(1) 経営方針
当社グループは、新たなステージへの飛躍を目指し、2030年を見据えた長期ビジョン「Challenge 1000」を策定、2020年度よりこれに沿った積極経営を推進しております。
変わらぬ企業理念「独創力」のもと、2030年にありたい姿として、「独創力で、“一歩先行く提案”型企業へ」を掲げ、独創的なアイデアで社会課題を解決し、世界をリードする企業となることを目指しております。
さらに、良き企業市民として、顧客、従業員、株主、そして社会に貢献していくこととした「四方よし」を企業の活動方針としています。お客様には「一歩先の価値」を、従業員には「挑戦と成長」を、株主の皆様にはより一層の「利益還元」を、そして、社会には「より良い明日」を届けることにより、ステークホルダーの皆様に貢献してまいります。また、自主的なレスポンシブル・ケア*活動に取り組み、社会の持続的な発展に貢献するとともに、さらなる社会課題の解決に向け、国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献してまいります。
*レスポンシブル・ケア:化学物質等を製造または取り扱う事業者が、製品の開発、製造、物流、使用、最終消費、廃棄、リサイクルの全ライフサイクルにわたって環境、安全、健康を守る自主管理活動のことです。
(2) 経営戦略等
「Challenge 1000」の実行にあたっては、2030年までの10年間を「STAGE 1」、「STAGE 2」、「STAGE 3」の3つのステージに分けております。2020年4月より開始した「STAGE 1」においては、6つの全社変革方針の実行による事業基盤の強化を推し進めるとともに、事業変革方針として、これまでの「お客様のご要望起点」のスタイルから、「四国化成からの提案起点」 のスタイルへの変革を掲げ、各事業が持つ強みをさらに高め、世界中のお客様や社会の課題解決のために、いかに先回りした提案ができるのかを追求し、実行しております。
全社変革方針
①価値づくり「ブランド価値の向上と新しい事業への挑戦」
②余力づくり「変革リソース確保に向けた効率化実現」
③拠点づくり「世界への足場づくりと世界展開の加速」
④組織づくり「ビジョン実現に向けたグループガバナンス体制の確立」
⑤風土づくり「多様性を認め、挑戦を後押しする風土の醸成」
⑥人財づくり「個人の挑戦を促し、公正に評価する仕組みの構築」
事業変革方針
「お客様のご要望起点」のスタイルから、「四国化成からの提案起点」 のスタイルへの変革
2030年に目指す事業のありたい姿
化学品事業「世界の進歩のために、進化と深化を続ける事業」
無機化成品事業
「取り扱いが難しい素材を循環的に活用し、世界の技術革新や環境保全に貢献する事業」
有機化成品事業
「環境・衛生を守り、世界中の人にキレイを届ける事業」
ファインケミカル事業
「独自技術による高機能な製品を提供し、技術の発展に貢献する事業」
「新技術で世界のスタンダードを創出する事業」
建材事業「未来のくらしをデザインし、笑顔でくらせる世界の街づくりに貢献」
「Challenge 1000」の遂行にあたっては、全社変革方針及び事業変革方針を着実に実行し目標を達成するために、積極的に成長投資を行っていく計画としております。
このうち設備投資といたしましては、徳島工場北島事業所の塩素化イソシアヌル酸の新プラントが、2022年4月に竣工し、7月に稼働開始予定です。投資額は約50億円です。
当社グループは、さらなる持続的な成長を目指して、「全員参加型」による「積極経営」を進め、世界の持続可能な発展に貢献する企業集団となることを目指しております。
なお、当社グループはグループ長期ビジョン「Challenge 1000」の達成に向け、2023年1月1日から持株会社体制へ移行することとしており、新事業会社での円滑な事業運営に向けた準備を進めております。
持株会社体制への移行により分社化される各事業会社に対して大胆に権限移譲することで、意思決定を迅速化するとともに、生産・販売・開発の機能別組織を垂直的に統合し、組織をさらに一体化・緊密化し、一貫性を持った戦略の遂行を実現します。また、ガバナンス体制、本社部門の役割を再定義することで、企業統治構造のより一層の明確化や業務の効率化を図ってまいります。さらに、持続的な経営力強化に向けて自律性を持った事業会社の運営の中で、将来の経営人材育成を推進します。
これらの取り組みにより、経営のさらなる強化を図るとともに、変化の速い事業環境への対応、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素化への取り組みなど、山積する経営課題を着実に解決してまいります。
(3) 経営環境
① 全般
当連結会計年度におけるわが国経済は、9月30日の緊急事態宣言解除以降、一旦は持ち直しの動きが見られたものの、年明けからのオミクロン株の感染急拡大以降、ワクチン接種の遅れや自動車産業を中心とする生産制約の影響等により、緩慢な回復に留まりました。
