第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において帝人グループが判断したものです。なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態については当該会計基準等を遡及処理した後の前連結会計年度末の数値で比較をしています。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当第1四半期連結累計期間の世界経済は、欧米では個人消費の伸び等から引き続き景気が拡大基調であり、中国及びアセアン経済も緩やかな成長が持続しましたが、欧米やアジアの政治動向、米国での金利上昇による景気減速リスク等、先行き懸念も強まりました。国内経済も、好調な企業収益や雇用環境を背景に景気は緩やかな回復基調が続きましたが、海外経済の不確実性もあり、先行き不透明な状況が継続しました。

このような状況のもと、帝人グループの当第1四半期の経営成績及び財政状態は以下のとおりとなりました。

 

1) 経営成績

帝人グループの当第1四半期連結累計期間の経営成績は、マテリアル領域を中心とした各事業の販売が堅調に推移したことにより、売上高は前年同期比で9.1%増の2,164億円となりました。営業利益は、各事業の販売は堅調に推移したものの、前期に計上したアルツハイマー治療薬の候補化合物の導出対価の影響等により、前年同期比4.7%減の183億円となり、経常利益は円安による為替評価益増等により、同5.8%増の212億円となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は、特別利益の計上が寄与し、前年同期比45.4%増の195億円となりました。なお、1株当たり四半期純利益は、98円47銭(前年同期比30円38銭増)となりました。

当社の経営成績に影響を及ぼす内容としては、原油価格が想定より高止まりしており、原燃料価格上昇等の影響が発現しつつありますが、営業利益は全体として堅調な結果となりました。

 

当第1四半期連結累計期間におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりです。

マテリアル領域

:[売上高 1,644億円(前年同期比12.4%増)、営業利益 90億円(前年同期比10.0%増)]

◆マテリアル事業:アラミド繊維は自動車向け中心に販売堅調、樹脂は販売構成が改善

アラミド繊維分野では、パラアラミド繊維「トワロン」が摩擦材、ゴム補強材等の自動車用途の販売を中心に、順調に拡大しました。パラアラミド繊維「テクノーラ」は、海外のロープ関連用途の販売を中心に堅調に推移しました。メタアラミド繊維「コーネックス」は、ターボチャージャーホース等の自動車関連、防護衣料及び産業資材用途の販売が堅調に推移しました。

炭素繊維分野では、炭素繊維「テナックス」の航空機用途やコンパウンド用途、スポーツ・レジャー向け用途での販売が堅調に推移し、圧力容器用途でも販売が拡大しました。一方、原燃料価格が前年同期比で上昇したことが、収益の押し下げ要因となりました。

樹脂分野では、主力のポリカーボネート樹脂「パンライト」「マルチロン」は、原料価格が前年同期比で上昇したものの、旺盛な需要環境のもと高機能コンパウンド等の拡販による販売構成の改善と中国・日本の生産拠点の高い稼働率の確保により、収益性を維持しました。

フィルム分野では、スマートフォンや自動車用電子部品の関連部材であるMLCC(積層セラミックコンデンサ)等の工程用離型フィルム「ピューレックス」は、販売量を拡大し好調を維持しており、自動車用PENフィルムも堅調に推移しました。液晶TV向け反射シートは展開規模の縮小により販売が減少しました。

 

◆繊維・製品事業:衣料繊維分野で独自機能素材の販売拡大、自動車部材関連がやや低調

衣料繊維分野では、繊維素材において、欧米スポーツ・アウトドア向けに「デルタ」をはじめとする独自機能素材の販売が好調を維持しました。衣料製品では、「ソロテックス」等の独自機能素材を活用した製品までの一貫提案が奏功し、スポーツ衣料・一般衣料を問わず、堅調に推移しました。

産業資材分野では、一部顧客認証の遅延により自動車部材関連ビジネスがやや低調に推移しました。

 

 

◆複合成形材料事業ほか:北米での自動車向け量産部品の販売堅調

複合成形材料分野では、米国Continental Structural Plastics Holdings Corporationを中心とする自動車向け量産部品の販売が、北米で好調なピックアップトラックやSUV向け、及び市場が大きな回復傾向を示す大型トラック向けに堅調に推移しました。

電池部材分野では、リチウムイオンバッテリー用セパレータ「リエルソート」の民生用途において、既存顧客向け販売が低調に推移しました。

 

ヘルスケア領域

:[売上高 392億円(前年同期比1.3%減)、営業利益 99億円(前年同期比15.9%減)]

医薬品分野では、国内市場において厳しい事業環境が継続する中、高尿酸血症・痛風治療剤「フェブリク」、経皮吸収型鎮痛消炎剤「ロコア」、「ソマチュリン*」において、順調に販売を拡大しました。また、海外市場においても同様に高尿酸血症・痛風治療剤の販売を拡大しましたが、前期に計上したアルツハイマー治療薬の候補化合物の導出対価の影響等により前年同期比で減収、減益となりました。

* ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharma(仏)の登録商標です。

在宅医療分野では、在宅酸素療法(HOT)市場において、携帯型酸素濃縮器(「ハイサンソポータブルα」「ハイサンソポータブルαⅡ」)の品揃え充実を図り、高い水準のレンタル台数を維持しました。また、在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)市場においても、携帯電話網を活用して治療状況をモニタリングする「ネムリンク」の訴求、睡眠評価装置「SAS-2100」の活用等により、レンタル台数が順調に伸長しました。

