当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの経営ビジョンは、
「安全・安定」(顧客へのサービス、株主への責任、社員生活の維持向上)
「イノベーション」(高精度な製品開発、高度な加工技術、経営システム)
「ゴーイングパブリック」(地域社会との共生、環境への配慮、社会的責任)
の3つを掲げており、これらのビジョンを踏まえ、「プラスチックエンジニアリングカンパニー」として新たな時代に挑戦するとともに、世界市場に向けて生産体制をグローバルに拡大し、欧州、アジア及び北米に生産・販売拠点を展開しております。
今後も時代の一歩先を見つめた経営姿勢で、社会により一層貢献し世界に認められる企業を志向いたします。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、利益重視の視点から売上高営業利益率を主な経営指標としており、中期的には10%以上を目指しております。また、株主収益重視の観点から、自己資本当期純利益率(ROE)の向上もあわせて目標としてまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、製品設計・金型製作・成形・塗装・組立から省力化機器の製作まで一貫した生産体制を構築しております。構築した技術力とノウハウを最大限に利用し、当社グループはプラスチックの利点を極限まで引き出して製品や部品に実現させております。
グローバル競争に対処するため世界最適地生産条件の実現、世界標準で最短の開発リードタイムの実現、そして世界で競争できる価格と機能性のモジュール化の実現を目指してまいります。
(4) 経営環境
当期における当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症対策の緩和により社会活動及び経済活動の正常化が進む一方で、不安定な国際情勢の中、原材料価格やエネルギー価格の高騰、諸物価の上昇や為替相場の急激な変動など、先行きについては依然として不透明な状況が続いております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の見通しにつきまして、世界経済は、中国経済の動向や米国の新政権発足による対外政策の展望次第では景気の押し下げとなることも予想され、不確実性が増しています。また、米国の追加関税による影響や、地政学リスクの動向も懸念材料であり、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
当社グループとしましては、より付加価値の高い製品や金型の受注活動を積極的に行うとともに、安定した収益構造の確保と経営体質の強化を図るため、グループ一体となり以下の施策を推進してまいります。
① 収益力のさらなる向上のため、グループ各社をあげて、高付加価値製品の受注拡大を図り、製品開発時間の短縮や製造経費のさらなる削減を継続して進め、利益確保に努めてまいります。
② 「グローバルな成長」を基本戦略として、国内外拠点の自立と活用を図り、各製造拠点の生産技術力の向上に努め、お客様に満足いただける業界でのトップクラスの品質、価格、納期及び製品開発をも含めた生産競争力の強化・充実に努めてまいります。
③ 金型の製造販売の子会社エスバンス株式会社及びSANKO SVANCE JRG TOOLING INDIA PRIVATE LTD.を軸として自動車関連をはじめとする高品質な金型の拡販をグローバルに図ってまいります。
④ 資本業務提携を締結しております双葉電子工業株式会社と、両社が培ってきた技術ノウハウを融合させることによる新商品の開発を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は以下のとおりであります。
1.サステナビリティ全般
当社グループは、「人材尊重」「環境問題をビジネスチャンスと捉える」という基本理念のもと事業活動を行っており、直面する様々なサステナビリティ課題について議論・検討を重ね、具体的な取組みを実行することで、持続可能な社会の実現に貢献いたします。
(1)ガバナンス
当社グループでは、社長直轄の組織として「環境・CSR推進室」を設置し、サステナビリティ推進体制を強化しております。その責任者には執行役員環境・CSR推進室長が任命され、サステナビリティ向上のための活動に関する責任を担っております。また、そうした活動を具体的な行動に移す目的で「環境向上委員会」と「SDGs推進委員会」を設置しており、日々の活動状況等を毎月の経営会議で報告しております。
このような活動の中で、経営に与える影響が大きいリスクが特定された場合は、取締役会へ報告し必要な審議がなされます。審議された結果は、「環境・CSR推進室」より全社に向けて情報共有が行われます。
ガバナンスの体制
(2)戦略
当社グループでは、社会的要請や当該業界の重要テーマを踏まえ、社会及びステークホルダーにとっての重要度と自社事業の持続的成長への影響から、特に重要と考える項目を重要課題(マテリアリティ)として特定し、グループ一丸となって達成に向けて継続的に取り組むことにより、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
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マテリアリティ |
内容 |
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納得のいく物作り |
物作りにおける品質の確保を、製造業としての存続に必須の事項と位置づけ、これを達成するための体制を構築します。 |
|
気候変動への取組み |
脱炭素を核とした環境課題への対応をテーマに、環境法令の遵守、エネルギー使用量の削減、廃棄物削減、リサイクルの推進を実施します。 |
