第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、日本国内においては、英国のEU離脱問題や米国の政策転換リスク等による為替変動の国内景気への影響が懸念されるなか、全体としては雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調で推移しました。一方、アジア・オセアニア経済は、中国では各種政策効果もあり景気に下げ止まりが見られたものの、インドや一部のアセアン諸国では内需に弱さが見られ、全体としては緩やかな減速が続きました。

国内建設市場におきましては、住宅ローン金利の低下や政府による住宅取得支援策、相続税対策に伴う賃貸住宅の増加などを背景に住宅着工は堅調に推移しました。非住宅建設市場は、店舗等で着工面積が減少しましたが、オフィスや宿泊施設の市場拡大に支えられ全体としては持ち直しの動きが見られました。

このような経営環境の下、当社グループは、医療・介護施設をはじめとする非住宅市場及びリフォームなどの成長分野に対する営業活動の強化、アイカ・アジア・パシフィック・ホールディング社及びその子会社とのシナジーの追求、アジア地域におけるメラミン化粧板販売の強化、機能材料事業の強化などを推進いたしました。

この結果、当連結会計年度の売上高は151,633百万円(前年同期比1.0%増)、営業利益は18,099百万円(前年同期比11.8%増)、経常利益は18,374百万円(前年同期比12.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は11,064百万円(前年同期比11.1%増)となりました。

また、1株当たり当期純利益は169.48円となり、ROEは9.9%(前年同期比0.5ポイント増)となりました。

 

セグメントの業績を示すと次のとおりであります。なお、セグメント間の内部売上は除いております。

 

(化成品セグメント)

国内の接着剤系商品は、木工・家具向け汎用接着剤、合板用接着剤が好調に推移したことに加え、2015年9月より連結業績に組み入れたアイカSDKフェノール株式会社が寄与し、売上は前年を上回りました。一方、海外の接着剤系商品においては、アイカ・アジア・パシフィック・ホールディング社の子会社が、アジア太平洋地域における接着剤・繊維板用樹脂の需要を取り込み販売数量を増やすことができたものの、原材料安による売価低下や為替換算レートの影響により売上は前年を下回りました。その結果、接着剤系商品全体としても売上は前年を下回りました。

建設樹脂系商品は、改修市場への積極的な展開を進めた塗り床材「ジョリエース」や、HACCP(ハサップ:国際的な食品の衛生管理手法)導入義務化に対応する高耐久塗り床材「アイカピュール」が好調に推移しましたが、新築住宅向けの外装・内装仕上塗材「ジョリパット」や補修・補強材「ダイナミックレジン」が低迷した結果、売上は前年を下回りました。

非建築分野への取り組みとして注力している機能材料事業につきましては、自動車向け接着剤や有機微粒子が順調に推移し前年を上回りました。

このような結果、売上高は74,881百万円(前年同期比3.1%減)となりました。一方、コストダウンや原材料、燃料の価格低下等により、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は6,223百万円(前年同期比14.9%増)となりました。

 

建装材セグメント)

国内市場では、店舗や医療・介護施設などの新築需要が低調に推移した結果、汎用的な化粧板・化粧ボードは低調に推移しました。その中で、学校やオフィスビルなどの改修や、インバウンド需要によるホテルの新築・改修は堅調に推移し、メラミン化粧板周辺領域への展開として注力している粘着剤付化粧フィルム「オルティノ」や不燃ボードは好調に推移しました。加えて、2015年10月より連結業績に組み入れたアイカテック建材株式会社が寄与し、全体として売上は前年を上回りました。

一方、海外市場においては、インドネシアやシンガポールを中心に化粧板の販売量を増やしましたが、為替換算レートの影響により売上は前年を下回りました。

このような結果、売上高は38,454百万円(前年同期比5.5%増)、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は8,100百万円(前年同期比18.4%増)となりました。

 

 

(住器建材セグメント)

