当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)会社の企業理念
当社グループは、「創造的行動力による社会への貢献」を企業理念とし、コア事業である発泡樹脂製品及び新しい素材を用い、省資源・省エネルギーで社会生活の利便性向上に寄与する価値を、社会に提供していくことを使命としております。
(2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標
a.長期ビジョン
第61期(2019年3月期)スタートにあたり、10年スパンの長期的な方向性を示す『VISION2027』を策定しました。長期ビジョンでは、「顧客と消費者に感動を届ける」、「株主と地域社会に満足を届ける」、「社員一人ひとりがワクワク感を持って仕事をする」など、すべてのステークホルダーに感動と満足を届けることの意を込め、新しい経営方針「Deliver with WOW!」を定め、将来のありたい姿を「真のグローバルサプライヤーとして社会から必要とされる企業」とし、海外市場に目を向けた地理的拡大、独自技術の強みを活かした新規需要の掘り起こしや周辺領域への事業拡大などを積極的に推進してまいります。
(経営方針) 「Deliver with WOW!」
・VISION2027の基本方針
①既存事業の強化・拡大
②事業領域の拡大
③経営基盤の強化
・2027年度の定量的ビジョン
売上高 180,000百万円、営業利益 18,000百万円、営業利益率 10%
・進むべき事業領域
(ⅰ)ARPRO事業、(ⅱ)建築住宅断熱材、(ⅲ)フラットパネルディスプレイ表面保護材、(ⅳ)新たな事業領域(新規事業創出及びM&Aとして売上高30,000百万円規模を目指します)の4つの成長エンジンを、今後の進むべき事業領域として位置付けました。
b.中期経営計画「Change for Growth 2026」(第67期~第69期)について
第67期から第69期を実行期間とする中期経営計画「Change for Growth 2026」では、「グループ全体の収益力強化」を基本コンセプトの第一に掲げ、市場環境の変化のみに頼らない主体的な持続的成長を目指すと同時に、資本効率を意識した経営を実施してまいります。また、前中期経営計画において推進してきたサステナビリティ経営を更に突き詰める必要があります。カーボンニュートラルに向けた世界的気運の更なる高まり、人的資本への対応など、非財務分野への更なる対応に関する社会的要求が高まっていることは周知のとおりです。また、環境対応力の高さを今後の成長の源泉として位置付けており、循環型経済への転換を積極的に推進していきます。また、「経営基盤の強化」として、前中期経営計画において人事制度の見直しを検討してきました。2024年度より、当社は新人事制度として、年齢や勤続年数を重視した制度から、職責や期待する役割・能力を重視した制度へ移行し、運用が始まりました。多様化するキャリアパスへの対応や専門性が活かされる仕組みづくりを含め、「働きがいのある企業風土の醸成」に取り組みます。
・基本コンセプト
「グループ全体の収益力強化」
「発泡樹脂製品による社会への貢献」*
「経営基盤の強化」
① 人材育成の強化
② 労働安全と環境保全
③ コーポレート・ガバナンスの強化
④ 情報システム基盤の強化
⑤ 働きがいのある企業風土の醸成
⑥ 人材の多様性
*「発泡樹脂製品による社会への貢献」とは、前中期経営計画における基本コンセプトの一つ「経済価値だけでなく、顧客や社会の課題解決などの社会的価値へと提供価値を拡大」と同じ考え方です。
・最終年度/第69期(2027年3月期)の定量目標と前提条件
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<定量目標> |
売上高 160,000百万円、営業利益 10,000百万円、営業利益率 6.3% |
|
|
<前提条件> |
為替 |
:140円/米ドル、150円/ユーロ、20.0円/人民元 |
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原油価格(ドバイ) |
:90米ドル/バーレル |
(要約セグメント情報)
(単位:百万円)
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事業の種類 |
第67期 実績 |
第69期 中期計画 |
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売上高 |
営業利益 |
売上高 |
営業利益 |
|
|
押出事業 |
49,385 |
1,645 |
54,000 |
2,600 |
|
ビーズ事業 |
92,865 |
6,373 |
106,000 |
8,600 |
|
計 |
142,250 |
8,018 |
160,000 |
11,200 |
|
調整額 |
- |
△1,129 |
- |
△1,200 |
|
合計 |
142,250 |
6,888 |
160,000 |
10,000 |
(注)第67期(2025年3月期)より、セグメント情報の「その他」は、人材と資産活用の観点から親和性の高い「押出事業」と統合しております。
・設備投資計画
持続的成長及び収益性強化を目的とした戦略的投資として、メキシコのラモス・アリスペ工場の新設、インドのプネ工場の新設、チェコのヘブ工場の生産能力増強などARPRO生産能力増強のほか、自動化、省力化、省エネ化など合理化効果の高い設備投資を積極的に行います。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 成長戦略の推進における課題
・長期ビジョン『VISION2027』では、当社グループの進むべき事業領域を(ⅰ)ARPRO事業、(ⅱ)建築住宅断熱材、(ⅲ)フラットパネルディスプレイ表面保護材、(ⅳ)新たな事業領域(新規事業創出及びM&A)の4つとし、中期経営計画「Change for Growth 2026」(第67期~第69期)においても定量目標を設定し取り組んでおります。
(ⅰ)ARPRO事業
自動車生産台数の成長が鈍化しておりますが、付加価値の高い発泡ビーズ及び自動車部品を供給し市場シェアを拡大するとともに、非自動車部品分野に関しては、各地域の市場特性に対応し引き続きHVAC(*1)関連部品や輸送用通い函などへ用途拡大を目指します。また、リサイクル材への需要の高まりとARPROのグローバル対応力、開発・提案力における優位性により、市場シェア拡大を目指します。
*1 空調システムを指します。Heating(暖房)、Ventilation(換気)、Air Conditioning(空調)。
(ⅱ)建築住宅断熱材(*2)
住宅着工件数が伸び悩む中で、伸び筋分野であるミラフォームラムダやプレカット品などの高付加価値製品の拡販により収益性向上を目指します。
*2 中期経営計画より高付加価値製品の増加率で目標設定しています。
(ⅲ)フラットパネルディスプレイ表面保護材
中国国内の在庫調整と需要回復の遅れにより、販売数量は2023年度を下回りましたが、新規顧客獲得やサプライチェーンにおける新規用途開拓により増販を目指します。
(ⅳ)新たな事業領域
出資した欧州射出成形会社の売上規模拡大と国内開発案件(COREDUAL(*3)等)の事業拡大に向けた取組を推進します。
*3 2025年4月より、FOAMCORE技術を用いた製品の名称をCOREDUALとしました。
② 収益性改善における課題
・2026年3月期は、引き続き原料メーカーの労務費、生産設備維持費用、環境対応費用、物流コストの上昇による価格転嫁の圧力が高まっており、製品価格の改定を適正に行い、収益性を維持・改善することが課題です。また、グループ全体の課題として、労務費や修繕消耗費の上昇が懸念されており、コスト削減や収益性の高い製品比率を高める必要があり、同様に製品価格の改定を適正に行うことが課題です。
③ 中期経営計画の基本コンセプトに関わる課題
