第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2025年3月31日)現在において、当社が判断したものであります。

(1)経営方針

当社は、長年培ってきた含窒素有機化合物群におけるコアテクノロジーをさらに進化させるほか、新たなコアテクノロジーの確立を図ることにより、新しい柱としての基幹化合物、機能製品、気相製品を創出し、高付加価値高機能製品を提供してまいります。これらを通じて社会の発展に貢献するとともに、株主の皆様のために公正な収益活動を営み、併せて地域社会と協調し、あらゆる取引先等の信頼と期待に応え、また従業員にとりまして働きがい、生きがいの感じられる企業を目指します。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題等

当社を取り巻く環境

今後の見通しにつきましては、米国の政策転換、不安定な為替相場や長引く紛争、地政学リスクの顕在化など、今後も不透明な経営環境が続くものと予想されます。

このような状況の中、当社製品の需要は、触媒関連製品について徐々に回復していくことを見込んでおります。当社は引き続き売価改定や拡販に取り組み収益の確保を図り、中期経営計画に掲げたスローガン『変革への挑戦』KX2027のもと、「収益力強化」「事業成長加速」「経営基盤強化」に取り組むことでイノベーションを加速し、企業価値向上に繋げてまいります。

 

前中期経営計画(2022年度-2024年度)振り返り

前中期経営計画における当社の事業環境は、医農薬中間体ビジネスが堅調に推移しましたものの有機金属触媒関連製品や電子材料関連製品の一部分野において需要回復の遅れなどもあり、前述の通り当初計画した利益水準を達成することが出来ませんでした。その結果、経営目標であるROICは8%達成を目標としてまいりましたが、2024年度実績は1%に止まり大幅未達となりました。各種のアクションプランは一定の成果を上げることができました。

 

前中期経営計画業績推移

 


 

※EBITDA:金利・税金・償却前利益

(Earnings before interest, taxes, depreciation and amortization)

 

 

経営指標推移

 


 

※ROIC  :投下資本利益率 (Return on invested capital)

※CCC  :現金循環化日数(Cash conversion cycle)

 

 

前中期経営計画アクションプラン

 


 

中期経営計画(2025年度-2027年度)

本中期経営計画は、(1)収益力強化、(2)事業成長加速、(3)経営基盤強化を基本方針として全社一丸となって推進しROIC8%達成を再チャレンジしてまいります。

業績目標は、医農薬中間体ビジネスの継続受注に加えて有機金属触媒関連製品の需要回復や住友化学グループシナジー(光学材料製品)の拡大を見込んでおり、2027年度は売上高247億円、営業利益33億円を計画しています。また、新製品売上高比率は現状程度の30%維持を目指し、製品ポートフォリオの充実を図ってまいります

KOEI Vision 2030の達成に向けて、カーボンニュートラル関連製品や住友化学グループシナジーにおける医薬中間体の伸長、イオン液体製品の用途拡大も期待していますが、その効果は2028年度以降に大きくなるものとみております。

 

 

業績目標

 


 

<基本方針>

(1)収益力強化

収益力強化は、採算是正・コスト合理化の基本的な取り組みをベースに機能製品/新規事業拡大、基盤事業再構築及び製品ポートフォリオ見直しを重点課題として取り組んでまいります。 

また、当社の独創的技術に一層の磨きをかけ自社開発品や高付加価値製品創出にチャレンジしてまいります。

 

① マルチプラント生産品目拡販

当社マルチプラント群(CMⅠ~Ⅳ,パイロットプラント)は、それぞれに多彩な特徴があり複雑な工程でも各プラントを有機的に組み合わせることにより、効率的且つ柔軟な供給体制を提供することができ、有機金属触媒関連製品及び光学材料製品等の拡販を目指してまいります。

 

② アミン事業競争力強化

当社アミンプラント再構築及び国内外メーカーとの協業強化により生産体制の最適化に向け取り組みを推進しております。当社アミンプラント再構築は2017年に検討を開始して以来計画的に実施しており2027年に概ね完了の見込みです。

一方、アミンビジネスは、既存製品の抜本的な採算性改善、新規受託案件の獲得及びCO2吸収アミンの拡販に向け取り組みを加速しております。

 

③ 気相プラント将来計画

当社の得意な気相/アミン生産技術を融合させることでCO2吸収アミンの量産化を鋭意検討しております。将来的には既存製品をCO2吸収アミンへ置き換える等、製品ポートフォリオ見直しを積極的に推進しております。

一方、これら気相プラントは他プラントに比べCO2排出量が非常に多く、収益性のみならずCO2排出量削減の観点も踏まえ、中長期的な課題として最適生産体制を検討してまいります。

 

(2)事業成長加速

事業成長加速は、有機金属触媒関連製品の事業拡大とカーボンニュートラル関連製品(CO2吸収アミン)の受託ビジネス拡大及び自社製品開発を、当社の中長期成長ドライバーとして位置付け一層の経営資源の投入を図ってまいります。また、住友化学グループとのシナジーによる新製品開発も加速してまいります。

 

