第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、「事業活動を通じて、社会的な課題解決を支援する」ことを使命とし、社会の課題、時代の最先端ニーズに応えることで成長してまいりました。近年では、素材を通じて自動車やICT等、多くの分野との密接な関係にあり産業の基盤を支えております。また、これからの社会環境に向けて、次世代自動車の指針CASEに沿った進化や、第5世代移動通信システム(5G)に代表されるICT分野の急速な発展等、大きな変化が始まっております。その中で私たちは、お客様の課題を解決するだけでなく、私たち自身の課題にも向き合い、そして将来直面する課題を予測し、素材のチカラ、私たちのチカラ、パートナーのチカラを一つにして解決するとともに、新たな価値を創造してまいります。

 

 現在、2023年の創業200年に向け、またその先も成長していくために目指す姿を示した「Go Beyond 200!」を掲げ、持続的な成長の取り組みを進めております。

 

創業200年(2023年)、さらにその先へ「Go Beyond 200!」

 

・『安全で効率のよい電子部品』の実現

・『持続可能で住みやすい世界』の実現

・『地球を掘り返さない方法による環境負荷低減』の実現

 

 また、2020年1月には、より当社の強みを伸ばしていくため、モノづくりの原点をまとめた「Toda Spirits」を策定いたしました。今後一層社会に貢献する事業活動を行ってまいります。

 

Toda Spirits ~より良い未来を創造するモノづくり~

 

・安全と安心を優先するモノづくり

・顧客と取引先の信頼と満足を追求するモノづくり

・一人ひとりの力で改善に挑戦するモノづくり

・独創性と市場性を創造するモノづくり

・品質の安定・再現、効率を追求するモノづくり

・環境に配慮し、グローバルに展開するモノづくり

 

 現在、当社を取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、世界的な半導体不足による自動車市場への影響やコンテナ不足による物流混乱等の懸念がありますが、中国を筆頭とした国内外における経済活動の回復は顕著であり、概ね回復の傾向は続くものと想定しております。

 当社グループにおいては、当連結会計年度の下期より中国経済の回復や国内外における経済活動の回復に牽引され、好調に推移いたしました。翌連結会計年度においても、自動車市場におけるCASEの進展や情報通信市場におけるICTの発展により、中期的に市場の拡大が見込まれ、当社製品の需要が高まると見込んでおります。特に、磁石材料及び誘電体材料を中心として、電子素材事業の成長を期待しております。

 このような状況下、当社グループは、「ビジネスの拡大」、「高収益体質の強化」、「経営基盤の充実」をキーワードに、業績のさらなる向上に向けた活動を進めてまいります。具体的には重要施策や原価低減活動の取組みを継続して進めるほか、組織改革により、営業力の拡充や事業開発のスピードアップを図り、変化の速い市場に対応してまいります。また子会社、持分法適用関連会社の利益拡大による連結業績の回復に取り組んでまいります。さらに、TDK㈱との資本業務提携により、シナジー創出プロジェクトを開始しており、電子素材事業を中心とした新製品開発の促進や国内外における原材料調達の最適化等、両社のシナジーを生み出してまいります。

 

<戦略事業の取組み>

 電子素材事業に含まれる「磁石材料」、「誘電体材料」、「リチウムイオン電池(LIB)用正極材料」の3事業を戦略事業と定め、取組みの強化を進めております。

 磁石材料は、自動車のポンプ、センサー、アクチュエータ用途の他、家電のモーター用途を中心に利用されております。今後は自動車の電動化等に伴い、小型モーターに利用される磁性粉と樹脂を複合化したボンド磁石用の材料の需要がさらに増加する見通しであり、アジア圏を中心としたグローバルな生産体制を構築しております。また過酷環境での使用を睨み高磁力・高耐熱のフェライト磁石、ネオジウム磁石用の材料を開発し、拡販を進めております。

 誘電体材料(チタン酸バリウム)は、ICT機器や電気自動車に多く使われる積層セラミックコンデンサー用途を中心に伸長しております。今後もICTの発展や自動車市場におけるCASEの進展により、中期的に市場の拡大が見込まれる状況にあり、需要拡大に備え生産体制を整備し、積層セラミックコンデンサーの小型・薄層化に必要な微粒子のニーズに適切に応えていけるよう開発を推進してまいります。

