第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当期末における重点施策の進捗状況

2021年度からスタートしました中期経営計画「Grow UP 2023」では、新理念体系「MGC Way」のもと、「環境変化に強い収益構造への転換」と「社会的価値と経済的価値の両立」を目標に掲げ、これらを実現するために、それぞれ3項目からなる施策を進めております。

 

中期経営計画 「Grow UP 2023」

 ●目標1

 環境変化に強い収益構造への転換 ~事業ポートフォリオ改革~

  ■施策

  -競争優位(“差異化”)事業の更なる強化

  -新規事業の創出と育成の加速

  -不採算事業の見直し・再構築

 

本計画では事業ポートフォリオ改革推進のため、事業区分の見直しを行い、競争優位性と成長性を有する事業を「差異化事業」と分類しました。当社グループは、差異化事業として、メタキシレンジアミン(MXDA)、MXナイロン、芳香族アルデヒド、ポリアセタール(POM)といった化学品・素材製品、さらにはエレクトロニクスケミカルズ、BT系材料、光学樹脂ポリマー、超高屈折レンズモノマーといった機能製品まで幅広く事業を展開しており、今後も重点的に経営資源を投じ、収益力を更に強化します。

当期においては、欧州におけるMXDA生産工場の新設計画や、日本・北米・中国・台湾におけるエレクトロニクスケミカルズの新増設計画を推進いたしました。さらに、MGC ELECTROTECHNO(THAILAND)CO., LTD.においてBT系材料の生産能力増強工事を完了したほか、グローバルポリアセタール株式会社にPOM事業の統括機能を付与し、生産・販売・開発を一体的に運営する体制といたしました。

「新規事業の創出と育成の加速」についても、積極的な研究開発投資を進めております。具体的には、研究人員の増員を行うとともに、DXの推進によって研究活動を更に加速させる取り組みを進めるためDXチーム、及びAI、MI推進チームを各々立ち上げ、新ステージゲートシステムの運用を開始し、IPランドスケープの戦略的活用を推進しました。また、グループ会社とも一体となってイノベーションを推進できる環境を整えるため、平塚研究所の新研究棟建設を決定いたしました。

不採算事業の見直し・再構築に関する取り組みでは、当期に四日市工場のホルマリンの生産を停止し、2023年度第1四半期中を目途として新潟工場におけるホルマリン、パラホルム、ヘキサミンの生産を停止します。水島工場のトリメチロールプロパンの生産停止に続き、ホルマリン・ポリオール系製品群の見直し・再構築を進めております。また、2022年4月より子会社のJ-ケミカルとユタカケミカルが合併し、ホルマリン原料から木質系接着剤までの一貫生産体制の構築による競争優位を獲得し、ホルマリン事業の安定的な収益基盤への転換が進展しております。

これらの施策の実施により、環境変化に強い収益構造への転換を図ります。具体的には、2023年度の差異化事業の売上高を全体の40%以上、不採算・要再構築事業の売上高を全体の3%未満にすることを目指しております。

 

 ●目標2

 社会的価値と経済的価値の両立 ~持続的成長に向けて~

  ■施策

  -事業を通じた社会課題の解決

  -価値創造と環境保全の調和

  -事業活動を支える規律・基盤の強化

 

社会的価値と経済的価値の両立に向けて、3つの施策を遂行しています。

当社は2020年4月に経営として取り組むべき最重要課題(マテリアリティ)を特定し、中期経営計画策定に合わせ、マテリアリティマネジメントの確実な進捗を図るべく、2030年度目標を設定し、これらの目標に向けたマイルストーンとして2023年度KPIを設定いたしました。具体的には、大気保全に向けたGHG排出量削減、エネルギー・気候変動問題解決に向けた投融資額・研究開発費や働きがいのある企業風土の醸成等に関してKPIを設定しています。当期においては、MXナイロン・メタノールでのISCC PLUS認証の取得、網走バイオマス発電への出資、CO2を原料としたメタノールやポリカーボネートの製造検討、人材育成とイノベーション創出の拠点「MGCコモンズ」の建設着工などを行いました。引き続きマテリアリティマネジメントを通じて持続的成長へつなげていきます。

 

「社会と分かち合える価値の創造」の追求:マテリアリティKPI/SDGsターゲット

 

マテリアリティ

 

KPI項目

SDGs(ターゲット)との関連

区分

要素

 

KPI項目

2023年度目標

2030年度目標

価値の創造

(CSV)

事業を通じた貢献

・ICT・モビリティ社会発展

・エネルギー・気候変動問題解決

・医療・食糧問題解決

 

ICT・モビリティ用途売上高

3,200億円

(連結)

デジタル革新を加速する新規事業の創出

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3.6

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9.4

 

エネルギー・環境問題解決への貢献

投融資:120億円

(連結:2021~2023年累計)

投資:取得、融資:決裁ベース

カーボンネガティブ技術の事業化

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9.4

 

 

 

医療・食糧用途売上高

500億円

(連結)

・予防・予測医療の高度化、健康寿命の向上

・食品保存技術のさらなる高度化

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3.8

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12.3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

価値創造の

基盤

(S)

働きがいのある企業風土の醸成

 

年次有給休暇取得10日未満の割合※1 ※2

0%

0%

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8.5

8.8

 

 

労働安全衛生・保安防災

 

重大労働災害※1 ※3

0件

0件

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3.9

 

 

 

重大事故※1 ※4

0件

0件

 

 

省資源・省エネルギー・高効率による生産

 

GHG排出原単位

基準年:2013年度※1

19.9%削減

28.0%削減

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7.3

 

 

新しい価値を生み出す研究開発の推進

 

気候変動問題解決のために投じる研究開発費※1 ※5

5%以上

7%以上

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9.5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

価値創造と

環境保全の

調和

(E)

環境問題の積極的・能動的対応

・大気保全

・水保全

・生物多様性保全

・廃棄物削減

 

GHG排出量

基準年:2013年度※1

28.0%削減

36.0%削減

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13.2

 

 

 

購入電力の再生可能エネルギー

導入率※1

10%

50%

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7.2

 

 

 

廃棄物ゼロエミッション率※1 ※6

0.3%以下

0.15%以下

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12.5

 

 

※1 当社単体ベース

※2 年休付与日数が20日の社員について

※3 休業災害であって、死亡災害、永久労働不能災害を伴うなど障害補償の対象になった、又はその可能性のある障害、休業日数が4日以上であるもの

※4 地域に係る環境汚染や地域住民が被災するなど第三者に脅威を与える事故、重大労災を伴う事故

※5 基礎研究、パイロットプラント、実証実験などの研究開発投融資

※6 最終処分量/廃棄物総排出量

 

② 今後の取り組み

世界的なインフレの進展・金融引き締めや、ウクライナ情勢を巡る地政学リスク等、先の読めない事業環境が続いておりますが、今後も本計画において掲げた経営目標の達成に向け、当社グループ一体となって邁進していきます。