不燃化粧材「セラール」は、住宅向けキッチンパネル用途、教育施設、公共施設向けの壁用途で好調に推移しました。ポストフォーム・カウンター商品は、戸建住宅や集合住宅向けのキッチン対面カウンター「バリューエッジカウンター」や高級人造石「フィオレストーン」を中心に売上を伸ばすことができました。ドア・インテリア建材は、戸建住宅向け建具全体としては前年を下回りましたが、メラミン化粧板の特性を活かした「メラフュージョンシリーズ」は売上を伸ばすことができました。また、医療・介護施設向け機能引戸「U.D.(ユニバーサルデザイン)コンフォートシリーズ」は医療・介護施設の新築着工減少の影響を受け前年を下回りました。

このような結果、売上高は38,297百万円(前年同期比5.4%増)、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は6,387百万円(前年同期比6.5%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ、10,173百万円増加し、47,622百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるネットキャッシュ・フローは、18,331百万円の資金増加(前連結会計年度は14,612百万円の資金増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が18,201百万円(前連結会計年度は16,352百万円)となったこと、減価償却費が3,512百万円(前連結会計年度は3,510百万円)となったこと等の増加要因があったことと、売上債権の1,631百万円増加(前連結会計年度は1,682百万円)及び法人税等の支払額5,450百万円(前連結会計年度は5,727百万円)等の減少要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるネットキャッシュ・フローは、3,269百万円の資金減少(前連結会計年度は7,025百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,189百万円(前連結会計年度は2,843百万円)の減少要因があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるネットキャッシュ・フローは、4,587百万円の資金減少(前連結会計年度は4,849百万円の資金減少)となりました。これは主に、配当金の支払4,110百万円(前連結会計年度は2,872百万円)、非支配株主への配当金の支払644百万円(前連結会計年度は430百万円)等の減少要因があったことによるものであります。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

化成品

59,793

100.2

建装材

25,819

112.7

住器建材

18,782

108.6

合計

104,395

104.6

(注)1 金額は売価換算値によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

  当社グループは主として見込み生産を行っているため、記載すべき事項はありません。

 

(3)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

化成品

74,881

96.9

建装材

38,454

105.5

住器建材

38,297

105.4

合計

151,633

101.0

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)当社グループの対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、国内経済は雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調に向かう一方、新興国の景気減速、為替の変動等、より一層不透明な経営環境が続くと予想されます。国内建設需要は、住宅着工戸数に弱さがみられるものの非住宅建設市場に回復傾向がみられ、全体としては横ばいで推移する見通しです。また、アジア・オセアニア経済は緩やかな景気減速が続くと懸念されるものの、日本国内市場と比較すると高い成長率が期待できます。一方、利益面においては、原材料価格の上昇や新興国通貨に対して円高が進行した場合には、収益を圧迫する懸念があります。

当社グループは、このような経営環境を十分認識し、非住宅建設市場、特にオフィス・ホテル・保育園・倉庫など成長市場への営業活動の強化、アジア地域における成長拡大、非建設分野への取り組みとして注力している機能材料事業の強化、不燃・省施工等の顧客ニーズにマッチした新商品の開発を推進してまいります。また、アイカ・アジア・パシフィック・ホールディング社およびアイカSDKフェノール株式会社、アイカテック建材株式会社などの近年連結化したグループ企業の強みを最大限活用することで、さらなる強化を図ってまいります。

 

(2)株式会社の支配に関する基本方針

1.当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する者が望ましいと考えております。当社は、株式を上場して市場での自由な取引に委ねているため、会社を支配する者の在り方は、最終的には株主の皆様の全体の意思に基づき決定されるべきであり、会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるかどうかの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えます。

しかしながら、当社株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、株主が買付の条件等について検討したり、当社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、当社の企業価値および株主共同の利益を毀損するものもありえます。

このような大規模な買付行為や買付提案を行う者は、例外的に当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として適当でないと判断します。

 

