当社は次の10年に向けた経営ビジョン(Next 10)「要素技術を通じて新たな価値を創造し、お客様から選ばれるソリューションパートナー」を設定し、「お客様の価値向上と社会課題の解決に貢献し、事業を通じて社会・環境価値を創出する」ことでグループの持続的成長を目指します。また、人々の安心で快適な生活を支える事業、環境・エネルギー負荷を軽減する事業、情報通信に関する事業に注力し、事業領域の拡大と収益力の強化を実現します。
当社グループは、平成31年度を初年度とする平成33年度までの第六次中期経営計画を策定しております。
今回の中期経営計画では、経営ビジョンNext10の実現に向けた第一ステップとして「新たな成長トレンドへの転換」と位置付けます。第五次中期経営計画で着手した既存事業の構造改革を完遂し、収益基盤を確固たるものとしながら、成長市場・分野への投資を集中することで、グループの新たな成長エンジンの創出を目指します。
また、「人ひとりを大切に」「地域社会への貢献」「お客様を第一に」という当社グループの経営理念の下、「社会から信頼される企業グループであり続ける」をCSR基本方針として、環境・社会・ガバナンスを重視したESG経営に取組むことで持続的な成長と企業価値の向上を実現します。
上記を踏まえ、当社グループの対処すべき課題は、平成31年2月12日に公表しました第六次中期経営計画の達成を期することであります。
当社グループは、投下資本の運用効率や収益性を測る指標として総資産経常利益率を重視しております。当社の目標は総資産経常利益率5%をコンスタントに達成することであります。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼし、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられるリスクには以下のようなものがあります。
当社グループといたしましては、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 合成樹脂事業の経営成績が、原料価格の変動等により影響を受ける可能性があることについて
当社の合成樹脂事業で製造するフィルムの主原料は石油化学製品であるため、原油価格や為替の変動が原料価格動向に影響を及ぼす傾向があります。
(2) 住友化学株式会社への依存度が高いことについて
当社の新規材料事業における光学機能性フィルム関連製品の過半は住友化学株式会社へ販売しておりますが、将来にわたり当社製品が同社に採用される保証はありません。
(3) 建材事業の経営成績が、新設住宅着工戸数の増減により影響を受ける可能性があることについて
当社の建材事業の製品は、主に住宅の建築資材となっているため新設住宅着工戸数の減少による需要の減少及び価格競争の激化により、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 連結子会社を除く関係会社に対する保証債務について
当社は、連結子会社を除くオー・エル・エス㈲等の関係会社に対し、資金調達を円滑に行うための債務保証を行っております。当連結会計年度末現在の保証債務の合計は6億6千4百万円であります。
今後、これらの関係会社(非連結)の業績動向により債務履行又は引当を要する場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) 固定資産の減損について
産業用途向けなどの一部の製品分野においては、技術革新のスピードが速く、市場環境が急激に変化し続けているため、これまでに投資した設備について、資金回収が終わらないうちに稼働率が著しく低下し、その結果、減損損失などの特別損失が発生する可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下
「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、好調な企業収益により設備投資が高水準であったことや雇用情勢や所得環境の改善が続いたことを背景に、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、米国政権の保護主義色の強い通商政策や米中貿易摩擦、労働需要のひっ迫に伴う人件費の上昇などのリスクにより、依然として先行きの不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループでは、細やかな拡販努力を重ねたものの、新規材料事業のスマートフォン向け光学フィルム製品の受注が減少したことなどにより、当連結会計年度の売上高は862億6千万円(前年同期比5.0%減)となりました。
利益面では、売上高の減少に加えて合成樹脂事業において原材料価格の上昇に伴う利益率悪化などにより、営業利益は42億5千4百万円(前年同期比26.5%減)、経常利益は43億6千6百万円(前年同期比25.9%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、合成樹脂事業において減損損失を計上したことなどにより、24億4千2百万円(前年同期比10.2%減)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
〔合成樹脂事業〕