① 有機金属触媒関連製品

足元では主要石油化学メーカーの需要回復が遅れていますが、世界市場規模では今後増加していくと予想しております。当社は高い技術力とサプライヤーとしての信頼が厚く新規開発品目の要望も増加しており、2025年度以降の当社業績に寄与するものと期待しています。

 

② カーボンニュートラル関連製品

当社はアミン化合物の製造・開発力に強みがあり、CO2吸収アミンの供給を通じて2050年のカーボンニュートラル実現に貢献したいと考えています。また、自社製品開発を加速する為に、2024年に千葉研究所にCO2吸脱着評価システムを導入致しました。当社が有する100種類を超えるアミン化合物ライブラリーや独自開発したアミン化合物の評価を実施し、特にDAC(Direct Air Capture)用に性能の高いアミン化合物を顧客に提案していく取り組みをスタートさせています。現時点では研究開発段階の案件が多く2028年度以降にビジネスが急拡大する見込みです。

 

 (3)経営基盤強化

本中期経営計画は、①社員エンゲージメント向上(EX)、②デジタル革新(DX)、③サステナビリティ革新(SX)を重点的に取り組むと共に、前中期経営計画で基盤を構築したマネジメント革新(MX)及びガバナンス革新(GX)を継続実施することで企業価値向上を目指してまいります。

 

① 社員エンゲージメント向上(EX)

事業を推進するのはヒトであり、社員エンゲージメント向上なくしてKOEI Vision 2030の目標達成はあり得ないと考えております。本中期経営計画では、当社独自に社員エンゲージメント指標(2027年度:4.0以上)を設定し、毎年モニタリングすることで向上策を検討・実施し社員エンゲージメント向上を図ってまいります。

※社員エンゲージメント指標:従業員意識調査の総合指標10項目の平均値

 

② デジタル革新(DX)

生産性向上及び競争力強化を図るべくPlant, R&D, SCM, Officeの4領域に分けデ ジタル革新を推進しております。本中期経営計画ではこれまでの取り組みをさらに深化させ「One KOEI Platformの拡充と高度活用」、「AIを活用した生産性の向上」、「デジタル人材の育成」を中心に進めてまいります。

※One KOEI Platform:全社情報共有基盤

 

③ サステナビリティ革新(SX)

当社は、住友化学グループの一員として、持続的な価値創造のための重要課題であるマテリアリティを共有しており、経済価値・社会価値を一体的に創出し持続的な成長とサステナブルな社会の実現により企業価値向上を目指してまいります。

その取り組み状況の進捗管理と開示、改善、加速に繋げていくことを目的に、主要取り組み指標「KPI」を設定しておりますが、本中期経営計画の策定に際して、当社のサステナビリティ活動強化やその反映のためにより相応しいKPI項目の見直しと新設を行いました。

また、TCFD提言の枠組みに沿った情報開示について、現時点で当社(スタンダード市場上場)は、義務化の対象外でありますが先行して対応することでプレゼンスの維持・向上を図ってまいります。

※TCFD: 気候関連財務情報開示タスクフォース

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

当社は「信用と誠実を旨とし、英知と活力を結集して積極果敢に挑戦し、社業の発展を期する。」「独創的技術の開発による有用な製品・課題解決策の提供を通じて社会の発展に貢献する。」を経営理念とし、自社の社業の発展だけでなく、独創的技術の開発により社会の発展に貢献することを目指しております。この経営理念に基づき、持続可能な社会への実現に貢献するため「サステナビリティ基本方針」を制定しております

 


 

(1)サステナビリティ情報全般に関する開示

① ガバナンス及びリスク管理 

当社は、サステナビリティに関する取り組みを重要課題と認識しており、その取り組みを加速させるための体制を構築しております。取締役会の諮問機関として、代表取締役社長を委員長、社内取締役及び独立社外取締役をメンバーとする「サステナビリティ委員会」を設置しており、2024年度に計2回開催しております。取締役会に対して課題に対する取り組み方針の提言や進捗に対する評価などの答申を行っております。また、経営会議の中に「サステナビリティ推進統括会議」を設置しており、サステナビリティに関する方策の検討と具体的な取り組みの推進を行うとともに、取り組み内容を定期的に取締役会に対して報告することにより、取締役会の監督が適切に図られる体制としております。本報告書提出日(2025年6月23日)時点での体制は、下図「ガバナンス体制図」のとおりです。

また、当社ではリスク管理の統括機関として、代表取締役社長を委員長とした「内部統制委員会」を設置しており、統合的なリスク管理として「事故・災害リスク」「情報セキュリティリスク」「法令違反・コンプライアンスリスク」「税・財務リスク」「人事・労務リスク」「事業リスク」「政治・社会リスク」の7つのカテゴリーにて管理しております。同委員会では定期的に重要リスクの識別を行い、リスクの対応方針、取り組み計画を策定の上、実施状況について評価、管理しております。一方、機会とリスクの双方の観点からの検討を要するリスクについて、当社の経営戦略等の経営上の重要事項に関しては、経営会議及び取締役会にて都度審議しております。

 

 

ガバナンス体制図                               2025年6月23日現在

 


 