2.基本方針の実現に資する取り組み

<中長期的な会社の経営方針>

アイカグループは、「挑戦と創造」を社是に掲げ、「共生の理念のもと、たえざる革新により新しい価値を創造し、社会に貢献してまいります」との経営理念のもと、以下の項目を経営方針と定め経営を進めています。

[経営方針]

①化学とデザイン

化学とデザインの力で独創性のある商品をつくり、豊かな社会の実現に貢献します。

②グループシナジー

技術・素材連携やチャネル活用を追求し、グループシナジーを創出します。

③No.1

事業分野や地域におけるNo.1商品を拡充します。

④グローバル

海外における生産・販売拠点と人材の充実を図り、グローバル市場で持続的な成長を目指します。

⑤人材と組織

人材を最も重要な経営資源と捉え、相互理解と成長を通じ、活力あふれる人材・組織を形成します。

⑥コンプライアンス経営

法令や社会秩序を守り、公正で透明性の高いコンプライアンス経営を実践します。

⑦安心・安全への約束

ステークホルダーとのコミュニケーションを重視し、「信頼される品質の確保」や「環境に配慮した事業活動」を推進します。

以上の経営方針のもと、平成29年4月から新たに中期4ヵ年計画をスタートさせました。連結売上高2,000億円、連結経常利益220億円、ROE10%以上、海外売上比率35%以上という目標を達成するために、①AS商品(※1)群の拡充による国内基幹事業の成長持続、②次世代を担う注力分野の育成・投資、③ジャパンテクノロジーの海外展開、に注力いたします。また、C&C活動(※2)を通じた社員一人ひとりの成長、QEOマネジメント(※3)とIT基盤刷新によるCS・ES(※4)向上、コンプライアンス遵守、を重点方針に掲げ、成長を支える経営基盤を強化し、株主・顧客などのステークホルダーから絶大の信頼を得られるよう取り組んでまいります。

 

※1 AS商品

AICA Solution商品の略。様々な社会課題(インフラ老朽化・高齢化・環境・安全・人手不足など)を解決する商品

※2 C&C活動

挑戦と創造(Challenge & Creation)の精神のもと、製品・サービス・仕事などの質の管理・改善を行う小集団活動。1977年から行っている

※3 QEOマネジメント

品質(Quality)・環境(Environment)・労働安全衛生(Occupation health and safety)、三位一体のマネジメントシステム

※4 CS・ES

CSは顧客満足度、ESは従業員満足度を表す

 

<コーポレート・ガバナンス(企業統治)の推進>

当社は「コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化」を通じて、グループ会社とともに企業価値および株主共同の利益の確保・向上を実現させていきたいと考えています。

①基本規程として「行動規範」を策定し、企業理念の精神を具体化した役員および社員の「行動指針」として定めています。更に、全社横断組織として「企業倫理委員会」を設置するなど企業統治に関する組織、規程を充実させ、企業の透明性、効率性、健全性を向上すべく推進しています。

②経営の体制として、業務執行と監督機能区分を明確化するため、執行役員制度を導入しております。取締役会は、経営の透明性・客観性を確保するため社外取締役を含む取締役にて構成しております。監査役会は、監査役監査の透明性、公平性を確保するため社外監査役を含む監査役にて構成しております。また、任意の諮問委員会として、社外役員を主な構成員とする「ガバナンス委員会」を設置し、企業の持続的な成長と統治機能の更なる充実を目指しています。

当社では多数の投資家の皆様に長期的に当社に投資を継続していただくため、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を向上させるための取り組みとして、以上のような施策を実施しております。

 

3.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み

本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みとして、当社は「大規模買付ルール」を設定し、また当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうような大規模買付行為への対抗措置(買収防衛策)を導入いたしました。

当社が設定する大規模買付ルールとは、①事前に大規模買付者に取締役会に対する必要かつ十分な情報の提供を求め、②取締役会による一定の評価期間が経過した後にはじめて大規模買付行為が開始される、というものです。