 リチウムイオン電池用正極材料の事業環境は、主に車載用途として市場が急速に拡大しており、世界的な温室効果ガス低減に貢献しております。当社はグループ企業において独BASF等のビジネスパートナーと組み、グローバルな需要拡大に対応できる体制を整えております。今後は、より高品質な正極材料の需要が高まることが予想されており、品質と生産性の向上を図りながら事業拡大に取り組んでまいります。

 

<持続可能な開発目標(SDGs)への取組み>

 2030年までに国際社会が協力して取り組むべき地球規模の課題をまとめた「持続可能な開発目標」の理念に則り、当社グループ全体で、事業及びガバナンスを通じてSDGsの実現に向けた活動を進めるべく、2019年5月に「戸田工業グループ 環境ビジョン2033」を策定し、具体的な数値目標を掲げて環境保全活動に取り組んでおります。具体的には、環境ビジョン2033において掲げる環境経営5本柱の「環境調和型商品、技術の提供」では酸化鉄燃焼触媒「活性フェロキサイド」や土壌浄化高活性鉄化合物「RNIP」等を製造・販売しております。また「循環型社会形成への取組み」や「産業廃棄物の有効活用」としては、長年の経験を活かし、無機系を中心に資源再利用にも積極的に取り組んでおります。ガバナンスにおいては、コーポレートガバナンス・コード遵守の取組みとして、第88期定時株主総会より議決権電子行使プラットフォームの採用及び招集ご通知の一部について英文化を実施し、品質保証体制強化のため、独立性を確保した品質保証部を設置いたしました。今後においても、ダイバーシティーのさらなる推進等、ガバナンス向上に向けた取組みを進めてまいります。

 

戸田工業グループ「環境ビジョン2033」

環境経営5本柱

(1)生物多様性への取組み

(2)温室効果ガスの削減

(3)環境調和型商品、技術の提供

(4)循環型社会形成への取組み

(5)産業廃棄物の有効活用

 

 以上の取組みにより、2022年3月期の業績は、売上高30,500百万円、営業利益1,400百万円、経常利益1,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,200百万円を予想しております。

(※2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用するため、上記の連結業績予想につきましては当該会計基準後の金額となっております。)

 

 最後に、当社はメーカーとしてお客様のニーズに応える製品を安定継続的に供給することが重要な責務であると認識し、事業活動に取り組んでまいります。そして、今後も会社を生々発展させることを通じて、株主様、お客様、従業員及び地域社会の皆様に対して負っている社会的責任を果たしてまいります。

 

経営理念

私たちグループは、酸化鉄で培った微粒子合成技術を深化させながら、永遠に生々発展

します。

誠実・信頼を基盤とし創造力と製造力を結集させ、魅力ある独創性に富んだ新素材及び

ソリューションを通じて、広く社会に貢献します。

 

2【事業等のリスク】

[体制]

 当社グループでは、代表取締役社長執行役員を委員長として、執行役員を中心に構成するリスク管理委員会を設置し、当社グループの顕在化しつつあるリスクについて定期的に議論しております。また、当社グループを取り巻く個々のリスクについては、責任部署を定め、当該責任部署において基本計画の策定、対策の実施、評価及び改善を行う取り組みを進めております。各リスク責任部署の責任者及び担当者で構成するリスク管理推進委員会は、それぞれの活動の進捗や課題を共有し、リスク管理委員会に報告いたします。当該報告を受けたリスク管理委員会は、適宜是正指示を行い、これらリスク管理活動について取締役会に報告を行います。それにより、取締役会は当社グループ全体のリスクを網羅的、継続的に監視する体制の整備を進めております。

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)予期し得ない事業環境急変のリスク

 当社グループは、グローバルに事業展開していることから、海外の市場が不安定な状況となった場合や、世界的な貿易摩擦が長期化した場合には、世界経済に悪影響が及ぶことにより、当社の企業収益が悪化する恐れがあります。コスト構造のスリム化等の施策により、収益体制の強化にも取り組み、事業環境の変化への対応は準備できております。しかしながら、これら世界経済等の予期し得ない環境の変化があった場合、当社グループの資金繰り環境、財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(2)製品品質

 当社グループでは、モノづくりへの取り組みを進めていくための原点である「Toda Spirits」を定め、「継続的改善活動を展開し、顧客の信頼と満足を得る品質を提供する」という品質方針の下、品質保証活動を推進しております。各事業所において品質マネジメントシステム(ISO9001)の運用、営業及び製造から独立した品質保証部による品質監査、人材育成の強化等の活動を行っております。しかしながら、各国規制の変化や車載用製品を中心に顧客の要求水準が高まる中、品質上の欠陥や事故が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(3)原燃料の調達について

