文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社は、「高エネルギー物質利用で広く社会に貢献し 従業員の物心両面の充実を追求する」を経営理念とし、経営の基軸としております。また、社訓に掲げる「多くの人のお役に立てるモノ作り」を全従業員挙げて全うし、当社に関わる全ての方が「誇り」を持てる企業を目指しております。
また、安全・信頼を第一とし良品を提供すると共に、新製品の開発と新たな市場開拓を積極的に推進いたします。そして当社のステークホルダー全てにその利益を還元できるよう目標を設定し、その達成に取り組んでまいります。
(2)経営環境及び対処すべき課題
当社の主力である火工品事業は、防衛省を主要な取引先としており、売上高は国家予算の動向に影響されます。
そこで当社は、売上高に占める民間向け事業の比率増勢に努めるため、既存製品の利益率向上と事業の拡大促進を両輪として、安定した事業基盤を構築し、持続的な成長を目指しております。
そのために、以下の点を重要課題として取り組んでまいります。
① 民間向け新規事業の推進
防衛省やその他官公庁向け製品の開発・製造で培った煙・光・炎の技術と経験、精密火工品製造のノウハウを活かし、火薬にとらわれない高エネルギー物質を利用した新技術での製品の多角化を実現し、積極的に民間市場への参入を推進します。
② 既存製品事業の強化
品質管理の徹底と開発・生産体制の抜本的な見直しにより一層の原価低減を進め、既存製品の収益性向上と共に販路拡大を図ってまいります。
③ インフラ等整備の推進
当社が保有する火薬庫は、今後、需要が見込まれることから、顧客の要望に見合った再整備を進めてまいります。特に、老朽化した火薬庫の建替えに伴い、貯蔵量に対応したレイアウトの変更や新規事業を見据えた敷地確保など、新たな活用も見据え検討を行ってまいります。
④ 人材の確保と育成
企業の成長には、経営環境の変化に対応できる人材が不可欠であると考え、社員の意識と能力向上を目的とした教育研修を行っております。また、多様な知識と経験を有する人材の採用を積極的に行い、継続的に組織の活性化を図っております。
これらの経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するため客観的な指標として、当社は、自己資本比率、総資産経常利益率(ROA)、株主資本利益率(ROE)を重視しております。
当社の経営成績、財政状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクおよび変動要因は、以下に記載するとおりであります。当社では、当該リスクの発生に伴う影響を極力回避するための努力を継続してまいります。
(1)取扱製品の特殊性について
当社の主な製品は、救命、救難及び訓練等に用いられる防衛省向け火工品が中心で、その製品に使用される量は少量ですが火薬及び爆薬を原料として扱っております。
火薬工場は、火薬類取締法によって厳しく管理され、事故防止等保安対策には万全を期しておりますが、火薬事故が起きると工場の一時稼動停止の可能性も考えられ、経営上の最大のリスクと捉え品質及び安全管理の徹底を最も重要視しております。
(2)特定取引先への取引の高い依存度について
当社製品の販売先は、官公庁が主要な取引先のため、特定取引先の依存度が高く予算変動により受注量に差が出るため売上高に影響が出ます。このリスクに対し高エネルギー物資の評価試験や火工品焼却処理の受注を得ることで、安定的な売上高を得られるよう営業努力してまいります。
(3)製品納期の高い集中度について
当社の受注は、防衛省を始めとする官公庁が多く、製品の納期は第4四半期に集中する傾向にあります。売上高やそれに伴う収益状況も下期に偏よりがちな状況であります。
こうした状況から、民間向け火工品の販売努力で年間を通じて受注を平準化できるよう営業努力するとともに、原価低減を目標とする見地から労働力の有効活用と適正な配置を試みます。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(1)業績等の概要
①業績
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得改善などの各種政策の効果はあるものの、他の先進国に比べ生産効率が低く、加えて少子化傾向にあることでAIを活用した働き方改革が求められています。国際的には貿易バランスを巡って米国の保護貿易化に翻弄された1年でもありました。
国内では景気回復基調にあるものの、火工品業界においては特に大きな受注増加は期待できない状況となっております。
このような環境のもと、当期の売上高は、期初より厳しい販売状況を予想しておりましたが、防衛省向け訓練用火工品受注が伸びたこと、賃貸料の見直し等による収入増もあり前年度実績を60百万円上回りました。
一方、原価面においては生産工程内の効率化を進め原価低減対策を実施し一部火工品の利益向上に効果を得ましたが、当事業年度は新規火工品の開発費計上も重なり営業利益以下減益となりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は1,527百万円(前期比4.1%増)、営業利益141百万円(前期比13.9%減)、経常利益142百万円(前期比13.0%減)、当期純利益103百万円(前期比9.7%減)となりました。
②財政状態の状況
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ138,971千円増加し、3,563,004千円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ10,914千円増加し、1,263,108千円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ128,057千円増加し、2,299,895千円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローで320百万円の資金流入、投資活動によるキャッシュ・フローで44百万円の資金流出、財務活動によるキャッシュ・フローで45百万円の資金流出となりました。その結果、前期と比べ229百万円増加して、759百万円になりました