|
ダイバーシティエクイティ&インクルージョン (公正さと包括) |
多様な人材の育成とワークスタイルを支える働き方を推進します。 |
(3)リスク管理
サステナビリティに関する課題を含む事業のリスクについては、「環境・CSR推進室」が中心となり、定期的に検証及び評価を実施し、必要に応じて経営会議等に付議することで適切に管理しております。
リスク管理体制
2.環境に配慮した取組み
環境マネジメントシステム(ISO14001)に基づく継続的な改善を推進するとともに、技術的・経済的に可能な範囲で、地球環境の保護に努め、脱炭素社会・循環型社会・自然共生社会の実現に向けて取り組んでおります。
(1)ガバナンス
環境に配慮した取組みに関するガバナンスにつきましては、「1.サステナビリティ全体」と同様に「環境・CSR推進室」が主体となり、経営に与える影響が大きいと判断された課題等については取締役会へ報告し、必要な審議がなされる体制を整えております。
(2)戦略
当社グループが行う事業活動及び製品、サービスが環境に与える影響を鑑み、それらがもたらすリスク及び機会を特定するとともに、当該リスク及び機会に対応する方針として下記の項目を行動指針として定めております。
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区分 |
リスク及び機会の内容 |
時間軸 |
当社の行動指針 |
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移行リスク |
資源価格高騰等に伴いエネルギーコストが上昇するリスク |
短期 |
省エネルギー化及び電力使用量低減により CO2の排出量を削減する。 |
|
移行リスク |
法・規制の強化に伴い、廃棄物の削減やリサイクルの必要性が増大するリスク |
中長期 |
リサイクルを推進し、廃棄物の削減と資源の有効活用に貢献する。 |
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機会 |
循環型経済への移行による、リサイクルプラスチックを用いた製品需要の高まり。 |
長期 |
リサイクルプラスチックの利用に関する研究開発を推進する。 |
(3)リスク管理
環境法令の遵守状況を確認するため、「環境・CSR推進室」による内部監査の実施を強化しております。
(4)指標及び目標
環境に配慮した取組みに関する指標及び目標につきましては、以下のとおりです。サーキュラーエコノミーを意識した新しいリサイクルの形を推進しております。2030年までsに2021年度比50%削減(Scope1,2)
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具体的な取組 |
目標 |
|
単体 |
|
|
1. CO2排出量の削減 |
2026年までに2021年度比10%削減(Scope3) |
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2. リサイクル&リユース率の向上 |
80% |
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3. 廃棄物の削減 |
前年比1.5%削減 |
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4. リサイクルプラスチックの研究開発 |
― |
※「―」につきましては、将来の開示に向けて現在検討中であります。
(参考指標)
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国内のCO2排出量の推移(子会社除く) |
|||
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2022年5月期 |
2023年5月期 |
2024年5月期 |
2025年5月期 |
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|
|
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リサイクル&リユース率の推移 |
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2023年5月期 |
2024年5月期 |
2025年5月期 |
|||
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国内 |
海外 |
国内 |
海外 |
国内 |
海外 |
|
50.5% |
70.0% |
59.2% |
70.0% |
60.0% |
68.0% |
3.人材の育成及び社内環境整備に関する方針
当社グループは日本国内の他、アジア・欧州・北米地域に拠点を有しており、国籍・宗教・人種等様々なバックグラウンドを持った人材によって構成されております。そうした人材一人ひとりの人権を尊重し、それぞれの能力を最大限に発揮して活躍できるように人材育成に努めております。
(1)ガバナンス
当社グループでは、人材育成に関する研修制度の設計を管理部門が主体となって行っており、年2回実施される予算会議において、部門・ビジネスユニット・子会社・工場が研修制度に沿った人材育成に関する計画・立案を行います。本会議にて審議された計画は、取締役会の承認を経た後、各部署の責任を以て実行に移されます。また、教育計画の進捗状況は、随時、取締役会へ報告されます。
人材育成に係るガバナンス体制
(2)戦略
当社グループの人材の育成及び社内労働環境整備に係る具体的な戦略は以下のとおりです。
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主な項目 |
