第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針

当社グループは、新たなステージへの飛躍を目指し、2030年の実現を目指した長期ビジョン「Challenge 1000」を策定しました。

これまでと変わらぬ企業理念「独創力」のもと、2030年にありたい姿として、「独創力で、“一歩先行く提案”型企業へ」を掲げ、独創的なアイデアで社会課題を解決し、世界の進歩をリードする企業となることを目指してまいります。

さらに、良き企業市民として、顧客、従業員、株主、そして社会に貢献していくこととした「四方よし」を企業の活動方針としています。お客様には「一歩先の価値」を、従業員には「挑戦と成長」を、株主の皆様にはより一層の「利益還元」を、そして、社会には「より良い明日」を届けることにより、ステークホルダーの皆様に貢献してまいります。また、レスポンシブル・ケアによる環境保全に加え、さらなる社会課題の解決に向け、国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献してまいります。

 

(2) 経営戦略等

 「Challenge 1000」の実行にあたりましては、2030年までの10年間を「STAGE 1」、「STAGE 2」、「STAGE 3」の3つのステージに分けております。2020年4月より始まる「STAGE 1」においては、6つの全社変革方針の実行による事業基盤の強化を推し進めるとともに、事業変革方針として、これまでの「お客様のご要望起点」のスタイルから、「四国化成からの提案起点」 のスタイルへの変革を掲げ、各事業が持つ強みをさらに高め、世界中のお客様や社会の課題解決のために、いかに先回りした提案ができるのかを追求し、実行してまいります。

 

全社変革方針

①価値づくり「ブランド価値の向上と新しい事業への挑戦」

②余力づくり「変革リソース確保に向けた効率化実現」

③拠点づくり「世界への足場づくりと世界展開の加速」

④組織づくり「ビジョン実現に向けたグループガバナンス体制の確立」

⑤風土づくり「多様性を認め、挑戦を後押しする風土の醸成」

⑥人財づくり「個人の挑戦を促し、公正に評価する仕組みの構築」

 

事業変革方針

「お客様のご要望起点」のスタイルから、「四国化成からの提案起点」 のスタイルへの変革

 

2030年に目指す事業のありたい姿

化学品事業「世界の進歩のために、進化と深化を続ける事業」

 無機化成品事業

 「取り扱いが難しい素材を循環的に活用し、世界の技術革新や環境保全に貢献する事業」

 有機化成品事業

 「環境・衛生を守り、世界中の人にキレイを届ける事業」

 ファインケミカル事業

 「独自技術による高機能な製品を提供し、技術の発展に貢献する事業」

 「新技術で世界のスタンダードを創出する事業」

 

建材事業「未来のくらしをデザインし、笑顔でくらせる世界の街づくりに貢献」

 

 また、目標を達成するための成長投資として、全社変革方針及び事業変革方針を着実に実行するために、積極的に資源を投入していく計画としております。

 すでに決定している投資としまして、徳島工場北島事業所にファインケミカルのマルチプラントの建設を進めており、竣工は2021年7月の予定です。また、同じく徳島工場北島事業所に塩素化イソシアヌル酸の新プラントを建設する計画としており、竣工は2022年7月の予定です。

 

 

(3) 経営環境

① 全般

 当連結会計年度におけるわが国経済は、消費税率引き上げや、海外経済の低迷から製造業の企業収益が頭打ちとなるなど、消費・投資を巡る環境は悪化しており、先行き不透明感が強まっています。

 世界経済も、米中貿易摩擦に伴う関税の引き上げ、東アジアや中東における地政学的緊張の高まり等から、国際貿易や製造業の活動が悪化しています。

 さらに、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞が世界規模で進行しており、総需要の急減に加え、サプライチェーンや国際金融市場にも深刻な影響を与えています。

② 化学品

 短期的には新型コロナウイルスの影響を受けるものの、中長期的には、世界のタイヤ市場は成長基調であると予想しており、その需要は堅調であるとみております。一方で、新型コロナウイルスの感染拡大により、人々の衛生管理に対する関心や需要はさらに高まってくると考えられ、様々な方面で事業拡大の機会が増えてくる可能性があります。先端技術分野においても、自動運転技術のさらなる進化や、第5世代(5G)移動通信システムの商用本格化により、半導体をはじめとする電子部品などは、更なる高機能化が求められております。これからも、新しい素材や化学製品の評価が活発となり、その進化が電子部品の高機能化の一翼を担っています。

