文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、創業以来、社会に貢献する開発型企業としての役割を強く認識し、常に時代に求められる企業を標榜してまいりました。化学のプロ集団として、常に技術開発にチャレンジし、独自の新しい発想や技術力をもとに、高付加価値製品の創出に取り組んでまいりました。私たちの生活が豊かに、そして快適になればなるほど、化学メーカーの果たす役割は日に日に広がりを見せております。私どもはそこに当社の存在価値を見出すことができると自負しております。
また株主の皆様に適正な利潤を還元すること、従業員が安心して意欲的に働ける社内環境の整備、また地域社会との共存を図り、環境に対する配慮を十分に行い、コンプライアンスを推進することで、さらに企業価値を高めてまいります。
化学は、私たちの生活に欠くことのできないものであり、その製品を担う化学メーカーとして、常に未知なるものへのチャレンジをし続ける姿勢にこそ、当社の真の姿があると考えます。今後も人にやさしく、社会の繁栄に寄与するケミプロ化成製品をグローバルに展開していきたいと願っております。
(2)中長期的な会社の経営戦略
当社は、2022年3月期を初年度とする第2期中期経営計画『ケミプロ化成経営革新プランⅡ~Reborn to Flexible~』を策定し、推進しております。その内容は、次の通りであります。
[ケミプロ化成経営革新プランⅡ(2021年度~2023年度)]
1.本計画の位置付け
当社は、2018年度より初の3ヶ年中期経営計画『ケミプロ化成経営革新プラン〔Reborn(再生)プラン〕』を稼働させ2020年度で完了いたしました。(初の中期経営計画であったことから内容は非開示)その結果、第1の目標であった売上高10,000百万円の突破は、2020年3月期において実現しました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症も含め数々の逆風や課題に阻まれ、利益面では目指す水準を達成できておりません。
今回、2021年度より3ヶ年、本計画を稼働させ経営目標と業績計画の達成を目指すものであります。
2.本計画の基本方針
《Reborn to Flexible》
「2021年度からの3ヶ年でReborn(再生)を完了し、
Flexible(しなやかな)企業を目指す」
*Flexible(し・な・や・か・な)の意味
|
し |
消費者(顧客)目線の「し」 |
社会性が高い企業 |
|
な |
なくてはならない「な」 |
永続性が高い企業 |
|
や |
役割分担が上手い「や」 |
応用力が高い企業 |
|
か |
環境順応性が高い「か」 |
柔軟性が高い企業 |
|
な |
永く稼げる安定収益モデルを持つ「な」 |
強靭な企業 |
3.経営目標(最終年度:2024年3月期)
|
経常利益率 |
5% |
|
自己資本利益率(ROE) |
7% |
|
自己資本比率 |
35% |
*ご参考:2021年3月期実績(経常利益率:1.2% ROE:4.1% 自己資本比率:33.2%)
2022年3月期実績(経常利益率:2.7% ROE:3.9% 自己資本比率:34.0%)
4.業績計画
|
(単位:百万円) |
2021年 3月期 |
2022年 3月期 |
2023年 3月期 |
2024年 3月期 |
||
|
計画 |
実績 |
計画 |
修正計画 |
|||
|
売上高(注) |
9,553 |
9,300 |
9,743 |
9,800 |
10,400 |
10,700 |
|
経常利益 |
110 |
150 |
264 |
300 |
300 |
500 |
|
当期純利益 |
180 |
103 |
179 |
200 |
200 |
325 |
注:2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用する影響により2022年3月期以降の業績計画における売上高は、従来基準に比べ約800~900百万円程度の減少を見込んでおります。(2022年3月期実績:817百万円減少)
5.2023年3月期の業績計画の修正理由
売上高においては、当社主力製品である紫外線吸収剤などのプラスティック添加剤の新規製品も含めた販売強化、注力している受託製造製品等での品目拡充の進捗を踏まえ計画を600百万円引き上げ、10,400百万円に修正しております。
一方、利益面につきましては利益率の高い製品の売上比率を高めることはもとより、原材料やエネルギー価格高騰の価格転嫁を適正に進める方針ではありますが、新型コロナウイルス感染症に加えて極めて深刻な地政学的リスクの拡大、また海運の混乱に加えて更なる原材料やエネルギー価格の高騰と供給不安等が継続する中、収益環境は非常に厳しい状況が想定され計画は据え置いております。
6.重点施策
①12のタスクフォースの目標を達成することにより、経営目標・業績計画・経営諸課題の解決を図る。(下図ご参照)
②SDGsへの取組み
・各タスクフォースに目指すSDGsを設定
・全役員、管理職が『私のSDGs宣言』(*)を行い実践
*:各自の業務に関わる、関わらないを問わないSDGsにつながる個人別行動宣言
(注)文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(3)会社の経営環境
