(1) 業績
当期の世界経済は、米国を中心とした先進国が底堅く成長を牽引する中、中国経済も景気刺激策によって年度後半からは持ち直し、全体として緩やかな拡大基調を辿りました。また国内景気は個人消費には依然として伸び悩みがみられますが、輸出の回復等により製造業の景況感も好転する等、改善基調にあります。
このような状況のもと、帝人グループの当期の連結決算(累計)は、売上高としては各事業の販売が総じて堅調に推移しましたが、年度前半の円高影響に加え、樹脂事業等の構造改革に伴う生産体制適正化の影響もあり、前年同期比6.3%減の7,413億円となりました。また営業利益は、既存事業の成長と構造改革により着実に基礎収益力の底上げを図る一方で、為替要因や薬価改定、新薬導入費用の影響等もあり前年同期比15.8%減の565億円となり、経常利益も同7.3%減の559億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、米国在宅医療事業からの撤退を決定したことに伴う税効果会計の適用により、大幅に税金費用が減少したため、前年同期比61.3%増の501億円となりました。また1株当たり当期純利益は254円91銭(同96円77銭増)となりました。
当連結会計年度における事業の概況は次のとおりです。
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高機能繊維・複合材料事業 |
:[売上高 1,368億円(前期比 2.8%増)、営業利益 138億円(同 25.2%減)] |
<高機能繊維分野:自動車関連用途が堅調に推移、炭素繊維・複合材料分野:航空機用途向け等が順調に推移、米国CSP社の買収を完了>
高機能繊維分野における、パラアラミド繊維「トワロン」が欧州のタイヤ向け等自動車関連用途の販売を順調に拡大しました。一方、油田採掘関連用途及び防弾用途は低調に推移しました。パラアラミド繊維「テクノーラ」は、国内の自動車関連用途と海外のインフラ関連用途向け販売が堅調に推移しました。同繊維は、優れた耐疲労性、耐薬品性等が評価され、より過酷な条件下での用途拡大が進んでいます。
メタアラミド繊維「コーネックス」は、フィルター用途では厳しい競合環境が継続していますが、ターボチャージャーホース等の自動車関連、防護衣料及び産業資材用途の販売が堅調に推移しました。また昨年度に生産・販売を開始したタイ新工場では、難燃規制・環境規制強化を背景に、高い成長が見込まれるアジア・新興国での同素材の事業拡大を図っています。
ポリエステル繊維は、シートベルトやベルト・ホースコードといった自動車関連用途や衛材・詰綿及び水処理用RO膜支持体向け等の販売が堅調に推移しています。また、将来の更なる競争力強化に向けて、国内生産体制の再編とタイ子会社への生産移管を推進しています。
炭素繊維・複合材料分野では、炭素繊維「テナックス」が、航空機用途向けの販売が順調に推移しました。その他の用途では、欧米での風力発電向けの販売が堅調でしたが、一般産業用途やアジア地域におけるスポーツ・レジャー用途向けの需給バランスが軟化しました。耐炎繊維「パイロメックス」は、航空機のブレーキ材向け等の需要好調を背景に順調な販売が続きました。これを受け、Toho Tenax America Inc.では炭素繊維製造ラインの「パイロメックス」製造ラインへの転換を進めています。
当社は高機能素材の領域において複合材料を中心に事業拡大を図るべく、自動車の量産部品への適用を見据えた事業展開を推進しています。その一環として、本年1月には、北米最大の自動車向け複合材料成形メーカーであるコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス社(Continental Structural Plastics Holdings Corporation、本社:米国ミシガン州、以下「CSP社」)の全株式の取得を完了し、完全子会社としました。今後は、CSP社が有するガラス繊維複合材料(GFRP)と当社が有する熱可塑性、熱硬化性炭素繊維複合材料(CFRTP、CFRP)のFRP技術の融合、米州におけるTier1サプライヤーとしての事業拡大、加えて欧州・日本・アジアへのグローバル市場展開を通じて、自動車向け複合材料製品事業の強力な事業基盤の構築を図っていきます。
更に北米を中心とした炭素繊維の需要増への対応として、新工場建設に向けた検討を推進しており、米国内での土地取得を完了しました。
また、炭素繊維の主要生産拠点である三島事業所においては自家発電設備を、重油を用いた蒸気タービン発電からガスタービン発電へと燃料転換し操業を開始しました。これにより発電効率向上と環境負荷低減を推進していきます。
当セグメントの生産規模は、1,472億円(前期比 1.1%減、販売価格ベース)でした。
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電子材料・化成品事業 |
:[売上高 1,344億円(前期比 17.9%減)、営業利益 185億円(同 17.1%減)] |
<樹脂分野:ポリカーボネート樹脂は堅調に推移、高機能用途の更なる拡大に注力、フィルム分野:ポリエステルフィルム国内生産拠点集約及び日本・インドネシア合弁会社の完全子会社化>
樹脂分野では、主力のポリカーボネート樹脂「パンライト」「マルチロン」は、円高による利益換算額の減少があったものの、需給は堅調で、中国・日本の両生産拠点が高稼働を維持し、販売構成の改善も加わって、安定した収益を確保しました。こうした中、高機能用途の更なる拡大の取り組みとして、自動車市場向けに、先進的なコーティング技術を取り入れた自動車ウィンドウ向け成形品や、高い表面硬度を実現した内装パネル向け共重合ポリカーボネートの積極展開を実施しています。また、防災インフラ、住宅設備、医療等の成長市場に対しても、高付加価値ポリカーボネート樹脂及びそのコンパウンド品を中心に、部材での提供も含めた提案を行っています。更に帝人グループが保有する高機能繊維(アラミド繊維、炭素繊維)とポリカーボネート樹脂を用いた独自の複合材料による軽量化・金属代替等のソリューション提供も積極的に推進しています。
機能樹脂分野では、カメラレンズ用特殊ポリカーボネート樹脂において、スマートフォン向けに加えて、今後の市場拡大が見込まれる車載カメラ・防犯カメラ向けに適した製品ラインナップの拡充を進めています。また、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂においては、耐薬品性、耐ガスバリア性といったPENの特長を活かし、各種圧力容器への展開を加速させています。難燃剤では、安定した収益をあげている既存ラインナップの拡販に加えて、ポリエステル繊維等への難燃性・着色性付与が容易な新規リン系製品の市場展開を進めています。
韓国SKケミカル社との合弁会社INITZ Co., Ltd.にて量産体制を確立中のスーパーエンプラPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂については、自動車・電気電子用途を中心に、帝人の独自技術を活かした特徴あるコンパウンド製品の開発を行っています。
フィルム分野では、液晶TV用反射シート向けの販売が、中国メーカーの台頭で量・価格ともに厳しい状況が継続しましたが、スマートフォン等の関連部品であるMLCC(積層セラミックコンデンサ)等の工程用離型フィルム「Purex」や、特殊包装用途の輸出品、磁気用PENフィルムが比較的堅調に推移しました。ポリカーボネート樹脂製「パンライトシート」や透明導電性フィルム「エレクリア」は車載ディスプレー関連を中心にして順調に推移したほか、特殊ポリカーボネート樹脂を使用した「ピュアエース」は、有機ELディスプレー(OLED)の反射防止用逆波長分散フィルムやフレキシブル基材用途の販売が増加しました。
