第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当事業年度のわが国経済は、設備投資が底堅く推移し、海外経済の緩やかな回復により輸出高が上向きました。一方、個人消費が依然低迷し、本格的な景気回復に至りませんでした。

このような情勢のもとで、当社は一層のコスト削減に取り組むとともに、新製品・新技術開発、売価是正、拡販に注力し、全社を挙げて収益確保に努めてまいりました。

当期の売上高は前期比2.1%減収の182億79百万円となりましたが、利益面におきましては、原燃料価格の下落、円安による輸出手取額の増加により、営業利益は12億10百万円(前期比88.8%増益)、経常利益は11億4百万円(前期比56.9%増益)となりました。当期純利益につきましては、大阪工場に係る特別損失を計上した結果、4億35百万円(前期比32.2%増益)となりました。

 

セグメントの状況は、次のとおりであります。

(ファイン製品部門)

大型医薬中間体の出荷が大幅に減少し、医農薬関連化学品は減収となりました。機能性化学品は、触媒関連製品の販売増が寄与し増収となりました。

この結果、当セグメントの売上高は127億52百万円(前期比6.6%減)、営業利益は12億12百万円(前期比35.0%増)となりました。

 

(化成品部門)

多価アルコール類は、原料価格下落による販売価格の下落があったものの、販売数量は大きく増加し、増収となりました。

この結果、当セグメントの売上高は55億26百万円(前期比10.3%増)、営業損失は2百万円(前期は2億57百万円の損失)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益及び減価償却費、たな卸資産の減少などにより25億35百万円の収入(前期は15億80百万円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得などにより19億58百万円の支出(前期は80百万円の支出)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは短期借入金の返済により、5億86百万円の支出(前期は11億26百万円の支出)となりました。

この結果、現金及び現金同等物残高は前事業年度末に比べ21百万円減少し、7億52百万円となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

ファイン製品部門

12,091,934

1.59

化成品部門

4,313,474

5.11

合計

16,840,764

5.21

 

(注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当社は原則的に過去の販売実績と将来の予想に基づいて見込生産を行っております。

 

(3) 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

ファイン製品部門

12,752,452

△6.6

化成品部門

5,526,739

10.3

合計

18,279,191

△2.1

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3 【対処すべき課題】

今後の見通しにつきましては、中国経済の減速が続くものの、欧米経済は個人消費が景気を下支えし緩やかな回復となる見込みです。
 在庫調整の進捗、雇用者所得の回復により、日本経済も緩やかな回復基調になると予想されます。

このような状況におきまして、当社は、平成28年度を初年度とする3ヵ年間(平成30年度まで)の中期経営計画を策定いたしました。当社は、「100年の技術と信頼を明日へ」をスローガンに、以下の項目を基本的な取り組みとして進めてまいります。
・売上高200億円、営業利益率8%を回復
・拠点集約、新プラント稼働により、生産効率向上と競争力強化
・新製品及び次世代製品に経営資源を積極的に投入
・安全と信頼のモノづくりを徹底

また、環境問題並びに製品の安全性、品質の確保には引き続き万全を期し、顧客の期待に応えられる信頼性の高い企業グループを目指してまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社の経営成績、財務状況等(株価を含む)に影響を及ぼすリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(平成28年3月31日)現在において当社が判断したものであり、また本記載は将来発生し得るすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 為替レートの変動に係るリスク

当社は輸出売上高の比率が高く、その多くは外貨建で取引を行っているため、当該通貨に対して円高が進行した場合、輸出債権回収額が減少することになります。このようなリスクに対して、為替予約を実施して、短期的なリスクをヘッジするように努めているほか、原料購入を外貨建に切り替えること等により、為替脆弱性の軽減を図るように努めております。しかし、中長期的な為替変動によるリスクを完全にヘッジすることはできないため、円高の進行は当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原料価格の変動に係るリスク

当社の主要原料のうち、アセトアルデヒドやメタノール等の原料価格は市況で変動するため、その価格の上昇を製品価格に転嫁できなかった場合は、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 製品価格やシェアの変動に係るリスク

