帝人グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において帝人グループが判断したものです。
(1) 帝人グループが目指す姿
帝人グループは、企業理念に基づき、持続可能な社会の実現に向けて、「環境価値」「安心・安全・防災」「少子高齢化・健康志向」の3つのソリューションを中心とした価値を社会に提供し、「未来の社会を支える会社」になることを目指しています。
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環境価値ソリューション |
気候変動に対する緩和や適応、サーキュラーエコノミーの実現など、世界的な地球環境目標の達成に貢献する製品・サービスを提供 |
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安心・安全・防災ソリューション |
災害、事故などの様々なリスクから生命と暮らしを守る製品・サービスを提供 |
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少子高齢化・健康志向ソリューション |
あらゆる年齢の人々の健康的で快適な生活を支える製品・サービスを提供 |
(2) 中期経営計画における重点施策
2020年2月に、2020年度からの3年間における実行計画として、中期経営計画2020-2022『ALWAYS EVOLVING』を策定、公表しました。帝人グループは、当中期経営計画の期間を長期ビジョン実現に向けた「成長基盤確立期」と位置付け、以下を重点施策として取り組みを強化していきます。
a)機会創出
■資源投入規模
成長基盤確立に向け、3,500億円(3年累計)の「設備投資+M&A枠」を設定します。
■ソリューション領域への重点投入
「3つのソリューション」領域に全体の85%を投入し、社会課題への取り組みを加速し、2030年度までに当該領域の売上高比率を全体の75%まで拡大することを目指します。
■各事業のステージ(Strategic Focus, Profitable Growth)別
各事業のステージに応じ、事業分野を「将来の収益源育成:Strategic Focus」と「利益ある成長:Profitable Growth」に大別し、中・長期的視点でポートフォリオ変革、キャッシュ創出力の拡大に向けて投入資源を配分します。分野別には、「将来の収益源育成:Strategic Focus」分野に60%(循環投資は除く)を投入し、2030年度までに当該分野のEBITDAをグループ全体の1/3以上とすることを目指します。
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将来の収益源育成 (Strategic Focus) |
利益ある成長 (Profitable Growth) |
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マテリアル事業 |
・自動車向け複合成形材料 ・航空機向け炭素繊維中間材料 |
・アラミド繊維 ・樹脂 ・炭素繊維 ・セパレータ、メンブレン |
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ヘルスケア事業 |
・地域包括ケア関連新事業 ・機能性食品 ・新規ヘルスケア (整形・新規医療機器など) |
・医薬品 ・在宅医療 |
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その他 |
- |
・繊維・製品 ・IT |
b)リスク低減(環境負荷低減)
帝人グループは、持続可能な社会の実現に向けて、人を中心に考え、「Quality of Life」の向上に資する革新的なソリューションを提供するとともに、事業活動に伴う環境、社会への負の影響を最小限とすることを目指しています。当中期経営計画の策定に合わせ、環境負荷低減に関する長期目標を定め、その達成に向けた事業展開や削減活動を進めていきます。
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項 目 |
目標年度 |
目 標 |
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CO2削減貢献量(※) |
2030 |
「削減貢献>総排出」達成 |
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気候変動 (CO2排出量) |
2030 |
2018年度比 20%削減(総量目標) |
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2050 |
実質ゼロ実現 |
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水 |
2030 |
2018年度比 30%改善(淡水取水量売上高原単位) |
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有害物質 |
2030 |
2018年度比 20%改善 (有害化学物質排出量売上高原単位) |
※ 当社製品使用による、サプライチェーン川下でのCO2削減効果を貢献量として算出。CO2削減貢献量を、グループ全体及びサプライチェーン川上におけるCO2総排出量以上にすることを目指す。
c)経営基盤強化
継続的かつ的確なソリューション提供、市場開拓を加速する仕組みとして、以下のイノベーションの創出基盤を強化し、事業機会の創出を加速していきます。
「人財」については、柔軟な働き方を提供し、女性のみならず、多様化する人財が能力を発揮し、活躍できる仕組みを整えることが、イノベーションを創出する企業文化の醸成につながると考えており、国内のみならず、海外においても地域特性に応じた目標を設定し、グループ全体でダイバーシティ&インクルージョンを推進していきます。
d)中期経営計画における主要事業戦略
■マテリアル事業
高機能素材とマルチマテリアル化により、高付加価値用途への展開を加速します。
「Strategic Focus」分野(将来の収益源育成)
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自動車向け複合成形材料 |
米国でのトップシェア拡大と、欧州・中国市場への浸透を推進 |
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航空機向け炭素繊維中間材料 |
複数の新規大型プログラムの採用に目途をつけ、2023年度以降、量産開始・収益貢献へ |
「Profitable Growth」分野(利益ある成長)
