第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 当社グループの経営方針、経営環境及び優先的に対処すべき課題等

① 経営の基本方針

 当社グループは、「自由闊達」、「技術のたゆまざる研鑽」、「製品の高度化」、「社会への貢献」の4つの経営理念の下、高付加価値製品の創出を通じた社会への貢献と企業価値の向上に取り組んでいく所存であります。

② 目標とする経営指標

 当社グループは、事業活動の成果である連結営業利益を重視することとし、中長期的には過去最高益の更新を目標にしております。加えて、収益性や資本効率向上という企業価値拡大の観点から、連結EBITDA(償却前利益)や連結ROE(自己資本利益率)についても目標とする経営指標と位置づけております。

③ 中長期的な経営戦略

 当社グループは、2030年に向けた長期ビジョン「TOK Vision 2030」を策定し、経営ビジョン「豊かな未来、社会の期待に化学で応える“The e-Material Global Company”」の実現を目指しております。通信革命等によってもたらされる新たな価値創造を支えるべく、電子材料分野の深耕と開拓に一層邁進するとともに、当社グループのコアコンピタンスである微細加工技術や高純度化技術を活用した新領域の創出に挑戦してまいります。また、当社グループは、気候変動への対策として、CO2排出量削減による脱炭素社会の構築をマテリアリティ(重要課題)の1つとして掲げ、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しております。TCFDの考え方に基づき、気候変動が事業に与えるリスクや機会の分析を行うとともに、既存製品・新製品の開発・提供を通じて、環境経営を推進してまいります。

④ 経営環境

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に含めて記載しております。

⑤ 対処すべき課題

 上記③の経営戦略を実現するための具体的なマイルストーンであります、2022年度を初年度とする3カ年の中期計画「tok中期計画2024」を策定し、「Boost up TOK!!」をスローガンに掲げ、5つの全社戦略を中心に推進しております。

(イ)先端レジストのグローバルシェア向上

 当社グループの成長ドライバーである先端レジストのグローバルシェア向上のため、徹底した顧客目線で課題解決に取り組みます。特に、半導体の微細加工技術と3次元化技術の進化を、当社グループのコア技術である微細化技術・高純度化技術を最大限活用することで牽引してまいります。あわせて、パッケージング技術、光をコントロールする技術、表面をコントロールする技術についても最新技術を先取りし、様々なニーズに応えてまいります。これらにより、顧客の価値創造プロセスに貢献できる新たな付加価値を技術、品質、環境の切り口で提供してまいります。

 

(ロ)電子材料および新規分野でのコア技術の獲得/創出

 今後10年、さらにその先の100年企業を見据え、現在の事業の柱であるフォトレジストと高純度化学薬品に並び立つ事業を長期視点で創出してまいります。半導体の既存市場だけでなく、周辺領域や異業種といったステークホルダーの皆様とともに新規テーマを創出することで技術ポートフォリオを積み上げ、製品ポートフォリオ、事業ポートフォリオの変革へ展開してまいります。

 

(ハ)高品質製品の安定供給とグループに最適な生産体制の構築

 外部環境の激しい変化に適応するとともに、グローバル拠点をシームレスに最大限活用することに加え、サプライチェーンの最適化と強化を進めてまいります。特に、製品分野や顧客要望に応じた最適なモデルを組み合わせることで、異次元に進化し始めた半導体産業のニーズに迅速・的確に応えてまいります。また、将来を見据え、人や環境に配慮した合理的な設備と生産体制による高い生産効率を実現していくとともに、さらなる高純度化技術の確立と、脱炭素をはじめとする環境負荷の低減に取り組んでまいります。

 

(ニ)従業員エンゲージメントを向上させ人を活かす経営の推進

 会社と従業員がパートナーとして共に前進できる経営を実現するべく、各個人が持つ能力を最大限に発揮できる土壌作りを進めてまいります。従業員一人ひとりの幸福度の追求を根底に据え、仕事へのやりがいや喜びに繋がるサポートの拡充および仕組みづくりを推進するとともに、生産性向上に向けた環境整備に注力してまいります。これらにより、グループ全体でのエンゲージメント向上を図り、持続的な企業価値の向上に繋げてまいります。

 