 当社グループは、原材料等を複数の外部供給者から購入し、適正な在庫の確保を前提とした生産体制をとっておりますが、一部原材料等は、代替困難な限られた供給国、供給者に依存する場合があります。そのため、各国の輸出入規制や環境規制、供給者の被災及び事故等による原材料等の供給中断、品質不良等による供給停止、さらに製品需要の増加による供給不足等が発生する可能性があります。また、海外生産拡大に伴う現地調達においては海外の諸情勢に悪影響を受ける場合があり、それらが長期にわたった場合、生産体制に影響を及ぼし、顧客への供給責任を果たせなくなる可能性があります。市場における需給バランスが崩れた場合、原材料価格の高騰や原油をはじめとする燃料価格の高騰による製造コストの増大が想定されます。原油等建値相場の影響を受ける原燃料の仕入れも増加しております。このような仕入価格の変動を販売価格への転嫁や海外を含めた当社グループでの共同購入及び共有化等の原価低減活動で吸収しきれなかった場合、当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(4)新製品の開発力、技術革新、事業拡大について

 当社グループは、酸化鉄総合メーカーとして、製品開発力と供給力を高めてまいりました。加えて、更なる発展のため、酸化鉄以外の事業への多角化も進めております。また、市場の動向分析に基づく継続的な研究開発体制の見直しや、開発テーマの選択と集中を高めるための組織改革により、事業開発のスピードアップや営業力の拡充を図っております。しかしながら、既存製品市場における需要減退、競合先による安価な製品又は代替製品が出現した場合、新製品の開発が計画通りに進展しない場合、技術革新による新製品が出現した場合等により、当社グループの競争力が低下する恐れがあり、当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(5)減損損失のリスク

 当社グループは、品質及び生産性の向上並びに事業開発のため、製造設備等の設備投資を継続的に行っており、多額の有形固定資産を保有しております。有形固定資産については、定期的に調査を行い、減損の兆候が認められる場合は適切な会計処理を行っております。しかしながら、固定資産の時価が著しく低下した場合や事業の収益性が悪化した場合には、固定資産減損会計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(6)情報セキュリティ

 当社グループでは、事業や業務を行うにあたり情報システムを活用するとともに、取引先や当社グループ内の機密情報等を保有しております。グループウエアの刷新を含む技術的対策、入退出管理の強化等の物理的対策並びに情報セキュリティ関連の社内規程の改定や当社グループ及び協力会社の従業員等に対する教育による人的・組織的対策により、情報セキュリティの強化を図っております。しかしながら、外部からの攻撃や、内部的過失による情報流出等、情報システムの停止等が発生した場合、当社グループの信用が低下し、財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(7)訴訟等のリスク

 当社グループは、グローバルに事業活動を行っており、法規制等の変更や知的財産権を含む権利侵害の発生等により、訴訟、クレーム又は種々の紛争に関わる可能性があります。法規制の把握、契約条件の明確化、知的財産権の適正な管理、弁護士等専門家との連携により、紛争等の未然防止に努めております。しかしながら、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの信用、財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(8)コンプライアンス

 当社グループは、コンプライアンス行動規範を定め、当該規範の遵守を徹底するための体制作り、従業員に対するコンプライアンス教育の実施、内部通報制度を通じて、グループ全体のコンプライアンスの維持及び向上に取り組んでおります。しかしながら、当社グループにおいて、過失又は故意による不正、ハラスメント等のコンプライアンス違反が発生する可能性があります。これらの内容及び結果によっては、当社グループの信用が低下し、財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(9)災害等のリスク

 地震・集中豪雨等の自然災害や火災等の事故、新型インフルエンザ等の重大な感染症によるパンデミック、電力や物流等の社会インフラの長期的な停止等によって、当社グループの各拠点において事業活動が停止する可能性があります。BCPの策定、設備の定期点検や改修及び定期的な防災訓練等の対策を行っておりますが、この様な災害等が発生した場合、当社グループの操業が中断し、生産及び出荷が遅延することにより、売上は低下し、加えて製造拠点等の修復又は代替のために、巨額な費用を要することにより当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 また、2020年以降の新型コロナウイルス感染症拡大と長期化に伴う需要の落ち込みにより、当社グループの業績への影響が顕在化しております。当社グループでは、不要不急の出張や面談の禁止、時差出勤や在宅勤務の推奨、マスク着用と手洗いうがい、消毒の徹底等の感染予防対策、需要に応じた生産調整や在庫及び原材料等の確保、感染者が発生した場合のBCP対策等を行うことで事業活動への影響の低減に努めております。しかしながら、今後、更なる感染拡大や流行が長期化し、当社グループにおける稼働やサプライチェーンの停滞が発生した場合、当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(10)戦略的提携のリスク