大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合には、取締役会は、仮に当該大規模買付行為に反対であったとしても、原則として、当該買付提案についての反対意見の表明あるいは代替案の提示により株主の皆様を説得するに留め、当該大規模買付行為に対する対抗措置はとりません。大規模買付者の買付提案に応じるか否かは、株主の皆様において、当該買付提案および当社が提示する当該買付提案に対する意見、代替案等をご考慮の上、ご判断いただくことになります。

(1)大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合

大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付行為が以下①~⑤のいずれかに該当し、その結果として当該大規模買付行為が会社に回復し難い損害をもたらすなど当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうと当社取締役会が判断する場合には、第三者委員会の勧告を十分に尊重したうえで、例外的に当該大規模買付行為に対する対抗措置をとることがあります。

①真に当社の経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価をつり上げて高値で株式を会社関係者に引き取らせる目的の大規模買付行為(いわゆるグリーンメーラーである場合)

②当社の経営を一時的に支配して当社の事業経営上必要な知的財産権・ノウハウ・企業秘密情報・主要取引先や顧客等を当該大規模買付者やそのグループ会社等に移譲させるなど、いわゆる焦土化経営を行う目的の大規模買付行為

③当社の経営を支配した後に、当社の資産を当該大規模買付者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する予定の大規模買付行為

④当社の経営を一時的に支配して当社の事業に当面関係していない不動産、有価証券など高額資産等を売却処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるかあるいは一時的な高配当による株価の急上昇の機会を狙って株式の高値売り抜けをする目的の大規模買付行為

⑤大規模買付者の提案する当社株式の買付方法が、いわゆる強圧的二段階買収(最初の買付条件よりも二段階目の買付条件を不利に設定し、あるいは二段階目の買付条件を明確にしないで、公開買付等の株式の買付を行うことをいいます)等の、株主の判断の機会または自由を制約し、事実上、株主に当社の株式の売却を強要するおそれがある大規模買付行為

(2)大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合

大規模買付者が意向表明書を提出しない場合、大規模買付者が取締役会評価期間の経過前に大規模買付行為を開始する場合、大規模買付者が大規模買付ルールに従った十分な情報提供を行わない場合、またはその他大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、取締役会は、当社の企業価値・株主共同の利益を守ることを目的として、第三者委員会の勧告を十分に尊重した上で、当該大規模買付行為に対する対抗措置をとる場合があります。

 

4.上記2および3の取り組みが会社支配に関する基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものではないこと、会社役員の地位の維持を目的とするものでないことおよびその理由

当社株式に対する大規模買付行為がなされた場合に、当該大規模買付に応じるか否かを株主の皆様がご判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や期間を確保し、株主の皆様のために大規模買付者と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上を目的として、買収防衛策を導入するものであり、上記1に述べた会社支配に関する基本方針に沿うものです。

また、取締役会によって恣意的な判断がなされることを防止し、その判断の客観性および公正性を担保するための仕組みとして、第三者委員会を設置しています。第三者委員会は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外取締役、社外監査役および社外有識者の中から選任される委員3名以上により構成されます。

また、第三者委員会の判断の概要については、適時適切に株主および投資家の皆様に情報開示を行うこととし、当社の企業価値および株主共同の利益に適うように透明な運営が行われる仕組みが確保されています。

 

なお、平成28年4月27日に開催の取締役会において、株式会社の支配に関する基本方針および当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)を決議し、平成28年6月23日開催の第116回定時株主総会でご承認いただいております。

 

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、事業等のリスクについてはこれらに限られるものではありません。

 

