第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において帝人グループが判断したものです。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

 

1) 経営成績

帝人グループの当第1四半期連結累計期間の経営成績は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)影響からの経済の回復に伴い、マテリアルにおいて自動車用途や航空機用途を中心に需要が回復し、販売量が大幅に増加しました。繊維・製品は医療用防護具(ガウン)の供給がなくなった影響がありましたが、ヘルスケアは糖尿病治療薬販売承継の効果により大幅増益となり、ITは底堅い業績を確保しました。こうした状況の中、売上高は前年同期対比で26.1%増の2,259億円となり、営業利益は同37.1%増の173億円となりました。経常利益は前年同期対比48.2%増の184億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期の税負担率が高かった影響等もあり、同72.0%増の98億円となりました。

 

 

当第1四半期連結累計期間におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりです。

◆マテリアル事業領域:COVID-19影響からの需要回復により自動車用途や航空機用途を中心に全事業分野で販売量が増加。一方一部事業分野では半導体不足や原料高騰が影響

売上高は958億円と前年同期対比419億円の増収(77.7%増)、営業利益は21億円(前年同期は14億円の営業損失)となりました。

アラミド事業分野では、主力のパラアラミド繊維「トワロン」において、大型定修およびその期間延長等で生産減はあったものの、自動車用途を中心とした各市場の回復に伴い販売量が大幅に増加しました。

樹脂事業分野では、主力のポリカーボネート樹脂の需要は堅調に推移し、販売量が増加しました。またBPA等の原料価格が高騰した影響を受けて、販売価格改定を進めました。

炭素繊維事業分野では、航空機、風力発電、レクレーションを含む用途全般において炭素繊維「テナックス」の販売量が増加しました。また、将来に向けた航空機向け中間材料開発や北米炭素繊維新工場の立ち上げ準備を継続実施しています。

複合成形材料事業分野では、SUV・ピックアップトラックを始めとする米国自動車市場が回復し、米国Continental Structural Plastics社(CSP)の自動車部品の販売が大幅に増加しました。一方、半導体不足によるOEM生産減の影響や、需給逼迫により原材料価格が高騰した影響を受けたほか、米国で比較的高水準の失業給付が継続している影響で依然として従業員確保が課題となっています。

 

 

◆ヘルスケア事業領域:コロナ禍においても主力製品である「フェブリク」や在宅医療機器の販売は堅調。販売承継した糖尿病治療薬は順調な滑り出し

売上高は459億円と前年同期対比97億円の増収(26.8%増)、営業利益は132億円と前年同期対比45億円の増益(52.3%増)となりました。

医薬品分野では、4月1日付で武田薬品工業㈱より承継した2型糖尿病治療剤4製品の販売が順調な滑り出しとなりました。また、コロナ禍においても主力製品である「フェブリク」や先端巨大症・下垂体性巨人症/神経内分泌腫瘍治療剤「ソマチュリン*」が国内で順調に販売量を拡大しました。さらに、6月24日付で「ゼオマイン」が「下肢痙縮」の効能追加承認を取得しました。

* ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharma(仏)の登録商標です。

在宅医療分野では、在宅酸素療法(HOT)市場において、入院抑制により在宅療養へのシフトが促進され、レンタル台数が伸長しました。在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)市場においては、COVID-19感染再拡大の影響で検査数が伸び悩む一方、市場シェアは拡大しており、レンタル台数の増加が継続しています。

ヘルスケア新事業分野では、人工関節・吸収性骨接合材等の埋め込み型医療機器事業において、人工股関節新製品等の順調な伸長により増収となりました。

 

◆繊維・製品事業:

売上高は655億円と前年同期対比61億円の減収(8.6%減)、営業利益は20億円と前年同期対比31億円の減益(60.4%減)となりました。

衣料繊維はCOVID-19影響から徐々に回復しつつありますが、緊急事態宣言による外出自粛や店舗休業の影響で、衣料品の販売は全般的に苦戦しました。産業資材では、自動車関連部材や半導体・電子部品向けの化成品、カーテンなど生活製品の販売は好調に推移し、水処理フィルターや吸音材向けのポリエステル短繊維も好調を維持しました。医療用防護具(ガウン)の官需が収束した影響があるものの、事業の選択と集中による基礎収益力の底上げや、活動抑制による販管費減が業績に寄与しました。

 

◆IT事業:

売上高は135億円と前年同期並み、営業利益は21億円と前年同期対比1億円の増益(3.9%増)となりました。

ネットビジネス分野では、電子コミックサービスにおける海賊版サイトの影響が続いており、ITサービス分野ではCOVID-19の影響が残るものの、両分野とも堅調に推移しました。

 

◆その他:

売上高は52億円と前年同期対比13億円の増収(33.1%増)、営業損失は3億円と前年同期対比1億円の損失の減少となりました。

㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)においては、再生医療製品事業の自家培養表皮「ジェイス」、自家培養角膜上皮「ネピック」に加え、再生医療受託事業および研究開発支援事業の売上拡大により、堅調に推移しました。