③ 建材

 国内市場では、新設住宅着工戸数が100万戸を下回る状況が続いておりますが、これまでの門扉やフェンス、車庫といった製品に加えて、デッキやテラスなど新しい領域への拡大により新たな市場が醸成されつつあります。また、昨今の台風など自然災害の増加を背景に、建築基準法に対応した高強度のエクステリア製品の需要も増加しており、今後も市場は拡大基調にあるとみております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 このような経営環境の中、当社グループにおきましては、長期ビジョン「Challenge 1000」の達成を目指し、「全員参加型」による「積極経営」を進め、コア・コンピタンスに根ざした新規商品・事業の育成・展開を図るとともに、研究開発及び生産技術の強化、グローバルな市場動向に機敏に反応できるきめ細かで効率的なマーケティングの展開、物流購買機能の向上等、全社変革方針及び事業変革方針で定めた施策を着実に実行してまいります。

 今後、市場の成長や変化に対応し、優先して取り組む課題としまして、化学品事業では、バラスト水管理条約の発効による船舶へのバラスト水処理装置搭載の義務化に対応し、殺菌剤として使用される塩素処理剤「ネオクロール マリーン」の拡販に力をいれています。また、当社の塩素剤を主成分とする家庭用品や医療介護向け製品の開発・販売など、提案型の営業に力を入れてまいります。ICTの発展に伴い、さらなる高機能化が求められている最先端の電気・電子材料分野では、その性能の向上に貢献する「機能材料製品群」の開発体制の一層の強化や、商用化が開始された5G(第5世代移動通信システム)時代の業界標準を目指す電子化学材料「GliCAP」のグルーバルスタンダード獲得に向けた開発・販売活動の継続など、近年の研究開発成果を更に展開し、上記方針に沿った「一歩先行く提案」に意欲的に取り組んでまいります。

 建材事業では、以前から建築基準法に対応した強度の高いエクステリア製品の開発に力を入れておりましたが、ここ数年、台風の大型化やゲリラ豪雨の発生など、ユーザーからの風雨に強い製品を求める声に応え、高強度の製品群の強化や、新製品を相次いで開発しラインアップを充実させております。引き続き、市場ニーズを先取りする独創的な商品をはじめ、高付加価値商品を継続的に投入することで、適正な利益水準の確保を前提とした事業規模の拡大に取り組んでまいります。

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 長期的視点に立った成長戦略の実行による飛躍的な成長を目指し、2030年に達成すべき財務目標として、売上高1,000億円、営業利益150億円、ROE10%以上を掲げ、目標の達成に向けて全社一丸となって取り組んでまいります。

 

 

 

2 【事業等のリスク】

経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のようなものがあります。

これらのリスクが顕在化した場合、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針、(2)経営戦略等に記載の長期ビジョン「Challenge 1000」の計画的な遂行に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループといたしましては、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応として、代替する事業計画を機動的に策定し、その遂行に努める方針であります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
 
(1)一般の経済要因
 当社グループの営業収入のうち、重要な部分を占める化学品の需要は、当社グループが製品を販売している日本又は海外各国の経済状況の影響を受け、プール用殺菌剤等一部の製品は天候の影響を受けます。また、同じく重要な部分を占める建材の需要は、日本の経済状況の影響を受けます。従いまして、日本をはじめとする当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が海外において低廉な人件費の労働力を雇用して生産した場合、当社グループと同様の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、当社グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当社グループのみならず他のメーカーでも製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。

さらには、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞が世界規模で進行しており、総需要の急減に加え、サプライチェーンや国際金融市場にも深刻な影響を与えておりますが、特に顧客が生産する製品の中間原料として消費されるものが多い化学品において、その余波を受ける可能性があります。

 

(2)為替レートの変動

当社グループの事業には、海外各国における製品の販売及び海外各国からの原材料や商品の調達が含まれております。各国における売上を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算されております。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。一般に他の通貨に対する円高(特に当社グループの輸出の重要部分を占める米ドル及びユーロに対する円高)は当社グループの事業に悪影響を及ぼし、円安は当社グループの事業に好影響をもたらします。