具体的には、目標1「環境変化に強い収益構造への転換」を達成すべく、MXDA、エレクトロニクスケミカルズ、BT系材料をはじめとした差異化製品を中心に積極投資を継続し、経営資源の優先配分を進めるとともに、PC系製品やメタノールを始めとした他の基盤製品についても、更なる高付加価値化・効率化に向けた施策を推進してまいります。また、採算性に課題のある事業については、引き続き構造改革・見直しを進め、不採算・要再構築事業からの脱却を目指します。加えて、新規・次世代事業の創出と育成に向け、R&D資源の積極投入を進めてまいります。

また、目標2「社会的価値と経済的価値の両立」の実現に向け、当社グループが掲げるミッション「社会と分かち合える価値の創造」のもと、マテリアリティマネジメントを通じて、持続的成長へつなげていきます。特にカーボンニュートラルに向けた取組みは、当社経営戦略上の最重要項目の一つであり、当社ならではの特色ある技術を活用し、グリーン水素・CO2 を活用した環境循環型メタノール事業の検討、廃プラスチックのガス化及びメタノール化実証事業、ダイレクトエアキャプチャーシステムの開発など、カーボンニュートラルに貢献する製品・技術の開発を推進し、GHG排出量削減にも取り組んでまいります。

 

この経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載されている計画、目標等の将来に関する記述は、作成時点において当社が入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいて判断したものであり、不確実性を内包するものです。実際の業績等は、様々な要因により、こうした将来に関する記述とは大きく異なる可能性があります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関する事項

 

① ガバナンス

サステナビリティに関する重要な事項は、管理部門長等が参加する諮問機関「サステナビリティ推進委員会」での検討を踏まえ、社長を議長とし、社外を含む全取締役を主構成員とし、監査役等も参加する「サステナビリティ推進会議」で審議・決定されます。

なお、サステナビリティに関する特に重要な事項は、「サステナビリティ推進会議」での審議の後、取締役会として決議します。

 

② リスク管理

第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループは「社会的価値と経済的価値の両立」を目標に掲げ、経営として取り組むべき最重要課題(マテリアリティ)を特定、それらに関わるリスクと機会を把握することで、リスク管理を実施しております。

 マテリアリティの特定にあたっては、数多の社会課題等を「ステークホルダーにとっての重要度」と「当社グループにとっての重要度」の2つの観点で評価し、「サステナビリティ推進会議」での審議を経て、取締役会にて決議しております。

 

③ 戦略

② リスク管理」に記載のとおり、当社グループはマテリアリティを特定した上で、それらに関わるリスクと機会を把握、リスクの低減に努めるとともに、社会課題を解決する新たなビジネスモデルの創出を通じて、持続可能な社会と企業の持続的成長を目指します。

 

④ 指標及び目標

当社グループは、マテリアリティ毎にKPIを設定し、マテリアリティマネジメントの進捗管理を実施しています。

 

当社グループでは、「① ガバナンス」及び「② リスク管理」の枠組みにより、「気候変動への対応」と「人的資本への対応」を特に重要な課題と判断し、それぞれ、以下のとおり「戦略」への取組・「指標及び目標」の設定を行っております。

なお、その他の課題に対する「戦略」・「指標及び目標」については、統合報告書(https://www.mgc.co.jp/corporate/report.html)をご参照ください。

 

(2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)

 

① 戦略

当社グループは、温室効果ガス(以下「GHG」)排出量の削減目標を定め、着実な削減に取り組んで参ります。本取組に強みを有する既存事業からの展開や研究開発力を活用、その他の事業や社外との協働も進めます。移行段階では、GHG排出の少ないLNG発電による電力の活用や、再生可能エネルギーの導入を進めていき、加えて、各種カーボンフリーエネルギーシステム、CCUS(※)、リサイクルシステムの確立や実装等を具体的な施策とし、削減への取組を進めていきます。

※CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage):排出した二酸化炭素を回収・貯留する技術、及び貯留した二酸化炭素を化学品原料等に利用する技術

 

加えて、気候変動リスクの定量的な把握を行うため、インターナルカーボンプライシング制度を導入しております。CO2排出量の増減を伴う設備投資計画において、社内炭素価格(1万円/MT-CO2換算)を適用し換算した費用あるいは効果を投資判断における一助として運用し、CO2排出削減を推進、低炭素社会構築に資する技術・製品の創出を促進します。

また、当社グループは、「気候関連財務情報開示タスクフォース」(以下、TCFD)の提言に賛同しました。気候変動が当社グループに及ぼすリスクと機会を評価し、シナリオ分析を通じてレジリエンスを強化するとともに、ステークホルダーとの健全な対話を推進していきます。

これまで、当社グループの基盤事業及び差異化事業である MXDA、MXナイロン、過酸化水素、ポリカーボネート、光学材料、脱炭素剤事業のシナリオ分析を行い、2つのシナリオに基づき気候変動が事業に及ぼす影響の分析、対応策の検討を行いました。

産業革命前からの気温上昇を+2℃以下に抑えるシナリオにおいては、脱炭素化に向けた炭素税の導入、GHG排出規制強化によるコストの増加が、業績に影響を与える可能性があります。このようなリスクに対して、当社グループは、事業ポートフォリオの再構築、省エネルギー、再生可能エネルギーの導入、GHG排出の少ないLNG発電による電力の活用などにより、影響の抑制を図っていきます。また、脱炭素社会における金属・従来材料の代替によるさらなる軽量化 、再生可能エネルギーのインフラ整備、高付加価値製品市場の拡大は、当社グループの事業拡大の機会であると分析しています。

一方温暖化が十分に防止されず、産業革命前からの気温上昇が+4℃となるシナリオにおいて化石資源の価格高騰、ユーティリティコストの上昇、自然災害の甚大化による工場操業への影響が、業績に影響を与える可能性があります。このようなリスクに対して、当社グループは、化石由来原料 からの転換、製品の高付加価値化、BCPの強化などにより、影響の抑制を図っていきます。また、新興国の人口が大きく増加することから、市場開拓を加速致します。

以上のとおり、気候変動は、当社グループの経営に悪影響を与えることが懸念されるものの、当社グループは化学製品・素材製品から機能製品に至る多様な事業 ポートフォリオによりリスク対応が可能であり、当社グループに与える財務影響は低減できることを確認しています。

今後、エレクトロニクスケミカル、電材事業にもシナリオ分析の範囲を広げ、結果を開示していきます。

 

② 指標及び目標

当社グループ(※)は、2050年カーボンニュートラル達成に向けて、GHG排出削減の長期目標を設定しております。

※当社単体及びScope1,2を有する連結子会社

 

2030年目標

2050年目標

Scope1+2  2013年度比36%削減

カーボンニュートラル達成

 

当社グループのGHG排出量推移は、統合報告書(https://www.mgc.co.jp/corporate/report.html)をご参照ください。

 

