第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当事業年度におけるわが国経済は、政府の経済対策や財政健全化策などにより、企業収益の改善や投資の増加・賃上げ及び雇用環境の改善等が見られるものの、消費拡大に向かう経済の好循環にはまだ至っていない状況であります。

火工品業界においても一定の需要はあるものの、それ以上の受注が望めない状況が続いております。

 このような環境の下、当社は民間向け救難用火工品の販売活動を続けておりますが、大きな受注にはまだ至っておりません。

当期の売上高は、委託試験等の受注により、期初の販売計画を上回り、前期より若干増収となりました。

一方、利益面においては継続して原価改善を徹底し、品質向上に向けた対策をすることで一定の利益を確保できましたが、従業員の待遇改善や工場内の施設整備計画による倉庫の新設や老朽化した設備の更新など環境改善費用の支出があり、利益は当期純利益を除き前期を下回る結果となりました。

以上の結果、当事業年度の売上高は1,584百万円(前期比0.8%増)、営業利益127百万円(前期比39.7%減)、経常利益154百万円(前期比25.9%減)、当期純利益99百万円(前期比0.3%増)と、前年同期と比べ売上高は増加したものの、営業利益・経常利益は減益となり、当期純利益については税金負担額の減少により増益となりました。

セグメントの業績を示すと、以下のとおりであります。

(火工品事業)
 当期の火工品事業は、官公庁向け火工品受注では計画をほぼ達成できましたが、一部民間向け火工品の受注減を委託試験等の受注で補い、1,428百万円(前期比0.6%増)となり、増収となりました。

  セグメント利益は、70百万円と前年同期と比べ84百万円(54.4%減)減少しました。

(賃貸事業)
 当期の賃貸事業は、賃貸先が増加したことにより、賃貸売上高は156百万円(前期比3.5%増)となり、増収となりました。

  セグメント利益は、93百万円と前年同期と比べ1百万円(1.8%増)増加しました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローで27百万円の資金流出、投資活動によるキャッシュ・フローで49百万円の資金流出、財務活動によるキャッシュ・フローで26百万円の資金流入となりました。その結果、前期と比べ50百万円減少して、727百万円になりました。

(営業活動によるキャッシュ・フローの状況)

当事業年度における営業活動による資金は、税引前当期純利益153百万円、減価償却費58百万円などの資金流入に対して、売上債権の増加額117百万円、製品保証引当金の減少額27百万円、法人税等の支払額76百万円などの資金流出により、27百万円の資金流出となりました。資金は、前期と比べ251百万円減少しました。

(投資活動によるキャッシュ・フローの状況)

当事業年度における投資活動による資金は、有形固定資産の取得45百万円などの資金流出により、49百万円の資金流出となりました。資金は、前期と比べ11百万円増加しました。

(財務活動によるキャッシュ・フローの状況)

当事業年度における財務活動による資金は、借入金による資金の増加600百万円がありましたが、借入金の返済517百万円、配当金の支払24百万円、長期預り金の建設協力金の返還30百万円などにより、26百万円の資金流入となりました。資金は、前期と比べ131百万円増加しました。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

火工品事業

1,429,669

0.0

合計

1,429,669

0.0

 

(注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3  賃貸事業は、生産実績がありませんので記載しておりません。

 

(2) 受注実績

当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

火工品事業

1,197,779

△11.5

549,446

△29.6

合計

1,197,779

△11.5

549,446

△29.6

 

(注) 1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2 賃貸事業は、受注実績がありませんので記載しておりません。

 

(3) 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

火工品事業

1,428,462

0.6

賃貸事業

156,097

3.5

合計

1,584,560

0.8

 

(注) 1 最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

防衛省

771,077

49.1

784,536

49.5

ミネベア㈱

289,735

18.4

256,563

16.2

 

 

2  上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

 火工品業界の景気動向は、現在の国内経済状況では市場の活性化、販売増加は望めない状況が続いております。

 当社の主要な販売先である防衛省を始めとする官公庁向け事業は、国家予算の動向及び当社の製品の特性等により、当面大幅な受注増は期待できないことから、民間向け事業の促進を図り、売上高に占める民間事業比率の拡大に努める所存です。
 そこで当社は、事業を推進していく上で、以下の点を特に重要課題として経営計画に盛り込み積極的に推進する所存であります。