② 指標と目標

当社は、住友化学グループとして設定している持続可能な価値創出のための重要課題(マテリアリティ)を共有しており、各重要課題に対する主要取り組み指標「KPI」を設定しています。社会価値創出に関する重要課題という点では、環境分野への貢献として、CO2排出量(Scope1+2)、エネルギー消費原単位改善をKPIとしており、CO2排出量は2030年度に2013年度対比50%削減を目標にしています。その他、食糧分野への貢献として農薬原料・中間体売上高、ヘルスケア分野への貢献として医薬原料・中間体売上高、ICT関連分野への貢献として電子材料関連製品売上高をそれぞれKPIに設定しております。また、将来の価値創造に向けた重要課題という点では、イノベーションの推進として新製品売上高比率と合理化金額累積、DXによる競争力強化としてデジタル成熟度、人材:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、育成・成長、健康として、新卒採用に占める女性社員の割合及び障がい者雇用率をそれぞれKPIに設定しております(表「持続可能な価値創出のための重要課題」)。各KPIに対する2024年度の進捗実績は表「サステナビリティKPI進捗実績」のとおりです。

これらのKPIを活用し、取り組み状況の管理と開示を進めるとともに、社内外のステークホルダーとの対話も推進してまいります。各KPIの詳細(実績や進捗状況等)については、2025年10月頃、当社ウェブサイトで公表予定の広栄化学レポート2025をご参照ください。

 

持続可能な価値創出のための重要課題


 

 

サステナビリティKPI進捗実績


 

  ※1 売上高当たりのエネルギー消費量を、2020年度実績を100として指数化。

※2 合理化によって創出された製造原価に占める変動費や固定費の改善実績値から算出。2019年度からの累積。

※3 経済産業省のDX推進指標を基に定めた12の項目について6段階で評価しデジタル成熟度レベルを判定。

 

2025年度からは、持続可能な社会への貢献をよりわかりやすくするために、KPIの見直しを行いました。環境分野への貢献のKPIとして、「CO2吸収材等、排出削減貢献製品の効果」「触媒関連製品売上高」を新設しております。「CO2吸収材等、排出削減貢献製品の効果」は、当社がCO2吸収アミン化合物を供給することによって排出削減できる効果を測るものであり、自社でのCO2排出量削減と当社供給製品による削減の貢献の両輪で環境負荷低減を目指します。「触媒関連製品売上高」は、ハイエンドポリオレフィン用の高性能な有機金属触媒を供給することで石油化学製品の効率的な製造に貢献し、環境負荷低減を目指します。また、人材:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、育成・成長、健康のKPIとして、「新卒採用に占める女性社員割合」「障がい者雇用率」に替えて「女性社員比率」及び「ワークライフバランス指標」を設定しました。経験者採用を含め、より多様な人材を確保するとともに、長期にわたり活躍できるキャリア形成を会社として積極的にサポートし、働きがいと生きがいを感じてもらうことを目的としています。

 

(2)気候変動対応

  気候変動対応に関するTCFD提言の4つの開示項目「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」

 に沿った当社の気候変動問題への取り組みは以下のとおりです。

 

① ガバナンス

「(1)サステナビリティ情報全般に関する開示 ①ガバナンス及びリスク管理」に記載の枠組みにおきまして、サステナビリティ推進体制の下、気候変動については特に以下の体制で対応を行っております。

 

 

気候変動対応体制


 

 

② リスク管理

気候変動問題に関するリスクは、当社の持続的成長を阻害する恐れがある中長期的な主要リスクの一つとして位  置付けられており、当社全体のリスク管理プロセスに統合されております。後述する「3.事業等のリスク」でも記していますが、気候変動問題に関するリスクとしては、炭素税の賦課や排出権取引制度に代表される温室効果ガス排出権規制が導入された場合、原燃料の価格が上昇し、電力価格が上昇する可能性があります。これにより、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。このリスクへの対応策として、当社は、気候変動などの環境問題への対応を経営の重要課題と捉えており、温室効果ガスの削減等に積極的に取り組んでおります。

 

③ 戦略

当社は、「経営として取り組む重要課題」の一つとして掲げている環境分野への貢献の中に「気候変動の緩和と適応」を明記しており、2050年のカーボンニュートラル実現に向けたロードマップを策定しております。後述するシナリオ分析で特定した気候変動問題に関するリスクと機会に対して、「責務」(当社の温室効果ガス(GHG)排出量をゼロに近づける)と「貢献」(当社の製品・技術を通じて、世界のGHGを削減する)の両面から気候変動への取り組みを推進しております。

 

 

シナリオ分析(抜粋版)


 

気候変動に関するシナリオ分析とは、複数のシナリオを考慮した上で、気候変動の影響や気候変動に対応する長期的な政策動向による事業環境の変化を予想し、その変化が自社の事業や経営に与える影響を検討する手法であります。現在、当社では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑制するために様々な施策がとられるシナリオ」「このまま対策を講じず4℃上昇するシナリオ」について、「リスク」「機会」の側面から分析し、当社事業へのインパクトや今後取っていくアクションを検討しております。シナリオ分析の全文については、広栄化学レポート2025をご参照ください。

 

(カーボンニュートラル実現に向けた投資)