また、当社グループが輸入で調達する原材料や商品については、調達先の地域の通貨価値の上昇は、それらの地域における製造と調達コストを押し上げる可能性があります。コストの増加は、当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、為替予約等によるリスクヘッジを行い、米ドル、ユーロ及び円を含む主要通貨間の為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしておりますが、中長期的な為替レート変動により、計画された調達、流通及び販売活動を確実に実行できない場合があります。


(3)新製品開発力

当社グループ収入のかなりの部分は、独自の製品及び技術開発に基づく製品の売上に拠っております。将来の成長は主に革新的かつ長期にわたり当社グループに安定的に利益をもたらす新製品の開発に依存すると予想しております。

しかしながら、新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
①新製品や新技術の開発に必要な経営資源を今後充分に充当できる保証はありません。
②長期的な投資と大量の資源投入が成功する新製品又は新技術の創造につながる保証はありません。
③当社グループが市場からの支持を獲得できる新製品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの製品の販売が成功する保証はありません。
④新たに開発した製品又は技術が独自の知的財産権として保護される保証はありません。
⑤当社グループの売上の58%を占める化学品の多くは、顧客が生産する製品の中間原料として販売されるものであり、当社グループによる長期的な研究・開発活動の上に特定顧客の品質承認が得られた後に事業として成立するものであります。従って、研究・開発の初期投資が結果的に利益を計上できない可能性を含んでおります。
⑥当社グループの売上の40%を占める建材では、住宅等を取得する消費者の嗜好の変化により、当社グループ製品が時代遅れになる可能性があります。また、基本技術における競合他社との差別化が図りにくい製品を含んでおり、開発投資と比較してライフサイクルが短くなる可能性を含んでおります。

上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合は、将来の収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)価格競争

当社グループが属している各製品市場はそれぞれ競合状況があり、多くの原因により今後価格競争が熾烈化する可能性が予測されます。

化学品事業においては、低廉な労働力を背景に海外で生産される製品が国内市場で流通することにより市場価格が低下する可能性があります。また、海外廉価製品の品質向上により当社グループの製品の競争力が相対的に低下する可能性があります。当社グループの製品は当該廉価品と比較して高付加価値品としての品質的な優位を保ちつづけるべく努力はしておりますが、価格面での圧力又は有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

一方、建材事業のエクステリア製品においては、アルミサッシ系メーカーを中心とする大手競合企業が多額の開発投資・物流投資等を投下することにより競合製品をより低価格で市場に投入し、競合がさらに熾烈化する可能性があります。当社グループでは壁材を含む建材製品の機能やデザインまた顧客に対する提案力において比較優位に立つべく継続的に新製品を投入しておりますが、将来においても有効に競争できるという保証はなく、価格面での競争に陥った場合は、同じく当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。


(5)市場環境、業界環境

当社グループが販売する化学製品の多くは、顧客が生産する製品の中間原料として消費されるものでありますが、顧客が生産する製品の必須原料であるとは限りません。価格競争以外の要因として、顧客又は顧客が属する業界における新技術の台頭により当社製品が他の製品に代替された場合には将来の収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

一方、建材事業の住宅用壁材、住宅用エクステリア製品の需要動向は新設住宅着工戸数を、また景観エクステリア製品の販売は公共投資額や民間の設備投資額をそれぞれ先行指数として増減する傾向があります。これらの指数は政策や景気動向等により影響を受けるものであり、その動向いかんによっては業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)原材料調達

当社グループが販売する化学製品、建材製品ともに、原材料調達に当たってはいわゆる複数購買を原則としておりますが、一部には汎用製品ではなくサプライヤーが限られるものを使用しており、サプライヤー側の事故等により調達が困難になる可能性があります。

また、原材料及び燃料価格高騰による製造原価上昇を販売価格に転嫁できなかった、もしくは価格転嫁が遅延した場合は当該製品の収益性が悪化し、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。


(7)知的財産権について

当社グループは他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してまいりましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、海外の全ての国において知的財産権を確立しているわけではありません。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造するのを効果的に防止できない可能性があります。また、他社が類似する、もしくは当社グループより優れている技術を開発することや、当社グループの特許や企業秘密を模倣、又は解析調査することを防止できない可能性があります。さらに当社グループの将来の製品又は技術は、将来的に他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。