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アラミド |
生産能力増強と用途開拓により高成長を継続 |
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樹 脂 |
高付加価値品の拡大により安定収益を確立 |
■ヘルスケア事業
既存事業で培った強みを活かし、リハビリ/介護や予防/健康増進領域を含む地域密着型総合ヘルスケアサービス事業を展開します。
「Strategic Focus」分野(将来の収益源育成)
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機能性食品、 地域包括ケアシステム関連新事業、 新規医療機器 など |
保険内外領域で画期的なヘルスケアサービス・製品を創出(機能性食品・ニュートラシューティカル、健康管理支援サービス・重症化予防サービス、人工関節・吸収性骨接合材、うつ病治療器、リハビリ機器 など) |
「Profitable Growth」分野(利益ある成長)
|
医薬品、在宅医療 |
医薬品・在宅医療事業の組織変革による基盤強化や新薬上市により、主力薬の後発品参入影響(「フェブリク」クリフ)を最小化 |
■繊維・製品/IT
「Profitable Growth」分野(利益ある成長)
|
繊維・製品 |
成長領域の拡大と基礎収益力の底上げ |
|
IT |
電子コミックの持続的成長とヘルスケア事業拡大 |
e)中期経営計画の計数目標
「投資効率」「稼ぐ力」の両面に力点を置き、収益性指標として「ROE」(全社)と「営業利益ROIC」(全社・事業別)、成長性指標として「EBITDA」(全社・事業別)を最重要指標として設定します。それぞれの最終年度(2022年度)における目標は次のとおりです。
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ROE |
10%以上 |
|
営業利益ROIC |
8%以上 |
|
EBITDA |
1,500億円 (マテリアル:800億円、ヘルスケア:450億円、その他:250億円) |
(注)ROE:親会社株主に帰属する当期純利益/期首・期末平均自己資本
営業利益ROIC:営業利益/期首・期末平均投下資本
※投下資本・・・純資産+有利子負債-現金及び預金
EBITDA:営業利益+減価償却費(のれんを含む)
足元の経営環境については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
帝人グループは、会社が直面する不確実性に対する予防手段として、経営戦略リスクと業務運営リスクを対象とする「TRM(トータルリスク・マネジメント)コミティー」を取締役会の下に設置し、リスクに対する統合管理を行っています。取締役会は、TRMコミティーから提案されるTRM基本方針、TRM年次計画等の審議・決定を行います。CSR管掌は、帝人グループの業務運営リスクについて、横断的なリスクマネジメント体制の整備、問題点の把握及び危機発生時の対応を行います。また、経営戦略リスクのアセスメントについては、CEOが担当し、取締役会等における重要な判断材料として提供します。監査役は、取締役会がTRMに関する適切な方針決定、監視・監督を行っているか否かについて監査します。当該TRMコミティーで管理している重大なリスクは以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において帝人グループが判断したものです。
<経営戦略リスク>
(1) マクロ環境リスク
1) 景気・経済動向
帝人グループは、マテリアル事業領域、ヘルスケア事業領域及びIT事業領域を有しており、それぞれ異なる地域・顧客に対して事業を展開しています。繊維・製品事業を含むマテリアル事業領域については、事業を展開している各国・地域の景気動向・経済状況や主要な供給先である自動車・航空機市場の動向の影響を受ける可能性があります。一方、ヘルスケア事業領域及びIT事業領域においては、これらの影響を受ける可能性は相対的に低く、世界経済の停滞環境下においても安定した事業展開が期待されます。
2) 為替レート
帝人グループが営む事業のうち、マテリアル事業領域においては、外貨建て取引の収入が多く、また、連結財務諸表作成に当たり、海外の連結子会社の財務諸表を円換算しており、為替レートの変動が帝人グループの経営成績並びに財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、為替レート変動による業績への影響は、対ドル1円の円高の場合、営業利益で約4億円/年の減益影響が見込まれます。
3) 金利
帝人グループは資金需要に対してその内容や財政状態及び金融環境を考慮し、調達の金額・期間・方法を判断しています。金利が上昇した場合には支払利息が増加し、帝人グループの経営成績並びに財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
4) 原燃料価格
マテリアル事業領域のうち、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリカーボネート樹脂等の素材事業は、原燃料コストが製造原価の一定程度の割合を占めるため、原油価格や需給バランスの変化等に伴う原燃料価格の変動が、帝人グループの経営成績並びに財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 市場・競合環境変動リスク
1) 競合環境
ポリカーボネート樹脂等の素材のうち、汎用用途においては、市場の需給構造が売値に影響を与えるため、競合の動向が自社の収益性に影響を与える可能性があります。
2) サプライチェーンの需要影響
帝人グループは素材・中間材料・部品供給ビジネスを展開しており、末端需要の拡大・縮小が各段階での在庫調整に影響を及ぼすことにより、実体経済以上に業績が変動する可能性があります。
(3) 資源投入リスク
帝人グループでは「中期経営計画2020-2022 ALWAYS EVOLVING」で掲げるとおり、3年間累計で3,500億円の設備投資とM&Aの投入資源枠を設定していますが、自社の戦略に適合する案件が探索できない場合、その実施ができない又は遅延する可能性があります。
