当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において帝人グループが判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
1) 経営成績
帝人グループの当第1四半期連結累計期間の経営成績は、世界的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大影響により、マテリアルにおいて自動車用途や航空機用途を中心に需要が減少し、販売量の減少を余儀なくされました。一方で、ヘルスケアやITについては底堅い業績を確保しました。こうした状況の中、売上高は前年同期比で16.5%減の1,791億円となり、営業利益は同25.8%減の126億円となりました。経常利益は前年同期比26.2%減の124億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は税負担率の上昇等もあり、同47.1%減の57億円となりました。
当第1四半期連結累計期間におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりです。
なお、当第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しています。
◆マテリアル領域:自動車用途や航空機用途を中心にCOVID-19影響を大きく受け、各分野における販売量が減少。稼働・活動低下によるコスト削減で赤字幅を縮小
売上高は539億円と前年同期対比322億円の減収(37.4%減)、営業損失は14億円と前年同期対比70億円の減益となりました。
アラミド分野では、主力のパラアラミド繊維「トワロン」において、光ファイバー用途は堅調に推移しましたが、タイヤ補強材、摩擦材などの自動車関連用途をはじめとする多くの用途で販売量が減少しました。
樹脂分野では、主力のポリカーボネート樹脂は、中国での需要は回復してきましたが、他地域での需要が大きく減少しており、販売量が減少しました。原料価格の低下及び費用低減効果がありましたが、市況価格の低下の影響を受けました。
炭素繊維分野では、需要が減少した航空機用途等を中心に、ほぼすべての用途において、炭素繊維「テナックス」の販売量が減少しました。将来に向けた中間材料開発や北米新工場稼働に向けた先行投資は引き続き実施しています。
複合成形材料分野では、顧客である自動車メーカーの稼働が低下したこと等により、米国Continental Structural Plastics社の自動車向け量産部品の生産や販売が減少しました。コスト面では労務費を中心に固定費の削減を実施し、業績悪化幅の縮小を図りました。当四半期の半ばからの自動車メーカーの稼働再開に伴い、稼働が徐々に回復しました。
◆ヘルスケア領域:「フェブリク」を中心に国内医薬品の薬価改定影響があったものの、「フェブリク」の販売や在宅医療が堅調に推移
売上高は362億円と前年同期対比37億円の減収(9.2%減)、営業利益は87億円と前年同期対比18億円の減益(17.5%減)となりました。
医薬品分野では、国内市場において、高尿酸血症・痛風治療剤「フェブリク」を中心に2020年4月の薬価改定の影響を受けましたが、「フェブリク」や先端巨大症・下垂体性巨人症/神経内分泌腫瘍治療剤「ソマチュリン*」が順調に販売量を拡大しました。
* ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharma(仏)の登録商標です。
在宅医療分野では、在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)市場においては、COVID-19影響により入院検査数が減少しましたが、市場の拡大によりレンタル台数の増加が継続しました。また、遠隔モニタリング算定要件が緩和され、診療支援ツール「ネムリンク」導入施設が増加しています。一方、在宅酸素療法(HOT)市場においては、病院内における感染回避のため在宅医療導入が選択されるケースが増えたため、レンタル台数が伸長しました。
新規ヘルスケア分野では、人工関節・吸収性骨接合材等の埋め込み型医療機器事業において、COVID-19影響による手術延期の影響を受け収益が減少しました。
◆繊維・製品事業:
売上高は716億円と前年同期対比21億円の減収(2.9%減)、営業利益は51億円と前年同期対比41億円の増益(424.3%増)となりました。
COVID-19影響により、テキスタイル、重衣料および自動車関連部材は苦戦しましたが、衛材用の原綿、不織布および感染予防に向けたヘルスケア関連製品の販売が伸長し、活動制限による販管費減も業績に寄与しました。また、インフラ補強材や水処理膜向けのポリエステル短繊維の販売は好調を維持しました。
◆IT事業:
売上高は135億円と前年同期対比26億円の増収(24.1%増)、営業利益は20億円と前年同期対比7億円の増益(54.9%増)となりました。
