第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 当社グループの経営方針、経営環境及び優先的に対処すべき課題等

① 経営の基本方針

 当社グループは、「自由闊達」、「技術のたゆまざる研鑽」、「製品の高度化」、「社会への貢献」の4つの経営理念の下、高付加価値製品の創出を通じた社会への貢献と企業価値の向上に取り組んでいく所存であります。

② 目標とする経営指標

 当社グループは、事業活動の成果である連結営業利益を重視することとし、中長期的には過去最高益の更新を目標にしております。加えて、収益性や資本効率向上という企業価値拡大の観点から、連結EBITDA(償却前利益)や連結ROE(自己資本利益率)についても目標とする経営指標と位置づけております。

 なお、2024年度の目標については以下のとおりであります。

  連結営業利益 : 270億円以上

  連結EBITDA  : 350億円以上

  連結ROE    : 8%以上を維持

③ 中長期的な経営戦略

 当社グループは、2030年に向けた長期ビジョン「TOK Vision 2030」を策定し、経営ビジョン「豊かな未来、社会の期待に化学で応える“The e-Material Global Company”」の実現を目指しております。通信革命等によってもたらされる新たな価値創造を支えるべく、電子材料分野の深耕と開拓に一層邁進するとともに、当社グループのコアコンピタンスである微細加工技術や高純度化技術を活用した新領域の創出に挑戦してまいります。

④ 経営環境

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に含めて記載しております。

⑤ 対処すべき課題

 上記③の経営戦略を実現するための具体的なマイルストーンであります、2022年度を初年度とする3カ年の中期計画「tok中期計画2024」を新たに策定いたしました。本中期計画は、次の5つの全社戦略を中心に推進してまいります。

(イ)先端レジストのグローバルシェアを向上させる

 当社グループの成長ドライバーである先端レジストのグローバルシェア向上のため、徹底した顧客目線での課題解決の体制を構築するとともに、微細化、パッケージング、光コントロール、表面コントロールの4つの技術を軸に、最新技術を先取りし、様々なニーズに応えてまいります。これらにより、顧客の価値創造プロセスに貢献できる技術・品質・環境・付加価値を提供してまいります。

 

(ロ)電子材料および新規分野でのコア技術を獲得・創出する

 今後10年、さらにその先の100年企業を見据え、現在の事業の柱であるフォトレジスト・高純度化学薬品に並び立つ事業創出に向けた活動を展開してまいります。半導体の既存市場だけでなく、周辺領域や異業種といったステークホルダーとともに新規テーマを創出し、事業機会を着実に捉えてまいります。

 

(ハ)高品質製品の安定供給とグループに最適な生産体制を検討・構築する

 変化し続ける外部環境や、高度化・複雑化していく顧客要望に迅速かつ的確に応えるため、グローバル拠点をシームレスに最大限活用していくことに加え、サプライチェーンの最適化と強化を進めてまいります。また、将来を見据え、人や環境に配慮した設備投資や生産体制の構築を進めるとともに、さらなる高純度化技術の確立と、脱炭素をはじめとした環境負荷の低減に取り組んでまいります。

 

(ニ)従業員エンゲージメントを向上させ人を活かす経営を推進する

 会社と従業員がともに前進できる経営の実現のため、各個人が持つ能力を最大限に発揮できる土壌作りを進めてまいります。従業員一人ひとりの幸福度の追求を根底に据え、仕事へのやりがいや喜びに繋がるサポートの拡充および仕組みづくりを推進するとともに、生産性向上に向けた環境整備に注力してまいります。グループ全体でのエンゲージメント向上を通じて、持続的な企業価値の向上に繋げてまいります。

 

(ホ)健全で効率的な経営基盤を整備する

 (イ)から(ニ)の戦略を最大限のパフォーマンスで遂行し、当社グループ発展のため、さらなる経営基盤の整備に取り組んでまいります。コンプライアンスの徹底を継続し、情報およびリスク管理を高水準で実現させ、当社グループ全体でのガバナンス強化を図るとともに、社内のデジタル環境の整備にも取り組むことで、変化し続ける外部環境に対応してまいります。また、グループ全体へバランスシートマネジメントを推進し、資本効率のさらなる向上を図ることで、キャッシュ創出力の最大化に繋げてまいります。これにより、当社グループの持続的な成長と株主の皆様への安定的な利益還元の実施を両立し、企業価値の向上に繋げてまいります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループは、幅広い事業分野にわたり世界各地で活動をしております。その事業活動を展開する上で、多様なリスク要因が財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。下記に記載したリスクは、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