海外経済は、欧米を中心に持ち直しが続いていますが、半導体をはじめとする供給制約の長期化、ロシアのウクライナ侵攻により加速するエネルギー・資源高、世界的なコンテナ不足や海上運賃の高騰に起因する物流コスト上昇等の影響がグローバルに深刻化しており、今後の経済の見通しは極めて不透明となっています。
② 化学品
全般に短期的には新型コロナウイルスの影響を受けるものの、中長期的には世界のタイヤ市場は成長基調にあると予想され、無機化成品事業における不溶性硫黄の需要は堅調であるとみております。有機化成品事業では、新型コロナウイルスの感染拡大により人々の衛生管理に対する関心や需要はさらに高まってくると考えられ、塩素化イソシアヌル酸を中心とする殺菌・消毒剤事業は様々な方面で事業拡大の機会があります。ファインケミカルの事業領域である先端技術分野においても、例えば自動運転技術のさらなる進化や、5G(第5世代移動通信システム)の商用サービス本格化により、半導体をはじめとする電子部品などには更なる高機能化が求められております。そうした進化の一翼を担うものとして、当社の有機合成技術や低金属管理技術が生み出す新しい機能材料や電子化学材料、表面化学材料の評価や採用はさらに活発となるものと予想しております。
③ 建材
国内市場では、人口の減少傾向も相俟って新設住宅着工戸数自体は高度経済成長期のピーク時からはほぼ半減しておりますが、エクステリア事業においては、従来の門扉・フェンス、車庫といった製品に加えて、デッキ、テラスやファサード製品など、新しい住まい方や空間提案による新たな市場創造は絶え間なく続けられております。また、台風など近年の自然災害の増加・激甚化を背景に、住宅・景観エクステリアともに建築基準法に対応した高強度製品や安全性を重視した製品の需要が増加しており、今後も市場は拡大基調にあるとみております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
このような経営環境の中、当社グループにおきましては、長期ビジョン「Challenge 1000」の達成を目指し、「全員参加型」による「積極経営」を進め、コア・コンピタンスに根ざした新規商品・事業の育成・展開を図るとともに、研究開発及び生産技術の強化、グローバルな市場動向に機敏に反応できるきめ細かで効率的なマーケティングの展開、物流購買機能の向上等、全社変革方針及び事業変革方針で定めた施策の実行に全社を挙げて取り組んでおります。
また、“安全操業”、“環境保全”、“安定品質”の飽くなき追求は事業活動の根幹であると銘肝し、確実に成し遂げてまいります。
市場の成長や変化に対応し、優先して取り組む課題として、化学品事業では、コロナ禍を背景とする衛生意識の高まりに対応し、塩素剤を主成分とする家庭用品や医療介護向け製品の開発・販売など、提案型営業に力を入れております。ICTの発展に伴い、さらなる高機能化が求められている最先端の電子化学材料分野では、本格的な商用サービス段階に入った5G(第5世代移動通信システム)の業界標準を目指す電子化学材料「GliCAP」のグローバルスタンダード獲得に注力するとともに、次世代の技術動向を見据えて研究開発体制の一層の強化を図っております。また、電子部品の性能の向上に貢献する「機能材料製品群」の開発・試作・量産体制の強化に加え、新たな領域として、微細化が進む最先端の半導体プロセス材料などに、近年の研究開発成果をタイムリーに投入するなど、上記方針に沿った「一歩先行く提案」に具体的かつ意欲的に取り組んでおります。
建材事業では、建築基準法に準拠したエクステリア製品の開発に力を入れております。台風の大型化やゲリラ豪雨など、自然災害の頻発や激甚化に対するユーザーからの風雨に強い製品を求める声に応え、従来製品の高強度化や新製品の継続的な投入によりラインアップを充実させております。引き続き、市場ニーズを先取りする独創的な商品をはじめ、高付加価値商品を継続的に投入することで、適正な利益水準の確保を前提とした事業規模の拡大に取り組んでまいります。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
長期的視点に立った成長戦略の実行による飛躍的な成長を目指し、2030年に達成すべき財務目標として、売上高1,000億円、営業利益150億円、ROE10%以上を掲げ、目標の達成に向けて全社一丸となって取り組んでまいります。
2 【事業等のリスク】
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のようなものがあります。
これらのリスクが顕在化した場合、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針、(2)経営戦略等に記載の長期ビジョン「Challenge 1000」の計画的な遂行に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループといたしましては、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応として、代替する事業計画を機動的に策定し、その遂行に努める方針であります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)一般の経済要因