(営業活動によるキャッシュ・フローの状況)
当事業年度における営業活動による資金は、税引前当期純利益142百万円、減価償却費56百万円、売上債権の減少額175百万円などの資金流入に対して、たな卸資産の増加額21百万円、法人税等の支払額42百万円などの資金流出により、320百万円の資金流入となりました。資金は、前期と比べ349百万円増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フローの状況)
当事業年度における投資活動による資金は、主に工作機械・検査器具等設備投資に45百万円の資金流出となり、有形固定資産の一部売却による収入もありましたが44百万円の資金流出となりました。資金は、前期と比べ248百万円増加しました。
(財務活動によるキャッシュ・フローの状況)
当事業年度における財務活動による資金は、借入金による資金の増加600百万円ありましたが、借入金の返済611百万円、配当金の支払23百万円、長期預り金の建設協力金返還6百万円などにより45百万円の資金流出となりました。資金は、前期と比べ170百万円減少しました。
(2)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前期比(%) |
|
火工品事業 |
1,366,823 |
1.2 |
|
合計 |
1,366,823 |
1.2 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3 賃貸事業は、生産実績がありませんので記載しておりません。
②受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
|
火工品事業 |
1,709,237 |
19.7 |
1,008,801 |
51.2 |
|
合計 |
1,709,237 |
19.7 |
1,008,801 |
51.2 |
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 賃貸事業は、受注実績がありませんので記載しておりません。
③販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前期比(%) |
|
火工品事業 |
1,367,698 |
4.4 |
|
賃貸事業 |
159,326 |
2.0 |
|
合計 |
1,527,025 |
4.1 |
(注)1 最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先 |
前事業年度 |
当事業年度 |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
防衛省 |
690,119 |
47.1 |
816,044 |
53.4 |
|
ミネベアミツミ株式会社 |
199,319 |
13.6 |
155,395 |
10.2 |
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)経営成績等の状況に関する分析
当社の経営に影響を与える要因には、火工品事業の収益性があげられます。
高エネルギー物質の研究開発から製造・販売・処分までを行う、当社の火工品事業においては、火薬類取締法を始め厳しい法令に準じた敷地や設備、専門的な知識と経験を持つ人材等が必要です。
製品の特性上、機械化やAI活用、IoT導入には多くの検証を重ねる必要があり、研究開発は慎重に行う必要があります。また、手作業に頼る製造工程が多いことから、生産の効率化には一定の困難が生じる事業でもあります。
しかし、工場部門での徹底した作業工程の見直しと、管理部門での業務効率化、営業部門による高付加価値化した製品の市場拡大を推進することで、収益性の向上に努め、収益基盤の強化を図ってまいります。
また、当社は東京都内に唯一広大な敷地や施設並びに各種分析装置等を保有していることから、高エネルギー物質の安全性評価試験や燃焼処分等の委託があるものの、売上高に占める割合は少ないのが現状です。当社の経営資源と独自の価値を市場に広め、浸透させることでさらなる需要を取り込み、売上高の増加につなげることで、収益性向上に寄与すると考えております。
①財政状態の分析
(流動資産)
(イ)流動資産
当事業年度末における流動資産の残高は1,537百万円で、前事業年度末に比べ77百万円増加となりました。主な要因は現金及び預金が229百万円増加や期末棚卸資産21百万円増加したことに対して、売掛金177百万円減少したことなどによるものです。
(ロ)固定資産
当事業年度末における固定資産の残高は2,025百万円で、前事業年度末に比べ61百万円増加しました。主な要因は期末時点での投資有価証券74百万円増加などによるものです。
(ハ)流動負債
当事業年度末における流動負債の残高は842百万円で、前事業年度末に比べ5百万円減少しました。主な要因は、社会保険料等の未払費用6百万円増加したことに対して、期末経費の未払金9百万円減少や未払法人税等6百万円減少などによるものです。
(ニ)固定負債
当事業年度末における固定負債の残高は420百万円で、前事業年度末に比べ16百万円増加しました。主な要因は投資有価証券での繰延税金負債19百万円増加などによるものです。
(ホ)純資産
当事業年度末における純資産の残高は2,299百万円で、前事業年度に比べ128百万円増加しました。これは利益剰余金79百万円、その他有価証券評価差額金50百万円増加したことなどによるものです。
この結果、当事業年度末の自己資本比率は前事業年度と比べ1.1ポイント増加し64.5%になりました。
②経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は、1,527百万円(前期比4.1%増)となりました。売上高が増加した要因は、防衛省の一部補正予算などによる追加受注や、民間向け火工品受注も計画以上受注できたことにより増収につながりました。賃貸事業は賃貸先が増加したことや賃貸料の見直しなどにより若干増収となりました。