・2025年度の原油価格は、供給過剰と需要の低迷により、1バーレルあたり60~70ドルの範囲で推移する可能性が高いと予測されておりますが、国内においては為替レートの変動などの影響もあることから、主原料であるスチレンモノマーやポリスチレンなどの原料価格への影響を懸念しております。また、これらの原料メーカーの労務費、生産設備維持費用、物流コストの上昇による価格転嫁の圧力の高まりによる仕入原価の更なる上昇可能性、および当社グループ全体の労務費や修繕消耗費の上昇を課題として認識しております。これらの課題に対して、製品価格の適切な改定、コスト削減および販売構成の高収益製品へのシフトを推進してまいります。
・地球温暖化や海洋プラスチック問題への対応、並びにESG課題への関心の高まりを背景に、プラスチックリサイクルの推進やGHG排出量の削減といったサステナビリティ関連の取組に対する社会からの要請は一層強まっております。今後は、資源循環の更なる追求が加速していくものと見込んでおります。これらの動きに対し、当社グループは、「発泡樹脂製品による社会への貢献」を基本コンセプトの一つとして、環境対応型製品による貢献やプラスチック資源循環への貢献により、顧客や社会の課題解決に向けて取り組むべきと認識しております。
・当社は「経営基盤の強化」の一環として、「働きがいのある企業風土の醸成」を重要課題と位置付けております。2024年度より、新人事制度の運用を開始し、年齢や勤続年数に依存する従来型から、職責や期待役割・能力に基づく制度へと転換しました。これにより、多様なキャリアパスへの対応や専門性を活かした活躍の場を広げるとともに、定期的な面談等を通じて課題を可視化し、個々の成長を支援する仕組みを整備いたしました。今後は、これら制度の運用精度をさらに高め、社員一人ひとりが主体的に成長を実感できる企業風土の実現を目指してまいります。
・「経営基盤の強化」の中で、重要課題と認識している事項は「情報システム基盤の強化」です。生産工程における自動化や省力化の推進において、単なるデジタル化にとどまらず、業務プロセス全体を見直すDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や、サイバーセキュリティ対策の強化が喫緊の課題と認識しております。これらの取組を通じて、業務の効率化を図るとともに、事業継続性と情報資産の保護を推進してまいります。
④ その他の課題
・資本財務戦略として、売上高利益率の改善だけでなく、資本コストと株価を意識した取組を重要視しております。資本収益性と財務健全性を両立した資本構成に向け、バランスシートのコントロールを意識した経営運営を課題と認識しております。
・企業価値の持続的な向上には、投資家やステークホルダーとの信頼関係の強化がこれまで以上に重要となっています。そのためには、IR情報の発信力を高めるとともに、双方向の対話をより一層深めていくことが求められています。透明性と信頼性を高める情報開示と積極的なコミュニケーションを通じて、持続可能な企業価値の実現に向けた基盤づくりが不可欠と認識しております。
・少子高齢化に伴う労働人口の不足、デジタル革命が進む中で専門性の高い特定分野の人材不足など、適時に人材を確保することが年々厳しくなっております。組織の活性化・効率化を推進するとともに、人的資本経営を意識した人材育成システムの充実化を図り、グローバル企業として更なる組織強化に努めてまいります。また、生産工程の短縮、製造ラインの自動化などの対策を実施することで、人手不足解消に努めてまいります。
・持続的な成長を実現するためには、イノベーションの創出とそれを支える技術の事業化がこれまで以上に重要と
なっています。そのため、研究開発部門と新事業開発部門の連携を一層強化し、社内の基礎技術や社外の先進技術を活用した新たな価値創出に取り組む体制の強化が求められています。技術力を成長エンジンへとつなげていく仕組みづくりが、今後の重要な課題であると認識しております。
(1) サステナビリティに関する考え方及び取組
当社グループは、サステナビリティ経営により、経済価値だけでなく、顧客や社会の課題解決などの社会的価値へと提供価値を拡大することで、社会に必要な企業として、ステークホルダーからの理解及び信頼並びに共感を獲得するということを基本コンセプトとしております。当社グループは、「創造的行動力による社会への貢献」の企業理念に基づき、環境・社会・企業統治の各要素を当社グループの経営諸活動に織り込むことで、リスクの減少と収益機会の獲得を図り、当社グループのビジネスモデルの持続可能性を高めることで、更なる企業価値の向上に取り組んでおります。
① ガバナンス
当社グループでは、全社サステナビリティ推進体制によりサステナビリティ対応に取り組んでおります。社長を議長とする取締役会が、経営諸活動におけるサステナビリティ関連のリスク及び機会について監督を行い、ガバナンスの役割を担っております。
② リスク管理
当社グループは、執行役員会が経営諸活動におけるサステナビリティ関連のリスク及び機会を管理する役割を担っております。また、2024年度を初年度とする中期経営計画において「発泡樹脂製品による社会への貢献」、「経営基盤の強化」を基本コンセプトに掲げており、サステナビリティ経営として取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、それらに関わるリスクと機会を把握することで、リスク管理を実施しております。
③ 戦略
当社グループのサステナビリティ基本方針は、「創造的行動力による社会への貢献」を企業理念として、環境・社会・企業統治の各要素における企業責任を強く意識し、持続的な企業価値の向上を目指すことです。当社グループは、サステナビリティ上のマテリアリティを定めることにより、経営戦略にサステナビリティ課題への対応を織り込み、戦略を実行しております。
(当社グループのマテリアリティ一覧表)
|
要素 |
マテリアリティ |
|
Creating Shared Value:CSV (共通価値の創造) |
1.環境対応型製品による貢献 2.プラスチック資源循環への貢献 3.気候変動緩和への貢献 4.食と健康への貢献 5.安全への貢献 |
|
E(環境) |
1.地球環境保全への対応 |
|
S(社会) |
1.人材育成の強化 2.働きがいのある企業風土の醸成 3.人材の多様性 4.労働安全 5.情報システム基盤の強化 |
|
G(企業統治) |
1.コーポレート・ガバナンスの強化 |
④ 指標及び目標
当社グループは「
a.「環境対応型製品による貢献」「プラスチック資源循環への貢献」「気候変動緩和への貢献」については、当社グループの発泡樹脂製品の断熱性、軽量性、省資源性、衝撃吸収性、リサイクル性などの様々な機能に優れているという特徴を活かし、対象製品の販売重量を指標及び目標として設定したうえで、目標に向けて当社グループの発泡樹脂製品の販売を積極的に推進しております。
b.「地球環境保全への対応」については、法規制その他の基準を順守し、環境保全に努めるとともに、環境マネジメントシステムの継続的改善を実施し、環境パフォーマンスの向上に努めております。取組状況については
c.「人材育成の強化」「働きがいのある企業風土の醸成」「人材の多様性」「労働安全」については、
d.「情報システム基盤の強化」については、ネットワークのセキュリティ強化をはじめ、デジタル技術活用による業務効率化の推進や、デジタル人材育成の体制の構築等に取り組んでおり、設定した目標に向けて積極的に進めております。
e.「コーポレート・ガバナンスの強化」については、
(2) 気候変動に関する考え方及び取組
グローバル化による経済発展の一方、気候変動等の環境問題は、我々の生活を含め、地球、動植物に様々な影響を及ぼしております。当社グループは「創造的行動力による社会への貢献」の企業理念に基づき、グローバル企業として環境に関する大きな責任を率先して引き受け、2050年までのカーボンニュートラルの達成を目指し、当社グループの技術力により、リサイクル・環境負荷低減・バイオ由来の製品開発を促進し、環境と社会に配慮した製品を提供することで、サステナビリティ社会の実現に向けて貢献します。
① ガバナンス
当社グループの気候変動に関するガバナンスについては、「
② リスク管理
当社グループの気候変動に関するリスク管理については、
③ 戦略
