コロナウイルス感染拡大によるエンジニアリングプラスチックや脱酸素剤の需要減退などにより、中期経営計画の目標値は未達となりました。

今後は、ポリカーボネートの高付加価値品の拡販、ポリアセタールの市場プレゼンス向上、超純過酸化水素の既存・新規生産拠点のグローバル展開の強化、光学樹脂ポリマーの生産能力増強、原料モノマープラント新設等によるさらなる需要増への対応、電子材料の新規需要の取り込み・海外製造子会社の生産能力増強等によるBT材料の拡販、脱酸素剤における海外販売比率向上・用途拡大などに取り組んでまいります。

 

② 経営成績等に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

なお、新型コロナウイルスの世界・日本での感染拡大による経済活動への影響とその収束に関して、ワクチン普及や各国の財政刺激策等による回復・成長が期待されるものの、新たな変異株の発生による感染の再拡大が起きるなど、依然として先行き不透明感が極めて強い状況にあります。

新型コロナウイルスの感染拡大状況によっては、自動車関連、住宅・インフラ、電気・電子機器など幅広い分野で需要が減退し、これらの分野で原材料として使用される当社グループ製品へ悪影響を及ぼすことも考えられます。基礎化学品事業部門においては、発泡プラスチック、特殊芳香族化学品、メタノールなどへの影響が懸念されます。機能化学品事業部門においては、エンジニアリングプラスチックス、脱酸素剤などへの影響が懸念されます。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。これらの資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの借入、社債等を基本としております。

なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

また、当連結会計年度末における有利子負債の残高は984億円、現金及び現金同等物の残高は910億円となっております。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。事業に対する投資や撤退判断等、経営の意思決定を迅速に行うため、売上規模や利益額に加え、資本効率を分析値に加えております。

 

⑤ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)資本業務提携に関する契約

当社は、2015年2月、㈱JSPとの間で、両社の収益力の強化、新規事業の創出・育成や経営効率の改善等を図ることにより、両社のシナジーを実現し、それぞれの企業価値を向上させ、以てグループ企業価値の向上を図ることを目的として、資本業務提携に関する基本合意書を締結しております。

 

(2)技術供与契約関係

契約会社名

契約締結先

契約締結年月日

契約項目

対価

契約期間

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

METANOL DE ORIENTE,
METOR,S.A.

(持分法適用関連会社)

2006.12.19

メタノールの製造に関する特許及びノウ・ハウの非独占的実施権

一時金

2007年2月より15年

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

BRUNEI METHANOL
COMPANY SDN.BHD.

(持分法適用関連会社)

2007.4.12

メタノールの製造に関する特許及びノウ・ハウの非独占的実施権

一時金

2007年4月より15年

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

三菱瓦斯化学工程塑料(上海)有限公司

(連結子会社)

2010.7.30

ポリカーボネート樹脂の製造に関する特許技術及び専有技術

一時金及び契約製品の売上高に対する一定の実施料

2012年4月より10年

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

CARIBBEAN GAS CHEMICAL LIMITED

2015.4.10

メタノール及びDMEの製造に関する特許及びノウ・ハウの非独占的実施権

一時金

2015年4月より20年

 

 

(3)合弁事業契約関係

契約会社名

契約締結先

設立年月

内容

合弁会社名

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

国際協力機構

三井化学㈱

住友化学㈱

㈱クラレ

伊藤忠商事㈱

三菱ケミカル㈱

日鉄ケミカル&マテリアル㈱

1979年11月

サウジアラビア王国にてサウジ基礎産業公社(SABIC)と合弁でメタノールの生産・販売を目的とする事業を営むための日本側投資法人への出資

日本・サウジアラビアメタノール㈱

(持分法適用関連会社)

当社出資比率 47%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

CELANESE SERVICES GERMANY GMBH

グローバルポリアセタール㈱

1987年3月

ポリアセタール樹脂の製造・販売に関する合弁事業

韓国エンジニアリングプラスチックス㈱

(持分法適用関連会社)

当社出資比率 40%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

HANSOL CHEMICAL CO., LTD.

1989年10月

超純過酸化水素の製造・販売に関する合弁事業

三永純化(株)

(連結子会社)

当社出資比率 51%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

PETROQUIMICA DE VENEZUELA, S. A.

三菱商事㈱

INTERNATIONAL PETROCHEMICAL HOLDINGS LTD.

1992年3月

メタノールの製造・販売に関する合弁事業

METANOL DE ORIENTE, METOR, S. A.