(1)特定の部門における建設需要及びリフォーム需要の依存度

 当社製品は、最終製品ではなく部材に特化しているとともに、幅広い分野に浸透しているため、当社グループの業績は、特定の市場環境による大きな影響を受けにくくなっております。ただし、当社製品の中で売上構成比の高い建装材部門及び住器建材部門の製品は、主に住宅、店舗、病院等の建設及びリフォームにおいて使用されております。また、化成品部門における外装・内装仕上塗材、塗り床材についても住宅建設資材として使用されております。このため、住宅の建設需要及びリフォーム需要のほか、店舗及び病院等の建設需要及びリフォーム需要が減少した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)主要原材料価格の変動、主要原材料部品の調達

 当社グループは、コストダウンと調達の安定性のバランスを念頭において事業を行っておりますが、原油・ナフサ価格等の高騰、中国を中心とするアジア市場の活況による原材料の需給バランスの不均衡により主要原材料価格の高騰が進んだ場合、及び供給メーカーの事情により特定原材料の調達が困難となり生産活動に支障をきたした場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)製品の品質、製造物責任

 当社グループは、国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO9001に従って各種製品を製造・販売しておりますが、全ての製品について欠陥が無く将来クレームが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、万一、製造物責任賠償保険で充分に填補できない製品の欠陥による損失が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)市場ニーズ、顧客ニーズの変化への対応

 当社グループは、オリジナル製の高い技術開発を進め、安全・安心・健康・省エネルギーに配慮し、変動する国内外の市場ニーズや顧客ニーズにマッチした競争力のある新商品開発を推進しております。しかしながら、市場ニーズや顧客ニーズの変化に適切に対応できない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)情報セキュリティ

 当社グループは、事業遂行に関連し、多くの個人情報や機密情報を有しております。これら各種情報の取り扱いについては万全の体制を整えておりますが、不測の事態により情報の流出・漏洩が発生した場合には、対応に多額の費用負担が生じたり社会的信用が低下することにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)環境保全

 化成品、建装材の製造の過程で使用される原材料の中には、人の健康や生態系に影響を与える物質も含まれております。当社グループは、環境保全に係る法規制を遵守し、土壌汚染、水質汚染等の環境汚染防止に取り組んでおりますが、万一、当社グループの事業活動に起因する環境汚染が発生した場合には、対応に多額の費用負担が生じたり社会的信用が低下することにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7)海外での事業展開

 当社グループは、海外生産拠点の充実と資材調達のグローバル化を進め、積極的に海外での事業展開を推進しております。そのため、予期しない法令・税制・規制の変更、輸送遅延や電力停止などの社会インフラ未整備による社会混乱、政治変動、戦争テロ、天災地変など不可避のリスクが内在しており、これらのリスクが発生した場合、事業の遂行に問題が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8)為替相場の変動

 当社グループは、外貨建の取引における変動リスクに対しては先物為替予約を締結しリスクの軽減に努めておりますが、海外拠点の事業拡大に伴い外貨建収益・費用が増加してきており、為替相場の変動により外貨建収益・費用の円貨換算額が大きく増減し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)大規模災害と事故

 当社グループは、大規模災害や事故により重要な事業を中断させないこと、また万一、事業活動が中断した場合においても残存する能力で目標復旧時間までに重要な事業を再開させることを目的に、事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)を策定し緊急時の対策を講じておりますが、想定外の大規模災害や事故等が発生した場合には、事業所の機能停止、製造設備等の損壊等の被害により事業活動の継続に影響を及ぼし、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10)法的規制

 当社グループの主要製品である化成品分野、建装材分野に関しては、環境規制が厳しくなっており、環境配慮型商品への対応が必要不可欠となっております。今後も、建築基準法によりVOC規制(揮発性有機化合物に関する規制)が強化される可能性があります。当社グループは、常に規制の対象と考えられる物質への対応に取組んでおりますが、法規制の強化がなされた場合や製品開発の動向によっては、当社グループの業績に影響を与える場合があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 特記事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、主として有価証券報告書提出会社であるアイカ工業株式会社にて行っております。その内容は、以下のとおりであります。

