第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が判断したものであります。

 

 当社グループは、「創造的行動力による社会への貢献」を企業理念とし、コア事業である発泡樹脂製品及び新しい素材を用い、省資源・省エネルギーで社会生活の利便性向上に寄与する価値を、社会に提供していくことを使命としております。

 第61期(2019年3月期)スタートにあたり、10年スパンの長期的な方向性を示す『VISION2027』を策定しました。長期ビジョンでは、「顧客と消費者に感動を届ける」、「株主と地域社会に満足を届ける」、「社員一人ひとりがワクワク感を持って仕事をする」など、すべてのステークホルダーに感動と満足を届けることの意を込め、新しい経営方針「Deliver with WOW!」を定め、10年後のありたい姿を「真のグローバルサプライヤーとして社会から必要とされる企業」とし、海外市場に目を向けた地理的拡大、独自技術の強みを活かした新規需要の掘り起こしや周辺領域への事業拡大などを積極的に推進してまいります。

 

(経営方針) 「Deliver with WOW!」

・VISION2027・基本方針

 ①既存事業の強化・拡大

 ②事業領域の拡大

 ③経営基盤の強化

 

・10年後の定量的ビジョン

 売上高 180,000百万円、営業利益 18,000百万円、営業利益率 10%

 

・進むべき事業領域

 ①自動車部品分野、②建築住宅断熱材分野、③フラットパネルディスプレイ関連保護材分野、④新たな事業領域(新規事業創出及びM&Aとして売上高30,000百万円規模を目指します)の4つの成長エンジンを、今後10年における進むべき事業領域として位置付けました。

 

(中期計画・基本方針)

 長期ビジョン達成のための第一ステップとして、第61期から第63期を実行期間とする中期経営計画「Deeper & Higher 2020」を策定し、中期ビジョン「更なる深化と成長」を掲げました。本計画では、「成長戦略の推進」、「差異化戦略の推進」及び長期ビジョンの基本方針のひとつである「経営基盤の強化」を基本方針とし、持続的成長と着実な企業価値向上を目指しています。

 「成長戦略の推進」では、具体的な成長の道筋を描くため「4つの成長エンジン」を原動力として掲げています。「自動車部品」「建築住宅断熱材」「フラットパネルディスプレイ関連保護材」「新たな事業領域」を進むべき事業領域としてとらえ、攻めと守りのバランスによる安定した持続的成長を目指します。

 「差異化戦略の推進」では、単に製品の品質や性能の差異化を追求するのではなく、お客様が真に求める価値ある製品とサービスを追求することで、顧客満足度の向上を図り、選ばれるパートナーとして成長してまいりたいと考えています。

 「経営基盤の強化」として、社会から必要とされる企業を目指し、人材育成の強化、安全衛生及び環境保全の企業文化の醸成、コーポレート・ガバナンス強化に取り組み、経営基盤の強化に努めてまいります。

 以上の方針達成のため、当社グループはPDCAサイクルを活用して、諸施策の実践状況に対する検証と対策を継続し、長期的なありたい姿実現に向けグループ全社員の力を結集してまいりたいと考えております。

 

・最終年度/第63期(2021年3月期)の定量目標と前提条件

 

<定量目標>

売上高 138,000百万円、営業利益 11,000百万円、営業利益率 8%

<前提条件>

為替

:113円/米ドル、133円/ユーロ、17円/人民元

 

原油価格(ドバイ)

:55米ドル/バーレル

 

(要約セグメント情報)

(単位:百万円)

事業の種類

第61期 実績

第63期 中期計画

売上高

営業利益

売上高

営業利益

押出事業

41,388

2,468

46,764

3,376

ビーズ事業

68,449

3,782

85,043

8,393

その他

6,295

156

6,193

180

116,133

6,408

138,000

11,949

調整額

△928

△949

合計

116,133

5,479

138,000

11,000

 

・設備投資計画

 当社グループは、競争力と収益力を兼ね備えた企業として持続的成長を支えるため、事業規模拡大と高付加価値製品の創出並びに環境負荷低減とコスト競争力の向上を目的とした設備投資を、積極的かつ計画的に実施していくことを基本方針としております。

