第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)基本方針・経営戦略等

 当社は、「高エネルギー物質利用で広く社会に貢献し 従業員の物心両面の充実を追求する」を経営理念とし、経営の基軸としております。また、社訓に掲げる「多くの人のお役に立てるモノ作り」を全従業員挙げて全うし、当社に関わる全ての方が「誇り」を持てる企業を目指しております。

 また、安全・信頼を第一とし良品を提供すると共に、新製品の開発と新たな市場開拓を積極的に推進いたします。そして当社のステークホルダー全てにその利益を還元できるよう目標を設定し、その達成に取り組んでまいります。

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、経営上の目標の達成状況を判断するため客観的な指標として、自己資本比率、総資産経常利益率(ROA)、株主資本利益率(ROE)を重視しております。

(3)経営環境及び対処すべき課題

 当社は、事業環境の変化に対応し持続的な成長を実現させるため、収益力の強化と経営基盤の安定化を目指しております。この実現に向けた事業展開において、次の事項を主要な課題としております。

① 人的資本の強化

企業が持続的な成長を実現するためには、人材の確保と育成が重要であると認識しており、当社の経営理念に共感し、体現しようとする意欲を持った人材を確保するため、多様な採用活動を行っております。また、職務に応じた従業員教育と自己研鑽の両面を重視し、個々のチャレンジ精神や創意工夫を醸成する組織風土づくりに努めています。今後も、様々な経歴やスキルを持った人材を採用、育成し、その力が最大限に発揮される環境・制度を充実させてまいります。

② 化成品事業の拡大

 当社は、高エネルギー物質の一つである液体化成品の製造・販売の他、評価試験などの委託業務を請け負っておりますが、その市場は一部の専門分野に限定されておりました。しかし近年液体化成品の需要は航空宇宙分野にも広がりがみられ、大学や研究機関からの引き合いも増加しております。今後は、産学官連携による火薬・爆薬を含む高エネルギー物質全般の共同研究や製品開発を視野に入れ、新たな市場の開拓にも取り組み化成品事業の拡大を進めてまいります。

③ 既存製品の収益力向上

 当社の製造する火工品は多品種少量生産で、通年を通して製造する製品はほとんどありません。また、製品の納期が同時期に集中するため生産計画に偏りが生じ、収益性低下の要因となっておりました。そこで当社は従業員の原価低減意識を高め、各製品の工程ごとに課題を見出し改善を重ねることで、収益性の回復だけでなく品質の安定にも一定の成果を収めてまいりました。今後も、当社の火工品製造に適した着実な原価低減活動を継続し、収益性の向上を図ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社にとってのサステナビリティとは、当社の製品が人々の役に立ち、安心・安全を支えることで社会課題の解決に繋がることを目指し、持続的な成長に取り組むことであると考えております。

 当社は、「高エネルギー物質利用で広く社会に貢献し、従業員の物心両面の充実を追求する」ことを経営理念としており、企業活動の源である従業員の物質的・精神的な充実を実現するために、人的資本を重要視して持続的な投資を行っております。

 

(1)ガバナンス

 当社の人的資本を含むサステナビリティ関連課題の具体的な対応方針は、経営計画や年間予算に反映されております。また、サステナビリティ関連のリスク等に対するガバナンス体制は、コーポレート・ガバナンス体制と同様です。

 取締役会は月1回開催しており、経営の基本方針及び業務執行に関する重要事項を決定しております。また、原則月1回開催される常勤役員会において、職務を執行する取締役及び執行役員は職務の執行に関して充分な審議を行っております。

 監査役は、取締役会及び重要会議への出席や業務執行状況及び経営状態の調査を通じ取締役の業務執行の監査を行っており、内部統制グループは、社内規程やコンプライアンスの遵守状況を定期的に監査しております。

 

(2)戦略

①人材

 当社で扱う製品及びサービスは専門性が高く、技術の継承が重要な課題であるため従業員の定着率向上に努めております。また、独自の技術を発展させ新たな事業に繋げるためには、多様な人材の活躍が必要であると考え、性別や職歴にこだわらないキャリア採用を継続しております。

②環境

 本社・工場では豊かな自然との共生を図り環境保全を推進するため、エネルギー消費の効率化や環境に配慮した事業活動に取り組んでおります。照明設備の省エネルギー化や空調設備の更新を順次進めると共に、廃棄物の分別やリサイクル資源の回収を行っております。また、製品に使用する原材料については、ロスを減らし廃棄を軽減することや環境負荷の少ない素材への変更など、様々な取り組みを進めております。