このような中、ポリエステルフィルムの国内生産拠点集約によるコストダウンの寄与に加えて、ポリエステル、ポリカーボネート製品ともに販売構成が改善したことにより、前年同期比で収益は向上しました。また国内及びインドネシアの合弁会社については、合弁相手であるデュポン社(E.I. du Pont de Nemours and Company)の保有株式を取得し、国内については帝人フィルムソリューション㈱、インドネシアについてはP.T. Indonesia Teijin Film Solutionsという新社名のもと、事業運営を開始しました。これにより、事業運営の柔軟性及び意思決定の迅速性の向上を図り、従来以上に多種多様な素材・製膜方法の活用を通じて、顧客価値の創出とその更なる向上を図ります。
海外拠点においては、中国で市況が引き続き低調に推移する中、販売量は前年並みに留まりました。欧米では包装用途を中心に需要が比較的堅調に推移しました。
当セグメントの生産規模は、1,133億円(前期比 22.1%減、販売価格ベース)でした。
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ヘルスケア事業 |
:[売上高 1,475億円(前期比 0.0%増)、営業利益 276億円(同 4.3%減)] |
<医薬品分野:高尿酸血症・痛風治療剤の販売が順調に拡大、在宅医療分野:高水準のレンタル台数を維持・拡大>
医薬品分野では、国内医薬品市場において厳しい事業環境が継続する中、高尿酸血症・痛風治療剤「フェブリク」や、先端巨大症治療剤「ソマチュリン*1」の販売が引き続き順調に拡大しました。また、骨粗鬆症治療剤「ボナロン*2」の経口ゼリー剤や点滴静注剤、小型の錠剤である徐放性気道潤滑去痰剤「ムコソルバンL錠45mg」といった剤形追加により、患者さんへの幅広い治療選択肢を提供しています。昨年1月より大正富山医薬品㈱との共同で販売開始した経皮吸収型鎮痛消炎剤「ロコア」についても、販売の拡大を図っています。
研究開発においては、昨年7月に「ソマチュリン*1」について、神経内分泌腫瘍への効能・効果追加申請を行うとともに、2型糖尿病における新規の糖尿病性腎症治療薬として「TMX-049DN」の臨床開発(英国、第Ⅰ相)に着手しました。昨年8月には、小児における成長ホルモン分泌不全性低身長症を最初の予定適応症として、米国Versartis Inc.が創製した新規長期作用型成長ホルモン剤「VRS-317」の日本における独占的開発・販売契約を締結しました。昨年11月には、厚生労働省から「ソマチュリン*1」の甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍への適応拡大に向けた開発要請を受け、治験の1年以内の着手に向けて対応を開始しました。昨年12月には米国Amgen Inc.との間で新規腎疾患治療薬に関する共同研究・ライセンス契約を締結しました。本年2月には新規骨粗鬆症治療薬「ITM-058」の第Ⅲ相試験に、本年3月に新規高尿酸血症・痛風治療薬「TMX-049」の第Ⅱ相試験及び新規2型糖尿病治療薬「TMG-123」の第Ⅱ相試験に着手しました。
海外での高尿酸血症・痛風治療剤の販売も順調に拡大しています。現在、販売提携国と地域は117に達しており、その内日本を含め67の国と地域で販売していますが、残りの国と地域においても、順次販売承認を取得して更なる拡大を図っていきます。
在宅医療分野では、在宅酸素療法(HOT)用酸素濃縮装置が、高水準のレンタル台数を堅調に維持しました。「ハイサンソ5S」等の据置型酸素濃縮器に加え、患者さんの行動範囲の拡大を目指す携帯型酸素濃縮器(「ハイサンソポータブルα」「ハイサンソポータブルαⅡ」)の品揃えの充実及び積極展開により、レンタル台数の更なる増大を目指します。CPAP療法の睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療器は、携帯電話網を活用して治療状況をモニタリングする「ネムリンク」の訴求効果や、睡眠検査装置「SAS2100」の活用により、レンタル台数を順調に伸ばしました。引き続き、ネムリンク機能や加湿機能を内蔵した「スリープメイト10」を展開し、レンタル台数の更なる拡大を目指します。また、福岡市と大阪市に設置したコールセンターを活用し、患者さんのサポート体制の一層の強化を図っています。
一方、一昨年9月より販売を開始した、医療関係者間で利用される多職種連携情報共有システム「バイタルリンク」については、かかりつけ医との契約に加え、医師会を窓口とした契約の締結も進み、販売を着実に拡大しています。また、大阪大学等との産学連携で開発した磁気刺激装置については、医師主導による難治性神経障害性疼痛の治験を多施設において実施しています。更に、平成25年度に上市した、脳卒中後遺症等の患者さんの歩行補助を目的とした電気刺激装置「ウォークエイド」についても、首都圏の医療機関等から順次事業展開を進めています。加えて、昨年11月に上肢用ロボット型運動訓練装置「ReoGo-J」を上市しました。両製品の売上拡大とともに今後もリハビリ機器のラインナップの拡充を図っていきます。
海外では、米国の在宅医療事業に対する抜本的対策の検討を進めてきましたが、本年4月27日(米国時間)にQuadrant Management,Inc*3傘下の会社に当社の所有持分全てを売却し、米国在宅医療事業から撤退することとしました。スペイン及び韓国においては、引き続き在宅医療事業を展開していきます。
当セグメントの生産規模は、655億円(前期比 2.5%増、販売価格ベース)でした。
*1 ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharmaの登録商標です。
*2 ボナロン®/Bonalon®はMerck Sharp & Dohme Corp.の登録商標です。
*3 傘下に全米有数の事業規模を誇る大手在宅医療プロバイダーを有する米国の投資会社
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製品事業 |
:[売上高 2,596億円(前期比 4.2%減)、営業利益 67億円(同 25.8%増)] |
<衣料繊維分野:体質強化と差別化ビジネス拡大に注力、産業資材分野:自動車部材関連及び土木資材が好調>
衣料繊維分野における繊維素材では、スポーツ・アウトドア用途の高機能素材が欧米及び国内市場で販売を伸ばしましたが、円高の影響を受けて収益率は低下しました。またポリエステル原糸は、自動車メーカーの国内生産調整の煽りを受け車輌用途で販売量を落としたものの、大手小売りチェーン向けインテリア用差別化機能糸、及び衣料用差別化糸の販売が拡大し、収益を大きく改善しました。ユニフォーム素材も、海外への生産移管によるコストダウンと個別オーダー品受注増加により、収益は改善しました。
衣料製品では、国内における衣料品の消費減退や顧客の在庫調整等、厳しいビジネス環境が続きましたが、適地生産の推進や生産における品質管理の向上を図るとともに、独自素材「ソロテックス」や「デルタ」をベースとした企画提案型ビジネスを強みとして、有力小売り・アパレル向け商圏を拡大させることで収益の伸長を図りました。また昨年6月、11月に帝人フロンティア総合展示会を開催し、自社の差別化ビジネスを市場へ提案・発信するとともに、顧客ニーズの取り込みを行い商圏拡大へと繋げました。
産業資材分野における自動車部材関連では、タイヤ補強材、伝動ベルト、自動車用ホースの販売が堅調に推移しました。またエアバッグ基布は販売量の拡大基調が続いており、更なる生産拡張も視野に入れています。車輌内装材・用品は在庫調整により苦戦しましたが、合皮の基布が大きく伸長しました。
繊維資材関連では、国内市場において、コンクリート剥落防止シート「テクノーラSAMMシート」をはじめとする土木資材の販売が災害復旧及び幹線自動車道向けで好調に推移し、加えて防災・イベント用仮設テント「エアロシェルター」の需要も旺盛でした。また農業・水産・電気資材・環境関連資材は堅調に推移しました。更に海外市場については、中国向け環境資材が市場の成長を背景に商圏を拡大しました。
