第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第2四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

 また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営上の重要な契約等】

 当第2四半期連結会計期間において、帝人株式会社と当社連結子会社であるポリプラスチックス株式会社とのウィンテックポリマー株式会社に関する合弁事業契約につき、平成28年9月30日付けで終了いたしました。

 

3【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 業績の状況

 当第2四半期連結累計期間の世界経済は、米国で景気回復が続き、欧州でも景気の緩やかな回復が続く一方、中国では景気の減速がみられました。日本経済は、一部に弱さがみられるものの景気の緩やかな回復基調が続きましたが、為替環境の変化や海外情勢の不透明感の高まりなど予断を許さない状況のうちに推移しました。

 このような状況の中、当第2四半期連結累計期間の当社グループの業績は、売上高2,098億2百万円(前年同期比7.4%減)、営業利益306億6百万円(前年同期比3.2%減)、経常利益295億16百万円(前年同期比9.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益190億59百万円(前年同期比10.7%減)となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

①セルロース事業部門

 酢酸セルロースは、液晶表示向けフィルム用途は堅調に推移しましたが、その他用途が減少したことや、為替の影響などにより、売上高は減少いたしました。

 たばこフィルター用トウは、世界的に需給が緩んでいる中、主要顧客との関係強化や新規顧客開拓により、販売数量はほぼ前年同期並みになったものの、為替の影響などにより、売上高は減少いたしました。

 当部門の売上高は、434億58百万円(前年同期比19.1%減)、営業利益は、為替の影響などにより、116億79百万円(前年同期比25.2%減)となりました。

 

②有機合成事業部門

 主力製品の酢酸は、当連結会計年度が網干工場で2年に1度の定期修繕を実施しない年であったことにより販売数量が増加したものの、為替の影響や市況低下の影響により、売上高は減少いたしました。

 合成品は、電子材料分野などへの販売数量が増加したものの、為替の影響や原油価格低下に伴う販売価格への影響などにより、売上高は減少いたしました。

 機能品は、為替の影響を受けたものの、電子材料分野やコスメ・ヘルスケア分野などで一部製品の需要が堅調に推移したことにより、売上高は増加いたしました。

 光学異性体分離カラムなどのキラル分離事業は、中国やインド向けなどのカラム販売が好調に推移したものの、為替の影響などにより、売上高は減少いたしました。

 当部門の売上高は、365億11百万円(前年同期比10.8%減)、営業利益は、為替の影響や原燃料価格低下に伴う販売価格への影響などにより、57億円(前年同期比1.3%減)となりました。

 

③合成樹脂事業部門

 ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどのエンジニアリングプラスチック事業は、中国などの新興国経済の減速や電子デバイス製品市場の不振がみられたものの、中国や東南アジアでの自動車生産が好調に推移したことなどにより、販売数量は増加しました。しかし、為替の影響や原燃料価格低下に伴う販売価格への影響などにより、売上高は減少いたしました。

 ABS樹脂、エンプラアロイ樹脂を中心とした樹脂コンパウンド事業は、販売数量が増加したものの、為替の影響や原油価格低下に伴う販売価格への影響などにより、売上高は減少いたしました。

 シート、成形容器、フィルムなどの樹脂加工事業は、成形容器などの販売が減少し、売上高は微減となりました。

 当部門の売上高は、763億23百万円(前年同期比8.6%減)、営業利益は、販売数量の増加や、原燃料調達価格の低下、各社の収益改善などにより、112億78百万円(前年同期比13.8%増)となりました。

 

④火工品事業部門

 自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生器)などの自動車安全部品事業は、為替の影響があったものの、インフレータの販売数量増加などにより、売上高は増加いたしました。

 発射薬、ミサイル構成部品、航空機搭乗員緊急脱出装置関連製品などの特機事業は、一部製品の防衛省による調達数量減少により、売上高は減少いたしました。

 当部門の売上高は、506億46百万円(前年同期比11.5%増)、営業利益は、販売数量の増加などにより、84億62百万円(前年同期比43.5%増)となりました。

 

⑤その他部門

 水処理用分離膜モジュールなどのメンブレン事業は、医療用分野向けなどの増加により、売上高は増加いたしました。

 運輸倉庫業など、その他の事業の売上高は減少いたしました。

 当部門の売上高は、28億61百万円(前年同期比0.6%減)、営業利益は、2億98百万円(前年同期は営業損失73百万円)となりました。

 

(2) 資産、負債および純資産の状況

総資産は、主に受取手形及び売掛金やたな卸資産の減少および投資有価証券の時価評価額の減少等により、前連結会計年度末に比し183億1百万円減少し、5,418億88百万円となりました。

負債は、主に支払手形及び買掛金の減少等により、前連結会計年度末に比し118億59百万円減少し、1,796億10百万円となりました。

また純資産は、3,622億78百万円となりました。純資産から非支配株主持分を引いた自己資本は、3,363億64百万円となり自己資本比率は62.1%となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、668億34百万円となりました。