(売上総利益)
当事業年度の売上総利益は、生産工程の効率化などを進めたことにより、461百万円となり前期より3百万円増加しました。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、民間向け新規火工品の開発費や広告費等が重なり320百万円となり、前期より26百万円増加しました。
(営業利益)
当事業年度における営業利益は、141百万円となり、前期より22百万円減少しました。
(経常利益)
当事業年度における経常利益は、142百万円となり、前期より21百万円減少しました。
(当期純利益)
税引前当期純利益は142百万円(前期に比べ22百万円減少)となり、税効果会計適用後の法人税等の負担額は39百万円(前期に比べ11百万円減少)となりました。その結果、当事業年度における当期純利益は、103百万円(前期に比べ11百万円減)となりました。
③キャッシュ・フローの状況の分析
当社の資金状況は、「(1)業績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりです。
(4)資本の財源及び資金の流動性
①資金需要
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは当社の火工品事業に関わる仕入原材料、外注加工費と賃貸事業に関わる管理費、各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては火工品の製造設備投資等があります。
②財務政策
当社の資金運用については、短期的な流動預金に限定しており、必要な資金については銀行等金融機関からの借入により資金を調達しております。
借入金を含む当期末の有利子負債残高は807百万円であります。
(5)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するため客観的な指標等
当社は、経営の安定化を目指しており、資産効率性の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、以下の指標を重視しております。
自己資本比率 64.5%(前年同期比1.1ポイント増)
総資産経常利益率(ROA) 4.1%(前年同期比0.9ポイント減)
株主資本利益率(ROE) 4.6%(前年同期比0.8ポイント減)
引き続きこれらの指標の改善に取り組んでまいります。
(6)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(火工品事業)
売上高は、防衛省向け訓練用火工品が前年度に比べ受注数量が伸びたことや一部補正予算による受注増により、前年同期と比べ4.4%増の1,367百万円となりました。
セグメント利益は、売上高は増加したものの新規火工品の開発費増等により、前年同期と比べ36.4%減の71百万円となりました。
セグメント資産は、売掛金の減少等により、前年同期と比べ156百万円減少の1,830百万円となりました。
(賃貸事業)
売上高は、賃貸先が増加したことや賃貸料の見直し等の効果により、前年同期と比べ2.0%増の159百万円となりました。
セグメント利益は、前期にあった土地購入による経費等がなかったことから、前年同期と比べ18.2%増の102百万円となりました。
セグメント資産は、有形固定資産の減価償却等により、前年同期と比べ8百万円減少の688百万円となりました。
該当事項はありません。
(火工品事業)
当社は、「高エネルギー物質の利用で広く社会に貢献する」ことを目標に、研究開発に取り組んでおります。
当事業年度の研究開発の主要課題、目的及び研究成果は次の通りであります。
(1)高エネルギー物質の合成に関する研究開発
さまざまな高エネルギー物質が存在する中、更なる高性能化や安全性及び環境受容性の向上を図り、自社製品や新分野への応用を目指し、新規高エネルギー物質に関する基礎的な研究を継続して行っております。これら新規高エネルギー物質の合成方法や分析方法については、研究機関や大学等とも連携して研究を行っております。
この中で、日本国内では合成実績がほとんどない高エネルギー物質について、当社で試作合成の実績を積み重ねており、合成工程の安全化と効率化を目指した研究も行ってまいります。
(2)新規液体推進薬の研究開発
これまで継続的に研究を行ってきた硝酸ヒドロキシルアンモニウム(HAN: Hydroxyl Ammonium Nitrate)は、将来の推進システムとして注目されているグリーンプロペラント(低毒性推進薬)の原料のひとつであり、HANを基材としたさまざまな組成の推進薬について、他の研究機関や企業で実用化に向けた研究開発が行われております。
当社では、HAN系推進薬の合成方法や分析方法の研究を継続しており、研究機関や企業と連携し、当社で合成した推進薬を用いて材料適合性等の安全性評価試験を行っております。ロケットや人工衛星用の推進薬として実用化するために、今後も製造方法や製造技術等について研究開発を継続してまいります。
(3)安全性評価の系統的研究
高エネルギー物質は、感度が非常に鋭感なものから鈍感なものまでいろいろな種類があり、条件によっては性能等も多種多様となります。当社では、製造作業における取り扱いから出荷後のお客様による使用までの安全を確保するため、様々な火薬類及びその原材料等について各種試験及び分析等の安全性評価を行っております。蓄積したデータは、新製品の開発や既存製品の改良に活かしながら、データベース化を図っております。
(4)民間向け各種火工品の開発等
当社は、創業以来の「花火技術」を基盤とし、「煙」、「音」、「光」を利用した火工品の開発を行っております。
遭難時等に活用できる防水型発煙筒、道路の維持管理作業用に使用する保安炎筒などの救難・防災用火工品の他、ロケット推進薬の点火器など宇宙開発の一端を担う精密火工品の開発・改良を継続して行っております。
(賃貸事業)
賃貸事業につきましては、研究開発活動を行っておりません。
(当事業年度の研究開発)
当事業年度の研究開発費の総額は14百万円であります。
そのすべては火工品事業の研究開発のための費用であります。