社会全体のカーボンニュートラルの実現に貢献すべく、2025年度からGHG排出量の増減が見込まれる投資案件について、インターナルカーボンプライス(1トン当たり10,000円)を反映した経済性指標を算出して投資判断を行うこととしました。これまでも個別投資案件の一部において投資判断の参考に同様の指標を用いた場合がありましたが、今後はカーボンニュートラルを意識した投資判断を徹底することとしたものです。

 

④ 指標と目標

 (気候関連のリスクに対する指標)

前述のシナリオ分析において特定した気候関連のリスクに関する指標と取り組みは以下のとおりです。

当社は、GHG排出削減目標を「(1)サステナビリティ全般」に記載の「経営として取り組む重要課題」の目標として設定し、「環境負荷低減への貢献」の取り組みを進めており、これまでの生産プロセス改良や排熱の回収・利用等の省エネ推進、事業ポートフォリオの見直しによる拠点集約・高付加価値製品化により、順調に削減をしてきております。2023年度のGHG排出量(Scope1+2)は44,740トンであり、2013年度比33%削減を達成いたしました。広栄化学レポート2025で開示予定の2024年度分は、千葉事業所での住友化学との連携による省エネルギー事業や、太陽光発電システムの運用開始などの効果も加わりましたが、電力排出係数の悪化があり、暫定値として44,230トン(2013年度比34%削減)となっています。詳細については、広栄化学レポート2025をご参照ください。なお、当社は住友化学グループの一員としてサステナビリティ活動を推進していることから、当社のGHG排出量(Scope1+2)は住友化学グループの実績報告値に加算され、第三者保証対象項目となっております。(※)

当社の2030年のGHG排出量(Scope1+2)の削減目標は2013年度比50%であり、2030年までは、既存プラントの製造プロセスにおける徹底した省エネと、現時点で利用可能な最善の技術の活用による目標達成を目指します。一方、2050年のネットゼロに向けては、既存技術のみでの対応は難しいことから、カーボンネガティブやCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage、工場等から排出されたCO2の回収・有効利用・貯留 )等、革新的な技術の開発と早期の実装を目指し、検討を進めてまいります。

 

GHG排出量の削減(Scope1+2)ロードマップ


 


※)2024年度実績については、第三者保証手続き実施中のため暫定値であり、確定実績値は広栄化学レポート

2025に掲載します

 

  (気候関連の機会に対する指標)

前述のシナリオ分析のプロセスにおいて特定した気候関連の機会に関する指標と取り組みは以下のとおりです。

当社は、気候関連の機会に対する指標として、GHG削減貢献量を集計し、公表することといたしました。具体的には、当社製品・技術のカーボンニュートラルに対する貢献度合いをより明確に示す指標として、当社が製品として市場に供給したCO2吸収アミン化合物のCO2吸収パフォーマンス※の累計を、「CO2吸収材等・排出削減貢献製品の効果」として集計・公表することとしました。この指標は、「(1)サステナビリティ全般」に記載の「経営として取り組む重要課題」の目標として2025年度より新たに設定し、「環境負荷低減への貢献」の取り組みを進めます。

アミン化合物は代表的なCO2吸収材であり、100種類を超える多様なアミン化合物ライブラリーを有する当社に対して、近年、CO2吸収材向けアミン化合物の引き合いが増加しております。こうした動きを反映して、2023年度の「CO2吸収材等・排出削減貢献製品の効果」は、2021年度からの累計実績値で「55,900トン-CO2」と、2022年度の累計実績値から「14,200トン-CO2」増加しております。広栄化学レポート2025で開示予定の2024年度の数値は、2023年度から「26,600トン-CO2」増加の「82,500トン-CO2」です。詳細については、広栄化学レポート2025をご参照ください。

 

CO2吸収材等排出削減貢献製品の効果


 

※)CO2吸収材等・GHG排出削減貢献製品の効果、算出方法

CO2吸収材として代表的なモノエタノールアミン(MEA)の一般的なCO21トン当たりのアミン補充量を、当社が市場に供給した製品重量から算定した。

 

 

(3)人的資本に関する開示

① 戦略

当社は、1917年の創業以来、幾多もの試練や危機を乗り越え、その中で、①大胆な挑戦、②ファーストペンギンとなる勇気、③飽くなき探求心、④オープンイノベーション(外部機関との連携)、⑤一致団結、⑥臨機応変といった「広栄スピリット」とも言うべき無形資産を培ってきました。この貴重な資産をさらに磨きながら活かしていくことで企業価値向上を図ることはもちろんのこと、 リスクマネジメント、 コンプライアンス遵守、 サステナビリティ活動の推進のためには人材こそが最も重要な経営資源と捉えています。当社では、求める人材像として 「自己成長を通じたプロフェッショナル人材」 「当事者意識と主体性をもち、 自らの意思で高い目標を設定し積極的に挑戦する人材」 「One KOEIでベストパフォーマンスを生み出す担い手」を掲げ、人材一人ひとりのエンゲージメント向上に資するよう、以下の3項目を中心に人的投資の充実に取り組んでいきます。

 

・長期にわたり活躍できるキャリア形成

一人ひとりのキャリア形成やステップアップのために、次への成長機会に繋がる評価、部門間連携の強化に資するローテーションを実施するとともに、生涯にわたって活躍できるよう健康増進施策をより一層充実させていきます。