(1)業界景気変動リスク

 当社グループが事業を展開するエレクトロニクス業界は、循環的な市況変動が大きい市場であります。特に半導体・ディスプレイ向け材料・装置は、需要動向に大きな影響を受け、また、技術革新が速くユーザーニーズが複雑・多様にわたるため、市場状況およびそれに連動した価格変動があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(2)為替変動リスク

 当社グループは、今後もマーケットの拡大が期待される北米、欧州、アジア地域における事業に注力しており、同地域に生産・販売拠点を有しております。海外取引では、一部は円建てでの処理、また、一部では為替予約によるリスクヘッジ等を行っておりますが、予想を超えた為替相場の変動があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(3)研究開発リスク

 当社グループは、技術革新の激しいエレクトロニクス業界において競争力を維持するため、ユーザーニーズを的確に捉えた製品の研究開発に努めております。しかし、技術革新やユーザーニーズの変化を予測することは容易でなく、研究開発において経営資源を投入したにもかかわらず、予期せぬ理由で十分な成果が得られない場合があり、その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(4)知的財産リスク

 当社グループは、事業活動を展開する上で多数の知的財産権を保有しているとともにライセンスを供与しております。また、必要または有効と認められる場合には、第三者の知的財産権を使用するために相手方からライセンスを取得します。それらの権利保護、維持または取得が予定通り行われなかった場合には、知的財産権を巡る紛争・訴訟において当社グループが当事者となる可能性があります。その結果、費用負担等が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(5)原材料調達リスク

 当社グループは、生産活動において様々な原材料を使用しており、調達先を複数確保するなど安定的な原材料の調達に努めております。しかし、原材料メーカーの事故等による供給の遅延・中断の影響から生産活動に支障をきたす可能性があり、その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、原材料価格の上昇等が発生した場合も、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(6)製造物責任リスク

 当社グループの提供する製品をユーザーが使用する過程において、その製品に起因する欠陥により不具合が生じる可能性があります。製造物責任賠償には保険での対応を行いますが、負担金額全てを保険でカバーできるという保証はなく、これらの問題が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(7)自然災害・事故リスク

 当社グループは、国内外に製造工場を設けております。地震等の自然災害や火災・爆発等の不慮の事故が発生した場合には、生産活動の停止に伴う出荷の遅延、さらには修復・生産工場等の代替に伴う費用負担が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは、従業員に新型コロナウイルス、インフルエンザ等の感染症が拡大した場合、一時的に操業を停止するなど、当社グループの経営成績、財務状況等に影響を与える可能性があります。当社グループではこれらのリスクに対応するため、感染予防や感染拡大防止に対して適切な管理体制を構築しております。新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、感染防止に取り組み、影響の極小化を図っております。

(8)環境リスク

 当社グループは、生産活動において各種化学物質を使用しており、その取扱いには万全の対策を講じております。しかし、化学物質の社外流出事故が万一発生した場合、社会的信用の失墜、補償・対策費用の支出、生産活動の停止等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは、事業展開している世界各国の環境関連諸法令・諸規制を遵守して活動しております。しかし、将来においてこれらの法規制が厳格化された場合、費用負担の増大、事業活動の制限につながるおそれがあり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(9)法的リスク

 当社グループは、事業活動を展開する世界各国において、事業・投資の許可、輸出入制限での政府規制の適用を受けるとともに、通商・独占禁止・国際税務・環境・リサイクル関連等の諸法令・諸規制の適用を受けております。これらの法規制に重大な改変があり、その内容を把握していなかった場合、また、これらの法規制を遵守できなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(10)海外での事業活動リスク

 当社グループは、北米、アジア地域にて生産および販売活動を、また、欧州地域にて販売活動を行っております。しかし、海外での事業活動には、通常、予期しない法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、人材の確保困難、テロ・戦争、自然災害等のリスクが存在します。こうしたリスクが顕在化した場合、海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(11)情報漏洩リスク

 当社グループは、事業に関する秘密情報ならびに多数の他企業および個人の情報を有しております。情報管理に万全を期しておりますが、予期せぬ事態によりこれらの情報が社外に流出した場合、事業のイメージに悪影響をもたらすほか、被害を受けた企業および個人に対して損害賠償責任を負うことになり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に含めて記載しております。

 

②生産、受注および販売の実績

 a. 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

増減率(%)

材料事業

124,110

21.2

装置事業

4,129

89.6

合計

128,239

22.6

 (注)金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

 b. 受注実績

 当社および連結子会社は、基本的には見込生産を行っております。ただし、装置事業は受注生産であり、その実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

増減率(%)

受注残高(百万円)

増減率(%)

装置事業

3,446

99.9

2,331

389.6

 (注)金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

 c. 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

増減率(%)

材料事業

137,725

20.0

装置事業

2,329

△17.1

合計

140,055

19.1

 (注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年1月1日

至  2020年12月31日)

当連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.

