(1)業績
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得改善などの各種政策の効果もあって緩やかな回復基調が続いてはいるものの、米国新大統領就任後の経済政策等は各国の経済協定にも波及しており、今後日本経済にどのような影響を及ぼすのか不透明感が増しております。
火工品業界においては、株価の上昇傾向は見られるものの、依然大きな受注は見込めない状況であります。
このような環境のもと、当期の売上高は、防衛省からの受注の落ち込みや民間向けの火工品受注も伸び悩んだことから前期を下回る成績となりました。
一方、利益面においては、委託試験等の特別な受注が利益の減少を補い、期初に予定していた利益予想よりも上回る成果を上げました。
以上の結果、当事業年度の売上高は1,466百万円(前期比7.4%減)、営業利益164百万円(前期比28.4%増)、経常利益163百万円(前期比6.0%増)、当期純利益114百万円(前期比15.0%増)となりました。
セグメントの業績を示すと、以下のとおりであります。
(火工品事業)
当期の火工品事業は、防衛省他官公庁の受注額の減少が大きく影響し1,310百万円(前期比8.3%減)の売上高となり、減収となりました。
セグメント利益は、111百万円と前年同期と比べ41百万円(58.4%増)増加しました。
(賃貸事業)
当期の賃貸事業は、賃貸先に大きな変動はなく賃貸売上高は156百万円(前期比0.1%増)となり、若干増収となりました。
セグメント利益は、86百万円と前年同期と比ベ7百万円(7.6%減)減少しました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローで29百万円の資金流出、投資活動によるキャッシュ・フローで292百万円の資金流出、財務活動によるキャッシュ・フローで124百万円の資金流入となりました。その結果、前期と比べ197百万円減少して、529百万円になりました。(営業活動によるキャッシュ・フローの状況)
当事業年度における営業活動による資金は、税引前当期純利益164百万円、減価償却費62百万円などの資金流入に対して、売上債権の増加額177百万円、たな卸資産の増加額30百万円、未払金等その他流動負債の減少額25百万円、法人税等の支払額20百万円などの資金流出により、29百万円の資金流出となりました。資金は、前期と比べ2百万円減少しました。
(投資活動によるキャッシュ・フローの状況)
当事業年度における投資活動による資金は、土地の購入等により291百万円の資金流出になり、投資有価証券の取得による支出を含めると292百万円の資金流出となりました。資金は、前期と比べ243百万円減少しました。
(財務活動によるキャッシュ・フローの状況)
当事業年度における財務活動による資金は、借入金による資金の増加920百万円ありましたが、借入金の返済741百万円、配当金の支払27百万円、長期預り金の建設協力金返還24百万円などにより124百万円の資金流入となりました。資金は、前期と比べ98百万円増加しました。
(1)生産実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前期比(%) |
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火工品事業 |
1,350,853 |
△5.5 |
|
合計 |
1,350,853 |
△5.5 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3 賃貸事業は、生産実績がありませんので記載しておりません。
(2)受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
|
火工品事業 |
1,428,375 |
19.3 |
667,262 |
21.4 |
|
合計 |
1,428,375 |
19.3 |
667,262 |
21.4 |
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 賃貸事業は、受注実績がありませんので記載しておりません。
(3)販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前期比(%) |
|
火工品事業 |
1,310,559 |
△8.3 |
|
賃貸事業 |
156,198 |
0.1 |
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合計 |
1,466,758 |
△7.4 |
(注)1 最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