当社は、オリジナル性の高い技術開発を進め、安全・安心・健康、省エネルギーに配慮しながら、様々な社会課題を解決するとともに、変動する国内外の市場ニーズにマッチした競争力のある新商品開発を推進しております。また、スマートフォン、ディスプレイ関連材料やLED関連材料などの機能材料事業を強化し育成すると共に海外事業の拡大に注力しております。当連結会計年度の研究開発費の総額は2,672百万円であり、主な研究開発の概要とその成果は、次のとおりであります。

 

(1)化成品

化成品分野におきましては、「環境」「改修」「海外」をキーワードに研究開発を進めております。

接着剤系商品では、環境対応型(F☆☆☆☆対応、JAIA 4VOC基準適合)ウレタン系樹脂系の床ネダ施工用接着剤「アイカエコエコボンドJW-400(床棟梁)」の作業性改善、接着性能向上を行うなど接着性、機能性に優れた商品を投入しました。構造物の長寿命化に貢献するため、コンクリートの剥落防止対策工法として「クリアタフレジンクイック工法(ウレアウレタン樹脂)」を上市しました。また、下水道施設用防食被覆材料として「リードアクア工法」を上市、水系で環境に配慮した材料設計となっています。防水用途では1液ウレタン防水工法「ワンナップガード」を上市、特定化学物質非該当の補強層で構成されており、新築はもちろん、改修にも適した工法です。今後も、建築、土木分野の改修市場へ更なる新商品、新工法を投入すべく商品開発に努めてまいります。

電子材料商品では、スマートフォン、タブレットPC、自動車内装部品向けに、高機能コーティング剤・接着剤「アイカアイトロン(紫外線(UV)硬化型樹脂)」のラインナップを拡充し、スピーディーに市場投入して参りました。また、有機微粒子商品では、市場ニーズに応えるべくウレタン微粒子製品の拡充を行い、塗料用艶消し剤及び機能性コーティング原料以外にも化粧品原料として市場投入いたしました。今後も国内外での販売拡大と最新市場動向にマッチする新商品開発に努めて参ります。

なお、当連結会計年度の研究開発費は1,853百万円であります。

 

(2)建装材

建装材分野におきましては、「意匠/デザイン」「機能」「省施工」をキーワードに、差別化を図ることができる商品の研究開発を進めております。

最先端のトレンドを形にした高感度なデザイナーズ化粧板「+WONDER(プラスワンダー)」に、透明感や色の奥行きを表現したガラス柄、希少な高級石材の柄など新柄45種類を追加リリースしました。さらに木目柄と同調したエンボスでリアルな素材感を表現したメラミン化粧板「セルサス プレミアムテクスチャー」に新エンボスオークを追加し、意匠と機能を兼ね備えた商品バリエーションを強化しました。また、水廻りのリフォーム需要に対応し、優れた施工性と洗練された意匠性を両立する軽量壁面パネル「バスフィットパネル」を上市しました。

アイカテック建材株式会社とのシナジーによる商品第一弾として、汎用性の高い塗装けい酸カルシウム板「ルナライト・カラー」6色を上市。さらに受注対応品36色を追加して、全42色のラインナップに拡充しました。今後も引き続き不燃建材の商品群を拡充するとともに、アイカテック建材が保有する無機技術とのシナジーによる新商品開発を進めて参ります。

なお、当連結会計年度の研究開発費は365百万円であります。

 

(3)住器建材

住器建材分野におきましては、住宅市場以外の商品にも注力し、「加工技術」を建装材分野とも連携した研究開発を進めております。

住宅市場以外の市場として、育児施設向け手洗いに対し、壁水洗タイプシンク・吊戸タイプ収納の商品強化を行いました。また、同様市場である、育児施設向け商品として、見守り・教育を兼ね備えたキッズ向けトイレブース(まなブース)の発売を行い、より存在感のある商品体系化を実施しました。