世界経済は、新型コロナウイルス感染症の終息の目処が立たない中、ロシアのウクライナ侵攻という極めて深刻な地政学的リスクの拡大もあり、不透明であります。また、当社の属する業界につきましては、海運の混乱継続・半導体不足等の影響に加え、地政学的リスクにも起因する原材料やエネルギー価格の高騰や供給不安等もあり、売上・収益環境は更に厳しい状況が継続しております。
このような環境下、当社主力製品である紫外線吸収剤については、新型コロナウイルス感染症の影響からの販売復調はあるものの引き続き先行きが不透明な状況となっております。一方、注力しております受託製造製品等の事業については徐々に伸長している状況であり、経営資源の投入を継続するとともに、新規ビジネスである有機EL材料については徐々に研究開発段階から脱し、ディスプレイ用途をはじめとする様々な方面に、販売ルートの構築を行っております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、以下のとおりであります。
①事業上の対処すべき課題
・化学品事業 主力製品の受注量変動リスクを最小化するため、既存取引先との関係維持・強化を図るとともに、環境配慮型新規製品の開発を含めた各製品の販路拡大と、設備の稼働状況の安定化を目的とした受託製造製品ラインナップの拡充を追求する。これにより、直販・OEM・受託の最適プロダクトミックスの一刻も早い実現を図り、安定収益の永続的な確保に繋げる。
・有機EL 営業損益の早期の黒字化を実現するため、ディスプレイ用電子材料関連分野での官学連携の製品開発改良活動を展開し、市場規模の拡大局面にシェアを確保するための顧客と一体となった潜在ニーズの発掘と機動的販売強化、盤石な販売ルートの構築を図る。
・ホーム産業事業 受託加工品の取り込みを含めた販売網の一層の拡充と、環境配慮型製品への計画的なシフト、原材料及び設備の見直しを実施することにより、一層の事業の安定化を図る。
②財務上の対処すべき課題
新型コロナウイルス感染症に起因する企業価値の低下とフリー・キャッシュ・フローの棄損を回避する以下の施策の実施が、財務上の優先すべき課題であります。
・株主満足度を高めることに繋がる、安定配当の継続と内部留保の充実。
・利益確保と在庫削減などによる、強靭な財務基盤の構築。
・金融機関からの信任を前提とした、資金調達可能枠の確保。
当社の経営成績、株価及び財政状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2022年3月31日)現在において当社が判断したものであります。
1. 当社の事業内容について
〔特定販売先への依存度について〕
当社の柱となる化学品事業における製品は、主力の紫外線吸収剤など各種添加剤と各種化成品により構成されております。化学品事業における販売はOEM販売が主流であり、主要顧客であるBASF社については総売上高の約3割の依存関係となっております。当社にとって高い依存関係にある同社とは、主力製品である紫外線吸収剤の安定的な供給を当社が保証する供給基本契約を取り交わしております。
従って、BASF社の販売戦略によっては、当社の業績に重要な影響を受ける可能性があります。
これに対応するため当社は第二、第三の柱となる事業の確立を目指しており、新規製品の拡大と受託製造製品ラインナップの充実を図るべく積極的な営業活動を展開しております。
〔原材料の市況変動について〕
当社の原材料調達は主に国内での見積り合わせ方式によっておりますが、その他に国内代理店等を通じた輸入があり、その主なものは調達コストの安価なアジア・欧州圏であります。これらの取引先とは安定的な品質と供給量の基本契約を取り交わしてはおりますが、政治・経済情勢の変動により供給が不安定になる可能性があります。
また、当社が使用する原材料には原油の国際的な動向や資源輸出国の経済情勢などの影響を受けて価格変動するものが含まれているため、当社の業績に影響を受ける可能性があります。
〔法的規制について〕
当社の製造する製品・消費する原材料のうち、有機化学工業薬品類は、国内においては消防法、毒物及び劇物取締法、高圧ガス保安法、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律等の規制を受けております。今後これらの法律が改正され規制強化された場合、製品の製造・販売などに影響を受ける可能性があります。これらに迅速に対応するため、関連部門において最新の法改正の動向について随時把握するよう心がけております。
〔為替リスクについて〕
当社の取引には、外貨による取引が含まれており、為替相場の変動が当社の業績に影響を与える可能性があります。これに備えるため、当社は外貨による取引に為替予約によるヘッジを行うとともに、円建てでの取引契約の締結を積極的に行っております。
2. 今後の事業について
〔今後の事業計画に重要な影響を与える要因〕
(1)材料価格及び販売価格の変動
当社の原材料価格は、原油価格の国際的な変動、資源輸出国の経済情勢などにより大きく変動することがあります。当社の主力製品である紫外線吸収剤は世界各国で使用されており、その販売価格はグローバル競争の中にあります。当社は、販売シェアの確保・収益性向上の為、コスト競争力の強化に努めていますが、急激な原材料価格の変動は、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の取引には外貨による取引が含まれており、為替相場の変動は原材料価格及び販売価格の変動を通して、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)有機EL等電子材料関連製品の動向