 

(3)人的資本への対応

 

① 戦略

1.人材育成の考え方

当社グループは、「社会と分かち合える価値の創造」を存在理念とし、経営理念の中で「働きがいのある場を作り、意欲と能力を重んじ、活力ある集団をめざす経営」を掲げています。その実現に向け、グループ各社において、制度の整備・拡充、教育等に取り組んでいます。

当社では、MGCグループミッション「社会と分かち合える価値の創造」の実現を目指し、従業員一人ひとりがプロフェッショナルとして、個性を磨き、知識と能力を高め、意欲高く高い目標を掲げ、それを達成することを通じて自己を実現する活性化された職場をつくるため、人材育成基本方針を策定しています。

本方針では、求められる人材像として「自律的で意欲にみちた従業員」「あたたかい感性豊かな従業員」「仕事を通じて考え、学ぶ従業員」、育成方針として「全ての従業員の特長を活かす育成」を掲げ、多種多様な従業員が各々の個性を生かして活躍できる社内環境の整備に取り組んでいます。

 

2.具体的な取組

・働きがいのある企業風土の醸成

当社は、従業員の働きがいや生産性の向上、イノベーション創出に不可欠な取り組みとして、働き方改革を推進しています。長時間労働に頼らない働き方を可能とするため、業務フローの見直しや会議時間の短縮等に取り組んできました。2020年からはスーパーフレックスタイム制(コアタイム無し)、在宅勤務制度もトライアル運用を開始し、より柔軟な働き方が可能な環境の整備を進めています。

また、当社の年次有給休暇(年休)取得率は80~85%程度(非管理職では90%程度)で推移していますが、ワークライフバランスの観点から年休取得に対する従業員の意識をより深めるため、KPIとして「年次有給休暇取得10日未満者割合:2023年度0%」を掲げ、社内広報誌の発行やポスターを掲示し、従業員意識の醸成や職場の雰囲気づくりに注力し、年休取得が少ない層も含め、更に年休が取得しやすい環境整備を推進しています。

 

≪年次有給休暇取得率(全社員)推移≫

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※当社単体ベース

 

 ≪年休取得推進の社内広報誌≫              ≪年休取得推進ポスター≫

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・ダイバーシティ&インクルージョンの推進

当社は、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を「全ての従業員が個性を活かして活躍し認め合うこと」と定義し、「多様な価値観・考え方を尊重する意識づくり」「多様な働き方を可能とする環境づくり」「人材の多様化と一人ひとりを活かす組織づくり」「個々の強みを発揮できる人材づくり」「心と体の健康づくり」をD&I推進基本方針として掲げ、多様な人材が個性や能力を発揮して多様に活躍することによる「人と組織のパフォーマンスの最大化」、多様な価値観・考え方・視点・知識を持つ人材が協働することによる「イノベーション創出」や「意思決定の質の向上」を目指しています。

また、少子高齢化に伴い労働力人口が減少する中、女性の活躍を推進することは、中長期的な企業競争力の維持・向上に不可欠と考えており、女性従業員やその育成を担う管理職向けに各種研修を行うなどして、女性従業員のキャリア開発支援を進めています。さらに、文化・習慣・経験・技能等が異なる外国人や中途採用者は、新たな視点やアイデアをもたらす貴重な「多様性人材」と捉えています。「イノベーション創出」や「意思決定の質の向上」がより進むよう、留学生採用や中途採用を積極的に推進しています。

 

② 指標及び目標

① 戦略 2.具体的な取組 ・働きがいのある企業風土の醸成」に記載のとおり、KPIとして「年次有給休暇取得10日未満者割合」を掲げております。

 

≪年次有給休暇取得10日未満者割合(KPI)≫

 

目標値

実績値

2023年度

2030年度

2020年度

2021年度

2022年度

年次有給休暇取得

10日未満者割合

0%

0%

15.1%

11.7%

4.0%

※当社単体ベース

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループでは、「リスク」を、その顕在化により人的被害、物的被害、機会損失、風評被害等が発生し、最終的に会社に経済的損失をもたらす可能性又は危険と捉えており、平時並びに緊急時においてリスクの管理を行う体制を構築しております。具体的には、「内部統制リスク管理基本規程」を定め、リスク管理及びリスク対応に際しての基本方針を定めるとともに、社長直轄の決定機関として、内部統制リスク管理担当役員を委員長とする「内部統制リスク管理委員会」を設置しております。当該委員会は、リスク管理制度等に係る方針、施策、計画に係る事項、事業及び業務に関するリスク管理に係る事項及びこれに付随する指導、指示、監督に係る事項、事業継続計画策定に関する指導、指示、監督に係る事項などを決定します。また、リスク管理に関する状況は定期的に取締役会に報告が行われております。

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして考えられる主な事項として、後述の①から⑬までのものがあります。これらはいずれも、当連結会計年度末現在において、顕在化の程度、時期、具体的な影響等を見積もることは困難であるものの、起こり得るものとして当社グループが判断したものです(但し、必ずしもあらゆるリスクを網羅したものではありません)。

 

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① 事業特性に関するリスク

[リスクの内容]

当社グループの事業の中心は製造業であり、その製品の多くは顧客の事業活動に用いられる原材料や資材・薬剤であることから、製品販売先の国、地域の経済状況、顧客の事業分野での事業環境などの影響を受けます。とりわけ、メタノール、メタノール誘導品、汎用芳香族製品や汎用ポリカーボネート樹脂等の市況製品では、一般的に、景気後退局面において販売数量の減少、販売価格の下落等が起きやすいと言えますが、特殊品・高付加価値製品においてもシリコンサイクルなど顧客需要の波はあり、需要量の減少は当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、特殊品・高付加価値製品においても価格、品質、機能、納期、カスタマーサービス等の面で競争しており、機能を代替する製品の出現など競争の水準が上がることで、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、先端半導体等のエレクトロニクス業界を主な顧客としている製品等は、一般的に製品寿命が短く、常に技術革新競争にさらされているため、既存製品の陳腐化や新規製品開発の遅延によって、売上高が減少する可能性があります。また、当社グループの製品の中には、特定の顧客に対してのみ販売しているものがあり、顧客が当該製品の使用を中止することにより、売上高が減少する可能性があります。

当社グループは、原料キシレン等の原材料や電力等を外部から購入しており、製造設備等の保守、新設も常に行っております。必要な原材料、資材、設備等が調達できなくなると製造活動に支障が出る可能性があるほか、価格が急騰した場合にも当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの事業は、研究開発、製造、販売、物流、企画、管理等、様々な分野における多様な多数の従業員の働きで成り立っております。人材の流動化や国内における少子高齢化等の影響によって、こうした人材の確保が困難となり又はそれに要する負担が過大となった場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループは、より一層の生産性向上を図るため、新しい製品・製造プロセスの開発や既存製品・製造プロセスの改善・改良を実現すべく基礎研究・応用研究に取り組むとともに、付加価値の高い新たな市場、事業分野の開発にも取り組んでいます。また、開発部門なども含めた顧客との密接な情報交換に努めるとともに、長期供給契約の締結などによりリスクの低減を図るほか、原材料等の購買においても、複数の供給元からの調達や長期購買契約の締結などによりリスクの低減を図っています。