新規ヘルスケア分野では、埋め込み型医療機器の分野において人工関節及び脊椎領域で事業展開している帝人ナカシマメディカル㈱の業績が順調に推移しました。

 

その他

:[売上高 128億円(前年同期比4.8%増)、営業利益 6億円(前年同期比38.2%減)]

IT事業は、ネットビジネス分野において電子コミック配信サービス「めちゃコミック」の売上が順調に拡大しました。大手出版社との関係を強化し、独占先行配信等の施策により売上増に貢献しました。

 

2) 財政状態

当第1四半期連結会計期間末の総資産は、現金及び預金や有価証券が増加したこと等により、前期末対比461億円増加の10,281億円となりました。

負債は、短期借入金が増加したこと等により、前期末対比309億円増加の6,047億円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益を195億円計上したこと等により、前期末対比152億円増加の4,234億円となりました。この結果、自己資本比率は39.7%、D/Eレシオは0.9倍となりました。

 

(帝人グループの資本の財源及び資金の流動性について)

帝人グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、各事業の販売拡大や原燃料価格上昇等に伴う運転資本の増加、複合成形材料分野や医薬品分野を中心とした研究開発活動費等があります。また、設備投資資金需要の主なものとしては、航空機向けの需要増を見据えて、成長素材である炭素繊維の新たな生産拠点を米国サウスカロライナ州に建設中です。2020年度中の稼働を予定しており、総投資額は日本の三島事業所におけるプリカーサ*の生産能力の増強も合わせて350億円を予定しています。

 * 炭素繊維の原料として用いる特殊なアクリル繊維。

帝人グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入及び社債の発行等により資金調達を行っており、自己資本比率やD/Eレシオ等の財務健全性指標やROEを注視しながら、最適な選択を実施していきます。また、日米欧中の各拠点においては、グループ内余剰資金を活用するためにキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、資金効率の向上に努めています。

なお、当第1四半期連結会計期間末の有利子負債残高は3,852億円となりました。資金調達コストの低減に努める一方、設備投資に対応する借入の大部分については、長期調達するとともに過度に金利変動リスクに晒されないよう金利スワップ等の手段を活用しています。

また、金融機関には十分な借入枠を有しており、高水準で維持している現預金と併せ、中期経営計画で掲げた戦略投資を機動的に実施することが可能となっています。

 

(2) 経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等

当第1四半期連結累計期間において、帝人グループの経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等について重要な変更はありません。

なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。

 

① 当社の株主の在り方に関する基本方針

(会社法施行規則第118条第3号にいう、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針)

当社の株主の在り方について、当社は、株主は市場での自由な取引を通じて決まるものと考えています。したがって、株式会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるかどうかの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えています。

しかし、当社株式の大量取得行為や買付提案の中には、「企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのあるもの」「株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの」「買付の対価が当社の企業価値に鑑み不十分なもの」等も想定されます。このような大量取得行為や買付提案を行う者は、例外的に、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えています。

② 基本方針の実現に資する取り組み

当社では、多数の投資家の皆様に長期的に当社に投資を継続して頂くために、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取り組みとして、次の施策を既に実施しています。これらの取り組みは、上記①の基本方針の実現にも資するものと考えています。

ア.中長期での取り組み

帝人グループでは、2017年2月に、長期ビジョン実現に向けた次の3か年の実行計画として、中期経営計画2017-2019『ALWAYS EVOLVING』を策定し、公表しました。この中期経営計画に基づき、「成長戦略」による基礎収益力の更なる強化、「発展戦略」による新規コアビジネスの確立を推進するとともに、それを支える経営システム基盤の強化を図っていきます。

株主還元については、「連結業績に連動した配当」を基本とし、「財務体質の健全性や中長期の配当の継続性、将来の成長戦略投資に必要な内部留保の確保」を総合的に勘案し配当を実施します。

イ.「コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化」による企業価値向上への取り組み

当社は、企業価値ひいては株主共同の利益向上のために不可欠な仕組みとして、従来より、コーポレート・ガバナンスの強化を重要な課題に掲げ取り組んでいます。具体的には、以下の施策を実施しています。

1)意思決定、業務執行、監視・監査の3機能の分離と強化

2)国内外の有識者による経営全般への助言・提言を通じた「より良い経営、透明性の高い経営」の遂行と経営トップの評価を目的とした、取締役会の諮問機関としてのアドバイザリー・ボードの設置

3)コーポレート・ガバナンスに関する具体的な指針である「コーポレート・ガバナンスガイド」の制定と開示

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み

当社は、企業価値及び株主共同の利益を確保向上するための方策として、2006年6月23日に開催された第140回定時株主総会において、株主の皆様の承認を受け、当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策、以下「本プラン」)を導入し、継続してきました。

本プランの有効期間は、2018年6月20日開催の第152回定時株主総会(以下「本定時株主総会」)の終結の時までとなっていることから、当社は本プランの継続の是非について慎重に検討を重ねてきました。その結果、当社は2018年5月9日開催の取締役会において、有効期間が満了する本定時株主総会の終結の時をもって本プランを継続せず廃止することを決議し、本定時株主総会終結の時をもって本プランは廃止されました。

なお、当社は、本プラン廃止後も引き続き、当社株式の大量買付行為を行い、または行おうとする者に対しては、大量買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求めるとともに、当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のために必要な時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法その他関係法令に基づき、適切な措置を講じていきます。

 

(3) 研究開発活動

当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、83億円です。

なお、当第1四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。