当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において帝人グループが判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
1) 経営成績
帝人グループの当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高が前年同期対比で7.9%増の2,438億円となり、営業利益は同37.6%減の108億円となりました。経常利益は前年同期対比22.6%減の143億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同25.8%減の73億円となりました。営業利益に関して、マテリアル事業領域では、堅調な需要を背景とした自動車用途・航空機用途の販売量の増加や為替影響が収益に貢献したものの、中国ロックダウン、原燃料価格高騰および物流費増等の影響により減益となり、ヘルスケア事業領域においても、薬価改定影響や、高尿酸血症・痛風治療剤「フェブリク」の後発品が6月より参入し、販売数量が減少したこと等により減益となりました。また、繊維・製品事業は、販売が堅調に推移し前年同期並みの利益となりましたが、IT事業は、電子コミックサービスにおける広告費増等により、減益となりました。
当第1四半期連結累計期間におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりです。
なお、当第1四半期連結会計期間より、帝人ナカシマメディカル㈱および帝人メディカルテクノロジー㈱を中心に展開している埋込型医療機器事業については、全社的・長期的視点でイノベーションを生み出していく新規事業と位置づけ、育成・強化を図るため、「ヘルスケア」セグメントから「その他」セグメントへ変更しています。前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
◆マテリアル事業領域:堅調な需要を背景とした自動車用途・航空機用途を中心とした販売量の増加や為替影響による収益押し上げ効果はあったものの、中国でのロックダウンによる工場稼働率の低下、原燃料価格高騰および物流費増等が収益に影響
売上高は1,074億円と前年同期対比116億円の増収(12.1%増)、営業損失は7億円(前年同期は21億円の営業利益)となりました。
アラミド事業分野では、主力のパラアラミド繊維「トワロン」において、旺盛な需要が継続しましたが、紡糸工場の生産工程不調等により在庫が逼迫し、販売量が減少しました。また、欧州の天然ガス価格高騰を背景とした燃料コストの上昇を受けて、販売価格改定を進めました。一方で、前年同期の大型定修の反動による操業度改善や為替影響等が収益に貢献しました。結果、前年同期対比増収・増益となりました。
樹脂事業分野では、主力のポリカーボネート樹脂において、COVID-19の感染者増加による中国ロックダウンを受けて、工場の稼働率が低下し、販売量が減少しました。また、主原料であるBPAの価格は下落しましたが、その他の原燃料価格が上昇しました。結果、前年同期対比減収・減益となりました。
炭素繊維事業分野では、用途全般において炭素繊維「テナックス」の需要が堅調に推移する中、航空機向けの販売量が増加したことにより、販売構成が改善しました。また、主原料であるANの価格高騰を受けて、販売価格の改定を進めました。結果、前年同期対比増収・増益となりました。
電池部材分野では、リチウムイオンバッテリー用セパレータ「リエルソート」が前年同期に引き続き、スマートフォン向けの販売量を伸ばしました。結果、前年同期対比増収・増益となりました。
複合成形材料事業分野では、米国での消費者の自動車購買意欲は引き続き堅調に推移したものの、半導体を含む原材料や部品の不足等により、主要顧客であるOEMの生産休止が継続しました。そのような中、Teijin Automotive Technologies*(米)(TAT-US社)では新大型プログラムの販売本格化もあり、販売量が増加しました。また、失業給付加算終了後も低位に推移していた米国の労働市場参加率は前年度後半より改善傾向にあり、TAT-US社における人員確保の状況は徐々に改善しましたが、原材料価格の高騰が継続しており、引き続き販売価格の改定交渉を行いました。結果、前年同期対比、増収・減益となりました。
* 自動車向け複合成形材料事業のグローバル事業ブランド
◆ヘルスケア事業領域:糖尿病治療剤の販売や在宅医療機器のレンタルは堅調。一方で、主力製品「フェブリク」は、6月より後発品が参入し販売量が減少
売上高は436億円と前年同期対比4億円の減収(0.8%減)、営業利益は108億円と前年同期対比25億円の減益(19.0%減)となりました。
医薬品分野では、長期収載品を中心に2022年4月の薬価改定影響を受けましたが、前年度に武田薬品工業(株)より承継した糖尿病治療剤の販売は堅調に推移しました。また、先端巨大症・下垂体性巨人症/神経内分泌腫瘍治療剤「ソマチュリン*1」や上下肢痙縮治療剤「ゼオマイン*2」が順調に販売量を拡大しました。一方、医薬品「フェブリク」は、6月より後発品が参入し販売量が減少しました。また、前年同期にライセンス対価収入の計上があった影響により減収となりました。
*1 ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharma(仏)の登録商標です。
*2 ゼオマイン®/Xeomin®は、Merz Pharma GmbH &Co, KGaA(独)の登録商標です。
在宅医療分野では、在宅酸素療法(HOT)市場において、医療機関におけるCOVID-19向け病床確保のための入院抑制・在宅療養へのシフトが継続し、高い水準で酸素濃縮器のレンタル台数を維持しました。また、在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)市場では、検査数が緩やかな回復基調となり、レンタル台数の増加が継続しました。
◆繊維・製品事業:
売上高は736億円と前年同期対比81億円の増収(12.4%増)、営業利益は19億円と前年同期対比1億円の減益(7.4%減)となりました。
衣料繊維は、欧米や中国向けの素材・製品の販売や重衣料の国内販売が堅調に推移しました。産業資材では、水処理フィルター向けのポリエステル短繊維、自動車関連部材、インフラ補強材、人工皮革の販売が好調に推移しました。また、原燃料価格や物流費の高騰、円安影響による仕入れコストの上昇が業績に影響しましたが、産業資材分野を中心に販売価格改定を進めました。