・自ら学び成長し続けてもらうための機会の提供

業務のプロフェッショナルを目指して自律的に学び、生涯にわたって成長し続けてもらうために、2025年春からスタートさせた社内大学「広栄MANABIYA」において、さまざまな階層や分野のニーズに即した教育カリキュラムを「コア研修」「階層研修」「専門研修」といった形で用意するとともに、研修やスキルの見える化のための教育関連システムを導入しました。

・働きがいのある環境の構築

当社を再び成長軌道に乗せるために、立場や部署などに関係なく、互い(個人、組織両面)の多様な価値観を尊重しながら、現状打破に繋がる多彩な意見やアイデアを出し合い、実現に結び付けられる組織風土を醸成し、心理的安全性の高い職場環境を構築します。

 


 

【求める人材像】

・自己成長を通じたプロフェッショナル人材

・当事者意識と主体性をもち、自らの意思で高い目標を設定し積極的に挑戦する人材

・One KOEIでベストパフォーマンスを生み出す担い手

 

 

 

当社は、前中期経営計画(2022年度~2024年度)において、「人材育成強化・加速」を基本方針の一つとして、従業員一人ひとりのパフォーマンスが最大限に発揮されることや社員のやりがい、ワークエンゲージメントの向上に繋げることを目的に、「マネジメント強化」、「中堅社員育成・若手社員の早期戦力化」、「人事制度見直し」を3本柱として人材育成に取り組んできました。

「マネジメント強化」は、執行役員や管理社員のマネジメント力強化に向けた各種研修や研鑽の場の創設を検討 してきており、2024年度は、2023年度に執行役員を対象にスタートしたコーチング研修を部長層を対象に実施しました。また、経営層との対話により課長層の視座をあげることを目的としたセッションも実施しております。

「中堅社員育成・若手社員早期戦力化」に関しては、近年の大幅な生産能力増強に対応して受け入れた多数の社員の早期戦力化を最優先に考えて、入社から一人前になるまでのきめ細かいカリキュラムを用意するなど、教育体系を抜本的に見直し、2025年4月に「一人ひとりが自己成長するためのプラットフォーム」をコンセプトとした社内大学「広栄MANABIYA」としてスタートさせました。当社人材戦略に掲げた「長期にわたり活躍できるキャリア形成」「自ら学び成長し続けるための機会の提供」の実現を目的としており、幅広い主体参加型教育カリキュラムによって、自己成長の機会を社員に提供します。また、「広栄MANABIYA」の開講に合わせてスキルマネジメントシステム「Skillnote」を導入しました。社員が習得すべき知識・スキルや資格を可視化することで、必要なタイミングでの学習を促し、全社員の早期戦力化を図ります。

「人事制度見直し」については、社員一人ひとりがこれまで培ってきた人脈や経験・ノウハウ、知識・スキルといった貴重な無形資産を活用して、思う存分力を発揮し、活力を持って働けるような機会を提供するという観点から制度検討を重ねてきました。その結果、現行60歳である定年年齢を65歳へと段階的に延長し、合わせて定年退職後の再雇用制度の雇用上限年齢についても段階的に延長し、最終的には、一定の要件を満たせば最長70歳までの継続雇用が可能となる制度へと見直しました。

価値創造の基盤づくりという点では、社員の生活の安定や一人ひとりが生き生きとして仕事に取り組める環境づくりを目的に、研修・教育分野以外でも人的資本に関する投資を積極的に進めております。2024年2月に運営を開始した独身寮や専任の看護保健師を中心とした健康増進活動により、社員が健康で生き生き仕事ができる体制を強化しております。

 

② 指標と目標

当社は、多様な人材が活躍できる環境づくりを目的に、「人材:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、育成・成長、健康」のKPIとして、2024年度まで新卒採用に占める女性社員割合及び障がい者雇用率を設定していました。女性社員の割合という点では、2025年3月末時点で13.7%、管理職に占める女性割合は8.6%、係長級に占める女性割合は17.1%となっております。また、障がい者雇用率は、2023年度・2024年度とも3.4%と、目標である2.5%を大きく上回りました。

 

女性社員比率

管理職に占める女性比率

係長級に占める女性割合

2024年3月末

2025年3月末

2024年3月末

2025年3月末

2024年3月末

2025年3月末

11.7%

13.7%

4.2%

8.6%

19.6%

17.1%

 

 

2025年度からは、さらに積極的に人材面に関する取り組みを強化すべく、 「(1)サステナビリティ情報全般に関する開示 ②指標と目標」に記載の通り、人材:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、育成・成長、健康に関するKPIとして、「女性社員比率」及び「ワークライフバランス指標」を設定しました。経験者採用を含め、より多様な人材を確保するとともに、長期にわたり活躍できるキャリア形成を会社として積極的にサポートし、働きがいと生きがいを感じてもらうことを目的としています。

人的資本及び多様性についての詳細は、広栄化学レポート2025をご参照ください。

 

3 【事業等のリスク】

当社の経営成績、財務状況等(株価を含む)に影響を及ぼすリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであり、また本記載は将来発生し得るすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

