(1)業績
当期の経営環境を振り返りますと、国内経済は期を通じて緩やかな回復基調で推移したものの、中国経済の減速感の強まりや不確実性を増す中東情勢など世界経済の下振れ懸念はなお拭えず、当社グループを取り巻く環境としても、原料価格、海外市況、為替など不安定な状況で推移しました。
当社グループはこのような環境のもとで、引き続き「ZΣ運動」による徹底したコスト削減に努めるとともに、エラストマー素材事業におきましては採算性の重視と生産・販売のグローバル展開、高機能材料事業におきましては付加価値の高い新製品の開発と事業拡大に取り組んでまいりました。
この結果、当期の連結売上高は2,956億47百万円となり、前期に比べて118億77百万円の減収、連結営業利益は298億56百万円と前期に比べて16億11百万円の増益、連結経常利益は321億53百万円と前期に比べて10億55百万円の増益となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は180億79百万円と前期に比べて10億円の減益となりました。
セグメントの業績は、次の通りであります。
(エラストマー素材事業部門)
合成ゴム関連では、拡販活動が進んだことにより海外向け販売数量を伸ばしましたが、市況価格悪化等の影響を受けたため、全体の売上高は前期を下回りましたが、営業利益は前期を上回りました。
合成ラテックス関連では、国内製紙用途での需要低迷による影響があったものの、国内樹脂改質用途の販売が好調であったことや、海外手袋用途での旺盛な需要および円安を背景に販売が好調に推移したことから、全体の売上高、営業利益ともに前期を上回りました。
化成品関連では、タイ子会社を含めた海外市場での販売が旺盛な需要を背景として好調に推移し、国内需要も堅調であったことから販売数量を伸ばした一方で、市況価格悪化の影響を受けたため、全体の売上高は前期を下回りましたが、営業利益は前期を上回りました。
以上の結果、エラストマー素材事業部門全体の売上高は前期に比べて98億90百万円減少し1,789億40百万円、営業利益は前期に比べて39億7百万円増加し207億25百万円となりました。
(高機能材料事業部門)
高機能樹脂関連では、主に光学レンズ用途における顧客の在庫調整の影響を受け、販売が振るいませんでした。高機能部材関連では、モバイル向け光学フィルムの販売が堅調に推移する一方で、テレビ向け光学フィルムが顧客の在庫調整の影響を受けました。この結果、高機能樹脂および部材全体の売上高はわずかに前期を上回りましたが、営業利益は前期を下回りました。
情報材料関連では、電池材料および電子材料の売上高は前期を上回りましたが、トナーの売上高は前期を下回りました。この結果、全体の売上高、営業利益ともに前期を下回りました。
化学品関連では、合成香料の拡販が進み販売数量および売上高を伸ばした一方、特殊化学品の販売が振るわず、全体の売上高は前期を下回りましたが、営業利益は前期を上回りました。
以上の結果、高機能材料事業部門全体の売上高は前期に比べて1億4百万円増加し709億79百万円、営業利益は前期に比べて12億25百万円減少し82億21百万円となりました。
(その他の事業部門)
その他の事業においては、子会社の商事部門等の売上高が前期を下回りました。
以上の結果、その他の事業部門全体の売上高は前期に比べて20億99百万円減少し479億50百万円、営業利益は前期に比べて4億86百万円増加し25億3百万円となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ33億42百万円(前年度比95.7%増)増加し、68億32百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は475億99百万円となり、前連結会計年度末に比べ135億92百万円の増加(前年度比40.0%増)となりました。前連結会計年度との差の主な要因は、税金等調整前当期純利益の減少により資金が減少したものの、売上債権の純減少額の増加及び法人税等の支払額の減少により資金が増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は348億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ80億81百万円の資金支出の増加(前年度比30.2%増)となりました。前連結会計年度との差の主な要因は、有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は90億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ30億9百万円の資金支出の減少(前年度比25.0%減)となりました。前連結会計年度との差の主な要因は、自己株式の取得による支出が増加したものの、有利子負債の純減少額が減少したことによるものであります。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
エラストマー素材 |
122,029 |
△8.7 |
|
高機能材料 |
55,782 |
△0.1 |
|
その他 |
8,705 |
△12.4 |
(注)1.消費税等は含んでおりません。
2.連結会社間およびセグメント間の取引が複雑で、セグメントごとの生産高を正確に把握することが困難なため、概算値で表示しております。
(2)受注状況
特記すべき事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