当社グループの営業収入のうち、重要な部分を占める化学品の需要は、当社グループが製品を販売している日本又は海外各国の経済状況の影響を受け、プール用殺菌剤等一部の製品は天候の影響を受けます。また、同じく重要な部分を占める建材の需要は、日本の経済状況の影響を受けます。従いまして、日本をはじめとする当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が海外において低廉な人件費の労働力を雇用して生産した場合、当社グループと同様の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、当社グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当社グループのみならず他のメーカーでも製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。
さらには、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞が世界規模で進行しており、総需要の急減に加え、サプライチェーンや国際金融市場にも深刻な影響を与えておりますが、特に顧客が生産する製品の中間原料として消費されるものが多い化学品において、その余波を受ける可能性があります。
ウクライナ・ロシア情勢については原材料・物流費の高騰が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)為替レートの変動
当社グループの事業には、海外各国における製品の販売及び海外各国からの原材料や商品の調達が含まれております。各国における売上を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算されております。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。一般に他の通貨に対する円高(特に当社グループの輸出の重要部分を占める米ドル及びユーロに対する円高)は当社グループの事業に悪影響を及ぼし、円安は当社グループの事業に好影響をもたらします。
また、当社グループが輸入で調達する原材料や商品については、調達先地域の通貨価値上昇は、それらの地域における製造と調達コストを押し上げる可能性があります。コストの増加は、当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、為替予約等によるリスクヘッジを行い、米ドル、ユーロ及び円を含む主要通貨間の為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしておりますが、中長期的な為替レート変動により、計画された調達、流通及び販売活動を確実に実行できない場合があります。
(3)新製品開発力
当社グループ収入のかなりの部分は、独自の製品及び技術開発に基づく製品の売上に拠っております。将来の成長は主に革新的かつ長期にわたり当社グループに安定的に利益をもたらす新製品の開発に依存すると予想しております。
しかしながら、新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
①新製品や新技術の開発に必要な経営資源を今後充分に充当できる保証はありません。
②長期的な投資と大量の資源投入が成功する新製品又は新技術の創造につながる保証はありません。
③当社グループが市場からの支持を獲得できる新製品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの製品の販売が成功する保証はありません。
④新たに開発した製品又は技術が独自の知的財産権として保護される保証はありません。
⑤化学品事業の製品の多くは、顧客が生産する製品の中間原料として販売されるものであり、当社グループによる長期的な研究・開発活動の上に特定顧客の品質承認が得られた後に事業として成立するものであります。従って、研究・開発の初期投資が結果的に利益を計上できない可能性を含んでおります。
⑥建材事業の製品については、住宅等を取得する消費者の嗜好の変化により、当社グループ製品が時代遅れになる可能性があります。また、基本技術における競合他社との差別化が図りにくい製品を含んでおり、開発投資と比較してライフサイクルが短くなる可能性を含んでおります。
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合は、将来の収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)価格競争
当社グループが属している各製品市場はそれぞれ競合状況があり、多くの原因により今後価格競争が熾烈化する可能性が予測されます。