リスク項目

リスク内容

リスクへの対応策

(1)事故、災害の発生に係るリスク

万一製造設備で発生する事故、地震、噴火、津波等自然災害により人的、物的被害が生じた場合、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、安全、安定操業の徹底を図り、製造設備の停止や設備に起因する事故などによる潜在的なリスクを最小化するために、すべての設備について定期的な点検を実施しております。また、大規模災害発生時の対応演習、設備耐震補強等地震対策の実施、災害・爆発リスク低減のための教育の実施、災害用備品の運用マニュアル作成と社内周知の実施、BCP対応のレベルアップ(外部機関)及びBCP演習の実施、事故発生に対応したメディアトレーニングを実施し、リスクの低減を図っております。

(2)為替レートの変動に係るリスク

当社は輸出売上高の比率が高く、その多くは外貨建で取引を行っているため、当該通貨に対して円高が進行した場合、輸出債権回収額が減少することになります。円高の進行は当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、このようなリスクに対して適宜、為替予約を実施して、短期的なリスクをヘッジするように努めております。また、原料購入を外貨建に切り替えること等により、為替脆弱性の軽減を図るように努めております。

(3)気候変動等環境問題に関するリスク

炭素税の賦課や排出権取引制度に代表される温室効果ガス排出権規制が導入された場合、原燃料の価格が上昇し、電力価格が上昇する可能性があります。これにより、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、気候変動などの環境問題への対応を経営の重要課題と捉えており、温室効果ガスの削減等に積極的に取り組んでおります。

(4)情報セキュリティに係るリスク

サイバー攻撃、不正アクセス等により情報システム等に障害が生じた場合や、機密情報及び個人情報等が社外に流出した場合には、競争力の低下や社会的信用の低下など、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります

当社は、事業活動の基盤である情報システム・ネットワークに、様々なセキュリティ対策を実施しており、セキュリティ強化と情報管理体制の厳重化に取り組んでおります。

(5)原材料・燃料価格の変動に係るリスク

当社の主要原料のうち、アセトアルデヒドやメタノール等の原料価格は市況で変動します。また、国産ナフサ高騰を受けメーカーの原材料価格、輸送費、電力コストの大幅な上昇により、当社原材料価格の高騰が続いております。さらにウクライナ情勢の影響もあり、各種原料で大幅値上げを受けており、それらの価格の上昇を製品価格に転嫁できなかった場合は、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、主要な原材料価格の動向を注視し適正な製造原価への見直しを行うと共に、売価是正に努めております

 

 

リスク項目

リスク内容

リスクへの対応策

(6)カントリーリスク

当社は中国から多くの原材料を輸入しております。そのため、中国において、政治・経済情勢の悪化、外資規制、大規模災害、パンデミック、テロ・戦争、その他の要因による社会的混乱等が生じた場合は、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、複数購買を推進するとともに、定期的な情報収集を行い、リスクの低減を図っております。

(7)感染症、伝染病の蔓延に対するリスク

感染症や伝染病が蔓延した場合、生産活動に支障をきたす可能性があります。また、急速な感染拡大により経済活動に制限が課されることも想定され、これによるサプライチェーン等への影響、消費活動の停滞等により、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、感染症や伝染病に対して、感染状況に応じたガイドライン及び対応マニュアルを適時見直しており、感染拡大防止に努めております。

(8)製品価格やシェアの変動に係るリスク

当社の事業は、厳しい価格競争に直面しております。国内企業との競争のほか、インドや中国等の安価な海外品との競争により、製品価格や販売シェアが低下し、この影響がコストの削減を上回った場合、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、設備投資による工場の合理化を推進し、コスト削減を行うと共に、環境問題並びに製品の安全性、品質の確保に注力し、顧客の期待に応えられる信頼性の高い製品を供給すべく努めております。

(9)新製品の開発に係るリスク

当社にとって、新製品の開発、上市は最重要課題のひとつでありますが、ユーザー事情、厳しい競争環境等の不確定要素が大きいため、目標どおり進捗しなかった場合、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、営業部門、研究開発部門を中心に次世代新製品の開発、早期上市に向けて取り組んでおります。

 

 

その他、当社には、退職給付債務の変動リスク、金利変動及び株式相場変動リスク、重大な製品欠陥等に係る品質リスク、知的財産や製造物責任などに係る訴訟リスク、取引先に対する債権の貸倒リスク、ハラスメントに関するリスクなどがあり、これらのリスクが顕在化した場合は、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度のわが国経済は、個人消費の回復や堅調なインバウンド需要、自動車生産の正常化に伴う輸出の回復などが景気を下支えしました。一方で、米国の貿易政策や市場介入等が他国に及ぼす影響が未知数である事に加え、ロシア・ウクライナ紛争の長期化による資源・エネルギー価格の高騰及び供給不足や、不安定な為替相場など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような情勢の下、当社は、売価改定、拡販に注力するとともに、生産の合理化・効率化による製造原価低減など一層のコスト削減に取り組み、全社を挙げて収益確保に努めてまいりました。