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相手先 |
前事業年度 |
当事業年度 |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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防衛省 |
784,536 |
49.5 |
690,119 |
47.1 |
|
ミネベアミツミ株式会社 |
256,563 |
16.2 |
199,319 |
13.6 |
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3 ミネベア株式会社は、平成29年1月27日付けで、ミネベアミツミ株式会社に社名変更しております。
当社の官公庁向け火工品は、防衛省を主要な販売先としておりますが、当面大幅な受注の増加は期待できない状況です。
そこで当社は、民間向け火工品の受注拡大に努めると共に、新規事業を展開することで財務基盤の強化を図り、安定した企業経営を目指すため、以下の点を重要課題として取り組んでまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 新規製品事業の推進
各種保安用発煙筒及び海や山での災害時等に使用する救難用発煙筒など、当社が培った経験と新技術を活かして製品の多角化を実現し、民間市場への参入を推進します。
(2) 既存製品事業の強化
品質管理の徹底と製造原価の継続的な低減を進め、既存製品の収益性向上を図ります。
(3) インフラ等整備の推進
新たな事業展開について、新設した「新規事業準備室」を中心に検討し、必要なインフラ等の整備を計画しております。
また、新規に取得した土地を含めた自社所有地の有効活用についても、引き続き検討を進めます。
(4) 人材の育成
企業の成長には人材の育成が重要であると考え、教育研修制度の充実を図ると共に、社員のスキルアップを支援する環境を整備します。
当社の経営成績、財政状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクおよび変動要因は、以下に記載するとおりであります。当社では、当該リスクの発生に伴う影響を極力回避するための努力を継続してまいります。
① 取扱製品の特殊性について
当社の主な製品は、救命、救難及び訓練等に用いられる防衛省向け火工品が中心で、その製品に使用される量は少量ですが火薬及び爆薬を原料として扱っております。
火薬工場は、火薬類取締法によって厳しく管理され、事故防止等保安対策には万全を期しておりますが、火薬事故が起きると工場の一時稼動停止の可能性も考えられ、経営上の最大のリスクと捉え品質及び安全管理の徹底を最も重要視しております。
② 特定取引先への取引の高い依存度について
当社製品の販売先は、官公庁が主要な取引先のため、特定取引先の依存度が高く予算変動により受注量に差が出るため売上高に影響が出ます。このリスクに対し高エネルギー物資の評価試験や火工品焼却処理の受注を得ることで、安定的な売上高を得られるよう営業努力してまいります。
③ 製品納期の高い集中度について
当社の受注は、防衛省を始めとする官公庁が多く、製品の納期は第4四半期に集中する傾向にあります。売上高やそれに伴う収益状況も下期に偏よりがちな状況であります。
こうした状況から、民間向け火工品の販売努力で年間を通じて受注を平準化できるよう営業努力するとともに、原価低減を目標とする見地から労働力の有効活用と適正な配置を試みます。
該当事項はありません。
(火工品事業)
当社は、「高エネルギー物質の利用で広く社会に貢献する」ことを目標に、研究開発に取り組んでおります。
当事業年度の研究開発の主要課題、目的及び研究成果は次の通りであります。
(1)高エネルギー物質の合成に関する研究開発
高エネルギー物質は多種存在しますが、自社製品や新たな分野への将来的な応用を目指し、更なる高性能化や安全性及び環境受容性の向上を図るため、新規高エネルギー物質に関する基礎的な研究を継続して行っております。これら新規高エネルギー物質の合成方法や分析方法については、研究機関や大学等と連携した研究も行っております。
また、日本国内では合成実績のほとんどない高エネルギー物質についても、当社で試作合成の実績を積み重ねており、今後も、安全かつ効率的な合成方法の研究を行ってまいります。
(2)新規液体推進薬の研究開発
これまで継続的に研究を行ってきた硝酸ヒドロキシルアンモニウム(HAN: Hydroxyl Ammonium Nitrate)は、将来の推進システムとして注目されているグリーンプロペラント(低毒性推進薬)のひとつであり、他の研究機関や企業でも実用化に向けた研究開発が行われています。