エラストマー素材 |
177,248 |
△5.2 |
|
高機能材料 |
70,979 |
0.2 |
|
その他 |
47,420 |
△4.4 |
|
合計 |
295,647 |
△3.9 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.消費税等は含んでおりません。
(1) 対処すべき課題について
当期は、平成26年度から平成28年度までの中期経営計画『SZ-20 PhaseⅡ(エスゼット20 フェーズ・ツー)』推進の2年目として、「『2020年のありたい姿』-化学の力で未来を今日にするZEON-」の実現のため、全社基本戦略として「エラストマー素材事業と高機能材料事業のそれぞれの強みを磨き上げ、両輪でグローバルに事業を拡大する」こと、ならびに「2020年のありたい姿を実現する企業風土を『見える化』をベースに育成する」ことの2点を基本方針として、諸課題に取り組んでまいりました。
1点目の全社事業戦略について、エラストマー素材事業では、シンガポールなどでグローバル生産拠点の拡充を進める一方で、製品の差別化など、経済状況等の環境変化にも耐えうる新製品の研究開発、上市を進めてまいりました。
また、高機能材料事業では、重点3事業分野(情報用部材・エナジー用部材・メディカルデバイス)での研究開発や上市を早めることにより、事業拡大を進めてまいりました。
2点目の企業風土の育成に関しましては、当社グループ全員が共有する「重要な価値観(スピード・対話・社会貢献)」を実践し強化する取り組みや、「大切にするゼオンらしさ(仲問との相互信頼)」を育み強化する取り組みとして「たいまつ活動」を推進してまいりました。「たいまつ活動」とは、当社独自の風土育成活動であり、一人ひとりが「わたしは何を大切にしたいのか」「わたしは何をしたいのか」「わたしはどうなりたいのか」を言葉にして、気づき、考え、行動し、「2020年のありたい姿」を実現していく活動です。このように、一人ひとりが変わっていく状態を、たいまつに火を灯し、たくさんの火に拡げていくことに喩え、熱い想いを込めて「たいまつ活動」と名付けています。
当社グループでは、『2020年のありたい姿』として平成32年度(2020年度)に売上高5,000億円を達成することを目標として掲げております。『SZ-20 PhaseⅡ(エスゼット20 フェーズ・ツー)』では、「2020年のありたい姿」の実現に向けて、従来のやり方・考え方を抜本的に見直して会社を変えていくことに着目し、改革・改善を推進してまいります。
(2) 株式会社の支配に関する基本方針について
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には当社の株主全体の意思に基づいて行われるべきものと考えており、当社株券等に対する大量買付けであっても、当社の株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。
しかしながら、買収提案の中には、その目的等から見て企業価値及び株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすものや、対象会社の株主に株券等の売却を事実上強要するもの、対象会社の取締役会や株主が買収提案の内容を検討するための十分な時間や情報を提供しないもの等、対象会社の株主共同の利益に資さないものもないとは言えません。
当社の企業価値を維持・向上させていくためには、当社の企業価値の源泉である、お客様の夢と快適な社会の実現に役立つ「優れた製品やサービス」を続々と提供することを可能とする「独創的技術」の強化・創出とともに、高度の専門性を有するのみならず、「スピード」「対話」「社会貢献」という当社の重要な価値観を理解し、この価値観に基づいた行動を実践できる多様かつ有能な人材を、研究開発・生産・販売・管理等のさまざまな分野にわたり育成・確保すること、並びにユーザー密着型の製品開発及び市場展開等に貢献する取引先との良好な関係を構築することが必要不可欠です。さらに、当社は、CSR(Corporate Social Responsibility)を全うし、広く社会からの信頼を確保することも、企業価値の持続的向上のためには必要不可欠と考えております。従いまして、当社株券等の大量買付けを行う者が、当社の財務及び事業の内容を理解するのは勿論のこと、こうした当社の企業価値の源泉を理解した上で、これらを中長期的に確保し、向上させる姿勢と方針を持つのでなければ、当社の株主共同の利益は毀損されることになります。
また、外部者である買収者から買収の提案を受けた際に、当社株主の皆様が当社の有形無形の経営資源、将来を見据えた施策の潜在的効果その他当社の企業価値を構成する要素を十分に把握した上で、当該買収が当社の企業価値及び株主共同の利益に及ぼす影響を短期間のうちに適切に判断することは必ずしも容易でないものと思われます。従いまして、当社株主の皆様に買収の提案の内容を検討するための十分な情報や時間を提供せずに、当社株券等の大量買付けや買収の提案が行われる場合には、当社の株主共同の利益が毀損されることになりかねません。