生活資材分野では、インテリア関連でカーテン商材が円高基調により増益に転じ、また壁装及び床資材も堅調に推移しました。リビング関連では、ワイピング関連資材が好調でした。ウェルライフ関連は、衛生用品及び大手コンビニとのヘルスケア関連ビジネスを順調に拡大しました。
化成品関連は、電子部品市場の生産回復を受け、年度後半にかけてPETフィルムの販売が好転しましたが、前半の不振をカバーするには至りませんでした。
その他新事業の創出においては、身に纏う化粧品「ラフィナン」、防災関連製品「もうたんか」「プルシェルター」の販売拡大に注力し、ウェアラブル電極布を活用した製品の事業化に向けた取り組みも着実に進めました。
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その他 |
:[売上高 630億円(前期比 16.7%減)、営業利益 54億円(同 17.2%減)] |
IT事業は、ネットビジネス分野において電子書籍配信サービス「めちゃコミック」の売上が順調に拡大する等堅調に推移しました。ITサービス分野では、ヘルスケア事業において放射線情報システム等の医療情報システムの販売を強化するとともに、介護領域への展開を図りIoT*を用いた見守りサービスや介護記録システムの提供を開始しました。
新事業では、リチウムイオンバッテリー用セパレータ「リエルソート」の販売が市況の影響を受けて伸び悩む中、新規顧客の開拓に、より一層注力しました。
新規ヘルスケアの取り組みにおいては、埋め込み型医療機器の分野で、タキロン㈱が本年7月にメディカル事業を分割して新設する会社に出資し、合弁新会社を設立することで、本年1月に合意しました。既に同市場に参入している帝人ナカシマメディカル㈱も含めた、帝人グループのマーケティング力と技術力を合わせて収益向上を図り、中長期的に開発を推進します。
機能性食品素材の分野では、スーパー大麦「バーリーマックス」の開発・マーケティング活動により、着実に食品メーカーへの採用が拡がっており、今後もエビデンス取得・プロモーションに注力して事業展開を加速します。
* IoT (Internet of Things) : 世の中に存在するさまざまなモノがインターネットにつながることによって実現される全てのサービスを指す。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが790億円の資金収入、投資活動によるキャッシュ・フローが1,277億円の資金支出及び財務活動によるキャッシュ・フローが638億円の資金収入となり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ166億円増加し、1,175億円となりました。
営業活動・投資活動・財務活動による各々のキャッシュ・フローの主な内容は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ16億円(2.0%)収入が減少し、790億円の資金収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益に加え、減価償却費及びその他の償却費が393億円、減損損失が14億円あったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ873億円(216.6%)支出が増加し、1,277億円の資金支出となりました。これは主に、CSP社買収による支出が829億円、有形固定資産の取得による支出が377億円あったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ721億円収入が増加し、638億円の資金収入となりました。これは主に、長短借入金の借入・返済と配当金支払い等の差し引きによるものです。
帝人グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「1.業績等の概要」における各事業のセグメントの業績に関連付けて示しています。
(1) 会社の経営の基本方針
帝人グループは企業理念として、「人間への深い理解と豊かな想像力をもってクォリティ・オブ・ライフの向上に努める」とともに、「社会とともに成長する」「社員とともに成長する」ことを掲げています。また長期ビジョンとして、社員の多様性を活かし、社会が必要とする新たな価値を創造し続けることで、未来の社会を支える会社となることを目指しています。
(2) 目標とする経営指標
帝人グループは、ROE、EBITDAを最も重要な経営指標として位置付けています。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
足元の経営環境については、「1.業績等の概要」をご参照下さい。また、今後の世界経済は、総じて緩やかな拡大基調が継続するものと想定されていますが、グローバルでの保護主義的な政策圧力の強まりや、中東・アジア等での地政学上の緊張等を背景に、不透明感は一層増しています。このような状況のもと、帝人グループでは平成29年2月に公表した中期経営計画に基づき、「成長戦略」による基礎収益力の更なる強化、「発展戦略」による新規コアビジネスの確立を推進するとともに、それを支える経営システム基盤の強化を図っていきます。
1)長期ビジョン実現に向けて
帝人グループは、「未来の社会を支える会社」として次のような姿を目指します。
◆社会の抱える問題の解決に貢献する企業
社会の抱える様々な問題と自社の持つ強みから、注力すべき重点領域を特定し、事業機会の取り込みを図り、また経営基盤の強化を図ります。
(当社の注力すべき重点領域)
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環境価値ソリューション |
モビリティの環境性能向上を促す「軽量化」素材による貢献 |
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安心・安全・防災ソリューション |
災害対策・社会インフラ整備に関わる安全性向上への貢献 |
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少子高齢化・健康志向ソリューション |
高齢化社会の進展、生活習慣病の増加に対応した健康維持向上支援 |
◆外部環境の変化を先取りして変革し続ける企業
外部環境の不確実性が増す中、持続的成長の実現に向けて、後追いではなく自ら変革を起こします。
◆常に新しい価値を創出し続ける企業
社会の進化を加速させる製品・サービスを創出します。
2)中期経営計画における事業戦略
マテリアル事業領域とヘルスケア事業領域を2本の柱とし、既存事業の延長線だけではなく、「今はまだ利益貢献していない新しい事業」が10年後の収益の柱となるよう、それぞれの事業で成長戦略、発展戦略を着実に実行することにより、新たな高収益事業を核とした事業ポートフォリオへと変革を進めます。
◆成長戦略
a) マテリアル事業領域
1. 航空機・自動車ビジネスへの注力(環境価値ソリューション)
環境規制の高まりに伴う低燃費化の要請に応え、「軽くて強い」高機能素材の拡大を図ります。
2. 社会基盤インフラのニーズ拡大へ対応(安心・安全・防災ソリューション)
防災意識の高まりや、インフラ更新・拡大ニーズへの的確な対応を図ります。
b) ヘルスケア事業領域
1. 成長領域の強化(少子高齢化・健康志向ソリューション)
既存成長ドライバーの収益最大化を図るとともに、新規創薬研究に注力します。
◆発展戦略
a) マテリアル事業領域
多素材間競争が激化していく中で、従来の素材サプライヤーから、顧客接近型ビジネスや多素材の複合展開へと変革を進めます。
1. 自動車向け複合材料事業(環境価値ソリューション)
複合化技術を強みとして、自社素材事業の単なる川下展開ではなく、マルチマテリアルでの部品供給メーカーを視野に事業を展開します。