また、帝人グループでは、技術を核とした持続的成長を実現するための研究開発に、積極的に経営資源を投入していく方針であり、2022年度までの3年間で1,100億円の研究開発費の投入を計画しています。しかしながら、研究開発の成果が目標から大きく乖離した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。特に医療用医薬品の開発には、多額の費用と長い期間がかかるうえ、創薬研究において、有用な化合物を発見できる可能性は決して高くありません。また、臨床試験の結果、予測していた有効性が証明できない、あるいは予測していない副作用が発現した等の理由で承認申請を断念しなければならない可能性があります。また、承認申請した後でも審査の過程で承認されない、また、市販後調査の結果、承認が取り消される可能性があります。
(4) 制度変化リスク
欧州を始めとする各国による気候変動緩和のための温室効果ガス排出規制やプラスチックごみ問題に対応するプラスチック製品規制などを想定に入れた事業計画を策定していますが、これら規制が想定以上に強化された場合、炭素繊維やポリエステル繊維製品をはじめとする各種製品の生産活動や収益性に影響を及ぼす可能性があります。
また、米中貿易摩擦の再燃等を始めとする、世界的な保護主義の台頭も懸念され、その場合は帝人グループにおける適地生産戦略の重要性がさらに増すことになると想定しています。
一方、国内においては、ヘルスケア事業は、薬価改定等の医療費抑制政策の加速の影響を受ける可能性があります。
(5) 財務健全性リスク
1) 固定資産の減損
帝人グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下等により、減損損失が発生し、帝人グループの経営成績並びに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
2) 繰延税金資産の取り崩し
帝人グループでは将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っておりますが、将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産の一部または全部が回収できないと判断される場合、繰延税金資産が減額され、帝人グループの経営成績並びに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
<業務運営リスク>
(1) 自然災害等リスク
近年の気候変動に伴う台風・豪雨等による風水害・土砂災害は、製造業・サービス業上の大きなリスクとして帝人グループの事業運営への影響が懸念されます。さらには日本における首都直下型地震・南海トラフ地震など、今後一定の発生の可能性のある大型地震・その結果としての津波等も想定されることから、事業継続計画の随時見直しや各種防災訓練を通じて、災害発生時の被害の最小化や速やかな復旧を目指します。
一方、昨年末から発生した新型コロナウイルス感染症にみられるような、予測しえない感染症の急速な拡大等が、帝人グループの生産・営業・研究開発活動への障害となる可能性があります。
(2) 製造リスク
帝人グループは、生産活動において、有害化学物質や産業廃棄物等、環境に負荷を与える物質を取り扱うことから、それらの不適切な取扱いにより、グローバルな環境に影響を及ぼし、また、事業運営に支障をきたすリスクがあります。また、化学プラントを多く保有しており、爆発・火災等の大事故により、事業運営に大きな支障をきたす可能性があります。
(3) 製品・品質リスク
帝人グループでは、帝人㈱及び帝人ファーマ㈱等の主要な子会社に、他の部門から独立した専任の品質・信頼性保証部門を設置し、厳格な品質管理基準に基づき、事業活動全般における品質保証を確保する体制を敷いています。しかしながら、全ての製品・サービスにおいて、予期し得ない重大な品質問題が発生する可能性を排除することはできません。従って、そうした製品・サービスの欠陥が、業績、財務状況、社会的評価等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 法令・倫理リスク
帝人グループでは、M&A等により社員の国籍・文化・意識が多様化していることから、「企業倫理ハンドブック」等を使って企業理念や行動規範をグローバルに浸透させ、コンプライアンスの徹底を図っていますが、各種法令違反や、セクハラ・パワハラといった不祥事が発生することにより、社会的な信頼を損なう可能性は排除できません。
また、主にアパレル関連産業のサプライチェーンに、潜在的な人権リスクがあると考えられ、人権デューディリジェンスやCSR調達などの取組みを強化していますが、サプライチェーン上の人権問題の発生により、事業運営への支障や社会的な信頼の棄損などの影響が出る可能性があります。
(5) 情報セキュリティリスク
帝人グループでは、各種製品の研究・開発から製造・販売に至る様々な重要情報を保持しています。また、医療関係における患者情報などの個人情報等も扱っています。重要情報や個人情報等を取り扱うに当たり、帝人グループではハード・ソフト両面で様々な情報セキュリティ対策を実施していますが、災害、サイバー攻撃、不正アクセスその他不測の事態によりこれら情報等が外部へ流出することで、ステークホルダーに対する予期しない被害や業績に対する悪影響が発生する可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において帝人グループが判断したものです。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、米中貿易摩擦長期化の影響を受けた中国の景気後退や、中国や欧州での自動車需要の低下等、製造業を中心に景況感が悪化しました。また、中国において2019年12月以降に発生が報告された新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が、期末にかけて世界的に生産や消費活動に影響を及ぼしつつあります。
帝人グループは、持続可能な社会の実現に貢献し、「未来の社会を支える会社」になるという長期ビジョンのもと、2017年度からの3か年の中期経営計画に取り組みました。その最終年度である当連結会計年度においては、マテリアル事業領域では、自動車向け複合成形材料事業への重点投資により売上高拡大に取り組むとともに、アラミドや炭素繊維の大型設備投資を決定・実行しました。またポートフォリオ変革の一環として、フィルム事業子会社を東洋紡株式会社に譲渡しました。ヘルスケア事業領域では、新規事業の買収やライセンス取得による事業拡大を進める一方で、医薬・在宅医療事業の組織変革による基盤強化を進めました。このような状況のもと、帝人グループの当連結会計年度の経営成績及び財政状態は以下のとおりとなりました。
1)経営成績
帝人グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高8,537億円(前期対比3.9%減)、営業利益562億円(同6.3%減)、経常利益543億円(同9.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益253億円(同44.0%減)となりました。