当社の事業は、厳しい価格競争に直面しております。国内企業との競争のほか、インドや中国等の安価な海外品との競争により、製品価格や販売シェアが低下し、この影響がコストの削減を上回った場合、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 新製品の開発に係るリスク

当社にとって、新製品の開発、上市は最重要課題のひとつでありますが、ユーザー事情、厳しい競争環境等の不確定要素が大きいため、目標どおり進捗しなかった場合、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 事故、災害の発生に係るリスク

当社は、安全、安定操業の徹底を図り、製造設備の停止や設備に起因する事故などによる潜在的なリスクを最小化するために、すべての設備について定期的な点検を実施しております。しかし、万一製造設備で発生する事故、地震、噴火、津波等自然災害により人的、物的被害が生じた場合、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) その他のリスク

その他、当社には、退職給付債務の変動リスク、金利変動及び株式相場変動リスク、重大な製品欠陥等に係る品質リスク、知的財産や製造物責任などに係る訴訟リスク、環境問題に係る法的規制の強化リスク、取引先に対する債権に係る貸倒リスク、情報システムへの不正侵入リスク、情報漏洩によるリスク、インフルエンザ等疫病による人的被害のリスクなどがあり、これらのリスクが顕在化した場合は、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1)土地賃貸借契約

契約会社名

相手方の名称

借地

借地面積(㎡)

広栄化学工業株式会社
(当社)

住友化学株式会社

千葉工場用地(千葉県市原市)

10,453

千葉工場用地(千葉県袖ヶ浦市)

120,730

駐車場(千葉県袖ヶ浦市)

2,480

 

 

133,663

 

 

(2)事業譲渡

当社は、平成27年7月2日の取締役会において、当社のペンタエリスリトール類(ペンタエリスリトール、ジ
ペンタエリスリトール、ギ酸ソーダ)に係る事業を譲渡することを決議いたしました。

①事業譲渡の理由

当社は既存事業の抜本的な構造改革を図るため、ペンタエリスリトール類(ペンタエリスリトール、ジペンタ
エリスリトール、ギ酸ソーダ)に係る事業をPERSTORP AB(publ) に譲渡することを決定しました。
 当事業は、事業環境の悪化に対応すべく生産合理化に努めてきましたが、今後の設備維持、補修等の更なる投
資を行い競争力を維持していくことは困難であると判断いたしました。

②事業譲渡の概要

事業譲渡先の名称

PERSTORP AB(publ)

譲渡事業

ペンタエリスリトール類(ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ギ酸ソーダ)事業

譲渡事業の売上高

3,830百万円(2015年3月期売上高実績:18,664百万円の20.5%)

譲渡資産

知的財産、ノウハウ、営業記録、関連諸契約等
なお、棚卸資産、固定資産の変動はございません。

譲渡価額

譲渡先との契約により非公表とさせていただきます。

日程

事業譲渡取締役会決議 平成27年7月2日
 
事業譲渡契約締結 平成27年7月6日
 
事業譲渡期日 上記締結日から1年後目処

 

 

6 【研究開発活動】

当社は、常に独創技術の開発を理念として、新製品の開発からプロセスの合理化に至るまで、積極的な研究開発活動に取り組んでおります。

研究部門は、研究所及び生産技術部から構成されております。更に、国内外の企業・大学・研究機関など、社外との共同研究を積極的に展開し、高度技術の修得と新規コアテクノロジーの確立に努めております。

当事業年度の研究開発費の総額は7億92百万円となりました。

 

(1) ファイン製品部門

主に研究所及び生産技術部が中心となって、医薬中間体及び機能性材料等の新製品の開発や合理化研究に取り組んでおります。当事業年度の主な成果として、主要ピリジン誘導体、アミン類のプロセス合理化及び新技術の開発が大きく進展しました。機能性材料であるポリマー合成触媒用有機金属錯体化合物についてはプロセス合理化を中心に展開、イオン液体化合物については、従来の電解質や電子材料用途に加え新規分野への展開に進展が見られました。

