第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第2四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

2【経営上の重要な契約等】

(1) 当第2四半期連結会計期間において、新たに締結した契約は次のとおりです。

当社は、平成28年8月1日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるTeijin Holdings USA, Inc.が北米最大の自動車向け複合材料成形メーカーであるContinental Structural Plastics Holdings Corporation(以下CSP社)の全株式を取得し、完全子会社とすることを決議し、平成28年9月13日付で株式譲渡契約を締結しました。

 

① 株式取得の主な目的

当社は、この度の買収により、北米自動車市場における強力な販売チャネルを獲得すると同時に、CSP社が自動車メーカーから求められてきた更なる軽量化や高強度化などの要求に対し、当社が有する炭素繊維複合材料技術等を活用することでより幅広いソリューション提案力を有することとなり、自動車向け複合材料製品事業において強固なプラットフォームを構築することができます。

 

② 取得対象子会社の概要

社名 Continental Structural Plastics Holdings Corporation

本社所在地 米国ミシガン州 オーバーンヒルズ

代表者の氏名 Chairman and CEO:Frank Macher

主な事業の内容 自動車向け複合材料製品の設計・成形・加工

 

(2) 当第2四半期連結会計期間において、重要な変更のあった契約は次のとおりです。

平成28年8月9日付で米国デュポン社と国内ならびにインドネシアの合弁会社のデュポン社持分を取得することについて合意したことに伴い、当社事業に対する重要性が低下したため、以下契約については重要な契約より除外しました。

 

契約会社名

相手先

内容

期間

帝人㈱

(当社)

デュポン社

(米国)

合弁会社の設立等に関する契約

・ポリエステルフィルムを製造・販売する合弁会社を世界6ヶ国で設立

1999.7.14

から

合弁会社の存続する期間

 

 

3【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において帝人グループが判断したものです。

(1) 業績の状況

本年度前半の世界経済は、先進国では景気に底堅さがみられたものの、政治・経済の不透明感は依然強く、力強さを欠くものとなりました。中国経済は、公共投資等が下支えするも依然減速傾向にあり、国内景気も個人消費が伸び悩む中で頭打ちとなっています。

このような状況のもと、帝人グループの当第2四半期の連結決算(累計)は、売上高としては各事業の販売が総じて堅調に推移しましたが、円高に加え、樹脂事業の構造改革に伴う生産体制適正化の影響もあり、前年同期比9.9%減の3,530億円となりました。また営業利益は、既存事業の成長と構造改革により着実に基礎収益力の底上げを図る一方で、為替要因や新薬導入費用の影響もあり前年同期比23.6%減の270億円となりましたが、各事業とも計画を上回り、減益幅は期初見通しより縮小しました。経常利益としては為替差損の発生等も加わり同25.6%減の267億円となりました。一方、親会社株主に帰属する四半期純利益は、税効果会計の影響による税金費用の減少もあり、前年同期比12.6%減の214億円となりました。また1株当たり四半期純利益金額は108円67銭(同15円78銭減)となりました。

 

当第2四半期連結累計期間におけるセグメント別の概況は次のとおりです。

 

高機能繊維・複合材料事業

:[売上高 573億円(前年同期比12.3%減)、営業利益 77億円(前年同期比17.3%減)]

アラミド繊維では、パラアラミド繊維「トワロン」が欧州のタイヤ向け等自動車関連用途の販売を順調に拡大しました。一方、油田採掘関連用途及び防弾用途は低調な推移となりました。パラアラミド繊維「テクノーラ」は、国内の自動車関連用途と海外のインフラ関連用途向け販売が堅調に推移しました。「テクノーラ」については、優れた耐疲労性、耐薬品性等が評価され、より過酷な条件下での用途拡大が進んでいます。生産もフル稼働の状況が続いているため、製糸工程の増設等により、生産能力を約10%増強することを本年3月に決定しています。

メタアラミド繊維「コーネックス」は、市場が拡大しているフィルター用途では厳しい競合環境が継続していますが、ターボチャージャーホース等の自動車関連、防護衣料及び産業資材用途の販売が堅調に推移しました。また昨年度に生産・販売を開始したタイ新工場では、難燃規制・環境規制強化を背景に、高い成長が見込まれるアジア・新興国での同素材の事業拡大を図っています。