③人材の育成及び社内環境整備に関する方針

 従業員が自己の成長を意識できるよう、スキルを点数化し具体的な目標設定を実施しております。また、資格取得者への報奨金制度やマネジメント能力の向上を目的とした社内教育を行い、社員の成長を支援しております。

 人事考課制度においては、性別や採用時期に拘ることなく能力や成果による昇進昇格人事を継続的に実施しております。

 社内環境整備の取り組みの一つとして、仕事と育児・介護の両立、男性の家事・育児への参画を推進するため、育児・介護短時間勤務制度や時間単位の有給休暇制度を導入し職業生活と家庭生活の両立を支援しております。

 

(3)リスク管理

 事業上のリスク管理に関する基本方針及び体制を定めた「経営危機管理規程」に基づき、リスク管理体制を構築しており、内部統制グループはリスク管理体制の有効性について監査を実施しております。

 

(4)指標及び目標

①女性活躍

 当社では企業価値の向上のために、多様な人材が活躍できる環境を整えることが重要であるとの観点から、女性管理職比率の上昇を目標に掲げており、今後も女性管理職候補の拡大に努めてまいります。

②人材育成

 当社において、人材は重要な経営資本であると考えております。そのため、従業員がスキルや意識を高めるための環境作りを重視しております。火薬類を扱う企業として、国家資格である「火薬類取扱保安責任者」資格の全員取得を目標に掲げ、社内講習の実施などで受験者を支援しております。

指標

目標

実績(当事業年度)

管理職に占める女性従業員の割合

30

20

火薬類取扱保安責任者有資格者

100

87

 

 

3【事業等のリスク】

 当社の経営成績、財政状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクおよび変動要因は、以下に記載するとおりであります。当社では、当該リスクの発生に伴う影響を極力回避するための努力を継続してまいります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)取扱製品の特殊性について

 当社の主な製品は、救命、救難及び訓練等に用いられる防衛省向け火工品が中心で、これらの製品には少量ですが火薬及び爆薬が原料として使用されております。

 火薬工場は、火薬類取締法によって厳しく管理され、事故防止等保安対策には万全を期しておりますが、火薬事故が起きると工場の一時稼動停止の可能性も考えられ、経営上の最大のリスクと捉え品質及び安全管理の徹底を最も重要視しております。

(2)特定取引先への取引の高い依存度について

 当社の主要な取引先は防衛省であり、取引額の多くを占めていることから、特定取引先への依存度が高い状況にあるといえます。防衛省からの受注は、国家予算の影響を受けて増減することがあり、防衛省への依存度が高い当社の収益状況に多大な影響があります。このリスクに対し、専門性の高い高エネルギー物質の評価試験や火工品燃焼処分などの事業において新たな取引先を開拓することにより、安定的な売上を得られるよう努力しております。

(3)製品納期の高い集中度について

 当社の主要顧客は防衛省を始めとする官公庁であるため、製品の納期は第4四半期に集中し、業績は期末編重で推移する傾向にあります。官公庁への販売比率が増加するとこうした傾向は強まり、生産の非効率化にも繋がります。そのため当社は、民間向け製品の販売努力によって上期の受注を増やし、売上の平準化を目指しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

 当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ95百万円増加し、4,482百万円となりました。

 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ51百万円減少し、1,285百万円となりました。

 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ147百万円増加し、3,197百万円となりました。

② 経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善し緩やかな回復基調で推移しました。しかし、原材料や燃料価格を含む物価の高騰に加え、アメリカの通商政策をめぐる不確実性の高まりなどで、先行きは不透明な状況が続いております。

 このような環境のもと、当社の事業環境も厳しい状況が続きましたが、防衛予算増額の間接的な影響が表れ、一部製品では受注数量の増加がありました。また、火工品類の燃焼処分や高エネルギー物質全般の評価試験などの委託業務が増加し、売上高は計画を上回りました。経費面では、当社製品の納期が第4四半期に集中するため、環境整備や機器類の更新も同時期に合わせて計画し収益状況に応じて実施しておりますが、特に今期は下期に建物の耐震化に伴う補修や火工品の燃焼処分用設備の改修に着手し、減価償却費や修繕費が増加いたしました。また、賃上げの実施や年度末手当の支給で人件費も増加いたしましたが、増収効果に加え徹底した作業効率化の成果で大幅な増益となりました。

 以上の結果、当事業年度の売上高は2,038百万円(前期比11.3%増)、営業利益290百万円(同49.4%増)、経常利益297百万円(同47.7%増)、当期純利益219百万円(同58.5%増)となりました。

