第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、2019年に、より長期的な視点から10年後にありたい姿としての経営ビジョン「Next 10」を策定しました。「Next 10」では「要素技術を通じて新たな価値を創造し、お客様から選ばれるソリューションパートナー」を目指し、お客様の価値向上と社会課題の解決に貢献し、事業を通じて社会・環境価値を創出することでグループの持続的成長を果たして参ります。また、10年後に向けて注力する領域として、「人々の安心で快適な生活を支える事業」、「環境・エネルギー負荷を軽減する事業」、「情報通信に関する事業」を設定し、事業領域の拡大と収益性の強化を実現します。

(2) 中長期的な経営戦略

当社グループは、2019年度を初年度とする2021年度までの第六次中期経営計画を策定しております。

第六次中期経営計画は、Next 10の実現に向けた第一ステップとして「新たな成長トレンドへの転換」と位置づけています。第五次中期経営計画で着手した既存事業の構造改革を完遂し、収益基盤を確固たるものとしながら、成長市場・分野への投資を集中することで、グループの新たな成長エンジンの創出に努めております。

また、「社会から信頼される企業グループであり続ける」をCSR基本方針として、環境・社会・ガバナンスを重視したESG経営に取組むことで持続的な成長と企業価値の向上を実現します。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

現在、新型コロナウイルスの感染拡大が日本経済へ深刻な影響を及ぼしております。今後の日本経済は緩やかに回復していくと思われるものの、感染拡大前の水準まで回復するには時間を要すると予想されます。一方で、デジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流、ESGの浸透やビジネスモデル、ライフスタイルの変革が一層進んでいくものと考えられます。

当社グループでは、これら環境変化をビジネスチャンスと捉え、成長を加速させていくとともに、事業を通じた環境問題・社会問題の解決にも積極的に取組んで参ります。具体的な取組みとして、合成樹脂事業では、環境負荷低減製品の更なる拡充と市場投入、トータルパッケージング提案による販売拡大、既存成長事業の競争力強化を図って参ります。新規材料事業では、需要が旺盛な大型テレビ用光学フィルムの能力増強を実施するとともに、新樹脂を原料とした光学フィルムの安定生産と新規顧客獲得を行って参ります。建材事業では、パーティクルボードの生産性を更に高めるとともに、新製品の早期本格立ち上げによる住環境事業の再構築を推進して参ります。その他事業では、引き続き各事業子会社が地域に密着したそれぞれの戦略により拡販を図るとともに、利益体質を強化させていきます。

 

(4) 目標とする経営指標

当社グループは、投下資本の運用効率や収益性を測る指標として総資産経常利益率を重視しております。当社の目標は総資産経常利益率5%をコンスタントに達成することであります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
 これらのリスクが顕在化した場合、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性がありますが、当社といたしましては、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応として、代替する事業計画を機動的に策定し、その遂行に努める方針であります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 合成樹脂事業の経営成績が、原料価格の変動等により影響を受ける可能性があることについて

当社の合成樹脂事業で製造するフィルムの主原料は石油化学製品であるため、原油価格や為替の変動が原料価格動向に大きく影響し、価格変動分を製品価格に転嫁できなかった場合、経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(2) 住友化学株式会社への依存度が高いことについて

当社の新規材料事業における光学機能性フィルム関連製品の過半は住友化学株式会社へ販売しておりますが、将来にわたり当社製品が同社に採用される保証はありません。予期しない契約の打ち切りや販売数量の大きな減少があった場合、経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(3) 建材事業の経営成績が、新設住宅着工戸数の増減により影響を受ける可能性があることについて

当社の建材事業の製品は、主に住宅の建築資材となっているため新設住宅着工戸数の減少による需要の減少及び価格競争の激化が起こった場合、経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(4) 連結子会社を除く関係会社に対する保証債務について

当社は、連結子会社を除くオー・エル・エス㈲等の関係会社に対し、資金調達を円滑に行うための債務保証を行っております。当連結会計年度末現在の保証債務の合計は9億5千6百万円であります。