ポリエステル繊維は、自動車関連用途や衛材・詰綿及び水処理用RO膜支持体向け等への販売が堅調に推移しています。また、将来の更なる競争力強化に向けて、国内生産体制の再編とタイ子会社への生産移管を推進しています。

炭素繊維「テナックス」は、航空機メーカー各社からの好調な受注を背景に、航空機用途向けの販売が引き続き順調に推移しました。その他の用途では、欧州・アジア地域における一般産業向けや欧米での風力発電向けの販売が堅調でした。また、耐炎繊維「パイロメックス」は、航空機のブレーキ材向け等の需要好調を背景に順調な販売が続きました。これを受けた、トーホウ・テナックス・アメリカにおける炭素繊維製造ラインの「パイロメックス」製造ラインへの転換工事は計画通り進行しています。

このような状況のもと、当社は高機能素材の領域において複合材料を中心に事業拡大を図るべく、自動車の量産部品への適用を見据えた事業展開を推進しています。その一環として、この度、北米最大の自動車向け複合材料成形メーカーであるコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス社(Continental Structural Plastics Holdings Corporation、本社:米国ミシガン州、以下「CSP社」)の全株式を取得し、完全子会社とすることとしました。これにより自動車向け複合材料製品事業の強力な事業基盤を獲得し、同事業のTier1サプライヤーとしてグローバル展開を図っていきます。そして、世界的な環境規制強化に伴う環境負荷低減やコストダウンといった自動車メーカーのニーズを的確に把握し、CSP社が有するガラス繊維複合材料(GFRP)や、当社が有する熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRTP)といった高機能複合材料の特長を活かした部品提案を通じて、「車体部品の軽量化」「部品点数の削減」「リサイクル性の向上」を実現し、更には従来部品を超える付加価値を提供していきます。

また、北米を中心とした炭素繊維の需要増への対応として、新工場建設に向けたプロジェクトを推進しており、米国内での土地取得を完了しました。

 

電子材料・化成品事業

:[売上高 669億円(前年同期比23.5%減)、営業利益 94億円(前年同期比20.8%減)]

樹脂分野では、主力のポリカーボネート樹脂「パンライト」、「マルチロン」においては、原料価格が前期対比では緩やかに上昇する中、大幅な人民元安が円換算利益の減少をもたらしたものの、構造改革効果によって中国・日本の両生産拠点においては高稼働を維持し、加えて販売構成の改善効果もあり、収益率は着実に向上しています。

注力分野である高機能コンパウンドにおいては、耐候性、耐薬品性、難燃性等が求められる屋外使用用途向けに共重合ポリカーボネートを用いた製品の開発・販売を進めています。また帝人グループが保有する高機能繊維(炭素繊維、アラミド繊維)とポリカーボネート樹脂を用いた独自の複合材料による軽量化・金属代替提案も積極的に推進しています。

機能樹脂分野では、カメラレンズ用特殊ポリカーボネート樹脂において、スマートフォン向けに加えて車載カメラ・防犯カメラ向け提案を進めており、高耐熱・高屈折率品等のニーズに応じた製品ラインナップの拡充を図っています。またPEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂では、耐熱・耐圧容器向けを中心とした用途展開を進めています。

韓国SKケミカル社との合弁会社INITZ Co., Ltd.にて量産予定のスーパーエンプラPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂については、自動車・電気電子用途を中心に、特徴あるコンパウンド製品の開発及び生産体制の整備を行っています。

フィルム分野では、液晶TV向け反射シートにおいては、中国メーカーの台頭で量・価格ともに厳しい状況が継続しましたが、スマートフォン等の関連部材であるMLCC(積層セラミックコンデンサ)等の工程用離型フィルム「Purex」や、特殊包装用途の輸出品が比較的堅調に推移しました。特殊ポリカーボネート樹脂を使用した有機ELディスプレー(OLED)の反射防止用逆波長分散フィルムは、スマートフォン・タブレット用途での販売が拡大しました。また、ポリカーボネート樹脂製「パンライトシート」も自動車メーターパネル等の車載ディスプレー関連用途の販売が堅調に推移しました。