2. セパレータ・メンブレン事業(環境価値ソリューション)
膜(メンブレン)生産で培った技術・ノウハウを起点として、高性能と高生産性を両立させた製品を幅広い分野に展開します。
b) ヘルスケア事業領域
既存のヘルスケア事業基盤を強化し、従来の保険医療に捉われない、非保険領域も含めたヘルスケア総合サービスを提供します。
1. 製品・サービスのラインナップ多様化(少子高齢化・健康志向ソリューション)
新規医療機器、デジタルヘルスケア、整形インプラントデバイス、機能性食品素材の各分野において、製品・サービスのラインナップ多様化を進めます。
2. 先端的ヘルスケア事業基盤の構築(少子高齢化・健康志向ソリューション)
未病~疾病~介護の全てに対応するヘルスケア事業基盤の構築、情報プラットフォームを活用した新規事業の創出を図ります。
3)経営システム基盤の強化
◆組織体制強化
成長戦略・発展戦略の加速を促す組織体へと体制を再編します。具体的には、素材関連事業をマテリアル事業に統合し、事業間融合を図るとともに、新事業推進をマテリアルとヘルスケアに分割・吸収することにより連携性を深めます。また、事業横断での地域別戦略を促進するために「グローバル戦略管掌」、全社横断でのスマートプロジェクトを推進するために「情報戦略管掌」を設置します。
◆スマートプロジェクト推進
加速度的に進化するIT技術を積極的に取り込み、活用することにより、新規ビジネスの創生とビジネススタイルの変革を実現します。中期的な施策としては、ヘルスケアサービス展開、スマート・プラント化、業務プロセス革新に取り組むこととし、プラットフォーム構築を中心に100億円規模の資源を投入します。
◆コスト構造改革
前・中期経営計画で掲げた構造改革施策の完遂による効果発現と、成長事業を中心とした生産性向上によるコスト競争力強化による効果(110億円)、及び事業再編後の業容に見合った「小さな本社」への再編による効果(90億円)により、平成31年度までに200億円(平成28年度対比)の効果発現を目指します。
4)経営指標
「投資効率」「稼ぐ力」の両面に重点を置き、収益性指標として「ROE」、成長性指標として「EBITDA」を最重要指標として設定します。更に投入資源に対する収益効率性の指標として「営業利益ROIC」を活用します。また、事業ポートフォリオの変革を可視化し、モニタリングするため、非財務情報を含む独自のKPIとして「発展戦略プロジェクト売上高」「ダイバーシティ推進度」を設定し、進捗をフォローアップします。平成31年度までの経営目標は次のとおりです。
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ROE |
10%以上 |
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EBITDA |
1,200億円超 |
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営業利益ROIC |
8%以上 |
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投入資源 |
設備投資+M&A枠 3,000億円(3年累計) |
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配当性向 |
親会社株主に帰属する当期純利益の30%(目安) |
(注)営業利益ROIC:営業利益/投下資本
※投下資本・・・自己資本+非支配株主持分+有利子負債-現金及び預金
(4) 会社の支配に関する基本方針
① 当社の株主の在り方に関する基本方針
(会社法施行規則第118条第3号にいう、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針)
当社の株主の在り方について、当社は、株主は市場での自由な取引を通じて決まるものと考えています。したがって、株式会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるかどうかの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えています。
しかし、当社株式の大量取得行為や買付提案の中には、「企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのあるもの」「株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの」「買付の対価が当社の企業価値に鑑み不十分なもの」等も想定されます。このような大量取得行為や買付提案を行う者は、例外的に、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えています。
② 基本方針の実現に資する取り組み
当社では、多数の投資家の皆様に長期的に当社に投資を継続して頂くために、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取り組みとして、次の施策を既に実施しています。これらの取り組みは、上記①の基本方針の実現にも資するものと考えています。
ア.中長期での取り組み
帝人グループでは、平成29年2月に、長期ビジョン実現に向けた次の3か年の実行計画として、中期経営計画2017-2019『ALWAYS EVOLVING』を策定し、公表しました。この中期経営計画に基づき、「成長戦略」による基礎収益力の更なる強化、「発展戦略」による新規コアビジネスの確立を推進するとともに、それを支える経営システム基盤の強化を図っていきます。中期経営計画の詳細につきましては、(3) 経営環境及び対処すべき課題をご参照下さい。
株主還元については、「連結業績に連動した配当」を基本とし、「財務体質の健全性や中長期の配当の継続性、将来の成長戦略投資に必要な内部留保の確保」を総合的に勘案し配当を実施します。
イ.「コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化」による企業価値向上への取り組み
当社は、企業価値ひいては株主共同の利益向上のために不可欠な仕組みとして、従来より、コーポレート・ガバナンスの強化を重要な課題に掲げ取り組んでいます。具体的には、以下の施策を実施しています。
1)意思決定、業務執行、監視・監査の3機能の分離と強化
2)国内外の有識者による経営全般への助言・提言を通じた「より良い経営、透明性の高い経営」の遂行と経営トップの評価を目的とした、取締役会の諮問機関としてのアドバイザリー・ボードの設置
3)コーポレート・ガバナンスに関する具体的な指針である「コーポレート・ガバナンスガイド」の制定と開示
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み(買収防衛策)
当社は、平成27年6月24日に開催された第149回定時株主総会において株主の皆様の承認を受け、当社株式の大量取得行為に関する対応策(以下、「本プラン」という)を更新しました。本プランの概要は以下のとおりです。
ア.対象となる買付
本プランの対象となる買付は、株式の保有割合が20%以上となる買付です。
イ.買付者との交渉手続き
買付者には、事前に買付説明書の提供を求め、当社が、情報収集や検討を行う期間を確保した上で、株主の皆様に当社経営陣の計画や代替案を提示したり、買付者との交渉を行っていくための手続きを定めています。
ウ.買付者が手続きを守らなかった場合の取得条項付新株予約権の無償割当て
買付者が前記手続きを守らなかった場合等には、独立委員会の勧告に従い、取締役会は、その時点の全ての株主に対し、保有株式1株につき1個の割合で「取得条項付新株予約権」を無償で割当てることを決議します。
エ.取得条項付新株予約権の取得と当社株式の交付
新株予約権に付された取得条項により、当社は買付者等以外の株主の皆様から新株予約権を取得しこれと引き換えに、新株予約権1個につき、当社株式1株を交付します。