31,321

26.6

37,623

26.9

3 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a. 経営成績等の状況に関する経営者の視点による認識・分析・検討

財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、2,172億64百万円で、前連結会計年度末に比べ160億78百万円増加いたしました。

 流動資産は前連結会計年度末に比べ219億39百万円増加し1,188億83百万円となりました。これは現金及び預金が90億13百万円増加し、受取手形及び売掛金も75億92百万円増加したことが主な要因であります。

 固定資産は前連結会計年度末に比べ58億61百万円減少し983億80百万円となりました。これは、有形固定資産が38億20百万円増加した一方、長期預金の短期振替により、投資その他の資産が99億円減少したことが主な要因であります。

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は、520億73百万円で、前連結会計年度末に比べ108億82百万円増加いたしました。これは、支払手形及び買掛金が55億4百万円増加し、また、長期借入金の短期振替により、短期借入金が39億円増加したことが主な要因であります。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は、1,651億90百万円で、前連結会計年度末に比べ51億96百万円増加いたしました。これは、為替換算調整勘定が30億11百万円増加したことが主な要因であります。

 この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は71.7%となりました。

 

経営成績の分析

 当連結会計年度の世界経済ならびに日本経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響から経済活動が抑制されたため、一部において持ち直しの動きが見られたものの、本格的な回復には至らない状況で推移しました。

 当社グループ製品の主な需要先であります半導体やディスプレイをはじめとするエレクトロニクス市場においては、5GやIoT等の普及に加え、テレワークの浸透やクラウドサービス利用の拡大等により、パソコンやデータサーバー向けの半導体需要が好調に推移しました。

 このような情勢下において当社グループは、「豊かな未来、社会の期待に化学で応える“The e-Material Global Company”」という経営ビジョンの下、当連結会計年度を最終年度とする3カ年の中期計画「tok中期計画2021」に掲げた全社目標「TOKグループがやるべきニッチな市場を開拓する」を達成すべく、全社戦略である「顧客の声を的確に捉え、迅速に応え、顧客とのパイプを、より太く、より強いものとする」、「マーケティングを強化し、顧客の価値創造プロセスへの理解を深め、新たな価値創造に結び付ける」、「自ら調べ、自ら判断し、自ら行動できる人材を強化する」、「tok経営基盤を強化する」の遂行に総力をあげて取り組んでまいりました。また、前年度に引き続き新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた措置を講じてまいりました。さらに、新型コロナウイルス感染症等の影響による世界規模のサプライチェーンリスクが見られた中でも、当社グループは安定的な供給体制の維持に努めるなど、事業活動を継続してまいりました。

 まず、当連結会計年度においては、高度化する顧客の要求に応えるべく、次世代半導体材料開発の促進のため産官学連携を強化したほか、製品の品質や生産技術の向上を加速させるための専門部署を新設いたしました。また、高まる製品需要に応えるため、中国に販売子会社を設立するなど、顧客サポート体制の強化を実施いたしました。

 次に、顧客の価値創造プロセスに応じた最適な製品を提供する体制を強化するため、営業部門の組織再編を実施いたしました。また、新規事業分野においては、外部機関との協業の成果となる遺伝子診断や創薬の発展に貢献する次世代ライフサイエンス向け材料の販売を促進してまいりました。

 加えて、今後の当社グループを支える人材基盤を強化するため、人事制度改革に継続して取り組むとともに、人材の活性化を目的とした従業員向けの研修体制を拡充するなどの諸施策に取り組んでまいりました。

 さらに、財務資本施策として、経営資源のより有効な活用を目的としたバランスシートマネジメントの推進に取り組んでまいりました。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みの一つとして、情報分析技術を活用した材料開発の効率化を推進いたしました。加えて、当社グループのCSR方針に基づく取り組みを強化した結果、企業のCSR活動の取り組みを審査する外部機関より最高評価の認定を取得するなど、経営基盤の強化に向けた諸施策を着実に実施してまいりました。

 

 この結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は、1,400億55百万円(前年度比19.1%増)となりました。利益面におきましては、原材料価格の高騰による影響がありましたものの、営業活動の成果や高付加価値製品の売上増加により、営業利益は207億7百万円(同32.8%増)、経常利益は216億64百万円(同34.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は177億48百万円(同78.8%増)となり、売上、利益ともに、2期連続で過去最高を更新することができました。