生産性向上は製造活動にとどまるものではなく、事業活動の全般において情報システムその他の新たなテクノロジーを活用すべく取り組んでおります。人材の確保に関しても、多様な個性を持つ社員が互いに尊重し、全員が活躍・成長できる職場環境の実現と、多様な価値観のコラボレーションによる新機軸・技術革新(イノベーション)が次々に生まれる活性化された風土作りを目指し、専門部署を設置するとともに各種の施策に取り組んでおります。

 

 

② 海外事業活動に関するリスク

[リスクの内容]

当社グループは、アジア、北米、南米、中東等に現地法人を設立し、又は日本から直接、海外における製造販売、調達等の事業活動を行っていますが、各国内又は地政学的な情勢によっては、自然災害、戦争等、インフラの障害、感染症の拡大、その他予期せぬ事態による政情不安、社会的、経済的混乱等により、事業活動や資金・利益配当の送金等が困難となる可能性もあります。そのほか、法制の違いの問題、外国政府による投資等への制限や資産の国有化・収用の可能性、人事・労務問題等のリスクがあり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループは、可能な限り効果的かつ速やかな対応を可能とするべく、最新の世界情勢に目配りをしつつ、現地に派遣している役職員、合弁相手、関係当局その他からの情報収集に努めております。また、現地での安全確保なども含め、各事業の内容・地域等の事情に応じた対応を進めるべく取り組んでおります。

 

 

③ 合弁事業に関するリスク

[リスクの内容]

当社グループは、日本国内はもとよりサウジアラビア、ベネズエラ、タイ、中国、韓国、トリニダード・トバゴといった海外においても製造合弁会社を多数有し、メタノール、合成樹脂、その他の各種製品を調達・販売しています。これら合弁相手は当社グループの支配下にあるわけではないため、合弁相手が当社グループや合弁事業にとって最良の意思決定をするという確証は無く、合弁が維持されないなどの事態が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループは、これまで築き上げてきた合弁相手先との良好なコミュニケーションの維持・強化を図り、目標・目的の共有や関係維持に努めるとともに、合弁契約その他の事業関連契約等によりリスクの低減を図っています。

 

 

④ 製品の品質に関するリスク

[リスクの内容]

前述のとおり、当社グループの製品の多くは顧客の事業活動に用いられる原材料や資材・薬剤であり、顧客と合意した規格に沿った製品を製造しています。しかしながら、万一、品質上瑕疵ある製品が販売された場合、当該製品を用いた顧客や最終製品の使用者等における直接的損害のみならず、機会損失に対する補償の必要が生じたり、当社の社会的信用が損なわれたりするなどして、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

実際には当社グループの製造拠点のほとんどは世界的に認知された品質管理基準に基づき製造活動を行っておりますが、万一のリスクに対処するため、生産物賠償責任保険をはじめとした賠償責任保険を付保するほか、必要に応じ、顧客との契約によって責任範囲を明確化するなどの対応を行っております。

⑤ 自然災害、事故等に関するリスク

[リスクの内容]

当社グループは、国内外に多数の製造拠点を有しており、これら拠点において地震、風水害等の自然災害や戦争、テロ・暴動、ストライキ、通信インフラの障害、感染症の流行やそれに伴うロックダウン等の諸施策、設備のトラブルや人為的ミス、その他予期せぬ事態の影響によって製造活動が停止する可能性があります。当社グループでは危険性を有する化学物質を日常的に取り扱っていることから、爆発、火災、有毒ガスの漏洩等の事故が発生し、製造設備や従業員に被害が生じたり、当該製造拠点周辺や顧客に損害を与えたり、環境汚染等が生じるといった可能性を完全には排除できません。また、当社グループの製造拠点の多くは複数の製造設備を有し、それらが電気、用水、スチーム等のユーティリティー設備を共用していることから、当該設備が停止すると、製造拠点全体の製造活動が停止する可能性があります。このような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループは、総合的な環境安全管理の手段としてレスポンシブル・ケア活動を推進し、継続的改善を図る中で、リスクアセスメントの強化や安全教育の徹底により保安防災体制構築に最善を尽くしながら製造設備の維持、安定操業に努めることはもちろん、事業継続計画の策定や海外も含めた製造拠点の複数化にも取り組んでおります。加えて、火災保険、利益保険、油濁保険、賠償責任保険といった各種の保険を付保するなどの対応を行っています。

新型コロナウイルス感染症への対応として、危機対策本部を速やかに設置し、迅速に対応してきました。ウェブ会議の全社的な活用等、生産性向上のための施策は感染症対策に資する面もあり、今後もこれらを継続するとともに、事業所ごとに具体的な実務に即した感染症対策を徹底していきます。

 

 

⑥ 情報セキュリティーに関するリスク

[リスクの内容]

当社グループは、事業活動上必要な機密情報及び個人情報を保有するとともに、ビジネスにおけるデジタル化の進展に伴い、各種情報システムを利用して事業活動を行っております。これらの情報の漏洩や情報システムのトラブル、サイバー攻撃や悪意ある第三者による詐欺行為等が発生した場合、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループでは、情報セキュリティー体制を整備し、各種ガイドラインに準拠すべく社内規程の整備、従業員に対する教育を行い従業員のリテラシー向上を図るとともに、一定の情報セキュリティーレベルの確保を図るべく、継続的な取り組みを行い、向上に努めています。

 

 

⑦ コンプライアンスに関するリスク

[リスクの内容]

当社グループは、事業の特性上、毒劇物、危険物、高圧ガス等の危険性を有する化学物質を取り扱い、製造、保管、流通、販売等の各段階で、国内外を問わず法令等により種々の規制を受けています。また、取引を含めた事業活動全般における法令の遵守はもとより、これに限らない社会的責任の遂行が求められていますが、結果として上述の規制を含めた法令・社会的規範に抵触するものとされた場合、法的責任や是正コストの発生、社会的制裁や信用の失墜などにより、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループは、環境規制等に対応する専門部署の設置のほか、コンプライアンス全般について、役職員にこれを意識づける各種施策の実施や、内部通報制度をはじめとする体制を構築し、法令等の遵守に努めています。

当社グループでは、「コンプライアンス」を法令遵守にとどまらず、企業としての社会的責任を認識し、社会規範等を遵守するとともに公正で透明・自由な事業活動を行うことと捉え、周知しています。

 

 

 

⑧ 人権に関するリスク

[リスクの内容]