オ.買付者等以外の株主の皆様への影響
買付者等以外の株主の皆様全員に平等に当社株式を交付しますので、株主の皆様の保有する株式の希釈化は生じません。買付者等には当社株式は交付されませんので、この交付により、買付者等の保有する当社株式の議決権割合を最大50%まで希釈化させる可能性があります。
カ.新株予約権の無償割当ての要件
新株予約権の無償割当ては以下いずれかに該当し、新株予約権の無償割当てをすることが相当と認められる場合に行われます。
1)本プランに定める手続きを遵守しない場合
2)買収の目的や買収後の経営方針等に鑑み、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれがある買付であり、下記に掲げる行為のいずれかに該当する場合
a) 株式を買い占め、その株式につき当社に対して高値で買取りを要求する行為
b) 当社の経営を一時的に支配して、当社の重要な資産等を廉価に取得する等、当社の犠牲の下に買付者の利益を実現する経営を行うような行為
c) 当社の資産を買付者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する行為
d) 当社の経営を一時的に支配して、当社の事業に当面関係していない高額資産等を処分させ、その処分利益をもって、一時的な高配当をさせるか、一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って高値で売り抜ける行為
3)株式の売却を事実上強要するおそれのある買付である場合
4)買付の対価が当社の企業価値に鑑み不十分な買付である場合
キ.発動までのプロセスの概要
買付者から買付説明書が提出された場合、社外取締役または社外監査役のうち5名で構成される独立委員会は、取締役会に対して、買付者の買付の内容に対する取締役会の意見等を一定の期間内(30日を上限とします)に提示するよう求めることがあります。その後、最長60日間、情報収集・検討等を行います。独立委員会は、30日を上限として検討期間を延長することができるものとします。
独立委員会はこれらの情報収集・検討等に基づき、取締役会に対し、新株予約権の無償割当ての実施または不実施の勧告を行います。取締役会は、独立委員会の勧告を尊重し、これに従い最終的に新株予約権の無償割当ての実施または不実施の決議を行います。ただし、独立委員会が当該実施に関し株主総会の承認を予め得るべき旨の留保を付した場合、取締役会は、実務上可能な限り速やかに株主総会を招集し、新株予約権の無償割当ての実施に関する議案を付議するものとします。
*「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」の詳細については、インターネット上の当社ウェブサイト(https://www.teijin.co.jp/ir/governance/defense/)に掲載しています。
④ 前記取り組みが、基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて
当社では、本プランの設計に際し、以下の諸点を考慮し織り込むことにより、本プランが、基本方針に沿い当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致するものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。
ア.買収防衛策に関する指針の要件の充足等
本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に公表した「企業価値・株主共同の利益の確保または向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(①企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、②事前開示・株主意思の原則、③必要性・相当性確保の原則)を充足しています。また、経済産業省の企業価値研究会が平成20年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」を踏まえた内容となっています。
イ.株主意思の反映
本プランは、平成27年6月24日に開催された第149回定時株主総会において承認され発効し、その有効期限は、平成30年3月期の事業年度に関する定時株主総会の終結の時までの3年とします。また、当社取締役の任期は1年となっていますので、取締役の選任を通じて株主の皆様の意思を反映させることが可能です。更に、本プランの有効期間の満了前であっても、株主総会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになります。
ウ.独立性の高い社外役員の判断の重視
当社は、本プランの導入に当たり、本プランの発動等の運用に際して、取締役会の恣意的判断を排除し、株主の皆様のために実質的な判断を客観的に行う機関として、独立委員会を設置しました。独立委員会は、社外取締役または社外監査役のいずれかに該当する者の中から取締役会が選任した者から構成します。
エ.本プラン発動のための合理的な客観的要件の設定
本プランは、予め定められた合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、しかも、これらの客観的要件は当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないとされる場合と一致させています。これにより、取締役会による恣意的な発動を防止します。
オ.コーポレート・ガバナンスの強化と継続
当社では、定員10名以内の取締役のうち4名を独立社外取締役、監査役の過半数の3名を独立社外監査役とすること等により、意思決定、業務執行、監視・監査の3機能の分離と強化を図り、また、5~7名の社外アドバイザーと取締役会長(取締役会長が空席の場合は、相談役)、CEOで構成されるアドバイザリー・ボードを取締役会の諮問機関として設置して、CEOの交代及び後継者の推薦、帝人グループの役員報酬制度の審議等を行い、上記の取り組みを含むコーポレート・ガバナンスの指針を「コーポレート・ガバナンスガイド」として開示しています。
以上の施策は、我が国の上場会社において、コーポレート・ガバナンスの先駆的な取り組みと評価されています。この仕組みは、当社役員の保身的な行動を強く抑制するものであり、本プランの実施にあっても、その恣意的な行使を抑止する重要な機能を果たすことが期待されます。
業績等に影響を与える可能性のある重要な要因には、以下の事項があります。なお、業績に影響を与える要因はこれらに限定されるものではありません。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において帝人グループが判断したものです。
(1) 競合・市況変動にかかるもの
帝人グループは、外部環境の変化に左右されない企業体への転換を図っていますが、一部で市況製品を展開しており、景気動向、他社との競合に伴う市場価格の変動が事業業績に影響を及ぼす可能性があります。
特に、景気や他社との競合という観点からは、ポリエステル繊維、ポリエステルフィルム、ポリカーボネート樹脂といった汎用素材の分野では、販売量、売値及び原燃料調達価格に関し変動を受ける構造となっています。また、これらの事業は、製造原価に占める原燃料コストのウェイトが高いため、原油価格の動向により、損益に大きな影響を受ける可能性があります。
また、帝人グループの素材事業は中間材料が多く、末端需要の拡大・縮小が各段階での在庫調整により実体経済以上に増減する可能性があります。
加えて、ヘルスケア事業は、公定価格水準の変動といった価格変動要因以外にも他社との競争はますます激化しており、売値下落のリスクがあります。
また、為替や金利の変動が、帝人グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 製品の品質にかかるもの
