当第2四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において帝人グループが判断したものです。
(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況
1) 経営成績
帝人グループの当第2四半期連結累計期間の経営成績は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)影響からの経済の回復に伴い、マテリアルでは自動車用途や航空機用途を中心に需要が回復し、販売量が増加しましたが、第2四半期から半導体不足の影響が顕在化するとともに、原燃料価格や物流費の高騰の影響を受けました。繊維・製品は医療用防護具(ガウン)の官需が収束した影響がありましたが、ヘルスケアは好調な「フェブリク」の販売や糖尿病治療薬販売承継の効果により大幅増益となり、ITも底堅い収益を確保しました。こうした状況の中、売上高は前年同期対比で15.0%増の4,534億円となり、営業利益は同1.2%増の315億円となりました。経常利益は前年同期対比8.0%増の326億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は投資有価証券売却益の計上等もあり、同34.8%増の216億円となりました。
当第2四半期連結累計期間におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりです。
◆マテリアル事業領域:COVID-19影響からの需要回復により自動車用途や航空機用途を中心に全事業分野で販売量が増加。一方、半導体不足や原燃料価格・物流費高騰が影響
売上高は1,908億円と前年同期対比645億円の増収(51.0%増)、営業利益は33億円(前年同期は5億円の営業損失)となりました。
アラミド事業分野では、主力のパラアラミド繊維「トワロン」において、自動車用途を中心とし、各市場において需要回復が進んでおり、販売量が大幅に増加しました。一方、第1四半期に実施した大型定修とその期間延長等による生産減や天然ガス価格上昇がコストに影響しています。
樹脂事業分野では、アセアン地域でのCOVID-19の拡大や半導体不足の影響を受けましたが、主力のポリカーボネート樹脂の販売量は増加しました。また、BPA等の原料価格が高騰した影響を受けて、販売価格改定を進めました。
炭素繊維事業分野では、航空機、風力発電、レクレーションを含む用途全般において炭素繊維「テナックス」の販売量が増加しました。将来に向けた航空機向け中間材料開発や北米炭素繊維新工場の立上げ準備を継続実施しています。
複合成形材料事業分野では、米国自動車販売は第1四半期好調でしたが、第2四半期より半導体や部品の供給不足により、OEMでの生産休止の影響を受けました。Teijin Automotive Technologies*が米国において注力するSUV・ピックアップトラックの生産にもその影響が波及し、米国における自動車部品の第2四半期販売量は前年同期並みに留まりました。コスト面では、需給逼迫による原材料価格の高騰が継続しており、収益に大きく影響しました。また、米国における失業給付加算による労働需給の逼迫は、加算が終了した第2四半期末においても限定的な緩和に留まり、従業員確保が依然として課題となっています。
* Teijin Automotive Technologiesは、自動車向け複合成形材料事業のグローバル事業ブランドです。当該事業における主要会社(Continental Structural Plastics Holdings Corporationを含む)は、2021年9月より統一ブランドTeijin Automotive Technologiesへ順次社名変更し、展開していきます。
◆ヘルスケア事業領域:COVID-19再拡大の中、主力製品である「フェブリク」や在宅医療機器の販売は堅調。販売承継した糖尿病治療薬も順調に推移
売上高は907億円と前年同期対比177億円の増収(24.2%増)、営業利益は240億円と前年同期対比75億円の増益(45.4%増)となりました。
医薬品分野では、4月1日付で武田薬品工業㈱より承継した2型糖尿病治療剤4製品の販売が順調に推移しました。また、主力製品である「フェブリク」や先端巨大症・下垂体性巨人症/神経内分泌腫瘍治療剤「ソマチュリン**」が順調に販売量を拡大しました。さらに、昨年「上肢痙縮」の効能効果で販売開始した「ゼオマイン」は、今年6月に「下肢痙縮」の効能を追加承認取得し、販売量が急拡大しました。
** ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharma(仏)の登録商標です。
在宅医療分野では、在宅酸素療法(HOT)市場において、COVID-19再拡大により、入院抑制による在宅療養へのシフトが継続し、酸素濃縮器のレンタル台数が伸長しました。また、在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)市場では、COVID-19再拡大の中でも検査数は緩やかな回復基調にあり、レンタル台数の増加が継続しています。
ヘルスケア新事業分野では、人工関節・吸収性骨接合材等の埋め込み型医療機器事業において、人工股関節新製品等が順調に伸長しました。
◆繊維・製品事業:
売上高は1,335億円と前年同期対比246億円の減収(15.6%減)、営業利益は36億円と前年同期対比91億円の減益(71.8%減)となりました。
衣料繊維は、欧米や中国向けの素材・製品の販売に回復が見られるものの、COVID-19による国内消費低迷や海外工場のロックダウンにより、全般的に苦戦しました。産業資材では、自動車関連部材やインフラ補強材、電子部品向けの化成品は好調に推移し、水処理フィルターや人工皮革向けのポリエステル短繊維も好調を維持しましたが、期間後半で、半導体不足による自動車生産台数減少の影響を受けました。医療用防護具(ガウン)の官需が収束した影響があるものの、事業の選択と集中による基礎収益力の底上げや、活動抑制による販管費減が業績に寄与しました。
◆IT事業:
売上高は273億円と前年同期対比13億円の減収(4.4%減)、営業利益は48億円と前年同期並みとなりました。
ネットビジネス分野では、電子コミックサービスにおける海賊版サイトの影響が続き、前年同期に対し売上が減少しましたが、広告費最適化により収益を確保しました。ITサービス分野では、COVID-19の影響が残るものの堅調に推移しました。
◆その他(エンジニアリング、J-TEC等):
売上高は110億円と前年同期対比29億円の増収(36.3%増)、営業損失は10億円と前年同期対比6億円の損失の増加となりました。
㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)においては、再生医療製品事業の自家培養表皮「ジェイス」、自家培養角膜上皮「ネピック」に加え、研究開発支援事業の売上拡大により、業績が堅調に推移しました。また、6月11日付で製造販売承認を取得した「オキュラル」(角膜上皮幹細胞疲弊症に対する口腔粘膜上皮細胞を用いた世界初の再生医療等製品)について、2021年12月1日付での保険収載が了承されました。