当社は、有機エレクトロ・ルミネッセンス(有機EL)等の電子材料関連事業に経営資源を重点的に配分し、将来の成長事業に育成すべく注力しております。有機EL関連特許(出願中含む)も相当数保有していますが、最先端分野であり、競合各社も新規製品開発に取り組んでおり、当社が開発した製品が中・長期的に販売できないケースがあります。
また、有機ELを使用したディスプレイの生産メーカーが限られており、価格や利便性などの面で本格的な普及が遅れる可能性があります。
これらに対応するため、当社は官学との連携の強化を図っており、市場拡大局面における販売シェア獲得を目的としたさらなる品質の向上に取り組んでおります。
〔業界の動向、法規制強化による業界環境の激変等の可能性について〕
化学品事業に係わる業界動向は、自動車や家電製品等工業製品の市場変化よりも遅れた形で現れる傾向にあります。当社製品はこれらに使用される有機工業製品には欠かせない添加物であり、有機工業製品への添加規制や、新規添加物質への切替等、環境の激変がないかぎり、急激な需要下落はないと判断しておりますが、市場環境の急激な変化が起こった場合、業績が大きく左右される可能性があります。
ホーム産業事業に係わる業界動向は環境配慮型製品の開発が加速されることから、地球環境保全を最重点課題とした有害な元素を含まず、厳しい環境下においても長期にわたり優れた性能を示す新規成分を配合した水性の木材保存薬剤等の開発に取り組んでおりますが、開発遅延等により業績が左右される可能性があります。
〔特有の法的規制について〕
当社は、化学品事業、ホーム産業事業の一部において、有機化学工業薬品の製造販売を行っており、これらの製品に使用される原材料等は、消防法、毒物及び劇物取締法、高圧ガス保安法、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律等の規制を受けております。今後これらの法律が改正され規制強化された場合、製品の製造・販売などに影響を受ける可能性があります。
〔環境負荷について〕
当社の製造する製品の多くは、有機化学工業薬品に分類されるものであり、事業活動に伴う環境負荷に対するリスク管理については、環境マネジメントシステムを導入し、環境評価を行い環境負荷の把握と環境リスクの低減に努めております。しかしながら環境負荷が発生しないという保証はなく、環境汚染などの問題が生じた場合には、業績・財政状態などに影響を受ける可能性があります。
〔固定資産の減損会計適用による影響について〕
当社では、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。この基準の適用に伴い、今後の土地等の時価や事業環境の大幅な変動によっては、当社の業績・財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社の当事業年度の貸借対照表において計上されている有形固定資産には、有機EL事業を営んでいる福島工場の有形固定資産が含まれておりますが、当該事業は、今後の市場の拡大が期待される分野であり、将来の当社の収益獲得に相当程度の貢献をもたらす可能性がある一方、競合他社の新規参入や、有機EL材料の普及が価格や耐久性、用途の発展性などの面で遅れぎみに推移しているというリスクを含んでおります。
このため、当社の福島工場では、供給数量が限定的であることから稼働効率が上がらず、継続的に営業損益がマイナスとなっており、現時点では社外の不動産鑑定士による鑑定評価結果に基づく回収可能価額(=正味売却価額)が帳簿価額を上回っているものの、将来において一定規模の減損損失の計上を余儀なくされるリスクがあります。
当社では、将来におけるリスクを回避するため、当該事業に係る営業損益の黒字化を早期に実現し、確実に投資回収を遂行するという観点から、下記対応策を実行しております。
①製品開発改良活動においては既成概念に囚われず官学連携のもとで研究開発・製造・販売の三位一体となった活動を展開し、新規製品のラインナップ強化と生産性改善に注力しています。
②福島工場の稼働率を向上させる施策として、様々な受託案件を積極的に取り込むことで、福島工場固定費の吸収・製造ノウハウの蓄積を図ってまいります。
③有機EL材料の潜在ニーズ掘り起こしのため、顧客と一体となって提案、開発に取り組み、当社製品の需要喚起に注力いたします。
〔繰延税金資産の回収可能性について〕
税効果会計における繰延税金資産の回収可能性については、一時差異等のスケジューリングや課税所得の十分性等に基づき判断しておりますが、一時差異等のスケジューリングが不能となった場合や収益力の低下により課税所得の十分性が確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が計上され、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
〔訴訟などの影響について〕