当社グループの気候変動に関する戦略は、シナリオ分析の実施により策定しております。当社グループはシナリオとして、世界の平均気温上昇が産業革命以前に比べて1.5℃に抑制するシナリオ(1.5℃シナリオ)と、世界の平均気温が産業革命以前に比べて4℃上昇するシナリオ(4℃シナリオ)を用いております。またシナリオに基づき分析されたリスクと機会から理論上導出されるビジネスモデルにおける影響の評価及び対応策について検討しております。
(当社グループの気候変動における戦略)
|
戦略1 |
環境対応型製品のよりいっそうの普及により、気候変動緩和に貢献する |
|
戦略2 |
リサイクル活動の推進により、プラスチック資源の循環に貢献する |
|
戦略3 |
温室効果ガス(以下、GHG)排出削減とエネルギーの効率的利用により、気候変動緩和に貢献する |
(1.5℃シナリオにおける移行リスクと機会の一覧表)
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移行リスク |
影響評価 |
対応策 |
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政策 |
炭素価格の上昇 |
操業コストの増大 |
省エネ推進によるGHG排出量削減 |
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再生エネルギー導入の促進 |
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|
物流最適によるGHG排出量削減 |
|||
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再生資源の使用割合基準の導入 |
再生原料争奪によるコスト増大 |
再生原料購入の分散化 |
|
|
再生原料使用製品の開発強化 |
|||
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技術 |
競合素材との競争激化 |
既存製品の収益悪化 |
マテリアル・リサイクルの更なる促進 |
|
業界団体としてのケミカル・リサイクルへの取組 |
|||
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環境負荷(GHG排出量、水使用量等)の評価低減と情報発信 |
|||
|
バイオ由来製品開発の促進 |
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市場・評判 |
原料価格の急激な変動、化石由来原料へのネガティブイメージの形成 |
既存事業の収益悪化 |
マテリアル・リサイクルの更なる促進 |
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気候変動対応製品によるGHG排出量削減情報の発信強化 |
|||
|
環境貢献製品の情報発信強化 |
|||
|
製品LCAの算定と情報発信強化 |
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|
リサイクルチェーンの構築強化 |
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機会 |
機会獲得製品及び工法 |
|
住宅の省エネルギーに貢献する製品需要増加 |
ミラフォーム、ミラフォームラムダ |
|
リサイクル関連製品市場の拡大 |
ARPRO RE、ARPRO RE OCEAN、ARPRO REvolution、 エルブロックエースRE、ミラピール、エコロダイア |
|
EV市場拡大に伴う軽量部材の需要増大 |
ARPRO、ARPRO LC |
|
バイオ由来製品需要の増加 |
ミラブロック-Bio、LACTIF、ミラマットA-Bio |
|
効率的・拠点連携型都市における省エネ工事・短縮工期需要増加 |
J-ウォールブロック、フォームサポート工法、 |
|
三層緩衝構造、スチロダイアブロック |
(4℃シナリオにおける物理的リスクと機会の一覧表)
|
物理的リスク |
影響評価 |
対応策 |
|
気温上昇に伴う気象災害の激甚化 |
工場操業への影響拡大 |
BCP整備、浸水防御壁等の災害対策整備、気象被災に対する付保 |
|
輸送への影響拡大 |
原料購入の分散化 |
|
|
渇水 |
工場操業への影響拡大 |
水使用量削減・循環による製造方法の構築強化 |
|
機会 |
機会獲得製品及び工法 |
|
気象災害被害の回復貢献としての土木建築需要増加 災害対策強化としての土木補強、長寿命化需要の増加 |
J-ウォールブロック、三層緩衝構造、 スチロダイアブロック、ミラロード |
④ 指標及び目標
当社グループは、GHG排出量の削減目標を定め、グローバル企業として着実な削減に向けて取り組んでおります。
なお、2050年のカーボンニュートラルの達成のためには、日本が現在技術確立に取り組んでいるCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage.CO2を回収し大気中に放出させないための回収・有効利用・貯蓄の技術)が社会に実装され、また各電力会社が化石燃料からGHGを排出しない非化石燃料に電源を変更する等の前提があることを付記します。当社グループのGHG排出量の削減における指標及び目標は次のとおりです。
(GHG排出量の目標 当社グループの Scope1+Scope2)
(単位:千t-CO2)
|
|
2030年度 目標 |
|
GHG排出量 |
186 |
(GHG排出削減率の目標 当社グループの Scope1+Scope2)
|
指標 |
2030年度 目標 |
2050年度 目標 |
|
GHG排出削減率 2013年度実績比 |
15%以上削減 |
実質ゼロ |
|
GHG排出原単位削減率 2013年度実績比 |
30%以上削減 |
(注)1 原単位 = 年間GHG排出量(t-CO2) ÷ 年間販売数量(t)
2 当年度よりGHG排出量の開示単位を1,000トン単位に変更しております。
3 1トン単位で集計後、1,000トン単位に換算する際に千t-CO2未満を切り捨てて表示しております。
当社グループGHG排出量実績推移の最新情報や詳細データは、当社ホームページ及びCorporate Reportをご参照ください。
(3) 人的資本に関する考え方及び取組
当社グループは、人的資本を経済的価値と社会的価値の創出のための源泉と位置付けております。経営方針「Deliver with WOW!」で示すように、「社員一人ひとりがワクワク感を持って仕事をする」ことが創造的な行動力となり、「顧客と消費者に感動を届ける」こと、また「株主と地域社会に満足を届ける」ことを果たすことで、長期ビジョンである『VISION2027』「真のグローバルサプライヤーとして社会から必要とされる企業」となり、企業理念である「創造的行動力による社会への貢献」を実現します。
① ガバナンス
当社グループの人的資本に関するガバナンスは、
② リスク管理
当社グループの人的資本に関するリスク管理は、
③ 戦略
人材育成方針として、企業の発展には、社員一人ひとりの成長が欠かせないと考え、新卒及びキャリア採用者に対する入社研修をはじめ、若手中堅社員研修及び主任研修を実施しております。また、部下がワクワク感をもって仕事をし、活躍する組織にするためには、中間管理職及び上級管理職に対するマネジメントのスキルアップを目的とした、階層教育、研修機会の充実による人材育成の強化が重要と考えております。
社内環境整備として、育児と仕事の両立のため、男性育児休暇の取得率を上げていくこと、個人のキャリアパスを考慮した人材配置に努めることでエンゲージメントの向上を図り、働きがいを感じられる企業風土を醸成していきます。
また、男性/女性、若手/高齢者、キャリア採用、障がい者等、全ての従業員が活躍し続けられるよう、多様な人材の採用・雇用を進め、職場環境として、災害の発生がなく従業員が安心して働ける職場づくり、従業員のメンタルヘルスケア等、労働安全に努めております。
④ 指標及び目標
当社グループでは、サステナビリティ経営において人的資本を重要事項として位置付け、マテリアリティを定めております。人的資本に関するマテリアリティは、「人材育成の強化」、「働きがいのある企業風土の醸成」、「人材の多様性」、「労働安全」であり、指標及び2024年度実績、2025年度並びに2026年度の目標は以下のとおりです。