当社は、このような当社の株主共同の利益に資さない買収提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付けに対しては、必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の株主共同の利益を確保する必要があると考えます。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は昭和25年4月の設立以来、「大地の永遠と人類の繁栄に貢献するゼオン」を企業理念として、大地(ギリシャ語で「ゼオ」)と永遠(ギリシャ語で「エオン」)からなるゼオンの名にふさわしく、世界に誇り得る独創的技術により、地球環境と人類の繁栄に貢献することを使命に、企業価値の維持・向上に努めてまいりました。具体的には、当社の開発した世界最高レベルの蒸留精製技術であるGPB法及びGPI法その他の独自技術により、原油生成物であるC4留分及びC5留分を徹底的に分離精製し、特殊ゴム、リーフアルコール、シクロオレフィンポリマー、光学フィルム等に代表される高付加価値の石油化学製品を続々と生み出すことを通じて、高い性能を要求される用途に応え続け、お客様の夢と快適な社会の実現に貢献し、ひいては当社の市場競争力を創造してきたものであります。
このように当社の企業価値の源泉は、第一義的には、お客様に「優れた製品やサービス」を続々と提供することを可能とする「独創的技術」にあります。当社はエラストマー素材事業と高機能材料事業のそれぞれの強みを磨き上げ、両輪でグローバルに事業を拡大することを基本方針に、グローバルで最適な生産体制の構築と重点3事業分野(情報用部材・エナジー用部材・メディカルデバイス)へのリソース積極投入による事業構造改革、工場とも連携した既存生産技術の改善と新規生産技術の開発、社内技術資産の共有(知と知の融合)及びオープンイノベーション(自前主義からの脱却)の推進などによる研究開発のスピードアップといった諸課題への取組みを通じて、独創的技術の継続的な強化・創出、お客様の夢と快適な社会の実現に貢献する製品・サービスの提供に努めております。
そして、このような独創的技術を基盤とした事業展開には、研究開発・生産・販売・管理等のさまざまな分野にわたり、高度の専門性を有するとともに「スピード」「対話」「社会貢献」という当社の重要な価値観を理解し、この価値観に基づいた行動を実践できる多様かつ有能な人材を確保することが不可欠です。当社においても労使間で長年にわたり醸成された深い信頼関係の下、こうした人材の育成・確保に努めるとともに、「2020年のありたい姿」を実現する企業風土育成のための諸活動を進めております。また、長年の取引関係を通じ築き上げてまいりました顧客・原料調達先・製造委託先・共同研究先をはじめとする取引先との良好な関係も、ユーザー密着型の製品開発及び市場展開を可能とする等の面で、当社の企業価値の維持・向上に寄与するものと考えられます。
さらに、当社は、CSR(Corporate Social Responsibility)を全うし、広く社会からの信頼を確保することも、企業価値の持続的向上のためには必要不可欠と考えております。当社は、CSRの取組みの基本的な考え方を対外的に明らかにし、ゼオングループ全員が今一度CSRへの思いを新たにすべく、平成22年4月に「コンプライアンスを徹底し、社会の安全・安心に応える」「企業活動を通じ、社会の持続的発展と地球環境に貢献する」「一人ひとりがCSRを自覚し、行動する」の3項目からなる『CSR基本方針』と、その趣旨を具体的に求められる行動の基準として列挙し、規定化した『CSR行動指針』を制定しました。また、『CSR会議』を最高機関とするCSR推進体制を運用し、コンプライアンス体制の強化、安全な工場の実現、地域社会との共生等の諸課題に継続的に取り組み、当社に係る利害関係者(いわゆるステークホルダー)の信頼の維持・確保に努めております。
当社は、中期経営計画の策定及び実行等の取組みを通じ、これら当社の企業価値の源泉を今後も継続的に発展させていくことが、企業価値ひいては株主共同の利益の維持・向上につながるものと考えており、また、下記③の取組みとともに、「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(以下単に「基本方針」といい、その内容は①に記載のとおりです。)の実現にも資するものと考えております。したがって、かかる取組みは、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、平成20年6月27日開催の当社定時株主総会において、「当社株券等の大量買付行為に関する対応方針」を導入し、その後、平成23年6月29日開催の当社定時株主総会にてその継続を決議いたしましたが、有効期間満了にあたり、平成26年6月27日開催の当社定時株主総会において、一部改定のうえあらためて継続する決議をいたしました(以下、継続後の方針を「本対応方針」といいます。)。当社は本対応方針を、平成26年5月22日付「当社株券等の大量買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の継続について」として以下のURLに公表しております。詳細については、こちらをご覧ください。
http://www.zeon.co.jp/content/200228815.pdf
本対応方針は、当社株券等に対する大量買付けが行われた際に、かかる大量買付けに応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、或いは当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保すること、又は場合により株主の皆様のために買付者と交渉を行うこと等を可能とすることで、当社の株主共同の利益に反する買付行為を抑止するための枠組みとして継続導入されるものであり、基本方針に沿うものです。