好調をキープしている高級人造石「フィオレストーン」では、トレンドを意識した色柄開発を行い、3柄追加投入し、更なる市場定着化を計ります。

住宅市場向けとしては、造作型洗面ユニットとして、スマートサニタリーシリーズの大幅な見直しを行い、天板素材は、メラミン・人工大理石・人造石の3パターンをラインナップし、洗面ボウルは、新規デザインを追加投入により、基本ベース部分の刷新化を行うと共に、3面鏡やメラミン枠を利用した鏡等洗面空間を演出する部材の開発も実施し、商品の差別化を実現しました。

今後も引き続き、素材をいかした加工技術で、住宅・非住宅分野への市場に対し、特徴のある商品化の開発に努めてまいります。

なお、当連結会計年度の研究開発費は454百万円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。

 

(1)重要な会計方針

当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(2)当連結会計年度の財政状態の分析

<資産>

資産合計は、164,634百万円(前連結会計年度末比11,199百万円増)となりました。

流動資産の増加(前連結会計年度末比12,309百万円増)は、主に「現金及び預金」の増加(詳細は「第2 事業の状況 1 業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。)と、売上増加に伴う「受取手形及び売掛金」の増加によるものであります。固定資産の減少(前連結会計年度末比1,109百万円減)は、主に「無形固定資産」の減少によるものであります。

 

<負債>

負債合計は、44,949百万円(前連結会計年度末比4,015百万円増)となりました。

流動負債の増加(前連結会計年度末比3,952百万円増)は、「支払手形及び買掛金」の増加や、「短期借入金」及び「未払法人税等」の増加によるものであります。

固定負債の増加(前連結会計年度末比63百万円増)は、主に「長期借入金」減少と「繰延税金負債」の増加によるものであります。

 

<純資産>

純資産合計は、119,685百万円(前連結会計年度末比7,184百万円増)となりました。

主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益による「利益剰余金」の増加によるものであります。

 

(3)当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度の概要は「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりでありますが、そのポイントは次のとおりであります。

 

<売上高>

国内建設市場におきましては、住宅ローン金利の低下や政府による住宅取得支援策、相続税対策に伴う賃貸住宅の増加などを背景に住宅着工は堅調に推移しました。非住宅建設市場は、店舗等で着工面積が減少しましたが、オフィスや宿泊施設の市場拡大に支えられ全体としては持ち直しの動きが見られました。

このような経営環境の下、当社グループは、医療・介護施設をはじめとする非住宅市場及びリフォームなどの成長分野に対する営業活動の強化、アイカ・アジア・パシフィック・ホールディング社及びその子会社とのシナジーの追求、アジア地域におけるメラミン化粧板販売の強化、機能材料事業の強化などを推進いたしました。

この結果、当連結会計年度の売上高は151,633百万円となり、前連結会計年度と比べ1.0%増加いたしました。

 

<売上総利益>

売上総利益は45,499百万円となり、前連結会計年度と比べ8.3%増加いたしました。

経営資源の効率的な活用に一層の努力を続けるとともに、グループ一丸となって業務改革を推進し、生産効率の向上に努めました。

 

<販売費及び一般管理費、営業利益>

販売費及び一般管理費は荷造運搬費・給料及び賞与等の増加により1,589百万円増加の27,399百万円となりました。この結果、営業利益は18,099百万円となり、前連結会計年度と比べ11.8%増加いたしました。

 

 

<営業外収益、営業外費用、経常利益>

営業外収益は171百万円減少の1,110百万円、営業外費用は277百万円減少の836百万円となりました。この結果、経常利益は18,374百万円となり、前連結会計年度と比べ12.4%増加いたしました。

 

<税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益>

税金等調整前当期純利益は18,201百万円となり、前連結会計年度と比べ11.3%増加いたしました。

また、親会社株主に帰属する当期純利益は11,064百万円となり、前連結会計年度と比べ11.1%増加いたしました。

 

(4)当連結会計年度の資本の財源及び資金の流動性についての分析

「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。