(人的資本に関するマテリアリティの指標及び目標)
|
マテリアリティ |
項目 |
指標 |
2024年度実績 |
|
2026年度目標 |
|
人材育成の強化 |
研修と教育の充実 (JSP単体)※1 |
階層別研修費用増加率 (2023年度実績比) |
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15.0%増 |
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働きがいのある 企業風土の醸成 |
男性育児休暇取得の推進 (JSP単体)※1 |
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60.0%以上 |
|
エンゲージメントの向上 (JSP単体)※1 |
エンゲージメント 指数 |
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|
51.0 |
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人材の多様性 |
女性管理職登用の推進 (JSP単体)※1 |
|
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10.0% |
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キャリア採用の維持推進 (JSP単体)※1 |
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|
維持推進 |
維持推進 |
|
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障がい者雇用の維持推進 (JSP単体及び特例子会社のJSPモールディング(株))※1 |
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5.0%以上維持 |
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労働安全 |
休業災害の未然防止 |
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0件 |
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|
|
|
0件 |
※1 当該指標及び目標は、各連結子会社の規模・制度が異なり、統一的な指標及び目標を設定することが困難であるため、2024年度については、当社単体の記載としております。
※2 障害者の雇用の促進等に関する法律第43条第7項により報告した2024年6月1日時点の障害者雇用状況報告書に基づいております。
当社グループは毎年リスクアセスメントを実施し、リスクの特定、分析、評価を行い、リスク顕在化の未然防止及び低減に努めております。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー等に影響を及ぼす可能性がある主要な事業等のリスクは以下のとおりであります。これらの事業等のリスクは、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、全てのリスクを網羅したものではなく、リスクアセスメントの結果を加味して投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しております。
(1) 事業(外部)環境に関するリスク
① 主要市場環境の変化
当社グループは、2025年3月期から2027年3月期の3ヶ年を実行期間とする中期経営計画「Change for Growth 2026」を2024年4月よりスタートしました。本計画の対象期間は、10年スパンのありたい姿を定めた長期ビジョン『VISION2027』の最終段階であり、ありたい姿である「真のグローバルサプライヤーとして社会から必要とされる企業」の実現に向け、大きな転換期とする3ヶ年であると認識しております。
本計画では、基本コンセプトのひとつの柱として「グループ全体の収益力の強化」を掲げ、事業領域の拡大、事業地域の拡大を目指してまいります。前中期経営計画に引き続き、「ARPRO事業」「建築住宅断熱材」「フラットパネルディスプレイ表面保護材」を持続的成長の原動力として位置付け、数量拡大に加え高付加価値製品の販売に注力することで利益率向上を図り収益拡大を目指す計画としておりますが、需要や経済情勢、技術動向、法規制の改定等、様々な要因による市場環境の変化によっては計画どおりに進まない可能性があります。2026年3月期については、米国の保護主義的な通商政策の導入により、需要の先行きに不透明感が増しています。
当社グループは、市場環境の変化に対応するため、上記既存事業に加え新しい事業領域への展開を進めてまいります。また、環境問題への意識の高まりに対し、サステナビリティ経営に軸足を置いた変革戦略を進め、循環型経済に対応した製品とサービスの提供に努めてまいります。
② 海外事業展開に関するリスク
当社グループは、北米、南米、欧州、アジアの各地域で広く事業を展開しておりますが、各地域の政治的または経済的要因、環境規制等による投資許可、移転価格税制上の問題、社会情勢の変化や各種規制の動向、労働争議、人材確保の困難さ、為替レートの変動等が各地域の事業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当社グローバル事業部が各拠点のPDCAサイクルを管理することでリスク低減に努めております。また、グループガバナンス強化として内部統制機能の更なる充実化を図ってまいります。
③ 価格競争の激化
当社グループの製品群はライフサイクルの長いものもあり、多くの製品は厳しい価格競争に晒されています。特にアジア地域では、現地企業の参入や台頭など様々な要因により今後も厳しい価格競争が予想されます。
当社グループは、コスト低減に注力するとともに、高付加価値製品シフトによる競合優位性を維持拡大することで適正な利益率の確保に努めてまいります。
④ 原燃料価格等の変動
当社グループの使用する原料や燃料は、原油及びナフサ価格の変動に大きく影響されるため、価格が大きく変動することがあります。当社グループの場合、原燃料価格が上昇する局面において、製品価格への反映の遅れなどにより業績の悪化を招き易い傾向にあります。
2026年3月期は、米国と中国の間で続く貿易摩擦が世界経済に不確実性をもたらし、原油需要の伸びを抑制しており、またOPECプラスの増産計画により供給過剰が懸念されていることから、原油価格は軟化傾向にあります。原燃料価格の下落により、当社グループの製品販売価格の値下げ要請が高まると予想されます。
当社グループは、原燃料価格変動に影響を受けない経営基盤構築として、適時に製品価格に反映するため取引先との価格のフォーミュラ化を推進するとともに、コスト低減に努めてまいります。
(2) 事業運営に関するリスク
① 人材の確保について
少子高齢化に伴う労働人口の不足、デジタル革命が進む中で専門性の高い特定分野の人材不足など、適時に人材を確保することが年々厳しくなっております。また、人手不足は生産・物流面でコストアップの大きな要因になりつつあり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、長期ビジョン『VISION2027』の基本方針「経営基盤の強化」の中で、人材育成を経営の重要課題のひとつとして捉え、人材育成システムの充実化を図り、グローバル企業として更なる組織強化に努めてまいります。また、生産工程の短縮、製造ラインの自動化などの対策を実施することで、人手不足解消に努めてまいります。
なお、人的資本に関する具体的な取組については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
② 感染症拡大(パンデミック)に関するリスク