取組内容 |
|
1. 人材の育成 |
階層別研修、営業研修、財務研修、品質研修、コンプライアンス研修など |
|
2. 社内労働環境整備 |
長時間労働の削減、有給休暇取得率の向上、女性社員の積極的な登用。 |
(3)指標及び目標
①長時間労働の削減
従業員の時間外労働時間を各部署でグラフ化し勤怠管理の徹底と、業務の見直し、効率化を進め、目標として月42時間を超えないよう管理を行っております。
②有給休暇取得率の向上
ワークライフバランスの向上を目的に、半日有給休暇など従業員が適切な休息を取ることができる環境を整えております。目標であります従業員の年間有給休暇取得率70%を今後も継続できるように努めてまいります。
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2023年5月期 |
2024年5月期 |
2025年5月期 |
目標値 |
|
76.4% |
75.9% |
|
|
③女性社員の積極的な登用
女性が活躍する県内企業として、2023年9月に富山県より「とやま女性活躍企業」の認定を受けております。今後も本認定の取得を継続し、女性が活躍しやすい職場づくりを積極的に進めてまいります。
|
2024年5月時点 |
2025年5月時点 |
2025年度認定基準 |
|
11.0% |
|
3.6% |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)特定の業界への依存度について
当社グループは、自動車業界及び情報・通信機器業界等に対して、プラスチック成形品及びプラスチック成形用金型を製造販売しており、当該各業界の市場動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
特に当社グループで売上構成比率が高い自動車業界については、米国では輸入自動車・部品に対する関税の引き上げが提起されることがあります。関税が適用されるなど業界の市場動向に影響を及ぼす事象が発生した場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
(2)為替の変動による影響について
当社グループの事業は、欧州・アジア・北米における製品の生産と販売が含まれており、各地域における売上、費用、資産等は現地通貨建で、連結財務諸表作成のために円換算されております。換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
(3)金利の変動による影響について
当社グループは、事業資金の一部を金融機関から借入金として調達をしております。このため金利の変動により支払利息、受取利息あるいは金融資産及び負債の価値が影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)製造物責任(注1)について
当社グループで製造している製品の中には、自動車のブレーキ倍力装置に使用されるボデーバルブのような重要保安部品(注2)があります。当社の事業所及び連結子会社で国際品質規格「ISO」の認定を受ける等、品質には慎重を期しておりますが、万一当社の製品に不良があり、それが原因で事故等が発生した場合、当社グループが製造物責任を問われ、その結果として業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(注1)製造物責任:製造業者等が自ら製造、加工、輸入又は一定の表示をし、引き渡した製造物の欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、過失の有無にかかわらず、これによって生じた損害を賠償する責任のこと。
(注2)重要保安部品:その製品の不適合が直接人命に係わる事故又は火災の原因になる部品のこと。
(5)海外事業について
当社グループは、英国、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、中国、インド、メキシコ、米国、フィリピン、ハンガリー及びチェコにおいて各国の法律に基づき、合弁等で事業を行っております。これらの事業は、合弁先の経営方針、経営環境の変化、各国の環境変化により影響を受けることがあり、そのことが、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
(6)原材料価格変動について
当社グループの事業における原材料価格は、原油価格の動向等により大きく変動する可能性があり、製品価格への転嫁に遅れが生じる場合には、当社グループの経営成績に悪影響を与える可能性があります。
(7)減損会計について
今後、経済環境の変化等によって、当社グループが所有する固定資産の収益性が低下した場合、減損処理に伴う損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)災害について
当社グループの工場等のいずれか、又は取引先の工場等に地震等の災害が発生した場合は、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)新製品開発について
当社グループは、プラスチック成形品及びプラスチック成形用金型の製造に当たり、常に顧客のニーズを満たし、競合他社と差別化できる新技術の開発に取り組んでおりますが、絶え間のない技術革新に対応できず、顧客の要望に応えられない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)人材について
当社グループは、仕事に対してひたむきで熱意のある人材の採用と育成に注力していますが、優秀な人材を確保できない場合には、当社グループの成長及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)知的財産について