今後、同社(非連結)の業績動向により債務履行又は引当を要する場合、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。

 

(5) 固定資産の減損について

産業用途向けなどの一部の製品分野においては、技術革新のスピードが速く、市場環境が急激に変化し続けているため、これまでに投資した設備について、資金回収が終わらないうちに稼働率が著しく低下した場合、減損損失などの特別損失が発生し、経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(6) 新型コロナウイルス感染症について

新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴う国内外の景気の急速な悪化により、当社グループでは需要減少等の影響が生じております。足元では一部医療従事者に対して新型コロナウイルスのワクチン接種が始まるなど収束に向けての動きがあるものの、現時点においては収束時期などの合理的な予測は困難な状況であります。その影響が今後も継続することにより、国内外の消費動向がさらに低下し、需要が大きく減少した場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

  当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下

 「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、企業収益の減少など厳しい状況が続いているものの、国内需要や輸出の改善など国内外の経済活動が再開したことで持ち直しの動きが見られました。しかしながら、11月以降の新型コロナウイルス感染再拡大に伴う経済活動の更なる停滞への懸念などから、依然として先行きの不透明な状況が続いております。
  このような状況のもと、当社グループでは、一部回復の動きが見られるものの、ほぼすべての事業において新型コロナウイルス感染拡大による市場縮小の影響を受けたことにより、当連結会計年度の売上高は809億5千8百万円(前年同期比5.2%減)となりました。
 利益面では、建材事業やホテル事業などの売上高減少の影響はあるものの、合成樹脂事業において変動コストが低位で推移したことや付加価値の高い製品の販売増加などにより、営業利益は42億8千6百万円(前年同期比15.2%増)、経常利益は45億9百万円(前年同期比15.8%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等の増加などにより、28億6千5百万円(前年同期比1.2%減)となりました。

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

〔合成樹脂事業〕

衛生材料向け詰替え用パウチ袋が堅調に推移している一方で、建材用途フィルムや自動車及び工業用途のフィルムが第4四半期で底を脱したものの通期では販売数量が減少し、売上高は465億1百万円(前年同期比5.7%減)となりました。一方、営業利益は、原料構成により変動コストが低位で推移したことや付加価値の高い製品の販売数量増加などにより、44億5千8百万円(前年同期比22.4%増)となりました。

〔新規材料事業〕

新型コロナウイルス感染拡大により国内外の様々な市場の縮小が続いておりましたが、自動車関連やOA機器向け機能材料製品等の需要が底を脱したことや、大型液晶パネル向け光学フィルムの受注が旺盛なことも相まって、売上高は234億2千4百万円(前年同期比2.2%増)となりました。営業利益は売上高の増加などにより、11億3千4百万円(前年同期比2.1%増)となりました。

〔建材事業〕

消費増税及び新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、新設住宅着工戸数が減少し、フロア関連向けパーティクルボードの販売数量の減少や上半期において転売商品の販売を終了したこと、前年6月に南洋材合板化粧板等の規格品販売を終了したことにより、売上高は62億5千4百万円(前年同期比15.6%減)となりました。営業利益は生産性向上に努めコストを抑えたものの、売上高が減少したことなどにより、3億7千2百万円(前年同期比20.1%減)となりました。