この結果、当事業年度の売上高は、医農薬関連化学品において北米向けの販売が増加した一方、アジア及び欧州向けの販売が減少しましたが、新製品販売や売価改定及び為替の影響による増収などにより200億18百万円前事業年度比3.0%増収)となりました。利益面では、原料価格高騰や製造原価増加などの減益要因はあったものの、売価改定及び為替の影響や触媒関連製品等の販売増加による増益要因などにより営業利益は5億66百万円前事業年度比36.4%増益)、経常利益は3億56百万円前事業年度比2.5%増益)、当期純利益は2億88百万円前事業年度比3.8%減益)となりました。

 

製品グループ別売上高

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

前事業年度

当事業年度

増  減

製品グループ

金額

構成比

金額

構成比

金額

増減率

 

 

 

 

 

 

医農薬関連化学品

9,838

50.7

9,281

46.4

△556

△5.7

機能性化学品

6,670

34.3

8,043

40.2

1,373

20.6

その他

2,918

15.0

2,692

13.4

△225

△7.7

19,427

100.0

20,018

100.0

591

3.0

 

 

なお、当社の事業セグメントは、ファイン製品事業のみの単一セグメントであり重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

流動資産は、売掛金や棚卸資産などが減少した事により、前事業年度末に比べ18億96百万円減少の130億39百万円となりました。 

固定資産は、減価償却が進んだ事などにより、前事業年度末に比べ21億89百万円減少221億79百万円となりました。

この結果、総資産は、前事業年度末に比べ40億86百万円減少352億18百万円となりました。

流動負債は、短期借入金の返済や設備関係未払金の決済が進んだ事などにより、前事業年度末に比べ22億26百万円減少72億65百万円となりました。 

固定負債は、長期借入金が減少し、前事業年度末に比べ16億55百万円減少63億36百万円となりました。 

この結果、負債合計は、前事業年度末に比べ38億82百万円減少136億2百万円となりました。

純資産は、当期純利益の計上及び配当金の支払いなどにより、前事業年度末に比べ2億3百万円減少し、216億16百万円となりました。自己資本比率は前事業年度末の55.5%から61.4%となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度の現金及び現金同等物の期末残高は3億24百万円となり、前事業年度末の5億62百万円から2億38百万円減少しました。これは営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローが、減価償却費の計上や運転資金の改善などにより30億93百万円の収入となりましたが、財務活動によるキャッシュ・フローが、借入金の返済による支出28億16百万円などにより33億31百万円の支出になったことによります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益を3億33百万円、減価償却費を30億26百万円計上したことに加え、営業活動に係る運転資金の改善による収入などにより、47億56百万円の収入(前事業年度は39億79百万円の収入)となりました。 

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出などにより、16億63百万円の支出(前事業年度は19億89百万円の支出)となりました。 

財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済による支出や、配当金の支払などにより、33億31百万円の支出(前事業年度は18億45百万円の支出)となりました。

 

③ 生産実績

当事業年度における生産実績は238億27百万円(前事業年度比12.3%増)であります。

 (注) 金額は、販売価格によっております。

 

④ 受注状況

当社は原則的に将来の予想に基づいて見込生産を行っております。

 

⑤ 販売実績

当事業年度における販売実績は200億18百万円(前事業年度比3.0%増)であります。

主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Sumitomo Chemical Europe S.A./N.V.

2,995,751

15.4

2,562,482

12.8

Corteva Agriscience

1,494,062

7.7

2,247,624

11.2

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、原則として財務諸表に基づいて分析した内容であります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。
 財務諸表作成にあたり、当社が採用している会計方針において使用している重要な会計上の見積り及び前提条件は、以下のとおりであります。

 

(貸倒引当金)

当社は、支払実績及び信用情報等を査定して販売先から営業担保を預っており、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に債権の回収可能性を検討して貸倒引当金を計上しております。

販売先の財務状況及び支払能力に重要な変動が生じた場合、これらの貸倒引当金の見積りに重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(棚卸資産)

当社は、棚卸資産の貸借対照表価額については、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により計上しております。

当社は、得意先の需要予測に基づき生産計画を策定しており、また、当社の生産設備であるマルチプラントでは生産切替回数増加によるロスを極力抑えるため、まとめ生産を行っております。このため、生産から販売まで長期間を要する場合があります。長期保有在庫の販売予測の見積りにおいては、将来の販売数量が重要な構成要素となりますが、これらは国内外における需要等の外部経営環境の影響を受けることから不確実性を伴い、見積りにおける仮定の選択に係る判断が長期保有在庫の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(投資の評価)

当社が保有する投資有価証券は非上場株式及び関係会社株式であり市場価格がありません。原則として評価対象となる純資産額が帳簿価額を50%以上下回った場合に減損処理を実施しております。
 将来の投資先の業績動向によりこれら投資の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(繰延税金資産)

当社は、繰延税金資産の計上にあたり、今後の事業計画及び将来減算(加算)一時差異の解消スケジュール等を基に合理的で実現可能なタックス・プランニングを検討し、将来の課税所得等の予測を行っております。その結果、将来実現が困難と判断される繰延税金資産については、評価性引当額を計上しております。
 将来の業績及び課税所得実績の変動等により、繰延税金資産の計上に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(退職給付費用及び債務)