当社では、現在係争中の訴訟事件はございませんが、将来において当社の事業活動に関して重要な訴訟が提起された場合には、当社の業績・財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
〔大規模災害等による影響について〕
当社のコア事業である化学品事業の生産拠点は、兵庫県の瀬戸内海沿岸に位置しております。製造拠点の分散化に配慮はしておりますが、南海トラフ地震や甚大災害に指定されるような台風等に起因する大規模災害が発生した場合には、製品の著しい損傷、生産設備の損耗、物流網の麻痺、サプライチェーンの寸断等により、当社の業績・財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
〔新型コロナウイルス感染症による影響について〕
当社の属するファインケミカル業界は新型コロナウイルス感染症の影響から緩やかな回復基調となりましたが、変異ウイルスの出現等に起因する物流網の混乱、従業員の感染に伴う事業所の閉鎖及びそれに伴う営業・生産・技術・管理体制の麻痺等、様々な要因により生産や販売に影響が出る可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度末における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当事業年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により大きく減速した前事業年度からの反動後、緩やかな回復基調となりました。しかしながら、感染力の強い変異ウイルスの出現やワクチン接種の進捗不安等から、感染拡大への警戒感が強い状況であったことに加えて、ロシアのウクライナ侵攻という極めて深刻な地政学的リスクの発生もあり、経済動向は不透明かつ流動的でありました。
米国経済は、企業業績が堅調に推移し個人消費も緩やかに拡大しましたが、欧州経済は後半に減速し、中国経済も回復から横ばいの状況に変化しました。また日本経済については、緊急事態宣言等の発出と解除にともない個人消費には波が見られたものの、企業業績の改善は緩慢な状況で推移しました。
このような経済環境の中で、当社の属するファインケミカル業界につきましては、物流網の混乱や半導体不足に伴う自動車産業等への影響懸念、加えて地政学的リスクにも起因する原材料やエネルギー価格の高騰や供給不安等もあり、売上・収益環境は極めて厳しい状況でありました。
具体的な当社の当事業年度における業績は、化学品事業では受託製造製品における収益認識会計基準等の適用による減少を考慮すれば、主力製品である紫外線吸収剤の他、大半の製品で実質的に増収となりました。ホーム産業事業では木材保存薬剤が減収となったものの、シロアリ駆除工事等の再開でその他の売上高が増収となりました。売上高全体では、収益認識会計基準等の適用による減少が817百万円ありましたが、前年同期比190百万円増の9,743百万円(前年同期比2.0%増)で着地いたしました。利益面については、紫外線吸収剤の販売復調に加え、引き続き受託製造製品等の積極的取り込みを行った結果、営業利益は552百万円(同58.3%増)、経常利益は営業外費用として生産休止費用を217百万円計上したものの264百万円(同138.8%増)となりました。税引前当期純利益については、特別損益の計上がなかったことから264百万円(同75.3%増)となりました。当期純利益については、法人税、住民税及び事業税が44百万円、法人税等調整額が40百万円となり179百万円(同0.5%減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(化学品事業)
当事業年度の売上高は、主力製品である紫外線吸収剤が前年同期比214百万円増の5,508百万円(前年同期比4.1%増)となったことに加えて、酸化防止剤が同219百万円増の586百万円(同59.9%増)、写真薬中間体が同107百万円増の265百万円(同68.5%増)、製紙用薬剤が同44百万円増の353百万円(同14.4%増)となり、受託製造製品が同329百万円減の1,794百万円(同15.5%減)、電子材料が同20百万円減の196百万円(同9.3%減)であったものの、全体では同230百万円増の8,762百万円(同2.7%増)で着地いたしました。ただし、受託製造製品の売上高には収益認識会計基準等の適用による減少817百万円が反映されております。また、セグメント利益では934百万円(同36.9%増)を計上いたしました。
(ホーム産業事業)
当事業年度の売上高は、木材保存薬剤の売上高が前年同期比78百万円減の791百万円(前年同期比9.1%減)となる一方で、その他が同39百万円増の190百万円(同26.0%増)となったことから、全体では同39百万円減の981百万円(同3.9%減)となりました。また、セグメント利益では64百万円(同4.4%増)を計上いたしました。
品目別売上高の状況は、次のとおりです。
(品目別販売実績) (単位:千円、%)
|
セグメント別 |
期別 |
前事業年度 |
当事業年度 |
増減 |
||
|
|
2021年3月期 |
2022年3月期 |
||||
|
区分 |
金額 |
構成比 |
金額 |
構成比 |
金額 |
|
|
化学品事業 |
紫外線吸収剤 |
5,294,505 |
55.4 |
5,508,939 |
56.5 |