(持分法適用関連会社)

当社出資比率 23.75%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

三菱ケミカル㈱

1994年3月

エンジニアリングプラスチックスの販売業務に関する合弁事業

三菱エンジニアリングプラスチックス㈱

(持分法適用関連会社)

当社出資比率 50%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

TOA DOVECHEM INDUSTRIES CO., LTD.

1995年7月

ポリアセタール樹脂の製造・販売に関する合弁事業

THAI POLYACETAL CO., LTD.

(連結子会社)

当社出資比率 70%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

伊藤忠商事㈱

BRUNEI NATIONAL PETROLEUM COMPANY

2006年3月

メタノールの製造・販売に関する合弁事業

BRUNEI METHANOL COMPANY SDN. BHD.

(持分法適用関連会社)

当社出資比率 50%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

三菱エンジニアリングプラスチックス㈱

2009年8月

ポリカーボネート樹脂の製造・販売に関する合弁事業

三菱瓦斯化学工程塑料(上海)有限公司

(連結子会社)

当社出資比率 91%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

三菱商事㈱

NATIONAL GAS COMPANY OF TRINIDAD AND TOBAGO LIMITED

三菱重工エンジニアリング㈱

MASSY HOLDINGS LTD.

2013年3月

メタノールの製造・販売に関する合弁事業

CARIBBEAN GAS CHEMICAL LIMITED

 

 

 

 

5【研究開発活動】

「2021年におけるありたい姿」に向けた前中期経営計画『MGC Advance2020』の最終年である2020年度(第94期)は、グループビジョン「社会と分かち合える価値の創造」を道標として、「中核事業を中心とした既存事業の収益力強化」と「新規事業の創出と育成」の実現に向けて、研究開発活動に精力的に取り組みました。

2020年度から研究開発組織の体制を大きく変え、研究部門・研究所とコーポレート部門の新規事業開発部に所属していた研究組織全てを「研究推進部」が一元的に統括する事となりました。この新体制のもとで全社的な視点による研究開発を一層加速する事で、既存事業の収益力強化と新規事業の創出を推進しました。

新規事業開発部は、ベンチャー企業との連携及び出資、公的研究機関との共同研究など、社外との連携による研究開発活動によって新規事業領域での事業創出を継続しました。また、自ら生み出した医療包材や固体電解質などの事業化を推進するとともに、オープン・イノベーションによるアレルギー診断薬などの新規領域の製品開発に取り組みました。福島県白河市における工場生産野菜事業では、安心・安全な野菜を社会に提供しています。

子会社の研究開発部門も含めた当社グループの研究開発スタッフは、グループ全体で約942名であり、総従業員数の約10%にあたります。また研究費の総額は19,905百万円であります。当連結会計年度における各セグメント別の研究内容、研究成果、及び研究開発費は次のとおりであります。

 

[基礎化学品事業部門]

メタノール系;原料調達から誘導品まで展開する当社メタノール事業のコアとなる製造技術改善や合成触媒開発についてパイロット装置を活用しつつ検討を行っています。循環型社会、カーボンニュートラルへの動きが加速されている中で、CO2/H2からのメタノール合成や、廃プラ、バイオマス等のガス化ガスなど多様な原料からのメタノール合成技術を確立していきます。またメタノール事業の裾野を更に広げるため、メタノール改質水素製造プロセスの市場展開、メタノール燃料電池の技術開発・市場開拓を推進しております。

有機化学品系;メチルアミンや特殊ポリオール製品群の競争力強化を図ると共に、MMA系製品では各種誘導品の増強技術確立、並びに独自性のある新規誘導品の開発を行っております。また、高耐熱特殊ポリエステルなどの樹脂製品、さらに高機能の熱硬化性樹脂原料となるシアネートモノマーの新規開発、複合材料などに向けた市場展開を進めております。

ライフサイエンス系;これまでに蓄積した培養技術・発酵技術を活用し新規製品群を開発しています。現在、高齢化社会のニーズに即したアンチエイジング素材として期待されるピロロキノリンキノン(PQQ)や酵母栄養成分(ビタミン、アミノ酸、ミネラルなど)を豊富に含むS-アデノシルメチオニン(SAMe)含有乾燥酵母、スペルジミン(SPD)含有乾燥酵母、新たに乳酸菌を販売している他、さまざまな食品素材の開発を行っております。また、抗体医薬事業では、治験薬・原薬製造受託事業への参入を目的として設立した合弁会社である株式会社カルティベクスの製造工場を稼働中であり、複数の案件を受託しております。

