当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、米国、欧州で景気の回復が続くとともに、中国でも景気の持ち直しの動きがみられました。日本経済においても、景気の緩やかな回復基調が続きました。
このような状況の中、当第3四半期連結累計期間の当社グループの業績は、売上高3,457億3百万円(前年同期比7.1%増)、営業利益461億44百万円(前年同期比4.1%減)、経常利益490億95百万円(前年同期比0.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益284億81百万円(前年同期比11.8%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①セルロース事業部門
酢酸セルロースは、液晶表示向けフィルム用途が減少したものの、その他用途が増加したことなどにより、売上高は横這いとなりました。
たばこフィルター用トウは、世界的な需給の緩みによる市況軟化の影響を受けたものの、主要顧客との関係強化や新規顧客開拓による販売数量の増加、為替の影響などにより、売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、678億74百万円(前年同期比4.1%増)、営業利益は、たばこフィルター用トウが市況軟化の影響を受けたことや原燃料価格の上昇などにより、156億77百万円(前年同期比8.2%減)となりました。
②有機合成事業部門
主力製品の酢酸は、網干工場で2年に1度の定期修繕を実施したことにより販売数量が減少したものの、市況の上昇などにより、売上高は増加いたしました。
合成品は、販売数量の増加などにより、売上高は増加いたしました。
機能品は、平成29年7月18日に大竹工場の過酢酸製造プラントにて発生した火災事故の影響で過酢酸誘導体の販売数量が減少したものの、その他製品の電子材料分野への販売数量が増加したことなどにより、売上高は横這いとなりました。
光学異性体分離カラムなどのキラル分離事業は、カラムや充填剤の販売が増加したことや、インドでの新規事業が伸びたことなどにより、売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、595億84百万円(前年同期比7.7%増)、営業利益は、原燃料調達価格の上昇や、研究開発費、減価償却費の増加などにより、55億83百万円(前年同期比34.4%減)となりました。
③合成樹脂事業部門
ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどのエンジニアリングプラスチック事業は、自動車部品およびスマートフォンの需要増加、ならびに新規採用が進んだことによる販売数量の増加や、為替の影響などにより、売上高は増加いたしました。
ABS樹脂、エンプラアロイ樹脂を中心とした樹脂コンパウンド事業は、原燃料価格上昇に伴う販売価格の改定や為替の影響などにより、売上高は増加いたしました。
シート、成形容器、フィルムなどの樹脂加工事業は、シートの販売が減少し、売上高は減少いたしました。
当部門の売上高は、1,271億54百万円(前年同期比8.5%増)、営業利益は、原燃料調達価格上昇の影響があったものの、販売数量の増加などにより、176億16百万円(前年同期比5.5%増)となりました。
④火工品事業部門
自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生器)などの自動車安全部品事業は、インフレータの販売数量増加や為替の影響などにより、売上高は増加いたしました。
防衛関連製品などの特機事業は、一部製品の防衛省による調達数量減少により、売上高は減少いたしました。
当部門の売上高は、864億93百万円(前年同期比7.4%増)、営業利益は、販売数量の増加などにより、173億26百万円(前年同期比14.2%増)となりました。
⑤その他部門
水処理用分離膜モジュールなどのメンブレン事業は、一部製品販売の時期ずれによる減少があったものの、下水道分野での販売が増加したことにより、売上高は横這いとなりました。
運輸倉庫業など、その他の事業の売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、45億96百万円(前年同期比1.6%増)、営業利益は、4億7百万円(前年同期比19.9%減)となりました。
(2) 資産、負債および純資産の状況
総資産は、主に現金及び預金や投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比し527億49百万円増加し、
6,524億57百万円となりました。