(単位:億円)
|
|
153期 (2019年3月期) |
154期 (2020年3月期) |
増減額 |
増減率 |
|
売上高 |
8,886 |
8,537 |
△348 |
△3.9% |
|
営業利益 |
600 |
562 |
△38 |
△6.3% |
|
経常利益 |
603 |
543 |
△59 |
△9.8% |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
451 |
253 |
△198 |
△44.0% |
当連結会計年度における報告セグメントごとの経営成績の概況は次のとおりです。
(単位:億円)
|
|
153期 (2019年3月期) |
154期 (2020年3月期) |
増減額 |
増減率 |
|
|
売 上 高 |
マテリアル |
6,716 |
6,338 |
△377 |
△5.6% |
|
ヘルスケア |
1,575 |
1,539 |
△36 |
△2.3% |
|
|
その他 |
595 |
660 |
+64 |
+10.8% |
|
|
合計 |
8,886 |
8,537 |
△348 |
△3.9% |
|
|
営 業 利 益 |
マテリアル |
235 |
213 |
△22 |
△9.3% |
|
ヘルスケア |
355 |
326 |
△29 |
△8.2% |
|
|
その他 |
72 |
80 |
+8 |
+11.6% |
|
|
消去又は全社 |
△61 |
△56 |
+5 |
- |
|
|
合計 |
600 |
562 |
△38 |
△6.3% |
|
|
マテリアル領域 |
:[売上高 6,338億円(前期比5.6%減)、営業利益 213億円(同9.3%減)] |
売上高は6,338億円と前期比377億円の減収、営業利益は213億円と前期比22億円の減益となりました。
当セグメントの生産規模は、3,466億円(前期比8.8%減、販売価格ベース)でした。
|
ヘルスケア領域 |
:[売上高 1,539億円(前期比2.3%減)、営業利益 326億円(同8.2%減)] |
売上高は1,539億円と前期比36億円の減収、営業利益は326億円と前期比29億円の減益となりました。
当セグメントの生産規模は、654億円(前期比7.0%減、販売価格ベース)でした。
|
その他 |
:[売上高 660億円(前期比10.8%増)、営業利益 80億円(同11.6%増)] |
売上高は660億円と前期比64億円の増収となり、営業利益も80億円と前期比8億円の増益となりました。
2)財政状態
(単位:億円)
|
|
153期 (2019年3月期) |
154期 (2020年3月期) |
増減額 |
|
総資産 |
10,207 |
10,042 |
△164 |
|
負債 |
5,934 |
5,928 |
△6 |
|
(内 有利子負債) |
3,692 |
3,819 |
+127 |
|
純資産 |
4,272 |
4,114 |
△158 |
|
D/Eレシオ(倍) |
0.90 |
0.97 |
+0.07 |
|
自己資本比率(%) |
40.2 |
39.3 |
△1.0 |
総資産は、現預金の増加や炭素繊維の新たな生産拠点の建設及び複合成形材料事業の生産能力増強を目的とした設備投資の実施等による有形固定資産の増加、IFRS第16号「リース」の適用による有形固定資産の増加がありましたが、フィルム事業子会社の株式を譲渡し、連結子会社から除外した影響もあり、前期末対比164億円減少の10,042億円となりました。
負債は、IFRS第16号「リース」の適用による有利子負債の増加がありましたが、仕入債務が減少し、前期末対比6億円減少の5,928億円となりました。
純資産は、保有株式の時価評価に関わる評価差額金の減少、為替換算調整勘定の減少が影響し、前期末対比158億円減少の4,114億円となりました。この結果、D/Eレシオは0.97倍、自己資本比率は39.3%となりました。
尚、当期末のBS換算レートは、109円/米ドル、120円/ユーロ、1.10米ドル/ユーロ(前期末111円/米ドル、125円/ユーロ、1.12米ドル/ユーロ)となっています。
② キャッシュ・フローの状況
(単位:億円)
|
|
153期 (2019年3月期) |
154期 (2020年3月期) |
増減額 |
|
営業活動 |
809 |
942 |
+133 |
|
投資活動 |
△413 |
△679 |
△266 |
|
フリー・キャッシュ・フロー |
396 |
263 |
△133 |
|
財務活動他 |
△153 |
△104 |
+49 |
|
現金及び現金同等物増減 |
243 |
159 |
△84 |
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前・償却前当期純利益の計上や運転資本の減少による資金収入等があり、合計で942億円の資金収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、炭素繊維の新たな生産拠点の建設や複合成形材料事業の生産能力増強を目的とした設備投資の実施、M&Aの実行による子会社株式の取得等に伴う資金支出がありましたが、フィルム事業子会社の株式を譲渡した収入もあり、679億円の資金支出となりました。
この結果、営業活動に投資活動を加えたフリー・キャッシュ・フローは263億円の資金収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、長期借入れによる資金収入がありましたが、配当の支払いにより、81億円の資金支出となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物に係る換算差額等も加え、最終的な現金及び現金同等物の増加額は159億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
帝人グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等
経営者の視点による帝人グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
帝人グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これらの見積りと異なる場合があります。
帝人グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。
1) 貸倒引当金の計上基準