(ホ)健全で効率的な経営基盤の整備

 (イ)から(ニ)の戦略を最大限のパフォーマンスで遂行し、当社グループの持続的な企業価値向上に繋げるため、さらなる経営基盤の整備に取り組んでまいります。コンプライアンスや情報・リスク管理、グループガバナンスの水準をさらに高めるとともに、自動化やデータ活用に向けたデジタル環境の整備にも取り組むことで、外部環境の激しい変化に対応してまいります。また、バランスシートマネジメントへの取組みをグループ全体で推進し、資本効率のさらなる向上を図ることで、キャッシュ創出力の最大化に繋げてまいります。これらにより、当社グループの持続的成長と株主の皆様への安定的な利益還元を両立し、企業価値向上に繋げてまいります。これらに加えて、経営の透明性向上と意思決定の迅速化を図り、国内外のステークホルダーの期待により的確に応えうる体制の構築を目指してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループは、幅広い事業分野にわたり世界各地で活動をしております。その事業活動を展開する上で、多様なリスク要因が財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。下記に記載したリスクは、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

(1)業界景気変動リスク

 当社グループが事業を展開するエレクトロニクス業界は、循環的な市況変動が大きい市場であります。特に半導体・ディスプレイ向け材料・装置は、需要動向に大きな影響を受け、また、技術革新が速くユーザーニーズが複雑・多様にわたるため、市場状況およびそれに連動した価格変動があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(2)為替変動リスク

 当社グループは、今後もマーケットの拡大が期待される北米、欧州、アジア地域における事業に注力しており、同地域に生産・販売拠点を有しております。海外取引では、一部は円建てでの処理、また、一部では為替予約によるリスクヘッジ等を行っておりますが、予想を超えた為替相場の変動があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(3)研究開発リスク

 当社グループは、技術革新の激しいエレクトロニクス業界において競争力を維持するため、ユーザーニーズを的確に捉えた製品の研究開発に努めております。しかし、技術革新やユーザーニーズの変化を予測することは容易でなく、研究開発において経営資源を投入したにもかかわらず、予期せぬ理由で十分な成果が得られない場合があり、その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(4)知的財産リスク

 当社グループは、事業活動を展開する上で多数の知的財産権を保有しているとともにライセンスを供与しております。また、必要または有効と認められる場合には、第三者の知的財産権を使用するために相手方からライセンスを取得します。それらの権利保護、維持または取得が予定通り行われなかった場合には、知的財産権を巡る紛争・訴訟において当社グループが当事者となる可能性があります。その結果、費用負担等が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(5)原材料調達リスク

 当社グループは、生産活動において様々な原材料を使用しており、調達先を複数確保するなど安定的な原材料の調達に努めております。しかし、原材料メーカーの事故等による供給の遅延・中断の影響から生産活動に支障をきたす可能性があり、その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、原材料価格の上昇等が発生した場合も、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(6)製造物責任リスク

 当社グループの提供する製品をユーザーが使用する過程において、その製品に起因する欠陥により不具合が生じる可能性があります。製造物賠償責任には保険での対応を行いますが、負担金額全てを保険でカバーできるという保証はなく、これらの問題が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(7)自然災害・事故リスク

 当社グループは、国内外に製造工場を設けております。地震等の自然災害や火災・爆発等の不慮の事故が発生した場合には、生産活動の停止に伴う出荷の遅延、さらには修復・生産工場等の代替に伴う費用負担が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは、従業員に新型コロナウイルス、インフルエンザ等の感染症が拡大した場合、一時的に操業を停止するなど、当社グループの経営成績、財務状況等に影響を与える可能性があります。当社グループではこれらのリスクに対応するため、感染予防や感染拡大防止に対して適切な管理体制を構築しております。新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、感染防止に取り組み、影響の極小化を図っております。

(8)環境リスク

 当社グループは、生産活動において各種化学物質を使用しており、その取扱いには万全の対策を講じております。しかし、化学物質の社外流出事故が万一発生した場合、社会的信用の失墜、補償・対策費用の支出、生産活動の停止等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは、事業展開している世界各国の環境関連諸法令・諸規制を遵守して活動しております。しかし、将来においてこれらの法規制が厳格化された場合、費用負担の増大、事業活動の制限につながるおそれがあり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(9)法的リスク

 当社グループは、事業活動を展開する世界各国において、事業・投資の許可、輸出入制限での政府規制の適用を受けるとともに、通商・独占禁止・国際税務・環境・リサイクル関連等の諸法令・諸規制の適用を受けております。これらの法規制に重大な改変があり、その内容を把握していなかった場合、また、これらの法規制を遵守できなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(10)海外での事業活動リスク