収益面では、原燃料コストの低下や現在進めている構造改革等に伴うコストダウンが寄与し、前年同期比で改善しました。ポリエステルフィルム事業では、本年9月末をもって計画通り岐阜事業所の生産活動を停止し、宇都宮事業所への集約を完了しており、今後は高付加価値用途への特化を更に進めていきます。また国内及びインドネシアの合弁会社については、合弁相手であるデュポン社からの持分取得による完全子会社化を8月に決定しました。これにより、事業運営の柔軟性及び意思決定の迅速性の向上を図り、従来以上に多種多様な素材・製膜方法の活用を通じて、顧客価値の創出とその更なる向上を図ります。

海外拠点では、中国で市況が低調に推移する中、販売量、価格ともに厳しい競争環境が継続していますが、欧米では包装用途を中心に需要が比較的堅調に推移しています。

ヘルスケア事業

:[売上高 736億円(前年同期比1.7%減)、営業利益 124億円(前年同期比26.2%減)]

医薬品市場全体としては依然厳しい事業環境が継続する中、国内では、新薬群の高尿酸血症・痛風治療剤「フェブリク」や、先端巨大症治療剤「ソマチュリン*1」の販売が引き続き順調に拡大しました。また、「フェブリク」では5月に「がん化学療法に伴う高尿酸血症」の効能・効果追加の承認を取得し、新たな付加価値を提供するとともに、骨粗鬆症治療剤「ボナロン*2」の経口ゼリー剤や点滴静注剤、小型の錠剤である徐放性気道潤滑去痰剤「ムコソルバンL錠45mg」といった剤形追加品を合わせて、幅広い治療選択肢を患者さんに提供しています。また1月より大正富山医薬品㈱との共同で販売開始した経皮吸収型鎮痛消炎剤「ロコア」についても、販売の拡大を図っています。

研究開発においては、7月に先端巨大症治療剤「ソマチュリン*1」について、「神経内分泌腫瘍」への適応追加申請を行うとともに、2型糖尿病における新規の糖尿病性腎症治療薬として「TMX-049DN」の臨床開発(英国、第Ⅰ相)に着手しました。8月には、小児における成長ホルモン分泌不全性低身長症を最初の予定適応症として、米国Versartis Inc.が創製した新規長期作用型成長ホルモン剤「VRS-317」の日本における独占的開発・販売契約を締結しました。

また海外での高尿酸血症・痛風治療剤の販売も順調に拡大しています。現在、販売提携国と地域は117に達しており、その内日本を含め63の国と地域で販売していますが、残りの国・地域においても、順次販売承認を取得して更なる拡大を図っていきます。

在宅医療事業では、国内外で40万人以上の患者さんにサービスを提供しています。主力の在宅酸素療法(HOT)用酸素濃縮装置は、据置型「ハイサンソ5S」や、携帯型「ハイサンソポータブルα」の投入効果もあり、高水準のレンタル台数を堅調に維持しました。今後は3月に上市した携帯型酸素濃縮器「ハイサンソポータブルαⅡ」の積極展開により、レンタル台数の更なる拡大を目指します。睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療器は、携帯電話網を活用して治療状況をモニタリングする「ネムリンク」の訴求効果や、睡眠検査装置「SAS2100」の活用により、レンタル台数を順調に伸ばしました。今後は1月に上市した、ネムリンクの機能に加え加湿器を内蔵した新機種「スリープメイト10」の積極展開により、レンタル台数の更なる拡大を目指します。また、福岡市と大阪市に設置したコールセンターを活用し、患者さんのサポート体制の一層の強化を図っています。

一方、発展戦略の一環として、昨年9月より販売を開始した患者情報共有システム「バイタルリンク」については、かかりつけ医を中心に医師会とも契約を締結し、販売を拡大しています。また、大阪大学等との産学連携で開発した磁気刺激装置については、医師主導による難治性神経障害性疼痛の治験を複数の施設において実施しています。更に、平成25年度に上市した、脳卒中後遺症等の歩行補助用の電気刺激装置「ウォークエイド」についても、首都圏の医療機関等から順次事業展開を進めています。