感染症や伝染病などの拡大に伴い、当社グループの従業員が感染し従業員同士の接触等により社内での感染が拡大した場合には、工場における生産及び出荷に支障をきたし、ある一定期間操業を停止する可能性があります。また、当社グループの工場が稼働可能であっても、原料の供給が停止する場合など、サプライチェーンに問題が生じると操業停止にせざるを得ない状況となるリスクがあります。
新型コロナウイルスは、ほぼ収束したものと認識しておりますが、今後も拡大する可能性はあり一定の感染対策は継続してまいります。また、新たな感染症拡大に備え、事業継続計画(BCP)の観点から本社機能の継続を想定した対策を整備しております。
③ 知的財産権について
当社グループは、国際的な特許権をはじめとして知的財産を多く保有しておりますが、これらを保護することは将来の利益確保の面でも重要です。他社から侵害を受けたり他社との間で紛争が生じたりする場合には、事業に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このリスクを回避すべく知的財産管理の統括部署である当社知的財産ユニットを中心として国内外で体制強化に努めております。
④ 品質保証について
当社グループはメーカーとして、予期せぬ品質欠陥の発生や製造物責任訴訟のリスクが想定されます。当社グループの製品は、食品容器、自動車部品、建築住宅断熱材など最終製品の部材として使用されるものが多く、品質欠陥により顧客において甚大な損害につながる可能性があります。
当社グループは、各工場で品質マネジメントシステムの認証取得を積極的に進めるなど、品質保証体制強化に努めております。
⑤ 固定資産の減損について
当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2025年3月期において、ビーズ事業に属する当社EPS事業の資産グループ及び国内連結子会社の資産グループの営業活動から生じる損益が継続してマイナスとなっていることから減損の兆候を識別しました。当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額を帳簿価額と比較した結果、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を上回ったため、減損損失の認識は不要と判断いたしました。この詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
今後、市場環境等の変化により、実際の結果が異なった場合又は、前提条件に変化が生じた場合には、翌連結会計年度において、減損損失を認識する可能性があります。
当社グループは、重要な投資に関して、当初計画から大きく乖離していないかを確認するため経営幹部の出席する主要会議で報告を求めるなど、定期的なモニタリングを実施しております。
⑥ 情報セキュリティ・情報管理について
IT技術が高度に進化する中で、予期できない水準の情報システム基盤や通信回線の重大な障害、あるいは経営に関わる機密情報の破壊・窃取が発生する可能性は完全に排除することはできません。
当社グループは、情報システムの安全性及び情報セキュリティ強化のため、関連規程を整備し、保有する情報及び情報システムにおける機密性、完全性及び可用性の確保に努めるとともに、リスク管理水準を改善するための指針を継続的に示して情報漏えい等のリスクを管理しております。また、外部からの当社グループの情報システムに対する攻撃への対応や非常時を想定した定期的な訓練を実施しております。
⑦ コンプライアンス・内部統制について
当社グループはグローバルに事業を展開する中で、世界各地域の法規制が変更されることによりその遵守が困難となり、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではなく、その遵守のための新たな費用発生や事業活動が制限される可能性があります。
当社グループは、コンプライアンスをはじめとする適切な内部統制の重要性を認識し、そのシステムを構築し運用しております。具体的には、国内外共通の企業行動準則を定めその周知徹底を図る他、グループ社員全員が利用できる内部通報制度を整備するなど、コンプライアンス体制強化に努めております。
(3) 環境・安全等に関するリスク
① 自然災害・事故災害について
当社グループは、国内外に多数の製造工場を有しており、工場における事故・労働災害、外部倉庫・製品輸送における事故、自然災害による生産設備への被害などが発生する可能性があります。
日本は自然災害の多発地域であり、当社グループの事業活動もその影響を受ける可能性があります。なかでも、発生が懸念されている南海トラフ巨大地震については、今後の発生確率が高いとされており、当社の四日市地区における工場等が被災した場合には、生産活動の停止や設備の損壊などにより、多大な損害を被る可能性があります。また、当社関西工場は山間部に立地していることから、大雨や洪水、土砂災害といった災害による被害を受けるリスクも想定されます。
これらの自然災害リスクに備えるため、当社グループでは地震保険および損害保険に加入し、万が一の損失発生時における影響の軽減を図っております。あわせて、無事故・無災害および安定供給を目標に、安全確保に向けた継続的な取組を推進しております。さらに、地震や風水害等への備えとして、災害対策マニュアルおよび事業継続計画(BCP)の策定、社員の安否確認システムの運用、防災訓練の実施など、平時からの体制整備にも努めております。
② プラスチックの環境問題について
当社グループは、発泡プラスチックの機能性・利便性を通じて、省資源・省エネルギーなど地球エネルギー資源の保護及び地球環境への配慮を基本としており、社会や市場からの要求に応えております。一方で、プラスチックは不適切な処理により海洋ゴミになり、グローバルな社会問題となっています。また、パリ協定、SDGs、ESG課題への注目を背景として、プラスチックリサイクル、他素材への転換、脱プラスチックなどの動きが活発化しています。特に、欧州においてサーキュラー・エコノミーの動きが進展しており、今後さらに資源循環を追求する動きが加速すると想定しております。これらの動きに対し、対応が不十分あるいは遅れた場合には当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
プラスチックの環境問題は、当社グループが取り組むべき重要課題(マテリアリティ)のひとつであると認識しており、環境対応型製品による社会への貢献、また廃プラスチックのマテリアルリサイクル、サーマルリサイクル、再生原料の使用などの取組を積極的に進めております。
なお、当社グループは、気候変動が当社グループに及ぼすリスクと機会やシナリオ分析、戦略、指標、目標について、当社のサステナビリティ推進体制において審議し、これを取締役会において承認しています。シナリオ分析を通じて、気候変動によるリスクを低減するとともに、リスクを事業上の機会とできるよう当社グループの事業に則した戦略を推進してまいります。気候変動に関する具体的な取組については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、ウクライナ情勢の長期化や北米の通商政策動向、欧州や中国経済の影響などにより先行き不透明な状況となりました。日本経済は、雇用・所得環境が改善するなど、緩やかな回復基調となりましたが、一方で、物価上昇や金融資本市場の変動、海外景気の下振れリスクなども懸念されています。
国内発泡プラスチック業界におきましては、原材料価格高騰などの物価上昇による影響があり、水産・農業分野向けでは需要回復の足踏み状態が継続し、自動車分野向けでは一部メーカーの生産・出荷停止の影響もあったことから、非常に厳しい状況となりました。
このような状況のもと当社グループは、新中期経営計画「Change for Growth 2026」をスタートし、3つの基本コンセプトとして、「グループ全体の収益力強化」、「発泡樹脂製品による社会への貢献」、「経営基盤の強化」を掲げ、資本収益性の向上、成長分野への経営資源の集中、環境対応型製品やプラスチック資源循環でのサステナビリティ経営など、更なる企業価値向上に取り組みました。