 当社グループは、北米、アジア地域にて生産および販売活動を、また、欧州地域にて販売活動を行っております。しかし、海外での事業活動には、通常、予期しない法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、人材の確保困難、テロ・戦争、自然災害等のリスクが存在します。こうしたリスクが顕在化した場合、海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(11)情報漏洩リスク

 当社グループは、事業に関する秘密情報ならびに多数の他企業および個人の情報を有しております。情報管理に万全を期しておりますが、予期せぬ事態によりこれらの情報が社外に流出した場合、事業のイメージに悪影響をもたらすほか、被害を受けた企業および個人に対して損害賠償責任を負うことになり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に含めて記載しております。

 

② 生産、受注および販売の実績

 a. 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

増減率(%)

材料事業

150,751

21.5

装置事業

3,907

△5.4

合計

154,659

20.6

 

 b. 受注実績

 当社および連結子会社は、基本的には見込生産を行っております。ただし、装置事業は受注生産であり、その実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

増減率(%)

受注残高(百万円)

増減率(%)

装置事業

6,087

76.6

4,385

88.1

 

 c. 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

増減率(%)

材料事業

170,329

23.7

装置事業

5,105

119.1

合計

175,434

25.3

 (注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

当連結会計年度

(自  2022年1月1日

至  2022年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.

37,623

26.9

51,029

29.1

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a. 経営成績等の状況に関する経営者の視点による認識・分析・検討

財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、2,380億75百万円で、前連結会計年度末に比べ208億11百万円増加いたしました。

 流動資産は前連結会計年度末に比べ117億52百万円増加し1,306億36百万円となりました。これは原材料及び貯蔵品が46億28百万円増加し、売掛金も18億15百万円増加したことが主な要因であります。

 固定資産は前連結会計年度末に比べ90億58百万円増加し1,074億39百万円となりました。これは、有形固定資産が90億77百万円増加したことが主な要因であります。

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は、571億15百万円で、前連結会計年度末に比べ50億41百万円増加いたしました。これは、支払手形及び買掛金が23億67百万円、未払金が26億75百万円増加したことが主な要因であります。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は、1,809億60百万円で、前連結会計年度末に比べ157億69百万円増加いたしました。これは、利益剰余金が127億45百万円増加したことが主な要因であります。

 この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は71.3%となりました。

 

経営成績の分析

 当連結会計年度の世界経済は、米中貿易摩擦の長期化に加え、新型コロナウイルス感染症、ロシア・ウクライナ情勢の影響や、急激に進む物価上昇を背景にした各国の政策金利の上昇による金融環境の不透明感が続いたものの、総じて緩やかな持ち直しの動きが継続しました。

 当社グループ製品の主な需要先であります半導体やディスプレイをはじめとするエレクトロニクス市場においては、スマートフォンやパソコンの需要が前年度を下回る水準となったものの、5GやIoT等の普及に加え、データサーバーの需要増加等が市場を牽引し、半導体需要は前年を上回りました。

 このような情勢下において当社グループは、「豊かな未来、社会の期待に化学で応える“The e-Material Global Company®”」という経営ビジョンの下、2022年度を初年度とする3カ年の中期計画「tok中期計画2024」のスローガンとして「Boost up TOK!!」を掲げ、「先端レジストのグローバルシェア向上」、「電子材料および新規分野でのコア技術の獲得/創出」、「高品質製品の安定供給とグループに最適な生産体制の構築」、「従業員エンゲージメントを向上させ人を活かす経営の推進」、「健全で効率的な経営基盤の整備」という5つの全社戦略を推進することで、2030年に向けた長期ビジョン「TOK Vision 2030」の実現に向け総力をあげて取り組んでまいりました。

 まず、当連結会計年度においては、多様化する顧客ニーズに迅速に応える体制を整えるため、営業と開発の連携強化や開発部門の組織改編を行い、先端レジストのグローバルシェアの向上と電子材料分野および新規分野でのコア技術の獲得/創出に向けた活動を推進してまいりました。