帝人グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を繰入計上しています。将来、顧客の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
2) たな卸資産の評価基準
帝人グループの販売する製品の価格は、市場相場変動の影響を強く受ける傾向にあるので、その評価基準として主に原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しています。)を採用しています。
3) 投資有価証券の減損処理
帝人グループは、金融機関や、製造・販売等に係る取引会社及び関係会社の株式を保有しています。これらの株式は、株式市場の価格変動リスクや、経営状態・財務状況の悪化による価値下落リスクを負っているため、合理的な基準に基づき、投資有価証券の減損処理を行っています。
4) のれんを含む固定資産の評価
帝人グループは、のれんを含む固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しています。事業損益見込みの悪化や事業撤収の決定等があった場合には、将来キャッシュ・フローや回収可能価額を合理的に見積り、減損損失を計上しています。
5) 繰延税金資産の回収可能性
帝人グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するので、課税所得の見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
上記の見積りに当たっては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により翌連結会計年度の第1四半期は国内外の経済活動が大きく影響を受けるものの、第2四半期以降、経済活動が次第に回復することを想定しています。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1) 経営成績等
a) 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
アラミドや国内ヘルスケア及びITの収益は概ね堅調に推移しましたが、欧米での主力医薬品の後発品発売やポリカーボネート樹脂の市況低迷影響があり、売上高は前期対比3.9%減の8,537億円、営業利益も同6.3%減の562億円となりました。経常利益は為替影響による営業外収益の減少等もあり同9.8%減の543億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益はフィルム事業子会社譲渡に係る一時費用や繊維・製品事業の子会社に係る減損損失の計上等により、同44.0%減の253億円となりました。その結果、収益性を示すROEは中期計画目標(10%以上)を下回る6.3%となりました。キャッシュ創出力を示すEBITDAは1,072億円となり、中期計画最終年度の目標(1,200億円超)は未達となりましたが、中期期間において着実に成長しました。営業利益ROICについては、目標(8%以上)を超過する8.7%となりました。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析は次のとおりです。
|
マテリアル領域 |
:[売上高 6,338億円(前期比 5.6%減)、営業利益 213億円(同 9.3%減)、EBITDA 573億円(同 1.6%増)] |
欧州や中国における自動車需要減等の経済環境悪化の中、高機能材料分野は比較的堅調に推移しましたが、ポリカーボネート樹脂市況低下の影響等により、売上高は6,338億円と前期比377億円の減収、営業利益は213億円と前期比22億円の減益となりました。EBITDAは、573億円と前期比9億円の増益となりました。
総資産は6,652億円となりました。炭素繊維の新たな生産拠点の建設及び複合成形材料事業の生産能力増強を目的とした設備投資の実施等による有形固定資産の増加がありましたが、フィルム事業子会社の株式を譲渡し、連結子会社から除外した影響もあり、前期末対比163億円の減少となりました。
◆マテリアル事業
アラミド分野では、主力のパラアラミド繊維「トワロン」において、自動車需要減少の影響を受け、摩擦材、ゴム補強材等の自動車関連用途の販売数量がやや減少したものの、売値・販売構成の改善が収益に貢献しました。
炭素繊維分野では、炭素繊維「テナックス」が、航空機用途においてサプライチェーンでの在庫調整等を反映して弱含みで推移したほか、自動車や電気電子向けのコンパウンド用途では前期終盤から続く需要減により販売量が減少しました。
樹脂分野では、主力のポリカーボネート樹脂が米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染拡大の影響等で需要は低下したものの、販売量は前期並みを維持しました。一方、汎用品部分での販売価格低下の影響を受けました。
ポートフォリオ変革の一環として、フィルム事業子会社を東洋紡株式会社に2019年10月1日付で譲渡しました。
◆繊維・製品事業
衣料繊維分野では、米中貿易摩擦や天候不順等による国内外の市況低迷により、スポーツ用テキスタイルの国内生産や紳士重衣料が苦戦しました。
産業資材分野では、自動車関連部材が欧州や中国の自動車販売低迷の影響を受けましたが、インフラ補強材、水処理フィルターや人工皮革用のポリエステル短繊維の販売は好調を維持しました。
◆複合成形材料事業ほか
複合成形材料分野では、北米のピックアップトラックやSUV等の需要増を背景に、米国Continental Structural Plastics社の自動車向け量産部品の販売が概ね堅調に推移しましたが、3月以降、新型コロナウイルスの感染拡大により生産・販売が影響を受けました。
マテリアル領域のEBITDAの増減分析(前年対比)は以下の通りです。
(単位:億円)
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ヘルスケア領域 |
:[売上高 1,539億円(前期比 2.3%減)、営業利益 326億円(同 8.2%減)、EBITDA 446億円(同 5.7%減)] |
国内における医薬品「フェブリク」や在宅医療は好調に推移したものの、欧米での同医薬品が後発品影響を受け、売上高は1,539億円と前期比36億円の減収、営業利益は326億円と前期比29億円の減益となりました。EBITDAは、446億円と前期比27億円の減益となりました。
総資産は1,265億円となりました。運転資本の減少等もあり、前期末対比63億円の減少となりました。