 

(2) 化成品部門

主に、生産技術部が中心となって、多価アルコール類のプロセス合理化に取り組んでおります。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社に関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析内容は、原則として財務諸表に基づいて分析した内容であります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(平成28年3月31日)現在において当社が判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この財務諸表の作成にあたって、過去の実績や当事業年度末の状況に応じて合理的と考えられる方法に基づき、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付引当金、繰延税金資産等に関する見積り及び判断を行っております。これら見積り等については、見積り特有の不確実性を伴うため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5〔経理の状況〕の財務諸表の「重要な会計方針」に記載しております。

(2) 経営成績の分析

① 売上高と営業利益

当事業年度の売上高は182億79百万円と前事業年度に比べ3億85百万円の減収となりました。セグメント別には、ファイン製品部門の売上高は前事業年度に比べ6.6%減収の127億52百万円となりました。化成品部門の売上高は同10.3%増収の55億26百万円となりました。

当事業年度の売上原価は、前事業年度に比べ10億5百万円減少し、142億45百万円となりました。販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ51百万円増加の28億23百万円となりました。この結果、営業利益は前事業年度に比べ5億69百万円増益の12億10百万円となりました。

② 営業外損益と経常利益

営業外収益は為替差益の減少により前事業年度に比べ30百万円減少し56百万円となりました。営業外費用は、為替差損の増加により前事業年度に比べ1億38百万円増加し1億63百万円となりました。この結果、当事業年度の営業外損益は前事業年度に比べ1億69百万円悪化し、1億6百万円の損失となりました。

これにより、経常利益は前事業年度に比べ、4億円増加し11億4百万円となりました。

③ 特別損益と当期純利益

大阪工場に係る特別損失4億41百万円(前事業年度は特別利益2億68百万円、特別損失3億77百万円)を計上した結果、税引前当期純利益は6億62百万円となり、前事業年度に比べ67百万円の増加に止まりました。法人税、住民税及び事業税2億71百万円と法人税等調整額△43百万円を控除した、当期純利益は、前事業年度に比べ、1億5百万円増加の4億35百万円となりました。

(3) 財政状態の分析

流動資産は、現金及び預金は増加しましたが、売掛金、たな卸資産の減少により、前事業年度末に比べ1億97百万円減少し110億6百万円となりました。
 固定資産は、有形固定資産の増加により、前事業年度末に比べ4億25百万円増加し97億33百万円となりました。
 この結果、総資産は、前事業年度末に比べ2億27百万円増加し、207億40百万円となりました。

流動負債は、短期借入金の減少により、前事業年度末に比べ39百万円減少し53億31百万円となりました。
 固定負債は、前事業年度末とほぼ同水準の20億29百万円となりました。
 この結果、負債合計は、前事業年度末に比べ59百万円減少し、73億60百万円となりました。

純資産は、前事業年度末に比べ2億87百万円増加し133億79百万円となりました。自己資本比率は前事業年度末の63.8%から64.5%となりました。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性の分析

① キャッシュ・フローの状況

当事業年度の現金及び現金同等物の期末残高は7億52百万円となり、前事業年度末に比べて21百万円減少しました。これは営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローが5億76百万円の収入となる一方で、財務活動によるキャッシュ・フローが短期借入金の減少などにより5億86百万円の支出となったことによります。 
 営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益及び減価償却費、たな卸資産の減少などにより25億35百万円の収入(前期は15億80百万円の収入)となりました。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得などにより19億58百万円の支出(前期は80百万円の支出)となりました。
 財務活動によるキャッシュ・フローは短期借入金の返済により、5億86百万円の支出(前期は11億26百万円の支出)となりました。

② 資金需要について

当事業年度においては、営業キャッシュ・フローの改善によりフリー・キャッシュ・フローがプラスとなり借入金を返済しました。今後については大型設備投資に伴い、借入金は増加する見通しであります。