負債は、主に支払手形及び買掛金や社債の増加等により、前連結会計年度末に比し359億13百万円増加し、2,361
億92百万円となりました。
また純資産は、4,162億65百万円となりました。純資産から非支配株主持分を引いた自己資本は、3,887億94百万
円となり自己資本比率は59.6%となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。
なお、当社の「株式会社の支配に関する基本方針」は次のとおりであります。
①基本方針の内容
当社は、当社グループの存在理由である「企業目的」とグループ構成員が共有する価値観である「ダイセルスピリッツ」からなる「ダイセルグループ基本理念」を掲げております。
当社は、この基本理念のもと、企業価値を向上させる経営を行うためには、現有事業や将来事業化が期待される企画開発案件等に関する専門知識、経験、ノウハウ、および国内外の顧客、取引先、従業員等のステークホルダーとの間に築かれた関係を維持、発展させていくことが不可欠であると考えます。
当社は、上場会社として、当社株式の売買は原則として市場における株主および投資家の皆様の自由な判断に委ねるべきものと考えており、特定の者による大規模な株式買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えます。しかしながら、大規模な株式買付行為の中には、その目的等から見て大規模な株式買付の対象となる会社の企業価値または株主様共同の利益(株主共同の利益)に資さないものもあります。
当社は、当社の企業価値または株主共同の利益を毀損するおそれのある大規模な株式買付行為またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として適切ではないと考えます。
②基本方針の実現に資する特別な取組み
当社グループは、セルロース化学、有機合成化学、高分子化学、火薬工学をコア技術に、パルプなどの天然素材を原料とする酢酸セルロース、たばこフィルター用トウなどのセルロース誘導品、幅広い分野で原料として使用されている酢酸と酢酸誘導体を中心とする有機化学品、過酢酸誘導体などを電子材料分野やコーティング用途などに展開している有機機能品、安全な医薬品開発に貢献している光学異性体分離カラム、自動車部品や電子デバイス向けのポリアセタール樹脂などのエンジニアリングプラスチックや樹脂コンパウンド製品などの合成樹脂製品および自動車エアバッグ用インフレータや航空機搭乗員緊急脱出装置、ロケットモーター推進薬等の防衛関連製品などの火工品等を製造・販売し、グループとして特徴ある事業展開を行っております。また、当社が構築した生産革新手法については、国内他企業への普及にも努め、わが国の装置型産業の競争力向上に貢献しております。
当社は、当社の企業価値が、セルロイド事業を原点に発展・拡大してきた特徴ある技術・製品・サービスがシナジーを発揮し、コア事業の拡大、事業基盤の強化、新技術の開発さらには新規事業の創出がなされること等によって生み出されているものと考えております。
当社は、平成22年4月、今後10年間で当社グループが目指す姿を示したダイセルグループ長期ビジョン『Grand Vision 2020』を策定いたしました。この『Grand Vision 2020』において、当社グループは、これまでに培ってきた「パートナーとの強固な信頼の絆」「ユニークで多彩な技術」「先進の生産方式」を発展・融合して世界に誇れる「モノづくりの仕組み」を構築し、社会や顧客のニーズを的確にとらえ、最良の解決策を創造・提供することで、株主、顧客、取引先、従業員等のステークホルダーにとって魅力のある、「世界に誇れる『ベストソリューション』実現企業になる」ことを目指しております。
この長期ビジョンを実現するためのマイルストーンとして、当社グループは、『Grand Vision 2020』期間中に3回の中期計画を策定・遂行してまいります。
当社は、これらの経営計画を達成していくことが、当社の企業価値の一層の向上に繋がるものと確信しております。
③不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
上記①で述べましたように、当社は、上場会社として当社株式の自由な売買を認める以上、大規模な買付行為に応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきであると考えており、当社の企業価値および株主共同の利益に資する大規模買付行為を否定するものではありません。
一方、上記②の当社の企業価値の源泉や当社グループとしてシナジーを発揮することなどにより企業価値を向上させている当社の経営の特質を考慮すると、株主の皆様が当社株式に対する大規模な株式買付行為に応じるか否かを適切に判断するためには、大規模な株式買付者から適切かつ十分な情報が提供されることが不可欠であると考えます。