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期と比べ194百万円減少し725百万円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動に使用した資金は、33百万円(前事業年度は19百万円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益298百万円、棚卸資産の増加229百万円、法人税等の支払額99百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用した資金は、101百万円(前事業年度は85百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得100百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動に使用した資金は、59百万円(前事業年度は165百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払40百万円、リース債務の返済7百万円、長期借入金の返済11百万円によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

火工品事業

2,051,130

21.4

合計

2,051,130

21.4

(注)1 金額は、販売価格によっております。

2 賃貸事業は、生産実績がありませんので記載しておりません。

 

b.受注実績

 当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

火工品事業

2,145,068

19.4

1,290,864

27.8

合計

2,145,068

19.4

1,290,864

27.8

(注)1 賃貸事業は、受注実績がありませんので記載しておりません。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

火工品事業

1,864,014

12.1

賃貸事業

174,978

2.8

合計

2,038,992

11.3

(注)1 最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

防衛省

869,684

47.5

923,155

45.3

ミネベアミツミ株式会社

201,394

11.0

327,228

16.0

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

(資産)

 当事業年度末における流動資産は2,126百万円となり、前事業年度末に比べ25百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金の減少244百万円、売掛金の増加46百万円及び棚卸資産の増加229百万円によるものです。固定資産は2,356百万円となり、前事業年度末に比べ70百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産の増加69百万円によるものです。

 この結果、総資産は4,482百万円となり、前事業年度末に比べ95百万円増加いたしました。

(負債)

 当事業年度末における流動負債は911百万円となり、前事業年度末に比べ50百万円減少いたしました。これは主に未払費用の減少81百万円、未払法人税等の減少30百万円、未払消費税等の減少25百万円に対し、賞与引当金の増加47百万円、未払金の増加42百万円によるものです。固定負債は374百万円で、前事業年度末に比べ0百万円減少いたしました。これは主に長期借入金の減少11百万円に対し、役員退職慰労引当金の増加7百万円及びリース債務の増加3百万円によるものです。

 この結果、負債合計は1,285百万円となり、前事業年度に比べ51百万円減少いたしました。

(純資産)

 当事業年度末における純資産は3,197百万円となり、前事業年度末に比べ147百万円増加いたしました。これは主に繰越利益剰余金の増加179百万円に対し、その他有価証券評価差額金の減少32百万円によるものです。この結果、当事業年度末の自己資本比率は前事業年度末と比べ1.8ポイント増加し71.3%となりました

 b.経営成績

1.経営成績

(売上高)

 当事業年度の売上高は、火工品の燃焼処分や高エネルギー物質全般の評価試験の大型受注が集中したことなどで2,038百万円となり、前期より206百万円増加いたしました。

(売上総利益)

 当事業年度の売上総利益は、増収効果に加え徹底した原価低減活動が定着したことなどで660百万円となり、前期より124百万円増加いたしました。

(営業利益)

 当事業年度の営業利益は、販売費及び一般管理費は前期より増加したものの管理部門においてもコスト削減と効率化を進め収益性が向上したことなどで、290百万円となり前期より96百万円増加いたしました。

(経常利益)

 当事業年度の経常利益は297百万円となり前期より96百万円増加いたしました。

(当期純利益)

 税引前当期純利益は298百万円(前期比96百万円増)となり、税効果会計適用後の法人税等の税額負担は78百万円(前期比15百万円増)となりました。その結果、当期純利益は219百万円となり前期より81百万円増加いたしました。

 

2.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

 当社の資金状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりです。

b.資本の財源及び資金の流動性

1.資金需要

 当社の事業活動における運転資金需要の主なものは当社の火工品事業に関わる仕入原材料、外注加工費と賃貸事業に関わる管理費、各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては火工品の製造設備投資等があります。

2.財務政策

 当社の資金運用については、短期的な流動預金に限定しており、必要な資金については銀行等金融機関からの借入により資金を調達しております。

 借入金を含む当期末の有利子負債残高は635百万円であります。

(3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、資産効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「総資産経常利益率(ROA)」及び「株主資本利益率(ROE)」を重要な指標として位置づけいずれも5%以上を目指しております。

 自己資本比率        71.3%(前年同期 69.5%)

 総資産経常利益率(ROA) 6.7%(前年同期 4.7%)

 株主資本利益率(ROE)  7.0%(前年同期 4.6%)

これらの指標を達成することにより、持続的な成長の実現に取り組んでまいります。

(4)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(火工品事業)