海外では、現在米国・スペイン及び韓国において在宅医療事業を展開しています。米国では、医療制度改革に伴い保険価格が大幅に引き下げられる等、厳しい事業環境が継続していますが、事業拠点の統廃合等の収益改善策を進めています。

*1 ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharmaの登録商標です。

*2 ボナロン®/Bonalon®はMerck Sharp & Dohme Corp.の登録商標です。

 

製品事業

:[売上高 1,255億円(前年同期比3.6%減)、営業利益 29億円(前年同期比33.3%増)]

衣料繊維分野における、繊維素材では、スポーツ・アウトドア用途の戦略素材「デルタ」シリーズをはじめとする高機能素材が、欧米のスポーツアパレル市場で販売を拡大しましたが、国内市場では大手スポーツ量販店をはじめとする小売り販売不振の影響を受け、低調な推移となりました。ポリエステル原糸はインテリア及び衣料用差別化機能糸の販売拡大が、ユニフォーム素材は海外適地生産の推進がそれぞれ奏功し、国内市場が低迷している中で収益改善に寄与しました。

衣料製品では、全般的に厳しい市場環境が継続している中、期初からの円高と人民元安基調を背景として、生産性の高い中国への生産回帰を図り、収益性を維持しました。また企画開発の強化を推進することで、戦略素材「ソロテックス」の商品アイテムの裾野を拡げ、帝人フロンティア総合展示会(6月開催)や「プルミエール・ヴィジョン(パリ)」(9月開催)等で顧客への提案を行い、オリジナル商品の提案による差別化ビジネスの拡大を着実に進めました。

産業資材分野では、自動車部材関連の販売において、タイヤ関連は高機能タイヤ用補強材を中心に好調に推移しました。また伝動ベルト、ホース、エアバッグ、カーシートも総じて堅調な推移となりました。

繊維資材関連では、政府の国土整備計画に準じた需要や災害復興需要により、土木資材が好調でしたが、天候不順の影響を受け、テント生地・膜材関連資材や農業資材は販売低調な状況が続きました。また機能素材輸出においては、スポーツ資材関連・水処理用不織布が伸長しました。

生活資材分野では、工業用ワイパー、衛生用品が堅調に推移しましたが、カーテン地販売は引き続き低迷しました。またヘルスケア関連商品については、大手コンビニエンスストアとの取り組みが順調に拡大し、更なる新規商品の上市に向けた企画開発を進めています。

化成品関連では、パソコン・スマートフォン市場の生産調整が続き、樹脂、ポリエステルフィルムの販売苦戦が続きました。

その他新事業の創出においては、纏う化粧品「ラフィナン」の自社企画商品を小売り・当社ウェブサイトにて6月より販売開始し、更にOEMビジネスでも、9月に大手インナーメーカーによる世界初の化粧品インナー発売に結び付けるなど、ビジネスを拡大しています。また防災関連製品やウェアラブル電極布を活用した製品についても、事業化に向けた取り組みを着実に推進しています。

 

その他事業

:[売上高 298億円(前年同期比13.3%減)、営業利益 22億円(前年同期比13.5%増)]

IT事業は、ネットビジネス分野において電子書籍配信サービス「めちゃコミック」の売上が順調に拡大し、堅調に推移しました。ITサービス分野では、ヘルスケア事業において、地域包括ケアシステムの開発やIoT*を用いた認知症ケアソリューションの検討等を開始しました。またIoT*関連では、土壌環境の状態表示を行うアプリケーションを開発し、農業へのIT活用の検討を開始しました。

新事業では、リチウムイオンバッテリー用セパレータ「リエルソート」の販売が堅調に推移しました。また自社開発によるポリエチレンを用いた高機能メンブレン「miraim(ミライム)」の事業展開にも継続して取り組んでいます。

新規ヘルスケアの分野においては、人工関節事業を手掛ける帝人ナカシマメディカル㈱が、内閣府が実施する「第14回 産学官連携功労者表彰」において「科学技術政策担当大臣賞」を受賞しました。今後も素材技術と金属加工技術の融合により、画期的な製品開発を進め、国産人工関節メーカーとして業容の拡大に努めていきます。
また、新たに機能性食品素材の分野で、スーパー大麦「バーリーマックス」の開発を推進しており、食物繊維、難消化性でんぷんを多く含むことによる整腸作用を臨床試験にて確認し、自社商品の試験販売も開始しました。今後、更なる事業拡大に向けて、食品メーカーへのマーケティング活動を展開していきます。