さらに、当社取締役会は次の理由から、本対応方針が当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでもないと考えております。
1)買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本対応方針は、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を完全に充足しています。また、経済産業省企業価値研究会が平成20年6月30日に発表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の提言内容も踏まえた内容となっております。
2)株主共同の利益を損なうものではないこと
本対応方針は、当社株券等に対する大量買付けがなされた際に、当該買付けに応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、或いは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保し、又は株主の皆様のために買付者と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって継続導入されるものです。本対応方針の継続は、株主の皆様のご承認を条件としており、株主の皆様のご意向によっては本対応方針の廃止も可能であることから、本対応方針が株主共同の利益を損なわないことを担保していると考えられます。
3)株主意思を反映するものであること
当社は、本対応方針の継続に関する承認議案を平成26年6月27日開催の定時株主総会に付議し、本対応方針は株主の皆様の承認を得ておりますので、その継続についての株主の皆様のご意向が反映されております。
また、本対応方針の有効期間の満了前であっても、株主総会において本対応方針を廃止する旨の決議が行われた場合には、本対応方針はその時点で廃止されることになり、株主の皆様のご意向が反映されます。
4)外部専門家の意見の取得
当社取締役会は、大量買付行為に関して評価、検討、意見形成、代替案立案及び大量買付者との交渉を行うに際しては、必要に応じて、外部専門家(フィナンシャル・アドバイザー、弁護士、公認会計士等)の助言を得ます。これにより当社取締役会の判断の客観性及び合理性が担保されることになります。
5)特別委員会の設置
当社は、本対応方針の必要性及び相当性を確保し、経営者の保身のために本対応方針が濫用されることを防止するために、特別委員会を設置しており、当社取締役会が対抗措置を発動する場合には、その判断の公正を担保し、且つ、当社取締役会の恣意的な判断を排除するために、特別委員会の勧告を最大限尊重するものとしています。
6)デッドハンド型買収防衛策等ではないこと
本対応方針は、当社の株主総会において選任された取締役により構成される取締役会によって廃止することが可能です。したがって、本対応方針は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。
また、当社は期差任期制を採用していないため、本対応方針はスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その実施を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
1.経済状況
日本、北米、欧州、アジアの当社グループの主要市場における景気後退、およびそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
2.為替レートの変動
当社グループの事業には、主に日本、北米、欧州、アジアにおける生産と販売が含まれております。各地域における売上高、費用、資産及び負債を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されております。換算時のレートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
当社グループが生産を行う地域の通貨価値の上昇は、それらの地域における生産と調達のコストを押し上げる可能性があります。コストの増加は、当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、為替予約等により短期的な変動による悪影響を最小限にとどめる努力はしておりますが、急激な短期変動もしくは中長期的な通貨変動により、計画された調達、生産、流通及び販売活動が確実に実行できない場合があるため、為替レートの変動は当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
3.原油価格、ナフサ価格及び主要原材料価格の変動
当社グループの事業、特にエラストマー素材事業では、原油価格、ナフサ価格の変動及び主要原材料価格の変動により、原料調達価格が上昇し当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
4.新製品の開発
当社グループの将来の成長は、継続して新製品を開発し販売することに依存すると予想しております。当社グループは継続して新製品を開発していくことができると考えておりますが、新製品の開発には以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