 当事業年度の売上高は1,864百万円(前期比12.1%増)となりました。防衛装備品の一部に需要縮小が見込まれましたが、代替製品の提案などにより減少分を補った他、使用済み火工品の処分需要を積極的に取り込むことで、売上を伸ばしました。また、民間企業からは精密火工品の受注や比較的規模の大きい評価試験の受注が増加したことで、計画を上回る売り上げとなりました。

 損益面では、製造工程の原価低減活動は継続的に取り組んでおりますが、評価試験や燃焼処分業務においても徹底した効率化を進めた結果、収益性が大幅に向上しセグメント利益は211百万円(同86.8%増)となりました。

 セグメント資産は、有形固定資産の増加等により、前年同期と比べ331百万円増加の2,590百万円となりました。

 (賃貸事業)

 当事業年度の売上高は174百万円(前期比2.8%増)となりました。セグメント利益は118百万円(同2.5%減)

となりました。

 セグメント資産は、売掛金等の増加により、前年同期と比べ1百万円増加の659百万円となりました。

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

(火工品事業)

当社は、「高エネルギー物質利用で広く社会に貢献する」との経営理念の下、日々の研究開発に積極的に取り組んでおります。

 当事業年度の研究開発費の総額は10百万円であります。

 当社の研究開発における主要課題及び研究成果等は次のとおりです。

(1)高エネルギー物質の合成に関する研究開発

日本では当社以外での合成実績がほとんどない高エネルギー物質等について試作合成を継続しており、合成工程の安全化・効率化を目指した研究を継続しております。その中で、製造工程で使用する危険・有害性を有する化学物質の使用量削減に主眼を置いた検討も開始いたしました。

また、新たな高エネルギー物質についての自社合成の可能性検討も継続しております。

(2)新規液体推進薬の研究開発

硝酸ヒドロキシルアンモニウム(Hydroxyl Ammonium Nitrate; HAN)を基材とした低毒性推進薬(グリーンプロペラント)について国内の研究機関や大学等への供給を継続し、人工衛星用の推進薬としての実用化に向けた研究を継続しております。

(3)安全性評価の研究

高エネルギー物質は、感度が非常に鋭感なものから鈍感なものまであり、使用条件により多種多様な特性と性能を有しています。

当社では、製品の研究開発は元より製品の改良や不適合等の未然防止のため、自社製品に使用する様々な高エネルギー物質の評価を実施し、それら基礎データを継続的に収集、管理して実績のある安定した製品および次世代に要求される新しい製品造りに努めております。

(4)火工品の開発、改良

当社は、これまで培った花火技術や各種火工品の製造技術を基に、昨今の猿、猪、熊による田畑や市街地での害獣被害の拡大に伴い、追い払い用煙火としての需要も高まっているなか、航空機離着陸時のバードストライク対策に使用する「バードクラッカー」を改良し、安全性・効果性・操作性を向上させた製品を開発していきます。

また、海水浴や登山、最近ではジェットスキーやトレイルランなど自然を相手にした余暇活動の多様化に伴い、毎年、事故や遭難が絶えないところですが、当社では非常時に自分の位置を知らせるための各種発煙筒(防水・耐水圧機能のある「ダイバーマーカSOS」、小型軽量な山岳用「ポッケム」等)を開発し、業界関係者や愛好者の皆様の安全、安心の確保にお役立ていただいております。

(5)発煙薬、発光薬の研究

火工品には、その用途により様々な色の煙や光を発する製品がありますが、昨今、国内外を問わず、その発煙/発光色の原料となる薬品の製造を中止する会社が増加傾向にあります。

そのため、当社では日頃から各種配合試験等を行い、それらの基礎データを継続的に収集・管理することで、製造元の変更で生じる薬品の微妙な特性変化に対応できるよう努めております。

また、昨今、演劇や撮影の演出効果として発煙/発光製品のニーズが高まっていることから、人体や環境にやさしい原料を使用することも重要な設計要件になっています。これらは、製品に求められる性能との両立が大変難しいところですが、引き続き、社会ニーズに応え得る製品の開発、改良に努めてまいります。

(6)精密火工品等の開発

火薬又は高エネルギー物質を活用した精密かつ高性能な火工品等は、従来、航空・宇宙・防衛の分野で、ロケットモーターの点火装置など重要な部位に使用されており、その安定した反応速度や性能特性は、宇宙事業や防衛産業等における様々な応用技術の中でも重要なファクターとして注目されています。

 当社は、長年にわたり火工品製造で培ったノウハウを基に、今後とも精密火工品等に関わる基礎研究、試作及び試験等を着実に積み上げ、市場の多様なニーズに応えてまいります。

 

(賃貸事業)

 賃貸事業につきましては、研究開発活動を行っておりません。