軟包材BUにおいて詰め替え用パウチ袋の需要増があったものの、産業機能材BUにおける電子材料向けフィルムの需要減に加えて、自治体向けごみ袋を中心に一般包材BUや夏場の天候不順の影響を受けたアグリマテリアルBUでも販売数量が減少しました。一方、前年秋よりの原材料価格等のコスト上昇分について、製品価格への転嫁を進めたため、売上高は496億5千4百万円(前年同期比0.6%増)となりました。営業利益は販売数量の減少に加えて、製品価格への転嫁が遅れたことでコスト上昇分を吸収できなかったため32億1千9百万円(前年同期比20.1%減)となりました。
なお、投下資本回収力が当初予定より著しく低下した製造設備について、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として7億9千4百万円を特別損失に計上しております。
〔新規材料事業〕
ウレタンフィルムや接着剤等の機能材料において新製品の拡販が進んだものの、前年から量産を開始したスマートフォン向け光学フィルム製品の受注が当期首より大きく減少したことや、前年に活況な受注を維持していた大型液晶パネル向け光学フィルム製品の市況が3月以降悪化した影響が大きく、売上高は222億2千万円(前年同期比17.7%減)となりました。営業利益は、歩留り改善に注力し生産性が向上したものの、光学フィルム関連の売上高減少の影響が大きく18億2千2百万円(前年同期比33.0%減)となりました。
〔建材事業〕
市場規模の縮小が続く合板を基材とした化粧板の販売数量が減少したことにより、売上高は80億6千8百万円
(前年同期比1.5%減)となりました。営業利益は、売上高は減少したものの、減価償却費など固定費の削減に加え
パーティクルボードの生産性向上により、3億8千2百万円(前年同期比209.3%増)となりました。
なお、今後大きな需要回復が見込めない南洋材合板化粧板及び不燃化粧板について、カタログ製品の販売を終了し、直需型の営業に特化するにあたり、当連結会計年度において事業整理損として8千8百万円を特別損失に計上しております。
〔その他〕
木材加工(プレカット)事業の受注が好調だったことにより、売上高は63億1千6百万円(前年同期比0.7%増)となりました。営業利益は販売数量の増加により、8億1千万円(前年同期比13.2%増)となりました。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ30億7百万円減少し、846億1千1百万円となりました。
その主な内訳は、建設仮勘定の増加17億3千6百万円、売上債権の減少13億7千4百万円、投資有価証券の減少
25億5百万円によるものであります。
一方、負債につきましては、仕入債務の減少16億6千5百万円、借入金の減少11億1千1百万円などにより、前
連結会計年度末に比べ28億1百万円減少し、407億7千7百万円となりました。
また、純資産は、利益剰余金の増加16億6千7百万円、その他有価証券評価差額金の減少17億6千万円などによ
り、前連結会計年度末に比べ2億5百万円減少し、438億3千4百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて1.5ポイント上昇し、51.8%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、74億3千1百万円(前連結会計年度比12億1千万円減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は、59億5千5百万円(前連結会計年度比31億4千2百万円減)となりました。
これは、主として税金等調整前当期純利益33億3千4百万円、減価償却費39億2百万円による資金の増加によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、52億6千7百万円(前連結会計年度比12億4千7百万円増)となりました。
これは、主として合成樹脂事業、新規材料事業における製造装置等の有形固定資産の取得による資金の減少によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、18億8千8百万円(前連結会計年度比20億1千7百万円減)となりました。
これは、主として借入金の減少11億9百万円、配当金の支払い7億7千1百万円による資金の減少によるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記金額には、消費税等を含んでおりません。
当社グループはその他のセグメントのうち、宅地造成及び建物建築事業において一部受注生産を行っており、
その受注状況は次のとおりであります。
その他の製品については見込生産を主として行っているので特記すべき受注生産はありません。
(注) 上記金額には、消費税等を含んでおりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
2.上記金額には、消費税等を含んでおりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文
中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、開示に影響を与えると思われる見積りは合理的な基準に基づき、適正に実施されておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「経営成績等の状況の概要、(1) 経営成績
の状況」に記載しております。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料、商品等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。
これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入による資金調達で対応しております。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1.いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(4) 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、投下資本の運用効率や収益性を測る指標として総資産経常利益率を重視しております。当社の目標は総資産経常利益率5%をコンスタントに達成することであります。
第五次中期経営計画期間内の総資産経常利益率は、平成28年度5.5%、平成29年度6.9%、平成30年度5.1%であり目標を達成いたしました。今後も、安定的な目標達成のため、第六次中期経営計画で掲げた戦略に引き続き取り組んでまいります。
当社は、平成30年11月12日開催の取締役会の決議に基づき、平成31年1月4日付で、当社の合成樹脂事業のう
ち、主として東日本地区のラミネート製品事業及びアグリマテリアル製品事業を新設分割し、新たに設立した「株
式会社埼玉オークラ」に同事業を承継いたしました。
詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のと
おりです。
当社グループにおける研究開発の基本方針は、コア・コンピタンスとしての「加工技術」の向上及び「機能材料」の開発であり、これらは競争戦略である「差別化・特殊化」を達成するための鍵と捉えております。
この基本方針のもと、当社グループの強みである押出・延伸等のプラスチック加工技術を基礎に、より競争力のある製品を生み出すべく経営資源を集中し、グループ一体となって取り組んでおります。
当社グループの研究開発活動は、R&Dセンターを中心に各事業部門が密接に連携を取りながら、短期的成果の実現と中期的先行開発のバランスに配慮し、効率的に新たな技術や製品開発に取り組んでおります。
また、各種研究機関、大学、企業とのプロジェクト、共同研究もR&Dセンターを中心に推進しております。
当連結会計年度における主な活動内容は次のとおりであります。
[R&Dセンター]
市場の伸長が期待される「環境・エネルギー」「ライフサイエンス」「情報電子」に加え、3つの分野を横断する自動車用途向け部材に注力し、新しい要素技術の獲得に取り組み、事業に繋がる新製品を開発するべく取り組んでおります。
「環境・エネルギー」分野では、バイオプラスチック原料からできた環境負荷低減製品の技術の応用・深化検討を開始し、平成31年に発足するクリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)へ参画します。また、香川県先端技術活用型研究開発支援事業にて、産業技術総合研究所とセルロースファイバーに関する共同研究を行い、機能性フィルムの開発に活かせる樹脂複合化検討及び課題抽出を実施しました。さらに、電動化車両における電池の消耗削減に貢献する省エネルギー部材の開発を継続し、開発成果を権利化しました。
「ライフサイエンス」分野では、先端医療技術を導入したスマート手術室で使用される医療機器用プロテクトフィルムの開発を継続し、必要な法規制や規格要求を習得して上市に向け取り組みました。さらには今後の市場拡大が期待されるバイオ医薬品やワクチンの培養に使用する細胞培養関連部材の開発を開始しました。
「情報電子」分野では、昨年販売が具現化した電子黒板やデジタルサイネージなどに使用される大型用途に対応したタッチパネル部材の需要が増加しました。また、データ通信機器の高速通信に欠かせない5G対応の高周波低損失基板用部材の開発に着手しました。
[合成樹脂事業]
食品パッケージの市場では、夜間に包装する人材不足及び廃棄ロスを削減する目的でシェルフライフを延長するためにガス充填を行うMAP(Modified Atmosphere Packaging)システムの採用が増加しております。当連結会計年度では、このシステムに使用されるガスバリアー性シュリンクフィルムの長期保管性能を強化した製品の販売が旺盛となりました。
また、資源有効利用促進法の基本方針のひとつに示されているリデュース促進のため、ボトル容器からスタンディングパウチ形態への置き換えが進んでおり、それに対応する製品を上市しました。さらに、利便性を向上させるため、スパウト付きスタンディングパウチの販売に取り組みます。
さらに、様々な用途のシュリンク包装に対応するため、高収縮性を有したシュリンクフィルムを開発し、その生産機として従来よりも生産性の高い設備を新設しました。
[建材事業部]
南洋材合板の原木枯渇や価格高騰が見込まれる中、自社製リサイクル素材であるパーティクルボードを多面的に利用できるよう、パーティクルボードを基材とした化粧板の開発を進めました。
また、構造用パーティクルボードについて、よりお客様が利用しやすいよう、設計の見直し等を進めました。
さらに、未利用の植物資源を高度にカスケード利用する技術開発に取り組み、快適な住環境の形成に寄与する高付加価値で有用な機能性建材の開発に取り組んでおります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は10億2千9百万円であり、各セグメントに配分できないR&Dセンターの研究開発費用6億9千3百万円が含まれております。
なお、当連結会計年度末における特許権及び実用新案権の総数は141件であります。