 当社グループは、既存事業の拡大あるいは、新たな事業への進出等のために、事業戦略の一環として企業買収・M&A等の戦略的提携を行う可能性があります。これら戦略的提携に際しては、市場動向や相手企業について十分な調査検討を行っております。しかしながら、買収・提携後に市場環境の著しい変化があった場合や、事業が計画通りに進捗しない場合には、投下資金の回収ができない場合や追加費用が発生すること等により当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(11)人材確保と人材育成

 当社グループは、経営戦略やグローバル経営といったマネジメント能力及び専門性を有した人材の確保が重要と考えております。新卒採用及び経験者の通年採用を通じて人材の獲得を行うとともに、階層毎の教育プログラムを充実させ、人材の育成も推進しています。しかしながら、定年や雇用延長期限を迎える従業員が同時に発生すること等により、人材の確保及び育成が計画的に推進できない場合には、当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(12)為替レートの変動

 当社グループの売上高の45%は海外向けが占め、その大部分を外貨建てで輸出しており、また海外の関係会社も17社ありますが、各地域における売上・費用・資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算されており、海外関係会社への貸付等も行っております。常に為替変動のモニタリングを行い、円建て又は安定的な通貨での取引、外貨通貨建て取引については、外貨預金口座を通じての決済を行う等の対策をとっておりますが、円に対して外貨の為替変動が想定以上となった場合、当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(13)カントリーリスク

 当社グループは、中国をはじめとしたアジア、北米、ヨーロッパに海外拠点を有しております。各拠点とは定期的に海外安全情報等を共有して適時適切な対応がとれるよう努めております。しかしながら、これら拠点のある国において、紛争やテロ、政情不安、大規模災害、パンデミック、労働争議、外資規制等が発生した場合、当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(14)環境に関わるリスクへの対応

 当社グループは、化学素材の製造過程において、原材料、製品、燃料、廃棄物として化学物質及びエネルギーを扱っています。当社グループは法規制に沿ったリスクアセスメント、化学物質管理、エネルギー管理を徹底するとともに、2019年に「環境ビジョン2033」を策定し、具体的な数字目標を掲げて環境保全活動に取り組んでおります。しかしながら、環境に関わる法規制が変更された場合や、自然災害及び火災等の事故による化学物質の流失が発生した場合、当社グループの信用が低下し、財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 

売上高

(百万円)

営業利益又は

営業損失(△)

(百万円)

経常損失(△)

(百万円)

親会社株主に帰属する当期純損失(△)(百万円)

1株当たり

当期純損失(△)(円)

当連結会計年度

29,024

11

△600

△4,142

△718.76

前連結会計年度

33,147

△611

△1,307

△5,285

△917.09

増減率(%)

△12.4%

 

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、各国においてロックダウンや行動自粛が実施された影響により、複写機・プリンターや磁気切符等に使用される当社製品の需要は落ち込み、極めて厳しい状況となりました。また、徐々に経済活動が再開され、持ち直しの動きが一部で見られるものの、同感染症の感染再拡大に加え、半導体不足による自動車市場への影響やコンテナ不足による物流混乱の影響も懸念され、依然として先行き不透明な状態が続いております。

 当社グループにおける当連結会計年度の上期においては、同感染症の影響により基幹事業である磁石材料及び着色材料の各市場における需要の落ち込みが大きく、損失計上を余儀なくされました。一方、下期においては中国を筆頭とした国内外における経済活動の回復に牽引され、好調に推移いたしました。

 利益面においては、売上商品構成の変化による限界利益の改善に加え、原価低減及び全社的な諸経費削減の取組みを行った結果、売上高は29,024百万円(前期比12.4%減)、営業利益は11百万円(前期は営業損失611百万円となりました。

 営業外収支においては、持分法適用関連会社が固定資産の減損を行ったこと等により、持分法による投資損失831百万円を計上した影響等から、経常損失は600百万円(前期は経常損失1,307百万円)となりました。