214,434 |
|
写真薬中間体 |
157,685 |
1.7 |
265,642 |
2.7 |
107,956 |
|
|
製紙用薬剤 |
309,024 |
3.2 |
353,511 |
3.6 |
44,486 |
|
|
酸化防止剤 |
366,720 |
3.8 |
586,403 |
6.0 |
219,683 |
|
|
電子材料 |
216,386 |
2.3 |
196,216 |
2.0 |
△20,170 |
|
|
受託製造製品 |
2,123,460 |
22.2 |
1,794,312 |
18.4 |
△329,148 |
|
|
その他 |
64,092 |
0.7 |
57,006 |
0.6 |
△7,085 |
|
|
(小 計) |
8,531,875 |
89.3 |
8,762,032 |
89.9 |
230,157 |
|
|
ホーム産業事業 |
木材保存薬剤 |
870,130 |
9.1 |
791,163 |
8.1 |
△78,967 |
|
その他 |
151,317 |
1.6 |
190,678 |
2.0 |
39,360 |
|
|
(小 計) |
1,021,448 |
10.7 |
981,841 |
10.1 |
△39,606 |
|
|
合 計 |
9,553,323 |
100.0 |
9,743,874 |
100.0 |
190,550 |
|
(注)収益認識会計基準等の適用による売上高の減少は、受託製造製品において817,891千円となっております。
②資産、負債及び純資産の状況
当事業年度(以下「当期」という。)の総資産は、前事業年度末(以下「前期末」という。)比190百万円減少し、13,452百万円となりました。流動資産は同47百万円増加の7,921百万円、固定資産は同238百万円減少の5,531百万円となりました。
流動資産の増加の主な要因は、原材料及び貯蔵品が151百万円、商品及び製品が58百万円、未収入金が126百万円、その他の流動資産が116百万円増加した一方で、現金及び預金が226百万円、売掛金が167百万円減少したことなどによるものであり、固定資産の減少の主な要因は、リース資産(純額)が160百万円減少したことなどによるものであります。
当期の負債は前期末比240百万円減少し8,878百万円となりました。流動負債は同403百万円増加の6,373百万円、固定負債は同643百万円減少の2,504百万円となりました。
流動負債の増加の主な要因は、買掛金が116百万円、電子記録債務が124百万円、未払金が211百万円、未払法人税等が63百万円、その他の流動負債が64百万円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が276百万円減少したことなどによるものであります。固定負債の減少の主な要因は、長期借入金が517百万円、リース債務が170百万円減少したことなどによるものであります。
当期の純資産は前期末比49百万円増加し、4,574百万円となりました。純資産の増加の主な要因は、当期純利益179百万円を計上した一方で、自己株式が79百万円増加したこと、配当金の支払57百万円があったことなどによるものであります。
この結果、自己資本比率は、前期末の33.2%から34.0%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローにおいては1,105百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローにおいては248百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローにおいては1,082百万円の支出となった結果、前事業年度末に比し226百万円減少し、1,908百万円となりました。
当事業年度中における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、1,105百万円(前年同期比87.9%増)となりました。
これは主に、税引前当期純利益が264百万円計上されたこと、減価償却費が495百万円計上されたこと、棚卸資産の増加額249百万円、仕入債務の増加額362百万円などの要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、248百万円(前年同期比11.7%増)となりました。
これは主に、生産能力の向上や生産効率の強化を目的として設備投資を行ったことに伴う、有形固定資産の取得による支出が246百万円計上されたことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,082百万円(前年同期比814.2%増)となりました。
これは主に長期借入れによる収入500百万円、長期借入金の返済による支出1,294百万円、自己株式の取得による支出79百万円、リース債務の返済による支出150百万円、配当金の支払い57百万円が計上されたことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比 (%) |
|
化学品事業(千円) |
8,604,126 |
104.0 |
|
ホーム産業事業(千円) |
655,977 |
87.9 |
|