 中期経営計画の3年間に増産投資約15,000百万円、維持投資約15,000百万円、計約30,000百万円の設備投資を計画しております。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー等に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、以下の事項は当連結会計年度末(2019年3月31日)現在判断したものであり、事業等のリスクはこれに限られません。

 

① 原材料価格の変動

 当社グループの使用する原料や燃料は、原油及びナフサ価格の変動に大きく影響される為、価格が大きく変動することがあります。これら原料や燃料の価格上昇分を製品販売価格に十分に転嫁できない場合、当社グループの業績及び財務状況が悪影響を被る可能性があります。

 

② 世界情勢の変化

 当社グループは、アメリカ・ヨーロッパ・アジアの各地域で広く事業を展開しておりますが、各地域の政治、経済、社会情勢の変化や各種規制の動向、為替レートの変動が各地域の需要、当社グループの事業体制に影響を与える可能性があります。

 

③ 自然災害

 当社グループは、国内外において多数の製造工場を有しております。これらの生産設備は、不慮の自然災害等に対する防災対策を施しておりますが、想定した水準をはるかに超えた大規模な地震や台風、洪水等、不可避な自然災害によって甚大な被害を受ける可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 知的財産の保護

 当社グループは、国際的な特許権をはじめとして知的財産を多く保有しておりますが、これらを保護することは将来の利益確保の面でも重要です。他から侵害を受けたり、他社との間で紛争を生じた場合には事業に悪影響を及ぼす可能性があるため、このリスクを回避すべく国内外で体制を整備しております。

 

⑤ コンプライアンス、内部統制関係

 当社グループは、コンプライアンスをはじめとする適切な内部統制システムを構築し、運用しておりますが、世界各地域の法規制が変更されることによりその遵守が困難となり、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではなく、その遵守のために費用が新たに発生する可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、米国では、貿易摩擦や金利上昇による経済減速の懸念はあったものの、減税効果などによる設備投資や個人消費の伸びにより底堅い成長を維持しました。メキシコでは、貿易摩擦の懸念が低減し、景気は堅調に推移しました。ブラジルでは、景気の回復が一時的に足踏み状態となったものの、工業生産の回復基調は維持されました。欧州では、雇用環境改善による個人消費回復は継続しておりますが、輸出拡大の頭打ちなどにより景気回復が鈍化しました。アジアでは、貿易摩擦の影響や一部地域での景気停滞もあり、経済成長は維持しているものの鈍化傾向がみられました。日本経済は、内需回復の兆しはあるものの、自然災害、原燃料・輸送コスト上昇、更には外需減速の影響を受け、景気は踊り場を迎えています。

 国内発泡プラスチック業界におきましては、家電分野等の回復はありましたが、食品・水産分野などでの需要低迷や原燃料価格上昇の影響があり、分野によっては厳しい環境となりました。

 これらの状況を受けて、当社グループは新規需要の掘り起こしや付加価値の高い製品の開発・販売に注力するとともに、長期ビジョン『VISION2027』に掲げた成長エンジンである自動車部品・建築住宅断熱材・フラットパネルディスプレイ関連保護材への重点的設備投資実施や新たな事業領域拡大を目指した体制強化に努めました。その結果、当社グループの経営成績は、国内売上高は、付加価値の高い製品の販売増加や製品価格改定などにより増加しました。海外売上高は、韓国での販売減少や第4四半期連結会計期間における景気減速の影響を受け、前期並みとなりました。一方、利益面では、国内事業は原燃料・輸送コスト上昇に対する製品価格改定の遅れ、一部分野の需要低迷の影響により、営業利益は減少しました。海外事業は原料コストの上昇、アジアでの販売競争激化、将来に向けた投資の増加等の影響により営業利益は大きく減少しました。特別利益は、主に投資有価証券を売却したことによるものです。

 これらの結果、当連結会計年度の売上高は、116,133百万円(前期比1.6%増)、営業利益は5,479百万円(同39.8%減)、経常利益は5,835百万円(同36.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,309百万円(同37.1%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、一部子会社の経営管理区分の変更を行っており、以下、前期比較については、当該変更を反映した前期の数値を用いております。

 

(押出事業)