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動による資金の増加は386億74百万円(前年同期は、287億6百万円の増加)となりました。資金増加の主な内容は、税金等調整前四半期純利益299億7百万円及び減価償却費133億6百万円であり、資金減少の主な内容は、仕入債務の減少48億56百万円及び法人税等の支払額90億40百万円であります。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動による資金の減少は178億9百万円(前年同期は、133億83百万円の減少)となりました。資金減少の主な内容は、有形固定資産の取得による支出196億34百万円であります。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動による資金の減少は147億23百万円(前年同期は、81億99百万円の減少)となりました。資金減少の主な内容は、長期借入金の返済による支出26億30百万円、自己株式の取得による支出40億円、配当金の支払額45億37百万円及び非支配株主への配当金の支払額45億22百万円であります。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。

 

 なお、当社の「株式会社の支配に関する基本方針」は次のとおりであります。

①基本方針の内容

 当社は、当社グループの存在理由である「企業目的」とグループ構成員が共有する価値観である「ダイセルスピリッツ」からなる「ダイセルグループ基本理念」を掲げております。

 当社は、この基本理念のもと、企業価値を向上させる経営を行うためには、現有事業や将来事業化が期待される企画開発案件等に関する専門知識、経験、ノウハウ、および国内外の顧客、取引先、従業員等のステークホルダーとの間に築かれた関係を維持、発展させていくことが不可欠であると考えます。

 当社は、上場会社として、当社株式の売買は原則として市場における株主および投資家の皆様の自由な判断に委ねるべきものと考えており、特定の者による大規模な株式買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えます。しかしながら、大規模な株式買付行為の中には、その目的等から見て大規模な株式買付の対象となる会社の企業価値または株主様共同の利益(株主共同の利益)に資さないものもあります。

 当社は、当社の企業価値または株主共同の利益を毀損するおそれのある大規模な株式買付行為またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として適切ではないと考えます。
 

②基本方針の実現に資する特別な取組み

 当社グループは、セルロース化学、有機合成化学、高分子化学、火薬工学をコア技術に、パルプなどの天然素材を原料とする酢酸セルロース、たばこフィルター用トウなどのセルロース誘導品、幅広い分野で原料として使用されている酢酸と酢酸誘導体を中心とする有機化学品、過酢酸誘導体などを電子材料分野やコーティング用途などに展開している有機機能品、安全な医薬品開発に貢献している光学異性体分離カラム、自動車部品や電子デバイス向けのポリアセタール樹脂などのエンジニアリングプラスチックや樹脂コンパウンド製品などの合成樹脂製品および自動車エアバッグ用インフレータや航空機搭乗員緊急脱出装置、ロケットモーター推進薬等の防衛関連製品などの火工品等を製造・販売し、グループとして特徴ある事業展開を行っております。また、当社が構築した生産革新手法については、国内他企業への普及にも努め、わが国の装置型産業の競争力向上に貢献しております。

 当社は、当社の企業価値が、セルロイド事業を原点に発展・拡大してきた特徴ある技術・製品・サービスがシナジーを発揮し、コア事業の拡大、事業基盤の強化、新技術の開発さらには新規事業の創出がなされること等によって生み出されているものと考えております。

 当社は、平成22年4月、今後10年間で当社グループが目指す姿を示したダイセルグループ長期ビジョン『Grand Vision 2020』を策定いたしました。この『Grand Vision 2020』において、当社グループは、これまでに培ってきた「パートナーとの強固な信頼の絆」「ユニークで多彩な技術」「先進の生産方式」を発展・融合して世界に誇れる「モノづくりの仕組み」を構築し、社会や顧客のニーズを的確にとらえ、最良の解決策を創造・提供することで、株主、顧客、取引先、従業員等のステークホルダーにとって魅力のある、「世界に誇れる『ベストソリューション』実現企業になる」ことを目指しております。

 この長期ビジョンを実現するためのマイルストーンとして、当社グループは、『Grand Vision 2020』期間中に3回の中期計画を策定・遂行してまいります。

 当社は、これらの経営計画を達成していくことが、当社の企業価値の一層の向上に繋がるものと確信しております。

 

③不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

 上記①で述べましたように、当社は、上場会社として当社株式の自由な売買を認める以上、大規模な買付行為に応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきであると考えます。しかし、大規模な買付行為に際して、その妥当性や当社に与える影響について株主の皆様が適切に判断するためには、大規模な株式買付者から適切かつ十分な情報が提供されることが不可欠であると考えます。さらに、大規模な株式買付者が経営に参画したときに予定している経営方針や事業計画の内容等は、当社株式を売却するか否かの判断においては重要な判断材料であると考えます。