化学品事業においては、低廉な労働力を背景に海外で生産される製品が国内市場で流通することにより市場価格が低下する可能性があります。また、海外廉価製品の品質向上により当社グループの製品の競争力が相対的に低下する可能性があります。当社グループの製品は当該廉価品と比較して高付加価値品としての品質的な優位を保ちつづけるべく努力はしておりますが、価格面での圧力又は有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
一方、建材事業のエクステリア製品においては、アルミサッシ系メーカーを中心とする大手競合企業が多額の開発投資・物流投資等を投下することにより競合製品をより低価格で市場に投入し、競合がさらに熾烈化する可能性があります。当社グループでは壁材を含む建材製品の機能やデザインまた顧客に対する提案力において比較優位に立つべく継続的に新製品を投入しておりますが、将来においても有効に競争できるという保証はなく、価格面での競争に陥った場合は、同じく当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)市場環境、業界環境
当社グループが販売する化学製品の多くは、顧客が生産する製品の中間原料として消費されるものでありますが、顧客が生産する製品の必須原料であるとは限りません。価格競争以外の要因として、顧客又は顧客が属する業界における新技術の台頭により当社製品が他の製品に代替された場合には将来の収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
一方、建材事業の住宅用壁材、住宅用エクステリア製品の需要動向は新設住宅着工戸数を、また景観エクステリア製品の販売は公共投資額や民間の設備投資額をそれぞれ先行指数として増減する傾向があります。これらの指数は政策や景気動向等により影響を受けるものであり、その動向いかんによっては業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)原材料調達
当社グループが販売する化学製品、建材製品ともに、原材料調達に当たってはいわゆる複数購買を原則としておりますが、一部には汎用製品ではなくサプライヤーが限られるものを使用しており、サプライヤー側の事故等により調達が困難になる可能性があります。
また、原材料及びエネルギー価格高騰による製造原価上昇を販売価格に転嫁できなかった、もしくは価格転嫁が遅延した場合は当該製品の収益性が悪化し、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)知的財産権について
当社グループは他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してまいりましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、海外の全ての国において知的財産権を確立しているわけではありません。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造するのを効果的に防止できない可能性があります。また、他社が類似する、もしくは当社グループより優れている技術を開発することや、当社グループの特許や企業秘密を模倣、又は解析調査することを防止できない可能性があります。さらに当社グループの将来の製品又は技術は、将来的に他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。
(8)在庫リスク
当社グループの製品には、プール用殺菌剤等需要量に季節要因があるものが含まれます。また、建材製品ではタイムリーな納入を確保し販売機会を逸しないために、見込み生産を行っているものがあります。このため、急激な市場環境の変化等により販売動向が事前の需要予測と大きく乖離した場合、棚卸資産が増え、キャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
また、建材製品は流行や顧客の嗜好の変化により販売動向が左右されるものがあり、その意匠や機能が陳腐化して滞留在庫となり、キャッシュ・フロー及び損益に悪影響を与える可能性があります。
(9)法的規制等
当社グループが事業活動を行っている国及び地域では、各種の法令・規則(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・アンチダンピング法等の経済法規、貿易・為替法規、証券取引所の上場規程等)が施行されています。当社グループは、これらの法令・規則を遵守し公正な企業活動に努めておりますが、万一法令・規則違反を理由とする訴訟や法的手続きにおいて、当社グループにとって不利益な結果が生じた場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法令・規則が変更された場合や、予想できない新たな法令・規則が設けられた場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、9月30日の緊急事態宣言解除以降、一旦は持ち直しの動きが見られたものの、年明けからのオミクロン株の感染急拡大以降、ワクチン接種の遅れや自動車産業を中心とする生産制約の影響等により、緩慢な回復に留まりました。海外経済は、欧米を中心に持ち直しが続いていますが、半導体をはじめとする供給制約の長期化、ロシアのウクライナ侵攻により加速するエネルギー・資源高、世界的なコンテナ不足や海上運賃の高騰に起因する物流コスト上昇等の影響がグローバルに深刻化しており、今後の経済の見通しは極めて不透明となっています。