 食品容器用の発泡ポリスチレンシート「スチレンペーパー」を中心とした生活資材製品は、食品トレー向け分野や販売広告宣伝用ディスプレイ材「ミラボード」の販売は減少しましたが、製品価格改定などにより売上は増加しました。フラットパネルディスプレイ基板や家電向け産業用包材の発泡ポリエチレンシート「ミラマット」を中心とした産業資材製品は、高付加価値製品の需要拡大などにより売上は増加しました。発泡ポリスチレン押出ボード「ミラフォーム」を中心とした建築土木資材製品は、建築分野向けの高断熱製品及び割付断裁品を中心に販売が好調であったことにより売上は増加しました。

 押出事業全体としては、付加価値の高い製品の販売増加及び製品価格改定により売上は増加しました。利益面では、原材料価格及び運送費の上昇に対する製品価格改定完了が遅れたことや、生活資材分野の販売減少により減益となりました。

 これらの結果、押出事業の売上高は41,388百万円(前期比2.8%増)、営業利益は2,468百万円(同8.3%減)となりました。

 

(ビーズ事業)

 世界各国で製造販売している発泡ポリプロピレン「ピーブロック」は、バンパーコア材・シートコア材等の自動車部品、各種部品の通い函、緩衝包装材、住宅設備向け保温緩衝材、競技用グラウンド基礎緩衝材などに幅広く使用されております。「ピーブロック」を中心とした高機能材製品は、自動車の新規部品の採用拡大や種々の用途拡大により販売は増加しました。地域ごとの販売概況は、国内では、上期の風水害・地震等による自動車生産減少の影響がありましたが、下期からの新規シートコア材販売増などにより堅調に推移しました。北米では、自動車部品、平板緩衝材、通い函等の販売が堅調に推移しました。米国において、原料ポリプロピレン価格は、需給面の影響が大きく、他地域に比べ高い状況が継続しました。南米では、ブラジル自動車生産の回復などにより販売は堅調に推移しました。欧州では、第4四半期連結会計期間において経済減速の影響があり、販売は前期並みとなりました。アジアでは、韓国の販売が大きく減少し、それ以外の地域では第4四半期連結会計期間における景気停滞の影響がありましたが、中国の上期販売が好調だったことから通期販売では堅調を維持しました。発泡性ポリスチレン「スチロダイア」を中心とした発泡性ビーズ製品は、需要が減少した分野もありますが、家電分野や機能性製品の販売が堅調に推移し、原材料価格上昇に対する製品価格改定もあり売上は増加しました。ユニットバス天井材やフロートに使用されているハイブリッド成形品「スーパーブロー」は、需要の減少により売上は減少しました。

 ビーズ事業全体としては、北米・中国等の販売増の寄与がありましたが、韓国及び国内のスーパーブロー販売減の影響もあり、売上は若干の増加にとどまりました。利益面では、国内の上期における製品価格改定の遅れや海外事業の収益構造改善の遅れにより減益となりました。

 これらの結果、ビーズ事業の売上高は68,449百万円(前期比0.3%増)、営業利益は3,782百万円(同47.1%減)となりました。

 

(その他)

 一般包材は、国内では、自動車部品関連等、全般的に堅調であったことから、売上は増加しました。中国では、各種部品関連の需要獲得により売上は増加しました。

 これらの結果、その他の売上高は6,295百万円(前期比9.0%増)、営業利益は156百万円(同13.0%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,959百万円増加し129,229百万円となりました。

 流動資産は、326百万円減少し66,830百万円となりました。減少の主な要因は、現金及び預金が2,121百万円減少した一方、商品及び製品が705百万円増加したことなどによるものです。

 固定資産は、4,286百万円増加し62,399百万円となりました。増加の主な要因は、建物及び構築物(純額)が2,977百万円増加したことなどによるものです。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,923百万円増加し45,088百万円となりました。

 流動負債は、1,198百万円増加し34,344百万円となりました。増加の主な要因は、短期借入金が1,131百万円増加したことなどによるものです。

 固定負債は、2,724百万円増加し10,744百万円となりました。増加の主な要因は、長期借入金が2,256百万円増加したことなどによるものです。

 これらの結果、当連結会計年度末の純資産は84,141百万円、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ1.4ポイント減少して62.1%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、増加要因である税金等調整前当期純利益6,047百万円、減価償却費5,601百万円などに対し、減少要因である法人税等の支払額1,673百万円、たな卸資産の増加1,438百万円、売上債権の増加1,075百万円などにより、差引き7,391百万円の収入(前期比3,457百万円減少)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、工場新設等に伴う固定資産の取得による支出10,896百万円などにより、10,368百万円の支出(同2,707百万円増加)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、設備資金の調達等に伴う長期借入れによる収入6,500百万円に対し、主に営業活動によるキャッシュ・フローによる収入を充当した長期借入金の返済による支出4,233百万円、配当金の支払額1,490百万円などにより、差引き1,708百万円の収入(前期は506百万円の支出)となりました。