人権に対する意識は先進国を中心にますます高まっており、ビジネス実施におけるサプライチェーンを含めての人権の尊重及び保護の取り組みが国際的に求められています。当社グループにおいて適切な対応がとられなかった場合、法令上の責任のみならず、取引の停止、社会的制裁、信用の失墜などにより、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループでは、「MGC企業行動指針」「MGCグループ行動規範」において人権の尊重等を掲げ、国連グローバル・コンパクトへの署名も行っております。独自にサプライチェーンに対し「三菱ガス化学CSR調達ガイドライン」等を示して理解と協力を得るなど、人権の保護を含めた責任あるビジネスの実施を推進しています。

 

 

⑨ 気候変動に関するリスク

[リスクの内容]

当社グループは、事業活動等に伴い排出される温室効果ガスがもたらす気候変動や、これに関連して自然環境、事業環境等に生じる様々な変化を重要なリスク要因として認識しております。温室効果ガス排出削減への取り組みが不十分な場合、社会的制裁や信用の失墜が生じうるほか、例えば、炭素税の賦課や排出権取引制度といった各種排出規制が導入された際には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

2019年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD)の提言に賛同しており、気候変動が当社グループに及ぼすリスクと機会について、本社管理部門長が参画する諮問機関での検討を踏まえ、社長を議長とし、社外を含む全取締役を主構成員として、監査役等も参加するサステナビリティ推進会議において審議・決定しております。

また、脱炭素シナリオ・成り行きシナリオによるシナリオ分析を通じて、これらによるリスクを低減するとともに、リスクを事業上の機会とできるようレジリエンスを強化していきます。2022年度のシナリオ分析は、光学材料事業、脱酸素剤事業について実施し、脱炭素シナリオにおいて性能向上やラインナップ強化等により財務影響を低減できることを確認しました。

カーボンニュートラルへの取り組みに強みを有する当社既存事業からの展開や研究開発力を生かし、その他の当社グループ事業や社外との協働も進めながら、移行段階では温室効果ガス排出の少ないLNG発電による電力の活用や、再生可能エネルギーの導入を進めております。今後、各種カーボンフリーエネルギーシステム、CCUS、リサイクルシステムの確立や実装等を具体的な削減施策とし、2050年の当社グループのカーボンニュートラル達成に向け取り組みを進めていきます。

 

 

⑩ 事業投資その他各種投資に係るリスク

[リスクの内容]

当社グループは、事業成長の実現や競争力の強化等のために設備投資や研究開発投資を行い、既存事業の強化や将来の市場ニーズに合致する新規事業の創出に注力しています。また、国内外において、合弁会社を含む新会社の設立や出資等、さらには既存の会社の買収などの事業投資を実施し、今後も実施することがあります。

これらの投資がその額に見合う収益を得られない場合や、保有する有価証券の評価額が大幅に下落した場合などには、固定資産の減損、有価証券評価損、持分法による投資損失等の損失が発生するなど、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループは、投資に際して社内審査体制を整備・運用しているほか、その内容に応じて事業の状況等を適宜確認し、関係部門が適切な対策を講じるべく努めております。

 

 

 

⑪ 為替変動に関するリスク

[リスクの内容]

輸出入等の外貨建て取引においては、為替の動向によって、売上高の減少や損失の増大が生じるなど、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの海外現地法人の現地通貨建ての財務諸表項目は、当社連結財務諸表の作成のため円貨換算されており、換算時の為替レートによって、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループは、外貨建て債権・債務に係る為替変動リスクに対し、社内規程に基づく先物為替予約取引等によって一定程度のリスクヘッジを行っております。

 

 

⑫ 資金調達・金利変動に関するリスク

[リスクの内容]

当社グループは、必要な資金の調達に際し、一定程度、金融機関から借り入れ等を行っていますが、金融環境が急変した場合などには、資金調達が困難になったり金利上昇によって支払利息が増加したりするなど、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループは、負債資本倍率、自己資本比率などを指標に一定の財務健全性を維持するよう努めるとともに、固定金利・変動金利の適宜の組み合わせの実施や、金融機関などとの健全かつ良好な関係の維持に努めるなどしております。

 

 

⑬ 訴訟に関するリスク

[リスクの内容]

当社グループの国内外の事業に関連して、将来訴訟その他の法的手続が提起され、不利な結果が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、当社グループは、国内外において特許を出願し取得するなど知的財産の保護を図るとともに、他者の権利を侵害しないようにも努めています。しかし、これらに関して訴訟が生じ、当社の主張が認められなかった場合、当社グループの業績や成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[主な取り組み]

当社グループは、事業に関連する各種法令を遵守するのはもちろんのこと、弁護士その他の専門家の協力も得ながら、適切な契約の締結による権利義務の明確化、他者の権利の調査等、紛争の未然防止に努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は以下のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され社会経済活動が徐々に正常化に向かいました。一方、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、原燃料価格等が高騰したほか、世界的な物価上昇を背景に米欧を中心とした金融引き締め政策が続き、景気減速懸念が顕在化、設備投資や個人消費にも影響を与えるなど不安定な状況が続きました。

当社グループにおいては、円安はプラスに寄与したものの、原燃料コストの上昇や、中国における需要回復の遅れ、米欧の景気減速懸念に伴う需要減などの影響を受け、厳しい事業環境が続きました。またコロナ特需の終焉やインフレによる消費低迷により、PC、スマートフォン等の電子機器の販売が悪化、サプライチェーンの在庫積み上がりによる影響もあり、半導体向け製品などの需要は年度後半に向けて顕著に減速しました。

このような状況下、当社グループは、2021年度よりスタートした中期経営計画「Grow UP 2023」のもと、「環境変化に強い収益構造への転換」を図るべく、「競争優位(“差異化”)事業の更なる強化」「新規事業の創出と育成の加速」「不採算事業の見直し・再構築」等の施策による事業ポートフォリオ改革を推進しております。また、原燃料価格及び輸送費の上昇に対しては、コスト上昇分の販売価格への転嫁に取り組むなど、収益力の維持・強化に努めております。

 

当社グループの売上高は、電子材料などの販売減少がありましたが、為替変動の影響や、原燃料価格や輸送費上昇分の販売価格への転嫁に加え、韓国ポリアセタール販売会社の新規連結化などもあり、増収となりました。

営業利益は、円安効果や、ポリアセタールの販売好調などの増益要因があったものの、原燃料価格や輸送費の上昇に加え、電子材料などの販売減少、修繕費や研究開発費などの増加により、減益となりました。

経常利益は、メタノール市況は下落したものの、海外メタノール生産会社における繰延税金負債の取り崩しなどが持分法利益の増加要因となりましたが、エンジニアリングプラスチックス関連会社の持分法利益が減少したことや、営業利益の減少などから、減益となりました。

 

以上の結果、売上高7,812億円(前期比755億円増(10.7%増))、営業利益490億円(前期比63億円減(11.4%減))、持分法利益175億円(前期比26億円増(17.9%増))、経常利益697億円(前期比43億円減(5.9%減))、親会社株主に帰属する当期純利益490億円(前期比7億円増(1.6%増))となりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