 次に、将来の半導体需要増加を見据えて、人材の確保・育成等の人的資本投資の実施や海外拠点の供給体制を整備したほか、国内の主力生産拠点である郡山工場に新検査棟を建設し検査能力を拡充したことに加え、熊本県菊池市に工場用地を取得するなど、当社製品のさらなる高品質化とグローバルな生産体制の強化を図ってまいりました。また、原材料調達リスクにも備えるべくサプライチェーンマネジメントに注力し、安定した供給体制の維持・向上に努めてまいりました。

 さらに、従業員エンゲージメント向上に向けた活動として、人事制度改革を実施するとともに働き方改革を推進し、従業員が能力を最大限発揮して働くことができる体制を整えたほか、経営陣が従業員エンゲージメントを強く意識するべく、役員報酬の評価軸に従業員エンゲージメント指標を取り入れるなど、人を活かす経営を推進してまいりました。

 また、急激に変化する経営環境に対応するべく、当社グループにおけるリスク管理やコンプライアンス体制等について、経営レベルでの協議を充実させたほか、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明するとともに「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指すことを宣言するなど、社会的課題である温室効果ガス排出量削減に向け活動を加速させてまいりました。加えて、「健康経営宣言」を策定し、従業員の健康の維持・増進のため、従来の取組みの強化や拡充・実行をしたほか、業務効率化を推進する専門組織を新設し、社内におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を加速するなど、経営基盤強化に向けた諸施策を講じてまいりました。

 

 さらに、装置事業(一部を除く)をAIメカテック株式会社に譲渡するとともに、当社が同社株式を取得することで強固な関係を構築し、当社材料事業との協業によりM&E(Materials&Equipment)戦略のさらなる発展を目指してまいります。

 なお、東京証券取引所における新市場区分について当社はプライム市場へ移行いたしました。

 この結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は、1,754億34百万円(前年度比25.3%増)となりました。利益面におきましては、原材料価格の高騰による影響を受けたものの、営業活動の成果に加え、高付加価値製品の売上増加、円安に推移した為替の効果もあり、営業利益は301億81百万円(同45.8%増)、経常利益は309億66百万円(同42.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は196億93百万円(同11.0%増)となり、売上、利益ともに3期連続で過去最高を更新することができました。

 

 事業別売上の概況は、次のとおりであります。

 

事業別の概況

(材料事業)

 当事業の内部取引を除いた売上高は、1,703億29百万円(前年度比23.7%増)となりました。これは、エレクトロニクス機能材料、高純度化学薬品の販売が好調に推移したことが主な要因であります。

(単位:百万円、%)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

売上高

137,725

170,329

32,604

23.7

営業利益

26,438

34,755

8,317

31.5

 部門別の概況は、次のとおりであります。

 

〔エレクトロニクス機能材料部門〕

 当部門の売上高は、前年度を大幅に上回る918億68百万円(同15.6%増)となりました。これは、堅調なレガシー半導体需要に加え、最先端半導体プロセスに使用される半導体用フォトレジストや高密度実装材料の販売が好調に推移し、売上が増加したことが主な要因であります。

〔高純度化学薬品部門〕

 当部門の売上高は、前年度を大幅に上回る774億60百万円(同34.0%増)となりました。これは、継続的な営業活動の成果や最先端半導体プロセス向けの需要が好調に推移したことにより、半導体用フォトレジスト付属薬品の売上が大幅に増加したことが主な要因であります。

 

(装置事業)

〔プロセス機器部門〕

 当部門の内部取引を除いた売上高は、前年度を上回る51億5百万円(前年度比119.1%増)となりました。これはウエハハンドリングシステム「ゼロニュートン®」等の受注済み製品の検収が進んだことが主な要因であります。

(単位:百万円、%)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

売上高

2,329

5,105

2,775

119.1

営業利益または

営業損失(△)

△290

790

1,081

 

b. 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性のある要因として、当連結会計年度末現在において以下のとおりと認識しております。

 当社グループが事業展開する業界は、素材価格の変動や販売価格の低下の動きが見られるほか、技術革新が速く製品ライフサイクルが短くなり、一方で研究開発用機器は高額化してきております。また、当社グループにおいては海外事業の進展に伴い、為替相場の変動による影響や各国における各種法令の重大な改変または遵守できなかった場合等、海外での事業活動を取り巻く様々なリスクが顕在化するという事態も懸念されます。加えて、当社グループが提供している多数の製品をユーザーが使用する過程において、欠陥により不具合が生じた場合、原則として生産物賠償責任保険での対応を行いますが、負担金額すべてを保険金でカバーできず、経営成績に重要な影響を与える可能性もあります。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が増加し収入が増えたものの、棚卸資産の増減額や法人税等の支払額又は還付額の増加により支出が増えたことで、前連結会計年度に比べ7億66百万円減少し189億91百万円の資金収入となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、前連結会計年度に比べ78億7百万円増加の123億83百万円の資金投下となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度に自己株式の取得による支出を行わなかったことで、前連結会計年度に比べ95億3百万円減少の86億10百万円の資金支出となりました。

 これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ6億12百万円減少し408億56百万円となりました。

 

財務政策

 当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための原材料購入や労務費の製造費用のほか、商品の仕入、販売費及び一般管理費であります。当社グループの運転資金および設備投資資金は、内部資金または借入により資金調達することとしております。

 

③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、期末日の資産・負債の計上および会計期間の収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや仮定を行う必要があります。連結財務諸表に影響を与え、より重要な経営判断や見積りを必要とする会計方針は以下のとおりであります。

 a. 貸倒引当金

 当社グループは売掛債権等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権および破産更生債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。相手先の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合、追加の引当金を計上する可能性があります。

 b. 固定資産の減損

 当社グループは、市場価格、営業活動から生ずる損益等から減損の兆候が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。

 将来の市況悪化等により事業計画が修正される場合、減損処理を行う可能性があります。

 c. 投資有価証券

 当社グループは、市場価格のない株式等以外の有価証券と市場価格のない株式等の有価証券を所有しております。

 市場価格のない株式等以外の有価証券は、決算日の市場価格等に基づき時価評価を行い、税効果調整後の評価差額を純資産の部のその他有価証券評価差額金に計上しております。

 また、期末における時価等が取得原価に比べ50%以上下落した場合には原則減損処理を行い、30%~50%未満下落した場合には、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行うこととしております。一方、市場価格のない株式等の有価証券は、実質価額が取得原価に比べ50%程度以上下落した場合には、回復可能性等を考慮して減損処理を行うこととしております。

 なお、将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現在の帳簿価額に反映されていない損失が生じ、減損処理を行う可能性があります。

 

 d. 繰延税金資産

 当社グループは、財務諸表と税務上の資産または負債の額に相違が発生する場合、将来減算一時差異に係る税効果について、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産のうち、実現が不確実であると考えられる金額に対し評価性引当額を計上して繰延税金資産を減額しております。繰延税金資産の実現の可能性により、評価性引当額が変動し損益に影響を及ぼす可能性があります。

 e. 退職給付に係る資産および負債

 当社グループは、年金数理計算に基づいて退職給付に係る資産および負債ならびに退職給付費用を計上しております。年金数理計算は割引率、年金資産の長期期待運用収益率、昇給率、退職率等の前提条件に基づいて行われており、これらの前提条件の変更は連結財務諸表に影響を与えます。割引率の低下や年金資産運用における期待運用収益と実際運用収益の差異は、翌期以降の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

(合弁契約)

契約会社名

相手方の名称

内 容

契約締結日

東京応化工業株式会社(当社)

サムスン物産株式会社(韓国)

フォトレジストの研究開発・製造・販売を行う合弁会社(TOK尖端材料株式会社)の設立および運営

2012年8月16日

 

(会社分割および株式譲渡)

 当社は、2022年9月26日開催の取締役会において、当社の装置事業(一部を除く)(以下「対象事業」といいます。)を、当社が新たに完全子会社として設立する承継準備会社(以下「本件新会社」といいます。)に吸収分割(以下「本吸収分割」といいます。)により承継させた上で、本件新会社の株式の全てをAIメカテック株式会社(以下「AIメカテック」といいます。)に譲渡すること(以下「本株式譲渡」といい、本吸収分割と合わせて「本件取引」といいます。)を内容とする株式譲渡契約を締結することを決議し、同日付で締結いたしました。

 加えて、当社は、同日付けで、当社の材料事業とAIメカテックの譲渡後の対象事業の協業に係る協業に関するAIメカテックとの基本契約ならびに当社がAIメカテック株式1,101,500株を取得することに係るポラリス第三号投資事業有限責任組合および TIARA CG PRIVATE EQUITY FUND 2013, L.P.との株式譲渡契約を締結することを決議し、同日付で両契約を締結のうえ、2022年9月30日付で、AIメカテックの上記株式を取得しております。