 

 これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,724百万円減少し、9,082百万円となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

押出事業

36,262

3.9

ビーズ事業

59,654

0.9

報告セグメント計

95,916

2.0

その他

991

18.2

合計

96,908

2.1

 (注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

    2 金額は平均販売価格により算出しております。

    3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当社グループは原則として見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

押出事業

41,388

2.8

ビーズ事業

68,449

0.3

報告セグメント計

109,837

1.2

その他

6,295

9.0

合計

116,133

1.6

 (注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

    2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、時価による測定を含め、会計上の見積りを行うに際して使用した重要な仮定は、合理的であると判断しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当社グループの当連結会計年度の経営成績等の分析・検討

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載したとおりであります。それを踏まえ、次のとおり事業全体及びセグメントごとの経営成績等に重要な影響を与えた要因や当該要因への対応について分析・検討を行っております。

 

(単位:百万円)

 

2018年3月期

2019年3月期

前期比(%)

売上高

114,284

116,133

1.6

営業利益

9,105

5,479

△39.8

経常利益

9,217

5,835

△36.7

親会社株主に帰属する

当期純利益

6,853

4,309

△37.1

 

 前期と比較した、当連結会計年度の売上高及び利益の主な定性的増減要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載したとおりですが、営業利益における定量的な増減分析によれば、前期比増加要因として、付加価値の高い製品の販売増加や製品価格改定などによる販売単価上昇(1,791百万円)、販売数量増(24百万円)、一方減少要因として、原燃料価格・運送費等の変動費単価上昇(3,551百万円)、固定費増(1,890百万円)となり、3,626百万円の大幅な減益となりました。この状況に対応し、事業全体の売上高、利益を増加させる為に、成長事業への更なる投資、顧客ニーズ追求による新規需要の掘り起こしに注力し、高付加価値製品を中心とした増販、原燃料価格変動の影響を受けにくい事業構造への転換に努めてまいります。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(押出事業)

(単位:百万円)

 

2018年3月期

2019年3月期

前期比(%)

売上高

40,245

41,388

2.8

営業利益

2,692

2,468

△8.3

 

 主に国内で事業を展開している押出事業は、需要が飽和に近づき、またニーズも多様化し高度化してきている中で、収益を伴った持続的成長を継続するために、伸び筋分野である建築・住宅向けの高断熱材、フラットパネルディスプレイ基板の輸送用緩衝材を始めとする独自技術に基づいた付加価値の高い製品の販売に注力します。

 また、食品容器等の生活資材製品においても機能性を付与した新グレードの拡販に努め、収益性向上に努めます。ユーザーに近い立ち位置で真の顧客ニーズを追求することにより、事業領域の拡大を目指します。

 

(ビーズ事業)

(単位:百万円)

 

2018年3月期

2019年3月期

前期比(%)

売上高

68,261

68,449

0.3

営業利益

7,154

3,782

△47.1

 

 発泡ポリプロピレン「ピーブロック」(英名ARPRО)は今後も大きく成長する有望な中核事業であり、その技術力とグローバルネットワークの優位性を活かし、更に差異化戦略を全地域で進め、マーケットシェアの維持拡大と顧客満足の最大化を図っていきます。また「ARGILIX」(熱可塑性エラストマー発泡ビーズ)など様々な機能をもった発泡ビーズの開発、市場展開にも注力いたします

 

(地域別の重点施策)

北米:自動車シートコア材の拡販及び自動車部品以外の用途開拓

欧州・韓国:新用途の開拓及び新たな事業の創出

台湾:新製品の投入及び自動車部品需要への対応

中国:将来の市場拡大を見据えた拠点拡大及び差異化製品投入

アセアン:成長著しいアセアン地域でのシェア拡大

 