〔基礎化学品事業部門〕

メタノールは、市況は前期をやや下回りましたが、円安効果に加え、持分法利益が増加したことなどから増収増益となりました。

メタノール・アンモニア系化学品は、原燃料価格が上昇した中で採算是正を進めましたが、ネオペンチルグリコールの市況が悪化したことや、修繕費の増加などにより減益となりました。

ハイパフォーマンスプロダクツは、芳香族アルデヒドの販売数量が増加したものの、メタキシレンジアミンの販売数量減少により減益となりました。

キシレン分離/誘導品は、原燃料価格の上昇により高純度イソフタル酸(PIA)の採算が悪化したことなどから減益となりました。

発泡プラスチック事業は、原燃料価格等の上昇に対する製品価格改定時期の遅れなどにより、減益となりました。

 

以上の結果、売上高4,721億円(前期比522億円増(12.4%増))、営業利益188億円(前期比69億円減(26.9%減))、経常利益305億円(前期比4億円増(1.6%増))となりました。

 

〔機能化学品事業部門〕

無機化学品は、輸送費や原燃料価格上昇分の販売価格への転嫁を進めましたが、半導体需要の減速により、一部地域において半導体向け薬液の販売数量が減少したことなどから減益となりました。

エンジニアリングプラスチックスは、ポリカーボネート、ポリカーボネートシート・フィルムの販売数量は減少しましたが、ポリアセタールの販売が好調に推移したほか、韓国ポリアセタール販売会社の新規連結化などもあり増収増益となりました。

光学材料は、前期の顧客の在庫調整は解消したものの、光学樹脂ポリマーの主用途であるスマートフォンの需要が低調に推移したことなどから減益となりました。

電子材料は、主力の半導体パッケージ用BT材料において、PC関連機器や家電向けなどの汎用材料の需要が落ち込んだことに加え、スマートフォンやメモリ向けの高機能材料の需要も減少したことなどから減収減益となりました。

「エージレス®」等の脱酸素剤は、原材料費や輸送費が上昇したことなどから減益となりました。

 

以上の結果、売上高3,089億円(前期比234億円増(8.2%増))、営業利益326億円(前期比9億円減(2.8%減))、経常利益387億円(前期比66億円減(14.7%減))となりました。

 

〔その他の事業〕

その他の事業の売上高は1億円、営業損失は0億円、経常損失は0億円となりました。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,006億円増加し10,293億円となりました。

流動資産は、310億円増加し4,832億円となりました。増加の要因は、商品及び製品の増加などであります。

固定資産は、696億円増加し5,460億円となりました。増加の要因は、投資有価証券の増加などであります。

負債合計は、603億円増加し3,580億円となりました。流動負債は、短期借入金の増加などにより、214億円増加しました。固定負債は、長期借入金の増加などにより、388億円増加しました。

純資産は、403億円増加し6,712億円となりました。増加の要因は、利益剰余金の増加などであります。

この結果、自己資本比率は59.0%になりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ89億円増加し1,011億円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ31億円収入が増加し552億円の収入となりました。増加の要因は、売上債権の減少などであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ8億円支出が減少し640億円の支出となりました。減少の要因は、投資有価証券の取得による支出の減少などであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ116億円収入が増加し79億円の収入となりました。増加の要因は、長期借入れによる収入の増加などであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

基礎化学品事業部門(百万円)

288,873

15.7

機能化学品事業部門(百万円)

250,057

△9.4

その他の事業(百万円)

8

△18.8

合計(百万円)

538,939

2.6

(注)生産金額は、生産総量から自家消費分を差引いた販売向けの生産量に当連結会計年度の販売単価を乗じて算出しており、セグメント間の内部振替前の数値であります。

 

b.受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社)は原則として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

基礎化学品事業部門(百万円)

472,167

12.4

機能化学品事業部門(百万円)

308,904

8.2

その他の事業(百万円)

138

△50.2

合計(百万円)

781,211

10.7

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

中期経営計画「Grow UP 2023」の経営成績ならびに最終年度(2023年度)の目標値は以下の通りです。

 

連結指標

2021年度実績

2022年度実績

2023年度目標

売上高

7,056億円

7,812億円

7,300億円

営業利益

553億円

490億円

700億円

経常利益

741億円

697億円

800億円

ROIC ※

10.4%

8.8%

10%以上

ROE

8.8%

8.3%

9%以上

※ ROIC=経常利益/投下資本

 

当連結会計年度の経営成績に関する状況の認識は「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。

中長期的な課題への対処としては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、「Grow UP 2023」において2つの目標とそれぞれについて3つの施策を掲げるとともに、3か年の累計投融資額2,400億円、研究開発費730億円を計画しております。差異化事業への戦略投資を積極的に実行するとともに、新たな研究開発部門体制のもとグループ内外の技術・人員を最大限活用し、「環境変化に強い収益構造への転換」及び「社会的価値と経済的価値の両立」に向け、グループ一体となりまい進していきます。

 

セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

[基礎化学品事業部門]

基礎化学品事業部門の経営成績は以下のとおりであります。

 

連結指標

2021年度実績

2022年度実績

2023年度目標

売上高 ※

4,253億円

4,789億円

4,100億円

営業利益

257億円

188億円

250億円

経常利益

300億円

305億円

310億円

※ セグメント間の内部売上高又は振替高を含む

 

「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、2022年度実績は、原燃料価格等の上昇、修繕費の増加、メタキシレンジアミンの販売数量減少などから営業利益は減益となりましたが、海外メタノール生産会社の持分法利益が増加し、経常利益は増益となりました。

今後は、メタキシレンジアミンや芳香族アルデヒドといった特殊芳香族化学品の製造設備の新設など、差異化製品を中心とした積極投資を進めるとともに、環境循環型製品としてのメタノールの製造技術開発推進、CCS実用化に向けた取り組み、物流・生産の効率化によるコスト削減など、基盤事業についても、引き続き高付加価値化・効率化に向けた施策を推進してまいります。また、不採算・要再構築事業についても、更なる構造改革・見直しなどに取り組んでまいります。

 

[機能化学品事業部門]

機能化学品事業部門の経営成績は以下のとおりであります。

 

連結指標

2021年度実績

2022年度実績

2023年度目標

売上高 ※

2,855億円

3,090億円

3,300億円

営業利益

336億円

326億円

490億円

経常利益

454億円

387億円

530億円

※ セグメント間の内部売上高又は振替高を含む

 

「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、2022年度実績は、韓国ポリアセタール販売新社の新規連結化などにより増収となりましたが、営業利益はポリアセタールの販売が好調であった一方で、電子材料やポリカーボネートの販売数量減少などにより、減益となりました。