* IoT (Internet of Things) : 世の中に存在するさまざまなモノがインターネットにつながることによって実現される全てのサービスを指す。

 

(2) 財務状態の分析

当第2四半期連結会計期間末の総資産は7,797億円となり、前期末に比べ437億円減少しました。これは、円高を受けて外貨建て資産の円建て評価額が減少したことが主要因です。また季節性変動等の要因により売上債権が減少し、借入金返済に伴い現預金等も減少しました。

負債は前期末比458億円減少し、4,632億円となりました。この内有利子負債は、長期借入金の返済や為替変動等により同271億円減少し、2,762億円となりました。

純資産は3,165億円となり、前期末比21億円の増加となりました。この内「株主資本」に「その他の包括利益累計額」を加えた自己資本は、3,048億円と前期末比47億円の増加となりました。これは親会社株主に帰属する四半期純利益214億円があったものの、配当金の支払いに加え、円高に伴い「為替換算調整勘定」が減少したこと等によるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、親会社株主に帰属する四半期純利益が堅調に推移したことから、合計で315億円の資金収入となりました。また投資活動によるキャッシュ・フローは、重点戦略事業・新規事業を中心とする投資を行った結果、188億円の資金支出となり、この結果、営業活動に投資活動を加えたフリー・キャッシュ・フローは127億円の資金収入となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローについては、配当や長期借入金の返済等により238億円の資金支出となりました。

これらの結果、現金及び現金同等物に係る換算差額も加え、最終的な現金及び現金同等物の減少額は137億円となりました。

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第2四半期連結累計期間において、帝人グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。

① 当社の株主の在り方に関する基本方針

(会社法施行規則第118条第3号にいう、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針)

当社の株主の在り方について、当社は、株主は市場での自由な取引を通じて決まるものと考えています。したがって、株式会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるかどうかの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えています。

しかし、当社株式の大量取得行為や買付提案の中には、「企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのあるもの」「株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの」「買付の対価が当社の企業価値に鑑み不十分なもの」等も想定されます。このような大量取得行為や買付提案を行う者は、例外的に、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えています。

② 基本方針の実現に資する取り組み

当社では、多数の投資家の皆様に長期的に当社に投資を継続して頂くために、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取り組みとして、次の施策を既に実施しています。これらの取り組みは、上記①の基本方針の実現にも資するものと考えています。

ア.修正中期計画「抜本的構造改革と将来に向けた発展戦略」による企業価値向上への取組み

帝人グループでは、2014年11月に、構造改革と発展戦略を柱とする、2017年3月期までの「修正中期計画」を策定し、公表しました。

構造改革においては、各事業を「市場の成長性」「競争優位性」「収益性」の観点から徹底的に絞り込み、成長分野への経営資源の集中を行います。生産・開発拠点の統廃合や事業構造の見直しを進め、最終的には2015年3月期対比で125億円の営業利益改善効果を発現すべく、各種施策を推進していきます。

また発展戦略においては、素材・ヘルスケア・ITの3つの領域を併せ持つユニークな企業体として、各領域での強み・優位性を融合することにより、今までにない顧客価値の創造を図ります。当社の強みが発揮できる「環境・省エネ」「安心・安全・防災」「少子高齢化・健康志向」といった領域で、新しいユニークなビジネスの創出を目指しています。

2017年3月期には、構造改革の成果及び、重点戦略事業と位置付けるヘルスケア事業、高機能繊維・複合材料事業を中心とした既存事業の成長により、ROE11.5%の実現を目指します。また2020年近傍には、素材事業を一元的に統合し、既存事業の延長ではない「ソリューション提供型事業体」への転換に向けた道筋をより明確化していきます。