大規模買付者からの情報提供に関しては、金融商品取引法に一定の定めがありますが、 公開買付制度の適用がない市場内での買付の場合や公開買付けが開始される前には、大規模買付者は事前の情報提供の必要がなく、公開買付けが開始された後であっても、株主の皆様が継続して保有するか否かを判断するための十分な情報が提供されない可能性も否定できません。また、情報が提供されても、それが公開買付け開始後である場合には、株主の皆様が検討する時間を十分に確保できないことが考えられます。これらのことから、わが国の法制度下にあっては、大規模買付行為に際し、株主の皆様が適切に判断するための十分な情報や検討する時間を確保することは困難と言わざるを得ず、当社は、株主の皆様が当社株式に対する大規模な株式買付行為に応じるか否かを適切に判断できないおそれがあると考えております。
これらを考慮し、大規模な株式買付行為に際しては、当社株主の皆様の判断のために必要かつ十分な大規模な株式買付行為に関する情報が大規模な株式買付者から事前に提供されるべきであり、また、当社株主の皆様がその情報に基づき、当社株式に対する大規模な株式買付行為に応じるか否かを判断するための十分な検討時間が確保されることが不可欠である、という結論に至りました。
以上の見解に基づき、当社取締役会は、一定の合理的なルールに従って大規模買付行為(特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とした、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となるような当社株券等の買付行為)が行われることが、当社株主共同の利益に合致すると考え、大規模買付者(大規模買付行為を行う者)からの事前の情報提供に関する一定のルール(大規模買付ルール)を設定することといたしました。
なお、当社取締役会は、大規模買付ルールを適正に運用し、取締役会によって恣意的な判断がなされることを防止するための機関として、独立委員会を設置します。独立委員会は、1.大規模買付ルールが遵守されているか否か 2.対抗措置を発動するか否か 3.その他当社の企業価値および株主共同の利益を守るために必要な事項 について判断し、取締役会に勧告するものとし、当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重した上で、取締役会としての意見を慎重にとりまとめ、公表します。また、必要に応じ、大規模買付者と条件改善について交渉し、取締役会として代替案を提示することもあります。
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、当社取締役会は、当社の企業価値および株主共同の利益を守ることを目的として、原則として、対抗措置をとり、大規模買付行為に対抗します。なお、対抗措置を発動するか否かを判断するにあたっては、当社取締役会は独立委員会の勧告を最大限尊重します。独立委員会が株主意思の確認を勧告した場合には、当該勧告を最大限尊重し、対抗措置の発動前または発動後に書面投票または株主総会に準じて開催する総会(株主意思確認総会)の開催などにより株主意思の確認を行うことがあります。
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合、当社は、原則として、対抗措置を発動するか否かについて、書面投票または株主意思確認総会の開催などにより株主意思を確認し、当社取締役会は、株主様の判断に従って、対抗措置を発動するか否かを決定します。ただし、当社取締役会は、仮に当該大規模買付行為に反対であったとしても、当該買付提案に対する反対意見の表明、代替案の提示、当社株主の皆様への説得等を行うに留め、大規模買付者の買付提案に応じるか否かを株主様個々の判断に委ねるのが相当と判断する場合には、当該大規模買付行為に対する対抗措置はとりません。また、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合であっても、当該大規模買付行為が結果として当社の企業価値または株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、当社の企業価値および株主共同の利益を守ることを目的として、株主意思の確認を行わずに、当該大規模買付行為に対する対抗措置を発動することがあります。
この取組みに関する詳細につきましては、平成29年5月10日付プレスリリース「当社株券等の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)の継続に関するお知らせ」を当社ホームページ(https://www.daicel.com)に掲載しております。