今後は、超純過酸化水素などエレクトロニクスケミカルズの既存・新規生産拠点のグローバル展開の強化、事業再編などによるポリアセタールの市場プレゼンス向上、電子材料の海外製造子会社の生産能力増強、光学樹脂ポリマーの原料モノマープラント新設など、差異化製品の成長に向けた各種施策を進めてまいります。また三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社を連結化したポリカーボネート等の基盤事業についても、高付加価値化等を推進することで、環境変化に強い収益構造への転換に取り組んでまいります。

 

② 経営成績等に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

本有価証券報告書提出日現在、新型コロナウイルス感染症の流行は収束傾向にありますが、感染が再度拡大した場合、需要減少等により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。これらの資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの借入、社債等を基本としております。

なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

また、当連結会計年度末における有利子負債の残高は1,669億円、現金及び現金同等物の残高は1,011億円となっております。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。事業に対する投資や撤退判断等、経営の意思決定を迅速に行うため、売上規模や利益額に加え、資本効率を分析値に加えております。

 

⑤ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)資本業務提携に関する契約

当社は、2015年2月、㈱JSPとの間で、両社の収益力の強化、新規事業の創出・育成や経営効率の改善等を図ることにより、両社のシナジーを実現し、それぞれの企業価値を向上させ、以てグループ企業価値の向上を図ることを目的として、資本業務提携に関する基本合意書を締結しております。

 

(2)技術供与契約関係

契約会社名

契約締結先

契約締結年月日

契約項目

対価

契約期間

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

METANOL DE ORIENTE,
METOR,S.A.

(持分法適用関連会社)

2006.12.19

メタノールの製造に関する特許及びノウ・ハウの非独占的実施権

一時金

終期の定めなし

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

BRUNEI METHANOL
COMPANY SDN.BHD.

(持分法適用関連会社)

2007.4.12

メタノールの製造に関する特許及びノウ・ハウの非独占的実施権

一時金

終期の定めなし

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

三菱瓦斯化学工程塑料(上海)有限公司

(連結子会社)

2010.7.30

ポリカーボネート樹脂の製造に関する特許技術及び専有技術

一時金及び契約製品の売上高に対する一定の実施料

2012年4月より14年

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

CARIBBEAN GAS CHEMICAL LIMITED

2015.4.10

メタノール及びDMEの製造に関する特許及びノウ・ハウの非独占的実施権

一時金

2015年4月より20年

 

 

(3)合弁事業契約関係

契約会社名

契約締結先

設立年月

内容

合弁会社名

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

国際協力機構

三井化学㈱

住友化学㈱

㈱クラレ

伊藤忠商事㈱

三菱ケミカル㈱

日鉄ケミカル&マテリアル㈱

1979年11月

サウジアラビア王国にてサウジ基礎産業公社(SABIC)と合弁でメタノールの生産・販売を目的とする事業を営むための日本側投資法人への出資

日本・サウジアラビアメタノール㈱

(持分法適用関連会社)

当社出資比率 47%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

CELANESE SERVICES GERMANY GMBH

グローバルポリアセタール㈱

1987年3月

ポリアセタール樹脂の製造・販売に関する合弁事業

KOREA ENGINEERING PLASTICS CO., LTD.

(持分法適用関連会社)

当社出資比率 40%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

HANSOL CHEMICAL CO., LTD.

1989年10月

超純過酸化水素の製造・販売に関する合弁事業

SAMYOUNG PURE CHEMICALS CO., LTD.

(連結子会社)

当社出資比率 51%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

PETROQUIMICA DE VENEZUELA, S. A.

三菱商事㈱

INTERNATIONAL PETROCHEMICAL HOLDINGS LTD.

1992年3月

メタノールの製造・販売に関する合弁事業

METANOL DE ORIENTE, METOR, S. A.

(持分法適用関連会社)

当社出資比率 23.75%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

三菱ケミカル㈱

1994年3月

エンジニアリングプラスチックスの販売業務に関する合弁事業

三菱エンジニアリングプラスチックス㈱

(持分法適用関連会社)

当社出資比率 50%

グローバルポリアセタール(株)

(連結子会社)

TOA DOVECHEM INDUSTRIES CO., LTD.

1995年7月

ポリアセタール樹脂の製造・販売に関する合弁事業

THAI POLYACETAL CO., LTD.

(連結子会社)

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

伊藤忠商事㈱

MIRKHAS SDN. BHD.

2006年3月

メタノールの製造・販売に関する合弁事業

BRUNEI METHANOL COMPANY SDN. BHD.

(持分法適用関連会社)

当社出資比率 50%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

三菱エンジニアリングプラスチックス㈱

2009年8月

ポリカーボネート樹脂の製造・販売に関する合弁事業

三菱瓦斯化学工程塑料(上海)有限公司

(連結子会社)

当社出資比率 91%

三菱瓦斯化学(株)

(当社)

三菱商事㈱

NATIONAL GAS COMPANY OF TRINIDAD AND TOBAGO LIMITED

三菱重工エンジニアリング㈱

MASSY HOLDINGS LTD.

2013年3月

メタノールの製造・販売に関する合弁事業

CARIBBEAN GAS CHEMICAL LIMITED

 

 

 

(注)当社は、2023年4月3日に合弁会社である三菱エンジニアリングプラスチックス㈱の株式を追加取得いたしました。株式取得後の当社出資比率は75%となり、当社の連結子会社となりました。

 

6【研究開発活動】

中期経営計画Grow UP 2023の開始に合わせて、R&D組織の統合・組織改定による研究推進体制整備を行いました。当社の総力を挙げてイノベーションを創出する研究集団として、新たに研究統括部と知的基盤センターを発足させ、活動しています。この新体制の下、全社的な視点から経営資源を配分し、研究開発を一層加速することで、既存事業の収益力強化と新規事業の創出を推進しました。また、3つの研究所に計算化学やデータ科学の解析を専門に実施するDXチームを配置した結果、研究開発の加速に大いに役立っています。

研究統括部(次世代戦略グループ、新規事業開発グループ)は、ベンチャー企業との連携及び出資、公的研究機関との共同研究など、社外との連携による研究開発活動によって新規事業領域での事業創出を継続しました。また、自ら生み出した医療包材や固体電解質などの事業化を推進するとともに、オープン・イノベーションによるアレルギー診断薬などの新規領域の製品開発に取り組みました。福島県白河市における工場生産野菜事業では、安心・安全な野菜を社会に提供しています。

子会社の研究開発部門も含めた当社グループの研究開発スタッフは、グループ全体で約1,048名であり、総従業員数の約10%にあたります。また研究費の総額は23,512百万円であります。当連結会計年度における各セグメント別の研究内容、研究成果、及び研究開発費は次のとおりであります。

 

[基礎化学品事業部門]