(1)本件取引の目的

 当社は、経営資源を中核の材料事業に集中するため、本件取引を通じて対象事業を、微細塗布技術や高精度貼り合わせ技術をコア技術として、液晶パネル製造装置等の開発、設計、製造、販売、アフターサービスを国内外で展開し、高度な技術力と顧客サポート力を備えた装置メーカーであるAIメカテックに譲渡するとともに、当社の材料事業とAIメカテックに譲渡後の対象事業の協業を行うことで、対象事業の強化および持続的成長、ならびに、当社のM&E戦略の維持および更なる発展が期待されると考えたことから、本件取引を行うことを決定いたしました。

(2)本件取引の効力発生日

 2023年3月1日

(3)本吸収分割の概要

① 本吸収分割の方法

 当社を分割会社、本件新会社を承継会社とする簡易吸収分割です。

② 本吸収分割に係る割当ての内容

 本吸収分割は、当社が当社の完全子会社との間で行うものであるため、本件新会社から株式の割当て、金銭その他の財産の交付は行われません。

③ 本吸収分割に伴う新株予約権および新株予約権付社債に関する取扱い

 当社の新株予約権の取扱いについて、本吸収分割による変更はありません。

④ 本吸収分割により増減する資本金

 本吸収分割による当社の資本金の増減はありません。

⑤ 本件新会社が承継する権利義務

 本件新会社は、対象事業に関する資産、負債および契約上の地位等の権利義務のうち、吸収分割契約において定めるものを承継します。

⑥ 債務履行の見込み

 本吸収分割において、本件新会社が負担すべき債務の履行の見込みに問題はないと判断しております。

(4)本件新会社が承継する資産・負債の状況

① 分割する事業内容

半導体・ディスプレイ製造用装置の製造・販売および保守

② 分割する部門の経営成績(2021年12月期)

 

対象事業

(a)

全事業計

(b)

比率

(a/b)

売上高

1,271百万円

140,055百万円

0.91%

③ 分割する資産・負債の項目および金額(2021年12月期)

資産

負債

項目

帳簿価格

項目

帳簿価格

流動資産

1,965百万円

流動負債

529百万円

固定資産

70百万円

固定負債

0百万円

資産合計

2,036百万円

負債合計

529百万円

(注)分割する資産・負債の金額は、2021年12月31日現在の貸借対照表を基礎に作成しております。実際に分割する資産および負債の金額は、上記金額に本吸収分割の効力発生日までの増減が調整されたうえで確定いたします。

(5)本吸収分割後の当社および本件新会社の概要

 

分割会社(当社)

承継会社(本件新会社)

名称

東京応化工業株式会社

プロセス機器事業分割準備株式会社

所在地

川崎市中原区中丸子150番地

川崎市中原区中丸子150番地

代表者の役職・氏名

取締役社長 種市 順昭

代表取締役 山本 浩貴

事業内容

半導体・ディスプレイ等のフォトリソグラフィプロセスで用いられる感光性樹脂(フォトレジスト)・高純度化学薬品を中心とした製造材料、半導体用・ディスプレイ用製造装置などの各種プロセス機器、その他無機・有機化学薬品等の製造・販売

半導体用・ディスプレイ用製造装置などの各種プロセス機器の製造・販売

資本金

14,640百万円

1円

設立年月日

1940年10月25日

2022年12月16日

発行済株式数

42,600,000株

100株

決算期

12月31日

3月31日

(6)本株式譲渡の概要

① 本株式譲渡の相手先の概要(2022年12月31日時点)

名称

AIメカテック株式会社

所在地

茨城県龍ケ崎市向陽台五丁目2番地

代表者の役職・氏名

代表取締役 執行役員社長 阿部 猪佐雄

事業内容

電子部品製造装置、周辺機器の設計・製造・販売およびアフターサービス

資本金

450百万円

設立年月日

2016年7月1日

連結純資産

7,533百万円

連結総資産

18,950百万円

大株主および持株比率(注)

東京応化工業株式会社

19.56%

JUKI株式会社

19.56%

株式会社SBI証券

1.67%

楽天証券株式会社

1.64%

日本マスタートラスト信託銀行株式会社

1.42%

当社と該当会社との関係

資本関係

当社は2022年9月26日開催の取締役会において、同社の既存株主から同社株式1,101,500株(総株主の議決権の数に対する割合:19.56%)を取得することを定めた株式譲渡契約書を締結することを決議し、同日付で締結しており、2022年9月30日付で当該株式を取得しております。