◆IT事業:
売上高は129億円と前年同期対比7億円の減収(4.9%減)、営業利益は15億円と前年同期対比6億円の減益(27.7%減)となりました。
ネットビジネス分野では、電子コミックサービスにおいて、海賊版サイトの影響が軽減される中、成長路線への回復を狙い広告宣伝活動を強化しました。ITサービス分野では、ヘルスケア事業を中心に業績が堅調に推移しました。
◆その他(エンジニアリング事業、埋込型医療機器事業、再生医療事業等):
売上高は63億円と前年同期対比8億円の減収(10.7%減)、営業損失は11億円と前年同期対比7億円の損失の増加となりました。
人工関節・吸収性骨接合材等の埋込型医療機器事業は、2022年2月のKiSCO株式会社からの外傷・脊椎事業買収の影響もあり販売が伸長しました。
再生医療事業の(株)ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)においては、自家培養軟骨「ジャック」の売上が拡大した一方、自家培養表皮「ジェイス」の売上が減少した影響等により、前年同期対比減収となりました。また、2022年4月に、白斑治療を目的とする新製品として、メラノサイト含有自家培養表皮「ACE02」の製造販売承認を申請しました。
2) 財政状態
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、現預金の増加や原燃料価格高騰による棚卸資産の増加、設備投資の実施による固定資産の増加、主要通貨に対する円安の進行等により、前期末対比577億円増加の12,653億円となりました。
負債は、主要通貨に対する円安の進行に加え、借入金の増加等により、前期末対比426億円増加の7,854億円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上や、主要通貨に対する円安の進行による為替換算調整勘定の増加等により、前期末対比151億円増加の4,799億円となりました。
なお、当第1四半期末のBS換算レートは、137円/米ドル、143円/ユーロ、1.04米ドル/ユーロ(前期末122円/米ドル、137円/ユーロ、1.12米ドル/ユーロ)となっています。
(帝人グループの資本の財源及び資金の流動性について)
帝人グループは、持続可能な社会の実現に向けて、「環境価値」「安心・安全・防災」「少子高齢化・健康志向」の3つのソリューションを中心とした価値を提供することで「未来の社会を支える会社」になることを目指し、事業ポートフォリオ変革に取り組んでいます。そのため、獲得した資金は財務体質の健全性を維持しながら「将来の成長に向けての投資」に優先的に配分しますが、「安定的・継続的な配当」にも配慮し、中期的な配当性向は30%を目安とし、状況に応じて自己株式取得等も機動的に実施します。また、積極的な成長投資を実行しながら企業価値を向上させていくために、資本コストを意識した経営を行っており、ROEや営業利益ROICを最重要指標として位置付け、資本効率の向上に取り組んでいます。
帝人グループの資金需要の主なものは、製品製造のための原材料等の購入、製造費、販売費やサービス提供費用等の運転資金需要に加え、設備投資や研究開発活動費等の「将来の成長に向けての投資」があります。中期経営計画2020-2022『ALWAYS EVOLVING』の3年累計では、設備投資及びM&A枠として当初3,500億円の資源投入規模を設定していましたが、大型投資である糖尿病治療薬の国内販売承継により早期のキャッシュ創出が見込めるため、成長基盤確立のための積極投資を継続すべく、投資枠を4,500億円に拡大しました。現時点では3年累計で約4,000億円の見通しですが将来の成長に資する案件があれば4,500億円の枠内で実施する方針としています。研究開発費については、マテリアル事業領域の複合成形材料分野やヘルスケア事業領域を中心に同中期経営計画の3年累計で1,100億円の資源投入を計画していましたが、現時点では3年累計で約1,000億円の見通しです。
帝人グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入及び社債の発行等により資金調達を行っており、財務体質の健全性を維持(D/Eレシオ0.9が目安)しながら資本効率の維持・向上を図るべく、最適な選択を実施していきます。また、日米欧中の各拠点においては、グループ内余剰資金を活用するためにキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、資金効率の向上に努めています。帝人グループは、国内格付機関である格付投資情報センターから格付を取得しており、本報告書提出時点においてはAマイナス(安定的)となっています。金融機関には十分な借入枠を有しており、帝人グループの事業運営に必要な運転資金や将来の成長に向けた投資資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識するとともに、高水準で維持している現預金も含め、緊急時の流動性を確保しています。
なお、当第1四半期連結会計期間末の有利子負債残高は5,178億円となりました。資金調達コストの低減に努める一方、設備投資に対応する借入の大部分については、長期調達するとともに過度に金利変動リスクに晒されないよう金利スワップ等の手段を活用し、固定化しています。
(2) 経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等
当第1四半期連結累計期間において、帝人グループの経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等について重要な変更はありません。
(3) 会社の支配に関する基本方針
当第1四半期連結累計期間において、帝人グループの財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第1四半期連結累計期間において、帝人グループの会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社及び連結子会社の研究開発活動の金額は、78億円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。