 「tok中期計画2021」の実績は、次のとおりであります。

                                        (単位:百万円)

 

tok中期計画2021 最終年度業績目標

最終年度実績

連結売上高

125,000~145,000

140,055

連結営業利益

15,000~20,500

20,707

ROE(自己資本利益率)

8.0%以上

11.5%

 

 事業別売上の概況は、次のとおりであります。

 

事業別の概況

(材料事業)

 当事業の内部取引を除いた売上高は、1,377億25百万円(前年度比20.0%増)となりました。これは、エレクトロニクス機能材料、高純度化学薬品の販売が好調に推移したことが主な要因であります。

(単位:百万円、%)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

売上高

114,773

137,725

22,951

20.0

営業利益

20,395

26,438

6,042

29.6

 部門別の概況は、次のとおりであります。

 

〔エレクトロニクス機能材料部門〕

 当部門の売上高は、前年度を大幅に上回る794億91百万円(同20.7%増)となりました。これは、5G、IoT関連やデータサーバー向けなどの旺盛な半導体需要に支えられ、半導体用フォトレジストや高密度実装材料の販売が好調に推移し、売上が増加したことが主な要因であります。

〔高純度化学薬品部門〕

 当部門の売上高は、前年度を大幅に上回る578億4百万円(同18.6%増)となりました。これは、最先端半導体製造プロセスに使用される半導体用フォトレジスト付属薬品の販売が好調に推移し、売上が増加したことが主な要因であります。

 

(装置事業)

〔プロセス機器部門〕

 当部門の内部取引を除いた売上高は、前年度を下回る23億29百万円(前年度比17.1%減)となりました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響による部品調達の遅延や渡航制限を受けた装置立ち上げの長期化が主な要因であります。

(単位:百万円、%)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

売上高

2,811

2,329

△481

△17.1

営業損失(△)

△310

△290

20

 

b. 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性のある要因として、当連結会計年度末現在において以下のとおりと認識しております。

 当社グループが事業展開する業界は、素材価格の変動や販売価格の低下の動きが見られるほか、技術革新が速く製品ライフサイクルが短くなり、一方で研究開発用機器は高額化してきております。また、当社グループにおいては海外事業の進展に伴い、為替相場の変動による影響や各国における各種法令の重大な改変または遵守できなかった場合等、海外での事業活動を取り巻く様々なリスクが顕在化するという事態も懸念されます。加えて、当社グループが提供している多数の製品をユーザーが使用する過程において、欠陥により不具合が生じた場合、原則として生産物責任賠償保険での対応を行いますが、負担金額すべてを保険金でカバーできず、経営成績に重要な影響を与える可能性もあります。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ31億95百万円減少し197億58百万円の資金収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益が104億49百万円、投資有価証券売却益が48億18百万円、売上債権の増加額が36億96百万円それぞれ増加したことが主な要因であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ10億94百万円増加の45億76百万円の資金投下となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が19億52百万円増加したことが主な要因であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ121億76百万円増加の181億14百万円の資金支出となりました。これは、自己株式の取得による支出が100億50百万円増加したことが主な要因であります。

 これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ12億58百万円減少の414億69百万円となりました。

 

財務政策

 当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための原材料購入や労務費の製造費用のほか、商品の仕入、販売費及び一般管理費であります。当社グループの運転資金および設備投資資金は、内部資金または借入により資金調達することとしております。

 

③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、期末日の資産・負債の計上および会計期間の収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや仮定を行う必要があります。連結財務諸表に影響を与え、より重要な経営判断や見積りを必要とする会計方針は以下のとおりであります。

 a. 貸倒引当金

 当社グループは売掛債権等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権および破産更生債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。相手先の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合、追加の引当金を計上する可能性があります。

 b. 固定資産の減損

 当社グループは、市場価格、営業活動から生ずる損益等から減損の兆候が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。

 将来の市況悪化等により事業計画が修正される場合、減損処理を行う可能性があります。

 c. 投資有価証券

 当社グループは、時価のある有価証券と時価のない有価証券を所有しております。

 時価のある有価証券は、決算日の市場価格等に基づき時価評価を行い、税効果調整後の評価差額を純資産の部のその他有価証券評価差額金に計上しております。

 また、期末における時価等が取得原価に比べ50%以上下落した場合には原則減損処理を行い、30%~50%未満下落した場合には、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行うこととしております。一方、時価のない有価証券は、実質価額が取得原価に比べ50%程度以上下落した場合には、回復可能性等を考慮して減損処理を行うこととしております。

 なお、将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現在の帳簿価額に反映されていない損失が生じ、減損処理を行う可能性があります。