①新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分に充当できないリスク
②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新製品または新技術の創造につながらないリスク
③市場から支持を獲得できる新製品または新技術を正確に予想できないリスク、またこれらの製品の販売が成功しないリスク
④新たに開発した製品または技術が、独自の知的財産権として保護されないリスク
⑤技術の急速な進歩と市場の変化により、当社グループの製品が時代遅れになるリスク
⑥現在開発中の新技術の商品化の遅れにより、市場の需要についていけなくなるリスク
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合は、将来の成長と収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
5.価格競争
電子材料、医療器材、光学樹脂及びフィルムなどの業界における競争は厳しいものとなっております。競合先にはメーカーと販売業者があり、その一部は当社グループよりも多くの研究、開発や生産、販売の資源を有しております。当社グループは将来においても高付加価値の製品を送り出せると考えますが、将来においても有利に競争できる保証はありません。価格面での圧力または有利に競争できないことによる顧客離れは当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
6.国際的活動および海外進出に潜在するリスク
当社グループの生産および販売活動の一部は、米国、欧州、ならびにアジアの発展途上国市場等の日本国外で行われており、さらに事業展開を計画しております。これらの海外市場への進出には以下に掲げるようないくつかのリスクが内在します。
①予期しない法律または規制の変更
②不利な政治または経済要因
③人材の採用と確保の難しさ
④未整備な技術、基盤インフラが、生産等の当社グループの活動に悪影響を及ぼす可能性、または当社グループの製品やサービスに対する顧客の支持を低下させる可能性
⑤潜在的に不利な税制
⑥テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱
これらのリスクが発生した場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
7.キーパーソンの確保や育成
当社グループの将来の成長と成功は有能なエンジニアやキーパーソンに依存するところが大きく、その新たな確保と育成は当社グループの成長、成功には必要であり、確保または育成できなかった場合には、当社グループの将来の成長、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
8.知的財産保護の限界
当社グループは他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してまいりましたが、他社が類似する、もしくは当社より優れている技術を開発したり、当社グループの特許や企業秘密を模倣、または解析調査することを防止できない可能性があります。さらに、当社グループの将来の製品または技術は、将来的に他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。
9.製品の品質保証と製造物責任
当社グループは世界的に認められている品質管理基準に従って各種の製品を生産しております。しかし、すべての製品について欠陥が無く、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできる保証はありません。さらに、引き続き当社グループがこのような保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売り上げが減少し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
10.公的規制
当社グループは事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限される可能性があります。また、規制を遵守できなかった場合は、コストの増加につながる可能性があります。従いまして、これらの規制は当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
11.災害や停電等による影響
当社グループは生産ラインの中断による潜在的なマイナスの影響を最小化するために、定期的な災害防止検査と設備点検を行っております。しかし、生産設備で発生する災害、停電または地震その他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はなく、当社グループの生産及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
12.原料の調達
当社グループの主原料は、ナフサに大きく依存しております。また、その供給を外部に依存しております。そのため、生産国の政治情勢が不安定になるなど日本が原油及びナフサの輸入が困難になる、または価格が急騰する、もしくは購入先が事故や災害により操業困難となりそれが長期に亘るなどの状況は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
13.訴訟等