株主還元については、連結業績に連動した利益還元を行うことを基本方針とし、併せて財務体質の健全性や中長期の配当の継続性を勘案して配当を実施します。

イ.「コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化」による企業価値向上への取り組み

当社は、企業価値ひいては株主共同の利益向上のために不可欠な仕組みとして、従来より、コーポレート・ガバナンスの強化を重要な課題に掲げ取り組んでいます。具体的には、以下の施策を実施しています。

1)意思決定、業務執行、監視・監査の3機能の分離と強化

2)国内外の有識者による経営全般への助言・提言を通じた「より良い経営、透明性の高い経営」の遂行と経営トップの評価を目的とした、取締役会の諮問機関としてのアドバイザリー・ボードの設置

3)コーポレート・ガバナンスに関する具体的な指針である「コーポレート・ガバナンスガイド」の制定と開示

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み(買収防衛策)

当社は、平成27年6月24日に開催された第149回定時株主総会において株主の皆様の承認を受け、当社株式の大量取得行為に関する対応策(以下、「本プラン」という)を更新しました。本プランの概要は以下のとおりです。

ア.対象となる買付

本プランの対象となる買付は、株式の保有割合が20%以上となる買付です。

イ.買付者との交渉手続き

買付者には、事前に買付説明書の提供を求め、当社が、情報収集や検討を行う期間を確保した上で、株主の皆様に当社経営陣の計画や代替案を提示したり、買付者との交渉を行っていくための手続きを定めています。

 

ウ.買付者が手続きを守らなかった場合の取得条項付新株予約権の無償割当て

買付者が前記手続きを守らなかった場合等には、独立委員会の勧告に従い、取締役会は、その時点の全ての株主に対し、保有株式1株につき1個の割合で「取得条項付新株予約権」を無償で割当てることを決議します。

エ.取得条項付新株予約権の取得と当社株式の交付

新株予約権に付された取得条項により、当社は買付者等以外の株主の皆様から新株予約権を取得しこれと引き換えに、新株予約権1個につき、当社株式1株を交付します。

オ.買付者等以外の株主の皆様への影響

買付者等以外の株主の皆様全員に平等に当社株式を交付しますので、株主の皆様の保有する株式の希釈化は生じません。買付者等には当社株式は交付されませんので、この交付により、買付者等の保有する当社株式の議決権割合を最大50%まで希釈化させる可能性があります。

カ.新株予約権の無償割当ての要件

新株予約権の無償割当ては以下いずれかに該当し、新株予約権の無償割当てをすることが相当と認められる場合に行われます。

1)本プランに定める手続きを遵守しない場合

2)買収の目的や買収後の経営方針等に鑑み、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれがある買付であり、下記に掲げる行為のいずれかに該当する場合

a) 株式を買い占め、その株式につき当社に対して高値で買取りを要求する行為

b) 当社の経営を一時的に支配して、当社の重要な資産等を廉価に取得する等、当社の犠牲の下に買付者の利益を実現する経営を行うような行為

c) 当社の資産を買付者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する行為

d) 当社の経営を一時的に支配して、当社の事業に当面関係していない高額資産等を処分させ、その処分利益をもって、一時的な高配当をさせるか、一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って高値で売り抜ける行為

3)株式の売却を事実上強要するおそれのある買付である場合

4)買付の対価が当社の企業価値に鑑み不十分な買付である場合

キ.発動までのプロセスの概要

買付者から買付説明書が提出された場合、社外取締役又は社外監査役のうち5名で構成される独立委員会は、取締役会に対して、買付者の買付の内容に対する取締役会の意見等を一定の期間内(30日を上限とします)に提示するよう求めることがあります。その後、最長60日間、情報収集・検討等を行います。独立委員会は、30日を上限として検討期間を延長することができるものとします。

独立委員会はこれらの情報収集・検討等に基づき、取締役会に対し、新株予約権の無償割当ての実施または不実施の勧告を行います。取締役会は、独立委員会の勧告を尊重し、これに従い最終的に新株予約権の無償割当ての実施または不実施の決議を行います。ただし、独立委員会が当該実施に関し株主総会の承認を予め得るべき旨の留保を付した場合、取締役会は、実務上可能な限り速やかに株主総会を招集し、新株予約権の無償割当ての実施に関する議案を付議するものとします。