当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、これらの独自の技術とノウハウは、特定の地域及び国では法的制限のため、知的財産権の完全な保護ができない可能性があり、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12)財務制限条項について
事業資金の安定的な調達を図るため、取引金融機関との間でのコミットメントライン契約を締結しています。当該契約には一定の財務制限条項が付されており、当該条項に抵触した場合には、期限の利益を喪失し当社の資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の改善や雇用・所得環境の改善に加え、インバウンド需要に支えられ、景気は緩やかな回復を見せる一方で、不安定な国際情勢、原材料価格やエネルギー価格の高騰、諸物価の上昇や為替相場の急激な変動、米国の政策動向など依然として先行きについては不透明な状況が続いております。
この様な状況のもと、当社グループにおきましては、前連結会計年度に引き続き、付加価値の高い製品の受注と生産体制の整備を強化し、原価低減活動を積極的に進めてまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は91,101百万円(前期比2.9%減)、営業利益は5,656百万円(前期比36.9%増)、経常利益は5,194百万円(前期比32.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,857百万円(前期比47.6%増)となりました。
当社グループの事業部門別売上高
|
事業部門別 |
2024年5月期 |
2025年5月期 |
増 減 |
|||
|
|
構成比 |
|
構成比 |
|
増減率 |
|
|
|
百万円 |
% |
百万円 |
% |
百万円 |
% |
|
情報・通信機器 |
6,060 |
6.5 |
6,532 |
7.2 |
472 |
7.8 |
|
車両 |
68,557 |
73.1 |
63,367 |
69.6 |
△5,189 |
△7.6 |
|
家電その他 |
4,214 |
4.5 |
6,148 |
6.7 |
1,934 |
45.9 |
|
成形品計 |
78,831 |
84.1 |
76,048 |
83.5 |
△2,782 |
△3.5 |
|
金型 |
14,953 |
15.9 |
15,053 |
16.5 |
100 |
0.7 |
|
合計 |
93,784 |
100.0 |
91,101 |
100.0 |
△2,682 |
△2.9 |
セグメントの業績は、次のとおりであります。
a.日本
車両用内外装部品及び金型が増収となり、売上高は30,210百万円(前期比7.7%増)、セグメント利益は3,851百万円(前期比15.5%増)となりました。
b.欧州
車両用内外装部品は減収となりましたが金型が増収となり、売上高は12,110百万円(前期比15.5%減)、セグメント利益は490百万円(前期比204.4%増)となりました。
c.アジア
タイ及びインドネシアでの車両用内外装部品及び金型が減収となり、売上高は29,654百万円(前期比11.9%減)、セグメント利益は1,005百万円(前期比84.8%増)となりました。
d.北米
車両用内外装部品はほぼ横ばいとなりましたが、金型が増収となり、売上高は19,125百万円(前期比7.8%増)、セグメント利益は932百万円(前期比23.4%増)となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、76,052百万円(前期末比1,121百万円増)となりました。これは、現金及び預金が2,070百万円、有形固定資産が1,982百万円それぞれ増加し、売掛金が2,827百万円、棚卸資産が476百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、43,272百万円(前期末比1,178百万円減)となりました。これは、長期借入金(1年内含む)が4,165百万円増加し、支払手形及び買掛金が1,008百万円並びに短期借入金が3,279百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、32,779百万円(前期末比2,300百万円増)となりました。これは、利益剰余金が3,247百万円増加し、為替換算調整勘定が977百万円減少したこと等によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は12,029百万円となり、前連結会計年度末より2,070百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は8,566百万円(前期比50.3%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益5,102百万円及び減価償却費4,151百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は5,313百万円(前期比7.5%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出5,245百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は984百万円(前期比790.3%増)となりました。これは主に長期借入金の借入れによる収入7,172百万円、長期借入金の返済による支出2,897百万円及びリース債務の返済による支出1,553百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