帝人グループでは、帝人㈱及び帝人ファーマ㈱等の主要な子会社に、他の部門から独立した専任の品質・信頼性保証部門を設置し、厳格な品質管理基準に基づき、事業活動全般における品質保証を確保する体制を敷いています。しかしながら、全ての製品・サービスにおいて、予期し得ない重大な品質問題が発生する可能性を排除することはできません。従って、そうした製品・サービスの欠陥が、業績、財務状況、社会的評価等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 研究開発にかかるもの
帝人グループでは、技術を核とした持続的成長を実現するための研究開発に、積極的に経営資源を投入しています。しかしながら、そうした研究開発の成果が目標から大きく乖離した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
特に医療用医薬品の開発には、多額の費用と長い期間がかかるうえ、創薬研究において、有用な化合物を発見できる可能性は決して高くありません。また、臨床試験の結果、予測していた有効性が証明できない、あるいは予測していない副作用が発現した等の理由で承認申請を断念しなければならない可能性があります。また、承認申請した後でも審査の過程で承認されない、また、市販後調査の結果、承認が取り消される可能性があります。
(4) 海外活動にかかるもの
帝人グループは、中国、タイ等の東南アジア、ドイツ・オランダ等の欧州、米国等海外で事業展開しており、これら海外での活動について為替変動に係るリスクのほか、次のようなリスクがあります。そのため、これらの事象が発生した場合は、帝人グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・予期しない法律・規制の施行、不利な影響を及ぼす租税制度の変更
・経済変動、政変・テロ・戦争等による社会的混乱
(5) 事故・災害にかかるもの
帝人グループは、グループ共通の防災に関するガイドラインを整備し、防災診断、地震対策、火災予防等の未然防止対策や防災教育、防災訓練、防火設備強化等の拡大防止対策を積極的に推進しています。しかしながら、万一、大規模な自然災害や不慮の事故等により生産設備が損害を受けた場合や原材料の供給等サプライチェーンに大きな障害が生じた場合は、帝人グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1) 当連結会計年度において締結している経営上の重要な契約は、以下のとおりです。
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契約会社名 |
相手先 |
内容 |
期間 |
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帝人㈱ (当社) |
ベーリンガーインゲルハイム社 (独) |
技術等導入に関する契約 ・医薬品の供与 ・「ラキソベロン」等医薬品4品目の製造に関する技術 |
2005.1.1 から 2021.12.31 (注) |
(注)上記契約については,2016年12月31日までの契約を2021年12月31日まで(一部については無期限)に延長しています。
(2) 当社は、当社の連結子会社であるTeijin Holdings USA, Inc.が北米最大の自動車向け複合材料成形メーカーであるContinental Structual Plastics Holdings Corporationの全株式を取得する株式譲渡契約を平成28年9月13日付で締結し、平成29年1月3日(米国時間)をもって株式取得を完了しました。詳細は「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。
(3) 平成28年8月9日付で米国デュポン社と国内ならびにインドネシアの合弁会社のデュポン社持分を取得することについて合意したことに伴い、重要性が低下したため、以下契約については重要な契約より除外しました。
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契約会社名 |
相手先 |
内容 |
期間 |
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帝人㈱ (当社) |
デュポン社 (米国) |
合弁会社の設立等に関する契約 ・ポリエステルフィルムを製造・販売する合弁会社を世界6ヶ国で設立 |
1999.7.14 から 合弁会社の存続する期間 |
帝人グループでは、「社員の多様性を活かし、社会が必要とする新たな価値を創造し続け、未来の社会を支える会社になる」という長期ビジョンを掲げ、10年後の「目指す姿」を実現するための研究開発をグローバルな視野で推進しています。研究開発活動への積極的かつ効率的な投資を継続して実施しており、国内8ケ所、海外8ケ所のグローバル研究開発ネットワークにおいて、研究開発者が基礎研究を含めたグループ全体の研究開発戦略に基づく研究開発活動を推進しています。
10年後には、マテリアル事業領域とヘルスケア事業領域を2本の柱とし、それぞれの事業領域で基礎収益力の更なる強化を目指す「成長戦略」と、既存事業の延長線だけでなく「今はまだ利益に貢献していない新しい事業」を収益の柱とすべく、新規コアビジネスの確立を目指す「発展戦略」を、着実に実行することにより、新たな高収益事業を核とした事業ポートフォリオへと変革を進めていきます。長期ビジョンの実現に向けた、次の3か年における実行計画を明確にするために、平成29年2月に中期経営計画「ALWAYS EVOLVING 2017-2019」を定めました。この計画の実現に向け、必要な基盤技術を強化・活用するとともに、技術や機能の融合・複合によりイノベーションを実現する「発展戦略」と、既存事業の中でも“環境価値ソリューション”、“安心・安全・防災ソリューション”及び“少子高齢化・健康志向ソリューション”を重点領域として収益最大化を図る「成長戦略」の推進のため、研究開発を着実に進めていきます。
組織体に関しては、成長戦略・発展戦略の加速を促すべく、研究開発体制を再編します。具体的には、素材関連事業を一つのマテリアル事業に統合し、事業間融合を図るとともに、新事業推進をマテリアルとヘルスケアに分割・吸収することにより連携を深めます。
また、産官学連携等のオープンイノベーションの推進、知財戦略や構造解析能力等、研究開発活動を支える機能・組織の見直しとインフラ機能の強化、技術系人財の育成を一層推進しています。
人財育成に関しては、複合材料・ヘルスケア関連分野を中心とした大学教授や研究者が集まるフォーラムの開催、学界・学術研究機関等の有識者による技術アドバイザリー会議の開催、国内外の最先端研究機関への若手研究員派遣等を積極的に推進しています。平成22年度ノーベル化学賞を受賞され、帝人グループの名誉フェローにご就任頂いている根岸英一米国パデュー大学特別教授には、国内研究員のコンサルテーションを継続してお願いしています。
なお、当連結会計期間の研究開発費は354億円(前期比21億円増)でした。
また、報告セグメントごとの研究開発活動の概要は次のとおりです。
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高機能繊維・ 複合材料事業 |