(8)在庫リスク

当社グループの製品には、プール用殺菌剤等需要量に季節要因があるものが含まれます。また、建材製品ではタイムリーな納入を確保し販売機会を逸しないために、見込み生産を行っているものがあります。このため、急激な市場環境の変化等により販売動向が事前の需要予測と大きく乖離した場合、たな卸資産が増え、キャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。

また、建材製品は流行や顧客の嗜好の変化により販売動向が左右されるものがあり、その意匠や機能が陳腐化して滞留在庫となり、キャッシュ・フロー及び損益に悪影響を与える可能性があります。


(9)法的規制等

当社グループが事業活動を行っている国及び地域では、各種の法令・規則(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・アンチダンピング法等の経済法規、貿易・為替法規、証券取引所の上場規程等)が施行されています。当社グループは、これらの法令・規則を遵守し公正な企業活動に努めておりますが、万一法令・規則違反を理由とする訴訟や法的手続きにおいて、当社グループにとって不利益な結果が生じた場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法令・規則が変更された場合や、予想できない新たな法令・規則が設けられた場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼし、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられるリスクには以下のようなものがあります。

必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、消費税率引き上げや、海外経済の低迷から製造業の企業収益が頭打ちとなるなど、消費・投資を巡る環境は悪化しており、先行き不透明感が強まっています。

世界経済も、米中貿易摩擦に伴う関税の引き上げ、東アジアや中東における地政学的緊張の高まり等から、国際貿易や製造業の活動が悪化しています。

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞が世界規模で進行しており、総需要の急減に加え、サプライチェーンや国際金融市場にも深刻な影響を与えています。

このような状況下、当連結会計年度の当社グループの売上高は515億64百万円前年同期比2.4%の減収)、営業利益は78億48百万円前年同期比2.5%の減益)、経常利益は80億22百万円前年同期比4.9%の減益)と、前年を下回りましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は56億10百万円前年同期比3.9%の増益)と、前年を上回りました。

 

セグメントの経営成績は次のとおりであります。

化学品事業

(無機化成品)

ラジアルタイヤ向け原料である不溶性硫黄は、国内市場は堅調であったものの、海外市場が低迷し低調に推移しました。レーヨン・セロハン向けの二硫化炭素、浴用剤・合成洗剤向けの無水芒硝は、低調に推移しました。

(有機化成品)

殺菌消毒剤シアヌル酸誘導品は、国内、米国市場ともに需要は底堅く推移しているものの、前期好調の反動で前年を下回りました。

(ファインケミカル)

全般に米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大による電子部品関連の市況悪化の影響を受け、プリント配線板向けの水溶性防錆剤タフエースは低調に推移しました。エポキシ樹脂硬化剤(イミダゾール類)を中心とする機能材料は、海外市場は市況悪化の影響を受けましたが、国内市場では新規開発品が拡大し、横ばいで推移しました。

 

この結果、化学品事業の売上高は301億50百万円前年同期比5.4%の減収)、セグメント利益は56億56百万円前年同期比10.8%の減益)と、いずれも前年を下回りました。

 

建材事業

住宅着工戸数減少の影響を受け、壁材は低調に推移しましたが、前期下期より続く災害復旧需要や危険な塀関連需要などを背景に、エクステリアの販売が好調に推移しました。

 

この結果、建材事業の売上高は206億19百万円前年同期比2.5%の増収)、セグメント利益は39億66百万円前年同期比12.5%の増益)と、いずれも前年を上回りました。

 

財政状態は、総資産は、前連結会計年度末比87億4百万円増加し、1,008億96百万円となりました。
 負債は、前連結会計年度末比74億27百万円増加し、292億48百万円となりました。
 純資産は、前連結会計年度末比12億77百万円増加し、716億47百万円となりました。
 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、326億7百万円前連結会計年度末比51億66百万円の増加)となりました。

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

営業活動によって得られたキャッシュフローは、73億85百万円前年同期比14億1百万円の増加)となりました。投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、60億18百万円前年同期比18億44百万円の増加)となりました。財務活動により得られたキャッシュ・フローは、38億75百万円前年同期比51億70百万円の増加)となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2019年4月1日
  至 2020年3月31日