*「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」の詳細については、インターネット上の当社ウェブサイト(http://www.teijin.co.jp/ir/governance/defense/)に掲載しています。

④ 前記取り組みが、基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて

当社では、本プランの設計に際し、以下の諸点を考慮し織り込むことにより、本プランが、基本方針に沿い当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致するものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。

ア.買収防衛策に関する指針の要件の充足等

本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に公表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(①企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、②事前開示・株主意思の原則、③必要性・相当性確保の原則)を充足しています。また、経済産業省の企業価値研究会が平成20年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」を踏まえた内容となっています。

イ.株主意思の反映

本プランは、平成27年6月24日に開催された第149回定時株主総会において承認され発効し、その有効期限は、平成30年3月期の事業年度に関する定時株主総会の終結の時までの3年とします。また、当社取締役の任期は1年となっていますので、取締役の選任を通じて株主の皆様の意思を反映させることが可能です。更に、本プランの有効期間の満了前であっても、株主総会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになります。

ウ.独立性の高い社外役員の判断の重視

当社は、本プランの導入に当たり、本プランの発動等の運用に際して、取締役会の恣意的判断を排除し、株主の皆様のために実質的な判断を客観的に行う機関として、独立委員会を設置しました。独立委員会は、社外取締役または社外監査役のいずれかに該当する者の中から取締役会が選任した者から構成します。

エ.本プラン発動のための合理的な客観的要件の設定

本プランは、予め定められた合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、しかも、これらの客観的要件は当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないとされる場合と一致させています。これにより、取締役会による恣意的な発動を防止します。

オ.コーポレート・ガバナンスの強化と継続

当社では、定員10名以内の取締役のうち4名を独立社外取締役、監査役の過半数の3名を独立社外監査役とすること等により、意思決定、業務執行、監視・監査の3機能の分離と強化を図り、また、5~7名の社外アドバイザーと取締役会長(取締役会長が空席の場合は、相談役)、CEOで構成されるアドバイザリー・ボードを取締役会の諮問機関として設置して、CEOの交代及び後継者の推薦、帝人グループの役員報酬制度の審議等を行い、上記の取り組みを含むコーポレート・ガバナンスの指針を「コーポレート・ガバナンスガイド」として開示しています。

以上の施策は、我が国の上場会社において、コーポレート・ガバナンスの先駆的な取り組みと評価されています。この仕組みは、当社役員の保身的な行動を強く抑制するものであり、本プランの実施にあっても、その恣意的な行使を抑止する重要な機能を果たすことが期待されます。

(5) 研究開発活動

当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、195億円です。

また、当第2四半期連結累計期間における研究開発活動の状況の変更は、次のとおりです。

 

① 高機能繊維・複合材料事業

アラミド繊維分野では、危険作業に従事する方々の安全確保に向けたソリューションとして、高視認性衣服の国際規格である「ISO 20471」に準拠する、視認性の高い新しいアラミド繊維織物を開発しました。この新しいアラミド繊維織物は、防護衣料の難燃性や耐久性を保ちながら、遠距離でも着用者を目視で確認できるだけの高視認性を付与することを可能とするものです。

ポリエステル繊維分野では、ポリエステル製タテ型不織布「V-Lap」を基材とする天井材「かるてん」を使用した、超軽量天井システムにおける新たな耐震工法「かるてんTB工法」を開発しました。この工法は、2015年6月に一般評定を取得した「かるてんTA工法」の軽量性や耐震性を保ちながら施工性を向上させたものです。また、「かるてん」は、4月にオープンした「イオンモール今治新都市」の天井材として採用されています。

また、この度、自社の高機能素材や技術を活かした快適性に優れる製品群を、新たに「Tcomfort(ティーコンフォート)」シリーズとして展開することとしました。そのブランドの第一弾として、高機能ポリエステルクッション材「エルク」、ポリエステル製タテ型不織布「V-Lap」を積層し、真空高温スチームでセットすることで密度調整、薄型軽量化、耐久性アップを実現する加工技術等、帝人独自の素材、技術を組み合わせることにより、優れたクッション性と快適な寝心地を実現した「Tcomfort」マットレスを開発し、発売することとしました。