当社グループは、法令遵守に努めておりますが、様々な事業活動を行うなかで、訴訟、係争、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあります。重要な訴訟等が提起された場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)の研究開発部門として、当社が当社グループの研究開発の中枢組織として川崎地区に総合開発センター(10研究所より構成)、高岡地区に精密光学研究所及びメディカル研究所、徳山地区にトナー研究室、水島地区に化成品研究室、米沢地区に化学品研究棟、加えて4工場(高岡、川崎、徳山、水島)に所属する製造課内に技術グループを有するほか、国外関係会社等の研究部門として、ゼオン・ケミカルズ・リミテッド・パートナーシップ研究所(米国)並びにゼオン・リサーチ・ベトナム(ベトナム)を有しております。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は141億48百万円です。そのうちセグメントに直接係わる研究開発費89億82百万円であり、共通する研究開発費は51億66百万円です。
主な研究開発活動
エラストマー素材事業(ゴム、ラテックス、化成品等)
・H-NBR、NBR、ACM、CHRを中心とする特殊ゴムの世界のリーダーとして日・米の研究部門が緊密な協力体制を構築して新製品開発、新規用途開発、新規市場開拓を進めると共に、各種用途への最適な配合研究や技術サービスを推進いたしました。
・SBR、BR、IR等の汎用ゴムについては、圧倒的コスト優位の製造方法を確立すると共に、次世代をにらんだ低燃費タイヤ用新規ゴム開発を進めました。
・手袋用NBRラテックスやIRラテックスの新製品開発、および技術サービス、新製品による新規市場開拓に注力いたしました。
・ホットメルト接着剤用石油樹脂「クイントン」や熱可塑性エラストマー「クインタック」における新品種開発を推進すると共に、新規市場開拓や各種用途での技術サービスに注力いたしました。
なお、当部門に直接係る研究開発費は24億97百万円です。
高機能材料事業(化学品、高機能樹脂、高機能部材、電子材料、トナー、電池材料、健康等)
・特殊化学品では、工業薬品、新規医薬・農薬の原料、特殊溶剤・洗浄剤として、新規用途開発、新規市場開拓に注力いたしました。
・非晶質環状オレフィンポリマーの「ZEONEX®」シリーズでは、光学、医療、通信分野を中心に開発を推進しております。
・非晶質環状オレフィンポリマーの「ZEONOR®」シリーズでは、新規用途開発を進めています。
・液晶ディスプレイに使用される光学フィルムや、その他機能性部材の開発を進めております。
・絶縁材料、半導体製造用エッチングガス等の情報材料関係で製品開発が計画通り進んでおります。
・重合法トナーは、省エネルギー対応次世代カラートナーの開発を計画通り進めております。
・電池材料の研究では、リチウムイオンバッテリー用の材料の開発を推進しております。
・医療器材関連の研究において循環器系カテーテル分野では、より低侵襲なデバイスの開発を進めております。また、消化器内視鏡処置具の拡充を図り、市場ニーズを先取りした製品群の拡充を進めております。
なお、当部門に直接係る研究開発費は60億25百万円です。
上記のほか、その他の事業部門に直接係る研究開発費が4億60百万円あります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」、「少数株主利益」を「非支配株主に帰属する当期純利益」としております。
(1)重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたっては、連結決算日における資産・負債および連結会計年度における収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを実施する必要があります。これらの見積りは、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5[経理の状況]の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
①貸倒引当金
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。従って、顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合など、追加引当が必要となる可能性があります。また、貸倒損失の発生により貸倒実績率が上昇し、一般債権に係る貸倒引当金の追加計上が発生する可能性があります。
②棚卸資産
当社グループは、棚卸資産の、市場状況等に基づく正味売却価額の見積額と原価との差額について、評価減を計上しております。実際の市場状況等が見積りより悪化した場合、評価減の追加計上が必要となる可能性があります。
③有価証券
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客および金融機関の有価証券を所有しております。これらの株式には価格変動性が高い上場会社の株式と、株価の決定が困難である非上場会社の株式が含まれます。当社グループは、社内ルールに従って、投資価値の下落が一時的でないと判断した場合、有価証券の減損を計上しております。このため、将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
④繰延税金資産