日本 |
34,335 |
109.4 |
|
欧州 |
12,134 |
86.3 |
|
アジア |
28,097 |
85.3 |
|
北米 |
18,217 |
99.7 |
|
合計 |
92,785 |
96.0 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.セグメント間の取引については、相殺消去前の数値によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
|
日本 |
30,847 |
107.0 |
8,467 |
107.3 |
|
欧州 |
11,324 |
82.7 |
1,652 |
87.1 |
|
アジア |
27,835 |
87.8 |
3,099 |
91.3 |
|
北米 |
19,148 |
104.5 |
2,120 |
110.3 |
|
合計 |
89,156 |
96.3 |
15,339 |
101.5 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.セグメント間の取引については、相殺消去前の数値によっております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
日本 |
30,210 |
107.7 |
|
欧州 |
12,110 |
84.5 |
|
アジア |
29,654 |
88.1 |
|
北米 |
19,125 |
107.8 |
|
合計 |
91,101 |
97.1 |
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
イ.売上高
当連結会計年度の売上高は、前期比2.9%減の91,101百万円となりました。欧州及びアジアでは、主要顧客である自動車メーカーの生産が減産基調で推移、一方、日本及び北米では増産基調で推移しましたが、成形品は前期比3.5%減の76,048百万円となりました。金型では、アジアは減収となりましたが、日本、欧州及び北米の増収により前期比0.7%増の15,053百万円となりました。
ロ.営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前期比36.9%増の5,656百万円となりました。これは、日本では成形品及び金型の増収や北米での金型の大幅な増収が寄与したこと、アジア及び欧州では成形品は減収となりましたが、営業費用の削減効果もあり、営業増益となりました。
ハ.経常利益
営業利益の計上をうけて、営業外収益361百万円(受取利息及び受取配当金61百万円、受取賃貸料67百万円及びスクラップ売却益66百万円含む)を計上、営業外費用822百万円(支払利息474百万円含む)を計上したことにより、経常利益は、前期比32.3%増の5,194百万円となりました。
ニ.親会社株主に帰属する当期純利益
経常利益の計上をうけて、税金等調整前当期純利益は、前期比43.0%増の5,102百万円となり、税金費用1,184百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比47.6%増の3,857百万円となりました。
b.財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、76,052百万円(前期末比1,121百万円増)となりました。これは、現金及び預金が2,070百万円、有形固定資産が1,982百万円それぞれ増加し、売掛金が2,827百万円、棚卸資産が476百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、43,272百万円(前期末比1,178百万円減)となりました。これは、長期借入金(1年内含む)が4,165百万円増加し、支払手形及び買掛金が1,008百万円並びに短期借入金が3,279百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、32,779百万円(前期末比2,300百万円増)となりました。これは、利益剰余金が3,247百万円増加し、為替換算調整勘定が977百万円減少したこと等によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(キャッシュ・フローの指標)
|
|
前連結会計年度 (2024年5月期) |
当連結会計年度 (2025年5月期) |
|
自己資本比率(%) |
39.9 |
42.3 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
27.9 |
24.8 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
4.0 |
2.8 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
12.6 |
18.3 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象として
おります。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
また、(連結貸借対照表関係)及び(貸借対照表関係)に記載のとおり、コミットメントライン契約を締結しております。(当連結会計年度末融資枠設定金額6,000百万円、当連結会計年度末借入実行残高1,000百万円)
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は24,202百万円、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は12,029百万円となっております。