医薬品分野では、国内市場において、高尿酸血症・痛風治療剤「フェブリク」や先端巨大症・下垂体性巨人症/神経内分泌腫瘍治療剤「ソマチュリン*」が順調に販売を拡大しましたが、「フェブリク」の海外販売は、後発品の参入が始まった欧米において売上が減少しました。
* ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharma(仏)の登録商標です。
在宅医療分野では、在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)市場において睡眠時無呼吸症候群診療ネットワークの構築に注力し、契約施設数の増加により機器のレンタル台数が順調に伸長しました。また、在宅酸素療法(HOT)市場において、携帯型酸素濃縮器や統合型酸素濃縮器(ハイサンソi)の展開等により、高い水準のレンタル台数を維持しました。
新規ヘルスケア分野では、埋め込み型医療機器事業の業績が堅調に推移しました。
ヘルスケア領域のEBITDAの増減分析(前年対比)は以下の通りです。
(単位:億円)
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その他 |
:[売上高 660億円(前期比 10.8%増)、営業利益 80億円(同 11.6%増)] |
売上高は660億円と前期比64億円の増収、営業利益は80億円と前期比8億円の増益となりました。
IT事業では、電子コミック配信サービス及び病院・企業向けITサービスが好調に推移しました。
b) 財政状態及びキャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の財政状態、キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 2)財政状態、② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(帝人グループの資本の財源及び資金の流動性について)
帝人グループは、持続可能な社会の実現に向けて、「環境価値」「安心・安全・防災」「少子高齢化・健康志向」の3つのソリューションを中心とした価値を提供することで「未来の社会を支える会社」になることを目指し、事業ポートフォリオ変革に取り組んでいます。そのため、獲得した資金は財務体質の健全性を維持しながら「将来の成長に向けての投資」に優先的に配分しますが、「安定的・継続的な配当」にも配慮し、中期的な配当性向は30%を目安とし、状況に応じて自己株式取得等も機動的に実施します。また、積極的な成長投資を実行しながら企業価値を向上させていくために、資本コストを意識した経営を行っており、ROEや営業利益ROICを最重要指標として位置付け、資本効率の向上に取り組んでいます。
帝人グループの資金需要の主なものは、製品製造のための原材料等の購入、製造費、販売費やサービス提供費用等の運転資金需要に加え、設備投資や研究開発活動費等の「将来の成長に向けての投資」としての資金需要があり、設備投資資金需要の主なものとしては、航空機向けの需要増を見据えて、軽量化素材である炭素繊維の新たな生産拠点を米国サウスカロライナ州に建設中です。2020年度の稼働を予定しており、総投資額は日本の三島事業所におけるプリカーサ*の生産能力の増強も合わせて350億円を予定しています。その他にも軽量化部材を提供する複合成形材料事業の新規受注に伴う生産能力増強投資等に積極的に取り組んでいます。中期経営計画2020-2022の3年累計では、設備投資及びM&A枠として3,500億円の資源投入規模を設定しています。研究開発費については、複合成形材料分野やヘルスケア分野を中心に同中期経営計画の3年累計で1,100億円の資源投入を計画しています。
* 炭素繊維の原料として用いる特殊なアクリル繊維。
帝人グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入及び社債の発行等により資金調達をおこなっており、財務体質の健全性を維持(D/Eレシオ0.9が目安)しながら資本効率の維持・向上を図るべく、最適な選択を実施していきます。また、日米欧中の各拠点においては、グループ内余剰資金を活用するためにキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、資金効率の向上に努めています。帝人グループは、国内格付機関である格付投資情報センターから格付を取得しており、本報告書提出時点においてはAマイナス(安定的)となっております。金融機関には十分な借入枠を有しており、帝人グループの事業運営に必要な運転資金や将来の成長に向けた投資資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識するとともに、高水準で維持している現預金も含め、緊急時の流動性を確保しております。
なお、当期末の有利子負債残高は3,819億円となりました。資金調達コストの低減に努める一方、設備投資に対応する借入の大部分については、長期調達するとともに過度に金利変動リスクに晒されないよう金利スワップ等の手段を活用し、固定化しています。
2) 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
3) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2017年2月に公表した中期経営計画2017-2019『ALWAYS EVOLVING』において、投資効率を測るための指標としてROEと営業利益ROICを、効率だけでは無く稼ぐ力を測るための指標としてEBITDAも重視することとしており、社内での浸透も進んでいます。中期経営計画の期間においては、ROEは10%以上、営業利益ROICは8%以上、また2019年度でのEBITDAは1,200億円超という目標を掲げましたが、ROEは中期計画目標を下回る6.3%となりました。EBITDAは1,072億円となり、中期計画最終年度の目標は未達となりましたが、中期期間において着実に成長しました。営業利益ROICについては、目標を超過する8.7%となりました。
また、各種指標の推移は以下のとおりです。
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第150期 (2016年3月期) |
第151期 (2017年3月期) |
第152期 (2018年3月期) |
第153期 (2019年3月期) |
第154期 (2020年3月期) |
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ROE(%) |
10.6 |
15.7 |
12.5 |
11.2 |
6.3 |
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営業利益ROIC(%) |