 

 d. 繰延税金資産

 当社グループは、財務諸表と税務上の資産または負債の額に相違が発生する場合、将来減算一時差異に係る税効果について、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産のうち、実現が不確実であると考えられる金額に対し評価性引当額を計上して繰延税金資産を減額しております。繰延税金資産の実現の可能性により、評価性引当額が変動し損益に影響を及ぼす可能性があります。

 e. 退職給付に係る資産および負債

 当社グループは、年金数理計算に基づいて退職給付に係る資産および負債ならびに退職給付費用を計上しております。年金数理計算は割引率、年金資産の長期期待運用収益率、昇給率、退職率等の前提条件に基づいて行われており、これらの前提条件の変更は連結財務諸表に影響を与えます。割引率の低下や年金資産運用における期待運用収益と実際運用収益の差異は、翌期以降の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 

合弁契約

契約会社名

相手方の名称

内 容

契約締結日

東京応化工業株式会社(当社)

サムスン物産株式会社(韓国)

フォトレジストの研究開発・製造・販売を行う合弁会社(TOK尖端材料株式会社)の設立および運営

2012年8月16日

 

5【研究開発活動】

当社グループにおいて、研究開発活動は、連結財務諸表を提出する当社のほか、米国・台湾・韓国のグループ会社を加え、研究開発体制を強化しております。

当社グループの研究開発は、主に機能性高分子材料の研究とその応用技術の開発を中心としており、特に今後普及が進む5Gにより、成長が期待される最先端エレクトロニクス分野を重点分野と位置づけ、当社のコアコンピタンスである微細加工技術をより強固なものとするための活動を推進しております。その成果は、素材の開発にとどまらず、素材の特質を最大限に発揮するための高性能関連薬品・関連装置の開発、さらには生産技術の開発にも及んでおります。

 当社グループでは、セールスエンジニア・製造技術者・研究開発者の三位一体の体制で研究開発を推進しており、特に国内外のセールスエンジニアがユーザーとのきめ細かな接触から得る情報が、研究開発における重要な要素になっております。一方、広範かつ中長期的な視点に立った研究開発テーマにも継続的に取り組み、当社グループと方向性を共有している企業、大学、公的研究機関など幅広く、他機関とも連携し、新材料の基礎研究を行っております。

 このような研究開発体制の下、付加価値の高いテーマ・新技術を見い出して製品化することに注力し、その成果としてユーザーニーズに合致した製品を世界の市場に供給することにより、社会の進歩・発展に貢献するとともに、高収益を得ることを研究開発の基本方針としております。

 

(1)材料事業

 半導体、ディスプレイ、半導体パッケージ材料等の最先端エレクトロニクス分野を重点分野として、ユーザーニーズに合致した特性を持つ製品の早期開発と事業化、また、開発ロードマップに基づく将来を見据えた新技術・新製品の開発を行っております。

 当連結会計年度におきましては、微細加工技術における優位性を堅持すべく、半導体製造分野において、最先端半導体製造プロセスに使用される極端紫外線用フォトレジストの開発に注力し、高い顧客評価を獲得することができました。また、各種最先端微細加工に使用するエキシマレーザー用フォトレジストや高純度化学薬品の開発に注力し着実な成果をあげました。さらに、技術革新の進む半導体後工程分野では、多様化するユーザーニーズを的確に捉えた新規材料の開発に注力してまいりました。加えて、当社グループの微細加工技術を活かせるシリコン貫通電極形成システム「ゼロニュートン」や「オプトエレクトロニクス」、「ライフサイエンス」、「機能性材料」および「IoT」分野等に向けた材料の開発にも取り組んでまいりました。

 当事業に係る研究開発は、相模事業所のほかに、TOKYO OHKA KOGYO AMERICA, INC.、台湾東應化股份有限公司、TOK尖端材料株式会社において行っており、その研究開発費は9,390百万円でありました。

 

(2)装置事業

 装置・材料の両面からユーザーニーズを把握できる当社グループの優位性を活かし、ユーザーのプロセスに適合した製造装置の開発を材料事業と連携して行っております。

 当連結会計年度におきましては、今後の市場拡大が期待でき、材料事業との相乗効果を発揮できる分野として、シリコン貫通電極形成システム「ゼロニュートン」およびパワー半導体市場でのイオン注入レジスト除去装置、パネルレベルパッケージ装置の継続的な開発を積極的に進めてまいりました。

 当事業に係る研究開発は、プロセス機器事業本部技術部が湘南事業所において行っており、その研究開発費は409百万円でありました。

 

 なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費総額は9,800百万円でありました。