前年同期比(%)

化学品事業

 

 

  無機化成品           (百万円)

9,835

86.5

  有機化成品           (百万円)

8,291

101.6

  ファインケミカル        (百万円)

7,978

107.3

  小計              (百万円)

26,106

96.8

建材事業

 

 

  壁材              (百万円)

1,026

96.1

  エクステリア          (百万円)

18,050

110.3

  小計              (百万円)

19,077

109.5

報告セグメント計         (百万円)

45,183

101.8

 

(注) 1 生産金額は主に生産量に平均販売価格を乗じて算出しております。

2 生産実績は自家消費(無機・有機化成品及びファインケミカル)を一部含んでおります。

3 報告セグメント以外のその他については生産活動になじまないため記載しておりません。

4 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2019年4月1日
  至 2020年3月31日

前年同期比(%)

化学品事業

 

 

 

  無機化成品

(百万円)

11,913

92.3

  有機化成品

(百万円)

10,146

94.3

  ファインケミカル

(百万円)

8,090

98.5

  小計

(百万円)

30,150

94.6

建材事業

 

 

 

  壁材

(百万円)

1,665

94.8

  エクステリア

(百万円)

18,954

103.2

  小計

(百万円)

20,619

102.5

報告セグメント計

(百万円)

50,770

97.6

その他

(百万円)

794

98.1

合計

(百万円)

51,564

97.6

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額
(百万円)

割合
(%)

金額
(百万円)

割合
(%)

ユアサ商事株式会社

5,297

10.3

 

 

   前連結会計年度については、販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上となる販売先はありません。

3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は515億64百万円(前年同期比2.4%の減収)となりました。国内売上高は367億48百万円(前年同期比0.3%の減収)となりました。海外売上高は148億15百万円(前年同期比7.1%の減収)となりました。売上高に占める海外売上高の割合は0.1ポイント低下し、28.7%となりました。

売上原価は304億79百万円(前年同期比3.8%の減少)、売上高に対する比率は0.9ポイント低下し、59.1%となりました。

販売費及び一般管理費は132億36百万円(前年同期比1.2%の増加)となりました。運送費及び保管費が増加したことなどによるものであります。

以上の結果、営業利益は78億48百万円(前年同期比2.5%の減少)となり、売上高営業利益率は15.2%となりました。

営業外損益は、前連結会計年度の3億82百万円の利益(純額)から、1億73百万円の利益(純額)となりました。為替差損の増加が主な要因です。

この結果、経常利益は80億22百万円(前年同期比4.9%の減少)となり、売上高経常利益率は15.6%となりました。

特別損益は、前連結会計年度の6億16百万円の損失(純額)から、30百万円の利益(純額)となりました。これは、投資有価証券評価損の減少が主な要因です。

この結果、税金等調整前当期純利益は80億53百万円(前年同期比3.0%の増加)となりました。

法人税等は、前連結会計年度の23億60百万円から、当連結会計年度は24億8百万円となりました。これにより、税効果会計適用後の法人税等の負担率は、前連結会計年度の30.2%から29.9%となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は56億10百万円(前年同期比3.9%の増加)となり、1株当たり当期純利益は前連結会計年度に比べ4円53銭増加し、96円92銭となりました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替変動があります。この影響により、前連結会計年度に比べ、売上高が2億63百万円減少したものと試算されます。(ただし、為替の影響の試算は前連結会計年度の平均レートと当連結会計年度の平均レートの差によって算定しており、販売価格の変動に伴う影響は考慮されておりません。)

財政状態は、総資産は、前連結会計年度末比87億4百万円増加し、1,008億96百万円となりました。主な増加は、有価証券72億円、投資有価証券22億16百万円であります。
 負債は、前連結会計年度末比74億27百万円増加し、292億48百万円となりました。主な増加は、長期借入金64億76百万円、短期借入金8億円であります。
 純資産は、前連結会計年度末比12億77百万円増加し、716億47百万円となりました。主な増加は、利益剰余金42億65百万円であります。
 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の75.5%から70.2%となりました。

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、73億85百万円前年同期比14億1百万円の増加)となりました。主な収入項目は、税金等調整前当期純利益80億53百万円、減価償却費21億89百万円、一方で主な支出項目は法人税等の支払額20億17百万円であります。