12.7 |
10.0 |
11.2 |
9.3 |
8.7 |
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EBITDA(億円) |
1,060 |
958 |
1,155 |
1,076 |
1,072 |
(注)各指標はいずれも当社連結ベースの財務数値を用いて算出しています。
・ROE:親会社株主に帰属する当期純利益/期首・期末平均自己資本
・営業利益ROIC:営業利益/期首・期末平均投下資本
※投下資本・・・純資産+有利子負債-現金及び預金
・EBITDA:営業利益+減価償却費(のれんを含む)
(新型コロナウイルス感染症に関するリスク情報)
新型コロナウイルス感染症の全世界における感染拡大の影響により、世界各国で入出国禁止等の渡航制限や外出制限等の措置が行われており、現時点では感染拡大の収束が見通せない状況にあります。世界経済への影響も大きく、需要の減少やサプライチェーンの分断及び生産やサービス供給の停止等により、グローバルに事業展開する帝人グループの経営成績、財政状態等に影響を与える可能性がありますが、こうした状況においても、生産に必要な原材料・部品等を確保し、顧客の生産状況等により停止せざるを得ない一部の工場を除き、感染対策を強化しながら、工場操業を継続しております。
本感染症の拡大に対し、帝人グループとしましては、CEOを本部長とする新型コロナウイルス対策本部を立ち上げ、工場操業の安全確保や医療関係業務は継続しながら、本社等における在宅勤務・テレワークの活用等の感染防止対応を徹底するとともに、感染者が発生した場合のBCP対策の周知・徹底、調達・供給リスクを考慮した在庫管理や債権管理の強化等の施策を実行し事業運営に与える影響の極小化を図っています。なお、金融機関からは十分なコミットメントラインを得ており、高水準で維持している現預金も含め、当面の流動性を確保しています。また、ヘルスケア事業や繊維・製品事業において、それらの製品・サービス・ノウハウを最大限に活用した社会貢献に積極的に取り組んでまいります。
(1) 当連結会計年度において締結している経営上の重要な契約は、以下のとおりです。
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契約会社名 |
相手先 |
内容 |
期間 |
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帝人㈱ (当社) |
ベーリンガーインゲルハイム社 (独) |
技術等導入に関する契約 ・医薬品の供与 ・「ラキソベロン」等医薬品4品目の製造に関する技術 |
2005年1月1日 から 2021年12月31日 |
(2) 当社は、2019年4月26日開催の取締役会において、当社の連結子会社である帝人フィルムソリューション株式会社(以下TFS社)ならびにP.T. Indonesia Teijin Film Solutions(以下ITFS社)の当社所有株式全てを、東洋紡株式会社(以下東洋紡)に譲渡する方針を決議し、2019年5月22日付で東洋紡との間で株式譲渡契約を締結し、2019年10月1日付で譲渡完了しています。これにより、第3四半期連結会計期間より、TFS社及びITFS社を連結の範囲から除外しています。
帝人グループは、「たゆまぬ変革と挑戦」によって新しい価値を創造し、持続可能な社会の実現に向けてソリューションを提供することで「未来の社会を支える会社」になることを目指しています。研究開発活動においても、人を中心に考え、Quality of Lifeを向上させる「環境価値」、「安全・安心・防災」、「少子高齢化・健康志向」の3つのソリューションを中心とした価値を社会に提供するとともに、事業活動に伴う環境、社会への負の影響が最小減となるよう取り組みを続けています。また、中期経営計画2020‐2022『ALWAYS EVOLVING』では、イノベーションの創出基盤を強化し、事業機会の創出を加速することを経営基盤強化の基本方針の1つに掲げています。
研究開発の基本方針としては、素材、ヘルスケア、IT事業を併せ持つ帝人グループの特徴を生かしたグローバル視点での技術の連携・活用と融合・複合化により、グループとしての総合力・機動力を発揮することを推進しています。また、帝人グループ内の技術や人財だけではなく、外部技術の積極的な活用により開発のスピードアップを推進し、IoTモニタリング技術、機械学習やAI技術、またMI(マテリアル・インフォマティクス)の利活用による研究開発力の強化にも取り組んでいます。
研究開発体制については、国内12カ所、海外12カ所の拠点からなるグローバルなネットワークを有しており、グループ各社の連携を強化して組織を活性化するとともに、多様な人財が能力を発揮してイノベーション創出を加速する仕組みを取り入れています。
帝人グループの知的財産戦略では、詳細な事業環境分析の結果に基づいて、事業のコンピテンシーとなり得るコア技術を中心に知的財産権を戦略的に取得し、競合他社の市場参入を阻止して競争優位性を確保するための強固な知財ポートフォリオを構築しています。事業戦略の立案に係る知財情報の解析においては、IPランドスケープ等の手法も取り入れ、ICTツールを駆使して特許情報のみならず非特許情報を基に技術動向や競争優位性を解析し、その結果を事業上の意思決定に役立てる取り組みを実施しています。
なお、当連結会計年度の研究開発費は
また、報告セグメントごとの研究開発活動の概要は次のとおりです。
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<マテリアルセグメント> ◆マテリアル事業 アラミド分野では、セーフティ、オートモーティブ、エアロスペース、インダストリーの4つを主力テーマとして、アラミド繊維製造技術及び新商品の開発を推進しています。高強度、軽量で高い耐久性を有するパラ系アラミド繊維「トワロン」は、グローバル市場における需要の拡大に対応するため、生産能力を2022年までに25%以上増強することとしました。今回の増強においては、CO2排出量の削減技術の導入を組み込んでおり、これにより社会と企業の持続的な発展を目指します。またアラミド繊維は、その高い機能性を活かして自動車、航空用コンテナ、防護、ロープやケーブルなど幅広い分野に使用されています。その中で海洋ロープ用途開発では、パラ系アラミド繊維である「トワロン」や「テクノーラ」を用いた、より安全性が高く、またリサイクル可能なロープ開発を進めるなど、環境に配慮した製品作りを進めています。 