合計(千円) |
9,260,104 |
102.7 |
(注)金額は販売価格によっております。
2)商品仕入実績
当事業年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比 (%) |
|
化学品事業(千円) |
6,504 |
71.7 |
|
ホーム産業事業(千円) |
296,134 |
117.5 |
|
合計(千円) |
302,639 |
115.9 |
(注)金額は仕入価格によっております。
3)受注実績
当社は見込生産を行っているため、該当事項はありません。
4)販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比 (%) |
|
化学品事業(千円) |
8,762,032 |
102.7 |
|
ホーム産業事業(千円) |
981,841 |
96.1 |
|
合計(千円) |
9,743,874 |
102.0 |
(注)最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
BASFジャパン㈱ |
2,402,453 |
25.1 |
2,368,355 |
24.3 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2022年3月31日)現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。この見積り及び仮定設定に関しては、過去の実績や状況に応じた合理的かつ妥当な判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、当初の見積りと異なる場合があります。
なお、当社の採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。また、重要な会計上の見積りの仮定については、「第5 経理の状況 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、創業以来培ってきた有機化学合成の高い技術力を背景に、特定の大口取引先の協力を得ながら成長、発展してまいりました。しかしながら、主力販売製品のコモディティ化に伴うコンペティターの台頭や環境対応に関する国内外の法的規制の強化といった外部要因による停滞、産業の成熟化に伴う市場規模の成長の鈍化といった、事業環境の変化により引き起こされる数々の問題に直面しております。
このような状況下、持続的な発展を裏付ける磐石な経営を実現させるために、特定取引先との協力関係を維持する一方で、新たな柱の構築による第二の創業を目指し、当社は有機ELをはじめとする研究開発体制の強化と販売チャネルの多様化を目的とした受託ビジネスの強化を行ってまいりました。
こうした中、受託ビジネスについては取引量が徐々に増え、紫外線吸収剤をはじめとする化学品事業において取引高ベースで30%程度となるなど確かな手ごたえが出てきましたが、有機ELをはじめとする新規ビジネスについては成長の半ばであり、更なる対応が急務でございます。また、地政学的リスクに起因する原材料調達リスク等への対応は、事業活動を継続していくうえでの喫緊の課題と考えております。
上記を踏まえ、当社は今後既存製品に関しては対面にとらわれない対話を活用し、品質改善による顧客満足度の向上と生産効率の改善、適正な価格転嫁等を推進し、既存の取引先との協力関係を維持・強化していく方針であります。
受託ビジネスに関しては既存受託先との取引関係を強化する一方で、新規顧客を開拓するとともにリピート需要を取り込む等、新たなビジネスチャンスを逃さないように外部機関等も活用し、持続的な工場稼働率の向上を実現していきます。
有機ELをはじめとする新規ビジネスに関しては市場拡大局面にあり、新たなステージにおける販売シェア獲得を必達するために、既成概念にとらわれず産学協同で研究開発・製造・販売の三位一体となった変革へのチャレンジを実践していきます。
当社は以上のような取り組みを通じて企業の永続的な発展を実現し、企業価値・株主価値向上を達成し、株主の皆様のご期待に応えるよう努める所存でございます。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、受託製造製品等の販売の増加等があるものの特定販売先への依存度が高く、依然として当社の業績に影響を受ける可能性があります。
また、有機ELをはじめとする新製品については将来の成長事業に育成すべく注力しておりますが、競合各社も新規製品開発に取り組んでおり、当社が開発した製品が中・長期的に販売できないケースがあります。
さらに、当社の継続事業にかかる棚卸資産は主として将来需要および市場動向に基づく見込み生産によるものでありますので、ロシアのウクライナ侵攻をはじめとした重大な地政学的リスクや南海トラフ地震等に伴う実需および予測せざる市場動向次第では在庫増加を要因とした生産調整を実施する場合があり、それに伴う生産休止費用が業績に与える影響も無視できません。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、以下の通りであります。
1)資本の財源