: アラミド繊維分野では、危険作業に従事する方々の安全確保に向けたソリューションとして、高視認性衣服の国際規格である「ISO 20471」に準拠する、視認性の高い新しいアラミド繊維織物を開発しました。この新しいアラミド繊維織物は、防護衣料の難燃性や耐久性を保ちながら、遠距離でも着用者を目視で確認できるだけの高視認性を付与することを可能とするものです。 また消防団員が着用する防火服向けに、新たにデニム調のアラミド繊維織物「Xfire DENIM」(エクスファイア・デニム)を開発しました。これにより、耐熱性や強度、快適性、高いデザイン性を兼ね備えた防火服の提供が可能となり、火災現場等での消防職員と消防団員の識別にも役立ちます。 ポリエステル繊維分野では、ポリエステル製タテ型不織布「V-Lap」を基材とする天井材「かるてん」を使用した、超軽量天井システムにおける新たな耐震工法「かるてんTB工法」を開発しました。この工法は、平成27年6月に一般評定を取得した「かるてんTA工法」の軽量性や耐震性を保ちながら施工性を向上させたものです。また、「かるてん」は、昨年4月にオープンした「イオンモール今治新都市」の天井材として採用されています。 また、自社の高機能素材や技術を活かした快適性に優れる製品群を、新たに「Tcomfort(ティーコンフォート)」シリーズとして展開することとしました。そのブランドの第一弾として、高機能ポリエステルクッション材「エルク」、ポリエステル製タテ型不織布「V-Lap」を積層し、真空高温スチームでセットすることで密度調整、薄型軽量化、耐久性アップを実現する加工技術等、帝人独自の素材、技術を組み合わせることにより、優れたクッション性と快適な寝心地を実現した「Tcomfort」マットレスを開発し、発売しました。一方、帝人グループで人工皮革事業を展開する帝人コードレ㈱は、この度、自社が展開する人工皮革ブランド「コードレ」の新たなラインナップとして、仔牛の革であるカーフやキップ等の上質な天然皮革のような質感、重厚感、ならびに高い機能性を持つ新製品「MAESTLEY(マエストレ)」を開発しました。上質な天然皮革の代替製品として今春上市し、今後、自社が保有する最先端の複合技術を活かしてバリエーションの拡充を進め、シリーズ展開していきます。 炭素繊維・複合材料分野では、高収益・高成長分野での事業拡大を進めるため、ダウンストリームビジネスへの展開を引き続き加速しており、特に自動車用途においては、量産部品への適用を見据え熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRTP)「Sereebo」の開発や、国内外の複数企業との共同開発を進めています。 更にこの度、シート・モールディング・コンパウンド(SMC)を用いた自動車部品でのグローバル最大手である米国Continental Structural Plastics Holdings Corporationの全株式を取得し、完全子会社といたしました。自動車向け複合材料製品事業のTier1サプライヤーとして、優れた自動車部品設計・生産技術、 品質管理、ノウハウを持つ同社の獲得により、自動車メーカーのニーズを的確に把握するとともに、同社が有するガラス繊維複合材料(GFRP)や、当社が有するCFRTPといった高機能複合材料の特長を活かした部品提案を通じて、従来部品を超える付加価値の提供を目指していきます。 そのほか、昨年5月には欧米の自動車メーカーがTier1メーカーに対して認証取得を必須としている品質マネジメントシステム規格「ISO/TS 16949」の認証を取得する等、グローバル水準の自動車部品メーカーになるための体制構築を進めています。また北米を中心とした炭素繊維の需要増への対応として、新工場建設に向けた検討を推進しており、米国内での土地取得を完了しました。 またこの度、Continental Structural Plastics Holdings Corporationが、米国の自動車専門媒体「Automotive News」が主催し自動車産業における革新的な技術に贈られる賞で20年以上の歴史がある「PACE (Premier Automotive Suppliers' Contribution to Excellence) アワード」を受賞しました。受賞対象はシボレー「コルベット」2016年モデルの外板部材に採用された超軽量成形部材「TCA Ultra Lite」で、車体全体の軽量化を実現しています。素材の低比重化とアルミ等の金属と同等の表面平滑性の両立を実現しただけでなく、自動車の量産ラインにおいて必須である電着塗装にも適応可能となり、外板部材の塗装に要求される「クラスA」品質を実現しています。 当セグメントに係る研究開発費は44億円です。 |
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電子材料・ 化成品事業 |
: 樹脂分野では、コンパウンド樹脂の高機能化技術開発に注力しています。その一つとして、長年の課題であった成形品での外観不良や表層剥離を解決することで耐薬品性や軽量性の向上が期待できるポリカーボネート樹脂とポリプロピレン樹脂のアロイ化に成功しました。既に、本技術を用いたアロイ樹脂の外観部品用途での評価が進んでおり、住宅設備関係の水回り用途への採用を皮切りに、他の分野でも量産採用を目指しています。 また、透明性・耐衝撃性に優れるポリカーボネート樹脂の特性を活かしつつ自動車樹脂グレージング用途で要求される耐擦傷性と耐久性を向上させる技術として、ラボレベルでのプラズマCVD(化学気相成長)法によるコーティング技術の開発を行ってきました。この度、実車サイズの成形品へのコーティング技術に目途が立ったことから、実車サイズのサンプル試作や限定車向けの少量生産等が行える設備を松山事業所に導入し、昨年末に稼動を開始しました。今後、用途や生産数を限定した製品提供体制を段階的に整備し、量産化を見据えた生産技術の確立に取り組み、早期の事業化を図ります。 フィルム分野では、関西大学と共同で世界初となる、ポリ乳酸の積層フィルムをロール状にした圧電体を開発しました。この圧電ロールは、数μmのポリ乳酸フィルムを数百~数千の間で巻回したもので、持続的に荷重をかけることで最大電圧の90%以上が最大2分程度持続するという特性を有する圧電体です。今後、顧客ニーズに応じた圧電性能や加工ノウハウを集積し、センサー用途や起電エネルギー用途を中心に、顧客との共同開発に取り組んでいきます。 当セグメントに係る研究開発費は34億円です。 |
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ヘルスケア事業 |
: 医薬品分野では、昨年7月に「ソマチュリン*1」について、「神経内分泌腫瘍」への効能・効果追加申請を行うとともに、2型糖尿病における新規の糖尿病性腎症治療薬として「TMX-049DN」の臨床開発(英国、第Ⅰ相)に着手しました。昨年8月には、小児における成長ホルモン分泌不全性低身長症を最初の予定適応症として、米国Versartis Inc.が創製した新規長期作用型成長ホルモン剤「VRS-317」の日本における独占的開発・販売契約を締結しました。昨年11月には、厚生労働省から「ソマチュリン*1」の甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍への適応拡大に向けた開発要請を受け、治験の1年以内の着手に向けて対応を開始しました。昨年12月には米国Amgen Inc.との間で新規腎疾患治療薬に関する共同研究・ライセンス契約を締結しました。本年2月には新規骨粗鬆症治療薬「ITM-058」の第Ⅲ相試験に、本年3月に新規高尿酸血症・痛風治療薬「TMX-049」の第Ⅱ相試験及び新規2型糖尿病治療薬「TMG-123」の第Ⅱ相試験に着手しました。 在宅医療事業分野においては、大阪大学等との産学連携で開発した磁気刺激装置について、医師主導による難治性神経障害性疼痛の治験を多施設において実施しています。昨年11月には上肢用ロボット型運動訓練装置「ReoGo-J」を上市しました。 当セグメントに係る研究開発費は183億円です。 *1 ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharma(仏)の登録商標です。 |
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製品事業 |