2) 財政状態
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、主に武田薬品工業㈱からの2型糖尿病治療剤の日本における販売移管等による無形固定資産の取得により、前期末対比1,277億円増加の11,688億円となりました。
負債は、主に無形固定資産の取得資金としての社債の増加により、前期末対比1,075億円増加の7,182億円となりました。
純資産は、主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により、前期末対比202億円増加の4,506億円となりました。
なお、当第2四半期末のBS換算レートは、112円/米ドル、130円/ユーロ、1.16米ドル/ユーロ(前期末111円/米ドル、130円/ユーロ、1.17米ドル/ユーロ)となっています。
(帝人グループの資本の財源及び資金の流動性について)
帝人グループは、持続可能な社会の実現に向けて、「環境価値」「安心・安全・防災」「少子高齢化・健康志向」の3つのソリューションを中心とした価値を提供することで「未来の社会を支える会社」になることを目指し、事業ポートフォリオ変革に取り組んでいます。そのため、獲得した資金は財務体質の健全性を維持しながら「将来の成長に向けての投資」に優先的に配分しますが、「安定的・継続的な配当」にも配慮し、中期的な配当性向は30%を目安とし、状況に応じて自己株式取得等も機動的に実施します。また、積極的な成長投資を実行しながら企業価値を向上させていくために、資本コストを意識した経営を行っており、ROEや営業利益ROICを最重要指標として位置付け、資本効率の向上に取り組んでいます。
帝人グループの資金需要の主なものは、製品製造のための原材料等の購入、製造費、販売費やサービス提供費用等の運転資金需要に加え、設備投資や研究開発活動費等の「将来の成長に向けての投資」としての資金需要があります。マテリアル事業領域では、パラアラミド繊維の生産能力増強の設備投資、北米での自動車向け複合成形材料のテキサス新工場の建設や炭素繊維新工場の立ち上げ準備を進めています。ヘルスケア事業領域では、2021年4月1日付で武田薬品工業㈱から2型糖尿病治療剤の日本における販売移管等を実施し、承継価額は1,330億円となりました。また、再生医療等製品事業への参入を目的としたJ-TECのTOBによる子会社化を行うなど、大型投資を推し進めました。中期経営計画2020-2022『ALWAYS EVOLVING』の3年累計では、設備投資及びM&A枠として当初3,500億円の資源投入規模を設定していましたが、上記大型投資を踏まえて4,500億円まで拡大し、今後も「将来の成長に向けての投資」を継続していきます。研究開発費については、マテリアル事業領域の複合成形材料分野やヘルスケア事業領域を中心に同中期経営計画の3年累計で1,100億円の資源投入を計画しています。
帝人グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入及び社債の発行等により資金調達を行っており、財務体質の健全性を維持(D/Eレシオ0.9が目安)しながら資本効率の維持・向上を図るべく、最適な選択を実施していきます。また、日米欧中の各拠点においては、グループ内余剰資金を活用するためにキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、資金効率の向上に努めています。帝人グループは、国内格付機関である格付投資情報センターから格付を取得しており、本報告書提出時点においてはAマイナス(安定的)となっています。金融機関には十分な借入枠を有しており、帝人グループの事業運営に必要な運転資金や将来の成長に向けた投資資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識するとともに、高水準で維持している現預金も含め、緊急時の流動性を確保しています。
なお、当第2四半期連結会計期間末の有利子負債残高は4,828億円となりました。資金調達コストの低減に努める一方、設備投資に対応する借入の大部分については、長期調達するとともに過度に金利変動リスクに晒されないよう金利スワップ等の手段を活用し、固定化しています。また、2021年4月1日付の2型糖尿病治療剤販売承継のための資金の一部として、格付会社より発行額の50%に対して資本性が認定されたハイブリッド社債を2021年7月21日付で600億円発行し、一時的に悪化する財務体質を改善し将来の収益源育成に向けた資源投入の実行を支える財務健全性を確保することとしました。今後はハイブリッド社債の資本性考慮後ベースにて「D/Eレシオ目安0.9」の水準までの早期改善を目指します。
3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資本の増加による資金支出がある一方、税金等調整前四半期純利益の計上による資金収入があり、合計で339億円の資金収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に武田薬品工業㈱からの2型糖尿病治療剤の日本における販売移管等による無形固定資産の取得や、設備投資により、1,636億円の資金支出となりました。
この結果、営業活動に投資活動を加えたフリー・キャッシュ・フローは1,297億円の資金支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、配当の支払があった一方、主に社債の発行や短期借入金の借入による資金収入により、944億円の資金収入となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物に係る換算差額等も加え、最終的な現金及び現金同等物の減少額は347億円となりました。
(2) 経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等
当第2四半期連結累計期間において、帝人グループの経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等について重要な変更はありません。
(3) 会社の支配に関する基本方針
当第2四半期連結累計期間において、帝人グループの財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第2四半期連結累計期間において、帝人グループの会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社及び連結子会社の研究開発活動の金額は、141億円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第2四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。