投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、60億18百万円前年同期比18億44百万円の増加)となりました。主として有価証券の取得による支出40億円、投資有価証券の取得による支出25億6百万円であります。

財務活動により得られたキャッシュ・フローは、38億75百万円前年同期比51億70百万円の増加)となりました。主な収入項目は、長期借入れによる収入72億円であります。

以上の結果、現金及び現金同等物は、326億7百万円前連結会計年度末比51億66百万円の増加)となりました。

当社グループの資金の財源及び流動性については、事業活動にかかる短期運転資金は営業キャッシュ・フローを主な財源としておりますが、その他取引金融機関に有する当座貸越等の融資枠からの短期借入金も利用し、経営環境の急激な変化にも対応できる十分な流動性を保持しております。

設備投資、投融資資金などの長期資金についても、自己資金を基本としつつ、資本調達コストの低減や最適な資本構成、資金需要や金利情勢を考慮しながら、金融機関からの長期借入を随時行っております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は、110億5百万円、前連結会計年度末比70億25百万円増加しました。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5章 経理の状況 1(1)連結財務諸表注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

記載すべき事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)の研究・開発活動の大部分は、当社が主に担当しております。当社は、二硫化炭素の新たな製造技術をもって創業し、以来、研究開発や製造技術の独創性を基に無機化成品、有機化成品、ファインケミカル及び建材分野に事業領域を拡げてまいりました。常に独創性を重んじ、これを会社発展の原動力とする至上の価値観「独創力」を企業理念に、全社一丸で新たな価値や市場の創造に取り組むことで、「豊かで輝く企業、小粒でも世界に通用する企業集団」となることを目指しております。

組織の活動としては、R&Dセンターにおいてコア技術に立った既存事業の強化拡充を図るとともに、習得した新技術による独自性を持った製品開発にチャレンジしております。また、各工場の開発部門や建材事業の開発部門においては現技術の深耕による既存商品の再活性化を図りつつ、事業戦略に沿った差別化商品の開発に努めております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は1,338百万円であります。

 

①化学品事業

化学品分野における研究・開発は、電子化学材料分野、機能材料分野並びに環境関連分野を中心に、既存事業の周辺に特化し、事業拡大に貢献することを目指しております。

電子化学材料分野では、高密度プリント配線板用水溶性プレフラックス「タフエース」のさらなる高機能化や、樹脂と銅の密着性付与剤「GliCAP」の開発を進めています。

機能材料分野では、樹脂の性能を高めるイソシアヌル酸誘導体や、複合材料向けのベンゾオキサジン誘導体などの開発を行っております。さらに、樹脂改質剤として用いるグリコールウリル誘導体の量産化が進められており、幅広い用途展開に取り組んでいます。

環境関連分野では、水処理薬剤の開発に注力しております。プール用途で培った技術を活かし、サニタリー薬剤の高機能化・高付加価値化に向けた製品開発を行っております。排水処理用としては、浄化槽用薬剤や微生物製剤「ハイポルカ」を中心とした開発体制を整えております。

また、無機化成品チームを新設し、タイヤ関連材料「ミュークロン」の性能向上を目的とする開発体制を整えています。

なお、当事業に係る研究開発費は919百万円であります。

②建材事業

建材分野における開発は「いつもの場所を、価値ある空間に」を基本に、顧客に信頼されるメーカーを目指し高品質・独自性(デザイン・機能)ある商品開発に注力しています。壁材・住宅及び景観エクステリアの各分野で、先進性ある商品への取り組み、他社との差別化を明確にしてまいります。