(1) 新製品の開発

① 市場ニーズの動向を的確に把握し、斬新な商品企画により「顧客の創造」に努めます。

② 製品開発にあたっては、当社の非火薬(火薬類取締法対象外)技術の効果的活用を図ります。

③ 他社との共同開発又は受託研究にあたっては、当社の知的財産の確保に留意すると共に、新技術については積極的に特許権の出願を行います。

④ 社内製作による治具工具及び設備管理機材については、ホームページ等を活用して市場での需要喚起を図り、商品化に努めます。

(2) 広報活動の積極的推進 

会社パンフレット、製品カタログ及びホームページを適宜刷新すると共に、IR(投資家向け広報)及び各種イベントの活用等、多様な広告媒体を積極的に活用し、民間市場における当社の認知度の向上を図ります。

(3) 品質管理の徹底と製造原価の継続的な低減

 当社は、すべての製品において品質管理を徹底し、良品の製造を目指します。また、製品の適正な収益性向上に向けた原価低減を実行します。

(4) インフラ等整備の推進

 本社・工場及び火薬庫のある菅生地区及び商業施設等のある草花地区の再整備・再開発に向け社内に委員会を設け、外部の調査会社にも委託して両地区の再開発に向けた法規制等状況の収集を図り、まず次の設備投資に向け準備しております。
 菅生地区では他の火薬庫と効率的に運用するための汎用性の高い3級火薬庫の建設及び草花地区の一部製造施設をより生産上利便性の高い菅生地区への移設を予定しております。

(5) 人材の育成、能力活用

 当社は、社員の能力向上のための各種施策を積極的に推進します。

① 社員の能力向上を図るため、毎年「年度教育計画」を作成し実行します。

② 管理職、監督職の管理能力向上を図るため、各職位別に研修を実施します。

③ 将来の管理職候補者を対象とした、選抜された社員による「ビジネスリーダー研修」を実施します。

④ 会社の業務運営上不可欠な資格取得を積極的に奨励し、資格取得者を計画的に養成します。

4 【事業等のリスク】

当社の経営成績、財政状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスク及び変動要因は、以下に記載するとおりであります。当社では、当該リスクの発生に伴う影響を極力回避するための努力を継続してまいります。

① 取扱製品の特殊性について

当社の主な製品は、救命、救難及び訓練等に用いられる防衛省向け火工品が中心で、その製品に使用される量は少量ですが火薬及び爆薬を原材料として扱っております。
 火薬工場は火薬類取締法によって厳しく管理され、事故防止等保安対策には万全を期しておりますが、火薬事故が起きると工場の一時稼動停止の可能性も考えられ、経営上の最大のリスクと捉え品質及び安全管理の徹底を最も重要視しております。

② 特定取引先への取引の高い依存度について

当社製品の販売先は、官公庁が主要な取引先のため、特定取引先の依存度が高く、予算変動により受注量に差が出るため売上高に影響が出ます。このリスクに対し高エネルギー物質の評価試験や火工品焼却処分の受注を得ることで、安定的な売上高を得られるよう営業努力してまいります。

③ 製品納期の高い集中度について

当社の受注は、防衛省をはじめとする官公庁が多く、製品の納期は第4四半期に集中する傾向にあります。売上高やそれに伴う収益状況も下期に偏りがちな状況であります。

こうした状況から、民間向け火工品の販売努力で年間を通じて受注を平準化できるよう営業努力するとともに、原価低減を目標とする見地から、労働力の有効活用と適正な配置を試みます。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

(火工品事業)

当社は「高エネルギー物質の利用を通して広く社会に貢献する」ことを目標に、研究開発に取り組んでおります。

当事業年度の研究開発の主要課題、目的及び研究成果は次のとおりであります。

(1)高エネルギー物質の合成に関する研究開発

高エネルギー物質は多種存在しますが、更なる高性能化や安全性及び環境受容性の向上を図り、将来的に自社製品や新たな分野への適応を目指し、新規高エネルギー物質に関する基礎的な研究を継続して実施しております。これら新規高エネルギー物質の合成方法や分析方法については、研究機関や大学等と連携して研究を行っております。

日本国内では合成実績のほとんどない高エネルギー物質について、当社では試作合成の実績を重ねてきており、継続して安全で効率的な合成方法の検討を行っております。

(2)新規液体推進薬の研究

これまで継続的に研究を実施してきた高エネルギー物質のひとつである硝酸ヒドロキシルアンモニウム(HAN:Hydroxyl Ammonium Nitrate)は、将来の推進システム開発分野において研究開発が進められているグリーンプロペラント(低毒性推進薬)のひとつであり、研究機関や企業で実用化に向けた研究開発を行っております。