一方、帝人グループで人工皮革事業を展開する帝人コードレ㈱は、この度、自社が展開する人工皮革ブランド「コードレ」の新たなラインナップとして、仔牛の革であるカーフやキップ等の上質な天然皮革のような質感、重厚感、ならびに高い機能性を持つ新製品「MAESTLEY(マエストレ)」を開発しました。上質な天然皮革の代替製品として今春上市し、今後、自社が保有する最先端の複合技術を活かしてバリエーションの拡充を進め、シリーズ展開していきます。

炭素繊維・複合材料分野では、高収益・高成長分野での事業拡大を進めるため、ダウンストリームビジネスへの展開を引き続き加速しており、特に自動車用途においては、量産部品への適用を見据え熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRTP)「Sereebo」の開発や、国内外の複数企業との共同開発を進めています。

更にこの度、シート・モールディング・コンパウンド(SMC) を用いた自動車部品でのグローバル最大手である米国CSP社の全株式を取得し、完全子会社とすることを決定しました。自動車向け複合材料製品事業のTier1サプライヤーとして優れた自動車部品設計・生産技術、 品質管理、ノウハウを持つ同社の獲得により、自動車メーカーのニーズを的確に把握するとともに、同社が有するガラス繊維複合材料(GFRP)や、当社が有するCFRTPといった高機能複合材料の特長を活かした部品提案を通じて、従来部品を超える付加価値の提供を目指していきます。

そのほか、本年5月には欧米の自動車メーカーがTier1メーカーに対して認証取得を必須としている品質マネジメントシステム規格「ISO/TS 16949」の認証を取得する等、グローバル水準の自動車部品メーカーに向けての体制構築を進めています。また北米を中心とした炭素繊維の需要増への対応として、新工場建設に向けたプロジェクトを推進しており、米国内での土地取得を完了しました。

 

② 電子材料・化成品事業

樹脂分野では、成形時の外観不良や製品での表層剥離が発生するため、耐薬品性や軽量性への期待がありつつも実用化が困難であったポリカーボネート樹脂とポリプロピレン樹脂のアロイ化技術を開発しました。既に、本技術を適用したアロイ樹脂の外観部品用途への顧客提案を始めており、住宅設備関係の水回りの用途への採用を皮切りに、今期中の量産採用を見込んでいます。

 

③ ヘルスケア事業

医薬品分野では、平成28年5月に高尿酸血症・痛風治療剤「フェブリク」(一般名:フェブキソスタット)について、「がん化学療法に伴う高尿酸血症」に対する適応追加の承認を取得しました。また7月には、先端巨大症治療剤「ソマチュリン*1」について、「神経内分泌腫瘍」への効能・効果追加申請を行いました。更に同月、2型糖尿病における新規の糖尿病性腎症治療薬として「TMX-049DN」の臨床開発(英国、第Ⅰ相)に着手しました。8月には、小児における成長ホルモン分泌不全性低身長症を最初の予定適応症として、米国Versartis Inc.が創製した新規長期作用型成長ホルモン剤「VRS-317」の日本における独占的開発・販売契約を締結しました。

在宅医療分野では、大阪大学等との産学連携で開発した磁気刺激装置を用いた医師主導による難治性神経障害性疼痛の治験を引き続き複数の施設において実施しています。

*1 ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharmaの登録商標です。

 

④ 製品事業

帝人フロンティア㈱の「新事業開発室」において、現在ウェアラブル電極布技術を応用した用途開発や、纏う化粧品「ラフィナン」の商品強化に向けた技術開発・製品企画のほか、帝人グループ間の融合による環境・防災減災・介護ヘルスケア関連のビジネス案件についての商品開発を進めています。

 

⑤ その他

帝人㈱で行うコーポレート研究(グループ共通の基礎研究及び新事業・新製品創出)では、帝人グループの発展戦略を実現すべく、素材技術・ヘルスケア技術・IT技術の融合により、新事業の創出を目指して研究開発に取り組んでいます。

また新たに機能性食品素材の分野としてスーパー大麦「バーリーマックス」の開発を推進しており、食物繊維、難消化性でんぷんを多く含むことによる整腸作用を臨床試験にて確認し、自社商品の試験販売も開始しました。