当社の従業員退職給付費用及び債務は、年金数理計算上で設定される前提条件に基づいて計上しております。この前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率が含まれており、退職給付債務を計算する際に用いる数理上の前提の変更、年金制度の変更による未認識の過去勤務費用の発生等により、退職給付費用及び債務の算定に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(減損損失)

当社は、収益性の低下や時価の下落といった減損の兆候の見られる固定資産については、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。
 将来の収益性の低下や時価の下落等により、これら固定資産の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(受注損失引当金)

当社は、受注契約のうち損失が発生する可能性が高く、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能な受注契約について、損失見込額を受注損失引当金として計上しております。

将来の市場環境の変動等により製造原価が見積原価を超過することが見込まれる場合、追加の受注損失又は引当金計上が必要となる可能性があります。

 

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高、売上原価、売上総利益と営業利益)

当事業年度の売上高は、医農薬関連化学品において北米向けの販売が増加した一方、アジア及び欧州向けの販売が減少しましたが、新製品販売や売価改定及び為替の影響による増収などにより、前事業年度に比べ5億91百万円増加200億18百万円となりました。

当事業年度の売上原価は、原料価格の上昇や労務費の増加などにより前事業年度に比べ11億70百万円増加153億19百万円となりました。

この結果、売上総利益は、売価改定の成果及び為替の影響などによる増益要因があったものの、コスト増加などの減益要因により、前事業年度に比べ5億79百万円減益の46億98百万円となりました

販売費及び一般管理費は、製造プラントの操業休止期間の設備維持管理費用を前事業年度は14億42百万円計上したのに対し、当事業年度は2億65百万円であった事などにより前事業年度に比べ7億30百万円負担が減少41億32百万円となりました。この結果、営業利益は5億66百万円となり、前事業年度に比べ1億50百万円増益となりました。

(営業外損益と経常利益)

営業外収益は、当事業年度は保有株式の売却により受取配当金が減少したことなどにより前事業年度に比べ3百万円減少7百万円となりました。営業外費用は、支払利息の増加や為替差損の影響などにより前事業年度に比べ1億39百万円増加2億17百万円となりました。この結果、当事業年度の営業外損益は前事業年度に比べ1億42百万円減少し、2億10百万円の損失となりました

これにより、経常利益は3億56百万円となり、前事業年度の3億47百万円から8百万円の増益となりました。

 

(特別損益と当期純利益)

特別利益5百万円(投資有価証券売却益)、特別損失28百万円(固定資産除却損及び投資有価証券売却損)を計上した結果、税引前当期純利益は3億33百万円となり、前事業年度の3億58百万円から24百万円の減益となりました。法人税、住民税及び事業税1億20百万円及び法人税等調整額△74百万円を控除した結果、当期純利益は2億88百万円となり、前事業年度に比べ11百万円の減益となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性の分析

当社は、円滑な事業活動に必要な水準の流動性の確保と財務の健全性維持を資金調達の基本方針としております。

当社は、上記の資金調達の基本方針に則り、国内金融機関との間で長期間に亘って築き上げてきた幅広く良好な関係に基づき、短期借入金及び長期借入金により必要資金を調達しております。

直接金融又は間接金融の多様な手段の中から、その時々の市場環境も考慮した上で当社にとって有利な手段を機動的に選択し、資金調達を行っております。

 

 

5 【重要な契約等】

土地賃貸借契約

契約会社名

相手方の名称

借地

借地面積(㎡)

広栄化学株式会社
(当社)

住友化学株式会社

千葉工場用地(千葉県袖ケ浦市)

120,730

駐車場(千葉県袖ケ浦市)

4,386

 

 

125,116

 

 

6 【研究開発活動】

当社は、常に独自技術の開発を理念として、新製品の開発からプロセスの構築・合理化に至るまで、積極的な研究開発活動に取り組んでおります。

研究開発本部は、千葉研究所および研究開発技術部で構成され、医農薬中間体、有機金属錯体等のカスタム合成製品の工業化研究、イオン液体・ウレタン関連製品等の自前機能性製品の開発、ピリジン類・アミン類の基盤製品の開発と工業化研究を担っております。また生産・技術本部の生産技術部では、既存製品の合理化研究に取り組んでおります。

また、社内だけでなく、国内外の企業・大学・研究機関などとの積極的なオープンイノベーションを通じて、高度技術の修得と新規コアテクノロジーの確立ならびに独自技術を用いた環境負荷低減を目指した研究開発推進に努めております。

当事業年度の主な成果として、カスタム合成製品では、有機金属触媒/助触媒等の新規受託を拡大し、工業化に至っております。自前機能性製品では、環境に配慮した分野への用途開発や、市場で求められているPFASフリーイオン液体、ハロゲンフリーイオン液体の製品開発を推進しております。基盤製品でありますアミン類におきましては、二酸化炭素の分離・回収向けCO2吸収アミンの受託を推進しており、当社技術を活用した工業化を進めております。また、DAC(Direct Air Capture)向けアミン化合物を自社開発の重点ターゲットと設定し、高い酸化耐性を有するアミン化合物の開発に成功しました。

当事業年度における研究開発費の金額は1,204百万円であります。

なお、当社の事業セグメントは、ファイン製品事業のみの単一セグメントのため、研究開発費の総額と内容を記載しております。