壁材では意匠性・安全・快適を基本に、主力内装材と舗装材の強化を行いました。内装材では、主力のけいそうモダンコートシリーズの新商品「けいそうモダンコート ピュアシルキー」を発売しました。けいそう土が持つ優れた調湿機能にホルムアルデヒドや悪臭を吸着分解する機能性を持ち、意匠性はシリーズ内で最もきめ細やかで柔らかな肌触りを実現しながら、フラット仕上のみならず立体感ある仕上にも対応させ、快適で意匠性の高い生活環境が創れます。また「けいそうモダンコート内装」では、模様付けバリエーションを30パターンに拡大し、より意匠性の高いご提案ができるよう強化しました。舗装材は、駐車場やアプローチといった大きな舗装面を美しく彩る「ラクラン」の施工性の大幅向上と工法の拡充、意匠性を向上させ「ラクランHG」としてリニューアルしました。ローラー施工は工程を大幅に削減し施工性を向上させ、さらに鏝塗りや吹付仕上などの工法に対応させることで、様々な施工業者様でお使い頂ける仕様としました。意匠性はより自然な肌合いに向上させ、さらに舗装面に加え階段など立面への施工にも対応させることで、アプローチから駐車場まで全体を彩ります。そのほか、クッション性に優れ公園や高齢者施設などでご好評の「チップロード」でも、階段の立面や壁面に塗布できる仕様を追加しました。危険な階段や遊具の脚部などへ施工し、より安全にご利用いただける提案が可能です。

エクステリアでは上質で価値ある空間づくりを基本に、地震・台風など昨今の自然災害を背景とした製品強度に対する要望、安全性、健康に対し取り組みました。住宅エクステリアでは、住まいの顔となるファサードに上質で高級感ある演出を提案する「アルファグラン」を発売しました。これまではエントランス部のみの商材が主流でしたが、当社独自のアルミシャッター技術を活用し、エントランスから車庫前までファサード全てを提案できる商品です。デザインは、エントランス部を護る屋根からシャッターまでを一直線に仕上げたシンプルなフォルムを基本に、エントランスを演出する壁面は高級感あるタイル仕上げを6種用意し、木調格子パネルと組み合わせ、様々な嗜好や敷地条件に対応できるシステムです。屋根は道路側・家側双方に設け、来客の出迎えや郵便物の取り出し等に心地よくお使いいただけます。オプションは表札や宅配ボックスをはじめ必要な機能を充実しました。フェンスでは、大阪北部地震を発端とする危険な塀対策や、台風等の災害による製品強度への要望に対応し、主力のクレディフェンスシリーズに建築基準法に対応した高強度仕様の「クレディフェンスSG」を発売しました。デザインは6機種で部品に至る隅々まで配慮した仕上がりであり、施工においても家側から全ての作業を行える容易さや現場切詰作業が簡略化できる部材を用意し、あらゆる面に秀でたシリーズです。またオープン外構に対しては、職人の熟練した手作業から生まれる繊細なデザインの「ガーデンフローラ」フェンス・面格子を発売しました。植栽とあわせやすい華やかなデザインで、アプローチから庭まわりまでを演出します。庭まわりでは、2019年度Gマークを受賞し、庭・内と外をゆるやかに繋ぎ新しい居住スタイルを創造するテラス「ファンルーフ」に、壁付け工事が不要な独立式を追加しました。また独立式テラス「スマートトップ」でも積雪荷重3,000n/㎡、耐風速V0=42m/sの高強度仕様を充実しました。車庫では、主力の「スマートポート」に様々な敷地や設置条件に対応できる仕様を大幅強化しました。景観エクステリアは、フェンスでは大型アルミ形材製フェンス全機種を建築基準法対応仕様に強化しました。中でも業界最高レベルの耐風圧強度V0=42m/s仕様であるGTFシリーズに、繋ぎ目が判らず連続感が美しい縦ルーバーデザイン「GTF8型」を追加し、全8機種となりました。アーチウェイでは主力の「メリールーフ」に高強度仕様を追加し、積雪地でも安心してお使いいただけます。引戸では、主力の大型引戸「ユニットラインGA1型」に当社独自の機構を採用した子扉付き仕様を追加しました。引戸と開き戸が一体化し、人の出入りにも便利な仕様です。また改正健康増進法の全面施行を受け、屋外用喫煙所を規格化し発売しました。「ICOI 喫煙所仕様」は閉鎖式喫煙所として有圧換気扇を装備でき、厚生労働省のガイドラインに準拠した仕様です。また「CACOI」の仕様を強化し、開放型喫煙所として自由にレイアウトできる仕様充実を行いました。

当社は多様化するニーズに、公共建築・施設の設計折込活動で培った対応力を活かし、市場ニーズに対し積極的に、またタイムリーに対応してまいります。

なお、当事業に係る研究開発費は418百万円であります。