当社グループの経営成績は、製品価格改定などにより売上高は前期を上回りました。営業利益は、一部の付加価値の高い製品の販売が減少したことや人件費高騰などにより前期を下回りました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、142,250百万円(前期比5.3%増)となりました。利益面では、営業利益は6,888百万円(同8.9%減)、経常利益は7,311百万円(同10.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,066百万円(同20.7%減)となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度より、経営管理区分の変更に伴い、従来一般包材として「その他」に区分しておりました子会社について、「押出事業」の区分に変更しております。
なお、前連結会計年度のセグメント情報は、当該変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。
(押出事業)
食品容器用の発泡ポリスチレンシート「スチレンペーパー」を中心とした生活資材製品は、広告宣伝用ディスプレイ材「ミラボード」の販売は前期並みとなりましたが、食品トレー向け分野の販売は増加し、製品価格改定が進んだことから売上は増加しました。
産業用包装材やフラットパネルディスプレイ向けの発泡ポリエチレンシート「ミラマット」を中心とした産業資材製品は、製品価格改定を進めましたが、需要の影響により付加価値の高い製品の販売は減少し、汎用製品及び一般包材の販売も減少したことから売上は減少しました。
発泡ポリスチレン押出ボード「ミラフォーム」を中心とした建築土木資材製品は、土木分野向けの販売は減少しましたが、建築・住宅分野向けのミラフォームラムダやプレカット品などの付加価値の高い製品が好調に推移したことから売上は増加しました。
押出事業全体としては、販売は前期並みとなりましたが、製品価格改定などもあり売上は増加しました。利益面では、産業資材製品及び土木分野向けの販売が減少したことにより減益となりました。
これらの結果、押出事業の売上高は49,385百万円(前期比3.4%増)、営業利益は1,645百万円(同24.0%減)となりました。
(ビーズ事業)
世界各国で製造販売している発泡ポリプロピレン「ARPRO」を中心とした高機能材製品は、非自動車分野は好調に推移しましたが、自動車分野での需要の影響により販売は前期並みとなりました。売上につきましては、製品価格改定などから増加しました。
地域ごとの販売数量概況は、国内では、非自動車分野は増加しましたが、自動車分野では一部メーカーの生産・出荷停止の影響により減少しました。北米では、通い函や競技用グラウンド基礎緩衝材などの非自動車分野が好調に推移しましたが、自動車分野では需要の影響により減少しました。南米では、自動車分野は増加しました。欧州では、HVAC向けは需要の影響により減少しました。中国及び台湾では、包装材分野は増加しました。一方、東南アジアでは、自動車分野及び包装材分野が減少しました。
発泡性ポリスチレン「スチロダイア」を中心とした発泡性ビーズ製品は、水産・農業・土木分野などでの需要の影響により販売は減少したことから売上は減少しました。
ビーズ事業全体としては、販売は前期並みとなりましたが、製品価格改定などから売上は増加しました。利益面では、固定費削減に努めたものの、人件費高騰の影響により減益となりました。
これらの結果、ビーズ事業の売上高は92,865百万円(前期比6.4%増)、営業利益は6,373百万円(同2.6%減)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,330百万円増加し153,936百万円となりました。
流動資産は、538百万円増加し78,694百万円となりました。増加の主な要因は、現金及び預金が1,906百万円減少したものの、原材料及び貯蔵品が2,361百万円増加したことなどによるものです。
固定資産は、1,791百万円増加し75,241百万円となりました。増加の主な要因は、建設仮勘定が1,812百万円増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,455百万円減少し48,080百万円となりました。
流動負債は、1,772百万円減少し33,993百万円となりました。減少の主な要因は、短期借入金が1,266百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が1,214百万円、電子記録債務が1,107百万円減少したことなどによるものです。
固定負債は、1,682百万円減少し14,087百万円となりました。減少の主な要因は、長期借入金が2,024百万円減少したことなどによるものです。
これらの結果、当連結会計年度末の純資産合計は105,855百万円、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.8ポイント増加し65.6%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、増加要因である税金等調整前当期純利益7,213百万円、減価償却費7,843百万円、売上債権の減少額2,900百万円などに対し、減少要因である棚卸資産の増加額2,540百万円、仕入債務の減少額2,783百万円、法人税等の支払額2,095百万円などにより、差引き8,896百万円の収入(前期比6,768百万円減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出8,147百万円などにより、8,611百万円の支出(同555百万円増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入3,800百万円などに対し、主に営業活動によるキャッシュ・フローによる収入を充当した長期借入金の返済による支出6,055百万円、配当金の支払額2,096百万円などにより、差引き3,833百万円の支出(同4,616百万円減少)となりました。
これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,725百万円減少し、11,927百万円となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比増減率(%) |
|
押出事業 |
41,866 |
5.2 |
|
ビーズ事業 |
78,078 |
5.8 |
|
合計 |
119,945 |
5.6 |
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 金額は平均販売価格により算出しております。
3 当連結会計年度より、報告セグメントの区分の変更を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
4 前期比増減率(%)は、前年同期の数値をセグメント変更後に組み替えて算出しております。
b.受注実績
当社グループは原則として見込生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比増減率(%) |
|
押出事業 |
49,385 |
3.4 |
|
ビーズ事業 |
92,865 |
6.4 |
|
合計 |
142,250 |
5.3 |
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度より、報告セグメントの区分の変更を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
3 前期比増減率(%)は、前年同期の数値をセグメント変更後に組み替えて算出しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当社グループの当連結会計年度の経営成績等の分析・検討
当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載したとおりであります。それを踏まえ、次のとおり事業全体及びセグメントごとの経営成績等に重要な影響を与えた要因や当該要因への対応について分析・検討を行っております。