 また、特別損失においては、固定資産を減損処理したことによる減損損失2,223百万円、投資有価証券を減損処理したことによる投資有価証券評価損739百万円等の影響により、親会社株主に帰属する当期純損失は4,142百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失5,285百万円となりました。

 

セグメント別の状況は、次のとおりであります。

 

売上高

セグメント利益

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

増減率(%)

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

増減率(%)

機能性顔料

14,186

12,332

△13.1

1,491

1,257

△15.7

電子素材

19,411

17,129

△11.8

786

1,505

91.5

消去又は全社

△450

△438

△2,889

△2,751

合計

33,147

29,024

△12.4

△611

11


(機能性顔料)
 当連結会計年度の下期より需要は回復基調であるものの、上期における新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく残り、売上高は前年同期比13.1%減の12,332百万円、セグメント利益は前年同期比15.7%減の1,257百万円となりました。

(電子素材)
 基幹事業である磁石材料は当連結会計年度の下期以降、需要が回復基調であり、誘電体材料においても好調に推移しているものの、上期における新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく残り、売上高は前年同期比11.8%減の17,129百万円となりました。一方、セグメント利益については、売上商品構成の変化により、前年同期比91.5%増の1,505百万円となりました。

 

②財政状態の状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

資産合計

43,870

41,783

△2,087

負債合計

31,279

32,408

1,129

純資産合計

12,590

9,375

△3,215

 

 当社グループの当連結会計年度における資産は、現金及び預金が1,017百万円、原材料及び貯蔵品が628百万円増加したものの、商品及び製品が413百万円、仕掛品が245百万円、有形固定資産が2,223百万円、関係会社出資金が751百万円減少したこと等から、前連結会計年度末に比べ2,087百万円減少いたしました。

 負債においては、環境対策引当金が1,035百万円減少したものの、支払手形及び買掛金が411百万円、借入金が1,696百万円増加したこと等から、前連結会計年度末に比べ1,129百万円増加いたしました。

 純資産においては、その他有価証券評価差額金が578百万円、為替換算調整勘定が139百万円、非支配株主持分が144百万円増加したものの、親会社株主に帰属する当期純損失4,142百万円等から、前連結会計年度末に比べ3,215百万円減少いたしました。

 以上の結果、1株当たりの純資産は前期比585.65円減少して1,411.60円となり、自己資本比率は前期比6.7ポイント減少して19.5%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

2,259

612

△1,647

投資活動によるキャッシュ・フロー

△239

△1,219

△980

財務活動によるキャッシュ・フロー

△120

1,416

1,536

現金及び現金同等物期末残高

5,542

6,492

950

 

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は6,492百万円となり、前連結会計年度末より950百万円増加いたしました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。


(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動によるキャッシュ・フローは612百万円(前期は2,259百万円)となりました。これは主に、減価償却費1,043百万円、減損損失2,223百万円、投資有価証券評価損益739百万円、持分法による投資損益831百万円等による資金の増加が、税金等調整前当期純損失3,694百万円、環境対策引当金の増減額1,008百万円等による資金の減少を上回ったこと等によります。


(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動によるキャッシュ・フローは△1,219百万円(前期は△239百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出945百万円、貸付けによる支出300百万円等による資金の減少が、利息及び配当金の受取額137百万円等による資金の増加を上回ったこと等によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動によるキャッシュ・フローは1,416百万円(前期は△120百万円)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額1,075百万円、長期借入れによる収入4,700百万円等による資金の増加が、長期借入金等の返済による支出4,096百万円、利息の支払額214百万円等による資金の減少を上回ったこと等によります。

 

④生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

機能性顔料

10,588

△12.1

電子素材

13,128

△5.9

合計

23,716

△8.8

 (注)1 金額は、平均販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)受注実績

 該当事項はありません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

機能性顔料

12,311

△13.1

電子素材

16,712

△11.9

合計

29,024

△12.4

 (注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

BASF Toda America LLC

3,590

10.8

3,034

10.5

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループにおける当連結会計年度の上期においては、新型コロナウイルス感染症の影響により基幹事業である磁石材料及び着色材料の各市場における需要の落ち込みが大きく、損失計上を余儀なくされました。一方、下期においては中国を筆頭とした国内外における経済活動の回復に牽引され、好調に推移いたしました。