当社では、HANを基材とするさまざまな組成の推進薬の合成方法や分析方法の研究を行っており、合成した推進薬を研究機関や企業に供給するとともに、安全性評価試験を受注することで安全性の確認も行っております。近い将来、人工衛星用の推進薬として実用化するために、製造方法や製造技術等について研究開発を継続して行っております。

(3)安全性評価の系統的研究

高エネルギー物質は、感度が非常に鋭感なものから鈍感なものまでいろいろあり、条件によって多種多様な性能等を有しております。当社では、製造作業における取り扱いから出荷後のお客様による使用までの安全確保のため、当社で使用する様々な火薬類及びその原材料等について各種試験、分析等の安全評価を実施し、データベース化を図っております。

(4)民間向け各種火工品の開発等

当社がこれまで培った「花火の技術」を活かし、「煙」、「音」、「光」を利用した様々な火工品の開発を行っております。

民間向けの代表的な製品としては、海や山での遭難等の非常時に使用できる防水型手持ち式発煙筒、空港などで使用していただいているバードストライク対策用発音火工品、道路の維持管理作業時に使用する緊急保安炎筒などがありますが、その他にも救難・防災用火工品の開発及び原価低減を含む継続的な改善を行っております。

 

(賃貸事業)

賃貸事業につきましては、研究開発活動を行っておりません。

(当事業年度の研究開発)

当事業年度の研究開発費の総額は7,089千円であります。

そのすべては火工品事業の研究開発のための費用であります。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の分析

(流動資産)

当事業年度末における流動資産の残高は1,451百万円で、前事業年度末に比べ88百万円増加となりました。主な要因は、売掛金の増加126百万円、預金の減少51百万円などによるものです。

(固定資産)

当事業年度末における固定資産の残高は1,708百万円で、前事業年度末に比べ31百万円減少しました。主な要因は、株安により投資有価証券で52百万円減少しましたが、有形固定資産で12百万円増加などによるものです。

(流動負債)

当事業年度末における流動負債の残高は886百万円で、前事業年度末に比べ80百万円増加しました。主な要因は、運転資金として短期借入金100百万円の増加、未払金26百万円増加などに対して、買掛金15百万円の減少や未払法人税等36百万円減少したことなどによるものです。

(固定負債)

当事業年度末における固定負債の残高は233百万円で、前事業年度末に比べ64百万円減少しました。主な要因は製品保証引当金が27百万円減少したことや、長期預り金の建設協力金24百万円及び長期借入金13百万円返済等の減少によるものです。

(純資産)

当事業年度末における純資産の残高は2,039百万円で、前事業年度末に比べ40百万円増加しました。これは、利益剰余金75百万円の増加に対し、株安によるその他有価証券評価差額金34百万円減少などによるものです。この結果、当事業年度末の自己資本比率は前事業年度末と比べ0.1%増加し64.5%になりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析

当社の資金状況は、「1.業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載した通りです。

 

 

(3)経営成績の分析

(売上高)

当事業年度の売上高は、1,584百万円(前期比0.8%増)となりました。売上高が増加した要因は、火工品事業において官公庁向け火工品で期初の販売計画をほぼ達成できたことや、一部民間向け火工品の受注減を委託試験等の受注で補い、前期を上回る売上高となりました。

賃貸事業は、賃貸先増加などにより増収となりました。

(売上総利益)

当事業年度の売上総利益は、評価試験や委託試験を受注するなどの成果と、各火工品の利益率改善効果により一定の利益を得ましたが、工場設備の老朽化による設備投資や従業員の待遇改善費用に充てたため、売上総利益は452百万円となり、前期より54百万円減少となりました。

(販売費及び一般管理費)

当事業年度における販売費及び一般管理費は、人件費等待遇改善費用の増加や業務委託費用の増加などにより324百万円となり、前期より29百万円増加となりました。

(営業利益)

当事業年度における営業利益は127百万円となり、前期より84百万円減少しました。これは、工場内の設備投資と従業員の待遇改善費用による支出が主な要因であります。

(経常利益)

当事業年度における経常利益は154百万円となり、前期より54百万円減少しました。

(当期純利益)

税引前当期純利益は153百万円(前期に比べ11百万円減少)となり、法人税等は税金負担額の減少により53百万円(前期に比べ11百万円減少)となりました。その結果、当事業年度における当期純利益は99百万円(前期に比べ0.3百万円増加)となりました。