(単位:百万円)
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
前期比(%) |
|
売上高 |
135,051 |
142,250 |
105.3 |
|
営業利益 |
7,563 |
6,888 |
91.1 |
|
経常利益 |
8,127 |
7,311 |
90.0 |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
6,391 |
5,066 |
79.3 |
前期と比較した、当連結会計年度の売上高及び利益の主な定性的増減要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載したとおりであります。なお、営業利益における定量的な増減要因として、主な前期比増加要因は、前期からの原材料価格の上昇に対応した販売単価の見直し(4,240百万円)及び対米ドルを中心とした円安基調の影響による海外子会社の円換算利益(360百万円)によるものであります。一方減少要因は、原材料価格の上昇による変動費単価の悪化(△3,180百万円)、国内において産業資材製品、発泡性ビーズ製品、海外においては欧州、北米の需要低調による販売数量の減少(△580百万円)、製造労務費や修繕消耗費の増加などによる悪化(△1,520百万円)などであり、675百万円の減益となりました。
今期におきましては、国内市場においてベンゼン価格やナフサ価格の軟化に加え、円高の影響により原材料価格の低下が見込まれる一方で、グループ全体として労務費や修繕消耗費などの固定費の上昇が見込まれております。こうした経営環境のもと、当社グループは、成長市場である北米および中国向けの販売拡大を図るとともに、コスト削減の推進および高付加価値製品の販売比率向上による収益力の強化に努めてまいります。
中期的な課題への対応としては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、「グループ全体の収益力強化」を基本コンセプトの第一に掲げ、市場環境の変化のみに頼らない主体的な持続的成長を目指すと同時に、資本効率を意識した経営を実施してまいります。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度より、報告セグメントの区分の変更を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
なお、前連結会計年度の数値はセグメント変更後に組み替えて算出しております。
(押出事業)
(単位:百万円)
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
前期比(%) |
|
売上高 |
47,756 |
49,385 |
103.4 |
|
営業利益 |
2,163 |
1,645 |
76.0 |
食品容器用の発泡ポリスチレンシート「スチレンペーパー」を中心とした生活資材製品は、環境対応型製品の上市により需要拡大を図ります。
発泡ポリエチレンシート「ミラマット」を中心とした産業資材製品は、国内の一般包材や液晶パネルの生産調整などにより需要が低調となりました。その後の回復は緩やかですが、技術提案力を活かし、市場ニーズに対応した高付加価値製品の開発による拡販と新規顧客の開拓を目指します。
発泡ポリスチレン押出ボード「ミラフォーム」を中心とした建築土木資材製品は、国内の住宅着工件数が減少する中で売上は増加しました。今期は、土木資材製品は需要増加が期待されており、またミラフォームラムダやプレカット品などの高付加価値製品の拡販を図ります。
(ビーズ事業)
(単位:百万円)
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
前期比(%) |
|
売上高 |
87,294 |
92,865 |
106.4 |
|
営業利益 |
6,542 |
6,373 |
97.4 |
「ARPRO」を中心とした高機能材製品は、世界的な自動車生産台数の成長が鈍化している中で、販売は前期並みとなりました。当社グループのグローバル対応力や開発・提案力といったブランド戦略を推進し、サステナビリティ経営に則し、省エネ・軽量化やリサイクルなど各地域の市場の要求に対応した次世代製品を投入し、マーケットシェアの拡大と顧客満足度の最大化を図ります。また、成長が見込まれる非自動車部品分野において、既存領域の深耕と新規分野への展開を通じて拡販を図ってまいります。
「スチロダイア」を代表とする発泡性ビーズ製品は、水産・農業分野などでの需要の影響により販売が減少したことから売上は減少しました。一方で、収益性の改善を図るため、コスト削減施策および製品価格改定を実施しております。また、リサイクル材を含有したEPS「エコロダイア」の販売を通じて資源循環社会に貢献しながら収益性の向上に努めてまいります。
b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び流動性に係る情報
当連結会計年度の財政状態及びキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況及び③ キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。
当社グループの運転資金及び設備資金等の充当につきましては、自己資金及び金融機関からの短期及び長期の借入金を基本とし、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保しております。
また、当社グループ内において、資金の有効活用を目的とした、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)及びタームローンを実施しております。
当連結会計年度末現在、借入金残高は、長期借入金8,940百万円、1年内返済予定の長期借入金5,522百万円、短期借入金7,566百万円となっております。
なお、2026年3月期の設備投資総額は10,000百万円を計画しており、ARPROの需要増への対応や生産拠点の最適化を目的として、米国のタラホーマ第2工場、バトラー工場等の能力増強、メキシコのラモス・アリスペ工場の新設などを計画しており、押出事業については自動化など合理化効果の高い設備投資を積極的に行います。
セグメントごとの設備投資計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状態を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状態を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(提出会社)
(1) 技術供与契約
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契約締結先 |
契約年月日 |
契約内容 |
対価 |
契約期間 |
|
JSP International Group LTD. (米国) |
1985年11月18日 2009年1月1日 (改訂) |
ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与 |
ランニングロイヤリティ |
2013年12月31日まで 以後1年毎の自動延長 |
|
JSP International S.A.R.L. (フランス) |
1985年11月18日 2017年11月28日 (改訂) |
ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与 |
ランニングロイヤリティ |
2017年12月31日まで 以後1年毎の自動延長 |
|
JSP International de Mexico S.A.de C.V. (メキシコ) |
1985年11月18日 2009年1月1日 (改訂) |
ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与 |