基礎化学品事業部門内の6つの事業とその周辺に関わるテーマについて研究開発を進めています。

化成品事業部;原料調達から誘導品まで展開する当社メタノール事業のコアとなる製造技術や合成触媒の開発を行っています。循環型社会、カーボンニュートラルへの動きが加速されている中、パイロット装置を活用しつつCO2、廃プラ、消化ガス等、多様な原料からのメタノール製造技術の実証試験を進めています。これら多様な資源を活用し製造されるメタノールを「環境循環型メタノール」と定義し、当社の構想・技術・サービス・製品にCarbopathTMとネーミングした上で、その実現に向けて邁進しています。またDXを取り入れたプラントの運用やメタノール事業の裾野を広げるべくメタノール改質水素製造プロセスを見直した設備による市場展開等の計画も進めております。

ハイパフォーマンスプロダクツ事業部;主製品としてメタキシレンジアミン、芳香族アルデヒドなどのケミカル製品と、MXナイロン、特殊ポリエステルやシアネートなどのポリマー材料製品群があります。メタキシレンジアミンは、誘導体を含めて、硬化剤、イソシアネート、ポリアミド向けに好調に推移しており、技術開発やコスト改善、新たな市場開発を進めております。芳香族アルデヒドは、香料や高機能樹脂添加剤向けの販売が好調であり、増産検討及び高付加価値製品の開発による収益力の強化を努めています。MXナイロン系製品では、基本グレードが食品向けバリア包材用途で、新グレードであるバイオベースポリアミドが自動車・電子部品用途等で販売量を拡大させており、更なる拡大に向けてTS、技術改善を行っております。特殊ポリエステルやシアネートもそれぞれ高耐熱樹脂、高機能熱硬化性樹脂原料として新規開発及び市場展開を進めており、また樹脂製品群を用いた複合材料等の研究開発も推進しております。さらに独自の強酸取り扱い技術、酸化・還元技術や重合技術を駆使した高付加価値製品の開発も進めており、その一つに透明ポリイミドがあります。本樹脂を用いたワニス及びフィルムは、フレキシブルディスプレイ・タッチパネル・センサー関連等の用途で高い評価を得ており、一部事業化、更にデモ品への採用が進んでおります。その他、半導体関連材料向け原体、熱可塑性ポリイミドについても早期の事業化を目指し、検討を進めております。

基礎化学品第一事業部;メチルアミン・アンモニアやMMA系製品を取り扱っています。国内唯一のメチルアミン製造会社であり、誘導体の引合いも多く、増産を検討しています。MMA系製品は塗料向けや電子材料向けに各種関連製品を有しており、市場を広げるべく技術開発を進めています。独自性のある新規誘導品の開発も行っております。

基礎化学品第二事業部;ホルマリン・ポリオール系とキシレン分離・誘導品の2製品群を扱っています。関連会社との協業、キシレン分離・異性化のプロセスコストダウン、特殊ポリオール製品群の競争力強化等を行っています。市況変動等の外部環境変化の影響を低減すべく、川下の特殊化学製品群への展開を進めています。

エネルギー資源・環境事業部;天然ガスの開発・生産、LNG発電や地熱発電も手掛けています。これらの中でも新潟に賦存する水溶性天然ガスは地産地消が可能な資源であり、貴重な輸出資源であるヨウ素も豊富に含まれております。ヨウ素はX線造影剤や他医療用途、液晶関連等で幅広く需要が見込まれており、関連技術の開発を進めております。またエネルギー・資源に関わる研究として、メタノール直接型燃料電池の製造・販売も手掛けております。

ライフサイエンス部;これまでに蓄積した培養技術・発酵技術を活用し新規製品群を開発しています。高齢化社会のニーズに即したアンチエイジング素材であるピロロキノリンキノン(PQQ)や酵母栄養成分を豊富に含むS-アデノシルメチオニン(SAMe)含有乾燥酵母、スペルジミン(SPD)含有乾燥酵母、乳酸菌を販売しています。またこれら製品の機能を深堀調査するとともに、新規に機能性乳酸菌の開発も進めています。抗体医薬事業では、治験薬・原薬製造受託事業への参入を目的として設立した合弁会社である株式会社カルティベクスの製造工場を稼働中であり、1000L、2000Lの製造装置を活用し、複数の案件を受託しております。

当該事業部門に係る研究開発費は10,471百万円であります。

[機能化学品事業部門]

機能化学品事業部門では、5つの事業分野とそれらの周辺分野において、情報通信、医・食、モビリティ、インフラ領域をターゲットとし、以下の研究開発活動に取り組んでいます。

無機化学品事業;過酸化水素とその誘導体については、生産技術のブラッシュアップによるコスト競争力強化を継続的に進めています。また食品分野を中心に洗浄用途に向けた製品開発、拡販に取り組み採用実績を伸ばしています。高機能電子工業用薬品は、海外各拠点の開発体制強化により、最先端半導体デバイス向け新規グレードの開発と市場投入を促進し、採用実績の拡大に努めています。さらに、超純過酸化水素をはじめとする各種電子工業用薬品の生産能力増強検討を海外拠点中心に推進し、顧客要望にタイムリーに対応していきます。

電子材料事業;電子材料分野では、情報通信技術の高度化や多様性に応える高周波回路用材料、データ通信の大容量化に対応するメモリとロジック半導体パッケージ基板用積層材料、電子部品の低背化と高機能化を実現できる薄葉積層および微細回路形成材料の開発を推進しています。

合成樹脂事業;ポリカーボネート樹脂については、素材品質向上のための技術開発や熱成形用ハードコートフィルム、新規光学フィルムなどの機能性フィルム、さらに炭素繊維強化熱可塑プラスチック(CFRTP)といった高付加価値製品の開発に取り組んでいます。また、カーボンニュートラル、SDG'sに向けた取組として、二酸化炭素を原料とするポリカーボネート中間体および樹脂素材の開発を行っており、グリーンイノベーション基金計画に沿ってプロセス開発を進め、スケールアップ検討に取り組みます。

光学材料事業;光学樹脂ポリマーは、スマートフォン向け小型カメラレンズ用材料を中心にAR/VR、センサー等へ展開を図っており、用途に応じた新規グレードの開発と市場投入を進めています。さらに、リサイクル技術の確立にも取り組んでいます。眼鏡用レンズモノマーは、ユーザーニーズに対応した新製品開発と市場投入を進めています。また、これまでに培った知見を活かし、次世代デバイス向けの新規光学材料の開発にも取り組んでいます。

脱酸素剤分野;脱酸素剤は、今日では食品の鮮度保持にとどまらず、医薬品の保存安定性維持や、錆を防ぎたい金属部品、文化財の保護など身近な生活分野に展開しています。環境に配慮した製品設計を心掛け、プラスチックを減量した小型化製品の開発や、最新の法規制に対応する製品の開発も進めています。また、培ってきた環境(雰囲気)制御技術を加工食品のみならず、精肉、青果などのフードロス削減のために役立てられるように、技術開発を進めています。

上記以外に、新規材料開発として、各分野の周辺材料や基盤技術を他の市場・用途に展開できる製品開発を精力的に進めています。

当該事業に係る研究開発費は13,041百万円であります。