〔その他〕

ホテル事業において新型コロナウイルス感染拡大の影響などを受け、宿泊及び宴会などの著しい減少が続いていることや、前年3月にオークラホテル高松の営業を終了したことなどにより、その他全体の売上高は47億7千8百万円(前年同期比16.6%減)となりました。営業利益は売上高の減少などにより、2億5千6百万円(前年同期比51.6%減)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ8億2千9百万円減少し、826億5千1百万円となりました。その主な内訳は、現金及び預金の増加15億7千4百万円、有形固定資産の減少15億1千5百万円、たな卸資産の減少7億6千9百万円によるものであります。
 一方、負債につきましては、借入金の減少26億8千9百万円、未払金の減少11億5千8百万円などにより、前連結会計年度末に比べ34億8千2百万円減少し、335億5千7百万円となりました。
 また、純資産は、利益剰余金の増加22億8百万円、その他有価証券評価差額金の増加3億6千7百万円などにより、前連結会計年度末に比べ26億5千2百万円増加し、490億9千4百万円となりました。
 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて3.8ポイント上昇し、59.4%となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、91億7千9百万円(前連結会計年度比15億7千4百万円増)となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により増加した資金は92億9千8百万円(前連結会計年度比21億8千4百万円増)となりました。
 これは、主として税金等調整前当期純利益40億8千4百万円、減価償却費48億3千6百万円による資金の増加によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は43億5千6百万円(前連結会計年度比12億9百万円減)となりました。
 これは、主として製造装置等の有形固定資産の取得による資金の減少によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果減少した資金は33億4千1百万円(前連結会計年度比19億6千6百万円増)となりました。
 これは、主として借入金の減少26億8千6百万円、配当金の支払い6億5千2百万円による資金の減少によるものです。

 

 

 (4) 生産、受注及び販売の状況

 ① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

合成樹脂事業

 

 

 合成樹脂製品

43,842

△6.7

新規材料事業

 

 

 光学機能性フィルム等

22,969

△0.4

建材事業

 

 

 加工合板・パーティクルボード等

6,391

△10.0

合計

73,203

△5.1

 

  (注) 1.金額は、販売価格によっております。

  2.上記金額には、消費税等を含んでおりません。

 

 ② 受注状況

 当社グループはその他のセグメントのうち、宅地造成及び建物建築事業において一部受注生産を行っており、

その受注状況は次のとおりであります。

 その他の製品については見込生産を主として行っているので特記すべき受注生産はありません。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

その他

669

△8.7

322

△9.0

 

  (注) 上記金額には、消費税等を含んでおりません。

 

 ③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

合成樹脂事業

 

 

 合成樹脂製品

46,501

△5.7

新規材料事業

 

 

 光学機能性フィルム等

23,424

2.2

建材事業

 

 

 加工合板・パーティクルボード等

6,254

△15.6

その他

4,778

△16.6

合計

80,958

△5.2

 

  (注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

住友化学株式会社

13,832

16.2

14,135

17.5

 

  2.上記金額には、消費税等を含んでおりません。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文

中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、注記事項、(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

なお、会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、注記事項、(追加情報)」に記載のとおりです。

 

(繰延税金資産)

当社グループは、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存しているため、その前提となる条件や仮定に変更が生じて見積りが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回った場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識や測定には慎重を期しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その前提となる条件や仮定に変更が生じて見積りが減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

   経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「経営成績等の状況の概要、(1) 経営成績

  の状況」に記載しております。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料、商品等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。
 これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入による資金調達で対応しております。
 なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。

 

2018年12月

2019年12月

2020年12月

自己資本比率(%)

51.8

55.6

59.4

時価ベースの自己資本比率(%)

25.8

28.6

27.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

1.7

1.3

0.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

44.8

60.0

92.7

 

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注) 1.いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

 (4) 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、投下資本の運用効率や収益性を測る指標として総資産経常利益率を重視しております。当社の目標は総資産経常利益率5%をコンスタントに達成することであります。

当連結会計年度における総資産経常利益率は、5.4%(前年同期比0.8ポイント改善)となり目標を達成いたしました。今後も、安定的な目標達成のため、第六次中期経営計画で掲げた戦略に引き続き取り組んでまいります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループにおける研究開発の基本方針は、「要素技術を通じて新たな価値を創造し、お客様から選ばれるソリューションパートナー」を目指し、お客様の価値向上と社会課題の解決に貢献し、事業を通じて社会・環境価値を創出することでグループの持続的成長を果たすことであります。
 この基本方針のもと、当社グループの強みである押出・延伸等のプラスチック加工技術を基礎に、より競争力のある製品を生み出すべく経営資源を集中し、グループ一体となって取り組んでおります。
 当社グループの研究開発活動は、R&Dセンターを中心に各事業部門が密接に連携を取りながら、短期的成果の実現と中期的先行開発のバランスに配慮し、効率的に新たな技術や製品開発に取り組んでおります。
 また、各種研究機関、大学、企業とのプロジェクト、共同研究もR&Dセンターを中心に推進しております。
 当連結会計年度における主な活動内容は次のとおりであります。