COVID-19拡大の中、ITサービス分野の売上高は前年同期並みを維持しました。一方、ネットビジネス分野の電子コミック配信サービスは、在宅時間の増加に伴い、電子で漫画を読む人が増え、需要が拡大し、好調に推移しました。
2) 財政状態
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、現預金の増加や設備投資の実施による固定資産の増加がありましたが、運転資本の減少もあり、前期末対比7億円増加の10,049億円となりました。
負債は、主に買掛金の減少により、前期末対比48億円減少の5,880億円となりました。
純資産は、保有株式の時価評価に関わる評価差額の増加等により、前期末対比55億円増加の4,169億円となりました。
尚、当第1四半期末のBS換算レートは、108円/米ドル、121円/ユーロ、1.12米ドル/ユーロ(前期末109円/米ドル、120円/ユーロ、1.10米ドル/ユーロ)となっています。
(帝人グループの資本の財源及び資金の流動性について)
帝人グループは、持続可能な社会の実現に向けて、「環境価値」「安心・安全・防災」「少子高齢化・健康志向」の3つのソリューションを中心とした価値を提供することで「未来の社会を支える会社」になることを目指し、事業ポートフォリオ変革に取り組んでいます。そのため、獲得した資金は財務体質の健全性を維持しながら「将来の成長に向けての投資」に優先的に配分しますが、「安定的・継続的な配当」にも配慮し、中期的な配当性向は30%を目安とし、状況に応じて自己株式取得等も機動的に実施します。また、積極的な成長投資を実行しながら企業価値を向上させていくために、資本コストを意識した経営を行っており、ROEや営業利益ROICを最重要指標として位置付け、資本効率の向上に取り組んでいます。
帝人グループの資金需要の主なものは、製品製造のための原材料等の購入、製造費、販売費やサービス提供費用等の運転資金需要に加え、設備投資や研究開発活動費等の「将来の成長に向けての投資」としての資金需要があり、設備投資資金需要の主なものとしては、航空機向けの需要増を見据えて、軽量化素材である炭素繊維の新たな生産拠点を米国サウスカロライナ州に建設中です。総投資額は日本の三島事業所におけるプリカーサ*の生産能力の増強も合わせて350億円を予定しています。その他にも軽量化部材を提供する複合成形材料事業の新規受注に伴う生産能力増強投資等に積極的に取り組んでいます。中期経営計画2020-2022『ALWAYS EVOLVING』の3年累計では、設備投資及びM&A枠として3,500億円の資源投入規模を設定しています。研究開発費については、複合成形材料分野やヘルスケア分野を中心に同中期経営計画の3年累計で1,100億円の資源投入を計画しています。
* 炭素繊維の原料として用いる特殊なアクリル繊維
帝人グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入及び社債の発行等により資金調達をおこなっており、財務体質の健全性を維持(D/Eレシオ0.9が目安)しながら資本効率の維持・向上を図るべく、最適な選択を実施していきます。また、日米欧中の各拠点においては、グループ内余剰資金を活用するためにキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、資金効率の向上に努めています。帝人グループは、国内格付機関である格付投資情報センターから格付を取得しており、本四半期報告書提出時点においてはAマイナス(安定的)となっております。金融機関には十分な借入枠を有しており、帝人グループの事業運営に必要な運転資金や将来の成長に向けた投資資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識するとともに、高水準で維持している現預金も含め、緊急時の流動性を確保しております。
なお、当第1四半期連結会計期間末の有利子負債残高は3,914億円となりました。資金調達コストの低減に努める一方、設備投資に対応する借入の大部分については、長期調達するとともに過度に金利変動リスクに晒されないよう金利スワップ等の手段を活用し、固定化しています。
(2) 経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等
当第1四半期連結累計期間において、帝人グループの経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等について重要な変更はありません。
(3) 会社の支配に関する基本方針
当第1四半期連結累計期間において、帝人グループの財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第1四半期連結累計期間において、帝人グループの会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社及び連結子会社の研究開発活動の金額は、74億円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。