当社グループは、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して、繰延税金資産を計上しております。ただし繰延税金資産の回収可能性に不確実性がある場合は、評価性引当額の計上を行い、将来実現する可能性が高いと考えられる金額を繰延税金資産として計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、主に将来の課税所得の見積もりによるところが大きく、課税所得の予測は将来の市場動向や当社グループの事業活動の状況及びその他の要因により変化いたします。この為、繰延税金資産の回収可能性の変化により、評価性引当額が変動し損益に影響を及ぼす可能性があります。
⑤固定資産
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローを見積もり、見積もられた割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては、慎重に検討しておりますが、事業計画や経営環境等の諸前提の変化により、追加の減損処理又は新たな減損処理が必要となる可能性があります。
⑥退職給付費用および債務
確定給付型の制度に関わる従業員退職給付費用および債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率および年金資産の長期収益率などが含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付費用および債務が変動する可能性があります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
①売上高と営業利益
当連結会計年度の売上高は2,956億47百万円(前期比3.9%減)、営業利益は298億56百万円(前期比5.7%増)となりました。
詳細につきましては、第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績 に記載しておりますセグメントの業績をご参照願います。
②営業外損益と経常利益
受取配当金等が増加しましたが、為替差損益が差益から差損へ転じたこと等により、営業外損益は前期比で5億56百万円悪化し22億97百万円の利益となりました。
以上の結果、経常利益は、前期比3.4%増の321億53百万円となりました。
③特別損益
減損損失、関係会社整理損の増加等により、特別損益は前期比で45億81百万円悪化し58億88百万円の損失となりました。
④親会社株主に帰属する当期純利益
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の総額は74億33百万円となり、非支配株主に帰属する当期純利益は、前期比4億15百万円増加し7億52百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比5.2%減の180億79百万円となりました。
(3)流動性および資金の源泉
①キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ33億42百万円(前年度比95.7%増)増加し、68億32百万円となりました。
詳細につきましては、第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー をご参照願います。
②契約債務
平成28年3月31日現在の契約債務の概要は下記のとおりであります。
年 度 別 要 支 払 額(単位:百万円)
|
|
合計 |
1年以内 |
1年超~3年 |
3年超~5年 |
5年超 |
|
契約債務 |
57,817 |
27,959 |
18,035 |
1,602 |
10,222 |
|
短期借入金 |
12,888 |
12,888 |
- |
- |
- |
|
コマーシャル・ペーパー |
2,000 |
2,000 |
- |
- |
- |
|
社債 |
20,000 |
- |
10,000 |
- |
10,000 |
|
長期借入金 |
22,176 |
12,867 |
7,809 |
1,500 |
- |
|
リース債務 |
753 |
204 |
226 |
102 |
222 |
上記の表では、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年以内返済予定長期借入金は、長期借入金に含めております。
当社グループの第三者に対する保証は、関係会社及び従業員の借入金等に対する債務保証であります。保証した借入金等の債務不履行が保証期間内に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する必要があり、平成28年3月31日現在の債務保証額は、5億17百万円であります。
③財務政策
当社グループは、運転資金および設備投資資金など必要な資金需要に対応するため、内部資金、金融機関からの借入および資本市場からの資金調達などにより、必要資金を確保しております。
当社グループの継続と発展のために今後必要となる運転資金および設備投資資金などの資金は、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、およびコマーシャル・ペーパーの発行に加え、必要に応じてコミットメントラインの借入未実行枠や社債など資本市場からの資金調達を組み合わせることにより、調達することが可能であると考えております。