人的関係

該当事項はありません。

取引関係

直前事業年度において、当社は同社と業務上の取引はございませんが、当社は2022年9月26日開催の取締役会において、同社と協業に関する基本契約書を締結することを決議し、同日付で締結しております。

(注)持株比率は自己株式を控除して計算しております。

② 譲渡前後の議決権所有割合、譲渡株式数および譲渡価額の概要

譲渡前の所有株式数

100株(議決権所有割合100%)

譲渡株式数

発行済株式の全て

譲渡後の所有株式数

0株(議決権所有割合-%)

※譲渡価額につきましては、株式譲渡契約における守秘義務条項により非開示としますが、両社で協議のうえ決定したものであります。

 

5【研究開発活動】

当社グループにおいて、研究開発活動は、連結財務諸表を提出する当社のほか、米国・台湾・韓国のグループ会社を加え、研究開発体制を強化しております。

当社グループの研究開発は、主に機能性高分子材料の研究とその応用技術の開発を中心としており、特に今後普及が進む5Gにより、成長が期待される最先端エレクトロニクス分野を重点分野と位置づけ、当社のコアコンピタンスである微細加工技術をより強固なものとするための活動を推進しております。その成果は、素材の開発にとどまらず、素材の特質を最大限に発揮するための高性能関連薬品・関連装置の開発、さらには生産技術の開発にも及んでおります。

 当社グループでは、セールスエンジニア・製造技術者・研究開発者の三位一体の体制で研究開発を推進しており、特に国内外のセールスエンジニアがユーザーとのきめ細かな接触から得る情報が、研究開発における重要な要素になっております。一方、広範かつ中長期的な視点に立った研究開発テーマにも継続的に取り組み、当社グループと方向性を共有している企業、大学、公的研究機関など幅広く、他機関とも連携し、新材料の基礎研究を行っております。

 このような研究開発体制の下、付加価値の高いテーマ・新技術を見い出して製品化することに注力し、その成果としてユーザーニーズに合致した製品を世界の市場に供給することにより、社会の進歩・発展に貢献するとともに、高収益を得ることを研究開発の基本方針としております。

 

(1)材料事業

 半導体、ディスプレイ、半導体パッケージ材料等の最先端エレクトロニクス分野を重点分野として、ユーザーニーズに合致した特性を持つ製品の早期開発と事業化、また、開発ロードマップに基づく将来を見据えた新技術・新製品の開発を行っております。

 当連結会計年度におきましては、微細加工技術における優位性を堅持すべく、半導体製造分野において、最先端半導体製造プロセスに使用される極端紫外線用フォトレジストの開発に注力し、高い顧客評価を獲得することができました。また、各種最先端微細加工に使用するエキシマレーザー用フォトレジストや高純度化学薬品の開発に注力し着実な成果をあげました。さらに、技術革新の進む半導体後工程分野では、多様化するユーザーニーズを的確に捉えた新規材料の開発に注力してまいりました。加えて、当社グループの微細加工技術を活かせるシリコン貫通電極形成システム「ゼロニュートン」や「オプトエレクトロニクス」、「ライフサイエンス」、「機能性材料」および「IoT」分野等に向けた材料の開発にも取り組んでまいりました。

 当事業に係る研究開発は、相模事業所のほかに、TOKYO OHKA KOGYO AMERICA, INC.、台湾東應化股份有限公司、TOK尖端材料株式会社において行っており、その研究開発費は10,603百万円でありました。

 

(2)装置事業

 装置・材料の両面からユーザーニーズを把握できる当社グループの優位性を活かし、ユーザーのプロセスに適合した製造装置の開発を材料事業と連携して行っております。

 当連結会計年度におきましては、今後の市場拡大が期待でき、材料事業との相乗効果を発揮できる分野として、シリコン貫通電極形成システム「ゼロニュートン」およびパワー半導体市場でのイオン注入レジスト除去装置、パネルレベルパッケージ装置の継続的な開発を積極的に進めてまいりました。

 当事業に係る研究開発は、プロセス機器事業本部技術部が湘南事業所において行っており、その研究開発費は435百万円でありました。

 

 なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費総額は11,038百万円でありました。