 「スチロダイア」を代表とする発泡性ビーズ製品については、主用途である水産・農業分野不振の影響が大きいですが、「クリアポール」「エレンポールNEO」「ヒートポールGR」等の機能性共重合製品を含めたグレード開発により、顧客ニーズの追求に基づく建材・土木、自動車及び新規分野への需要拡大に注力すると共に、原材料価格の変動の影響を受けにくい事業への転換に努めます。

 

(その他)

(単位:百万円)

 

2018年3月期

2019年3月期

前期比(%)

売上高

5,777

6,295

9.0

営業利益

138

156

13.0

 

 一般包材は、設計力を活かした自動車・IT部品等の物流資材需要の取り込みによる売上増加、特徴のある包装資材提供による利益向上に努めます。

 

b.当社グループの資本の財源及び流動性について

 当社グループの運転資金及び設備資金等の充当につきましては、自己資金及び金融機関からの短期及び長期の借入金を基本とし、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保しております。

 また、当社グループ内において、資金の有効活用を目的とした、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)及びタームローンを実施しております。

 当連結会計年度末現在、借入金残高は、長期借入金7,969百万円、1年内返済予定の長期借入金3,921百万円、短期借入金7,497百万円となっております。

 なお、2020年3月期の設備投資計画は12,800百万円を計画しており、内訳は、増産及び競争力強化のための投資が4,000百万円、維持投資が8,800百万円となっております。セグメントごとの設備投資計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載しております。

 当連結会計年度の財政状態及びキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況及び③キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。

 

c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状態を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、長期ビジョン『VISION2027』実現の第1ステップである中期経営計画「Deeper & Higher 2020」(第61期から第63期)において、「成長戦略の推進」、「差異化戦略の推進」に加え「経営基盤の強化」を基本方針とし、社会から必要とされる企業として、収益を伴った成長を目指しております。

 本中期経営計画の初年度において、「成長戦略の推進」として、海外においては、中国における開発・製造能力の拡充、台湾における自動車シートコア材生産等に向けた倉庫棟建設、欧米における生産能力増強を実行しました。日本においては、兵庫県たつの市の関西工場に「ミラフォーム」新工場建設、三重県四日市市の四日市第二工場に「ピーブロック」自動車シートコア材向け成型工場増設など伸び筋分野への設備投資に注力しました。「ミラマットA(エース)」を中心とした機能性発泡ポリオレフィンシート製品については、更なる高機能化によるフラットパネルディスプレイ関連保護材需要の拡大に努めました。

 「差異化戦略の推進」として、現行事業では「スチレンペーパー」における電子レンジ加熱対応の耐熱発泡シートの更なる機能性付与や、「スチロダイア」を中心とした発泡性ビーズ製品における顧客ニーズの追求に基づくグレード開発、需要開拓に注力しました。

 「経営基盤の強化」としては、人材育成を通じた全員参加の意識醸成や安全衛生・環境保全、コーポレート・ガバナンスの強化に努めました。

 事業環境として、世界経済は、全体としては堅調を維持しましたが、第4四半期連結会計期間において景気減速の傾向が強まりました。また一部地域では、需要減少や販売競争激化となりました。一方原燃料価格に影響する原油価格(ドバイ)は、当初計画前提でも、前期比16%高の65米ドル/バーレルとしていましたが、実績は更に高騰し、前期比24%高の69.4米ドル/バーレルとなりました。

 その結果、売上高については、主に販売数量が計画に届かなったことにより計画を下回りました。営業利益については、販売数量の未達に加え原燃料価格上昇に対する価格改定が十分達成できなかったことが大きく影響し、計画を大きく下回りました。

 

(単位:百万円)

 

第61期 当初計画

第61期 実績

達成率

売上高

120,000

116,133

96.8%

営業利益

9,500

5,479

57.7%

営業利益率

7.9%

4.7%

59.6%

原油価格(ドバイ)

 65米ドル/バーレル

69.4米ドル/バーレル

為替

105円/米ドル

110.4円/米ドル

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(提出会社)

(1)資本業務提携に関する契約

 当社は、2015年2月、三菱瓦斯化学㈱との間で、両社の収益力の強化、新規事業の創出・育成や経営効率の改善等を図ることにより、両社のシナジーを実現し、それぞれの企業価値を向上させ、以てグループ企業価値の向上を図ることを目的として、資本業務提携に関する基本合意書を締結しております。