 

2) 財政状態

当第1四半期連結会計期間末の総資産は、武田薬品工業㈱からの2型糖尿病治療剤の日本における販売移管等の承継に伴う無形固定資産の取得等により、前期末対比1,439億円増加の11,808億円となりました。

負債は、主に無形固定資産の取得のための短期借入金の増加により、前期末対比1,332億円増加の7,418億円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上や、主要通貨に対する円安の進行による為替換算調整勘定の増加、保有株式の時価評価に係る評価差額の増加等により、前期末対比107億円増加の4,390億円となりました。

なお、当第1四半期末のBS換算レートは、111円/米ドル、132円/ユーロ、1.19米ドル/ユーロ(前期末111円/米ドル、130円/ユーロ、1.17米ドル/ユーロ)となっています。

 

 

(帝人グループの資本の財源及び資金の流動性について)

帝人グループは、持続可能な社会の実現に向けて、「環境価値」「安心・安全・防災」「少子高齢化・健康志向」の3つのソリューションを中心とした価値を提供することで「未来の社会を支える会社」になることを目指し、事業ポートフォリオ変革に取り組んでいます。そのため、獲得した資金は財務体質の健全性を維持しながら「将来の成長に向けての投資」に優先的に配分しますが、「安定的・継続的な配当」にも配慮し、中期的な配当性向は30%を目安とし、状況に応じて自己株式取得等も機動的に実施します。また、積極的な成長投資を実行しながら企業価値を向上させていくために、資本コストを意識した経営を行っており、ROEや営業利益ROICを最重要指標として位置付け、資本効率の向上に取り組んでいます。

帝人グループの資金需要の主なものは、製品製造のための原材料等の購入、製造費、販売費やサービス提供費用等の運転資金需要に加え、設備投資や研究開発活動費等の「将来の成長に向けての投資」としての資金需要があります。マテリアル事業領域では、パラアラミド繊維の生産能力増強の設備投資、北米での自動車向け複合成形材料のテキサス新工場の建設や炭素繊維新工場の立ち上げ準備を進めています。ヘルスケア事業領域では、2021年4月1日付で武田薬品工業㈱から2型糖尿病治療剤の日本における販売移管等を実施し、承継価額は1,330億円となりました。また、再生医療等製品事業への参入を目的としたJ-TECのTOBによる子会社化を行うなど、大型投資を推し進めました。中期経営計画2020-2022『ALWAYS EVOLVING』の3年累計では、設備投資及びM&A枠として当初3,500億円の資源投入規模を設定していましたが、上記大型投資を踏まえて4,500億円まで拡大し、今後も「将来の成長に向けての投資」を継続していきます。研究開発費については、マテリアル事業領域の複合成形材料分野やヘルスケア事業領域を中心に同中期経営計画の3年累計で1,100億円の資源投入を計画しています。

帝人グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入及び社債の発行等により資金調達を行っており、財務体質の健全性を維持(D/Eレシオ0.9が目安)しながら資本効率の維持・向上を図るべく、最適な選択を実施していきます。また、日米欧中の各拠点においては、グループ内余剰資金を活用するためにキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、資金効率の向上に努めています。帝人グループは、国内格付機関である格付投資情報センターから格付を取得しており、本報告書提出時点においてはAマイナス(安定的)となっています。金融機関には十分な借入枠を有しており、帝人グループの事業運営に必要な運転資金や将来の成長に向けた投資資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識するとともに、高水準で維持している現預金も含め、緊急時の流動性を確保しています。

なお、当第1四半期連結会計期間末の有利子負債残高は5,029億円となりました。資金調達コストの低減に努める一方、設備投資に対応する借入の大部分については、長期調達するとともに過度に金利変動リスクに晒されないよう金利スワップ等の手段を活用し、固定化しています。また、2021年4月1日付の2型糖尿病治療剤販売承継の当初資金は、手元現預金とブリッジローンにより充当しましたが、ブリッジローンのパーマネント化の一部として、「一時的に悪化する財務体質の改善」と「将来の収益源育成に向けた資源投入の実行を支える財務健全性の確保」を目指すために、格付会社より発行額の50%に対して資本性が認定されたハイブリッド社債を2021年7月21日付で600億円発行しました。今後はハイブリッド社債の資本性考慮後ベースにて「D/Eレシオ目安0.9」の水準までの早期改善を目指します。

 

(2) 経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等

当第1四半期連結累計期間において、帝人グループの経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等について重要な変更はありません。

 

(3) 会社の支配に関する基本方針

当第1四半期連結累計期間において、帝人グループの財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当第1四半期連結累計期間において、帝人グループの会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当第1四半期連結累計期間における当社及び連結子会社の研究開発活動の金額は、63億円です。

なお、当第1四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。