③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、利益重視の視点から売上高営業利益率を主な経営指標としており、中期的には10%以上を目指しており、また、株主収益重視の観点から、自己資本当期純利益率(ROE)の向上もあわせて目標としております。
当連結会計年度における売上高営業利益率は6.2%(前年同期比1.8ポイント改善)であり、自己資本当期純利益率は12.4%(前期比3.0ポイント改善)となりました。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動においては、高品質・高付加価値の製品開発を継続するとともに、生産のムダを省き生産コストを押えたものづくりができる製品の開発を進めております。電力などのエネルギー消費を抑制するような設計を進めております。また、近年、話題となっているプラスチック廃棄物を低減し、環境負荷を低減する技術開発を大学などの研究機関とともに取り組んでいます。プラスチックの高度資源循環技術の開発に関してNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の公募した「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発」に採択され、環境に配慮したプラスチックの利用に関する開発を他の参画する大学や参加企業とともに推進しております。これまでに蓄積した金型・成形技術をより資源循環の観点から活用できるような結果が得られており、開発された技術を実際の成形品に適用する実証段階に進んでおります。自動車メーカーなど顧客に向けた技術の紹介を行い、多くの企業から試作検討の依頼を受けており、社会実装段階への移行を推進しております。
OA機器及び家電分野の製品開発においては、海外での受注拡大及び収益向上のため、従来の固定観念を排除した製品形状、金型設計及び成形技術により生産性を大きく飛躍させることができました。これらの技術を広く他の製品にも活用できる様に、さらなる技術開発を進めております。さらに、医療機器部品の製造も徐々に増産体制を整えております。これらの実績により、医療機器メーカー様への営業活動を強化すると共にさらなる医療機器部品の拡販や医療器機特有の製造技術の確立を行っております。
車両の内外装部品の分野では、低燃費と環境への影響を低減させたEHV(Electric and Hybrid Vehicle)の製品開発に積極的に取り組み、製品コストを大幅に低減しさらに多くの車種への展開を図っています。近年、車両に用いられる電池ケースなどは大型化が進んでおり、より大きな製品を低コストで生産するための検討をこれまで培った解析なども使いながら進めており、金型技術や成形技術を確立してきております。特に低圧成形を可能にするなどにより製造コストを抑えた加工方法を顧客に提案し、各自動車会社からの部品の受注が決まっております。また、製品設計の観点からもお客様の開発部門との連携を進め将来の製品要求に対応するような機能を盛り込む開発を進めております。このような大型の電池ケースなど電池関連の部品は、今後、車両における主力戦略部品であると位置づけ大きくシェアを伸ばすことを推進しております。自動車が、電動化されることにより自動車車内の音が小さくなってきており、走行音などを外部の音を低減する様な技術や商品開発も取り組んでおります。
炭素繊維を用いた新技術の開発では、熱硬化性のCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)の加工技術や、熱可塑性のCFRTP(Carbon Fiber Reinforced Thermo Plastics)の加工技術の開発、炭素繊維複合材料による射出成形などの研究開発に取り組むとともに、複合材料を用いた製品開発を進めることで、軽量化と高強度を実現するような商品提案などお客様のご要求に合わせた加工技術の開発と商品化を目指しております。炭素繊維複合材料の加工や製品試作を積極的に進めており、量産化に向けた課題を解決することに注力しております。
射出成形の成形品変形シミュレーションの研究では、大学、公設研究機関と連携して開発した解析ソフトウエアにさらなる改良を加えて金型製作費用の低減に寄与しております。解析モデルと製品モデルとの間で製品形状のデータをやりとりし、さらにより精密な金型製作に対応できるような独自のソフトウエア開発を開発し、金型設計に活用する実証を行っております。また、成形品の使用環境下における変形を予測や製品の廃棄時のプラスチックリサイクル性評価も含めた金型製作や量産成形に積極的に利用する解析技術の確立を目指して、解析ソフトの開発を進めております。ソフトウエアの改良を行うことで解析精度の向上が図られており、さらにこうした解析結果を金型設計に直接展開できるような技術の開発やAI等のさらなる活用としてデータサイエンス分野の取り組みを開始しました。
金属光造形複合加工機(3Dプリンター)を用いた金型作りを積極的に行い、3Dプリンターを用いた高精度加工や高速加工技術開発などを行い、今までにないような機能性をプラスチック製品に発現できるような金型製作方法を開発し、活用範囲を拡げるために大学や公設試験所との共同研究を行っており、客先からの試作依頼もあり量産に向けた技術開発の段階に移行してきております。プラスチック部品の製造工場では、省力化機器を設計製作し製造コスト削減、品質向上に寄与しております。このような省力化機器の製造技術は、金型製造工場においても活用されており生産性や作業者の安全にも配慮しつつ製造効率を大きく向上できるように技術展開を進めております。
これらの結果、当連結会計年度における研究開発費は、