当社では、HANを基材とするさまざまな組成の推進薬の合成方法や分析方法を研究しており、他の研究機関や企業と連携して、当社で合成した推進薬について材料適合性等の安全性評価試験を行っております。ロケットや人工衛星用の推進薬として実用化するために、今後とも製造方法や製造技術等について研究開発を継続してまいります。
(3)安全性評価の系統的研究
高エネルギー物質は、感度が非常に鋭感なものから鈍感なものまでいろいろあり、条件によっては多種多様な性能等を有しております。当社では、製造作業における取り扱いから出荷後のお客様による使用までの安全を確保するため、様々な火薬類及びその原材料等について各種試験及び分析等の安全性評価を行い、蓄積したデータを新製品の開発や既存製品の改良に活かしながら、検討結果のデータベース化を図っております。
(4)民間向け各種火工品の開発等
当社は、創業以来の「花火技術」を基盤とし、「煙」、「音」、「光」を利用した様々な火工品の開発を行っております。
民間向けの製品としては、海や山での遭難または非常時に活用できる防水型発煙筒、バードストライク(鳥の衝突)対策用の発音火工品、道路の維持管理作業用の緊急保安炎筒などの救難・防災用の他、ロケット推進薬の点火器など宇宙開発の一端を担う精密火工品の開発・改良を行っております。
(賃貸事業)
賃貸事業につきましては、研究開発活動を行っておりません。
(当事業年度の研究開発)
当事業年度の研究開発費の総額は12百万円であります。
そのすべては火工品事業の研究開発のための費用であります。
(1)財政状態の分析
(流動資産)
(イ)流動資産
当事業年度末における流動資産の残高は1,459百万円で、前事業年度末に比べ8百万円増加となりました。主な要因は売掛債権177百万円増加や期末棚卸資産30百万円増加したことなどに対し、現金及び預金が197百万円減少したことなどによるものです。
(ロ)固定資産
当事業年度末における固定資産の残高は1,964百万円で、前事業年度末に比べ255百万円増加しました。主な要因は土地・火薬庫購入で268百万円増加、土地購入伴う借地権解消で33百万円減少したことなどによるものです。
(ハ)流動負債
当事業年度末における流動負債の残高は847百万円で、前事業年度末に比べ38百万円減少しました。主な要因は、期末経費の未払金31百万円減少や預り金26百万円減少などに対して、未払法人税等で31百万円増加したことなどによるものです。
(ニ)固定負債
当事業年度末における固定負債の残高は404百万円で、前事業年度末に比べ170百万円増加しました。主な要因は土地等購入資金として長期借入金181百万円増加したことや、製品保証引当金12百万円減少などによるものです。
(ホ)純資産
当事業年度末における純資産の残高は2,171百万円で、前事業年度に比べ132百万円増加しました。これは利益剰余金86百万円の増加や、期末時点の株高によってその他有価証券評価差額金の47百万円増加などによるものです。この結果、当事業年度末の自己資本比率は前事業年度と比べ1.1%減少し63.4%になりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析
当社の資金状況は、「1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載した通りです。
(3)経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は、1,466百万円(前期比7.4%減)となりました。売上高が減少した要因は、防衛省からの
受注の落ち込みや、民間向け火工品受注も伸び悩んだことなどが減収につながりました。賃貸事業は賃貸先に大きな変動はなく若干増収となりました。
(売上総利益)
当事業年度の売上総利益は、売上高の減少の中、比較的利益率の良い評価試験などの特別な受注や費用削減効果
が功を奏し売上総利益は458百万円となり、前期より5百万円増加となりました。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、費用削減効果や製品保証引当金リスクの解消等による繰入金額の戻入などにより294百万円となり、前期より30百万円減少となりました。
(営業利益)
当事業年度における営業利益は164百万円となりました。前期より36百万円増加しました。
(経常利益)
当事業年度における経常利益は163百万円となり、前期より9百万円増加しました。
(当期純利益)
税引前当期純利益は164百万円(前期に比べ11百万円増加)となり、法人税等負担額は税負但額の減少により50百万円(前期に比べ3百万円減少)となりました。その結果、当事業年度における当期純利益は、114百万円(前期に比べ14百万円増)となりました。