特に、磁石材料は自動車の電動化等に伴い需要が増加し、誘電体材料(チタン酸バリウム)は、主にICT機器や電気自動車向けの積層セラミックコンデンサー(MLCC)用途として、売上が大きく伸長いたしました。

利益面においては、売上商品構成の変化やコスト削減へ向けて積極的に原価低減活動の取組みを行ったことから、限界利益が改善いたしました。また、全社的な諸経費削減、テレワークの実施及びオンライン会議システムの活用等で多様な働き方による業務効率化を推進したことも収益改善に寄与いたしました。

以上のことから、売上高は29,024百万円(前期比12.4%減)と前期比減収となったものの、営業利益は11百万円(前期は営業損失611百万円と増益になりました。

 しかしながら、営業外収支において、リチウムイオン電池用正極材料の製造及び販売を営んでいる持分法適用関連会社が固定資産の減損を行ったこと等により、持分法による投資損失831百万円を計上いたしました。加えて、特別損失において、主に複写機・プリンター及び塩ビ安定剤に使用される材料の固定資産を減損処理したことによる減損損失2,223百万円、当社の子会社である戸田アメリカIncorporatedが保有する投資有価証券を減損処理したことによる投資有価証券評価損739百万円を計上したことから、多額の親会社株主に帰属する当期純損失を発生させることとなりました。

 今後におきましては、新型コロナウイルス感染症の収束時期の見通しは未だ不透明であり、当社グループを取り巻く事業環境においては、世界的な半導体不足による自動車市場への影響やコンテナ不足による物流混乱等の懸念があるものの、概ね足元の回復基調が続くものと想定しております。
 また、自動車市場におけるCASEの進展や情報通信市場におけるICTの普及拡大により、中期的に市場の拡大が見込まれ、当社製品の需要が高まると見込んでおります。特に、磁石材料及び誘電体材料を中心として、電子素材事業が成長することが期待されております。磁石材料は、小型モーターに利用される磁性粉と樹脂を複合化したボンド磁石用の材料として拡販が進み、誘電体材料においては、市場の拡大に加え、MLCCの小型・薄層化に必要な微粒子のニーズが高まっていることから、これまで以上に売上が伸長するものと想定しております。当社グループとしましては、「ビジネスの拡大」、「高収益体質の強化」、「経営基盤の充実」をキーワードに、業績及び企業価値のさらなる向上に向けた活動を進めてまいります

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 機能性顔料事業につきましては、当連結会計年度の下期より需要は回復基調であるものの、上期における新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく残り、売上高は前年同期比13.1%減の12,332百万円、セグメント利益は前年同期比15.7%減の1,257百万円となりました。引き続き販路拡大及びコスト削減を進めて環境の変化に対応してまいります。また、高付加価値品、易分散顔料、分散体等の事業領域の拡大を見据えて活動するとともに、SDGsの実現に向けた環境関連材料の開発にも注力することで、社会への貢献を継続してまいります。

 電子素材事業につきましては、基幹事業である磁石材料は、自動車の電動化等に伴い需要が増加しており、好調に推移いたしました。加えて、コロナ禍においても戦略事業の1つとして掲げる誘電体材料の需要は増加しており、売上は前年に比べ大きく伸長しております。しかしながら、上期における新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく残り、売上高は前年同期比11.8%減の17,129百万円となりました。一方、セグメント利益については、売上商品構成の変化により、前年同期比91.5%増の1,505百万円となりました。今後につきましても環境変化の激しい市場動向を注視し、当社グループでの生産体制を整備することで機会損失を防ぎ、さらなる拡大を目指してまいります。また、電子素材市場においては、自動車市場におけるCASEの進展や情報通信市場におけるICTの普及拡大により、中期的には市場の拡大が見込まれる状況にあります。当社グループにおきましても、モーター、センサー用材料である磁石材料や誘電体材料を中心に需要が一層高まると見込んでおり、需要拡大に備え適切に応えていけるよう、必要な対策を行ってまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。また、当連結会計年度における金融機関からの借入状況は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑤ 連結附属明細表」に記載しております。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、関係会社への投融資等によるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入れを基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入れを基本としております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、この連結財務諸表の作成にあたり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しておりますが、見積りには不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社は、2020年11月11日開催の取締役会において、当社の完全子会社である戸田ピグメント株式会社を吸収合併することを決議し、2020年11月20日付で合併契約を締結し、2021年4月1日付で吸収合併いたしました。