当社は、運転資金及び設備投資資金の原資につきましては、当社の財務状況を勘案して、手許現金の使用・銀行借入・リースの利用等の中から最もふさわしい方法を採ることとしております。銀行からの借入による資金調達については、短期借入金に関しては変動金利により、長期借入金に関しては主として固定金利により行っております。
2)資金需要の主な内容
当社の資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための引合費用等の販売費、製品競争力強化・ものづくり力強化に資するための研究開発費が主な内容であります。投資活動については、事業伸長・生産性向上を目的とした設備投資及び事業遂行に関連した投資が主な内容であります。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う資金面での影響は今なお不透明ではございますが、成長の原資たる設備投資や研究開発投資等については当期も継続していく所存です。全体的には、将来見込まれる成長分野での資金需要も見据え、最新の市場環境や受注動向を注視しつつ、資産の圧縮及び投資案件の選別を行っていく予定であります。
3)キャッシュ・フロー計算書に基づく資金の流動性についての分析
当社のキャッシュ・フローにつきましては、当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比226百万円減少し、1,908百万円となりました。当事業年度における状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要」をご覧ください。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について、当事業年度は以下の通りとなりました。
売上高経常利益率 現状: 2.7% (中長期目標:10.0%)
ROE(自己資本利益率) 現状: 3.9% (中長期目標:10.0%)
自己資本比率 現状:34.0% (中長期目標:40.0%)
当社といたしましては、創業以来の成長と実績を礎に上記指標を一層改善することを通じて、永続性のある更なる盤石な経営の実現を目指し、鋭意取り組んでいく所存でございます。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
化学品事業
化学品事業における販売はOEM販売や受託製造製品等の販売が主流であり、特定販売先については総売上高の約3割の依存関係となっております。既存の販売先については安定的な供給を継続しつつ、有機合成技術を駆使した高品質な新規製品による海外販売を展開することにより、直販比率を向上させることで安定収益に繋げていきます。
ホーム産業事業
ホーム産業事業における販売は木材保存薬剤を主力とし、ホームセンター向け塗料、室内用および業務用塗料の新規開発・販売拡大を目指して安定収益に繋げていきます。
当社との供給契約
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相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
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BASFジャパン㈱ |
日本 |
紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系) |
2021年 10月20日 |
1.当社より、BASFジャパン㈱への紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系)の安定的供給についての基本契約。 2.当社製品である紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系)の 国外における実質的独占販売権をBASFジャパン㈱に許与する。 3.BASFジャパン㈱は、当社より紫外線吸収剤(ベンゾトリ アゾール系)を一定量以上購入する。 |
2021年 10月1日から 2024年 9月30日まで |
当社は、将来の事業拡大と経営基盤の強化・安定化を図るため、官学との連携強化を推進し、紫外線吸収剤及び有機エレクトロ・ルミネッセンス(有機EL)材料をはじめとする電子材料関連等、各種分野にわたって研究開発に取り組んでおり、独自技術を駆使して新製品の開発を進めております。
研究開発に従事する人員は総勢18名であり、総従業員数の7.6%となっております。また、当事業年度における研究開発費の総額は
当事業年度におけるセグメント別の研究開発成果は次のとおりであります。
〔化学品事業〕
当事業年度において、紫外線吸収剤などのプラスチック添加剤及び有機エレクトロ・ルミネッセンス(有機EL)材料をはじめとする電子材料関連等の新製品及び新製法の開発を継続しております。紫外線吸収剤においては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系及びトリアジン系の生産効率の向上を、有機EL材料においては、電子輸送材料、ホール輸送材料、発光材料及びホスト材料等の新規材料合成や物性評価及び生産効率の向上等の研究開発を行っております。当事業に係る研究開発費は
〔ホーム産業事業〕
前事業年度に引き続き、環境にやさしい木材保存薬剤等の研究開発を継続しております。当事業に係る研究開発費は