: 帝人フロンティア㈱の「新事業開発室」において、現在ウェアラブル電極布技術を応用した用途開発や、纏う化粧品「ラフィナン」の商品強化に向けた技術開発・製品企画のほか、帝人グループ間の融合による環境・防災減災・介護ヘルスケア関連のビジネス案件についての商品開発を進めています。 当セグメントに係る研究開発費は7億円です。 |
帝人㈱で行うコーポレート研究(グループ共通の基礎研究及び新事業・新製品創出)では、帝人グループの発展戦略を実現すべく、素材技術・ヘルスケア技術・IT技術の融合により、新事業の創出を目指して研究開発に取り組んでいます。
また新たに機能性食品素材の分野として、スーパー大麦「バーリーマックス」の開発を推進しており、食物繊維、難消化性でんぷんを多く含むことによる整腸作用を臨床試験にて確認し、自社商品の試験販売も開始しました。
これらに係る研究開発費は86億円です。これらの費用については、各セグメントへの配賦は行わずに「消去又は全社」に表示しています。
(1) 重要な会計方針及び見積り
帝人グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これらの見積りと異なる場合があります。
帝人グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。
① 貸倒引当金の計上基準
帝人グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を繰入計上しています。将来、顧客の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
② たな卸資産の評価基準
帝人グループの販売する製品の価格は、市場相場変動の影響を強く受ける傾向にあるので、その評価基準として主に原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しています。)を採用しています。
③ 投資有価証券の減損処理
帝人グループは、金融機関や、製造・販売等に係る取引会社及び関係会社の株式を保有しています。これらの株式は、株式市場の価格変動リスクや、経営状態・財務状況の悪化による価値下落リスクを負っているため、合理的な基準に基づき、投資有価証券の減損処理を行っています。
④ 繰延税金資産の回収可能性
帝人グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するので、課税所得の見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(2) 経営成績の分析
帝人グループの平成28年度連結決算は、売上高としては各事業の販売が総じて堅調に推移しましたが、年度前半の円高影響に加え、樹脂事業等の構造改革に伴う生産体制適正化の影響もあり、前年同期比6.3%減の7,413億円となりました。
また営業利益は、既存事業の成長と構造改革により着実に基礎収益力の底上げを図る一方で、為替要因や薬価改定、新薬導入費用の影響等もあり前年同期比15.8%減の565億円となり、経常利益も同7.3%減の559億円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、米国在宅医療事業からの撤退を決定したことに伴う税効果会計の適用により、大幅に税金費用が減少したため、前年同期比61.3%増の501億円となりました。また1株当たり当期純利益は254円91銭(同96円77銭増)となりました。
(3) 財政状態の分析
① 資産、負債、純資産
総資産は9,641億円となり、前期末に比べ1,406億円増加しました。これは本年1月に米国CSP社の買収を完了し、同社を完全子会社としたことにより、のれんを含む固定資産等が増加したことが主たる要因です。また米国在宅医療事業の撤退を決定し、税効果会計が適用となったことに伴って、繰延税金資産も増加しました。
負債は前期末比1,032億円増加し、6,122億円となりました。この内有利子負債は、CSP社買収資金の調達に伴う増加を主因として729億円増加し、3,762億円となりました。
純資産は3,518億円となり、前期末に比べ374億円増加しました。この内「株主資本」に「その他の包括利益累計額」を加えた自己資本は、3,384億円と前期末比383億円増加しました。これは親会社株主に帰属する当期純利益による増加が、配当金の支払いや円高に伴う「為替換算調整勘定」の減少等により一部相殺されたことによるものです。
② キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に、減価償却費や減損損失、事業構造改善引当金といった非資金項目を加え、合計で790億円の資金収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、CSP社買収や固定資産の取得等により1,277億円の資金支出となりました。
この結果、営業活動に投資活動を加えたキャッシュ・フローは486億円の資金支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、長短借入金の借入・返済と配当金支払い等の差し引きで638億円の資金収入となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物に係る換算差額等も加え、最終的な現金及び現金同等物の増加額は166億円となりました。
また、財政状態に関する各種指標は以下のとおりです。
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|
第147期 |
第148期 |
第149期 |
第150期 |
第151期 |
|
ROE(%) |
△10.3 |
3.0 |
△2.8 |
10.6 |
15.7 |
|
EBITDA |
592 |
637 |
821 |
1,060 |
958 |
|
D/Eレシオ |
1.00 |
1.00 |
1.07 |
1.01 |
1.11 |
|
自己資本比率(%) |
35.6 |
36.7 |
34.9 |
36.4 |
35.1 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
31.3 |
34.9 |
43.5 |
43.1 |
40.3 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 |
4.2 |
7.3 |
4.1 |
3.8 |
4.8 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ |
18.4 |
10.5 |
23.8 |
32.5 |
36.5 |
(注)各指標はいずれも当社連結ベースの財務数値を用いて算出しています。
・ROE:親会社株主に帰属する当期純利益/期首・期末平均自己資本
・EBITDA:営業利益+減価償却費
・D/Eレシオ:期末有利子負債/期末自己資本
・自己資本比率:(期末純資産の合計-期末新株予約権-期末非支配株主持分)/期末総資産
・時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/時価ベースの総資本
*株式時価総額・・・期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)にて算出。
*時価ベースの総資本・・・期末自己資本を時価ベースに置き換えて算出。
・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
*営業キャッシュ・フロー・・・連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用。
・インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
*利払い・・・連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用。