[R&Dセンター]
 市場の伸長が期待される「環境・エネルギー」「ライフサイエンス」「情報通信」に加え、3つの領域を横断するモビリティ領域を注力分野とし、新しい要素技術の獲得に取り組み、事業に繋がる新製品を開発するべく取り組んでおります。
 「環境・エネルギー」分野では、2019年1月に新設しました「環境・エネルギー開発部」において、プラスチック製品の資源循環、海洋プラスチック問題等の対策に取り組んでおります。市場から回収した廃棄プラスチックや当社内でプラスチックフィルムを製造する過程で発生する樹脂を再利用した環境負荷低減製品への技術検討を行い、一部を事業化しました。継続して、従来使用できなかったリサイクル樹脂を使用した新しい用途の開拓も行ってまいります。
 「ライフサイエンス」分野では、今後の拡大が期待される細胞培養関連部材の開発を継続し、試作品を用いてマーケティング活動を行っております。また、植物の有効成分の含有量や生育効率を高める栽培方法を確立するため、香川県仲多度郡多度津町に試験農場を開設し、ヘルスケアや健康食品の原料になる植物由来の機能性成分を抽出する技術検討を開始しました。
 「情報通信」分野では、次世代通信規格5Gで要求される高周波低損失基板用部材の開発を継続してまいりました。次のステップとして、当連結会計年度に抽出した加工安定性などの課題を解決するため、また量産化を見据えた試験設備を導入することとしました。

[合成樹脂事業]
 食品パッケージの市場でも環境問題を意識したパッケージングが要求されるようになり、バイオマス原料を使用したフィルム、更には生分解機能を有したフィルムの開発を進めてまいりました。当連結会計年度は、バイオマス原料を使用したシュリンクフィルムが飲料パッケージングで採用となり、更なる用途展開が検討されております。
 また、食品ロス削減の観点から食品の消費期限が延長できるMAP(Modified Atmosphere Packaging)の採用が増加しており、その生産能力を増強しました。更なる延長を目的として欧米ではすでに市場で採用されているスキンパック包装が日本でも検討されており、その開発も開始しております。

 [新規材料事業]
 モバイル機器向けディスプレイ市場では、新たなディスプレイアプリケーションとして、フレキシブル・ローラブルディスプレイの開発が活発化しております。
 また車載ディスプレイ市場においては、CID(センターインフォメーションディスプレイ)の標準搭載化が進むと共に、ドライバーの安全運転支援を目的とした各種アプリケーションの開発が行われております。
 当事業では、高精度製膜延伸技術・ファインコーティング技術・各種二次加工技術・評価技術を用いた新たなディスプレイ向けアプリケーションの開発を進めております。

 [建材事業]
 当事業では引き続き、木材の循環型リサイクル製品であるパーティクルボードを、当社ESG経営上の重要な製品と位置づけ、パーティクルボードの建築構造用途、土木用途等の分野で、製品開発を進めております。
 また、持続可能な材料を基材に、建築担い手の高齢化に対応した材料として、環境配慮型軽量コンクリート型枠パネルを開発し、2021年4月に発売を予定しております。木造軸組住宅向け省施工パネルの開発の継続、さらに当社合成樹脂事業で発生する廃棄ロスと木材との複合材料について研究開発を進めております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は949百万円であり、各セグメントに配分できないR&Dセンターの研究開発費用606百万円が含まれております。
 なお、当連結会計年度末における特許権及び実用新案権の総数は166件であります。