 なお、詳細については、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載しております。

 

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、当社が主として行っております。

 当社の研究開発活動は、開発競争のグローバル化の中で、開発スピードを高めるために、社外の関連研究施設や大学との連携に努めながら、創造本部を中心に、顧客ニーズに即応する商品開発と次世代商品の開発を行っております。

 セグメント別の研究開発活動の概況は次のとおりであります。

 

(1)機能性顔料

① 電子印刷材料

 デジタル複写機・レーザープリンター等のトナー用材料の磁性酸化鉄を開発し商品化しております。

電子印刷用キャリアでは、当社独自の磁性粉造粒技術を用いた磁性粉分散型樹脂キャリアの改良を進め、顧客ニーズを先取りした開発及び商品化を行っております。

 

② 着色材料

 各種重金属の含有量の少ない次世代化粧品用材料の開発に取り組んでおります。また、紫外線吸収といった新たな機能が期待できる透明酸化鉄顔料や高彩度で着色力が高い易分散顔料の開発を行っております。

 

③ 環境関連材料

 農業用ポリオレフィン保温材、カラス対策ごみ袋用コンパウンド、有害イオン吸着剤の開発等を行っております。また、メタンガス等からCO2を排出することなく水素とカーボンナノチューブを製造する直接メタン改質法を開発し、実用化に向け推進しております。表面積が非常に大きい非晶質アルミノケイ酸塩については、水分等の高い吸脱着特性を活かしてスーパードライエアー製造用水分吸着剤、自動車用防曇材に展開中であります。

 

④ 添加剤、および触媒材料

 環境保全・クリーンエネルギー分野においても市場ニーズに添った開発を推進しており、高機能無機添加剤や酸化鉄触媒材料の開発に取り組んでおります。酸化鉄触媒材料では、酸化鉄の酸化触媒機能を活かして環境浄化触媒の開発・実用化に取り組んでおります。

 

⑤ 磁気記録材料

 高密度化デジタルテープへの社会的ニーズに対応して、磁気記録テープのより一層の高密度化に必要な磁気記録テープ下層用超微粒子材料の開発を行い、市場展開を進めております。

 

(2)電子素材

① 磁石材料

 ハードフェライト材料、希土類磁石材料とそれらの加工材料を開発し実用化しております。

 希土類磁石材料においては、世界最高レベルの磁気特性を持つ射出成形用異方性ネオジウムコンパウンドの製造販売をしております。自動車産業への展開を見据え、このネオジウムコンパウンドの更なる耐熱性、耐食性の向上を目指しております。

 

② 軟磁性材料

 CASEやMaaSといった技術革新が進む自動車産業や次世代通信システム(5G)に向けて、高性能インダクタ用の材料や、半導体パッケージに内蔵する薄型インダクタ用部材、kHz~GHz帯に対応した電磁ノイズ抑制材料、ワイヤレス給電用部材の開発に取り組んでおります。

 

 

③ 誘電体材料

 高度情報化社会に対応して小型高容量のセラミックコンデンサー(MLCC)用誘電体材料の開発等を行っております。分散性の良い超微粒子のチタン酸バリウムは、小型高信頼性、高容量化の市場ニーズにマッチした最先端材料で拡販、上市しております。さらに、湿式合成の強みを生かして、チタン酸バリウムを各種溶媒中に一次粒子径に近い状態で高濃度分散を可能にいたしました。顧客ニーズに応じて設計が可能で、高い屈折率や誘電率を活かした光学フィルムやコンデンサなどの用途で展開を進めております。

 

④ 電池材料

 導電材として、カーボンナノチューブ(CNT)の開発および、パイロットプラントを活用した市場展開によるCNTの事業化の検討を進めております。また、高容量負極材料として、シリカ系負極材料との複合による新規材料の研究開発を行っており、昨年の電池討論会での発表では、興味ある有望な材料として数社からのお引き合いを頂いております。これらの材料は、安全化、高寿命化の材料として市場から期待されております。

 

⑤ ナノ材料

 次世代技術であるナノテクノロジーの分野では、ナノ金属、ナノ磁性微粒子の研究開発に取り組んでおります。また、モノづくり改革として、環境負荷低減可能な、新規なナノ粒子合成法に取り組んでおります。

 

 当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額1,274百万円であります。

 また、当連結会計年度における当社が所有する特許の件数は、国内449件、海外508件、出願もしくは審査中の件数は海外を含めると162件となっております。