このような状況下、当連結会計年度の当社グループの売上高は541億37百万円(前年同期比9.2%の増収)、営業利益は84億0百万円(前年同期比13.5%の増益)、経常利益は92億91百万円(前年同期比16.2%の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は68億78百万円(前年同期比19.4%の増益)と、いずれも前年を上回りました。また、売上高及び営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも過去最高を記録し、世界経済のコロナ禍からの回復を背景に高い水準となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(無機化成品)
ラジアルタイヤ向け原料である不溶性硫黄は、半導体不足による自動車生産の落ち込みの中でも、市販用タイヤや産業車両用タイヤの底堅い需要を受け、販売は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた前年を大きく上回りました。レーヨン・セロハン向けの二硫化炭素や、浴用剤・合成洗剤向けの無水芒硝は、コロナ禍からの反動増で前年を上回りました。
(有機化成品)
殺菌消毒剤塩素化イソシアヌル酸は、国内市場は、学校のプール授業一部再開によるプール薬剤の販売回復等により、前年を上回りました。米国市場は、経済状態の回復や巣ごもり需要等により需給がひっ迫しており、資源価格や物流コストの高騰を価格転嫁するなど採算性の改善を図り、収益性が大きく向上しました。
(ファインケミカル)
プリント配線板向けの水溶性防錆剤タフエースは、世界的なエレクトロニクス市場の成長を背景に、堅調に推移しました。エポキシ樹脂硬化剤(イミダゾール類)や樹脂改質剤(グリコールウリル誘導体等)、半導体プロセス材料を中心とする機能材料も、電子部品用途の需要が伸長し、前年を上回りました。
この結果、化学品事業の売上高は349億95百万円(前年同期比17.2%の増収)、セグメント利益は75億45百万円(前年同期比33.2%の増益)と、いずれも前年を上回りました。
新設住宅着工戸数はやや持ち直しの傾向が見られたものの、公共事業や民間企業の設備投資は、消費マインドの低迷や先行き不透明感を背景に、先送りや様子見基調が続いており、壁材、エクステリアともに販売は低調に推移しました。また、アルミ地金をはじめとする原材料価格の高騰により収益性が低下しました。
この結果、建材事業の売上高は179億61百万円(前年同期比4.3%の減収)、セグメント利益は25億76百万円(前年同期比26.5%の減益)と、いずれも前年を下回りました。
財政状態は、総資産は、前連結会計年度末比64億61百万円増加し、1,138億5百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末比21億19百万円増加し、328億97百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末比43億42百万円増加し、809億8百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、357億55百万円(前連結会計年度末比14億51百万円の減少)となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、50億89百万円(前年同期比23億21百万円の減少)となりました。投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、50億87百万円(前年同期比20億87百万円の増加)となりました。財務活動に使用されたキャッシュ・フローは、18億9百万円(前年同期比18億98百万円の増加)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 生産金額は主に生産量に平均販売価格を乗じて算出しております。
2 生産実績は自家消費(無機・有機化成品及びファインケミカル)を一部含んでおります。
3 報告セグメント以外のその他については生産活動になじまないため記載しておりません。