ランニングロイヤリティ |
2013年12月31日まで 以後1年毎の自動延長 |
|
Taiwan JSP Chemical Co.,LTD. (台湾) |
1992年9月10日 2017年11月7日 (改訂) |
ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与 |
ランニングロイヤリティ |
2017年12月31日まで 以後1年毎の自動延長 |
|
Taiwan JSP Chemical Co.,LTD. (台湾) |
2016年5月1日 2019年4月25日 (改訂) |
ポリエチレン・ポリスチレン複合樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与 |
ランニングロイヤリティ |
2019年4月30日まで 以後1年毎の自動延長 |
|
JSP Foam Products PTE.LTD. (シンガポール) |
1996年8月1日 2009年1月1日 (改訂) |
ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与 |
ランニングロイヤリティ |
2011年12月31日まで 以後1年毎の自動延長 |
|
KOSPA㈱ (韓国) |
2003年1月1日 2023年1月1日 (改訂) |
ポリオレフィン樹脂発泡体等の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与 |
ランニングロイヤリティ |
2025年12月31日まで |
|
JSP Advanced Materials (Wuxi) Co.,LTD. (中国) |
2005年7月1日 2025年1月1日 (改訂) |
ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与 |
ランニングロイヤリティ |
2025年12月31日まで |
|
JSP International SRO (チェコ) |
2006年1月1日 2017年11月28日 (改訂) |
ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与 |
ランニングロイヤリティ |
2017年12月31日まで 以後1年毎の自動延長 |
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JSP Advanced Materials (Dongguan) Co.,LTD. (中国) |
2012年8月1日 2025年1月1日 (改訂)
|
ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与 |
ランニングロイヤリティ |
2025年12月31日まで
|
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JSP Advanced Materials (Wuhan) Co.,LTD. (中国) |
2017年1月1日 2025年1月1日 (改訂)
|
ポリオレフィン樹脂発泡体の製造に関する特許実施権及びノウハウの供与 |
ランニングロイヤリティ |
2025年12月31日まで
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(注) 対価として一定料率のロイヤリティを受取っております。
(2) 合弁事業関係
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契約締結先 |
契約年月日 |
契約内容 |
摘要 |
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張 仁垣 他5名 (韓国) |
1991年2月6日 |
ポリオレフィン樹脂発泡体の製造・販売に関する合弁事業 |
合弁会社名 KOSPA㈱ 当社出資比率 50.00% |
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冠仲投資有限公司 (台湾) |
1991年10月1日 |
ポリオレフィン樹脂発泡体の製造・販売に関する合弁事業 |
合弁会社名 Taiwan JSP Chemical Co.,LTD. 当社出資比率 90.00% |
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伊藤忠(中国)集団 有限公司 他1名 |
2002年7月15日 |
エンジニアリング・プラスチックの製造・販売に関する合弁事業 |
合弁会社名 JSP Advanced Materials (Wuxi) Co.,LTD. 当社出資比率 85.10% |
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伊藤忠商事(香港) 有限公司 |
2006年10月31日 |
高機能発泡樹脂の開発、生産、販売に関する合弁事業 |
合弁会社名 JSP Advanced Materials (Dongguan) Co.,LTD. 当社出資比率 98.35% |
当社グループは、地球エネルギー資源の保護及び地球環境への配慮をビジネス戦略に組み入れ、社会的ニーズを俊敏に捉え、ニーズに基づく体験価値をユーザとともに高める研究開発活動を、栃木県鹿沼市と三重県四日市市の二拠点体制にて進めております。研究開発は、開発部門、生産技術部門、国内外関係会社との連携、更には社外関係先との協業を図りながらグローバルな視点で行われております。また、2024年度において、研究開発リソースの配分最適化と社内連携強化とによる研究開発の効率化を目指した、新たなユニット体制への集約型再編を実施いたしました。
研究開発テーマとしては当社グループの中核技術であるプラスチックの発泡技術と重合技術を基軸として現行製品の品質、性能の改善及び新たな高機能製品の開発に取り組んでおります。主に鹿沼地区にて押出発泡技術とビーズ発泡技術、四日市地区にて石油化学コンビナートの利点を活かした重合技術、これらの技術を駆使して新技術、新製品の開発を進めており、開発された研究成果は、戦略的かつ速やかな特許出願等により知的財産権の確保に努めております。
当連結会計年度における当社グループの支出した研究開発費の総額は売上高の1.8%に相当する
セグメントごとの研究開発活動の概要は次のとおりであります。
(押出事業)
長年の信頼と実績に立脚する押出発泡技術を一層洗練し、環境対応、成長分野への技術投入にてその強みを発揮できる新製品開発に取り組んでおります。
生活資材分野では、食品包装において需要が拡大している電子レンジ対応容器向けに優れたリサイクル性と耐熱性を兼備した発泡プラスチックシートを開発しております。また、従来の発泡ポリスチレンシートについても更なる軽量高剛性化に対応するよう開発を進めております。更に事業領域拡大のための食品廃棄物処理機用の微生物担持体の開発も進展しております。
産業資材分野では、被包装物の保護性能に加えて導電性を付与した発泡ポリエチレンシートを開発しており、エレクトロニクス分野への進出を推進しております。
建築分野では、建築物省エネ法の改正によりZEHやZEB仕様の建築物の増加が見込まれ、高性能発泡ポリスチレンボード断熱材の需要が着実に増大しております。そのため更なる市場拡大を目指して超高性能断熱材の開発を継続しております。
(ビーズ事業)
業界随一の懸濁重合とビーズ発泡技術とを駆使して環境対応型製品、新発想の高性能製品の開発に取り組んでおります。
高度化、多様化するグローバル市場要求を迅速に捉え、軽量高剛性化、難燃性等の機能性付与にてポリオレフィンやポリスチレンの高性能ビーズ発泡体、更にはリサイクルプラスチック、バイオプラスチックを使用したビーズ発泡体の研究開発を進めております。
出資した欧州射出成形会社の射出技術と当社グループの発泡技術との融合にて生まれる独創的なプラスチック発泡製品の開発も引き続き推進しております。
ブロー成形とビーズ成形を融合したブロー表皮一体型ビーズ発泡体に関しては、軽量かつ高強度という特性を形状設計技術によって更に深化させることで、モビリティ分野、畜産分野、水産分野等への進出が加速しております。