独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

 

 

2025年3月11日

協和キリン株式会社

 

 

取 締 役 会  御 中

 

 

 

有限責任 あずさ監査法人

東京事務所

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

神 塚   勲

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

石 井 伸 幸

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

岩 崎 宏 明

 

 

<連結財務諸表監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている協和キリン株式会社の2024年1月1日から2024年12月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表注記について監査を行った。

 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条により規定された国際会計基準に準拠して、協和キリン株式会社及び連結子会社の2024年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

仕掛研究開発費の減損判定におけるプロジェクト継続可否判断の妥当性

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 協和キリン株式会社の当連結会計年度の連結財政状態計算書において、無形資産165,297百万円が計上されており、連結財務諸表注記「7.のれん及び無形資産」に記載のとおり、このうち89,645百万円は研究開発段階にある製品、開発品及び技術などの導入契約に伴い取得した研究開発に係る権利としての仕掛研究開発費である。

 連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針 (7) 無形資産」に記載のとおり、仕掛研究開発費は償却が開始されていない無形資産に該当するため、個別資産ごとに毎期(第4四半期中)及び減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施し、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識される。

 仕掛研究開発費は、主に製品、開発品及び技術などの導入契約に伴い取得した無形資産のうち、研究開発等の段階にあり、未だ規制当局の販売承認が得られていないものである。これらは、取得時において事業価値の評価が行われた上で投資意思決定がなされているが、その後の研究開発の過程で、期待どおりの有効性・安全性が認められない場合等、取得時の事業価値評価の前提とした状況から開発コストの見積総額、開発成功確率、将来の販売予測等が大きく変わる可能性がある。その結果、事業継続の経済的合理性が引き続き見込まれる場合には開発が継続される一方、経済的合理性が見込まれなくなった場合には、開発が中止されるリスクがある。このため、経営者による適切な開発状況のモニタリングに基づいた研究開発プロジェクトの継続可否判断の妥当性が、仕掛研究開発費の減損判定に重要な影響を及ぼす。

 以上から、当監査法人は、仕掛研究開発費の減損判定におけるプロジェクト継続可否判断の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。

 当監査法人は、仕掛研究開発費の減損判定におけるプロジェクト継続可否判断の妥当性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。

(1)内部統制の評価

 仕掛研究開発費の減損判定におけるプロジェクト継続可否判断に係る内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。

(2)プロジェクト継続可否判断の妥当性の評価

 仕掛研究開発費のうち一定の金額的重要性を有する資産について、経営者による仕掛研究開発費の減損判定におけるプロジェクトの継続可否判断の妥当性を評価するため、主に以下の手続を実施した。

●取得時における各プロジェクトの事業価値の評価の前提を理解するため、取締役会資料等の関連資料を閲覧した。

●製品戦略部及びグローバル製品戦略部における各プロジェクトの対象プロダクト担当者に対して、取得時の事業価値評価の前提とした状況からの変化の有無について、主に以下の観点から質問した。

・開発コストの見積総額に影響を与える、計画に照らした開発進捗状況、計画からのコスト増加要因の有無、及び臨床試験計画の変更要否

・開発成功確率に関連する最新の臨床試験結果における有効性・安全性の評価

・将来の販売予測の前提となる、承認取得予定時期、想定薬価、適応疾患に係る推定患者数、及び他社による競合品の開発状況

●プロジェクトの進捗状況のモニタリングに係る会議資料の議事録及び関連資料を閲覧した。

●各プロジェクトの継続可否判断と、上記のプロダクト担当者からの質問に対する回答内容との整合を確認した。

 

 

 

関係会社社債の予想信用損失の見積りの妥当性

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 協和キリン株式会社の連結財政状態計算書において、その他の金融資産(非流動資産)32,800百万円が計上されており、このうち22,500百万円は、連結財務諸表注記「2.作成の基礎 (5) 会計上の判断、見積り及び仮定 ③金融資産の減損」に記載のとおり、持分法適用会社である協和キリン富士フイルムバイオロジクス株式会社(以下「FKB社」。)が発行して会社が引き受けている社債であり、総資産の2.1%を占めている。

 連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針 (3) 金融商品②金融資産の減損」に記載のとおり、会社は、期末日ごとに金融資産に係る信用リスクが著しく増加しているかどうかを評価しており、当初認識時点から信用リスクが著しく増加していない場合には、12か月の予想信用損失を貸倒引当金として認識している。

 FKB社は、バイオシミラー医薬品の開発、製造及び販売を行っており、研究開発活動が先行することから、2024年12月末時点において債務超過となっている。会社は関係会社社債の信用リスクの著しい増加の有無及び12か月の予想信用損失をFKB社の事業計画に基づき検討した結果、貸倒引当金の計上は不要と判断している。

 関係会社社債の予想信用損失の見積りはFKB社の事業計画を基礎としており、事業計画には、市場環境を踏まえた見込販売数量及び取引条件等の主要な仮定が用いられている。しかしながら、市場環境を踏まえた見込販売数量及び取引条件等の仮定には高い不確実性を伴い、これらに基づく経営者による判断が予想信用損失の見積りに重要な影響を及ぼす。

 以上から、当監査法人は、関係会社社債の予想信用損失の見積りの妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。

 当監査法人は、関係会社社債の予想信用損失の見積りの妥当性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。

(1)内部統制の評価

 関係会社社債の予想信用損失の見積りに関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。

(2)関係会社社債の予想信用損失の見積りの検討

 関係会社社債の予想信用損失の見積りの基礎となるFKB社の事業計画に用いられた主要な仮定が適切かどうかを評価するため、協和キリン株式会社及びFKB社の担当者に対して見込販売数量の前提となる各地域の市場におけるシェアの算定方法について質問したほか、主に以下の手続きを実施した。

●FKB社が販売する製品の各市場の総需要及びその市場におけるバイオシミラー医薬品の浸透率について、外部機関が公表しているデータと照合した。

●FKB社の事業計画が販売先の将来販売計画に基づいて策定されていることを確認するとともに販売先の過去の販売計画と販売実績との乖離率を検討した。

●FKB社と販売先との取引条件に関する協議について、関連する議事録を閲覧した。

 

その他の記載内容

 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

 

連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

 経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

 

<内部統制監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、協和キリン株式会社の2024年12月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。

 当監査法人は、協和キリン株式会社が2024年12月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

 監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

 

内部統制監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

・財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、内部統制の監査を計画し実施する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 

<報酬関連情報>

 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】に記載されている。

 

利害関係

 会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

 

以 上

 (※) 1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しています。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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