当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上となる販売先はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は541億37百万円(前年同期比9.2%の増収)となりました。国内売上高は351億69百万円(前年同期比1.7%の増収)となりました。海外売上高は189億68百万円(前年同期比26.4%の増収)となりました。売上高に占める海外売上高の割合は4.7ポイント上昇し、35.0%となりました。
売上原価は313億63百万円(前年同期比6.3%の増加)、売上高に対する比率は1.6ポイント低下し、57.9%となりました。
販売費及び一般管理費は143億74百万円(前年同期比13.3%の増加)となりました。運送費及び保管費が増加したことなどによるものであります。
以上の結果、営業利益は84億0百万円(前年同期比13.5%の増加)となり、売上高営業利益率は15.5%となりました。
営業外損益は、前連結会計年度の5億96百万円の利益(純額)から、8億91百万円の利益(純額)となりました。為替差益の発生が主な要因です。
この結果、経常利益は92億91百万円(前年同期比16.2%の増加)となり、売上高経常利益率は17.2%となりました。
特別損益は、前連結会計年度の2億60百万円の利益(純額)から、4億19百万円の利益(純額)となりました。これは、投資有価証券売却益の増加が主な要因です。
この結果、税金等調整前当期純利益は97億10百万円(前年同期比17.6%の増加)となりました。
法人税等は、前連結会計年度の24億59百万円から、当連結会計年度は28億25百万円となりました。これにより、税効果会計適用後の法人税等の負担率は、前連結会計年度の29.8%から29.1%となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は68億78百万円(前年同期比19.4%の増加)となり、1株当たり当期純利益は前連結会計年度に比べ22円25銭増加し、125円52銭となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替変動があります。この影響により、前連結会計年度に比べ、売上高が9億92百万円増加したものと試算されます。(ただし、為替の影響の試算は前連結会計年度の平均レートと当連結会計年度の平均レートの差によって算定しており、販売価格の変動に伴う影響は考慮されておりません。)
財政状態は、総資産は、前連結会計年度末比64億61百万円増加し、1,138億5百万円となりました。主な増加は、投資有価証券26億25百万円、売掛金17億67百万円であります。
負債は、前連結会計年度末比21億19百万円増加し、328億97百万円となりました。主な増加は、1年内返済予定の長期借入金20億円であります。
純資産は、前連結会計年度末比43億42百万円増加し、809億8百万円となりました。主な増加は、利益剰余金33億34百万円、その他有価証券評価差額金10億64百万円であります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の70.5%から70.3%となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、50億89百万円(前年同期比23億21百万円の減少)となりました。主な収入項目は、税金等調整前当期純利益97億10百万円、減価償却費20億90百万円、一方で主な支出項目は法人税等の支払額27億39百万円であります。
投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、50億87百万円(前年同期比20億87百万円の増加)となりました。主として有形固定資産の取得による支出41億53百万円であります。
財務活動に使用されたキャッシュ・フローは、18億9百万円(前年同期比18億98百万円の増加)となりました。主な収入項目は、長期借入れによる収入21億60百万円、一方で主な支出項目は、自己株式の取得による支出24億74百万円、配当金の支払額13億26百万円であります。
以上の結果、現金及び現金同等物は、357億55百万円(前連結会計年度末比14億51百万円の減少)となりました。
当社グループの資金の財源及び流動性については、事業活動にかかる短期運転資金は営業キャッシュ・フローを主な財源としておりますが、その他取引金融機関に有する当座貸越等の融資枠からの短期借入金も利用し、経営環境の急激な変化にも対応できる十分な流動性を保持しております。
設備投資、投融資資金などの長期資金についても、自己資金を基本としつつ、資本調達コストの低減や最適な資本構成、資金需要や金利情勢を考慮しながら、金融機関からの長期借入を随時行っております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は、159億27百万円、前連結会計年度末比20億円増加しました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5章 経理の状況 1(1)連結財務諸表注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