 

(2)技術導入契約

契約締結先

契約年月日

契約内容

対価

契約期間

Sealed Air Corporation

(米国)

1987年11月20日

2017年1月1日

(改訂)

共押出合成樹脂空気緩衝材の製造に関する特許実施権及びノウハウの取得

ランニングロイヤリティ

2020年12月31日まで

AFM Corporation

(米国)

1999年11月6日

2006年1月1日

(改訂)

パフォームガード用EPSの指定材料の認定取得

ランニングロイヤリティ

2006年12月31日まで

以後1年毎の自動延長

(注) 対価として一定料率のロイヤリティを支払っております。

 

(3)技術供与契約

契約締結先

契約年月日

契約内容

対価

契約期間

Sealed Air Ltd.

(英国)

2017年1月1日

発泡ポリエチレンシート及び発泡ポリエチレン異型体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与

ランニングロイヤリティ

2019年12月31日まで

JSP International

Group LTD.

(米国)

1985年11月18日

2009年1月1日

(改訂)

ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与

ランニングロイヤリティ

2013年12月31日まで

以後1年毎の自動延長

JSP International

S.A.R.L.

(フランス)

1985年11月18日

2017年11月28日

(改訂)

ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与

ランニングロイヤリティ

2017年12月31日まで

以後1年毎の自動延長

JSP International

de Mexico S.A.de C.V.

(メキシコ)

1985年11月18日

2009年1月1日

(改訂)

ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与

ランニングロイヤリティ

2013年12月31日まで

以後1年毎の自動延長

Taiwan JSP

Chemical Co.,LTD.

(台湾)

1992年9月10日

2017年11月7日

(改訂)

ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与

ランニングロイヤリティ

2017年12月31日まで

以後1年毎の自動延長

Taiwan JSP

Chemical Co.,LTD.

(台湾)

2016年5月1日

2019年4月25日

(改訂)

ポリエチレン・ポリスチレン複合樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与

ランニングロイヤリティ

2019年4月30日まで

以後1年毎の自動延長

JSP Foam Products

PTE.LTD.

(シンガポール)

1996年8月1日

2009年1月1日

(改訂)

ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与

ランニングロイヤリティ

2011年12月31日まで

以後1年毎の自動延長

韓国特殊素材㈱

(韓国)

2003年1月1日

2017年1月1日

(改訂)

ポリオレフィン樹脂発泡体等の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与

ランニングロイヤリティ

2019年12月31日まで

JSP Plastics

(Wuxi) Co.,LTD.

(中国)

2005年7月1日

2019年1月1日

(改訂)

ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与

ランニングロイヤリティ

2021年12月31日まで

JSP International

SRO

(チェコ)

2006年1月1日

2017年11月28日

(改訂)

ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与

ランニングロイヤリティ

2017年12月31日まで

以後1年毎の自動延長

 

契約締結先

契約年月日

契約内容

対価

契約期間

JSP Plastics

(Dongguan) Co.,LTD.

(中国)

2012年8月1日

2019年1月1日

(改訂)

ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与

ランニングロイヤリティ

2021年12月31日まで

JSP Plastics

(Wuhan) Co.,LTD.

(中国)

2017年1月1日

2019年1月1日

(改訂)

ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与

ランニングロイヤリティ

2020年4月30日まで

(注)対価として一定料率のロイヤリティを受取っております。

 

(4)合弁事業関係

契約締結先

契約年月日

契約内容

摘要

張 仁垣 他5名

(韓国)

1991年2月6日

ポリオレフィン樹脂発泡体の製造・販売に関する合弁事業

合弁会社名

KOSPA㈱

当社出資比率 50.00%

冠仲投資有限公司

(台湾)

1991年10月1日

ポリオレフィン樹脂発泡体の製造・販売に関する合弁事業

合弁会社名

Taiwan JSP Chemical Co.,LTD.

当社出資比率 90.00%

伊藤忠(中国)集団

有限公司 他1名

2002年7月15日

エンジニアリング・プラスチックの製造・販売に関する合弁事業

合弁会社名

JSP Plastics (Wuxi) Co.,LTD.