 これらを考慮し、当社取締役会は、一定の合理的なルールに従って大規模買付行為(特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とした、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となるような当社株券等の買付行為)が行われることが、当社株主共同の利益に合致すると考え、大規模買付者(大規模買付行為を行う者)からの事前の情報提供に関する一定のルール(大規模買付ルール)を設定することといたしました。

 なお、当社取締役会は、大規模買付ルールを適正に運用し、取締役会によって恣意的な判断がなされることを防止するための機関として、独立委員会を設置します。独立委員会は、1.大規模買付ルールが遵守されているか否か 2.対抗措置を発動するか否か 3.その他当社の企業価値および株主共同の利益を守るために必要な事項 について判断し、取締役会に勧告するものとし、当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重した上で、取締役会としての意見を慎重にとりまとめ、公表します。また、必要に応じ、大規模買付者と条件改善について交渉し、取締役会として代替案を提示することもあります。

 

 大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、当社取締役会は、当社の企業価値および株主共同の利益を守ることを目的として、原則として、対抗措置をとり、大規模買付行為に対抗します。なお、対抗措置を発動するか否かを判断するにあたっては、当社取締役会は独立委員会の勧告を最大限尊重します。独立委員会が株主意思の確認を勧告した場合には、当該勧告を最大限尊重し、対抗措置の発動前または発動後に書面投票または株主総会に準じて開催する総会(株主意思確認総会)の開催などにより株主意思の確認を行うことがあります。

 大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合、当社は、原則として、対抗措置を発動するか否かについて、書面投票または株主意思確認総会の開催などにより株主意思を確認し、当社取締役会は、株主様の判断に従って、対抗措置を発動するか否かを決定します。ただし、当社取締役会は、仮に当該大規模買付行為に反対であったとしても、当該買付提案に対する反対意見の表明、代替案の提示、当社株主の皆様への説得等を行うに留め、大規模買付者の買付提案に応じるか否かを株主様個々の判断に委ねるのが相当と判断する場合には、当該大規模買付行為に対する対抗措置はとりません。また、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合であっても、当該大規模買付行為が結果として当社の企業価値または株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、当社の企業価値および株主共同の利益を守ることを目的として、株主意思の確認を行わずに、当該大規模買付行為に対する対抗措置を発動することがあります。

 この取組みに関する詳細につきましては、平成26年5月9日付プレスリリース「当社株券等の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)の一部改定および継続に関するお知らせ」を当社ホームページ(http://www.daicel.com)に掲載しております。

④上記取組みについての取締役会の判断およびその判断に係る理由

1)上記②の取組みについての取締役会の判断およびその判断に係る理由

 当社取締役会は、上記②の取組みが、専門知識、経験、ノウハウ、および国内外の顧客、取引先、従業員等のステークホルダーとの信頼関係に基づくものであり、当社の企業価値の向上を目的とするものであることから、基本方針に沿うものであり、また当社株主共同の利益を損なうものではないと考えます。

 

2)上記③の取組みについての取締役会の判断およびその判断に係る理由

 上記③の取組みは、大規模買付行為がなされた際に、当該大規模買付行為に応じるか否かを株主の皆様が適切に判断し、または当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保すること、ならびに株主の皆様のために大規模買付者と交渉等を行うこと等を可能にすることにより、当社の企業価値および株主共同の利益を守ることを目的としております。

  また、この取組みは、株主様の意思を重視した株主意思の確認の仕組みや、独立性の高い社外者によって構成され、取締役会に勧告を行う独立委員会を設置し、さらに大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合、または遵守しなかった場合に、当社取締役会が対抗措置を発動する合理的な客観的要件を規定するなど、取締役会の恣意的な判断を防止する仕組みを有しております。

 これらのことから、当社取締役会は、この取組みが基本方針に沿うものであり、当社株主共同の利益を損なうものではなく、また当社取締役の地位の維持を目的とするものではないと考えます。

 

(5) 研究開発活動

当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、82億円であります。

なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況で特筆すべき内容は、次のとおりであります。

 当社は、長期ビジョン『Grand Vision 2020』で掲げる新事業ユニット創出の一つとして、メディカル・ヘルスケア領域において、製品開発、市場開拓を進めています。その中で、火薬工学技術をコア技術とした新規医療関連事業創出の可能性をアカデミアと協働で検証してまいりました。この結果、従来の医療機器では実現できない、まったく新しい医薬品投与方法・治療方法に繋がる革新的な技術と成り得る可能性が明らかになりつつあります。これを応用したオンリーワン技術を創り、医療領域に大きく事業展開すべく、産学連携による新事業創出に取り組むことといたしました。このため平成28年4月1日、研究開発本部内に「医療関連事業戦略室」を設け、大阪大学医学研究科との共同研究講座「高速エネルギー治療学」に連動した未来医療研究センター(吹田)を設置いたしました。