④上記取組みについての取締役会の判断およびその判断に係る理由
1)上記②の取組みについての取締役会の判断およびその判断に係る理由
当社取締役会は、上記②の取組みが、専門知識、経験、ノウハウ、および国内外の顧客、取引先、従業員等のステークホルダーとの信頼関係に基づくものであり、当社の企業価値の向上を目的とするものであることから、基本方針に沿うものであり、また当社株主共同の利益を損なうものではないと考えます。
2)上記③の取組みについての取締役会の判断およびその判断に係る理由
上記③の取組みは、大規模買付行為がなされた際に、当該大規模買付行為に応じるか否かを株主の皆様が適切に判断し、または当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保すること、ならびに株主の皆様のために大規模買付者と交渉等を行うこと等を可能にすることにより、当社の企業価値および株主共同の利益を守ることを目的としております。
また、この取組みは、株主様の意思を重視した株主意思の確認の仕組みや、独立性の高い社外者によって構成され、取締役会に勧告を行う独立委員会を設置し、さらに大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合、または遵守しなかった場合に、当社取締役会が対抗措置を発動する合理的な客観的要件を規定するなど、取締役会の恣意的な判断を防止する仕組みを有しております。
これらのことから、当社取締役会は、この取組みが基本方針に沿うものであり、当社株主共同の利益を損なうものではなく、また当社取締役の地位の維持を目的とするものではないと考えます。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、139億55百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況で特筆すべき内容は、次のとおりであります。
平成29年5月に発表した新中期計画「3D-Ⅲ」に基づき、研究開発部門は引き続き、新規事業の創出、既存事業の強化に取り組んでおります。新規事業の創出に関しては、注力領域であるメディカル・ヘルスケア、エレクトロニクスの分野で定めた5つの「新規事業ユニット候補」に経営資源を集中して投下いたします。これらの取り組みを具体的に実行するため、平成29年4月1日に新たに「新事業開発室」を発足いたしました。
また、新製品や革新的プロセス技術の研究、高効率の生産設備の検討など、ダイセルグループのさまざまな技術の変革・革新を推し進める中核拠点として、平成29年4月1日にイノベーション・パーク(兵庫県姫路市)を開設いたしました。研究開発、生産技術、エンジニアリング、環境・安全などの技術スタッフが同じ執務室に集まり、営業部門などの社内関連部門だけでなく、社外の顧客や協力会社とも活発なコミュニケーション、協業ができる施設として、イノベーション・パーク内に新棟「iCube (アイ・キューブ)」を開所いたしました。コミュニケーションを活性化し、ワークスタイルの変革をもたらしていくことで、新規商材開発から量産技術の確立、事業化の加速を図り、新規事業の創出を推進いたします。
オープンイノベーションの取り組みとして、国立大学法人大阪大学と平成28年に開始した高速エネルギー治療学共同研究講座に引き続き、高エネルギー体の燃焼時に生じる衝撃現象の根本原理の解明とそれに基づく利用技術の開発を行う衝撃科学共同研究講座を平成29年4月より開始いたしました。
また、平成29年7月1日より、合同会社ウェルネスオープンリビングラボ(略称WOLL)に出資参加いたしました。WOLLは、健康寿命延伸のため、認知症などの健康科学関連の課題解決を目標として設立された合同会社で、新たな研究領域の開拓による製品・サービスの提供、データの利活用による健康増進など、さまざまな活動への寄与を目指しています。その取り組みに当社が参画することで、人々の健康寿命の延伸に貢献するソリューションの開発、提供を加速していきます。
さらに、平成29年8月25日に公立大学法人兵庫県立大学と包括連携協定を締結いたしました。互いの知見と人材の活用を図り、グローバル時代における当社の創業地の一つである兵庫県の存在感を強めるべく、地域産業の育成と地域から世界に向けたイノベーション発信を行っていきます。
新事業創出に繋がる新たなモノづくりの仕組みを構築するため、平成29年12月1日に生産技術本部にメカトロ技術センターとシミュレーション技術センターを設置し、メカトロニクス技術とシミュレーション技術の基盤技術強化および全社展開加速に取り組んでおります。