当社出資比率 85.10%

蔡 東錫 他5名

(韓国)

2003年1月1日

ポリオレフィン樹脂発泡体の製造・販売に関する合弁事業

合弁会社名

韓国特殊素材㈱

当社出資比率 50.00%

伊藤忠商事(香港)

有限公司

2006年10月31日

高機能発泡樹脂の開発、生産、販売に関する合弁事業

合弁会社名

JSP Plastics (Dongguan) Co.,LTD.

当社出資比率 98.35%

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、省エネ・省資源など地球エネルギー資源の保護及び地球環境への配慮を基本として、社会・市場からの要求を先取りし、ユーザーから信頼される製品を提供できるよう研究開発活動を進めております。

 研究開発は二つの研究所(鹿沼研究所及び四日市研究所)を拠点として、各事業部の開発部門、生産技術部門及び国内外関係会社との連携、更には社外関係先との協業を図りながらグローバルな視点で行われております。両研究所は当社グループの中核技術である発泡技術と関連する得意技術を活用して、現行製品の品質・性能の改善及び新たな高機能製品群の開発に取り組んでおります。主として、鹿沼研究所は押出発泡技術、四日市研究所はビーズ発泡技術を駆使して新技術、新製品の開発を進めております。更に、開発された新技術、新製品は、戦略的かつ速やかな特許出願により知的財産権の確保に努めております。

 当連結会計年度における当社グループの支出した研究開発費の総額は売上高の1.9%に相当する2,155百万円であり、各セグメントの内訳は、押出事業が716百万円、ビーズ事業が792百万円、各報告セグメントに帰属しない全社費用が646百万円であります。

 

 セグメントごとの研究開発活動の概要は次のとおりであります。

 

(押出事業)

 長年進化を続けた押出発泡技術をベースに環境対応、市場からの多様なニーズにマッチした製品或いはニーズを先取りする製品の早期開発に努めております。

 食品包装分野では、需要が拡大している電子レンジ対応容器向けに新たな価値を付加した耐熱発泡ポリスチレンシートを開発しております。また通常の発泡ポリスチレンシートについても更なる軽量化に対応できるよう開発を進めております。またディスプレイ資材分野・産業資材分野では、需要拡大を目的として、多様な素材をベースとした様々な機能を持つ発泡シートを開発しております。建築分野の断熱材市場においては、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様の住宅が急増した事もあり、高性能発泡ポリスチレン断熱材である「ミラフォームΛ(ラムダ)」の需要が年々増大しております。更なる市場拡大の為に、低熱伝導率化技術の改良や、新高性能断熱材の開発を引き続き進めております。そしてそれらを市場投入していくことにより、省エネルギー社会へのより一層の貢献を目指してまいります。

 また、無発泡の分野においてはアンティークガラス調の樹脂板の開発に成功いたしました。重く割れやすいアンティークガラスの一部代替として販売拡大を期待しております。

 

(ビーズ事業)

 当社グループの得意とする懸濁重合、ダイレクトビーズ発泡、ビーズ成形等の技術を活かした高機能性製品群の開発、拡充に取り組んでおります。

 高度化、多様化するグローバルな市場要求に応えるため、ポリスチレン、ポリオレフィンといった従来の発泡素材をベースに耐熱性や難燃性を高めたグレード開発のみならず、バイオプラスチック、エンジニアリングプラスチック、軟質系樹脂等をベースに、様々なビーズ発泡体の研究開発を進めております。また、快適環境を実現するための市場に特化した製品群、高性能断熱材料、吸音材料、水処理材料、電波吸収材料等の開発を進めております。

 ブロー成形とビーズ成形を融合した表皮一体型ビーズ発泡体「スーパーブロー」に関しては、軽量かつ高強度という特性を形状設計技術により深化させ、既存の住宅設備やフロート分野に加え、国内外を問わず自動車分野等へのアプローチを拡大しております。

 ブロー成形と押出発泡を組み合わせた発泡ブロー成形品「スーパーフォーム」に関しては、軽量性、断熱性、消音性の特性から自動車及び農機のエアコンダクトに採用されております。特に自動車用では、国内での採用車種が一層増えているとともに、海外からのアプローチも増えつつあります。新たな用途・分野拡大の為、高機能品の開発を引き続き進めてまいります。