記載すべき事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)の研究・開発活動の大部分は、当社が主に担当しております。当社は、二硫化炭素の新たな製造技術をもって創業し、以来、研究開発や製造技術の独創性を基に無機化成品、有機化成品、ファインケミカル及び建材分野に事業領域を拡げてまいりました。常に独創性を重んじ、これを会社発展の原動力とする至上の価値観「独創力」を企業理念に、全社一丸で新たな価値や市場の創造に取り組んでまいります。
組織の活動としては、R&Dセンターにおいてコア技術に立った既存事業の強化拡充を図るとともに、習得した新技術による独自性を持った製品開発にチャレンジしております。また、各工場の開発部門や建材事業の開発部門においては現技術の深耕による既存商品の再活性化を図りつつ、事業戦略に沿った差別化商品の開発に努めております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
①化学品事業
化学品分野における研究・開発は、電子化学材料分野、機能材料分野並びに環境関連分野を中心に、既存事業の周辺に特化し、事業拡大に貢献することを目指しております。
電子化学材料分野では、高密度プリント配線板用水溶性プレフラックス「タフエース」のさらなる高機能化や、樹脂と銅の密着性付与剤「GliCAP」の開発を進めています。
機能材料分野では、樹脂の性能を高めるイソシアヌル酸誘導体や、複合材料向けのベンゾオキサジン誘導体などの開発を行っております。さらに、樹脂改質剤として用いるグリコールウリル誘導体の量産化を進めており、幅広い用途展開に取り組んでいます。
環境関連分野では、水処理薬剤の開発に注力しております。プール用途で培った技術を活かし、サニタリー薬剤の高機能化・高付加価値化に向けた製品開発を行っております。排水処理用としては、浄化槽用薬剤や微生物製剤「ハイポルカ」を中心とした開発体制を整えております。
また、タイヤ関連材料「ミュークロン」の性能向上を目的とする開発に取り組んでいます。
なお、当事業に係る研究開発費は
②建材事業
建材分野の開発活動は、「いつもの場所を、価値ある空間に」を基本に、顧客に信頼されるメーカーを目指し、高品質で独自性(デザイン・機能)のある商品開発に注力しています。壁材、住宅・景観エクステリアの各分野で先進性ある商品への取り組みを進め、他社との差別化を明確にしてまいります。
壁材では、より高い意匠性の追求と施工性の向上に取り組みました。内装材では、塗り壁にひと工夫プラスすることで、さまざまなデザイン提案ができるアクセントカラー仕上げに、施工がしやすい専用目地材「SK抜き目地 壁用」を発売しました。外装材では、「パレットHG ローラー塗りタイプ」に冬季の低温でも施工できる低温施工タイプを追加し、門柱など小面積の施工に無駄なくお使い頂けるように梱包単位を見直しました。舗装材では、学校や老人介護施設、医療施設などでご採用頂いているゴムチップ舗装材「チップロード」にローラーで塗布するだけの簡単施工で、ゴムチップの欠落抑制と経年劣化による変退色を新設時の色に蘇らせるメンテナンス材として、「チップロード用着色メンテナンスコート」を発売しました。
住宅エクステリアでは、生活様式が変化している中、ユーザーの利便性や快適性を高める商品の開発を進めました。庭回りでは、庭や駐車スペースを活用して、自宅にいながら手軽にアウトドアライフやカーライフといった趣味の時間が楽しめる屋外収納庫「マイストッカーEX1型」を発売しました。また、家庭でのゴミの一時保管に便利なゴミ収納庫として、住宅意匠に調和し、玄関まわりやアプローチに設置できるスタイリッシュなデザインの「ゴミストッカー®HM1型」を発売しました。車庫周りでは、発売よりご好評いただいている「マイポートNext」に利便性を高めた2台駐車専用のワイドタイプと、建物のトレンドカラーに合うブラック色とブラック色に木調色を組み合わせたカラーを追加しました。
景観エクステリアでは、建築物や街の環境に調和した商品開発に注力しました。カラーバリエーションの追加として、当社主力の大型引戸「スタックラインSR型」に重厚かつ落ち着きのあるマットブラウン色を追加し、「防音フェンスVNF1型/TNF1型」には建物のトレンドカラーに合うブラック色を追加しました。新たなデザイン追加として、大型フェンス「EAF」シリーズに堅牢な印象を与える立体感のある「EAF8型:横ルーバーデザイン」と、連続感が美しい「EAF32型:縦ルーバーデザイン」を追加しました。また、ロートアイアンの立体的な造形を、軽くて錆に強いアルミで再現したロートアルミフェンス「RKF」を発売しました。手づくりならではの味わいある意匠やサテン調粉体塗装により格調高い外構を演出します。
当社は多様化するニーズに、公共建築・施設の設計折込活動で培った対応力を活かし、市場ニーズに対し、タイムリーな開発に取り組んでまいります。
なお、当事業に係る研究開発費は