芳香族化学品系;混合キシレンの分離・異性化によって製造する各キシレン異性体、及びその誘導品を中心とする事業展開を行っております。汎用製品群はプロセスコストダウン、品質改善による差別化を継続する一方、当社固有の特殊化学製品群は、増産や新装置のプロセス検討などに加え、より川下分野への展開と、より確度の高い新規製品の研究開発を重点的に進めております。事業のベースとなる汎用製品群と収益率の高い特殊化学製品群をバランスよく展開することで、安定的かつ持続的成長可能な事業構造の構築を目指しております。

既存特殊化学品事業を構成する主製品は、メタキシレンジアミン、MXナイロン系製品、及び芳香族アルデヒドがあります。メタキシレンジアミンは、誘導体含めて、硬化剤、イソシアネート向けに好調に推移しており、コスト改善のための技術開発を継続すると共に増産検討を行い、新たな市場開発も進めております。MXナイロン系製品では、植物由来のポリアミドが自動車・電子部品向け等の用途で販売量が拡大しています。芳香族アルデヒドは、香料や高機能樹脂添加剤向けの販売が好調で、新規芳香族アルデヒドの開発とともに増産検討を進め、事業基盤の強化に努めています。

本事業ではさらに、独自の強酸技術、酸化・還元技術と長年培った重合技術を駆使し、新規の高付加価値製品の開発を進めています。これらの高付加価値製品の一つである透明ポリイミドワニス及びフィルムは、フレキシブルディスプレイ・タッチパネル・TFT基板・光学フィルム・センサー関連等、今後の伸張が期待される用途に対して検討を幅広く実施し、高い評価を得るとともに一部事業化、デモ品への採用が進んでおります。その他にも、半導体関連材料向け原体および熱可塑性ポリイミドについても事業化を急いでおり、また保有する樹脂製品群を用いた複合材料等の研究開発を推進しております。

当該事業に係る研究開発費は9,166百万円であります。

 

 

[機能化学品事業部門]

機能化学品事業部門では、5つの事業分野とそれらの周辺分野において以下の研究開発活動に取り組んでいます。

無機化学品事業;過酸化水素とその誘導体については、生産技術のブラッシュアップによるコスト競争力強化を継続的に進めています。高機能薬剤については、主に最先端半導体デバイス用途で新規グレード開発と市場投入で採用実績を伸ばしております。また、海外各拠点での開発体制の拡充、生産能力増強の継続推進により、顧客要望へのタイムリーな対応に努めています。

合成樹脂事業;ポリカーボネート樹脂は、品質向上のための技術開発や新規光学フィルムや熱成形用ハードコートフィルムなど機能性フィルムを始めとした高付加価値製品の創成にも取り組んでいます。さらにカーボンニュートラルに向けた取組として、二酸化炭素を原料としたポリカーボネート原料およびポリカーボネート素材開発を行っています。また、ポリアセタール樹脂については、新規用途開発や特殊グレードの開発を中心に進めています。

光学材料事業;眼鏡用レンズモノマーについて、ユーザーニーズに対応した製品開発を進めると共に、培った光学関連の知見を活かし、眼鏡用以外の新規光学材料の開発に取り組んでいます。光学樹脂ポリマーは、スマートフォン向け等の小型カメラレンズ用材料として、より高屈折率な新規グレード開発と市場投入を進めるとともに、ポリマーリサイクル技術の確立へ向けた検討を進めています。

電子材料分野:ICTによる社会基盤をささえる高周波回路基板用途の材料開発を推進し、ユニークで多様性のある商品化の拡充を進めています。さらにデータ通信量の大容量化に伴うメモリーやロジック用半導体パッケージ基板の需要増に対応した積層材料およびその周辺技術における製品開発にも取り組んでいます。今後も、情報通信、インフラ、モビリティ領域をターゲットとする技術開発と商品化の推進で社会の発展と課題解決に貢献していきます。

脱酸素剤分野:酸化を防ぐことで食品の風味、鮮度を維持し、賞味期限の延長をはかることのできる脱酸素剤は、今日では食品にとどまらず、医薬品の安定性維持や、錆を防ぎたい金属部品など、様々な製品分野でご愛用頂いています。伸長する医薬品向け脱酸素剤のラインナップ拡充に取り組むと共に、培ってきた雰囲気制御技術を精肉、青果などのフードロス削減のために役立てられるように、技術開発を進めています。

新規分野としては、各分野の周辺材料や基盤技術を他の市場・用途に展開する製品開発を精力的に進めています。

当該事業に係る研究開発費は10,739百万円であります。