炭素繊維分野では、高収益・高成長分野での事業拡大を進めるとともに、環境規制の高まりに伴う低燃費化の要請に応え、環境ソリューションとして軽くて強い高機能素材の拡大を図り、特に未来の最新鋭航空機に向けたソリューションとして、炭素繊維原糸から織物基材、熱可塑性及び熱硬化性樹脂を使用した中間材料や工法の開発に積極的に取り組んでいます。昨年8月には、米国Renegade Materials Corporation(RM社)を完全子会社化しました。RM社は、他社に先駆けて低毒性原料を用いたポリイミド樹脂を用いた熱硬化性プレプリグ技術を展開し、耐熱性と熱サイクル耐性を両立する優れた製品を有しています。RM社の技術と当社が蓄積してきた、炭素繊維や熱硬化性・熱可塑性の中間材料のノウハウやラインナップ等のシナジーを追求し、幅広い潜在ニーズに応える製品のグローバル展開をより一層強化しています。 樹脂分野では、今後成長が見込まれる第5世代移動通信システム(5G)や、自動車電動化・自動運転化に対応する高機能樹脂の提供を拡大すべく研究開発を行っています。ポリカーボネート樹脂では、高度な分子設計技術と重合制御技術を活かして、高画質化・複眼カメラ化・小型化などが要求されるスマートフォン向けカメラレンズや、耐熱性・耐候性が要求される車載用カメラレンズに使用する光学特性に優れた製品の開発を進めました。コンパウンド製品では、長年培ってきた樹脂コンパウンドの技術を活かして、高耐薬・高耐熱・低比重・高強度・摺動性などの機能を持つ高付加価値コンパウンド材の技術を更に向上させました。また、ASEAN地域における樹脂製品への多様なニーズに迅速に応えるため、タイにコンパウンド工場とテクニカルセンターを新設し、2019年9月に稼働を開始しました。 ◆繊維・製品事業 衣料繊維分野では、コットン調のポリエステル長繊維「アスティ」や、高い引き裂き強度に加えフラットな外観とソフトな風合いを兼ね備えた「シャドウリップ」など、リサイクル原料を使用した多様な素材を上市しました。産業資材分野では、レゾルシン・ホルムアルデヒドなどの有害物質を含まない環境にやさしいゴム補強繊維用接着剤を開発しました。新事業分野では、ヘルスケアなどの用途に向けて、各種センサーやソフトウエアの開発を推進しました。また、環境活動指針「THINK ECO」を掲げ、マイクロプラスチック問題に対応した海洋分解性ポリマーの開発を開始するなど、環境負荷低減につながる繊維素材や加工技術の開発を実施しました。 ◆複合成形材料事業ほか 複合成形材料分野では、自動車部品の軽量化、高強度化を中心とした社会に必要とされる環境、安全ソリューションの提供に向け、顧客要求に沿ったコンポジット製造技術を他社に先駆けて開発しています。その一環として、グループ内外の素材や技術を結集し、マルチマテリアルコンポジットによる提案力の強化を推進しています。2020年2月に、欧州において自動車向け複合成形材料のデザイン・設計やプロトタイピング等の機能を担うテクニカルセンターとして、ドイツ・ブッパタール市にTeijin Automotive Center Europe GmbHを設立しました。同社では、次世代自動車に向けたマルチマテリアルでのソリューション提案を行っていきます。 また、新事業分野では、上海恩捷新材料科技股份有限公司との間で、車載用リチウムイオン二次電池(LIB)に使用される溶剤系コーティングセパレータの製造に関する技術ライセンス契約を締結しました。今後は、両社で提携の幅を広げ、LIBの高性能化、安全性の向上に向け開発を進めて参ります。
当セグメントに係る研究開発費は
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<ヘルスケアセグメント> 医薬品分野では、英国の製薬企業であるリーディアント社と日本における独占開発・販売契約を締結しているアデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症治療剤「レブコビ筋注2.4mg」について、2019年5月に販売を開始しました。また、関節リウマチ及び多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎治療薬のバイオ後続品「エタネルセプトBS皮下注「TY」の販売を2019年11月より開始しました。「献血ベニロン-I」の適応拡大として、2019年8月に「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善」、2019年12月に「視神経炎の急性期(ステロイド剤が効果不十分な場合)」の効能・効果の追加承認を取得しました。また、独メルツ社から導入し開発を進めている医薬品(開発コード:NT 201)について、2019年8月に「上肢痙縮」に対する製造販売承認申請を実施しました。加えて、「ソマチュリン」の適応拡大として、2020年3月に「甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍」の適応追加に対する一部変更承認申請を実施しました。また、自社開発品のTCK-276について、2020年2月に関節リウマチの適応取得に向けた第I相試験に着手しました。 在宅医療分野では、見やすい液晶表示や通信端末の搭載によってモニタリング機能を高めた酸素濃縮装置『ハイサンソi』を2019年4月に上市しました。機器のモニタリングデータを「HOT見守り番Web」と連携させることで、よりきめ細やかにアドヒアランスの確認をサポートします。引続き、周辺機器の開発やデータ活用に関する研究を進めています。また、ヘルスケア領域の新規製品・サービスの獲得を目指し、米国のヘルスケアベンチャーキャピタルファンドであるMedtech Convergence Fundに、最大で約90百万米ドル(約100億円)の出資を行うことを決定しました。同ファンドと共同でインキュベーション活動も推進し、医療機器・サービスに関連した帝人グループの研究開発機能の活性化を目指します。また、オープンイノベーションの一環として、2019年7月よりアクセラレータープログラムを開催し、スタートアップとの共創による新たな製品・サービスの開発を目指しています。 新規ヘルスケア分野では、医療機器分野において、大阪医科大学、福井経編興業株式会社との3社で共同開発を進めている「心・血管修復パッチ OFT-G1(仮称)」について、2019年6月、臨床試験を開始しました。「心・血管修復パッチ OFT-G1」は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医工連携事業化推進事業「術後のQOLを改善させる心・血管修復シートの事業化」の支援を受けて開発を進めています。
当セグメントに係る研究開発費は |
上記セグメントに属さない研究開発活動として、グループ共通の基盤技術の向上やエンジニアリング分野に関する研究開発等を行っています。これに係る研究開発費は